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医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック 導入事例
成 功 事 例 集 2009 医 療・介 護 医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック 外出先から呼び出せる電子カルテの活用で 緊急往診時の迅速な対応を実現 医師や看護師の負担も大幅に減少 導入の狙い 医師や看護師の負荷の軽減 導入システム ワイズマン『電子カルテシステムER』 導入効果 訪問診療現場での カルテ作成による即時性の向上、 緊急往診時の迅速な対応、 事務処理の効率化による 残業時間の短縮、 紙出力の削減による 省スペース化などを実現 在宅専門のクリニックとして、24時間体制で地域医療を担っている USER PROFILE 医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック ● 業種:医院 ● 事業内容:在宅診療(荒川区・台東区・文京 区・北区南部・足立区南部・墨田区西部) ● 職員数:40名 (2008年12月現在) 医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニックは、荒川区・台東区・文京区・北 区南部・足立区南部・墨田区西部をエリアとする在宅医療の専門クリニックだ。 医師と看護師が24時間体制の窓口として機能し、必要に応じて緊急往診を 行っている。また、地域医療施設や患者とクリニックの架け橋となるメディケ アコーディネーターを配置するなど、先進的な取り組みも実践している。今回、 メディケアコーディネーターを派遣している株式会社ソシオン ヘルスケア マ ネージメントの提案で、同クリニックはワイズマンの 『電子カルテシステムER』 を導入。事務処理の効率化や緊急往診時の迅速な対応などを実現した。 を行っている。各クリニックのさまざ メディケアコーディネーターが クリニック業務の負荷を軽減 医療法人社団 慶津会 (以下、慶津会) 電子カルテシステムの導入により、365日24時間対 応の負担軽減に成功した医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック 2008年12月取材 10 まな診療内容のケーススタディを集積 し、グループ全体で診療の標準化を図 り、相互の連携によって必要に応じて は、真の在宅医療を地域に根づかせ 医師の変更やローテーションを行う るために、日暮里ホームクリニック、 など、グループクリニックのメリットを 江戸川ふれあいクリニック、北新宿ホ 活かした在宅医療を提供している。 ームクリニックという、訪問診療を中 また、介護・福祉分野の情報を積極 心とした3つのグループクリニックを 的に収集し、在宅ケアに携わるさまざ 運営し、約300名の患者の訪問診療 まな人の意見を尊重しながら、患者 ●医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック 本位の診療にあたることを常に心が ば、医療の立場から介護関係の各者・ けている。そのために、クリニックと 各所に情報提供したり、患者さんた 患者の家族、さらに介護・福祉分野の ちにクリニックのことを周知させたり 人々を結びつけるメディケアコーディ しています。さらにクリニックの事務 ネーターというスタッフを各クリニッ 長的な役割も担い、クリニックで何を クに配置し、在宅ケアの満足度を高め 購入するかを決めたり、看護師の採用 る取り組みを実践している。 にも携わったりしています」とソシオ その半面、在宅医療専門クリニック ン 東京事業本部 メディカルサポート は、24時間体制で患者のケアにあた グループ マネージャー 保健師・介護 らなければならないので、医師や看護 支援専門員の熊谷 聖子氏は、メディ 師の負荷が大きい。それをいかに改 ケアコーディネーターが重要な役割 善するかが大きな課題になっていた。 を担っていることを語る。 「例えば、夜中に患者さんの容体が 急変したと電話がかかってくると、医 師が慌てて患者さんの自宅へ駆けつ けたり、看護師が就寝中の医師を起こ 医師の負担軽減を目的に モバイル対応のシステムを導入 して対応の指示を受けたりと、医師や ソシオンが派遣しているメディケア 看護師の負荷は大きいものでした。他 コーディネーターは、医療・介護分野 のクリニックでは、医師が過労で倒れ のコンサルタント&マネジメント業務 てしまったという実例もあります。そ の一環として、電子カルテシステムの のため、在宅医療専門クリニックでは、 導入提案も行っている。今回、日暮里 医師や看護師の定着率が悪く、常に人 ホームクリニックでは、メディケアコ 事や労務の問題を抱えているのが実 ーディネーターが数社の電子カルテ 情です」 と慶津会 常務理事 事務局長 システムを比較検討したうえで、ワイ の山木 隆氏は、在宅医療専門クリニッ ズマンの『電子カルテシステムER』を クが抱える課題について語る。 選定するにいたった。 そこで慶津会では、医師や看護師 「当社から派遣していたメディケア の負荷を軽減するために、医療秘書 コーディネーターが、ワイズマンの『電 のような役割を担うメディケアコーデ 子カルテシステムER』を選定した理由 ィネーターを各クリニックに配置して は、往診先でもモバイル環境で利用で いる。そして、そのコーディネーター きることと、価格がリーズナブルな点 を派遣しているのが、医療・介護分野 でした」 とソシオンの熊谷氏は語る。 のコンサルタント&マネジメント業務 「また、医師がノートPCを持って患 を行っている株式会社ソシオン ヘル 者さんのところへ行くことになるの スケア マネージメント (以下、ソシオ で、個人情報が漏れないような安全性 ン)だ。各クリニックの開業当初から も重要な選定ポイントです。さらに、 業務支援に携わっている。 パソコンに不慣れな方もいるので、 「医師や看護師が在宅医療に集中で 起動しないといった初歩的な問題で きるようにサポートするのがメディケ も気軽に聞ける、保守サポートが充実 アコーディネーターの役割です。例え していることも重要な要素でした」と 医療法人社団 慶津会 常務理事 事務局長 山木 隆氏 「クリニックには、パソコン操作に不慣れ な医師もいるので、何か困ったときに迅 速に対応してくれるサポート体制が整っ ていることもシステム選定の重要なポイ ントになります。その点、大塚商会さんは、 対応が早いので満足しています」 医師 北林 和夫氏 「電子カルテシステムを活用してから半年 くらいたつので、だいぶ慣れてきました。 正直、業務が楽になった部分とそうでな い部分の両面がありますが、カルテを手 で書く手間が省けるようになったことは 大きなメリットですね」 11 成 功 事 例 集 2009 医 療・介 護 慶津会の山木氏は、安全性やサポー 面も考慮されている。ただ、モバイル ト面も考慮した。 ネットワークを利用する場合、患者の そして、 『電子カルテシステムER』 をハードウェアも含めて大塚商会か いところもあるので、そのときは手書 ら導入し、約3カ月間の準備期間を経 きで電子カルテを作成するなどの柔 て、2008年8月から本格的な運用を 軟な対応を行っている。 開始することになったのだ。 株式会社ソシオン ヘルスケア マネージメント 東京事業本部 メディカルサポートグループ マネージャー 保健師・介護支援専門員 熊谷 聖子氏 「365日、24時間体制を人の手だけで続 けるのは大変なことです。システムを効 果的に活用し、医師や看護師の方々の 負担を少しでも軽減していただければと 思います」 自宅の場所によっては電波が届かな また、24時間体制で運用している 「以前、取引していたベンダーさん ソシオンのコールセンターは慶津会 からは、ハードウェアに関するトラブ の3つの各クリニックとそれぞれVPN ルはメーカーに聞いてくださいと言 で結ばれているので、コールセンター われたことがあったのですが、大塚 のパソコンから日暮里ホームクリニ 商会さんは、ソフトウェアとハードウ ックのサーバにアクセスし、電子カル ェアのメンテナンスを一緒にやって テの内容を参照できる仕組みになっ いただけるので心強いです。実際、大 ている。このため、患者から深夜に 塚商会のコールセンターに電話すれ コールセンターに連絡があった場合 ば、キーボードが動かないといった細 でも、その患者のカルテ情報をその場 かな質問にも対応してくださるので、 で見ながら迅速かつ的確な対応が行 とても助かっています」とソシオンの えるのだ。この点が今回のシステム 熊谷氏は、大塚商会のサポート体制 の大きな特長と言える。 を高く評価している。 『電子カルテシステムER』を導入し 準備期間では、紙カルテのデータ た当初は、医師の中には、紙のカルテ をシステムに移行する作業を行った。 に慣れていたので電子カルテの入力 当面必要な分の紙カルテの画像だけ に抵抗を感じる人もいたそうだ。しか をスキャナで読み込んで入力したの し、 「Windowsの起動の仕方から教 で、紙カルテから電子カルテへの移 えなければならない人もいましたが、 行は比較的スムーズだったという。 先生方はもともと頭がいいですから、 慣れてしまえば、マニュアルを見なが ら自分たちで学習してすぐに使いこ 24時間体制のコールセンターで 深夜診療の負担を軽減 今回のシステムでは、日暮里ホーム 『電子カルテシステムER』のサーバ 12 なせるようになりましたね」とソシオ ンの熊谷氏は語る。 日暮里ホームクリニックでは、5名 クリニックに 『電子カルテシステムER』 の医師で担当曜日を決めて1日に10 のサーバを設置し、医師がノートPC ∼20件の訪問診療を行い、担当医師 を使って外出先からモバイルネットワ がノートPCを持ち歩いて現場で電子 ークでアクセスできるようになってい カルテを作成している。モバイル環境 る。こうすることで、電子カルテの入 でも通信速度のストレスを感じるこ 力などが行えるようになった。モバイ となく、 快適に活用されているという。 ルネットワークはauの通信回線を利 「電子カルテの利点は、書く手間が 用しており、クリニック側にファイア 省けることです。手書きでカルテを作 ウォールなどを設置し、セキュリティ 成していたときは、毎回、カルテを書 ●医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニック が少なくなり、省ス 特に変更がない場合は “DO” ボタンを ペ ース 化 も 実 現し 押せば新たなカルテが作成できるの ました」と、事務長 で、非常に楽ですね。特に私は字が の山木氏も『電子カ あまり上手なほうではないので、とて ル テ シ ス テム E R 』 も重宝しています」と医師の北林 和 の導入効果を実感 夫氏は、実際に訪問診療で『電子カル している。 訪問看護報告 訪問看護指示 訪問看護 ステーション 訪問看護師 指導指示 訪問薬剤管理 在宅患者様 介護家族 かかりつけ 薬局 訪 問 訪問看護 法律ではカルテ や関連書類は最低5 年間保存しなけれ 居宅介護 を率直に語る。 かかりつけ医 慶津会 日暮里ホームクリニック 居宅療養 指導 テシステムER』を活用している感想 在宅医療 (地域医療としてのネットワーク) 調剤・薬交付 訪問服薬指導 薬歴管理 時間連携体制 は前回入力したカルテを呼び出して、 ■在宅医療のネットワーク イメージ図 処方箋 ことにより、紙出力 診療 かなければなりませんでしたが、今 24 居宅介護事業所 ケアマネ・ヘルパー ばならないが、その 事務処理の大幅な効率アップや 緊急往診時の迅速な対応も実現 新システムを導入したことにより、 ためには大きな倉 庫 を 借 りな け れ ば 総合病院 診療情報の提供 治療方針の検討 収 まり き れ な い こ 訪問診療の現場でカルテ入力が可能 ともある。それをど になり、情報の即時性がアップすると うするか、同クリニ 同時に事務処理も大幅に向上した。 ックではいつも悩んでいたという。 「先生が訪問診療に出かけていると また、特に緊急に往診に行かなけ きも、薬局などいろいろなところか ればならないときに、電子カルテは らクリニックに問い合わせがくるの 効果を発揮する。 「紙のカルテのとき で、今まではそのたびに先生に携帯電 は、緊急時に患者さんのカルテを慌 話で連絡していました。しかし今は、 てて探し出して持参しなければなり 先生が訪問先で作成した電子カルテ ませんでしたが、今はその必要がなく の内容を事務のほうでも見ることが なり、患者さんの自宅でノートPCを できるので、さまざまな問い合わせに 使って直接参照できるので、外出先か 迅速に対応できるようになったので らカルテを取りに戻ってくる手間も省 す。また、紹介状などの決まった書式 けました」 とソシオンの熊谷氏は語る。 を事前に登録しておくことで、いつで 現在、慶津会ではワイズマンのス もすぐに出力できるようになり、事務 ケジュール管理ソフトの導入も進めて 手続きも効率的に行えるようになり いる。日暮里ホームクリニックは医師 ました」とソシオンの熊谷氏は導入効 の予定をホワイトボードに記入するこ 果を語る。 とで管理しているが、ソフトを導入す 「今回導入した新システムにはレセ れば、各クリニックの訪問診療のスケ プトの機能も備わっているので、以前 ジュールをコールセンターでも掌握 に比べて事務効率は格段にアップし でき、患者から電話がかかってきたと ています。その結果、残業時間もかな きに次の訪問日を確認したうえで適 り減り、医師や看護師はもちろん、事 切な対応がとれるようになる。そうす 務スタッフの負荷も大幅に軽減され ることで、在宅ケアの満足度を高める ました。また、電子カルテに移行した 努力をし続けているのである。 医療法人社団 慶津会 日暮里ホームクリニックのホームページ http://www.keishinkai.jp/clinics/nipo.html 13