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プロジェクト「元素分離・分析」 - 国立研究開発法人 量子科学技術研究
高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター プロジェクト「元素分離・分析」 【本件リリース先】 平成 22 年 5 月 17 日(月)15:00 (資料配布) 文部科学記者会、科学記者会 経済産業記者会、茨城県政記者クラブ ❏ 研究開発のねらい 量子ビームプロセシングの研究として,レーザー照射による元素の分離・分析技術の構築に係る 要素技術の開発およびイオン・電子ビーム付加効果を駆使した新奇材料創製と評価を行う。 【本件リリース先】 9月28日(月) 15:00 (資料配付) 文部科学記者会、科学記者会、 原子力規制庁記者会(仮称)、 茨城県政記者クラブ ❏ 最近の成果 • 複数元素混合溶解液から元素選択的分離回収 • 新奇複合SiCナノチューブの創製 • レーザープラズマ発光法によるその場遠隔検知技術の廃炉作業への適用提案 平成 27 年 国立研究開発法人日本原子力研 イオン照射による新奇複合ナノチューブの新たな創製方法の開発に成功(お知 -小型化・省電力化された電子・発光デバイスへの道を拓く- 【発表のポイント】 イオン照射により、結晶状態や構造をコントロールした新奇複合ナノチューブの創製 発に成功 本手法により、様々な新奇複合セラミックナノ材料の創製を可能とし、それらを用い 省電力化された電子・発光デバイスの開発に期待 ❏ 成果のアウトカム • 都市鉱山等からの有用金属の回収 • 小型・省電力化された電子・光学デバイスへの応用 • 福島復興支援 イオン照射 照射チャンバー イオン照射 金属製マスク 多結晶SiCナノチューブ イオンビームライン 照射される領域 照射されない領域 図 1 左 イオン照射装置の外観写真、 図 1 右 複合 SiC ナノチューブ創製のためのイオン照射方法 レーザー照射による白金族金属の新規分離技術 イオン照射による新奇複合ナノチューブの新規創製 【得られた成果】 ・結晶状態をコントロールすることによる新奇複合 SiC ナノチューブの創製 金属製マスクを用いて室温でイオン照射を行った多結晶 SiC ナノチューブの電子線回折結果から、ナ ノチューブの上部では小さな点が集まってリングを形成しているパターンが観察され、一方で、下部で はぼやけたリング状のパターンが観察されました(図 2)。このことから、点線を境にして、多結晶領域 とアモルファス領域を、一本のナノチューブ内に複合化させた SiC ナノチューブの創製に成功したこと がわかります。このように、イオン照射により、ナノチューブの形状を保ったまま、多結晶体からアモル ファス体を、さらには、領域を選択してアモルファス化する手法を確立することができました。 ■レーザー微粒子化元素分離 光還元反応 照射前 e– An+ hν ····· hν A ■結晶状態をコントロールすることに よる新奇複合SiCナノチューブの創製 照射後 e– X ナノ構造解析 物性評価 紫外レーザー e– 吸光度 紫外 e– レーザーAn+ 微粒子化反応 mA (A)m Bn+ An+ : 貴金属イオン(Pd, Rhなど) 【本件に関する問い合わせ先 国立研究開発法人日本原子 (研究内容について) 先端基礎研究センター 研 朝岡 秀人 TEL:029-282 (報道担当) 広報部報道課長 中野 裕 TEL:03-3592-2346, FAX: 多結晶領域 電荷移動吸収帯 Bn+ Bn+ : ランタノイドイオンなど An+ ろ過、沈殿、遠心分離 アモルファス領域 波長 X : 電子供給源(アルコール) 200 nm 図 2 多結晶-アモルファス複合構造 SiC ナノチューブの透過型電子顕微鏡(TEM)4)写真及び電子線 貴金属を微粒子として回収 元素回収効率 (ICP-MSで測定) 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄。以下「原子力機構」とい 礎研究センターの朝岡秀人研究主席と量子ビーム応用研究センターの田口富嗣研究主幹ら 照射により、結晶状態をコントロールできるようにしたことで、新しい構造を持った新奇複合炭 (SiC)系ナノチューブ 1)の創製方法の開発に成功しました。 一次元ナノ材料、その中でもナノチューブは、その特異な形状やサイズが小さいことによ 材料にはない電気・光学特性を示す可能性があります。特に SiC は重要な半導体材料であ 我々は、多結晶SiC ナノチューブの創製を試み、成功しています。これまでに、結晶シリコン て、アモルファス Si は半導体特性が異なり、光を吸収しやすいために太陽電池に応用され このように、材料の結晶状態をコントロールすること、さらにそれらを複合化することで、材料 化が期待されますが、今まで、ナノチューブの形状を保ったまま、結晶状態をコントロールす できませんでした。今回、イオン照射により、新たに二点の成果をあげることができました。 ナノチューブの形状を保ったまま多結晶からアモルファス化することに成功し、一本のナノチ に多結晶領域とアモルファス 2)領域を複合化させた構造を実現できたことです。また、二つ目 SiC ナノチューブ内に、カーボン層の方向が 90°傾いた新たな構造を持つカーボンナノチュ 製に成功したことです。カーボンナノチューブやグラフェンは黒鉛と同じ炭素材料であるが、 違う構造を持つことで、優れた電気物性を発現することが知られているため、今回の新奇構 ■新しい構造を持ったカーボンナノ ンナノチューブもまた、今までにない新しい物性を示す可能性が期待されます。 チューブの創製 本手法は、他のセラミックナノ材料にも適用可能であるため、様々な新奇複合セラミックナ 創製が可能となり、それらを用いた小型化・省電力化された電子・発光デバイスの開発等、今 る研究成果が期待されます。 回折写真 Pdの選択的回収に 成功(効率~50%) M. Saeki et al., J. Photochem. and Photobiol. A, 299, 189, (2015) 多結晶-アモルファス複合構造SiCナノチューブの 透過型電子顕微鏡(TEM)写真及び電子線回折 写真 1 【左】イオン照射後のC-SiC同軸複合ナノチューブのTEM写 真及び電子線回折写真、【右】C-SiC同軸複合ナノチューブ の照射前後の模式図 T. Taguchi et al., Carbon. 95, 279, (2015) 3 時間分解軟X線分析 使用済核燃料溶解液への適用 イオン・電子ビーム照射 ナノ構造解析 物性評価 大学 研究機関 産業界 QST 播磨・木津 JAEA 東海 QST 高崎 レーザー技術 核燃料物質・汚染水分析 への適用 ガンマ線照射 汚染水分析への適用 レーザー照射によるその場分光分析技術 ■福島関連基礎・支援研究:廃炉措置に向けた遠隔炉内調査技術の提案 ■福島関連基礎・支援研究:水溶性の放射性物質のモニタリング Time delay: 1 ms LED照明 計測装置 映像 組成 ペデスタル ? 炉内検知の概略図 線量 15 ms 20 ms 耐放射線性長尺光ファイバ(~50m) (b) パルスレーザ 分光器 時間分解発光分光システム 計測装置 汚染水 ? デブリ ファイバスコープ &LIBSシステム 格納容器 10 ms 大気、ガス 水等雰囲気 d = 80 mm 1 mm 水中気泡 Arガス等 (c) 波長選択光検 出器 LIBS計測の液体への適用(液体薄膜) 1 mm 可搬型ラック 原子炉圧力容器 冷却水 5 ms (a) CCDカメラ YAGシンチレータ レーザー照射 超広角対物レンズ 局所放射線プローブ 元素組成 視認プローブ LIBSプローブ ・ファイバー伝送レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)法に より50m先での遠隔その場分析可能性を検証 ・可搬型ファイバLIBS装置を開発し,不明物質のその場検知への有用性を東京電力に提案 M. Saeki et al., J. Nucl. Sci. Technol., 51, 930, (2014) ❏ 構成メンバー 大場弘則,田村浩司,黒崎譲,田口富嗣,佐伯盛久 d = 20 mm 1 mm 【左】上方からの薄膜流に対してレーザー光を左側か ら入射してプラズマ発光を時間分解観測した図。(a) は大気のみ,(b)~(c)は膜厚が異なる液体流。 対象液体を薄膜化することで,検出感度が飛躍的に 向上。さらに最適な膜厚の存在を確認。 (d) d = 7 mm 1 mm Liquid sheet flow ・Sr,Cs,3Hその場分析への適用可能性を東京電力に提案 H. Ohba et al., Optics Express. 22, 24478, (2014)