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縦と横が〟X〝のマス目がぁり ます~ 左下隅の開始点(S)から 右上隅の
解答者は10代2名, 20代5名, 30 代6名, 40代8名, 50代20名, 60、代 13名, 70代1名, 80代1名の計56名 縦と境がnXnのマス目があります.左下隅の開始点(S)から で,正解者は36名でした.証明方法 右上隅の終了点(G)までの最短経路i,∈Pを考えるとき,この経 路♪が対角線に出会う回数をV(p)とします.ただし,開始点と の内訳は重複解答を含めると,カタラ 蘇了点も対角線上にあるとして回数に含めます.図では,対角線 ン数によるものが圧倒的に多くで34名,母関数によ に5回出会っていることになります. SからG-のすべての最短 経路Pについて考えるとき,対角線に出会う絵回数をV(n)とす るものが13名,二項定理による証明が7名,その他が 1名でした・ 「高校生程度の知識で」と書きましたので, ると, V(n)-4n 母関数による証明や高校生にとって難解な証明は不正 の関係式が成り立つことが知られています.たとえば, 解としました・私が出題時に知っていた証明は母関数 V(2)-16, V(3)-64, V(4)-256 です・このことをなるべく高校生程度の知識で証明できないも のでしょうか. によるものです[1]. 読者の解答を拝見しながら,カタラン数は果たして 高校生の範囲内だろうかと悩みました.その中で,秦 G 晴らしい証明を見つけることができたのは幸運でした. 静岡市・鈴木丈喜さんのエレガントな解答を紹介しま ≡ S す. ㊨-1通過方法に着日する証明 縦と横がnXnのマス目において,対角線上にはPo, Pl,P2,・・・,Pnのn+1個の点がある.この対角線上での 《通過方法》に着日すればよい. v(p)-5 (1) pl,P2,-,Pn_1の各点については ① 下から上に直進する ② 左から右に直進する ③ 左から上に左折する ④ 下から右に右折する 以上4通りの経路が選択可能である(図1). (2) poとPnの各点については,端点としての制 限から2通りしか経路の選択はない. (1), (2)からPo,Pl,=・,Pnの順に積の法則が成り立ち, ●10代 京田辺市・竹内大智 十日町市・難波弘晃 松山市・冨永昌以 所沢市・朝倉蓑之 ●20代 東京都・野崎雄太 町田市・将衛門 ●40代 鯖江市・山本ジョージ ●30代 秋田市・千葉隆 東京都・波田野茂男 東京都・ 9浪判官 小金井市・田中昌樹 東広島市・松原和樹 ●50代 静岡市・鈴木丈書 仙台市・金沢俊郎 京都市・清洲早紀 福井市・森茂 加須市・小林国雄 名古屋市・山本長晴 東京都・升田春夫 山口市・奈良同情 さいたま市・河村直彦 観音寺市・香川小三元 東京都・宮村恵一 亀岡市・森修啓 横浜市・高橋利之 さいたま市・荻原綜夫 千曲市・山岸昭善 三重県・奥田真吾 東京都・E 三条市・加卜 横浜市・水谷一 東京都・渡遵芳行 徳島市・古川民夫 市川市・ K. Tezuka ●80代 ●60代 志木市・細野源蔵 甲府市・庚午 i 2012・03懐学セミナ1 101 されます.これらの経路は対角線に関して対称になっ ているので容易に理解できるでしょう(図2-1). つぎに点plの通過方法は,下から上に直進,左から 三三三三三==' 三三=+li='≡ 右に直進,左から上に左折,下から右に右折の4通り があり,仝20通りの経路のうち12通りは,この方法 で4分頬されます. Plを通過しない経路が8通りあり ますが,これらは, 4分頬のどれかに振り分けること ができます(図2-2).ただし,これには証明が必要で V(n+1) - V(n)×2×2-4V(n) となります.図4はV(2)とV(3)の関係を示したも のです. 三三三三三三 宣言≡≡≡ ≡ ≡≡≡≡≡ 軒囲囲宙EE田 す. 図1 4通りの通過方法 法則が成り立ち, 図214 点P3-Pnへの到達経路(2分類) V(n) -2×4×4×・・・×4×2 このようにして,対角線の各点の通過方法は互いに - (2×2)×4×4×・・・×4 独立しているため,積の法則が成り立ち, - 4×4n-1 以上よりV(n)-4nが示される. [コ 私は,この証明に驚くと同時に感動しました.こん なに簡単に証明できるのだろうかと.また積の法則が 成り立つのだろうかとも考えました.この簡潔な証明 は「分かる生徒には分かる」証明でしょうが,普通の 三至言≡.田≡ ≡三三三三三 図2-2 点Plの通過方法(4分類) ならず,その規則も明記しておかねばならないので, 20通りあり 4通りがあり,全20通りの経路は4分類されます(図 通過方法に従って分類すると 2-3). 力タラン数を使った証明は次の通りです. nXnのマス目をxy座標で考え, S(0,0),G(n,n)と する.対角線上にある点Pk(A,k)(0≦k≦n)を通る 最短経路の本数は 左から右に直進,左から上に左折,下から右に右折の 対角線上で出会うのは43-64回ありますが,これを ㊨-2 カタラン数による証明 厳密な証明が必要です,そこで,別の角度から,数学 点P2の通過方法は,点Plと同様に下から上に直進, しておきます. 図4 n-2とn-3の関係 点Sと点Gでの2分頬は明らかですが,それ以外の 4分類は対角線の点を通過しない経路も振り分けねは 的帰納法による証明を試みてみましょう(図3). 高校生にも理解できるように,もうすこし説明を補足 n-3の場合は,最短経路は Ⅴ(3) -2×4×4×2-43-64 となります, V(n, - k!0(2kk)(2'nn_-kk') " であるから, V(n) -4nであることを数学的帰納法で 2×4×4×2 となります.点Poからは左方向と上方向の2通りの 出方があり,全20通りの経路は出方によって2分類 ≡ ≡≡≡三三 ='三三T=≡ EEfj宙#囲囲囲 三三三三三≡ ± ≡≡≡三≡ ±三三≡≡≡ ±三.i=±三≡ ≡≡≡≡≡ 図211点P.から出る経路(2分頬) 102 ‡教学セミナー1 2012ー03 I 示す. n-1のとき, V(1)-4は明らか. 図3 数学的帰納法 (n+1)×(n+1)のマス目において,対角線上の点 をPo,Pl,P2,A.・,Pn,Pn'1とし, PoからPnまでの最短経路 V(n, - 4n - k!0(2kk)(2'nnlkk') (2) が成り立つと仮走する. V(n・1, -薫(2kk)(2'nn.'11二kk')A (3) が対角線に出会う回数をV(n)とします. nxnのマ ス目と(n+1)×(n+1)のマス目の関係に注目します 点Pnからの出方は右方向と上方向の2通りがあるの で経路は2倍となります(図3左).一方, pn.1への経 図2-3 点P2の通過方法(4分頬) ( 2'nn.'ll_-kk ') (2n+2-2k)i (n+1-A)!(n+1-A)! 路はPnを通過しない経路もありますが, Pn.1への入 (2n12k) 最終点P,へは下からと左からの2通りの入り方が り方は下からと左からの2通りがあるので経路は2倍 あります.全20通りの経路は2分類されます(図2- となります(図3右). Pnに関する経路の2倍と, Pn.1 4). に関する経路の2倍はそれぞれ独立しているので積の ! (2n+i-2k)(2n+2-2k) (n-A)!(n-A)! (n+1-A)(n+ilk) - (2'nn_-kk')(2一志)・2 F 2012・03慨学セミナーE 103 k+1 となるから, (3)より a-k V(n+1) Pn - k!.(2kk)(2'nn_-kk'日2-読) ・2 A+ ・(2nn.'12)(Z) Pk -4V(n)+ Pl ( 2nn.'12 ) ー2k!0忘(2'nn_-kk))(2kk)・ (4) (4)において, 2真読苛(2'nn二kk')(2kk) - (2nn.'12) (*) が証明されれば V(n+1) -4V(n) -4n'1 となり題意成立が示される. (*)は次のように変形で きる. h!.2・&(2kk)(2'nnlkk') - (2nn.'12) (**, (**)の右辺はP.からPn.1までの最短経路の総数で ある.左辺は「PlからPkまでほどの対角線上の点も 通らず, Pk十1で初めて対角線上の点に達し,残りPn.1 cn -孟(2nn) は, nxnのマス目において対角線をまたがない最短 経路の総数で,カタラン数として知られている. (n+ 1)×(n+1)のマス目とすれば,対角線上の点を一度も 通らない最短経路の総数となる. □ 参考文献 [1]西山豊, 「赤と黒のゲーム必勝法」, 『理系への数 学』 2010年9月号, Vol.43,No 9, 22-25. までの最短経路の総数」の0≦k ≦nについての総和 である.ここに, 104 1数学セミナーl 2012_03 E [にしやまゆたか/大阪経済大学経営情報学部]