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平成27年度エネルギー需給緩和型 インフラ・システム普及

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平成27年度エネルギー需給緩和型 インフラ・システム普及
平成27年度エネルギー需給緩和型
インフラ・システム普及等促進事業
「イラン・イスラム共和国における発電所設置に係る
事業実施可能性調査」 報告書
平成28年3月
経
委託先:
済
丸
産
紅
業
株
式
省
会
社
イラン・イスラム共和国における発電所設置に係る
事業実施可能性調査
[目
次]
まえがき
I.
概要
II.本文
第1章.調査の目的
第2章.イランにおける電力事情に関わる基礎調査
2.1 電力需給動向
2.2 発送配電設備の状況
2.3 電力料金動向
2.4 電力セクターの政策と計画
2.5 発電プロジェクト実施上の留意点
第3章.プロジェクトサイトの選定
3.1 プロジェクトサイト候補地の選定
3.2 現地調査
3.3 プロジェクトサイトの選定
第4章.プロジェクト計画の具体化
4.1 発電方式の選定
4.2 発電所機器構成および機器仕様
4.3 発電所の性能
4.4 発電電力送り出し設備
4.5 プロジェクト実施スケジュール
4.6 プロジェクトコストの試算
第5章.プロジェクトの収益性
5.1 財務分析手法
5.2 プロジェクトコスト
5.3 運転および保守に関わる費用
5.4 売電収入
5.5 内部収益率(FIRR)および収益・コスト比 (B/C Ratio) の計算
5.6 ファイナンス案の策定
1
第6章.プロジェクト実施に伴う環境面への効果および影響
6.1 既設発電所の環境面での問題点
6.2 環境評価の項目
6.3 環境影響評価
6.4 環境汚染物質排出量の削減
6.5 推奨事項
6.6 JBIC の環境配慮手続き
第7章.プロジェクト実施に伴う経済面への効果および影響
III.結び
2
添付資料: イラン電力セクター(電力事業および電力系統関連)調査
添付図面:

#1-1 PLOT PLAN DRAWING (Tabriz Power Station) [M701F5]

#1-2 TYPICAL PLOT PLAN (Tabriz Power Station) [M701F5 1 on 1 x 4]

#1-3 TYPICAL LAYOUT (1/3)

#1-4 TYPICAL LAYOUT (2/3)

#1-5 TYPICAL LAYOUT (3/3)

#2-1 PLOT PLAN DRAWING (Rey Power Station) [M701F5]

#2-2 TYPICAL PLOT PLAN (Rey Power Station) [M701F5 1 on 1 x 2]

#2-3 TYPICAL LAYOUT (1/3)

#2-4 TYPICAL LAYOUT (2/3)

#2-5 TYPICAL LAYOUT (3/3)

#3-1 PLOT PLAN DRAWING (Rey Power Station) [H-100(110)]

#3-2 TYPICAL PLOT PLAN (Rey Power Station) [H-100(110) 2 on 1 x 4]

#4
SINGLE LINE DIAGRAM (Tabriz Power Station)

#5
SINGLE LINE DIAGRAM (Rey Power Station)

#6
DISTRIBUTED CONTROL SYSTEM CONFIGURATION (Tabriz) [M701F5 1 on 1 x 2]

#7
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FUEL GAS SYSTEM

#8
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FUEL OIL SYSTEM

#9
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM PLANT WATER SYSTEM

#10
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM WASTE WATER TREATMENT SYSTEM

#11
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FIRE FIGHTING SYSTEM

#12-1 HEAT BALANCE DIAGRAM (Tabriz) [M701F5 1 on 1]

#12-2 HEAT BALANCE DIAGRAM (REY) [M701F5 1 on 1]
3
ま え が き
本報告書は経済産業省からの委託により丸紅株式会社が平成 27 年エネルギー需給緩和型インフ
ラ・システム普及等促進事業の一環として実施した「イラン・イスラム共和国における発電所設置
に係る事業実施可能性調査」の成果をまとめた報告書です。
本調査はイラン・イスラム共和国における電力インフラの近代化に寄与すべく、我が国の最先端技
術を活用した高性能大型ガスタービン・コンバインドサイクル発電所 (1000 MW クラス)建設実現を
目的として、それに先立って実施される F/S 調査であり、同国との関係強化およびエネルギーの安
定供給の確保に資することも視野に入れております。
本報告書が上記プロジェクトの実現の一助となり、我が国関係者のご参考になれば幸いです。
平成28年3月
丸紅株式会社
4
I.概
5
要
I.
概要
第1章
調査の目的
イラン・イスラム共和国 (以下「イラン」とする)の電力インフラは、核開発に関わる経済
制裁の影響で新設および近代化が計画通りには進んでおらず、2010 年制定の第 5 次 5 ヶ年
開発計画(以下「5ヶ年計画」とする)も順調に進んでいないのが現状である。2016 年 1 月
の経済制裁の解除に伴い、現在の発電設備容量 75GW を向こう 6~7 年で 120GW にまで増強
する計画を持っており、早急に 45GW 規模の新規電源開発が必要となっている。5 ヶ年計画
では毎年 5GW 程度の新規電源を開発する事になっているが、近年の経済制裁の影響で予定
の 50%も達成できていないのが現状である。
イランでは 30~40 年前のガスタービン開発初期に建設されたガスタービン発電設備が多数
運転されており、熱効率が 20%程度と非常に低い状態で運転されているものが多いのが現
状で、本プロジェクトのような高効率 (60%程度)の発電所の追加により既存の低効率の発
電設備の運転機会を減らすことや重油燃焼火力の運転低減により系統全体の熱効率改善お
よび信頼度の改善に大きく寄与することが期待される。また環境面では硫黄酸化物
(SO x )・窒素酸化物 (NO x ) の排出の大幅削減、二酸化炭素 (CO 2 ) の排出削減にも大きく寄
与することができる。
丸紅株式会社 (以下「丸紅」とする)は、約 40 年前よりレイガスタービン発電所を含むガス
タービン 34 基の納入を始め、タブリーズ火力発電所への 368 MW 蒸気タービン発電設備 2 基
の納入、各種送変電設備の納入、高性能ガスタービン 30 基の納入等、幅広くイラン電力イ
ンフラの拡張に寄与してきており、それら設備の更新等でも積極的に関与すべくイラン政
府機関と様々なルートを通し協議を進めている。その一環として今回の事業可能性調査を
通して最新の国産技術を活用した高効率ガスコンバインドサイクル発電設備を導入しよう
というものである。丸紅が今までに発電設備を納入した既存のタブリーズ発電所・レイ発
電所・シャリアティ発電所・ザヘダン発電所・バンダルアッバス発電所を候補地として最
適なプロジェクトサイトを選定し、選定されたサイトに最新鋭の国産技術を活用した 1,000
MW クラスのガスタービンコンバインドサイクル発電設備を納入・建設するものである。
6
第2章
2.1
イランにおける電力事情に関わる基礎調査
電力需給動向
イランの電力需要は 2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 124TWh から 220TWh へと 76%
増加した。需要は、補助金改革による電力料金の急騰がみられた 2011 年度に一時停滞した
が、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間の年平均伸び率は 5.8%であっ
た。
発電設備定格容量は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 37,300MW から 73,152MW へ
と、年平均 7.0%増加した。電源別に最も伸びが高かったのは再生可能エネルギーで、この
10 年間の年平均増加率 47.2%、続いてガスタービンとコンバインドサイクルが同 10.5%ず
つであった。エネルギー省は、2014 年度の稼働設備容量につき、リザーブマージン(予備
率)26%を基準とすると 4,251MW 不足していたと計算している。
2.2
発送配電設備の状況
2014 年度の発電設備定格容量の電源種別構成は、ガスタービンが最大で 36.1%、続いてコ
ンバインドサイクル 25.3%、スチームタービン 21.6%等となっている。同じくプラントの
所有者別では、エネルギー省が 47.9%、その他が 52.1%という構成である。
送配電線の延長は、この 10 年間に 400kV は年平均 5.4%、230kV は同 2.4%、132kV は同
3.3%、66kV 及び 63kV は同 2.9%伸びた。送電線はすべてイラン送配電公社(以下
「Tavanir」とする)の所有である。
変電所は、400kV 及び 230kV 系統はイラン発電公社(Thermal Power Plant Holding Co.、
以下「TPPH」とする)が、132kV 及び 63kV 系統は地域電力会社と Tavanir がそれぞれ所有し
ていたが、今後、順次、テヘラン地域電力会社が入札を実施する予定である。
2.3
電力料金動向
イランの電力料金は、補助金によって低水準に抑えられていたが、2010 年末に補助金を削
減する政策が導入され、2011 年度に大幅に上昇した。2014 年度の全用途平均電力料金は
2010 年度よりも 26.0%高い 525.60 リアル/kWh となっている。用途別には公共サービス用、
産業用料金が高く、農業用や家庭用の料金が低い。
7
現在の電力料金は電力生産コストより低い水準で、イラン政府はこれを等しくすることを目
標としている。但し、基本的な生活費の上昇につながる料金の値上げは国民の反発を招き易
い問題であり、その実現可能性は定かではない。
2.4
電力セクターの政策と計画
電力政策を含め、イランの経済政策全般は、原則 5 年ごとに定められる 5 ヶ年計画に基づい
て策定されている。2016 年は、新たな第 6 次 5 ヶ年開発計画期間(2016 年 3 月 20 日~2021
年 3 月 19 日)に入る年であり、専門の作業部会から、第 5 次 5 ヶ年開発計画を踏襲し、BOO
等による発電能力の増強、ガスコンバインドサイクル発電への転換等を通じた発電効率の改
善、電力市場の整備、再生可能エネルギー発電の促進等を目指す内容の政策が提案されてい
る。
供給能力の増強に関しては、今後 5 年間、年平均 7~10%伸びるとみられる国内需要を満た
し、かつ近隣諸国への輸出増も目指すため、毎年 5GW、5 年間で計 25GW を増設し、2021 年
度までに設備容量を 100GW まで増強する計画である。このうち、太陽光、風力等の再生可能
エネルギー発電を今後 5 年間で 10GW 導入する予定である一方、天然ガス発電のシェアも維
持する方針である。
2.5
発電プロジェクト実施上の留意点
発電プラントの建設にあたっては、環境行政当局からの認可取得が重要なポイントである。
TPPH によれば、他の手続きをすべてクリアしたにも関わらず、環境関連の認可が取得でき
ずに行き詰ったプロジェクトが過去に何件かあったとされる。大気汚染防止法は、イランの
CO 2 排出の 30%以上を占める発電プラントにとくに関わりの深い法律である。また、発電プ
ロジェクトは環境アセスメントの実施を義務付けられており、社会的・経済的・文化的環境
への影響も含めた広範な項目に関する報告を行わなければならない。イランでは水資源不足
が深刻な問題となっていることから、水利用関連の許認可取得がとくにポイントであるとも
指摘される。
8
第3章
プロジェクトサイトの選定
プロジェクトサイトの選定に際しては過去に丸紅が三菱日立パワーシステムズ株式会社(以
下「MHPS 社」とする)(旧日立製作所)の発電設備を納めた
(i) タブリーズ(Tabriz)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
(ii) レイ(Rey)ガス・軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
(iii) シャリアティ(Shariati)ガス・軽油焚きコンバインドサイクル火力発電所
(iv) ザヘダン(Zahedan)軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
(v) バンダルアッバス(Bandar Abbas)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
の候補地において、必要な条件を満たす最適な候補地を選定する。
プロジェクトサイトの選定基準としては、1,000MW クラスのガスタービンコンバインドサイ
クル発電所の建設を前提に次のように定めた。
① 建設用地が 10 ha 以上確保できること
② ボイラ補給水の取水に問題がないこと
③ 天然ガス供給圧が十分(4.5 MPa 以上)、および日量 150 MMCFD 以上確保できる
こと
④ 230 kV または 400 kV 送電線が繋がっており且つ必要に応じ増設が可能なこと
⑤ 候補地が電力需要地に近いこと
⑥ 候補地が人口密集地から離れていること
⑦ 重量物および大型荷物の輸送に制約が少ないこと
これらの条件を基に比較すると次のようになり、総合評価の結果、第一候補地をタブリー
ズ、第二候補地をレイと特定した。
9
項
目
タブリーズ
レイ
シャリアテ
ザヘダン
ィ
1
建設用地が 10 ha 以上確保
100 ha 以上可
1st Phase
◎
10 ha
バンダルア
ッバス
1 – 1.5 ha
9 ha
4 ha
x
x
x
◎
x
◎
天然ガス供給圧が十分(4.5
Pipeline 増
ガス供給無
MPa 以上)、および日量 150
設が必要
できること
2nd Phase 8 ha
○
2
ボイラ補給水の取水に問題
がないこと
3
4
◎
◎
MMCFD 以上確保できること
◎
◎
◎
x
◎
220 kV または 400 kV 送電
230 kV 7 回線
230 kV
132 kV 回線
66 kV 回線
400 kV
6 回線
のみ
のみ
6 回線
◎
◎
x
x
◎
Tehran &
Tehran
Mashad
線が繋がっており且つ必要
に応じ増設が可能なこと
5
候補地が電力需要地に近い
こと
6
Tabriz
Abbas
◎
◎
◎
x
○
◎
◎
◎
◎
◎
既設発電所
既設発電所
既設発電所
既設発電所
既設発電所
建設の際
建設の際
建設の際
建設の際
建設の際
350 トン程度
280 トン程度
220 トン程度
150 トン程度
300 トン程度
の実績
の実績
の実績
の実績
の実績
◎
◎
x
x
◎
◎
○
x
x
x
候補地が人口密集地から離
れていること
7
Bundara
重量物および大型荷物の輸
送に制約が少ないこと
総合評価
10
第4章
4.1
プロジェクト計画の具体化
発電方式の選定
本プロジェクトに採用可能な発電方式として、①最新型大型ガスタービンによる高効率ガス
タービンコンバインドサイクル発電(Type 1 ; 新設コンバインド)、②超臨界圧コンベン
ショナル型蒸気タービン発電(Type 2 ; 新設コンベンショナル)、③既設ボイラ・蒸気タ
ービン設備を用いたガスタービン排気再燃型ガスコンバインドサイクル発電(Type 3 ; 排気
再燃型)、④既設蒸気タービンを用いた大型ガスタービンおよび排熱回収ボイラによるリパ
ワリング(Type 4 ; リパワリング)、の 4 方式を検討した。
比較は、下記の通り出力・熱効率・建設コスト・年間売上高・年間固定運転補修費・年間変
動運転補修費・年間燃料費等を加味し、ペイバック期間、年間収益、累積発電コスト比較等
を行った(熱効率、出力、ペイバック期間以外はいずれも単位:US$百万)。
熱効率/出力
Type 1
Type 2
新設コンバイン
新設コンベンシ
ド
ョナル
Type 3
排気再燃型
Type 4
リパワリング
60% / 894MW
42% / 950MW
43% / 580MW
54% / 840MW
625
997
550
510
(既存部は 10 年
(既存部は 10 年
後にリノベーシ
後にリノベーシ
ョンが必要)
ョンが必要)
(既設含まず)
建設コスト
年間売上高
187.9
199.7
269.1
176.6
3.2
5.0
2.8
2.6
14.3
10.4
20.5
13.4
年間燃料費
105.2
162.3
213.5
111.6
年間収益
63.5
22.0
32.3
49.0
9.84 年
45.3 年
17.02 年
10.4 年
年間固定運転
補修費
年間変動運転
補修費
ペイバック期間
11
また発電方式別の累積発電コストを以下に示す。下記の計算では 10 年目(80000 時間)に既
設ボイラおよび蒸気タービンの改造費としてそれぞれ Type-3 および Type-4 に USD 180
million および USD 100 million を投入している。運転開始後 20000 時間までは Type-3 の
累積コストが最低となり 20000~40000 時間は Type-4 が最低となる。しかし累積時間 40000
時間以降は Type-1 の累積コストが一番低くなる。よって本プロジェクトでは、Type 1「最
新型大型ガスタービンによる高効率ガスコンバインドサイクル発電」を選定した。
図 4.1
発電種別累積運転コスト
12
4.2
発電所機器構成および機器仕様
本プロジェクトに適応可能なガスタービンコンバインドサイクル発電設備としては最新型
大型ガスタービンを用いた One on One 一軸式、One on One 多軸式、Two on One 多軸式
の 3 方式が可能である。下記の通り機器構成による比較を行った。
パワーブロック機器構成比較
(One on One) x 2
1. 軸構成
一軸式
Two on One
多軸式
多軸式
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
出力 50%
出力 50%
2. バイパススタック無
GTG 単独運転不可、
/ HRSG 一缶故障
出力 50%
3. バイパススタック有
GTG 単独運転可、
/ HRSG 一缶故障
出力約 83%
4. バイパススタック無
GTG 単独運転不可、
/ STG 一機故障
出力 50%
5. バイパススタック有
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
/ STG 一機故障
出力約 83%
◎
出力約 83%
◎
出力約 67%
○
6. 発電機数量
2台
◎
4台
△
3台
○
7. 230kV 引出数量
2 回線
◎
4 回線
△
3 回線
○
8. GTG 一台故障
出力 50%
○
出力 50%
○
出力 50%
○
9. 建設コスト
100%
◎
108%
103%
○
○
○
10. O & M の容易さ
11. 最大発電機の系統
◎
○
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
出力約 83%
出力約 83%
○
◎
◎
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
出力 50%
出力 50%
○
△
◎
約 7%
○
○
○
約 4.5%
◎
◎
約 4.5%
◎
に対する比率 (*)
総合評価
◎
△
○
(*) 現在の系統実可能発電力を 70,000 MW として。
パワーブロックは MHPS の実績のある大型ガスタービン M701F5 ユニットを用いたガスタ
ービンコンバインドサイクルの採用を前提として検討する。
上記の比較の結果を基に、本プロジェクトの主要機器として One on One 一軸式ガスター
ビンコンバインドサイクル発電設備 2 ブロックを採用することとした。
13
4.3
発電所の性能
M701F5 ガスタービンによる One on One 一軸式コンバインドサイクル発電設備の性能は次
のようになる。
ISO
定格
4.4
タブリーズ
定格
レイ
定格
 正味発電端出力 (MW)
525.0
453.5
472.3
 発電端熱効率 (%)
61.0
60.66
60.7
 送電端出力 (MW)
447.0
465.5
 送電端熱効率 (MW)
59.79
59.92
 送電端ヒートレート(kJ/kWh)
6,071
6,018
発電電力送り出し設備
タブリーズ発電所
既設発電所に附帯する 230 kV 変電設備は二重母線 1.5 遮断機構成で、9 ベイが建設済み
で、実際に繋がっているフィーダーは次のようになっており、4 フィーダーの繫ぎ込みが
可能である。
 発電機昇圧変圧器:
2 フィーダー
 起動用変圧器:
2 フィーダー
 送り出し送電線:
7 フィーダー (内 2 フィーダーには昇圧変圧器を
通して 400kV に昇圧、400 kV 開閉設備を経由し
400 kV 送電線で送り出されている)
 降圧変圧器:
2 フィーダー (230 kV  132 kV)
 降圧変圧器:
1 フィーダー (230 kV  66 kV)
230 kV 送り出し送電線引出は、1,000 A を送電線の電流容量とすると、一回線当たりの送
電容量は 400 MVA となる。既設発電所の出力 700 MW と新設発電設備の 880 MW の合計
1,580 MW に対して十分な送電能力を持っており、現状設備で新規追加ガスタービンコン
バインドサイクルプラントの発電電力の送り出しは支障なくできる。依って本プロジェク
トでは、引出送電線の拡張は行なわない。
本プロジェクトで新設される発電機定格は、440 MW (518 MVA @0.85 pf) となるので 230
kV フィーダー電流は 1,300 A となる。しかし既設開閉設備の定格電流が 1,200 A である
14
ことから、新規繫ぎ込み用フィーダーの開閉設備は 1,600 A または 2,000 A 定格のもの
に置き換える必要がある。新たに追加する設備および既設を置き換える設備は以下の通
り。
 230 kV 地中ケーブル連絡送電線: 2 フィーダー
(発電機昇圧変圧器 HV 端子 – 230 kV 開閉所)
亘長:
各 600 m
定格電流:
1,600 A
230 kV ケーブル:
XLPE 絶縁銅導体コルゲートアルミニューム外装
600 sq.mm x 2/Phase
 既設 230 kV 開閉設備への繫ぎ込み (二重母線 1.5 CB 2 フィーダー)
遮断器:定格電流 1,250 A の既設を 2,000 A のものに置き換え
/ 遮断電流 40 kA、4 台
断路器: 定格電流 1,250 A の既設を 2,000 A のものに置き換え 4 台、
その他 2 台追加
電流変成器: 既設 1,250/1 A 4 コア 24 台を 2,000/1A 4 コアに置き換え
電圧変成器 230/√3 kV : 110/√3 V 6 台追加
被雷器 6 台追加
制御および保護装置
 既設 SCS (Substation Control System)装置及び SCADA 装置拡張
レイ発電所
新規発電設備の設置場所には、現在雑木林があり、且つ 230 kV 送電線が走っており、送
電線の移設、仮設の送電線の設置、雑木林の移植、230 kV ガス絶縁開閉設備 (GIS) の新
設等既設設備との調整が必要となる。
現在の 230 kV 開閉設備は送り出しが 6 フィーダー、発電機昇圧用変圧器からの入力が 5
フィーダー以上あるが、大容量のガスタービンコンバインドサイクル発電設備の繫ぎこみ
には様々な制約があり、既設 230 kV 開閉設備は新設の GIS に置き換えるものとする。
15
 新設の GIS は次のような構成とする。
4.5
電圧:
230 kV
母線:
二重母線 3,150A, 40 kA (rms)
構成:
1.5 CB 方式
ベイ数:
8 ベイ
プロジェクト実施スケジュール
プロジェクト実施スケジュールは次のように想定した。
2015
1
2
3
4
5
6
7
8
2016
FS調査
EIA調査および承認プロセス
EPCプロポーサルおよび評価
契約ネゴ
EIAレポート承認
EPC契約調印
No.1 CCGT Block商用運転開始
No.2 CCGT Block商用運転開始
2017
2018
2019
2020
∆
∆
∆
∆
 FS 調査完了:
2016 年 3 月 31 日
 EIA 調査および承認プロセス: 2016 年 6 月― 2017 年 6 月
 EPC プロポーサルおよび評価: 2016 年 9 月― 2017 年 3 月
 契約ネゴ:
2017 年 4 月― 2017 年 6 月
 EIA レポート承認:
2017 年 7 月
 EPC 契約調印:
2017 年 7 月
 No.1 CCGT Block 商用運転開始:2020 年 4 月(調印後 33 ヶ月)
 No.2 CCGT Block 商用運転開始:2020 年 7 月(調印後 36 ヶ月)
16
4.6
プロジェクトコストの試算
プロジェクトコストは (1)発電設備建設費と(2)操業準備費に分けることができる。これら
のプロジェクトコストの試算結果は以下の通り。
項目
タブリーズ
レイ
レイ
(M701F5)
(M701F5)
(H-100 (110) )
(1) 発電設備建設費(EPC コスト)
発電設備および補機費用
47,100 百万円
49,200 百万円
35,400 百万円
運搬・据付および試運転費用
13,500 百万円
13,800 百万円
9,500 百万円
土木・建築費用
15,000 百万円
15,600 百万円
10,500 百万円
合計(1)
75,600 百万円
78,600 百万円
55,400 百万円
1,500 百万円
1,500 百万円
800 百万円
500 百万円
500 百万円
300 百万円
2,000 百万円
2,000 百万円
1,100 百万円
77,600 百万円
80,600 百万円
56,500 百万円
(eq. USD 647Mil)
(eq. USD 672 Mil)
(eq. USD 471 Mil)
(2) 操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費
予備費
合計(2)
総計
17
第5章
5.1
プロジェクトの収益性
財務分析手法
以下に示す条件で、本プロジェクトの経済財務分析を行った。
[経済財務分析の前提条件]
① 発電所の年間運転時間 :
② 発電所運転期間 :
8,000 時間
25 年
③ 発電所の年負荷率 : 85%
④ 固定運転保守費 : 発電所建設費の 0.5%/年
⑤ 変動運転保守費 :
⑥ 燃料費 :
USD 2.00/MWh (日本円換算:240 円/MWh)
ゼロ円(買取側負担)
⑦ 電力売電価格 :
US¢2.50/KWh (日本円換算:3.0 円/KWh)
上記前提条件で、財務的内部収益率 (Financial Internal Rate of Return _ FIRR)を用い
てプロジェクトの収益性の判断基準としたところ、下記の通りいずれのケースも事業の機
会費用である 105 を上回る。よって本プロジェクトは、財務評価指標による妥当性があり、
財務的な投資基準に達している。
タブリーズ
レイ
レイ
(M701F5)
(M701F5)
(H-100 (110))
15.94%
15.91%
14.01%
FIRR
5.6
ファイナンス案の策定
プロジェクト建設費については、建設費総額の 85%については JBIC 等の公的な低金利の
融資により賄うこととし、残り 15%の建設費および建中利子については発電会社の自己
資金で賄うこととする。
借入金の金利と償還期限および返済開始時期を次のように想定する。
 借入金利:
年利 3.12%
 償還期限:
返済開始後 12 年
 返済開始:
営業運転開始年度末を一回目
18
第6章
6.1
プロジェクト実施に伴う環境面への効果および影響
既設発電所の環境面での問題点
既設タブリーズ発電所の運転上の大きな問題は、重油での運転時の排気ガスに含まれる
SOx 排出量と、重油および天然ガス燃料燃焼での NOx のレベルが高いことで、環境規制局
から削減するよう強く求められている。
一方、レイ発電所については現状環境規制をクリアしており、特に問題となる点は見受け
られない。
6.2
環境評価の項目
環境評価を行う項目は世銀 (World Bank)の[Environmental, Health, and Safety General
Guideline]に準拠することとし、プロジェクト実施に先立って環境アセスメント調査を実
施し規制当局よりの認可を受ける必要がある。
6.3
環境影響評価
プロジェクト実施に伴う環境・社会に与える影響の度合いによりカテゴリーA,カテゴリ
ーB,カテゴリーC の3つに分けられる。今回のような大容量火力発電所の開発では通常
カテゴリーA に分類されるが、本プロジェクトは、既存発電所内での機器増設のプロジェ
クトであり、環境・社会に与える影響が非常に限定されることからカテゴリーB に分類可
能なケースに相当すると考えられる。
発電所の建設を早急に進めるためには EIA Study の早期実施および認可の取得が必要であ
ることから先ずカテゴリー分けの確認が必要になる。
19
6.4
環境汚染物質排出量の削減
既設発電所における環境汚染物質の排出量と新規建設の高効率ガスタービンコンバインド
サイクル発電所における排出量を比較すると、プロジェクト実施により、次のように大幅
に削減できることが判る。
(1)タブリーズ発電所
NOx
SOx
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分3.5%)
①既設発電所
通常型火力発電所
1500 ppm(vd)
[約4.3gr/Nm3]
0 ppm (dv)
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
450 ppm (vd)
[約 924
mg/Nm3]
450 ppm (vd)
[約 924
mg/Nm3]
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
25 ppm (vd)
[約 51 mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
②新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
200 ppm(vd)
[約0.57gr/Nm3]
CO₂
0 ppm (dv)
既設に比べ
86.7%減
既設に比べ
46.7%減
既設に比べ
94.4%減
重油燃焼時 天然ガス燃焼時
(熱効率32%)
(熱効率32%)
763 gr/kWh
577 gr/kWh
軽油燃焼時 天然ガス燃焼時
(熱効率60%)
(熱効率60%)
407 gr/kWh
308 gr/kWh
既設に比べ
46.7%減
既設に比べ
46.6%減
(2)レイ発電所
SOx
NOx
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
①既設発電所
通常型火力発電所
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率22%)
天然ガス燃焼時
(熱効率22%)
200 ppm (vd)
[約 411
mg/Nm3]
200 ppm (vd)
[約 411
mg/Nm3]
1,110 gr/kWh
840 gr/kWh
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率60%)
天然ガス燃焼時
(熱効率60%)
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
407 gr/kWh
308 gr/kWh
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
63.3%減
既設に比べ
63.3%減
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率54%)
天然ガス燃焼時
(熱効率54%)
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
452 gr/kWh
342 gr/kWh
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
59.3%減
既設に比べ
59.3%減
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
②新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
(M701F5 )
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
③新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
(H-100(110))
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
CO₂
20
6.5
推奨事項
本プロジェクトの実施に当たっては環境アセスメント関連法令に従い、事前に EIA を実施
する必要がある。具体的にはプラント実施に当たって守るべきイランにおける環境規制値
の確認、該当する基準がない場合には世銀のガイドラインに従うことを明確にし、現状の
環境測定、規制値との比較評価を行い、次に発電設備を増設した場合の環境影響評価を加
味し、規制値を順守できることを確認し予測値を確立、モニタリングを通して検証するこ
とになる。
以上のように、既存発電所における現状把握、および発電所増設後の環境への影響を予測
評価することにより、本プロジェクトが的確に実施され電力不足の解消と環境保全に寄与
できるものと思われる。
6.6
JBIC の環境配慮手続き
本プロジェクトの資金源として国際協力銀行(JBIC)の輸出金融を活用する想定のもと、
JBIC による環境配慮手続きを考察する。
i) スクリーニング(融資検討初期段階)
借入人等が提出するスクリーニングフォームに基づき、JBIC が各プロジェクトを、A,
B, C の 3 カテゴリーに分類する。カテゴリーA, B は環境影響が大きくなり得るプロ
ジェクトという認識である。
カテゴリーA
環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つプロジェク
ト
カテゴリーB
カテゴリーA に比べて環境への望ましくない影響が小さいと思わ
れるプロジェクト
(一般的に影響がサイト自身に限られ、通常の方策で対応可能な
プロジェクト)
カテゴリーC
環境への望ましくない影響が最小限、或いは全くないと考えられ
るプロジェクト
a)JBIC 支援金額が 10 百万 SDR 相当円以下
21
b)通常であれば環境影響が予見されないと考えられるセクタ
ーやプロジェクト(国際収支支援、既存設備メインテナン
ス、追加設備投資を伴わない権益取得等)
c)特定プロジェクトと関連のない機器等の単体輸出入・リー
ス等、プロジェクトに関する借入人や JBIC の関与が小さ
く、環境レビューを行う意義に乏しいと合理的に考えられ
る場合。
カテゴリーF1
JBIC 融資が金融仲介者等に対して行われ、JBIC の融資承諾前に
具体的なサブプロジェクトが特定できない場合。
ii) カテゴリー別環境レビュー(融資決定前)
分類されたカテゴリー毎に、以下の通り必要な環境影響の確認をし、方策を評価す
る。
カテゴリーA
・環境影響を確認し、改善を図るための方策を評価する
・借入人等から環境アセスメント報告書(Environment Impact
Assessment=EIA)及び相手国政府等の環境許認可証明書の提出
・大規模非自発的住民移転が発生するプロジェクトの場合、住民
移転計画の提出
・先住民族移転の為の対策を要するプロジェクトの場合、先住民
族計画の提出
カテゴリーB
・環境影響を確認し、改善を図るための方策
・借入人等から提供される情報に基づきレビュー
・環境アセスメント報告書は必須ではない
カテゴリーC
・スクリーニング以降の環境レビュー省略
カテゴリーF1
・JBIC は金融仲介者等を通じ、環境社会配慮が確保されるよう
確認する
iii) モニタリング(融資契約締結後)
カテゴリーA、B のプロジェクトについては、一定期間、プロジェクト実施主体者によ
るモニタリングの内、重要な環境影響項目につき、借入人を通じ、そのモニタリング
結果の確認を行う。
22
モニタリングフォームに含む項目はプロジェクト毎に定められ、その内容は融資契約
書に記載される。モニタリングフォーム作成の際には、環境チェックリストを参考と
する。モニタリングに必要な情報は、適切な方法により、借入人等により報告される
必要がある。また必要に応じ JBIC が自ら調査を実施することがある。第三者等から、
環境社会配慮が十分でないなどの具体的な指摘があった場合は、JBIC はその指摘を借
入人に伝達するとともに、必要に応じて借入人を通じプロジェクト実施主体者による
適切な対応を促す。
また、JBIC ガイドラインで示されている環境配慮事項チェックリストの分類・項目の
うち、火力発電所の建設である本プロジェクトの特性を踏まえて必要と考えられる分
類・項目に対して、予備的な環境影響予測・評価を行う。JBIC ガイドラインで示され
ている環境配慮事項のチェック項目、およびそれらに対する予備的な環境影響予測・
評価の結果を以下に示す。
23
分類
チェック
項目
大気質
影響予測・評価
な
不
大 小
し
明
●
水質
●
廃棄物
●
土壌汚染
●
騒音・振
動
●
汚染対策
地盤沈下
悪臭
●
底質
●
保護区
●
生態系・
生物相
自然環境
●
●
水象
●
地形・地
質
●
跡地管理
●
予測・評価理由
対策・対処方針
NOx を含む排ガス放出量の
増大による大気質への影響
が見込まれる
継続的な環境モニタリング、
排ガスの排出基準を満たす設
備の導入と適切な維持管理
排水排出量が増えるもの
の、微増で水質への大きな
影響は見込まれない
継続的な環境モニタリグ、排
水基準を満たす設備の導入と
適切な維持管理
建設工事時の廃棄物発生が
見込まれる
土壌汚染の現状、汚染制御
の取り組みの有無等が不明
工事時および発電所の稼働
に伴うサイト内・周辺での
騒音が見込まれる
安定した地盤であり、地盤
沈下は想定できない
発電所の稼働に伴う排ガス
の排出、アンモニアや塩素
の使用による悪臭の発生が
見込まれる
底質に影響を及ぼす行為は
想定されない
保護区はサイト近辺には立
地していない
サイト内・周辺において、
上述の汚染源による生態
系・生物相への影響が見込
まれる
水冷式復水器の採用によ
り、補給水の量がほとんど
ゼロに近い状態になり影響
はほとんどない
現状の地形の変更はなく、
地質条件も既存発電所と同
条件
本プロジェクトにおいて既
存施設の撤去やその跡地管
理は見込まれていない
24
工事時の廃棄物処理の実施
現地調査による現状把握、汚
染物質管理体制の構築
継続的な環境モニタリング、
騒音を低減する設備の導入、
工事時間規制
現地調査による現状把握
継続的な環境モニタリング、
定期的な設備点検による漏洩
の防止
なし
なし
継続的な環境モニタリング、
上述の各種汚染対策の実施
現地調査による現状把握、継
続的な環境モニタリング
現地調査による現状把握
なし
第7章
プロジェクト実施に伴う経済面への効果および影響
現在イランの電力消費量は 2004 年度から 2014 年度の 10 年間で 124TWh から 220TWh へ
と 76%増加した。需要は補助金改革よる電力料金の急騰がみられた 2011 年度に一時停滞
したが、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間での年平均伸び率は
5.8%であった。しかし本年一月の核開発に関わる経済制裁の解除に伴う経済の活性化や
工業生産の急増等に伴う電力需要が急増することが想定されている。
一方、発電設備の定格容量は、2004 年度から 2014 年度の 10 年間で 37,400 MW から
73,152 MW へと年平均で 7.0%増加した。従来はこれら発電設備の殆どがエネルギー省所
有であったが、2013 年以降、エネルギー省以外が所有による発電設備の設備容量が大き
く増加し、2014 年度には過半を占めるに至っている。ただ発電設備の内 30 年以上経年
した老朽設備も多く、それら効率の低い設備の更新または高効率化が喫緊の課題となっ
ている。
現在電力系統の予備率を適正な値に保つためには約 4,200 MW 設備が不足していると計
算されている。これらの不足分を含め安定した電力系統の運営のためには早急な設備増
強が求められている。これら設備増強については政府としても様々な電力セクターに関
わる政策が出されており 2016 年から始まる第 6 次 5 ヵ年計画では次の 3 つの目標が掲
げられている。
 生産性向上を伴う安定的かつ持続的な電力供給
-
発電、送電、配電の効率向上
-
電力産業の経済的改善
 エネルギー消費の効率的な管理
-
エネルギー消費の管理およびガイドラインの改革
-
電力産業における技術水準の向上
 電力部門の持続的かつ均衡的発展
-
エネルギー源および発電技術の多様化
-
再生可能エネルギー発電能力の向上
-
環境汚染物質発生の削減
25
本プロジェクトの実施に伴い、上記目標に寄与するのみならず、系統全体での発電効率
の向上、発電設備信頼度の向上、発電設備稼働率の向上に寄与することが期待される。
またプロジェクトが実施された場合には 36 ヶ月という長期にわたり建設工事が実施さ
れる見通しで、現地での雇用が増加するという副次的効果も期待できる。
本プロジェクトで用いる高効率なガスタービンコンバインドサイクルは老朽化したガス
タービンに較べ燃料消費率が半分以下となりイラン経済および環境に与える効果は非常
に大きいものと考えられる。
26
II.本
27
文
II. 本文
第1章.調査の目的
イランの電力インフラは、核開発に関わる経済制裁の影響で新設および近代化が計画通り
に進んでおらず、2010 年制定の 5 ヶ年計画も順調に進んでいないのが現状である。2016 年
1 月の経済制裁の解除に伴い、現在の発電設備容量 75GW を向こう 6~7 年で 120GW にまで増
強する計画を持っており、早急に 45,000 MW 規模の新規電源開発が必要となっている。5 ヶ
年計画では毎年 5GW 程度の新規電源を開発する事になっているが、近年の経済制裁の影響
で予定の 50%も達成できていないのが現状である。
イランの既存の発電設備は大小入り混じって 78 件あり、うち 30 件が政府資産、残り 48 件
が民間保有分となっている。政府資産分は民間への売却を進め、その資金を活用して新規
設備投資に回す方針を持っているが、供給力で 20%程度は政府保有分として維持する方針
である。イラン政府は、新規電源開発は第一義的には民間資金を活用した BOO (Build Own
Operate)/BOT (Build Operate Transfer)での開発を目指しており、足りない分を開発資金
付 EPC での建設で賄う方針を取っている。新規電源開発 45,000MW は既設シンプルサイクル
ガスタービン発電所のコンバインドサイクル化も含まれているが、中心となるのは最新型
の大型ガスタービンを用いたガスタービンコンバインドサイクル発電所の新設で、効率
60%以上のものを目指している。これらの発電設備の増強には 270 億ドル程度の資金を要
し、関連送配電設備の増強まで考えると 500 億ドル程度の資金投入が必要になる。
経済制裁に伴い、2011/12 会計年度に 1,180 億ドルあった天然ガス及び原油輸出が、
2012/13 会計年度には 630 億ドルとほぼ半減し、2013/14 会計年度には 560 億ドルと更に減
少しており、電力インフラへの投資が滞る現状となっている。イランは原油および天然ガ
スの確定埋蔵量で世界有数の保有国で、原油ではベネズエラ・サウジアラビア・カナダに
続く世界第 4 位、天然ガスでは世界第 1 位となっている。経済制裁解除によりこれら資源
の輸出増加、外国からの投資の増加、高効率発電設備の輸入増加等急速に電力インフラ開
発が進められることが期待されている。
イランでは 30~40 年前のガスタービン開発初期に建設されたガスタービン発電設備が多数
運転されており、熱効率が 20%程度と非常に低い状態で運転されているものが多いのが現
状で、本プロジェクトのような高効率 (60%程度)の発電所の追加により既存の低効率の発
28
電設備の運転機会を減らすことや重油燃焼火力の運転低減により系統全体の熱効率改善お
よび信頼度の改善に大きく寄与することが期待される。また環境面では硫黄酸化物
(SO x )・窒素酸化物 (NO x ) の排出の大幅削減、二酸化炭素 (CO 2 ) の排出削減にも大きく寄
与することができる。
丸紅は、約 40 年前よりレイガスタービン発電所を含むガスタービン 34 基の納入を始め、タ
ブリーズ火力発電所への 368 MW 蒸気タービン発電設備 2 基の納入、各種送変電設備の納入、
高性能ガスタービン 30 基の納入等、幅広くイラン電力インフラの拡張に寄与してきており、
それら設備の更新等でも積極的に関与すべくイラン政府機関と様々なルートを通し協議を
進めている。その一環として今回の事業可能性調査を通して最新の国産技術を活用した高
効率ガスコンバインドサイクル発電設備を導入しようというものである。丸紅が今までに
発電設備を納入した既存のタブリーズ発電所・レイ発電所・シャリアティ発電所・ザヘダ
ン発電所・バンダルアッバス発電所を候補地として最適なプロジェクトサイトを選定し、
選定されたサイトに最新鋭の国産技術を活用した 1,000 MW クラスのガスタービンコンバイ
ンドサイクル発電設備を納入・建設するものである。
そのうちのタブリーズ発電所は、丸紅が主契約者として 1986 年に一号機 (368 MW)、1989 年
に二号機 (368 MW) が運開しているが、老朽化による効率の低下、故障の増加に見舞われて
いる。MOE は改善策としてガスタービンを用いたリパワリングも計画しているが、主機であ
るボイラおよび蒸気タービン設備が寿命末期に近いことから、より信頼度の高い代案とし
てほぼ同出力の 1000 MW クラスのガスコンバインドサイクル発電設備を既存隣接地に建設
することを丸紅として推奨するもので、既存設備も暫くは運転を継続、その後予備機とし
て待機させようとするものである。主機であるガスタービンには MHPS 社の最新型の M701F5
型ガスタービンを採用し One on One 一軸構成のブロックを 2 系列建設する。なお計画に際
しては将来の増設の可能性も加味し配置計画、共用設備の容量等の算定において将来同様
な設備 2 ブロックの建設を考慮するものとする。
29
第2章.イランにおける電力事情に関わる基礎調査
2.1
電力需給動向
イランの電力需要は 2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 124TWh から 220TWh へと 76%
増加した。需要は、補助金改革による電力料金の急騰がみられた 2011 年度に一時停滞し
たが、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間の年平均伸び率は 5.8%であ
った。2014 年度の用途別需要構成は、産業用と家庭用が主でそれぞれ 33.8%と 32.4%を
占める。需要家件数は、2004 年度には約 1,900 万件であったが、2014 年度には 3,100 万
件を超えた。圧倒的多数は家庭用で 2,600 万件弱、業務用が 400 万件弱でそれに続く。イ
ランの電力需要は、夏季にピークを迎える傾向があり、負荷率は概ね 60%台後半で推移し
ている。
図 2.1
用途別の電力需要推移
発電設備定格容量は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 37,300MW から 73,152MW へ
と、年平均 7.0%増加した。従来はエネルギー省所有の発電プラントが殆どであったが、
2013 年度以降、それ以外の所有によるプラント設備容量が大きく増加し、2014 年度には
過半を占めるに至った。電源別に最も伸びが高かったのは再生可能エネルギーで、この 10
年間の年平均増加率 47.2%、続いてガスタービンとコンバインドサイクルが同 10.5%ず
30
つであった。一方、同期間に稼働率は 90.6%から 87.5%へとやや低下した。稼働率が最
も低いのはディーゼル発電プラントで 60%台、ガスタービンやコンバインドサイクルの発
電プラントも 80%台前半の稼働率にとどまっている。エネルギー省は、2014 年度の稼働
設備容量につき、リザーブマージン(予備率)26%を基準とすると 4,251MW 不足していたと
計算している。
図 2.2
発電プラント所有者別の定格設備容量推移
図 2.3
電源別の定格設備容量推移
31
図 2.4
図 2.5
発電プラント稼働率の推移
リザーブマージン 26%に対する稼働設備容量の不足分推移
地域別の需給状況をみると、首都を擁するテヘラン州では消費電力量が発電電力量を大き
く上回っている一方、カスピ海に面したギーラーン州、南部のブシェール州やファールス
州、テヘラン州西隣のガズヴィーン州などでは供給が需要を大きく上回っている。イラン
は近隣諸国との電力輸出入も行っており、最も輸出量が多いのがイラク向け(2014 年度
32
6.1TWh)、次いでトルコ向け(同 2.2TWh)となっている。輸入は、ここ数年、トルクメニ
スタンやアルメニア等から 4TWh 弱を調達している。
図 2.6
図 2.7
州別発電量と売電量(2014 年度)
相手国・地域別電力輸出の推移
33
図 2.8
相手国・地域別電力輸入の推移
34
2.2
発送配電設備の状況
2014 年度の発電設備定格容量の電源種別構成は、ガスタービンが最大で 36.1%、続いて
コンバインドサイクル 25.3%、スチームタービン 21.6%等となっている。同じくプラン
トの所有者別では、エネルギー省が 47.9%、その他が 52.1%という構成である。発電量
ベースでは、コンバインドサイクルの構成比が容量ベースより 10 ポイント高い。コンバ
インドサイクルやガスタービンは民間プラントによる発電が多く、スチームタービンその
他ではエネルギー省所有プラントによる発電が多い。2000 年代にスチームタービンからガ
スタービンへと発電の主流が移り、コンバインドサイクルもその時期に登場した。2014 年
度の火力発電プラント全体の平均発電効率は 36.3%である。
図 2.9
定格設備容量ベースの発電プラント構成(2014 年度)
① 電源別
②
プラント所有者別
送配電線の延長は、この 10 年間に 400kV は年平均 5.4%、230kV は同 2.4%、132kV は同
3.3%、66kV 及び 63kV は同 2.9%伸びた。電線敷設後の稼働年数は、230kV では 11 年以上
を経過したものが多いが、400kV では 6~10 年の比率も比較的高い。送電線はすべて
Tavanir の所有である。
変電所は、400kV 及び 230kV 系統は TPPHC が、132kV 及び 63kV 系統は地域電力会社と
Tavanir がそれぞれ所有していたが、今後、順次、テヘラン地域電力会社が入札を実施す
る予定である。この 10 年間に、400kV、230kV、132kV、66kV 及び 63kV 系統の変圧器の定
格設備容量は、それぞれ年平均 7.8%、4.7%、6.5%、5.5%増加した。
35
図 2.10
図 2.11
電圧別の送配電線延長推移
送電線の年数別構成(2014 年度)
36
2.3
電力料金動向
イランの電力料金は、補助金によって低水準に抑えられていたが、2010 年末に補助金を削
減する政策が導入され、2011 年度に大幅に上昇した。2014 年度の全用途平均電力料金は
2010 年度よりも 26.0%高い 525.60 リアル/kWh となっている。用途別には公共サービス
用、産業用料金が高く、農業用や家庭用の料金が低い。
現在の電力料金は電力生産コストより低い水準で、イラン政府はこれを等しくすることを
目標としている。但し、基本的な生活費の上昇につながる料金の値上げは国民の反発を招
き易い問題であり、その実現可能性は定かではない。
図 2.12
用途別電力料金の推移
37
2.4
電力セクターの政策と計画
電力政策を含め、イランの経済政策全般は、原則 5 年ごとに定められる 5 ヶ年計画に基づ
いて策定されている。2016 年は、新たな第 6 次 5 ヶ年計画期間(2016 年 3 月 20 日~2021
年 3 月 19 日)に入る年であり、専門の作業部会から、第 5 次 5 ヶ年開発計画を踏襲し、
BOO 等による発電能力の増強、ガスコンバインドサイクル発電への転換等を通じた発電効
率の改善、電力市場の整備、再生可能エネルギー発電の促進等を目指す内容の政策が提案
されている。予算審議との関連等から、第 6 次 5 ヶ年計画を今年度中に決定することは難
しい模様であるが、電力政策に関しては現在の提案から大きく外れた内容になることはな
いとみられている。
供給能力の増強に関しては、今後 5 年間、年平均 7~10%伸びるとみられる国内需要を満
たし、かつ近隣諸国への輸出増も目指すため、毎年 5GW、5 年間で計 25GW を増設し、2021
年度までに設備容量を 100GW まで増強する計画である。このうち、太陽光、風力等の再生
可能エネルギー発電を今後 5 年間で 10GW 導入する予定である一方、天然ガス発電のシェ
アも維持する方針である。新規のプラントは、F クラス以上のタービンを利用し、発電効
率 58%以上を達成する高効率のガスコンバインドサイクル発電が条件とされる。既存発電
所の発電効率向上を目指すプロジェクトとしては、ガス発電にスチーム発電を加えるコン
バインドサイクル化や、老朽化発電プラントから古いボイラシステムを取り除き、ガスタ
ービンや熱回収スチーム発電機を設置して出力を増加させるリパワリングが計画されてい
る。
38
2.5
発電プロジェクト実施上の留意点
発電プラントの建設にあたっては、環境行政当局からの認可取得が重要なポイントである。
TPPH によれば、他の手続きをすべてクリアしたにも関わらず、環境関連の認可が取得でき
ずに行き詰ったプロジェクトが過去に何件かあったとされる。大気汚染防止法は、イラン
の CO2 排出の 30%以上を占める発電プラントにとくに関わりの深い法律である。また、発
電プロジェクトは環境アセスメントの実施を義務付けられており、社会的・経済的・文化
的環境への影響も含めた広範な項目に関する報告を行わなければならない。イランでは水
資源不足が深刻な問題となっていることから、水利用関連の許認可取得がとくにポイント
であるとも指摘される。
発電における天然ガス利用を増やすとの政府方針の下、能力増強計画に見合った燃料供給
が確保されるかどうかにも注意が必要である。天然ガスに対する需要は、発電だけでなく
他の消費部門でも大きく伸びる見通しであり、政策的にも伸張が図られている。イランの
天然ガス生産は、制裁解除によって今後の増加が見込まれるものの、開発プロジェクトの
推進には 200 億ドルの外資導入が必要とも言われる。発電向けの供給が十分に確保される
だけの生産増がタイムリーに実現するか、見守る必要がある。
尚、電力事情に関わる基礎調査業務の詳細については、添付「イラン・イスラム共
和国における電力事情に関わる基礎調査報告書」を参照ください。
39
第3章.プロジェクトサイトの選定
3.1
プロジェクトサイト候補地の選定
候補サイトの選定に際しては過去に丸紅が MHPS(旧日立製作所)の発電設備を納めた
(i)
タブリーズ(Tabriz)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
(ii) レイ(Rey)ガス・軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
(iii) シャリアティ(Shariati)ガス・軽油焚きコンバインドサイクル火力発電所
(iv) ザヘダン(Zahedan)軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
(v)
バンダルアッバス(Bandar Abbas)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
の候補地において以下の条件を満たす最適な候補地を選定する。候補地の場所については
添付図面 (Power Station Location Map) に各発電所の位置を示した。
① 現地調査に基づき当該プロジェクトの背景・必要性・ニーズの確認、開発計画にお
ける位置づけおよび優先性の高いことを確認し、500 MW ~1000 MW 程度の高効率ガ
スコンバインドサイクル発電所の建設が可能であること。
② プロジェクトサイトの現状および敷地規模の確認、既存インフラ設備の確認
電力系統設備・引出送電線可能送電容量および回線数・天然ガス受け入れ可能容
量および供給設備・工業用水可能取水量・港からの内陸輸送路・港湾での荷下ろ
し設備容量および埠頭設備等当該発電設備新設に伴う利用に支障がないことの確
認、また必要に応じた追加設備を計画する。
③ 当該プロジェクトサイトでの開発の妥当性の検討
需要地が近いこと、送電線敷設に支障のないこと、環境への負担の少ないこと等
の検討を行う。
40
3.2
現地調査
3.2.1
第一回現地調査
第一回現地調査は平成 27 年 11 月 26 日から平成 27 年 12 月 3 日までの日程により次の調
査員により実施された。
 チームリーダー
土屋 満徳 (電気技師兼務)
 機械技師
伊達
隆
 土建技師
酒井
平
 コーディネーター
坂田 祐介 (丸紅イラン電力工事事務所所長)
 調査サポート
Mr. Jalali (丸紅イラン電力工事事務所員)
 調査サポート
Ms. Yazdi (丸紅イラン電力工事事務所員)
 調査サポート
Mr. Azimipour (丸紅イラン電力工事事務所員)
現地調査にあたり TPPH を訪問、イランにおける電力事業の現状・電力需給状況・発電設
備拡張計画 (短期計画および長期計画)・送変電設備拡張計画 (短期計画および長期計
画)・民営化の現状・現有発電設備の現状および建設中設備の状況等の聞き取り調査を実
施した。引き続きタブリーズ発電所・レイ発電所およびシャリアティ発電所の3発電所に
おいて発電所および周辺での現地調査を行い、バンダルアッバス発電所およびザヘダン発
電所についてはデータ収集およびデータ精査をすることにより現状の調査を行った。調査
結果については次項 3.3 項を参照。
3.2.2
第二回現地調査
第二回現地調査は平成 28 年 2 月 13 日から平成 28 年 2 月 18 日までの日程により次の調査
員により実施された。
 上席主任研究員
寺中 純子(JOI)
 コーディネーター
坂田 祐介 (丸紅イラン電力工事事務所所長)
 調査サポート
Mr. Jalali (丸紅イラン電力工事事務所員)
 調査サポート
Ms. Yazdi (丸紅イラン電力工事事務所員)
41
候補サイト選定および基本計画策定のために、イラン電力に係る現状および長中期計画を
把握する事を目的として以下の基礎調査を行った。現地調査にあたり MOE、TPPH 、
Tavanir、環境庁、石油省(以下「NIOC」とする)、その他関係機関を訪問、イランにおけ
るエネルギー・電力事業の現状・電力需給状況・発電設備拡張計画 (短期計画および長期
計画)・送変電設備拡張計画 (短期計画および長期計画)・民営化の現状・現有発電設備の
現状および建設中設備の状況等の聞き取り調査を実施した。詳細は第2章イラン・イスラ
ム共和国における電力事情に関わる基礎調査および添付資料: イラン・イスラム共和国に
おける電力事情に関わる基礎調査報告書参照。

MOE および Tavanir の基本計画および長期計画等

過去 10 年間の年間発電電力量/年間売電量/年間送配電損失の推移

過去 10 年間の近隣諸国との電力融通の状況、相手国、地域別構成、電力輸出量、電
力輸入量等の推移

過去 10 年間の需要家数 (電圧種別、容量別、種類別、最大供給電力、最大需要、負
荷率、等) の推移

発電設備調査
発電種別(水力・火力・ガスタービン・ガスタービン複合火力・原子力・内燃機
関・風力・太陽光・バイオマス等)の運開年度、年間負荷率、効率 or 熱効率
発電プラント所有者別(Tavanir/IPP/BOO/BOT 等)の発電設備容量の推移、総発電量
の推移、プラント構成、
発電プラントの電源別構成、電源別定格設備容量の推移、電源別総発電量の推移、
設備稼働率

等
送電設備調査
電圧別送電線 400kV・230kV・115kV・66kV、ルート別回線数、送電容量、電線種
別、延べ亘長、架空、地中ケーブル等

変電設備調査
電圧別変圧器容量、台数、 400kV・230kV・115kV・66kV、調相設備容量、母線構
成、引き込み回線数等

過去 10 年間の電気料金の推移および今後の料金改定計画

中長期計画における発電設備新設計画・改修計画・効率改善計画

中長期計画における送電設備新設計画・改修計画

中長期計画における変電所新設計画・改修計画
42

再生可能エネルギー発電の現状および拡張計画

環境に対する配慮 (大気汚染・排水による汚染・騒音等の規制値)

エネルギー政策と火力発電所新設・拡張計画との整合性の調査 (天然ガス・燃料
油・石炭等の供給能力と発電所での使用量等)
3.2.3
第三回現地調査
第三回現地調査は平成 28 年 3 月 3 日から平成 28 年 3 月 10 日までの日程により次の調査
員により実施された。
 チームリーダー
土屋 満徳 (電気技師兼務)
 機械技師
伊達
 コーディネーター
坂田 祐介 (丸紅イラン電力工事事務所所長)
 調査サポート
Mr. Azimipour (丸紅イラン電力工事事務所員)
隆
MOE、TPPH、タブリッツ発電所およびレイ発電所を訪問し、フィージビリティー調査結果
に基づく開発推奨案の説明を行った。合わせて駐イラン日本大使館を表敬訪問し、調査業
務の現状および今後の進め方等につき意見交換を行った。
43
3.3
プロジェクトサイトの選定
3.3.1 タブリーズ(Tabriz)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
タブリーズはイラン北西部に位置する東アゼルバイジャン州の州都で、人口約 150 万人の
イラン第 4 位の都市であり、古より栄えたオアシスの町である。テヘランからは西北西に
約 600 km に位置し標高 1,360 m の高地である。
既設タブリーズ発電所は、重油専焼火力発電所として 1980 年代後半に建設されたコンベ
ンショナル型のボイラ・蒸気タービン式の火力発電所であり、ボイラはフランス国のアル
ストーム社製、蒸気タービンおよび発電機は日立製作所 (現三菱日立パワーシステム社
MHPS) 製で、出力は 368 MW x 2 ユニットで構成されている。運転開始は 1 号機 1986 年、
2 号機は 1989 年に商用運転を開始している。その後 1990 年代にボイラに天然ガス燃焼設
備を追加、重油燃焼および天然ガス燃焼が可能となる。
主要設備は次の通りである。
 ボイラ フランス国 アルストーム社製 亜臨界圧再熱式 2 缶
運転開始 1986/1989 年
 蒸気タービン 日立製作所社製 亜臨界圧再熱再生式 368 MW 2 台
運転開始 1986/1989 年
 発電機 日立製作所社製 水素冷却同期発電機 2 台
運転開始 1986/1989 年
[現在 736 MW の発電が可能]
燃料は主燃料が天然ガス、予備燃料が重油で、重油は冬季のガスが不足するときに主とし
て用いられ、年間を通して約 4 割が重油燃焼、約 6 割がガス燃焼である。現在の天然ガス
供給能力は 200,000N.cu.m (eq. 171 MMCFD)。発電所用水は発電所近くの貯水池より取水
されているが復水器の冷却に湿式冷却塔を用いていることから補給水の量が多く近年は水
不足気味で湿式冷却塔を空冷復水器や間接冷却式閉回路冷却塔への切り替えも検討されて
いる。送り出し送電線の電圧は 400 kV で 2 回線、230 kV で現在 5 回線の送電線が敷設済
みである。一方発電所構内には 230 kV から 132 kV への降圧変電所も併設されており、近
44
隣への送電に利用されている。既存発電所の敷地面積は約 220 ha あり、未利用地 120 ha
の一部を利用し 500 MW ~ 2000 MW クラスのコンバインドサイクル発電所の増設は可能で
ある。
 気温:
最低
 標高:
海抜 1,360 m
 天然ガス供給能力:
200,000N.cu.m/hr (eq. 171 MMCFD・現在の供給契約)、
(-) 10 deg.C、最高 40 deg.C
発電所のすぐ北側を天然ガスパイプラインが走っており、必要な天然ガスを追
加購入することは容易
 天然ガス供給圧力:
6.8 MPa で受け入れ 2.0MPa に減圧して使用
 取水可能量:
50 ton/hr (*1)の新規取水には支障なし
 送電電圧:
230 kV および 400 kV
 引出送電線数:
5 回線 および 2 回線
 送電線可能送電電力: 2,800 MVA
(*1) 新規発電所はエネルギー省の指導で湿式冷却塔の使用は原則禁止されて
いるので空冷式復水器 (Air Cooled Condenser)の使用を想定
既設発電所の運転上の大きな問題は、重油での運転時の排気ガスに含まれる SOx、および
天然ガス、重油いずれの燃料燃焼での NOx のレベル高いことで、環境規制局から削減する
よう強く求められている。現在の排出レベルと規制値は次のとおり。
現在のレベル
規制値
削減ターゲット
SOx(*)
1,500 ppm (vd)
700 ppm (vd)
500 ppm (vd)
NOx
450 ppm (vd)
300 ppm (vd)
300 ppm (vd)
(*) 重油に含まれる硫黄レベルは 3 ~4%程度
水供給設備は近隣の貯水池およびシティーウォーターから供給しており、ボイラ補給水お
よび湿式クーリングタワーへの補給水に充てている。新規ガスタービンコンバインドサイ
クル発電所を建設する際にはシティーウォーターを追加契約することにより水補給は可能
である。既存の湿式クーリングタワーは今後も使用可能であるものの、新規発電所の冷却
45
には MOE の政策で湿式クーリングタワーは使用できず、Air Cooled Condenser の新設、利
用が必要になる。因みにシティーウォーターの母管は発電所の南側約 100 m を走っており
追加供給も特に難しい点はない。現在の発電所での水使用量はボイラ補給水が日量約 400
トン、冷却塔補給水が日量約 25,000 トン、および生活用水が日量約 100 トンである。今
回の新設ガスタービンコンバインドサイクル発電所では、ボイラ補給水が日量約 400 トン、
および生活用水が日量約 50 トンとかなり節水となっている。
既設発電所の建設に際しての重量物等の運搬は、南部の港から道路でのトレーラー輸送と
鉄道での輸送も合わせて行われており、今回の新設に際しても同様の手段で対応可能であ
る。因みに最大重量は発電機固定子の 300 トン程度であるが、ほぼ既設発電所建設時と同
程度の重量レベルであることから輸送上の制限はあまり考えられない。ただし約 30 年前
に較べ道路の混雑がひどいことから輸送期間が延びることは考えておく必要がある。
既存の発電所敷地の約 55%、120ha 以上が遊休地となっており、新規ガスタービンコンバ
インドサイクル発電所の建設には十分であることが確認できた。サイトの標高は約 1,360
m、遊休地に植栽等はほとんどないことから新規発電設備の建設に際しての懸念点は見ら
れない。
電力送電設備は、既存 400 kV 2 回線および 230 kV 5 回線でナショナルグリッドと連携さ
れており、2,400 MW 程度の送電能力を有している。新規ガスタービンコンバインドサイク
ル発電設備 1,000 MW 程度の規模であれば、新規送電線の追加なしで送電が可能であるが、
将来的に第二期工事として同容量のガスタービンコンバインドサイクル発電設備の建設が
なされる際には、400 kV 送電線 2 回線ないし 3 回線の増設が必要になる。いずれにしても
新規発電設備の系統への接続に際しては電力系統の電力潮流解析、静態安定度、過渡安定
度等の検討が必要であり、プロジェクト実施に際しては詳細設計の一環としてこれら解析
業務を実施し安定的に発電電力を送りだれることの確認が必要である。
46
3.3.2 レイ(Rey)ガス・軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
レイ市は紀元前より栄えた町で、イランの首都テヘランから 12 km の郊外に位置し、標高
約 1,020 m の高地である、現在はテヘラン首都圏の一部を構成している。テヘランは人口
820 万人の大都市で政治・経済の中心となっている。
既設レイ発電所はシンプルサイクルガスタービン発電所として 1970 年代後半より商用運
転を開始し、ガスタービンの増設を重ねテヘランへの電力供給の中心をなしてきた重要な
役目を果たしている。当初 44 台のガスタービンが据え付けられていたが内 16 台が他サイ
トへ移設するなどで現存のガスタービンユニットは次のとおりである。
 ベルギー国
ACEC 社製 W251 / 4 台 (32 MW x 4)
運転開始 1977/78
 日立製作所社製 GE F5 / 12 台 (25 MW x 12)
運転開始 1978
 イタリア国
FIAT 社製 T20 (eq. to W251) / 9 台 (32 MW x 9)
運転開始 1978
 三菱重工社製
M701B / 3 台 (80 MW x 3)
運転開始 1978
[現在 28 台が現存し内 24 台が運転可能で 約 680 MW 程度の発電が可能である
がすでに 37 年以上運転しておりガスタービンの平均寿命 30 年を超えており早
急に建て替えまたは大規模なリハビリが必要な状態]
燃料は主燃料が天然ガス、予備燃料が軽油である。現在の天然ガス供給能力は 282 MMCFD、
また発電所用水の取水能力は 162 m3/hr (水道水)、送り出し送電線の電圧は 230 kV で現
在 6 回線の送電線が敷設済みである。既存発電所の敷地面積は約 48 ha あり、未利用地を
利用し 500 MW クラスのコンバインドサイクル発電所の増設は可能であり、スクラップ&
ビルト方式で建設することにより 1,000~1,500 MW までの拡張は可能である。
 気温:
最低
 標高:
海抜 1,020 m
(-) 5 deg.C、最高 40 deg.C
47
 天然ガス供給能力:
330,000 N.cu.m/hr (eq. 282 MMCFD)(現在の供給契約)
 天然ガス供給圧力:
6.5 MPa
 取水可能量:
162 ton/hr
 送電電圧:
230 kV
 引出送電線数:
6 回線
 送電線可能送電電力: 2,800 MVA
 NOx 許容レベル:
350 ppm(dv)
 騒音許容レベル:
発電所境界にて日中 70 dBA、夜間 60 dBA
天然ガス受け入れ設備は、12 インチパイプ 3 系列で現在の受け入れ可能量は 330,000
N.cu.m/hr (eq. 280 MMCFD)であり、高効率 CCGT なら 2,000 MW 以上の設備への供給能力が
ある。ガス圧は設計受入れ圧力が 6.8MPa、最低圧力が 4.1MPa 程度で最新型の大型ガスタ
ービンへのガス供給にも十分である。ガス焚き Hot Bath 式ガスヒーターも設置されてお
りガスは 60℃程度まで加熱され使用されている (最近のガス分析表は表 3-1 参照)。
給水能力は一時間あたり 162 ton 可能で、現在は発電所のサービスウォーターに利用され
ているが絶対使用量は非常に少なく、新規建設の CCGT プラントへの供給には十分な量で
ある。
レイ発電所の近傍に大規模な下水処理設備が計画されており、そこからも工業用水として
処理済み水の利用は可能であるが、発電所での湿式クーリングタワーの設置は今後原則認
めないというのが政府の方針なので、コンデンサー冷却は Air Cooled Condenser 又は乾
式冷却塔を用いた Indirect Cooling を採用する必要がある。
230kV 開閉設備は Air Insulated System で古い設備を更新する工事が継続されており、2
年後にはほぼ最新の設備に置き換わる予定である。Bus Conductor には Twin Conductor が
用いられている。Control & Protection System も最新の Digital 式に置き換えており新
設の発電設備もこの開閉設備につなぎこむことは可能である。現在はテヘランを囲む
400kV 系統の拡張工事が進捗中であるが Rey 発電所までの接続時期は確認できていないの
で新設ガスコンバインドサイクルは 230 kV 系統に接続することで計画する。しかし今後
のスクラップ&ビルト方式で最新式のガスタービンコンバインドサイクル発電所に置き換
えていくためには既設 230 kV 開閉所および 230 kV 送電線が全体計画に際し支障となるこ
48
とから、新規ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の採用に合わせ非常にコンパク
トなガス絶縁開閉設備 (GIS) の採用を考える。
新設ガスコンバインドサイクル発電設備については、現在の発電所の系統変動付加を吸収
する役割を重視する H-100(110)ガスタービンをベースとした案と効率を重視する大型の
M701F5 ガスタービンを用いた 2 案で検討する。ただし、H-100(110)ベースの場合、効率が
ISO 定格で 55.5% 程度であり、MOE の方針ではなるべく効率の高いもの採用し、低くても
56%以上とすることという話もある。
既存発電所のガスタービン等重量物の基礎についてもパイルは用いていない。建設に際し
てはボーリング調査により地質調査が必要であるが、計画段階ではパイル無の基礎とする。
新規ガスコンバインドサイクルプラントの建設を予定しているエリアには松・雑木林など
の植栽があるが発電所の緑化基準により単純に伐採することはできないので発電所建設に
先立ち移植する等の方策が必要である。
49
3.3.3
シャリアティ(Shariati)ガス焚きコンバインドサイクル火力発電所
シャリアティ市はイラン第2の都市マシャハド市の東南東 25km に位置し、標高約 950 m
の高地であり、現在はマシャハド都市圏の一部を構成している。マシャハドはラザビー・
ホラーサーン州の州都で人口 280 万人の大都市であり、聖廟都市の一つでシーア派イスラ
ム教の重要な都市となっている。
既設シャリアティ発電所は、マシャハド市の東南東約 13km に位置し、日立製作所(現 MHPS
社)の F5 ガスタービン 6 台を用いたシンプルサイクルガスタービン発電所として 1980 年
代中頃より商用運転を開始し、1994 年に大型ガスタービン(GE F9E2 台)の増設を行いマシ
ャハド市への電力供給に重要な役目を果たしている。大型ガスタービンは 2003 年にコン
バインドサイクルへの転換が行われた。現存の発電ユニットは次のとおりである。
 日立製作所社製 GE F5 / 6 台
(25 MW x 6)
運転開始 1984/86 年
 英国ジョンブラウン・エンジニアリング社製ガスタービン GE F9E / 2 台
(123 MW x 2)
運転開始 1994 年
 ドイツ国シーメンス社製 蒸気タービンおよび同期発電機 (108 MW x 1)
運転開始 2003 年
[現在 9 台 約 400 MW の発電が可能である]
燃料は主燃料が天然ガス、予備燃料が軽油である。現在の天然ガス供給能力は
100,000N.cu.m/hr (eq. 85MMCFD)、また発電所用水は都市水道より取水し発電所の補給水
に用いているが冷却水には使用していない。送り出し送電線の電圧は 132 kV で現在 14 回
線の送電線が敷設済みである。既存発電所の敷地面積は約 49 ha あり、未利用地を利用し
500 MW クラスのコンバインドサイクル発電所の増設は可能かと思われる。冷却水の補給水
供給が難しいことから冷却には補給水の不要な間接冷却式の Hellar Dry Cooling Tower が
用いられている (MAPNA 社製)。
 気温:
最低
 標高:
海抜 954 m
(-) 28 deg.C、最高 43.8 deg.C
50
 天然ガス供給能力:
100,000 N.cu.m/hr (eq. 85 MMCFD)
 天然ガス供給圧力:
6.8MPa
 取水可能量:
現在の取水量 10 ton/hr 低度
(500MW クラスの CCGT
の HRSG 補給水であれば問題なく取水可能)
 送電電圧:
132 kV
 引出送電線数:
14 回線
 送電線可能送電電力: 2,800 MVA
 NOx 許容レベル:
350 ppm(dv)
 騒音許容レベル:
発電所境界にて日中 70 dBA、夜間 60 dBA
シャリアティ発電所は、日立製作所製の F5 ガスタービン 1 号機が 1984 年に運開、6 号機
は 1986 年に運開 30 年近く運転を継続しているが、運転保守状態も比較的よく、現在は夕
方のピーク時に運転している。
1994 年の John Brown Engineering 社製の GE 9E ガスタービン 2 台を追加設置、2003 年に
Siemens 社製の蒸気タービン設備を追加設置しコンバインドサイクルへの転換を行ってい
る (HP 蒸気コンディションは 84.5 bars、510 deg.C)。しかし蒸気タービンの容量が不足
しており、コンバインドサイクルの熱効率は 48%程度に留まっている。合計出力は ISO ベ
ースで 500MW である。既存のガスタービン F5 の 6 台については、撤去跡地に 150 MW 程度
のガスコンバインドサイクルを計画している。
既設コンバインドサイクルは冷却水の補給が難しいことから補給水の不要な乾式冷却塔
(Hellar Type)による間接冷却方式を採用している。冷却塔は自然通気式であるが夏季
ピーク時には冷却不足が起きることから非常用強制通気のピーク用通風機を設けており、
この通風設備により冬季寒冷時に冷却塔内の暖かい空気を熱交換器に吹き付け凍結防止が
できるような構造になっている。冷却塔は MAPNA 製でアルミ製熱交換パイプからの漏水が
たびたび問題になっている。冷却水に添加している酸素による腐食も考えられる。冷却塔
の高さは 112m、下部直径は 98m と巨大な設備であり、イランで最も背の高いものである。
コンバインドサイクル発電所(出力の新設 500MW~1000MW)の新設については、Mashad 地
区の電力需給はバランスが取れているため、今のところ大型のガスコンバインドサイクル
の新設は不要と考えていることが確認できた。一方で、150MW クラスの高効率のコンバイ
ンドサイクルを日立製 F5 ガスタービン跡地に作りたいとの計画は持っている。跡地の広
51
さは 0.6ha で隣接の空き地を含め 1.5 ha 程度のサイトは確保できる。この発電所は現在
遊休地がほとんどなく隣接地への拡張も難しいとのこと、今回計画の大型ガスコンバイン
ドサイクルの建設は困難であるが、元冷却水池の跡地を利用すれば約 4 ha 程度の土地が
可能であり MHPS 製 H-100(110)ガスタービン 2-2-1 x 2 ブロックで 500 MW 程度の増設は可
能である。
ガス供給設備は現在の設備に見合った 100,000 N.cu.m の受け入れ設備が設けられている
が、新規ガスタービン CCGT を設置する際には発電所近傍に埋設されたガスパイプライン
から簡単に分岐・引き込むことは可能でガス供給の心配はない。ガスパイプラインの設計
圧力は 1000psig (約 68 bars) である。現在は 350psig (約 24 bars)で受け入れガスター
ビンに供給されている(最近のガス分析表は表 3-2 参照)。ガス設備に加え軽油燃焼設備
も採用されているので 15,000 kl x 2 基の貯油槽が設置されている。
水供給設備はシティーウォーターから供給しておりボイラ補給水には十分な量の供給は可
能であるが、湿式クーリングタワーへの補給水に充てているほどの供給はできないため乾
式冷却も併用している。新規ガスタービン CCGT を建設する際には追加契約することによ
りボイラ水補給は可能である。
既設発電所の建設に際しての重量物等の運搬は、南部の港からの道路でのトレーラー輸送
で行われており、今回の新設に際してもほぼ同様に対応可能である。因みに最大重量は発
電機固定子の 300 トン程度であるが、既設発電所建設時と同重量レベルであることから輸
送上の制限は考えられない。
電力送電設備は既存 132 kV で送り出し 14 回線、66 kV で送り出し 8 回線があり 1,000 MW
程度の送電能力を有しているが、新規ガスタービン CCGT が 1,000 MW 規模であれば、より
電圧の高い 230 kV や 400 kV 送電線の導入も必要になる。
ガスタービンの制御装置は F5 が SPEEDTRONIC Mark II、F9 が SPEEDTRONIC Mark IV が用い
られている。
52
3.3.4 ザヘダン(Zahedan)軽油焚きシンプルサイクルガスタービン火力発電所
ザヘダンは、アフガニスタン・パキスタン国境に位置する都市でシスターン・バルチスタ
ン州の州都である。パキスタンのクエッタ市と結ぶ要衝で、標高約 1350 m の高地にある
人口 60 万人の中都市でイラン南東部の重要な都市である。
既設ザヘダン発電所はシンプルサイクルガスタービン発電所として 1986 年より商用運転
を開始し、現存のガスタービン発電ユニットは次のとおりである。
 日立製作所社製 GE F5 / 3 台
(25 MW x 3) 運転開始 1986/86
 スイス国 ABB 社製 GT-9 / 1 台 (30 MW x 1) 運転開始 1995
 ドイツ国 AEG 社製
GE F5 / 5 台 (25MW x 5) 運転開始 1997/2007
[現在 9 台で 170 MW が発電可能]
イラン南東部は天然ガスの供給が無く、燃料が軽油である。また発電所用水の取水能力は、
現在は生活用水の取水のみで、大量の取水は難しい、送り出し送電線の電圧は 66 kV で現
在 4 回線の送電線が敷設済みである。既存発電所の敷地面積は約 120 ha 以上あり、未利
用地を利用し 500 MW クラスのコンバインドサイクル発電所の増設は可能である。
 気温:
最低
 標高:
海抜 1435 m
 天然ガス供給能力:
無 (Gas Pipeline が敷設されていない)
 天然ガス供給圧力:
N/A
 取水可能量:
(不明、大量な取水は難しい)
 送電電圧:
66 kV
 引出送電線数:
4 回線
(-) 22 deg.C、最高 42 deg.C
 送電線可能送電電力: 400 MVA
 NOx 許容レベル:
350 ppm(dv)
 騒音許容レベル:
発電所境界にて日中 70 dBA、夜間 60 dBA
天然ガスの供給が無いこと、および取水に不安があることから新規大型ガスコンバインド
サイクル発電所の建設は不可能である。
53
3.3.5 バンダルアッバス(Bandar Abbas)重油・ガス焚きコンベンショナル火力発電所
バンダルアッバスは、イラン南部のホルムズ海峡に面する都市で、ホルモズガーン州の州
都である。ホルムズ海峡に面する要衝で、人口 36 万人の中都市でイラン南部国際港とし
て重要な都市である。
既設バンダルアッバス発電所は、重油焚きコンベンショナル発電所として 1980 年より商
用運転を開始し 1985 年までに 320 MW ユニット 4 基を設置している、1990 年代中頃に天然
ガス燃焼設備の追加が行われた。バンダルアッバス地区を含むイラン南部での電力供給に
重要な役目を果たしている。2002 年に日立製作所により 25 MW ガスタービン 2 基の増設が
行われている。
 ボイラー イタリア国 フランコトシ・シュタイン社製 亜臨界圧再熱式
4缶
運転開始 1980/1985
 蒸気タービン イタリア国
4台
フランコトシ社製 亜臨界圧再熱再生式 320 MW
運転開始 1980/1985
 発電機 イタリア国 マレリー社製
水素冷却同期発電機
4 台 運転開始 1980/1985
 ガスタービンユニット 日立製作所製 GE F5
2台
(25 MW x 2) 運転開始 2002
[現在 1330 MW の発電が可能である]
燃料は主燃料が重油、予備燃料が天然ガスである。現在の天然ガス供給能力は 170 MMCFD。
発電所用水の取水は、ボイラ補給水および冷却海水であり、共に取水制限等は起きていな
い。復水器の冷却には海水による直接冷却方式を用いている。送り出し送電線の電圧は
400 kV で現在 4 回線の送電線が敷設済みである。既存発電所の敷地面積は約 18.5 ha あ
り、未利用地は 4 ha 程度しか無く 1000 MW クラスのコンバインドサイクル発電所の増設
は不可能である。
 気温:
最低
 標高:
海抜 10 m
 天然ガス供給能力:
200,000 N.cu.m/hr (eq. 170 MMCFD)
(-) 2 deg.C、最高 46 deg.C
54
 天然ガス供給圧力:
6.8 MPa
 送電電圧:
400 kV
 引出送電線数:
4 回線
 送電線可能送電電力: 2,400 MVA
 NOx 許容レベル:
350 ppm(dv)
 騒音許容レベル:
発電所境界にて日中 70 dBA、夜間 60 dBA
55
3.3.6 候補地の比較およびプロジェクトサイトの選定
プロジェクトサイトの選定基準としては 1000 MW クラスのガスタービンコンバインドサ
イクル発電所の建設を前提に次のように定めた。
① 建設用地が 10 ha 以上確保できること
② ボイラ補給水の取水に問題がないこと
③ 天然ガス供給圧が十分(4.5 MPa 以上)、および日量 150 MMCFD 以上確保できる
こと
④ 230 kV または 400 kV 送電線が繋がっており且つ必要に応じ増設が可能なこと
⑤ 候補地が電力需要地に近いこと
⑥ 候補地が人口密集地から離れていること
⑦ 重量物および大型荷物の輸送に制約が少ないこと
これらの条件を基に比較すると次のようになる。
項
目
タブリーズ
レイ
シャリアテ
ザヘダン
ィ
1
建設用地が 10 ha 以上確保
1st Phase
100 ha 以上可
バンダルア
ッバス
1 – 1.5 ha
9 ha
4 ha
x
x
x
◎
x
◎
天然ガス供給圧が十分(4.5
Pipeline
ガス供給無
MPa 以上)、および日量 150
増設が必要
できること
10 ha
◎
2nd Phase 8 ha
○
2
ボイラ補給水の取水に問題
がないこと
3
4
◎
◎
MMCFD 以上確保できること
◎
◎
◎
x
◎
220 kV または 400 kV 送電
400 kV 2 回線
230 kV
132 kV 回線
66 kV 回線
400 kV
線が繋がっており且つ必要
230 kV 5 回線
6 回線
のみ
のみ
6 回線
◎
◎
x
x
◎
Tehran &
Tehran
Mashad
に応じ増設が可能なこと
5
候補地が電力需要地に近い
こと
Bundara
Tabriz
Abbas
◎
◎
56
◎
x
○
6
候補地が人口密集地から離
れていること
7
重量物および大型荷物の輸
送に制約が少ないこと
総合評価
◎
◎
◎
◎
◎
既設発電所
既設発電所
既設発電所
既設発電所
既設発電所
建設の際
建設の際
建設の際
建設の際
建設の際
350 トン程度
280 トン程度
220 トン程度
150 トン程度
300 トン程度
の実績
の実績
の実績
の実績
の実績
◎
◎
x
x
◎
◎
○
x
x
x
総合評価の結果、第一候補地をタブリーズ、第二候補地をレイと特定した。
図 3-1 にタブリーズ発電所の敷地概要図を、図 3-2 にレイ発電所の敷地概要図を示す。
57
表 3.1
天然ガス成分分析表 (レイ発電所、2015 年 9 月 30 日サンプリング分)
1. サンプリング日:
30th Sept., 2015
2. 受け入れガス圧力:
1,000 psig (6.89 MPa)
3. 受け入れガス温度:
33 deg.C
4. ガス成分分析
成分
Mole %
C1
87.5360
C2
5.0124
C3
1.2968
i-C4
0.1956
n-C4
0.2985
i-C5
0.0926
n-C5
0.0720
C6
0.0618
C7
0.0206
CO2
1.0498
N2
4.3639
合計
100.00
5. 正味発熱量 (LHV )
34.89 MJ/SCM
6. 総発熱量 (HHV)
38.63 MJ/SCM
7. ガス密度
0.7756 kg/SCM
8. ガス比重
0.6315
9. コンプレッスビリティー (Z)
0.9971
10. モレキュラーウェイト
18.29 gr/Mol
11. Wob Index
48.56 MJ/SCM
58
表 3.2
天然ガス成分分析表 (シャリアティ発電所、2015 年 9 月 30 日サンプリング分)
1. サンプリング日:
30th Sept., 2015
2. 受け入れガス圧力:
825 psig (5.69 MPa)
3. 受け入れガス温度:
40 deg.C
4. ガス成分分析
成分
Mole %
C1
98.303
C2
0.568
C3
0.060
i-C4
0.019
n-C4
0.017
i-C5
0.018
n-C5
0.016
C6 +
0.066
CO2
0.450
N2
0.483
合計
100.00
H2S
2.00 ppm
5. 正味発熱量 (LHV )
33.90 MJ/SCM
6. 総発熱量 (HHV)
37.64 MJ/SCM
7. ガス密度
0.7756 kg/SCM
8. ガス比重
0.56656
9. モレキュラーウェイト
16.4038 gr/Mol
59
60
マイル
km
2
4
61
フィート
km
4000
1
62
第 4 章.プロジェクト計画の具体化
4.1
発電方式の選定
イランの諸政策は、2005 年に制定された国家の 20 年ビジョンを基に、5 年ごとに策定さ
れる 5 ヵ年開発計画によって基本的な路線や目標が定められている。現在は 2010 年から
2014 年を対象年度とする第 5 次 5 ヵ年開発計画が実施され、2016 年より第 6 次 5 ヵ年開
発計画が始まるが、経済制裁の影響もあり計画通りの進展は見られていない。第 5 次 5 ヵ
年開発計画では電力産業に関し電源の多様化、発電効率の向上、エネルギー・ロスの削減
等を目標に掲げ、Tavanir やその他のエネルギー省傘下の企業が期間中に次の目標に取り
組むことが求められてきた。
 発電所やその他の資産売却で得られた資金を原資とし、小口発電業者による発電
電力や自家発電力に補助金を付けて購入する。
 12,000 MW のガスタービンシンプルサイクル発電所をコンバインドサイクル発電所
に転換する。
 民間部門およびコーポラテブ部門の小規模発電所の発展を支援する。
 エネルギー省は公的部門、コーポラテブ及び民間部門の投資や参加企業の内部資
金を用い、または BOT や BOO 方式により、設備容量を 25,000 MW 増強する。
 上記 25,000 MW の内、民間部門およびコーポラテブ部門のシェアを少なくとも
1,000 MW とする。
イランの発電設備は、30 年以上運転期間がたっている古いものが数多く運転されてお
り、平均熱効率もかなり低いレベルにある。発電設備の運開後の年数で見てみると以下の
ようになっており、特に約 30%の 20 年以上の古い設備については早急な設備更新または
大規模なリハビリによる効率改善が求められる状況にある。
63
 30 年以上
14,000 MW
 20 – 30 年
9,000 MW
 10 – 20 年
22,000 MW
 10 年未満
25,000 MW
現在イランでは、電力供給設備の老朽化および経済制裁に伴う近代化の遅れで昨今電力不
足の到来が危惧されている。また今後は、経済制裁解除に伴う経済の活性化や諸工業の急
発展が予想され、電力に関わる管轄官庁である MOE、また MOE 傘下の TPPH、Tavanir で
は、急速な電力需要の増加に対応するための電力設備の拡充、発電設備の新設および既存
のガスタービン発電設備・火力発電設備の高効率化が喫緊の課題となっている。
その一環として、ガス焚き火力発電所の建設、大型高効率なガスコンバインドサイクル発
電所の新規建設、並びに既存のガス焚き火力発電所へのガスタービンを用いたリパワリン
グ、既存ガスタービン発電所のコンバインドサイクルへの転換による大幅な効率改善等が
計画されている。
本プロジェクトに採用可能な新設発電プラントの方式としては:
① 最新型大型ガスタービンによる高効率ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の
新設(Type 1 ; 新設コンバインド)(図 4.1a 参照)
64
② 超臨界圧コンベンショナル型蒸気タービン発電設備の新設(Type 2 ; 新設コンべンシ
ョナル) (図 4.1b 参照)
③ 既設ボイラ・蒸気タービン設備を用いたガスタービン排気再燃型ガスコンバインドサ
イクル発電設備への転換 (Type 3 ; 排気再燃型)(図 4.1c 参照)
65
④ 既設蒸気タービンを用いた大型ガスタービンおよび排熱回収ボイラによるリパワリン
グ設備 (Type 4 ; リパワリング)(図 4.1d 参照)
の 4 方式が採用可能である。尚、MOE の基本方針として 2014 年までに新設火力発電所の
熱効率を 38%以上とし、毎年 1%ずつ目標値を上げることになっている。またガスタービ
ンコンバインドサイクルの新規建設では熱効率 60%を目標としており、これは一部大型
の最新型ガスタービンを用いた場合にのみ達成可能なものとなっている。本プロジェクト
では MHPS 社の中型機 H-100(110)ガスタービン(ISO 定格 112 MW)または大型機 M701F5
ガスタービン(ISO 定格 359 MW)を候補機種と検討していたが、中型機ではコンバインドサ
イクルでの熱効率は 55%程度と 60%の目標は達成できず、大型機を採用することを主案と
する。
(1) 熱効率および出力
熱効率、出力を上記 4 方式の発電形態で比較すると MHPS の大型ガスタービン M701F5 を用
いた場合、次のようになる(効率、出力はいずれもサイト定格)。
66
① Type-1 新設コンバインド (M701F5 One on One 構成 x 2 ブロック)
: 正味熱効率: 60%*
正味出力: 894 MW、既存発電所出力 700MW、 合計 1,594 MW
(*) New & Clean Condition.
② Type-2 新設コンベンショナル
500 MW x 2
: 正味熱効率 42%
正味出力: 950 MW、既存発電所出力 700MW 合計 1,650 MW
③ Type-3 排気再燃型(既存ボイラ 1 缶に対し M701F5 ガスタービン 1 台の排気を導入)
: 正味熱効率 43%*
正味出力: ガスタービン 580 MW、既存発電所出力 700MW、合計 1,280MW
(*)排気ガス全量を飲み込めず 40%程度バイパスすることにより効率は下がる。
④ Type-4 リパワリング (M701F5 ガスタービン+ HRSG 2 系列で発生した蒸気を既存蒸
気タービン 1 台に導入)
: 正味熱効率 54%
正味出力: 840 MW (GT 290MW x 2 + ST 260MW)、既設 360MW、合計 1,190 MW
(2) 建設コスト
現在のマーケットプライスで建設費を算出すると次のようになる。
① Type-1 新設コンバインド
: USD 625 million (EPC Cost 寿命 25 年を想定)
② Type-2 新設コンベンショナル
: USD 997 million (寿命 30 年を想定)
67
③ Type-3 排気再燃型
:
USD 550 million
(大規模な既存ボイラの改修が必要かつ長いガスタービン排気ダクトが必要、ガスター
ビン寿命は 30 年とするが、既存ボイラ・蒸気タービン部は 10 年後に大規模なリノベ
ーションが必要で費用は USD150 million 程度)
④ Type-4 リパワリング
: USD 510 million
(既存ボイラ 2 缶は撤去、蒸気タービンは 1 台のみ使用する、蒸気タービンは 10 年後
に大規模なリノベーションが必要、費用は USD 70 million 程度)
(3) 年間売上高
年間負荷率 80%、現在の推定売電単価 USC 3.0/kWh で年間売上を計算すると次のように
なる。
① Type-1 新設コンバインド
: 年間売上収入 USD 187.9 million (894 MW ベース)
② Type-2 新設コンベンショナル
: 年間売上収入 USD 199.7
million (950 MW ベース)
③ Type-3 排気再燃型
: 年間売上収入 USD 269.1 million (1,280 MW ベース)
④ Type-4 リパワリング
: 年間売上収入 USD 176.6 million (840 MW ベース)
(4) 年間固定運転補修費
年間固定運転補修費を建設費の 0.5%とすると各方式での年間固定運転補修費は次のよう
になる。
68
① Type-1 新設コンバインド
: 年間固定運転補修費 USD 3.2 million
② Type-2 新設コンベンショナル
: 年間固定運転補修費 USD 5.0
million
③ Type-3 排気再燃型
: 年間固定運転補修費 USD 2.8 million
④ Type-4 リパワリング
: 年間固定運転補修費 USD 2.6 million
(5) 年間変動運転補修費
年間変動運転補修費を Type-1、Type-3 および Type-4 では USD 2.0/MWh、Type-2 では USD
1.3/MWh として年間変動運転補修費は次のようになる。
① Type-1 新設コンバインド
: 年間変動運転補修費 USD 14.3 million
② Type-2 新設コンベンショナル
: 年間変動運転補修費 USD 10.4 million
③ Type-3 排気再燃型
: 年間変動運転補修費 USD 20.5 million
④ Type-4 リパワリング
: 年間変動運転補修費 USD 13.4 million
69
(6) 年間燃料費
年間燃料費を控えめに USD 3.0/MMBtu で計算すると各タイプでの年間燃料費は次のように
なる。
① Type-1 新設コンバインド
: 年間燃料費 USD 105.2 million
② Type-2 新設コンベンショナル
: 年間燃料費 USD 162.3 million
③ Type-3 排気再燃型
: 年間燃料費 USD 213.5 million
④ Type-4 リパワリング
: 年間燃料費 USD 111.6 million
(7) 年間収益
上記 (3)~(6)結果を踏まえ売電単価 USC 3.0/kWh および 燃料単価 USD 3.00/MMBtu の場
合の収益を計算すると次のようになる。
① Type-1 新設コンバインド
: 年間収益 USD 63.5 million
② Type-2 新設コンベンショナル
: 年間収益 USD 22.0 million
③ Type-3 排気再燃型
: 年間収益 USD 32.3 million
70
④ Type-4 リパワリング
: 年間収益 USD 49.0 million
(8) ペイバック期間
上記 (7) の結果を踏まえ(3)の建設費を回収するためのペイバック期間を計算すると次の
ようになる。
① Type-1 新設コンバインド
: ペイバック期間
9.84 年
② Type-2 新設コンベンショナル
: ペイバック期間
45.3 年
③ Type-3 排気再燃型
: ペイバック期間
17.02 年
④ Type-4 リパワリング
: ペイバック期間
10.4 年
上記結果では Type-1 最新型大型ガスタービンによる高効率ガスコンバインドサイクル発
電のケースが最短の 9.84 年となり、続いて Type-4、Type-3、Type-2 の順となる。Type-3
& Type-4 のケースでは運開後 40 年に達する 10 年後に既存ボイラおよび蒸気タービンの大
規模なリノベーションワークが必要になりかなりの額の追加投資が必要になる。このリノ
ベーションワークを考慮すると新たに大型ガスタービンコンバインドサイクル発電設備を
建設する Type-1 のケースが経済的および技術的にも最適なものと思われる。
71
(9) ペイバック期間の感度分析
上記 (8) では売電単価 USC 3.0/kWh および燃料ガス単価 USD 3.00/MMBtu でのペイバック
期間を示したが、売電単価が USC 3.0/kWh、USC 4.0/kWh、USC 5.0/kWh、燃料ガス単価 USD
2.50/MMBtu、USD 3.00/MMBtu、USD 3.50/MMBtu の組み合わせで試算してみたペイバック期
間(年)の結果は次の表 4.1 ようになった。
表 4.1 ペイバック期間
売電単価
3.0
4.0
5.0
(USC/kWh)
燃料ガス単価
2.5
3.0
3.5
2.5
3.0
3.5
2.5
3.0
3.5
Type-1
8.8
11.8
17.8
4.7
5.4
6.4
3.2
3.6
3.9
Type-2
24.2
70.3
77.6
9.2
12.3
18.6
5.7
6.8
8.3
Type-3
10.5
30.2
31.7
3.8
5.1
7.6
2.4
2.8
3.4
Type-4
8.8
13.0
24.6
4.4
5.2
6.4
2.9
3.2
3.7
(USD/MMBtu)
いずれの組み合わせでも既存のボイラ・蒸気タービン設備を使用した方が経済性は高い結
果が出ているが運開後 40 年に達する 10 年後の既存のボイラ・蒸気タービンの大規模リノ
ベーションによる追加コスト、運転信頼度、年間運転可能時間、新設と既設との合計出力
等を総合的に判断すると、Type-1 の既存発電設備とは独立に新たにガスタービンコンバイ
ンドサイクル発電設備を新設する方法が最適な案と判断する。
(10)累積発電コスト比較
発電種別毎の累積発電コストを表 4.2 および図 4.1 に示す。運転開始後 20000 時間まで
は Type-3 の既設ボイラおよび蒸気タービンを用いたガスタービン排気再燃方式の累積コ
ストが最低となり、20000~40000 時間は Type-4 の既設タービンのみを用いたガスタービ
ンコンバインドサイクルが最低となる。しかし累積時間 40000 時間以降は Type-1 の新規
建設のガスタービンコンバインドサイクルの累積コストが一番低くなる。下記の計算では
10 年目(80000 時間)に既設ボイラおよび蒸気タービンの改造費としてそれぞれ Type-3 お
よび Type-4 に USD 180 million および USD 100 million を投入している。
72
発電種別累積運転コスト
表 4.2表4.2
発電種別累積運転コスト
Initial Cost Efficiency Heat Rate
(USD)
1 Type-1 新設コンバインド
(pu)
(kJ/kWh)
0
20000
40000
60000
79999
Operating Hours
80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000
710
0.60
6,000
710
1,062
1,414
1,754
2,118
2,118
2,470
2,801
3,145
3,525
3,877
4,229
1050
0.42
8,571
1,050
1,550
2,050
2,542
3,050
3,050
3,550
4,037
4,532
5,050
5,550
6,050
3 Type-3 廃棄再燃型
430
0.43
8,372
430
914
1,398
1,870
2,365
2,505
2,849
3,313
3,789
4,301
4,785
5,268
4 Type-4 リパワリング
607
0.54
6,667
607
996
1,384
1,761
2,162
2,281
2,551
2,919
3,300
3,717
4,106
4,494
2 Type-2 新設コンベンショナル
Fuel Cost (USD/GJ)
Fixed O & M (USD/10000hr)
2.84
Lowest Cost
0.50% [0.5% of Initial Cost]
2nd Lowest Cost
Variable O & M (USD/MWh)
2nd Hihest Cost
- 新設コンバインド
2.00
- 新設コンベンショナル
1.30
- 廃棄再燃型
2.00
- リパワリング
2.00
Highest Cost
Rehabili-Cost of Existing @ 80,000 hr
Type-3
140.00 (@80,000 hr Additional Cost USD180 million)
Type-4
119.00 (@80,000 hr Additional Cost USD100 million)
73
図 4.1
発電種別累積運転コスト
74
4.2
発電所機器構成および機器仕様
4.2.1 サイトコンデションおよび設計条件
(1) サイトデザインコンデション
[タブリーズ]
設計大気温度:
20 deg.C
相対湿度:
40%
最高大気温度:
40 deg.C
最低大気温度:
(-)10 deg.C
標高 (海抜):
1,360 m
大気圧:
864 hPa
地震加速度:
0.35 g (Very High Area by *WCEE 2012)
設計風速:
150 km/hr
[レイ]
設計大気温度:
20 deg.C
相対湿度:
42%
最高大気温度:
40 deg.C
最低大気温度:
(-)10 deg.C
標高 (海抜):
1,020 m
大気圧:
901 hPa
地震加速度:
0.35 g (Very High Area by *WCEE 2012)
設計風速:
150 km/hr
(*) World Conferences on Earthquake Engineering
75
(2) パワーブロックの構成
パワーブロックは MHPS の実績のある大型ガスタービン M701F5 ユニットを用いたガスタ
ービンコンバインドサイクルの採用を前提として検討する。ブロック構成については
“One on One 一軸構成 x 2”、”One on One 多軸構成 x 2”または ”Two on One 多軸構
成 x 1”の 3 案が考えられる。ガスタービンコンバインドサイクルプラントを第一期分と
して ISO 定格で 1,050 MW (サイト定格 880 MW)を建設するが、将来の第二期分として同様
な発電設備を建設することを想定して計画する。
(3) 復水器冷却方式
イラン・エネルギー省の方針で新規建設発電プラントでの湿式冷却塔の利用は原則禁止さ
れているので空冷式コンデンサー (Air Cooled Condenser) 採用する。
(4) 燃料
ガスタービン燃料は天然ガスを主燃料とし非常用予備燃料として軽油での燃焼も考慮して
燃焼器は Dual Fuel Type とする。軽油の貯蔵量は一週間程度とする。
(5) 規格および基準
日本の規格および基準に準拠するものとするが、その他国際規格および主要先進国の規格
および基準も準用するものとする。代表的な規格および基準には次のようなものがある。
日本規格および基準
 JIS:Japanese Industrial Standard
 JEC: Japanese Electrical Committee
 JEAC: Japan Electrical Association Code
 JEM: Standards of The Japan Electrical Manufacturers Association
 METI Code: Ministry of International Trade and Industry Code
 AIJ: Architectural Institute of japan Standard
76
国際規格および基準
 ISO: International Standards Organization
 IEC: International Electrotechnical Commission
 IAPWS: The International Association for the Properties of Water and
Steam
他諸外国規格および基準
 ANSI: American National Standards Institute
 ASME: American Society of Mechanical Engineers
 ASTM: Standards of the American Society for Testing and materials
 AISC: American Institute of Steel Construction
 HEI: Heat Exchange Institute Standards
 IEEE Institute of Electric and Electronic Engineers
 UBC: Uniform Building Code
 BS: British Standards
 DIN: Deutsche Industrie Norm
 GB: China National Standards
 FEM:
European Federation of Materials handling
77
4.2.2 発電所機器構成および仕様
本プロジェクトに適応可能なガスタービンコンバインドサイクル発電設備としては最新型
大型ガスタービンを用いた One on One 一軸式、One On one 多軸式、Two on One 多軸式
の 3 方式が可能である。下記の表 4.2 に機器構成による比較を行った。
表 4.3 パワーブロック機器構成比較
(One on One) x 2
1. 軸構成
一軸式
Two on One
多軸式
多軸式
2. バイパススタック無
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
/ HRSG 一缶故障
出力 50%
出力 50%
出力 50%
3. バイパススタック有
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
/ HRSG 一缶故障
出力約 83%
出力約 83%
出力約 83%
4. バイパススタック無
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
GTG 単独運転不可、
/ STG 一機故障
出力 50%
出力 50%
出力 50%
5. バイパススタック有
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
GTG 単独運転可、
/ STG 一機故障
出力約 83%
◎
出力約 83%
◎
出力約 67%
○
6. 発電機数量
2台
◎
4台
△
3台
○
7. 230kV 引出数量
2 回線
◎
4 回線
△
3 回線
○
8. GTG 一台故障
出力 50%
○
出力 50%
○
出力 50%
○
9. 建設コスト
100%
◎
108%
103%
○
○
○
10. O & M の容易さ
11. 最大発電機の系統
◎
○
○
△
◎
約 7%
○
◎
○
○
○
約 4.5%
◎
◎
◎
約 4.5%
◎
に対する比率 (*)
総合評価
◎
△
○
(*) 現在の系統実可能発電力を 70,000 MW として。
上記の比較の結果を基に、本プロジェクトの主要機器として One on One 一軸式ガスター
ビンコンバインドサイクル発電設備 2 ブロックを採用することにし、既設タブリーズ発電
所の西側遊休地に建設する。ただし計画に際しては将来第二期分として同 One on One 一
軸式ガスタービンコンバインドサイクル発電設備 2 ブロックを増設できるように計画を進
める。新設発電設備は既存発電所に依存しない形で建設するがガス供給設備、水供給設備、
78
補助蒸気システム、消火設備、230 kV 開閉設備等については既設設備の増設等を行い一
部共有することとする。
One on One 一軸式ガスタービンコンバインドサイクルブロックの構成はガスタービン
MHPS 製 M701F5
1 台、自然循環式 3 重圧再熱式排熱回収ボイラ 1 缶、および復水式蒸気
タービン 1 台、同期発電機 1 台より構成され空冷式コンデンサー(Air Cooled Condenser)
が用いられる。正味出力は ISO 定格で 1,050 MW (サイト定格 880 MW)、熱効率は ISO 定格
で 61%以上 (サイト定格で 60.0%)と見込まれる。軸構成はガスタービン – 発電機 – SSS
クラッチ - 蒸気タービンの一軸構成で起動時間が短縮できるように且つ蒸気タービン故
障時でもガスタービンが単独運転できるように SSS クラッチを入れている。
(1) One on One 一軸式ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の構成
a. ガスタービンおよび補機設備
ガスタービンには実機での使用実績があり且つ熱効率の高い MHPS 社製の M701F5 モデル
を採用することを前提に計画を進める。M701F5 ガスタービンはタービン入り口温度が
1500℃級の最新型高効率な機種でガスタービンエンクロージャーに収納されておるがガ
スタービン建屋内に据え付けられる。タービンエンクロージャー内には次の機器が収納
される。
 M701F5 ガスタービンモジュール 1 台
17 段軸流コンプレッサー
低 NOx 型燃焼ノズル付燃焼器(20 個) /天然ガス・軽油 Dual Fuel 式
4 段反動型ガスタービン
吸気マニホールド
排気マニホールド
断熱材
コンプレッサー抽気冷却空気配管
燃料ガスマニホールド / 燃料油マニホールド
潤滑油温計測熱電対
ガスタービンエンクロージャー(減音、換気設備および照明設備および CO2 ガス
消火設備)
79
アンカーボルト
 同期発電機
1 台 (ガスタービンと蒸気タービンの合計出力に合うもの)
H2 ガス冷却同期発電機
静止型励磁機
電流変成器
中性点接地装置
H2 供給設備および CO2 パージシステム
アンカーボルト
 起動用インバーター装置(SFC)1 セット
 潤滑油装置 (ガスタービン・発電機・蒸気タービン共用) 1 セット
主潤滑油ポンプ AC モーター駆動 100% x 2
非常用潤滑油ポンプ
DC モーター駆動
潤滑油槽
ベーパー排気装置
潤滑油冷却器
潤滑油フィルター 100% x 2
制御盤
 制御油装置 1 セット
制御油槽
制御油ポンプ 100% x 2
フィルター(供給側)
フィルター(戻り側)
制御油冷却器
 ガスタービン冷却空気システム (TCA) 1 セット
TCA 冷却器
TCA フィルター
80
 ユニット燃料ガスシステム
1 セット
燃料ガスヒーター
燃料ガスラストチャンスフィルター
燃料ガスベント弁
燃料ガス止め弁
燃料ガス圧力調整弁
燃料ガス流量調整弁
燃料流量計 (タービンタイプ)
 共用燃料ガスシステム(ガスタービン 2 台で共用)1 セット
フィルターセパレーター 200% (ガスタービン 2 台容量) x 2
コンデンセートドレーンタンク
コールドベント
燃料ガスクロマトグラフ 1 セット
 ユニット燃料油システム
燃料移送ポンプスキッド
燃料フィルタースキッド
燃料油流量計
配管および弁
 共用燃料油システム
燃料油貯槽
15,000 kl x 2
燃料受け入れ設備
燃料計量装置
 燃料ガスターミナルステーション およびガスメータリングステーション(ガス供
給会社が設置する)
 空気取り入れ設備
1 セット
1 セット
エアーフィルター (2 段式 HEPA フィルター)
サイレンサー (スプリッタータイプ)
81
トランジションダクト
凍結防止設備
フィルターハウス
エキスパンションジョイント
 ガスタービン排気ダクト 1 セット
排気ダクト (断熱付)
エキスパンションジョイント
 バイパススタックおよびダイバーターダンパー 1 セット
バイパススタック (高さ 45 m)
ダイバーターダンパー
b. 排熱回収ボイラ (HRSG) および補機設備
 HRSG (自然循環横型水平ガス流) 1 セット
高圧(HP)過熱器
高圧(HP)蒸発器および高圧ドラム
高圧(HP) エコノマイザー
再過熱器 (リヒーター)
中圧(IP) 過熱器
中圧 (IP) 蒸発器および中圧ドラム
中圧 (IP)エコノマイザー
低圧(LP) 過熱器
低圧 (LP) 蒸発器および低圧ドラム
低圧 (LP)エコノマイザー
脱気器
 アクセサリー 1 セット
減温器
配管および弁
サポート鉄骨およびプラットフォーム
82
エキスパンションジョイントおよびダクト
 諸設備 1 セット
排気煙突 (65 m)
ブロウダウン配管、タンクおよびドレインシステム
HRSG ケーシングおよびマンホール
保温およびラギング
低圧 (LP) エコノマイザー再循環ポンプ 100% x 2/HRSG
c. 蒸気タービン および補機設備
1 セット
 蒸気タービン (シングルケース再熱タービン軸流排気)
1 セット
蒸気止め弁および調整弁(HPSV/HPCV/RSSV/RSCV/LPSV/LPCV)
ターニング装置
制御油システム (GT & Gen 共用)
潤滑油システム (GT & Gen 共用)
ジャッキング油システム 100% x 2 (GT & Gen 共用)
保温およびラギング
エンクロージャー
アンカーボルト、ベースプレートおよび埋設金物
高圧 (HP) タービンバイパスシステム
中圧 (IP) タービンバイパスシステム
低圧 (LP) タービンバイパスシステム
 蒸気タービンドレーンシステム
配管および弁
ドレーン回収システム
 タービングランドスチーム
グランドスチームコンデンサー
グランドスチームコンデンサー排気ファン
グランドスチーム圧力調整弁
83
グランドスチーム調温弁
配管および弁
d. 蒸気タービン補機
 復水システム
空冷復水器 (Air Cooled Condenser)
復水器真空装置 (100% x 2 真空ポンプ)
復水ポンプ (100% x 2)
配管および弁
 HRSG 給水システム
給水加熱器 (Shell & Tube Type)
高圧(HP)/中圧(IP)ボイラ給水ポンプ (100%x 2)
配管および弁
 閉回路冷却水システム (Closed Cooling Water System)
閉回路冷却水ポンプ (100% x 2)
閉回路冷却水冷却器 (空冷式)
e. 共通設備 (2 ブロック共用)
 クレーンおよびホイスト (各ブロック毎)
タービンビルディングクレーン(1 セット)
他必要なクレーンおよびホイスト
 消火設備
ディーゼルエンジン駆動消火ポンプ (1 セット)
電動モーター駆動消火ポンプ (1 セット)
電動モーター駆動ジョッキーポンプ (1 セット)
消火水リング母管
消火栓
84
固定式水スプレー装置 (変圧器および潤滑油槽)
湿式スプリンクラーシステム (ケーブル室)
軽油タンク泡消火設備および固定式水スプレー装置
CO2 消火設備 (ガスタービン)
消火器
火災検知および報知設備
電源装置および制御装置
 プラントウォーターシステム
原水受け入れおよび貯蔵設備 (消火用水タンクを兼ねる)
サービスウォーターポンプ
(100% x 2)
飲料水供給設備
配管および弁
電源装置および制御装置
 脱塩装置及び脱塩水貯蔵設備
フィルター装置 (100% x 2)
脱塩装置 (100% 2 系列)
脱塩水貯蔵槽
脱塩水移送ポンプ (100% x 2)
配管および弁
電源装置および制御装置
 排水処理設備
中和槽
油水分離装置
廃水処理装置
排水収集設備
移送ポンプ
配管および弁
電源装置および制御装置
85
 化学薬品注入設備 (各ブロック毎)
リン酸塩注入装置
アンモニア注入装置
ヒドラジン注入装置
配管および弁
電源装置および制御装置
 補助蒸気供給設備
補助蒸気ボイラ (天然ガス焚き)
配管および弁
電源装置および制御装置
 計装およびサービス用圧縮空気供給設備
プラントエアー圧縮機 100% x 3
計装用圧縮空気槽
計装用圧縮空気乾燥器
サービスエアー圧縮空気槽
配管および弁
電源装置および制御装置
 窒素ガス封入設備
(2) 電気設備
 発電機相分離母線
2 セット
 発電機遮断機 2 セット
 発電機制御およびプロテクションパネル 2 セット
 発電機 VT および SA パネル 2 セット
86
 発電機昇圧変圧器
 所内変圧器
2 セット
100% (2 ブロック用) x 2 セット
 所内補助変圧器
 変圧器制御およびプロテクションパネル
 6.6 kV 開閉設備
 400 V 開閉設備および MCC
 400 V/230 V 分電盤
 220 V DC バッテリーおよび充電器
 220 V DC 分電盤
 230 V UPS
 高中低圧電力ケーブル・制御用ケーブル・計装ケーブル・通信ケーブルおよび光
ケーブル
 ケーブルトレー・コンジュイット
 通信設備
 照明および低圧電力供給設備
 接地および被雷装置
 マスタークロック設備
87
 CCTV 設備
(3) 230 kV 開閉設備
タブリーズ発電所
 230 kV インターコネクションフィーダー (発電機昇圧変圧器 HV ターミナル –
230 kV 開閉設備間) 2フィーダー
 既設 230 kV 開閉設備への繫ぎ込み (二重母線 1.5 CB 2 フィーダー)
遮断器:定格電流 1,200 A の既設を 2,000 A のものに置き換え / 遮断電流
40 kA、4 台
断路器: 定格電流 1,200 A の既設を 2,000 A のものに置き換え 4 台、その他 2 台
追加
電流変成器: 既設 1,200/1 A 4 コア 24 台を 2,000/1A 4 コアに置き換え
電圧変成器 230/√3 kV : 110/√3 V 6 台追加
被雷器 6 台追加
制御および保護装置
 既設 SCS (Substation Control System)装置及び SCADA 装置拡張
レイ発電所
 既設 230 kV 開閉設備を 230 kV ガス絶縁開閉設備(GIS)に置き換える、新設
GIS が 8 ベイ、送り出し送電線は現在と同様 6 フィーダーとする。
 GIS 構成は 2 重母線、1.5CB 方式、母線定格 3,150 A、定格遮断電流 40kA
 SCS および SCADA 設備も新設
 発電機昇圧変圧器 HV 端子と 230 kV GIS 間は 230kV XLPE Cable でおこなう。
88
(4) 制御および計装装置
 分散型制御装置(DCS)
オペレーターステーション
ガスタービン制御システム
HRSG 制御システム
蒸気タービン制御システム
プラント制御システム
補助電源制御システム
共通補助設備制御システム
エンジニアリングワークステーション
プラント性能モニターシステム
データロギング
付帯設備
データバックアップ PC
 ユニットプロテクションシステム
ガスタービン保護システム
2 セット
蒸気タービン保護システム
1 セット
230 kV 開閉設備保護システム 1 セット
 モニタリングシステム
ガスタービン監視制御装置
2 セット
HRSG および蒸気タービン監視制御装置 1 セット
燃料ガス漏えい監視装置
水素ガス漏洩監視装置
HRSG ドラムレベル監視装置
3 セット
 ガスタービン排気ガス連続監視計測装置 3 セット
89
(5) 土木・建築工事
 調査業務
敷地測量業務
ボーリングおよび地質調査
 建物およびシェッド
タービン建屋 2 棟
H2 および CO2 ガス貯蔵シェッド
ワークショップおよび倉庫建屋 1 棟
制御建屋 1 棟
空気圧縮機建屋 1 棟
水処理建屋
1棟
 ガスタービン電気・制御モジュール基礎およびペデスタル 2 セット
 基礎およびペデスタル (地耐力が十分に高いという前提で杭基礎は考慮しない)
発電設備基礎およびペデスタル 2 セット
空冷コンデンサー基礎 2 セット
HRSG 基礎 2 セット(バイパスダンパーおよびバイパススタックを含む)
変圧器基礎および防火壁 2 セット
原水およびサービスウォータータンク基礎
2 セット
脱塩装置および脱塩水貯蔵タンク基礎 1 セット
排水処理装置基礎および排水貯蔵ピット
非常用 D/G 基礎 2 セット
ガスタービン電気・制御モジュール用基礎
パイプラックおよびダクトサポート基礎
パイプスリーパー基礎
ケーブルダクトバンク
屋外照明基礎
その他各種基礎
90
2 セット
 排水設備
雨水排水設備
オイリーウォーター処理排水設備
処理水排水設備
汚水処理および処理水排水設備
 その他
道路
コンクリート舗装
敷地境界フェンスおよびゲート
植栽
HVAC システム
照明設備 (屋内・屋外およびプラント照明)
91
4.3 発電所の性能
4.3.1 発電所の性能
本プロジェクトで採用を考えている MHPS 社製ガスタービン (M701F5 One on One 一軸型)
コンバインドサイクル発電設備の ISO 設計条件における性能は次のとおりである。
 総出力 *(Gross Output):
526,600 kW
(*) Gross Output = Generator Output at Terminal - Excitation Power
 正味発電端出力* (Net Output):
525,000 kW
(*) Gross Output – 所内動力
ガスタービン発電機出力:
354,000 kW
蒸気タービン発電機出力:
171,000 kW
 発電端熱効率およびヒートレート:
61.0% / 5,902 kJ/kWh
ISO 設計条件
気温:
15 deg.C
相対湿度:
60%
気圧 (標高):
1,013 hPa (100 m 以下)
コンデンサー圧力:
水銀柱 1.5 インチ
しかし実際に発電設備を設置するタブリーズ発電所およびレイ発電所はそれぞれ標高
1,360 m および 1,020 m の高地にあり、且つ外気温度も 20 deg.C と高く、相対湿度も
40%と低く、コンデンサーの圧力も空冷式復水器の採用で水銀柱 3.0 インチと高くなりこ
れらのパラメーターを考慮してサイトでの性能を算出すると次のようになる。
92
タブリーズ発電所
 正味発電端出力 (Net Output):
453,500 kW (2 ブロックで 907,000 kW)
 発電機端熱効率およびヒートレート: 60.66 % / 5,935 kJ/kWh)
 増分所内補機動力 + 変圧器損失:
6,500 kW x 2
 正味送電端出力:
894,000 kW
 送電端熱効率およびヒートレート:
59.79 % (6,071 kJ/kWh)
レイ発電所(M701F5)
 正味発電端出力 (Net Output):
472,300 kW (2 ブロックで 944,600 kW)
 発電機端熱効率およびヒートレート: 60.7 % / 5,930 kJ/kWh)
 増分所内補機動力 + 変圧器損失:
6,800 kW x 2
 正味送電端出力:
931,000 kW
 送電端熱効率およびヒートレート:
59.82 % (6,018 kJ/kWh)
現在のレイ発電所では首都圏での負荷変動に対応する役目を受け持っているが M701F5 ガ
スタービンのような大型ガスタービンでは頻繁な負荷変動に対応することは難しく、中型
機の H-100(110) ガスタービンであればかかる需要にも対応可能である。毎日の起動停
止、頻繁な負荷変動に対応する案として中型機 H-100(110)ガスタービンを用いたコンバイ
ンドサイクルを採用することも可能である。若干 Heat Rate は悪くなり、単位出力あたり
の建設費も高くなることから経済性は若干見劣りするが大型機に較べ負荷追従性の優れた
中型の H-100(110)型の採用も考慮する価値はある。
レイ発電所(H-100 (110))
 正味発電端出力 (Net Output):
288,000 kW (2 ブロックで 576,000 kW)
 発電機端熱効率およびヒートレート: 54.45 % / 6,612 kJ/kWh)
 増分所内補機動力 + 変圧器損失:
3,500 kW x 2
 正味送電端出力:
569,000 kW
 送電端熱効率およびヒートレート:
53.79 % (6,692 kJ/kWh)
93
4.3.2 サイト設計条件
上記サイトでの発電所性能は次のサイト条件で算定した。
サイト設計条件
タブリーズ発電所
気温:
20 deg.C
相対湿度:
40 %
気圧 (標高):
864 hPa (1,360 m)
コンデンサー圧力:
12.4 kPa
発電機力率:
0.85 (Lag)
HRSG ドラムブロウダウン:
0 %
HRSG 補給水:
0 %
周波数:
50 Hz
プラントコンディション:
New & Clean
ヒートレートは燃料の低位発熱量(LHV)ベースとする。
燃料ガスの性状は 4.3.3 条に記載のものと同等なものとする。
レイ発電所
気温:
20 deg.C
相対湿度:
42 %
気圧 (標高):
901 hPa (1,020 m)
コンデンサー圧力:
12.4 kPa
発電機力率:
0.85 (Lag)
HRSG ドラムブロウダウン:
0 %
HRSG 補給水:
0 %
周波数:
50 Hz
プラントコンディション:
New & Clean
ヒートレートは燃料の低位発熱量(LHV)ベースとする。
燃料ガスの性状は 4.3.3 条に記載のものと同等なものとする。
94
4.3.3 天然ガス性状
(1) ガス成分分析
成分
Mole %
C1
87.5360
C2
5.0124
C3
1.2968
i-C4
0.1956
n-C4
0.2985
i-C5
0.0926
n-C5
0.0720
C6
0.0618
C7
0.0206
CO2
1.0498
N2
4.3639
合計
100.00
(2) 正味発熱量 (LHV )
34.89 MJ/SCM
(3) 総発熱量 (HHV)
38.63 MJ/SCM
(4) ガス密度
0.7756
(5) モレキュラーウェイト
18.29 gr/Mol
(6) Wob Index
48.56 MJ/SCM
(7) ガス圧力
4.5 MPa
(8) ガス温度
露点温度 + 25 deg.C
95
4.4
発電電力送り出し設備
(1)
タブリーズ発電所
既設発電所に附帯する 230 kV 変電設備は二重母線 1.5 遮断機構成で、9 ベイが建設済み
で、実際に繋がっているフィーダーは次のようになっており、4 フィーダーの繫ぎ込みが
可能である。
 発電機昇圧変圧器:
2 フィーダー
 起動用変圧器:
2 フィーダー
 送り出し送電線:
7 フィーダー (内 2 フィーダーには昇圧変圧器を
通して 400kV に昇圧、400 kV 開閉設備を経由し
400 kV 送電線で送り出されている)
 降圧変圧器:
2 フィーダー
(230 kV  132 kV)
 降圧変圧器:
1 フィーダー
(230 kV  66 kV)
230 kV 送り出し送電線引出は、1,250 A 遮断機を通して送り出されるので余裕を見て
1,000 A を送電線の電流容量とすると、一回線当たりの送電容量は 400 MVA となる (通常
230 kV 送電線には鋼芯アルミ撚線 ACSR が用いられ、330 sq.mm 複導体と仮定すると電流
容量は 1,500 A 程度になるが控えめに仮定する)。400 kV 2 回線および 230 kV 5 回線で
は総送電容量は 2,800 MVA となり、力率を 90%と仮定すると 2,520 MW となり既設発電所
の出力 700 MW と新設発電設備の 880 MW の合計 1,580 MW に対して十分な送電能力を持っ
ており、現状設備で新規追加ガスタービンコンバインドサイクルプラントの発電電力の送
り出しは支障なくできる。依って本プロジェクトでは、引出送電線の拡張は行なわない。
本プロジェクトで新設される一軸型ガスタービンコンバインドサイクルの発電機定格は、
440 MW (518 MVA @0.85 pf) となるので 230 kV フィーダー電流は 1,300 A となる。しか
し既設開閉設備の定格電流が 1,200 A であることから、新規繫ぎ込み用フィーダーの開閉
設備は 1,600 A または 2,000 A 定格のものに置き換える必要がある。新たに追加する設
備および既設を置き換える設備は以下の通り。
 230 kV 地中ケーブル連絡送電線: 2 フィーダー
(発電機昇圧変圧器 HV 端子 – 230 kV 開閉所)
亘長:
各 600 m
定格電流:
1,600 A
96
230 kV ケーブル:
XLPE 絶縁銅導体コルゲートアルミニューム外装
600 sq.mm x 2/Phase
 既設 230 kV 開閉設備への繫ぎ込み (二重母線 1.5 CB 2 フィーダー)
遮断器:定格電流 1,250 A の既設を 2,000 A のものに置き換え
/ 遮断電流 40 kA、4 台
断路器: 定格電流 1,250 A の既設を 2,000 A のものに置き換え 4 台、
その他 2 台追加
電流変成器: 既設 1,250/1 A 4 コア 24 台を 2,000/1A 4 コアに置き換え
電圧変成器 230/√3 kV : 110/√3 V 6 台追加
被雷器 6 台追加
制御および保護装置
 既設 SCS (Substation Control System)装置及び SCADA 装置拡張
(2)
レイ発電所
新規ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の設置場所には、現在雑木林があり、且
つ 230 kV 送電線が走っており、送電線の移設、仮設の送電線の設置、雑木林の移植、230
kV ガス絶縁開閉設備 (GIS) の新設等既設設備との調整が必要となる。
現在の 230 kV 開閉設備は送り出しが 6 フィーダー、発電機昇圧用変圧器からの入力が 5
フィーダー以上あるが、大容量のガスタービンコンバインドサイクル発電設備の繫ぎこみ
には様々な制約があり、既設 230 kV 開閉設備は新設の GIS に置き換えるものとする。
 新設の GIS は次のような構成とする。
電圧:
230 kV
母線:
二重母線 3,150A, 40 kA (rms)
構成:
1.5 CB 方式
ベイ数:
8 ベイ
本プロジェクトの実施に際しては、ナショナルグリッドの詳細調査、電力潮流解析および動
態および静態安定度解析の実施が必要となる。
97
4.5
プロジェクト実施スケジュール
プロジェクトの全体工程はファイナンス付 EPC フルターンキー契約をベースに下記“表
4.3 プロジェクト全体工程”のように想定した。
表 4.3 プロジェクト全体工程
2015
1
2
3
4
5
6
7
8
FS調査
EIA調査および承認プロセス
EPCプロポーサルおよび評価
契約ネゴ
EIAレポート承認
EPC契約調印
No.1 CCGT Block商用運転開始
No.2 CCGT Block商用運転開始
2016
2017
2018
2019
2020
∆
∆
∆
∆
上記工程は公的資金を活用してのケースで原則国際入札が必要になり且つ環境アセスの
EIA 調査および環境規制機関からの承認取得が必須条件となることから、EIA 調査に必
要な承認プロセス等を考慮すると最短で上記のような工程となる。主要工程は次のよう
になる。
 FS 調査完了:
2016 年 3 月 31 日
 EIA 調査および承認プロセス: 2016 年 6 月― 2017 年 6 月
 EPC プロポーサルおよび評価: 2016 年 9 月― 2017 年 3 月
 契約ネゴ:
2017 年 4 月― 2017 年 6 月
 EIA レポート承認:
2017 年 7 月
 EPC 契約調印:
2017 年 7 月
 No.1 CCGT Block 商用運転開始:2020 年 4 月(調印後 33 ヶ月)
 No.2 CCGT Block 商用運転開始:2020 年 7 月(調印後 36 ヶ月)
尚 EPC 契約に関わる詳細プロジェクト工程については詳細設計時に作成する。
98
4.6
プロジェクトコストの試算
プロジェクトコストは(1) 発電設備建設費と (2) 操業準備費に分けることができる。
4.6.1
タブリーズ発電所(M701F5)
(1) 発電設備建設費
発電設備および補機費用:
47,100 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
13,500 百万円
土木・建築費用:
15,000 百万円
合計:
75,600 百万円
(eq. USD 630 million @ USD 1.00 = JPY 120)
(USD 600/ISO-kW)
(2) 操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:
予備品:
1,500 百万円
500 百万円
合計:
2,000 百万円
総計:
77,600 百万円
(eq. USD 646.7 million)
4.6.2
レイ発電所(M701F5)
(1) 発電設備建設費
発電設備および補機費用:
49,200 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
13,800 百万円
土木・建築費用:
15,600 百万円
合計:
78,600 百万円
(eq. USD 655 million @ USD 1.00 = JPY 120)
(USD 624/ISO-kW)
(2) 操業準備費用
99
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:
予備品:
1,500 百万円
500 百万円
合計:
2,000 百万円
総計:
80,600 百万円
(eq. USD 672 million)
4.6.3
レイ発電所(H-100(110))
(1) 発電設備建設費
発電設備および補機費用:
35,400 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
9,500 百万円
土木・建築費用:
10,500 百万円
合計:
55,400 百万円
(eq. USD 462 million @ USD 1.00 = JPY 120)
(USD 832/ISO-kW)
(2) 操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:
800 百万円
予備品:
300 百万円
合計:
1,100 百万円
総計:
56,500 百万円
(eq. USD 471 million)
上記費用にはすべての設備機器および建設に関わる資機材、人件費、現場管理費、建設機
械費、建設資材費、設備費、仮設費、初期予備品費、エンジニアリング費、プロジェクト
管理費、運転員指導費用等を含むが次のものは含まない:
 発電所用地並びに用地準備費用
 発電所における運転管理用の事務施設費用
 発電所職員用の住居施設並びに関連サービス施設費用
 発電所建設期間における工事用電力並びに工事用水費用
100
 発電所建設に関わる許認可費用
 発電所建設に関わる機械設備・資機材輸入に関わる輸入関税
 発電所試運転に関わる燃料
101
第5章.プロジェクトの収益性
5.1
財務分析手法
発電プロジェクト実施に伴う財務分析手法として財務的内部収益率 (Financial Internal
Rate of Return _ FIRR) が収益性の判断基準として用いられている例が多く本プロジェ
クトにおいても FIRR を用いてプロジェクトの収益性の判断基準とする。
FIRR の算出には割引キャシュフロー分析が用いられ、これにより 純現在価値 (Net
Present Worth_NPW)、財務的内部収益率 (FIRR)、便益費用比率 (Benefit-Cost Ratio_B/C
Ratio) が求められ、費用便益分析にも用いられる。プロジェクトライフ期間中の各年度
の財務費用と財務便益を現在価値に割戻し、現在価値で比較検討される。その財務費用の
総額が、財務便益の総額に等しい場合、その現在価値を算出するために用いた割引率を財
務的内部収益率 (FIRR) と称している。
算出された FIRR はプロジェクトの財務的内部収益性評価の主要な指標として利用される。
判断基準は当該国のインフレ率、借入金利水準等を加味して決められ、本プロジェクトと
しては低金利の JBIC 等の融資を活用することを前提に 12%を判断基準とする。
102
5.2
プロジェクトコスト
5.2.1
(1)
タブリーズ発電所(M701F5)
発電設備建設費
発電設備および資機材費用:
47,100 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
13,500 百万円
土木・建築費用:
15,000 百万円
合計:
75,600 百万円
(eq. USD 630.0 million)
[USD 600.0 /kW_ISO]
[Note: USD 1.00 = JPY 120]
(2)
操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:1,500 百万円
予備費:
500 百万円
合計:
2,000 百万円
総計:
77,600 百万円
(eq. USD 646.7 million)
(3)
年度毎の支払いスケジュール
プロジェクト実施スケジュールを加味して年度ごとの支払いスケジュールを作成す
ると次のようになる。
表 5.1a
支払スケジュール [タブリーズ発電所(M701F5)]
(単位:百万円)
2016
2017
2018
2019
2020
2021
1
発電設備および資機材費用
47,100
10,100
21,700
10,550
4,750
2
運搬・据え付けおよび試運転費用
13,500
1,500
5,600
5,050
1,350
3
土木・建築費用
15,000
2,500
6,500
4,500
1,500
4
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費
300
300
300
100
5
予備費
1,500
200
300
500
合計
77,600
500
200
300
14,400
34,100
20,400
8,200
年度ごとの支出割合は次のようになる:
2016 年 (0.26%)、2017 年 (0.39%)、2018 年 (18.55%)、2019 年 (43.94%)、2020 年 (26.29%)、
2021 年 (10.57%)
103
5.2.2
レイ発電所(M701F5)
(1) 発電設備建設費
発電設備および資機材費用:
49,200 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
13,800 百万円
土木・建築費用:
15,600 百万円
合計:
78,600 百万円
(eq. USD 655 million)
(USD 624/ISO-kW)
(2)
操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:1,500 百万円
予備費:
500 百万円
合計:
2,000 百万円
総計:
80,600 百万円
(eq. USD 672 million)
(3)
年度毎の支払いスケジュール
プロジェクト実施スケジュールを加味して年度ごとの支払いスケジュールを作成す
ると次のようになる。
表 5.1b
支払スケジュール [レイ発電所(M701F5)]
(単位:百万円)
2016
2017
2018
2019
2020
2021
1
発電設備および資機材費用
49,200
10,800
22,600
10,300
5,500
2
運搬・据え付けおよび試運転費用
13,800
1,550
5,700
5,150
1,400
3
土木・建築費用
15,600
2,600
6,700
4,700
1,600
4
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費
300
300
300
100
5
予備費
1,500
200
300
500
合計
80,600
500
200
300
15,250
35,300
20,450
9,100
年度ごとの支出割合は次のようになる:
2016 年 (0.25%)、2017 年 (0.37%)、2018 年 (18.92%)、2019 年 (43.80%)、2020 年 (25.37%)、
2021 年 (11.29%)
104
5.2.3
レイ発電所(H-100(110))
(1) 発電設備建設費
発電設備および補機費用:
35,400 百万円
運搬・据え付けおよび試運転費用:
9,500 百万円
土木・建築費用:
10,500 百万円
合計:
55,400 百万円
(eq. USD 462 million @ USD 1.00 = JPY 120)
(USD 832/ISO-kW)
(2) 操業準備費用
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費:
800 百万円
予備品:
300 百万円
合計:
1,100 百万円
総計:
56,500 百万円
(eq. USD 471 million)
(3) 年度毎の支払いスケジュール
プロジェクト実施スケジュールを加味して年度ごとの支払いスケジュールを作成す
ると次のようになる。
表 5.1c
支払スケジュール [レイ発電所(H-100 (110))〕
(単位:百万円)
2016
1
発電設備および資機材費用
2
運搬・据え付けおよび試運転費用
3
土木・建築費用
4
エンジニアリングおよびプロジェクト管理費
5
予備費
2017
2018
2019
2020
2021
34,650
7,600
15,885
7,350
3,815
9,680
1,100
3,990
3,610
980
10,670
1,740
4,620
3,220
1,090
250
250
250
100
1,200
141
209
300
合計
56,500
300
141
209
10,690
24,745
14,430
6,285
年度ごとの支出割合は次のようになる:
2016 年 (0.25%)、2017 年 (0.37%)、2018 年 (18.92%)、2019 年 43.80%)、2020 年 (25.37%)、
2021 年(11.29%)
105
尚、支払スケジュールは次の前提にて算出された。
 発電設備および補機費用
-
契約時・前払金:
10%
-
契約時:
10%
-
船積時:
60%
-
サイト到着時::
10%
-
完成時:
10%
 運搬・据え付けおよび試運転費用
-
契約時・前払金:
10%
-
出来高払い:
80%
-
完成時:
10%
 土木・建築費用
-
契約時・前払金:
10%
-
出来高払い:
80%
-
完成時:
10%
 操業準備費用
-
出来高払い:
100%
106
5.3
運転および保守に関わる費用
運転および保守に関わる費用は発電所の運転・停止に関わらず費用の発生する固定運転保
守費、運転することにより発生する変動運転保守費および燃料費に分けることができる。
(1)
固定運転保守費
固定費には人件費、運営管理費、建物等の設備維持費、固定資産税等が含まれるが、ここ
では発電所建設費の 0.5%を年間の固定運転補修費とする。タブリーズ発電所の建設費を
776 億円とすると年間の固定運転補修費は 3.88 億円となる。
(2)
変動運転保守費
変動費には発電設備の定期点検費用、修理費用、薬品、消耗品、ガスタービンの定期点検
時に必要な部品代等が含まれるが、ここでは大型ガスタービンコンバインドサイクルでの
経験に基づいた発電電力量をベースに USD 2.00/MWh を用いる。日本円に換算し 240 円
/MWh を変動運転保守費とする。ただしガスタービンの長期保守契約 (LTSA)に含まれる信
頼度・稼働率・機器性能等の総合的な保証までは含まれない。
(3)
燃料費
燃料費については電力料金を低く抑えるために非常に低く抑えられてきていたが、政府の
電力料金の適正化方針のもと電力料金改定で 2014 年度に 25%、2015 年度にも 20%の値上
げが実施されている。これに伴い燃料ガスの値段もマーケットプライスに近づいているも
のの USD 1.00/MMBtu(日本円に換算して 341 円/GJ)とまだ国際価格に較べかなり低い水
準に保たれている。現在の電力売電単価では燃料費は買取側負担となっており経済計算上
は燃料費ゼロ円で進める。
107
5.4
売電収入
電力料金は政策的に非常に低い水準に抑えられていたが、2010 年 1 月に制定された「補
助金目的化法」の基づき、第 5 次 5 ヵ年計画の期末 (2014 年度末) までに電力の平均料
金が供給コストに等しくなるように斬新的に調整すべきと定められている。そこでは次の
ように定められている:
電力平均料金 = 供給コスト = エナージー・コンバージョン費用 + 送配電費用 + 燃料費
送電端での売電価格は :
売電価格 =
エナージー・コンバージョン費用 + 燃料費
(1) エナージー・コンバージョン費用
 資本回収費
資本回収費は運転期間(プラント寿命期間)25 年、割引率年 10%* と仮定し資本回収
係数 (CRF) ** を計算すると CRF = 0.1102 となる。この値を基に年間回収額を計算
するとタブリーズ発電所をベースとして次のようになる。
年間回収額 = 77,600 百万円 x 0.1102 = 8,551.5 百万円
Note: *イランのここ数年の年間インフレ率を見ると 15%から 30%程度とかなり
高く、2015 年のインフレ率も 15%を超える見通しであることを考えると
割引率年 10%はかなり控えめな数値といえる。
Note: ** CRF = {r x (1 + r)n}/{(1 + r)n – 1}
r ... 割引率
(pu)
n ... プラント寿命期間 (年)
 年間固定運転保守費
第5章
5.3 (1) 項に基づきタブリーズ発電所をベースとして 388 百万円
108
 変動運転保守費
第5章
5.3 (2) 項に基づき 240 円/MWh  0.240 円/kWh
 燃料費
現在の火力発電所からの買電契約では燃料費は買取り側が負担することになってお
り燃料費はゼロ円で計算する。
新設時の発電所の正味送電端出力および 送電端ヒートレートより発電所寿命期間中
の性能劣化 (平均として出力で 3%低下/ヒートレートで 2%増)を加味すると平均出力
およびヒートレートは次のように計算される。この平均出力および平均ヒートレー
トを FIRR の計算に用いる。
タブリーズ発電所(M701F5)
平均出力 = 894,000 kW x 0.97 = 867,180 kW
平均ヒートレート = 6,071 kJ/kWh x 1.02 = 6,192 kJ/kWh
レイ発電所(M701F5)
平均出力 = 921,000 kW x 0.97 = 893,370 kW
平均ヒートレート = 6,018 kJ/kWh x 1.02 = 6,138 kJ/kWh
レイ発電所(H-100(110))
平均出力 = 569,000 kW x 0.97 = 551,930 kW
平均ヒートレート = 6,692 kJ/kWh x 1.02 = 6,826 kJ/kWh
FIRR の計算のベースとして平均年間可能発電時間 8000 時間、負荷率 85%を用いて計算
すると年間発電電力量はおよび年間使用燃料は次のようになる。
タブリーズ発電所(M701F5)
年間送電電力量 = 867,180 kW x 8,000 hr x 0.85 = 5,896,824,000 kWh
年間使用燃料 = 5,896,824,000 kWh x 6,192 kJ/kWh = 36,513,134,210,000 kJ
= 36,513,134.21 GJ
109
上記年間送電電力量の数値を基に kWh 売電単価を計算すると次のようになる。
 資本回収費/kWh … = 8,551.5 百万円/5,896,824,000 kWh = 1.450 円/kWh
 固定運転保守費 … = 388 百万円/5,896,824,000 kWh = 0.066 円/kWh
 変動運転保守費 … = 0.240 円/kWh
 燃料費を除く単価は合計 … = 1.756 円/kWh
しかし現在火力発電所からの電力買取り価格は USC 2.50/kWh (3.0 円/kWh) でなされ
ており、燃料は無償で供給されることになっている。よって FIRR の計算においては電
力買取り価格 3.0 円/kWh を用い、燃料費はゼロ円として計算する。
レイ発電所(M701F5)
年間送電電力量 = 899,370 kW x 8,000 hr x 0.85 = 6,115,716,000 kWh
年間使用燃料 = 6,115,716,000 kWh x 6,138 kJ/kWh = 37,538,264,810,000 kJ
= 37,538,264.81 GJ
レイ発電所(H-100(110))
年間送電電力量 = 551,930 kW x 8,000 hr x 0.85 = 3,753,124,000 kWh
年間使用燃料 = 3,753,124,000 kWh x 6,826 kJ/kWh = 25,618,824,420,000 kJ
= 25,618,824.42 GJ
(2) 年間売電収入
上記売電単価を基に年間売電額を計算すると次のようになる。
タブリーズ発電所(M701F5)
年間売電額 = 5,896,824,000 kWh x 3.00 円/kWh = 17,690,472,000 円/年
レイ発電所(M701F5)
年間売電額 = 6,115,716,000 kWh x 3.00 円/kWh = 18,347,148,000 円/年
レイ発電所(H-100(110))
年間売電額 = 3,753,124,000 kWh x 3.00 円/kWh = 11,259,372,000 円/年
110
5.5
内部収益率 (FIRR) および収益・コスト比 (B/C Ratio) の計算
財務的内部収益率 (FIRR) の計算は前章に記載したプロジェクトコスト・支払いスケジュ
ール・固定運転保守費・変動運転補修費・燃料費・売電収入を基に発電所運転期間 25 年
をベースに算出する。計算に用いられた主要パラメーターは次のとおりである。
5.5.1 タブリーズ発電所
(1) M701F5 One on One 一軸型コンバインドサイクルユニット x 2 ブロック
 建設費:
776 億円 (eq. USD 646.7 million)
 支払スケジュール:
2016 年 (0.26%)、2017 年 (0.39%)、
2018 年 (18.55%)、2019 年 (43.94%)、
2020 年 (26.29%)、2021 年(10.57%)
 固定運転保守費用:
発電所建設費の 0.5%とし、年間 3.88 億円
 変動運転保守費:
発電量 1.0 MWh あたり USD 2.00/MWh (eq.240 円/MWh)
 売電単価:
火力発電所買電契約に基づき 3.00 円/kWh
(eq. USC 2.50/kWh)
FIRR および B/C の計算結果および事業実施可能性の判定
 Case-1 Base Case [Table 5.5-1]… 事業実施可能性大
FIRR =
15.94%
B/C =
4.12
 Case-2 Project Cost + 10% [Table 5.5-2]… 事業実施可能性大
FIRR =
15.59%
B/C =
3.64
 Case-3 Project Cost – 10% [Table 5.5-3] ]… 事業実施可能性大
FIRR =
17.51%
B/C =
4.70
111
 Case-4 Electrical Selling Price + 10% [Table 5.5-4] … 事業実施可能性大
FIRR =
17.47%
B/C =
4.89
 Case-5 Electrical Selling price - 10% [Table 5.5-5] … 事業実施可能性大
FIRR =
14.15%
B/C =
3.49
 Case-6 Electrical Selling Price - 20% [Table 5.5-6] … 事業実施可能性大
FIRR =
13.46%
B/C =
2.98
 Case-7 Electrical Selling Price = Energy Conversion Cost [Table 5.5-7]
… 事業実施可能性中
FIRR =
9.16%
B/C =
1.76
(参考)
M701F5 One on One 一軸型コンバインドサイクルユニット1ブロックのみの場合
 建設費:
419 億円 (eq. USD 349.2 million)
 支払スケジュール:
2016 年 (0.26%)、2017 年 (0.39%)、
2018 年 (18.55%)、2019 年 (43.94%)、
2020 年 (26.29%)、2021 年(10.57%)
 固定運転保守費用:
発電所建設費の 0.5%とし、年間 1.94 億円
 変動運転保守費:
発電量 1.0 MWh あたり USD 2.00/MWh (eq.240 円/MWh)
 売電単価:
火力発電所買電契約に基づき 3.00 円/kWh
(eq. USC 2.50/kWh)
 Case-8 Single Unit Case [Table 5.5-8]… 事業実施可能性大
FIRR =
14.85%
B/C =
3.73
112
5.5.2 レイ発電所 (M701F5)
One on One Single Shaft x 2 ブロック
 建設費:
806 億円 (eq. USD 671.7 million)
 支払スケジュール:
2016 年 (0.25%)、2017 年 (0.37%)、
2018 年 (18.92%)、2019 年 (43.80%)、
2020 年 (25.37%)、2021 年(11.29%)
 固定運転保守費用:
発電所建設費の 0.5%とし、年間 3.88 億円
 変動運転保守費:
発電量 1.0 MWh あたり USD 2.00/MWh (eq.240 円/MWh)
 売電単価
火力発電所買電契約に基づき 3.00 円/kWh
(eq. USC 2.50/kWh)
 Case-9 Rey(M701F5) Base Case [Table 5.5-9] … 事業実施可能性大
FIRR =
15.91%
B/C =
4.11
5.5.3 レイ発電所 (H-100(110))
Two on One x 2 blocks
 ISO 出力およびヒートレート:
322,800 kW x 2 & 6,430 kJ/kWh
 サイト出力およびヒートレート:
569,000 kW & 6,692kJ/kWh
 経済解析に用いる出力およびヒートレート(2 blocks):
551,930 kW & 6,826 kJ/kWh
 建設費:565 億円 (eq. USD 470.8 million, USD 729/kW_ISO)
 Case-10 Rey(H-100(110)) Base Case [Table 5.5-10] … 事業実施可能性大
FIRR =
14.01%
B/C =
3.46
113
タブリーズ発電所およびレイ発電所への大型ガスタービン M701F5 による One on One 一軸
型ガスタービンコンバインドサイクル発電所を建設する場合には、第一期分2ブロックを
建設する場合のコストは遊休地の多いタブリーズに建設する方が約 3.7%程度低くなるが、
標高の高いタブリーズの出力が約 3%低く、且つヒートレートも 0.9%程度悪化するとこと
から FIRR で比較するとベースケースでタブリーズが 15.94%、レイが 15.91%とタブリーズ
の経済性が高い結果となった。中容量の H-100(110)用いたレイの代案のケースでは、FIRR
は 14.11%と若干見劣りする結果となった。また第一期分として 1 ブロックのみ建設をする
場合の経済性でもタブリーズの場合で FIRR は 14.85%と十分経済性のあることが確認でき
た。
実際に建設工事をする場合の既存設備の変更等を考えるとレイ発電所の場合にはかなり既
設への変更も必要になり且つ植栽の移設、送電線の移設、既存埋設物の撤去、220 kV GIS
開閉設備の新設等を考えると早急に建設を進める観点からはタブリーズ発電所への建設を
推奨する。
114
5.6
ファイナンス案の策定
プロジェクト建設費については、建設費総額の 85%については JBIC 等の公的な低金利の
融資により賄うこととし、残り 15%の建設費および建中金利についてはプロジェクト実
施機関の自己資金で賄うこととする。
借入金の金利と償還期限および返済開始時期を次のように想定する。
 借入金利:
年利 3.12%
 償還期限:
返済開始後 12 年
 返済開始:
営業運転開始年度末を一回目
タブリーズ発電所のベースケースのキャッシュフローを上記条件で検証してみた結果を
Table 5.6-1 に示す。発電所建設中は最大で 94.6 億円のキャッシュ不足が生じるが発電
設備の運転開始翌年には累積赤字も解消する。発電所運転寿命としている 25 年の運転終
了時には 3,083 億円のキャッシュが残る結果となっている。プロジェクトは十分利益の出
るものと判断することができる。
115
Table 5.5-1 NPV-FIRR Calculation (Case-1 Base Case) _ Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,760,000
-
-
-
201,760,000
-
(201,760,000)
(201,760,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
302,640,000
-
-
-
302,640,000
-
(302,640,000)
(302,640,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
14,394,800,000
-
-
-
14,394,800,000
-
(14,394,800,000)
(14,394,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
34,097,440,000
-
-
-
34,097,440,000
-
(34,097,440,000)
(34,097,440,000)
4
5
20,401,040,000
-
-
-
20,401,040,000
-
(20,401,040,000)
(20,401,040,000)
5
6
8,202,320,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
97,000,000
353,809,440
8,653,129,440
4,422,618,000
(4,230,511,440)
(4,230,511,440)
7
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
7
8
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
10
11
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
11
12
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
12
13
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
13
14
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
14
15
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
15
16
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
16
17
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
17
18
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
18
19
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
19
20
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
20
21
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
21
22
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
22
23
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
23
24
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
24
25
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
25
26
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
26
27
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
27
28
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
28
29
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
29
30
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
17,690,472,000
15,887,234,240
15,887,234,240
30
31
31
77,600,000,000
-
291,000,000
1,061,428,320
1,352,428,320
13,267,854,000
11,915,425,680
11,915,425,680
-
9,700,000,000
35,380,944,000
122,680,944,000
442,261,800,000
319,580,856,000
319,580,856,000
IRR
Year
Disburcement
2016
201,760,000
2017
302,640,000
2018
14,394,800,000
2019
34,097,440,000
2020
20,401,040,000
2021
8,202,320,000
GTG Inspection
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
15.94%
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
Unit Cost
3.000 (eq.USC 2.50/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
77,600,000,000
116
4.12
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.5-2 NPV-FIRR Calculation (Case-2 Project Cost +10%) _ Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
221,936,000
-
-
-
221,936,000
-
(221,936,000)
(221,936,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
332,904,000
-
-
-
332,904,000
-
(332,904,000)
(332,904,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
15,834,280,000
-
-
-
15,834,280,000
-
(15,834,280,000)
(15,834,280,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
37,507,184,000
-
-
-
37,507,184,000
-
(37,507,184,000)
(37,507,184,000)
4
5
22,441,144,000
-
-
-
22,441,144,000
-
(22,441,144,000)
(22,441,144,000)
5
6
9,022,552,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
106,700,000
353,809,440
9,483,061,440
4,422,618,000
(5,060,443,440)
(5,060,443,440)
7
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
7
8
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
10
11
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
11
12
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
12
13
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
13
14
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
14
15
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
15
16
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
16
17
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
17
18
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
18
19
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
19
20
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
20
21
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
21
22
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
22
23
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
23
24
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
24
25
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
25
26
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
26
27
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
27
28
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
28
29
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
29
30
-
426,800,000
1,415,237,760
1,842,037,760
17,690,472,000
15,848,434,240
15,848,434,240
30
31
31
85,360,000,000
-
320,100,000
1,061,428,320
1,381,528,320
13,267,854,000
11,886,325,680
11,886,325,680
-
10,670,000,000
35,380,944,000
131,410,944,000
442,261,800,000
310,850,856,000
310,850,856,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
221,936,000
2017
332,904,000
2018
15,834,280,000
2019
37,507,184,000
2020
22,441,144,000
2021
9,022,552,000
85,360,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
14.59%
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
Unit Cost
3.000 (eq.USC 2.50/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost +10%
117
3.64
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.5-3 NPV-FIRR Calculation (Case-3 Project Cost -10%) _ Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
181,584,000
-
-
-
181,584,000
-
(181,584,000)
(181,584,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
272,376,000
-
-
-
272,376,000
-
(272,376,000)
(272,376,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
12,955,320,000
-
-
-
12,955,320,000
-
(12,955,320,000)
(12,955,320,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
30,687,696,000
-
-
-
30,687,696,000
-
(30,687,696,000)
(30,687,696,000)
4
5
18,360,936,000
-
-
-
18,360,936,000
-
(18,360,936,000)
(18,360,936,000)
5
6
7,382,088,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
87,300,000
353,809,440
7,823,197,440
4,422,618,000
(3,400,579,440)
(3,400,579,440)
7
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
7
8
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
9
Last year of operation …75 %
0.75
10
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
10
11
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
11
12
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
12
13
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
13
14
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
14
15
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
15
16
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
16
17
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
17
18
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
18
19
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
19
20
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
20
21
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
21
22
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
22
23
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
23
24
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
24
25
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
25
26
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
26
27
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
27
28
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
28
29
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
29
30
-
349,200,000
1,415,237,760
1,764,437,760
17,690,472,000
15,926,034,240
15,926,034,240
30
31
31
69,840,000,000
-
261,900,000
1,061,428,320
1,323,328,320
13,267,854,000
11,944,525,680
11,944,525,680
-
8,730,000,000
35,380,944,000
113,950,944,000
442,261,800,000
328,310,856,000
328,310,856,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
181,584,000
2017
272,376,000
2018
12,955,320,000
2019
30,687,696,000
2020
18,360,936,000
2021
7,382,088,000
69,840,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
17.51%
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
Unit Cost
3.000 (eq.USC2.50/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost (-10%)
118
4.70
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.5-4 NPV-FIRR Calculation (Case-4 Electricity Selling Price +10%) - Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,760,000
-
-
-
201,760,000
-
(201,760,000)
(201,760,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
302,640,000
-
-
-
302,640,000
-
(302,640,000)
(302,640,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
14,394,800,000
-
-
-
14,394,800,000
-
(14,394,800,000)
(14,394,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
34,097,440,000
-
-
-
34,097,440,000
-
(34,097,440,000)
(34,097,440,000)
4
5
20,401,040,000
-
-
-
20,401,040,000
-
(20,401,040,000)
(20,401,040,000)
5
6
8,202,320,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
97,000,000
353,809,440
8,653,129,440
4,864,879,800
(3,788,249,640)
(3,788,249,640)
7
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
7
8
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
9
Last year of operation …75 %
0.75
10
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
10
11
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
11
12
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
12
13
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
13
14
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
14
15
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
15
16
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
16
17
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
17
18
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
18
19
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
19
20
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
20
21
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
21
22
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
22
23
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
23
24
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
24
25
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
25
26
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
26
27
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
27
28
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
28
29
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
29
30
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
19,459,519,200
17,656,281,440
17,656,281,440
30
31
31
77,600,000,000
-
291,000,000
1,061,428,320
1,352,428,320
14,594,639,400
13,242,211,080
13,242,211,080
-
9,700,000,000
35,380,944,000
122,680,944,000
486,487,980,000
363,807,036,000
363,807,036,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
201,760,000
2017
302,640,000
2018
14,394,800,000
2019
34,097,440,000
2020
20,401,040,000
2021
8,202,320,000
77,600,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
17.47%
Unit Cost
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
3.300 (eq.USC 2.75/kWh) (+10%)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost
119
4.89
(DiscountRtae = 0 %)
Table 5.5-5 NPV-FIRR Calculation (Case-5 Electricity Selling Price -10%) _Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,760,000
-
-
-
201,760,000
-
(201,760,000)
(201,760,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
302,640,000
-
-
-
302,640,000
-
(302,640,000)
(302,640,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
14,394,800,000
-
-
-
14,394,800,000
-
(14,394,800,000)
(14,394,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
34,097,440,000
-
-
-
34,097,440,000
-
(34,097,440,000)
(34,097,440,000)
4
5
20,401,040,000
-
-
-
20,401,040,000
-
(20,401,040,000)
(20,401,040,000)
5
6
8,202,320,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
97,000,000
176,904,720
8,476,224,720
3,980,356,200
(4,495,868,520)
(4,495,868,520)
7
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
7
8
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
10
11
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
11
12
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
12
13
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
13
14
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
14
15
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
15
16
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
16
17
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
17
18
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
18
19
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
19
20
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
20
21
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
21
22
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
22
23
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
23
24
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
24
25
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
25
26
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
26
27
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
27
28
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
28
29
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
29
30
-
388,000,000
707,618,880
1,095,618,880
15,921,424,800
14,825,805,920
14,825,805,920
30
31
31
77,600,000,000
-
291,000,000
530,714,160
821,714,160
11,941,068,600
11,119,354,440
11,119,354,440
-
9,700,000,000
17,690,472,000
104,990,472,000
398,035,620,000
293,045,148,000
293,045,148,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
201,760,000
2017
302,640,000
2018
14,394,800,000
2019
34,097,440,000
2020
20,401,040,000
2021
8,202,320,000
77,600,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
14.15%
Item
120 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
Unit Cost
2.700 (eq.USC 2.25/kWh)(-10%)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost
120
3.49
(DiscountRtae = 0 %)
Table 5.5-6 NPV-FIRR Calculation (Case-6 Electricity Price -20%) _Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,760,000
-
-
-
201,760,000
-
(201,760,000)
(201,760,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
302,640,000
-
-
-
302,640,000
-
(302,640,000)
(302,640,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
14,394,800,000
-
-
-
14,394,800,000
-
(14,394,800,000)
(14,394,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
34,097,440,000
-
-
-
34,097,440,000
-
(34,097,440,000)
(34,097,440,000)
4
5
20,401,040,000
-
-
-
20,401,040,000
-
(20,401,040,000)
(20,401,040,000)
5
6
8,202,320,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
97,000,000
353,809,440
8,653,129,440
3,538,094,400
(5,115,035,040)
(5,115,035,040)
7
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
7
8
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
10
11
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
11
12
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
12
13
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
13
14
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
14
15
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
15
16
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
16
17
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
17
18
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
18
19
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
19
20
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
17
21
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
18
22
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
19
23
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
20
24
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
21
25
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
22
26
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
23
27
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
24
28
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
25
29
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
26
30
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
14,152,377,600
12,349,139,840
12,349,139,840
27
28
31
77,600,000,000
-
291,000,000
1,061,428,320
1,352,428,320
10,614,283,200
9,261,854,880
9,261,854,880
-
9,700,000,000
35,380,944,000
122,680,944,000
353,809,440,000
231,128,496,000
231,128,496,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
201,760,000
2017
302,640,000
2018
14,394,800,000
2019
34,097,440,000
2020
20,401,040,000
2021
8,202,320,000
77,600,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
13.46%
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
Unit Cost
2.400 (eq.USC 2.00/kWh)(-20%)
- (USD0/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost
121
2.98
(DiscountRtae = 0 %)
Table 5.5-7 NPV-FIRR Calculation (Case-7Electricity Price = Energy Conversion Cost) _Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,760,000
-
-
-
201,760,000
-
(201,760,000)
(201,760,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
302,640,000
-
-
-
302,640,000
-
(302,640,000)
(302,640,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
14,394,800,000
-
-
-
14,394,800,000
-
(14,394,800,000)
(14,394,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
34,097,440,000
-
-
-
34,097,440,000
-
(34,097,440,000)
(34,097,440,000)
4
5
20,401,040,000
-
-
-
20,401,040,000
-
(20,401,040,000)
(20,401,040,000)
5
6
8,202,320,000
6
5,896,824,000
6,192
36,513,134
0.005
-
97,000,000
353,809,440
8,653,129,440
2,588,705,736
(6,064,423,704)
(6,064,423,704)
7
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
7
8
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
10
11
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
11
12
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
12
13
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
13
14
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
14
15
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
15
16
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
16
17
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
17
18
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
18
19
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
19
20
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
17
21
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
18
22
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
19
23
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
20
24
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
21
22
25
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
26
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
23
27
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
24
28
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
25
29
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
26
30
-
388,000,000
1,415,237,760
1,803,237,760
10,354,822,944
8,551,585,184
8,551,585,184
27
31
-
291,000,000
1,061,428,320
1,352,428,320
7,766,117,208
6,413,688,888
6,413,688,888
28
-
9,700,000,000
35,380,944,000
122,680,944,000
258,870,573,600
136,189,629,600
136,189,629,600
77,600,000,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
201,760,000
2017
302,640,000
2018
14,394,800,000
2019
34,097,440,000
2020
20,401,040,000
2021
8,202,320,000
77,600,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
9.16%
Unit Cost
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Annual Discount Rate = r
1.756 (eq.USC 1.433/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
Fuel Cost (JPY/GJ)
0
Benefit/Cost
1.76
Project Cost
122
(DiscountRtae = 0 %)
Table 5.5-8 NPV-FIRR Calculation (Single Unit Case) _ Tabriz
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
108,940,000
-
-
-
108,940,000
-
(108,940,000)
(108,940,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
163,410,000
-
-
-
163,410,000
-
(163,410,000)
(163,410,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
7,772,450,000
-
-
-
7,772,450,000
-
(7,772,450,000)
(7,772,450,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
18,410,860,000
-
-
-
18,410,860,000
-
(18,410,860,000)
(18,410,860,000)
4
5
11,015,510,000
-
-
-
11,015,510,000
-
(11,015,510,000)
(11,015,510,000)
5
6
4,428,830,000
6
2,948,412,000
6,192
18,256,567
0.005
-
52,375,000
176,904,720
4,658,109,720
2,211,309,000
(2,446,800,720)
(2,446,800,720)
7
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
7
8
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
10
11
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
11
12
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
12
13
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
13
14
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
14
15
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
15
16
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
16
17
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
17
18
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
18
19
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
19
20
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
20
21
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
21
22
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
22
23
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
23
24
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
24
25
25
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
26
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
26
27
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
27
28
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
28
29
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
29
30
-
209,500,000
707,618,880
917,118,880
8,845,236,000
7,928,117,120
7,928,117,120
30
31
-
157,125,000
530,714,160
687,839,160
6,633,927,000
5,946,087,840
5,946,087,840
31
-
5,237,500,000
17,690,472,000
64,827,972,000
221,130,900,000
156,302,928,000
156,302,928,000
41,900,000,000
IRR
Year
Disburcement
2016
108,940,000
2017
163,410,000
2018
7,772,450,000
2019
18,410,860,000
2020
11,015,510,000
2021
4,428,830,000
GTG Inspection
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
14.85%
Unit Cost
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
3.000 (eq.USC 2.50/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
41,900,000,000
123
3.73
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.5-9 NPV-FIRR Calculation (Base Case-1) _ Rey
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
201,500,000
-
-
-
201,500,000
-
(201,500,000)
(201,500,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
298,220,000
-
-
-
298,220,000
-
(298,220,000)
(298,220,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
15,249,520,000
-
-
-
15,249,520,000
-
(15,249,520,000)
(15,249,520,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
35,302,800,000
-
-
-
35,302,800,000
-
(35,302,800,000)
(35,302,800,000)
4
5
20,448,220,000
-
-
-
20,448,220,000
-
(20,448,220,000)
(20,448,220,000)
5
6
9,099,740,000
6
6,115,716,000
6,138
37,538,265
0.005
-
100,750,000
366,942,960
9,567,432,960
4,586,787,000
(4,980,645,960)
(4,980,645,960)
7
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
7
8
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
10
11
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
11
12
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
12
13
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
13
14
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
14
15
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
15
16
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
16
17
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
17
18
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
18
19
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
19
20
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
20
21
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
21
22
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
22
23
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
23
24
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
24
25
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
25
26
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
26
27
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
27
28
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
28
29
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
29
30
-
403,000,000
1,467,771,840
1,870,771,840
18,347,148,000
16,476,376,160
16,476,376,160
30
31
31
80,600,000,000
-
302,250,000
1,100,828,880
1,403,078,880
13,760,361,000
12,357,282,120
12,357,282,120
-
10,075,000,000
36,694,296,000
127,369,296,000
458,678,700,000
331,309,404,000
331,309,404,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
201,500,000
2017
298,220,000
2018
15,249,520,000
2019
35,302,800,000
2020
20,448,220,000
2021
9,099,740,000
80,600,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
15.91%
Unit Cost
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
3.000 (eq.USC 2.50/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
Project Cost
124
4.11
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.5-10 NPV-FIRR Calculation (Alternative Case-1) _ Rey (H110)
[Operation for 25 years after commissioning]
Year
Project Cost
Fuel Cost
Fixed Annual O & M Cost
Variable Annual O &M
Cost
Total Cost
Electricity Sold
Net Income
K1
K2
K3
K4
K = K1+K2+K3+K4
l
NI = I - K
NPV
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
(JPY)
n
Present Value (NI)
1
141,250,000
-
-
-
141,250,000
-
(141,250,000)
(141,250,000)
1
a.
Increment annual selling energy (kWh)
2
209,050,000
-
-
-
209,050,000
-
(209,050,000)
(209,050,000)
2
b.
Averrage Heat Rate (kJ/kWh)
3
10,689,800,000
-
-
-
10,689,800,000
-
(10,689,800,000)
(10,689,800,000)
3
c.
Annual incremantal fuel consumption (GJ)
d.
Fixed annual O & M cost
4
24,747,000,000
-
-
-
24,747,000,000
-
(24,747,000,000)
(24,747,000,000)
4
5
14,334,050,000
-
-
-
14,334,050,000
-
(14,334,050,000)
(14,334,050,000)
5
6
6,378,850,000
6
3,753,124,000
6,826
25,618,824
0.005
-
70,625,000
225,187,440
6,674,662,440
2,814,843,000
(3,859,819,440)
(3,859,819,440)
7
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
7
8
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
8
First year of operation …25 %
0.25
9
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
9
Last year of operation ... 75 %
0.75
10
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
10
11
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
11
12
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
12
13
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
13
14
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
14
15
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
15
16
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
16
17
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
17
18
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
18
19
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
19
20
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
20
21
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
21
22
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
22
23
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
23
24
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
24
25
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
25
26
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
26
27
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
27
28
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
28
29
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
29
30
-
282,500,000
900,749,760
1,183,249,760
11,259,372,000
10,076,122,240
10,076,122,240
30
31
31
56,500,000,000
-
211,875,000
675,562,320
887,437,320
8,444,529,000
7,557,091,680
7,557,091,680
-
7,062,500,000
22,518,744,000
86,081,244,000
281,484,300,000
195,403,056,000
195,403,056,000
IRR
Year
GTG Inspection
Disburcement
2016
141,250,000
2017
209,050,000
2018
10,689,800,000
2019
24,747,000,000
2020
14,334,050,000
2021
6,378,850,000
56,500,000,000
Annual Averrage Cost (JPY/MWh)
Estimated Cost
14.01%
Unit Cost
Item
240 (eq. USD 2.00/MWh)
Electricity Sold (JPY/kWh)
Fuel Cost (JPY/GJ)
Annual Discount Rate = r
3.000 (eq.USC 2.500/kWh)
- (USD 0.00/MMBtu)
0
Benefit/Cost
3.46
Project Cost
125
(Discount Rate = 0 %)
Table 5.6-1 Cash Flow Analysis
Outflow
Year
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
2027
2028
2029
2030
2031
2032
2033
2034
2035
2036
2037
2038
2039
2040
2041
2042
2043
2044
2045
2046
Construction
201,760
302,640
14,394,800
34,097,440
20,401,040
8,202,320
77,600,000
OMF
OMV
Foreign Loan
Interest
Repayment
Fuel
Total
Outflow
Revenew
Inflow
Foreign
Loan-1
FL-1
Accumulated
Total
Inflow
Cash
Balamce
Accumlated
97,000
388,000
388,000
332,997
1,331,988
1,331,988
-
2,057,952
1,886,446
5,497,000
5,497,000
201,760
302,640
14,394,800
34,097,440
20,401,040
8,632,317
9,274,940
9,103,434
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
-
1,714,939
1,543,433
1,371,926
1,200,420
1,028,914
857,407
685,901
514,394
342,888
171,382
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,497,000
5,493,000
8,931,927
8,760,421
8,588,914
8,417,408
8,245,902
8,074,395
7,902,889
7,731,382
7,559,876
7,384,370
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
388,000
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
1,331,988
-
1,719,988
1,719,988
1,719,988
1,719,988
1,719,988
1,719,988
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
15,970,484
15,970,484
15,970,484
15,970,484
15,970,484
15,970,484
120,633,111
136,603,595
152,574,079
168,544,563
184,515,047
200,485,531
388,000
388,000
388,000
1,331,988
1,331,988
1,331,988
-
1,719,988
1,719,988
1,719,988
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
15,970,484
15,970,484
15,970,484
216,456,015
232,426,499
248,396,983
388,000
388,000
388,000
291,000
1,331,988
1,331,988
1,331,988
998,991
-
1,719,988
1,719,988
1,719,988
1,289,991
17,690,472
17,690,472
17,690,472
13,267,854
17,690,472
17,690,472
17,690,472
13,267,854
15,970,484
15,970,484
15,970,484
11,977,863
264,367,467
280,337,951
296,308,435
308,286,298
9,700,000
33,299,700
-
199,935,702
442,262,000
508,222,000
308,286,298
308,286,298.40
Foreign Loan Interest
13,376,002
65,960,000
3.12
4,422,818
17,690,472
17,690,472
12,523,500
29,665,000
17,748,900
6,022,600
Unit: 1000JPY
Cash Balance
65,960,000
12,523,500
42,188,500
59,937,400
65,960,000
60,463,000
54,966,000
12,523,500
29,665,000
17,748,900
10,445,418
17,690,472
17,690,472
-201,760
-302,640
-1,871,300
-4,432,440
-2,652,140
1,813,101
8,415,532
8,587,038
-201,760
-504,400
-2,375,700
-6,808,140
-9,460,280
-7,647,179
768,353
9,355,391
49,469,000
43,972,000
38,475,000
32,978,000
27,481,000
21,984,000
16,487,000
10,990,000
5,493,000
-
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
17,690,472
8,758,545
8,930,051
9,101,558
9,273,064
9,444,570
9,616,077
9,787,583
9,959,090
10,130,596
10,306,102
18,113,936
27,043,987
36,145,545
45,418,609
54,863,179
64,479,256
74,266,839
84,225,929
94,356,525
104,662,627
Benefit/Cost
126
3.97
第6章.プロジェクト実施に伴う環境面への効果および影響
6.1
既設発電所の環境面での問題点
(1) イランにおける環境関連の法制度に関しては、第 2 章の『イランにおける電力事情に関
わる基礎調査』に係る添付資料「イラン電力セクター(電力事業及び電力系統関連)調
査」5.発電プロジェクト実施上の留意点、(1)環境規制との関係を参照。
(2) 既設タブリーズ発電所の運転上の大きな問題は、重油での運転時の排気ガスに含まれる
SOx 排出量と、重油および天然ガス燃料燃焼での NOx のレベル高いことであり、環境規制
局から削減するよう強く求められている。因みに現在の排出レベルとイランにおける規
制値は次のとおりである。
現在のレベル
規制値
削減ターゲット
SOx
1,500 ppm(vd)
700 ppm(vd)
500 ppm(vd)
NOx
450 ppm(vd)
300 ppm(vd)
300 ppm(vd)
因みに、重油に含まれる硫黄レベルは 3 ~4%程度である。
上記に関連して、発電所では排煙脱硫による DeSOx、および SCR による DeNOx の採用
を計画中であるが、経済制裁の影響もあり実現には至っていない。新規ガスタービン
コンバインドサイクル発電所の建設に先立って、これら環境対策工事が必要になる。
(3) 一方、レイ発電所については、現状では環境規制をクリアしており、特に問題とな
る点は見受けられない。
127
6.2
環境評価の項目
環境評価を行う項目は世銀 (World Bank)の[Environmental, Health, and Safety General
Guideline]に準拠することとし、プロジェクト実施に先立って環境アセスメント調査を実
施し、環境庁傘下の規制局よりの認可を受ける必要がある。
環境影響評価の項目としては、次のようなものがあり、調査・予測評価を行う。なおプロ
ジェクト実施中には予測評価に対する実測に基づくモニタリング調査を行うと伴に、影響
評価を実施する。
 大気環境
大気質 (硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、浮遊塵 PM10 &PM2.5、オゾン等)
騒音
(暗騒音、工事中の騒音、発電設備完成後の運転時の騒音等)
振動
(輸送トラックによる振動、工事中の振動、発電所完成後の騒音)
悪臭
(工事中の悪臭、発電所完成後の悪臭)
風害
 水環境
水質
(原水の分析値、処理水の水質、排水の分析値)
地下水
(水質および水位)
水象
 土壌環境・その他の環境
地形・地質
地盤
(地盤沈下)
土壌
(土壌汚染)
交通量
電波障害
 生物の多様性確保・自然環境の体系的保全
陸生生物 (重要な種、貴重な種および群落・注目すべき生息地)
水生生物 (重要な種、貴重な種および群落・注目すべき生息地)
生態系
(地域を特徴づける生態系)
128
 人と自然との豊かな触れ合いの確保
景観
(主要な眺望点および景観資源並びに主要な眺望景観)
人と自然との触れ合いの活動の場( 人と自然との触れ合いの活動の場)
 歴史的文化的遺産等への配慮
(遺跡・文化財等)
 環境への負荷
廃棄物等 (廃棄物・副産物)
温室効果ガス等の排出
調査・予測評価の結果を踏まえ、必要な環境保全対策および環境保全措置を確立する必要
がある。
尚、環境影響評価項目の詳細については添付資料「イラン電力セクター(電力事業及び電
力系統関連)調査」参照。
129
6.3
環境影響評価
プロジェクト実施に伴う環境・社会に与える影響の度合いによりカテゴリーA,カテゴリ
ーB,カテゴリーC の3つに分けられる。今回のような大容量火力発電所の開発では通常
カテゴリーA に分類されるが、本プロジェクトは、既存発電所内での機器増設のプロジェ
クトであり、環境・社会に与える影響が非常に限定されることからカテゴリーB に分類可
能なケースに相当すると考えられる。
それらの最終判断はイランにおける環境規制当局である環境庁によってなされるが、ファ
イナンスを実施する JBIC および関連市中銀行の判断も尊重される。
発電所の建設を早急に進めるためには、EIA Study の早期実施および認可の取得が必要で
あることから、先ずカテゴリー分けの確認が必要になる。
新設ガスタービンコンバインドサイクル発電所からの環境汚染物質の大気への排出は、窒
素酸化物 NOx のみで、既存ボイラからの排出濃度が 450 ppm(dv)なのに対しガスタービン
からの排出は 25 ppm(dv)と排出濃度は 18 分の一と非常に小さく、対地濃度に与える影響
は許容できるものである。
新規発電所から放出される排水は、HRSG からのブロウダウン水、および水処理装置より
のイオン交換樹脂洗浄水が主であり、中和処理の後排水されるが、量的には非常に限られ
た量となる。
一方、温室効果ガスの排出は、既存発電所の CO2 排出量が 577 gr/kWh に対して、新規ガス
コンバインドサイクル発電所では 308 gr/kWh と、ほぼ半減する。
130
6.4
環境汚染物質排出量の削減
既設発電所における環境汚染物質の排出量と新規建設の高効率ガスコンバインドサイクル
発電所にて期待される排出量を比較すると、プロジェクト実施により、次のように大幅に
削減できることが判る。
表 6.1
Sox、NOx、CO₂排出量の比較
(1)タブリーズ発電所
SOx
NOx
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分3.5%)
①既設発電所
通常型火力発電所
1500 ppm(vd)
[約4.3gr/Nm3]
0 ppm (dv)
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
450 ppm (vd)
[約 924
mg/Nm3]
450 ppm (vd)
[約 924
mg/Nm3]
重油燃焼時
天然ガス燃焼時
25 ppm (vd)
[約 51 mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
②新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
200 ppm(vd)
[約0.57gr/Nm3]
CO₂
0 ppm (dv)
既設に比べ
86.7%減
既設に比べ
46.7%減
既設に比べ
94.4%減
重油燃焼時 天然ガス燃焼時
(熱効率32%)
(熱効率32%)
763 gr/kWh
577 gr/kWh
軽油燃焼時 天然ガス燃焼時
(熱効率60%)
(熱効率60%)
407 gr/kWh
308 gr/kWh
既設に比べ
46.7%減
既設に比べ
46.6%減
(2)レイ発電所
SOx
NOx
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
①既設発電所
通常型火力発電所
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率22%)
天然ガス燃焼時
(熱効率22%)
200 ppm (vd)
[約 411
mg/Nm3]
200 ppm (vd)
[約 411
mg/Nm3]
1,110 gr/kWh
840 gr/kWh
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率60%)
天然ガス燃焼時
(熱効率60%)
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
407 gr/kWh
308 gr/kWh
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
63.3%減
既設に比べ
63.3%減
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
軽油燃焼時
(熱効率54%)
天然ガス燃焼時
(熱効率54%)
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
25 ppm (vd)
[約 51
mg/Nm3]
452 gr/kWh
342 gr/kWh
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
87.5%減
既設に比べ
59.3%減
既設に比べ
59.3%減
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
②新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
(M701F5 )
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
軽油燃焼時
天然ガス燃焼時
(硫黄分0.5%)
③新規建設
ガスタービンコン
バインドサイクル
(H-100(110))
200 ppm(vd)
[約
0.57gr/Nm3]
0 ppm (dv)
CO₂
131
6.5
推奨事項
これまで述べてきたように、本プロジェクトは既存発電所内での発電設備の増設であり、
当然のことながら発電所は自然保護区には指定されていない。且つ、本プロジェクトでは
既存発電所構内に新規高効率ガスコンバインドサイクル発電所を増設するものであり、増
設用用地は既に確保されている。即ち、新たに土地を取得したり山林や農地を発電所用地
に転用するものでなく、造成工事による自然破壊をもたらさない。但し、煙突からの排気
ガスや一般排水は増加するので、これらの環境負荷の増大が周辺環境にどう影響するかの
予測評価を、EIA 調査で行うことになる。
サイト近傍には景勝地等が存在せず、景観への影響は無い。また、サイトの近傍には歴史
的・文化的な重要な遺産や遺跡も確認されておらず、特に問題は無いと考えられる。
プロジェクトサイトおよび周辺地域において、本プロジェクトの実施に伴う環境への影響
については、環境モニタリングを適切に行うことにより影響を最小化する必要がある。周
辺大気質および排ガス性状、取水水質、排水水質、温排水水質、騒音・振動および植生等
につき建設工事前、建設工事中、運転開始後のモニタリングを継続し、EIA における予測
値との比較評価を行い、プロジェクト実施に伴う環境への影響を検証する必要がある。
本プロジェクトの実施に当たっては環境アセスメント関連法令に従い、事前に EIA を実施
する必要がある。具体的にはプラント実施に当たって守るべきイランにおける環境規制値
の確認、該当する基準がない場合には世銀のガイドラインに従うことを明確にし、現状の
環境測定、規制値との比較評価を行い、次に発電設備を増設した場合の環境影響評価を加
味し、規制値を順守できることを確認し予測値を確立、モニタリングを通して検証するこ
とになる。
以上のように、既存発電所における現状把握、および発電所増設後の環境への影響を予測
評価することにより、本プロジェクトが的確に実施され電力不足の解消と環境保全に寄与
できる。
132
6.6
JBIC の環境配慮手続き
この項目では、本プロジェクトの資金源として国際協力銀行(JBIC)の輸出金融を活用す
る想定のもと、JBIC による環境配慮手続きを考察する。
JBIC としては、プロジェクト実施主体者による環境配慮が適切に行われることを促すとと
もに、これを適確かつ効率的に審査・チェックすることを目的として、そのための手続き
等に係る指針として、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(旧環境
ガイドライン)を 2009 年 7 月 21 日付で改訂・公表し、2009 年 10 月1日より施行してい
る(公庫ガイドライン)。2012 年 4 月の株式会社国際協力銀行設立に伴い、「公庫ガイド
ライン」に記載された機関名を『株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行』から『株式
会社国際協力銀行』に変更する等、文言を一部修正(現環境ガイドライン)。現環境ガイ
ドラインは、公庫ガイドラインからの内容の実質的な変更はない。
以下に手続きの概略を述べる。
なお、新環境ガイドラインについては、JBIC ホームページ上にて閲覧できる。
http://www.jbic.go.jp/ja/about/environment/guideline/business/pdf/pdf_01.pdf
6.6.1
環境社会配慮確認手続き
i) スクリーニング(融資検討初期段階)
借入人等が提出するスクリーニングフォームに基づき、JBIC が各プロジェクトを、A,
B, C の 3 カテゴリーに分類する。カテゴリーA, B は環境影響が大きくなり得るプロ
ジェクトという認識である。
カテゴリーA
環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つプロジェク
ト
カテゴリーB
カテゴリーA に比べて環境への望ましくない影響が小さいと思わ
れるプロジェクト
(一般的に影響がサイト自身に限られ、通常の方策で対応可能な
プロジェクト)
133
カテゴリーC
環境への望ましくない影響が最小限、或いは全くないと考えられ
るプロジェクト
a)JBIC 支援金額が 10 百万 SDR 相当円以下
b)通常であれば環境影響が予見されないと考えられるセクタ
ーやプロジェクト(国際収支支援、既存設備メインテナン
ス、追加設備投資を伴わない権益取得等)
c)特定プロジェクトと関連のない機器等の単体輸出入・リー
ス等、プロジェクトに関する借入人や JBIC の関与が小さ
く、環境レビューを行う意義に乏しいと合理的に考えられ
る場合。
カテゴリーF1
JBIC 融資が金融仲介者等に対して行われ、JBIC の融資承諾前に
具体的なサブプロジェクトが特定できない場合。
ii) カテゴリー別環境レビュー(融資決定前)
分類されたカテゴリー毎に、以下の通り必要な環境影響の確認をし、方策を評価す
る。
カテゴリーA
・環境影響を確認し、改善を図るための方策を評価する
・借入人等から環境アセスメント報告書(Environment Impact
Assessment=EIA)及び相手国政府等の環境許認可証明書の提出
・大規模非自発的住民移転が発生するプロジェクトの場合、住民
移転計画の提出
・先住民族移転の為の対策を要するプロジェクトの場合、先住民
族計画の提出
カテゴリーB
・環境影響を確認し、改善を図るための方策
・借入人等から提供される情報に基づきレビュー
・環境アセスメント報告書は必須ではない
カテゴリーC
・スクリーニング以降の環境レビュー省略
カテゴリーF1
・JBIC は金融仲介者等を通じ、環境社会配慮が確保されるよう
確認する
134
iii) モニタリング(融資契約締結後)
カテゴリーA、B のプロジェクトについては、一定期間、プロジェクト実施主体者によ
るモニタリングの内、重要な環境影響項目につき、借入人を通じ、そのモニタリング
結果の確認を行う。
モニタリングフォームに含む項目はプロジェクト毎に定められ、その内容は融資契約
書に記載される。モニタリングフォーム作成の際には、環境チェックリストを参考と
する。モニタリングに必要な情報は、適切な方法により、借入人等により報告される
必要がある。また必要に応じ JBIC が自ら調査を実施することがある。第三者等から、
環境社会配慮が十分でないなどの具体的な指摘があった場合は、JBIC はその指摘を借
入人に伝達するとともに、必要に応じて借入人を通じプロジェクト実施主体者による
適切な対応を促す。
6.6.2
JBIC の環境社会配慮確認にかかる情報公開
JBIC は、スクリーニングを終了したときはできるだけ速やかに、プロジェクトの名称、
国名、場所、プロジェクト概要、セクター、カテゴリー分類及びその根拠を公開する。
カテゴリー A、B のプロジェクトについては、環境アセスメント報告書及び相手国政府等
の環境許認可証明書等、借入人から入手した環境社会配慮に関する主要な文書の入手状
況を JBIC の web site 上に掲載し、環境アセスメント報告書等を速やかに公開する。
融資契約締結後、カテゴリー A、B、F1 プロジェクトについては、環境レビュー結果を一
般の閲覧に供することとし、web site 上で公開する。現在公開されているのは環境スク
リーニングフォームである。
6.6.3
意思決定、融資契約等への反映
JBIC は適切な環境社会配慮がなされるよう借入人を通じてプロジェクト実施主体者に働
きかける。適切な環境社会配慮がなされない場合、理論的には融資等の実行停止、期限
前償還も出来る仕組みとなっている。ただし、現実的には様々な影響を鑑み、融資等の
実行停止、期限前償還に至る事例は少ないと思われる。
135
6.6.4
ガイドラインの適切な実施・遵守のための異議申し立て受付
JBIC は、環境ガイドラインの遵守に向けて、内部に投融資担当部署から独立した環境ガイ
ドライン担当審査役を設置しており、開発途上国住民等からの申し立てを受け付ける異議
申し立て手続きを 2003 年 10 月より導入している。異議申し立てがあった場合、環境ガイ
ドライン担当審査役が、独立・中立的な立場から調査を行い、その結果を JBIC 経営責任
者に報告するとともに、当事者間のコミュニケーションを促しながら問題解決を図ってい
く。
6.6.5
JBIC ガイドラインの火力発電所建設に関連する環境配慮事項
本項では、JBIC ガイドラインで示されている環境配慮事項チェックリストの分類・項目の
うち、火力発電所の建設である本プロジェクトの特性を踏まえて必要と考えられる分類・
項目に対して、予備的な環境影響予測・評価を行う。JBIC ガイドラインで示されている環
境配慮事項のチェック項目、およびそれらに対する予備的な環境影響予測・評価の結果を
以下の表 6-2 に示す。
136
表 6.2
分類
チェック
項目
大気質
予備的な環境影響予測・評価の結果
影響予測・評価
な
不
大 小
し
明
●
水質
●
廃棄物
●
土壌汚染
●
騒音・振
動
●
汚染対策
地盤沈下
悪臭
●
底質
●
保護区
●
生態系・
生物相
自然環境
●
●
水象
●
地形・地
質
●
跡地管理
●
予測・評価理由
対策・対処方針
NOx を含む排ガス放出量の
増大による大気質への影響
が見込まれる
継続的な環境モニタリング、
排ガスの排出基準を満たす設
備の導入と適切な維持管理
排水排出量が増えるもの
の、微増で水質への大きな
影響は見込まれない
継続的な環境モニタリグ、排
水基準を満たす設備の導入と
適切な維持管理
建設工事時の廃棄物発生が
見込まれる
土壌汚染の現状、汚染制御
の取り組みの有無等が不明
工事時および発電所の稼働
に伴うサイト内・周辺での
騒音が見込まれる
安定した地盤であり、地盤
沈下は想定できない
発電所の稼働に伴う排ガス
の排出、アンモニアや塩素
の使用による悪臭の発生が
見込まれる
底質に影響を及ぼす行為は
想定されない
保護区はサイト近辺には立
地していない
サイト内・周辺において、
上述の汚染源による生態
系・生物相への影響が見込
まれる
水冷式復水器の採用によ
り、補給水の量がほとんど
ゼロに近い状態になり影響
はほとんどない
現状の地形の変更はなく、
地質条件も既存発電所と同
条件
本プロジェクトにおいて既
存施設の撤去やその跡地管
理は見込まれていない
137
工事時の廃棄物処理の実施
現地調査による現状把握、汚
染物質管理体制の構築
継続的な環境モニタリング、
騒音を低減する設備の導入、
工事時間規制
現地調査による現状把握
継続的な環境モニタリング、
定期的な設備点検による漏洩
の防止
なし
なし
継続的な環境モニタリング、
上述の各種汚染対策の実施
現地調査による現状把握、継
続的な環境モニタリング
現地調査による現状把握
なし
住民移転
生活・生
計
●
●
文化遺産
景観
●
●
社会環境
少数民
族・先住
民族
その他
●
労働環
境・労働
安全
●
地域社会
の衛生・
安全・保
安
●
工事中の
影響
●
事故防止
対策
●
モニタ
リング
●
サイトはタブリーズ発電所
所有の遊休地であり、住民
移転は発生しない
なし
工事車両の通行等に伴う地
域経済・インフラへの一時
的な負の影響が見込まれる
サイト周辺のコミュニテ
ィも含めた現地調査によ
る現状確認、現状を踏ま
えた影響緩和策の検討
文化遺産はサイト近辺には
立地していない
増設する発電所の建屋、煙
突等が景観を阻害する恐れ
がある
少数民族・先住民族はサイ
ト内・周辺には居住してい
ない
現状の労働環境や、労働安
全に係るマニュアル・規則
の遵守により、影響をミニ
マイズする
なし
サイト内・周辺への植林
などによる景観への影響
緩和
なし
既設発電所の労働者等へ
の労働環境の聞き取り調
査、マニュアル・規則の
遵守状況の確認
サイト周辺のコミュニティ
への影響はあまり考えられ
ない
現地調査を通した、周辺
コミュニティの現状と予
測される影響の確認
工事車両の通行等に伴う地
域経済・インフラへの一時
的な負の影響、工事に伴う
騒音・振動の影響が見込ま
れる
労働者に対する事故防止マ
ニュアル遵守の徹底・労働
者への訓練の実施
サイト周辺のコミュニテ
ィも含めた現地調査での
現状確認、経済活動の阻
害要因の緩和、地域交通
への配慮、工事時間規制
現地調査による現状把
握、労働者への訓練の実
施
社会面も含めたモニタリ
ング対象項目の拡大、実
施中の環境モニタリング
の継続
工事中及び完成後の社会面
へのモニタリングへの実施
汚染対策の中で、特に大きな影響が予測される項目としては大気質への影響が挙げられ、
継続的な環境モニタリング、排ガスの排出基準を満たす設備の導入と適切な維持管理等の
対策が必要である。また、水質、廃棄物、土壌汚染、騒音・振動、悪臭についても、継続
的な環境モニタリングや機器の維持管理・点検等の対策を講じる必要がある。
自然環境については、発電所の増設に伴うサイト内・周辺の生態系・生物相への影響が見
込まれ、特に前述の汚染源への適切な対策がなされない場合に、負の影響が増大すること
が予想される。また、水象及び地形・地質への影響を見極めるには、今後の現地調査を通
した現状把握が必要となる。
138
社会環境・その他については、サイト周辺コミュニティに対して、工事時の工事車両の通
行等に伴う地域経済・インフラへの一時的な負の影響、工事に伴う騒音・振動の影響等が
見込まれる。ただし、より詳細にそれらの影響を見極めるには、周辺コミュニティも含め
た現地調査を通した実態把握が必要であり、その結果を踏まえ、経済活動の阻害要因の緩
和、地域交通への配慮、工事時間規制といった対策を講じる必要がある。
139
第 7 章 プロジェクト実施に伴う経済面への効果および影響
現在イランの電力消費量は 2004 年度から 2014 年度の 10 年間で 124TWh から 220TWh へ
と 76%増加した。需要は補助金改革よる電力料金の急騰がみられた 2011 年度に一時停滞
したが、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間での年平均伸び率は
5.8%であった。しかし本年一月の核開発に関わる経済制裁の解除に伴う経済の活性化や
工業生産の急増等に伴う電力需要が急増することが想定されている。
一方、発電設備の定格容量は、2004 年度から 2014 年度の 10 年間で 37,400 MW から
73,152 MW へと年平均で 7.0%増加した。従来はこれら発電設備の殆どがエネルギー省所
有であったが、2013 年以降、エネルギー省以外が所有による発電設備の設備容量が大き
く増加し、2014 年度には過半を占めるに至っている。ただ発電設備の内 30 年以上経年
した老朽設備も多く、それら効率の低い設備の更新または高効率化が喫緊の課題となっ
ている。
現在電力系統の予備率を適正な値に保つためには約 4,200 MW 設備が不足していると計
算されている。これらの不足分を含め安定した電力系統の運営のためには早急な設備増
強が求められている。これら設備増強については政府としても様々な電力セクターに関
わる政策が出されており 2016 年から始まる第 6 次 5 ヵ年計画では次の 3 つの目標が掲
げられている。
 生産性向上を伴う安定的かつ持続的な電力供給
-
発電、送電、配電の効率向上
-
電力産業の経済的改善
 エネルギー消費の効率的な管理
-
エネルギー消費の管理およびガイドラインの改革
-
電力産業における技術水準の向上
 電力部門の持続的かつ均衡的発展
-
エネルギー源および発電技術の多様化
-
再生可能エネルギー発電能力の向上
-
環境汚染物質発生の削減
140
本プロジェクトの実施に伴い、上記目標に寄与するのみならず、系統全体での発電効率
の向上、発電設備信頼度の向上、発電設備稼働率の向上に寄与することが期待される。
またプロジェクトが実施された場合には 36 ヶ月という長期にわたり建設工事が実施さ
れる見通しで、現地での雇用が増加するという副次的効果も期待できる。
本プロジェクトで用いる高効率なガスタービンコンバインドサイクルは老朽化したガス
タービンに較べ燃料消費率が半分以下となりイラン経済および環境に与える効果は非常
に大きいものと考えられる。
141
Ⅲ.結
142
び
III. 結び
本調査の結果、イラン・イスラム共和国における電力事情は本年一月の核開発に
関わる経済制裁解除に伴いより逼迫することがており、需給バランス改善のため
には急速な発電設備の増強が喫緊な課題となっている。
本プロジェクトでは高効率ガスタービンコンバインドサイクル発電設備をタブリ
ーズ火力発電所またはレイガスタービン発電所に建設しようというもので ISO 定
格での発電端出力で 1,050 MW、熱効率 61.0%の最新型のプラントの建設を推奨す
るものである。
本プロジェクトの実施に伴いイラン政府の次の目標に寄与するのみならず系統全
体での発電効率の向上、発電設備信頼度の向上、発電設備稼働率の向上に寄与す
ることが期待される。
イラン政府の電力セクターにおける目標:
 生産性向上を伴う安定的かつ持続的な電力供給
 エネルギー消費の効率的な管理
 電力部門の持続的均衡的発展
またプロジェクトが実施された場合には 36 ヶ月という長期にわたり建設工事が実
施される見通しで、現地での雇用が増加するという副次的効果も期待できる。
本プロジェクトで用いる高効率なガスタービンコンバインドサイクルは老朽化し
たガスタービンに較べ燃料消費率が半分以下となりイラン経済および環境に与え
る効果は非常に大きいものと考えられる。
謝辞
最後に、本「事業実施可能性調査」実施に伴いイラン政府エネルギー省・イラン
発電公社 (TPPH) 等関係機関およびタブリーズ火力発電所・レイガスタービン発
電所・シャリアテガスタービンコンバインドサイクル発電所関係者の方々の多大
なるご協力とご支援を賜り、心より深謝するしだいである。
143
添 付 図 面

#1-1
PLOT PLAN DRAWING (Tabriz Power Station) [M701F5]

#1-2
TYPICAL PLOT PLAN (Tabriz Power Station) [M701F5 1 on 1 x 4 BLOCKS]

#1-3
TYPICAL LAYOUT (1/3)

#1-4
TYPICAL LAYOUT (2/3)

#1-5
TYPICAL LAYOUT (3/3)

#2-1
PLOT PLAN DRAWING (Rey Power Station) [M701F5]

#2-2
TYPICAL PLOT PLAN (Rey Power Station) [M701F5 1 on 1 x 2]

#2-3
TYPICAL LAYOUT (1/3)

#2-4
TYPICAL LAYOUT (2/3)

#2-5
TYPICAL LAYOUT (3/3)

#3-1
PLOT PLAN DRAWING (Rey Power Station) [H-100(110)]

#3-2
TYPICAL PLOT PLAN (Rey Power Station) [H-100(110) 2 on 1 x 4]

#4
SINGLE LINE DIAGRAM (Tabriz Power Station)

#5
SINGLE LINE DIAGRAM (Rey Power Station)

#6
DISTRIBUTED CONTROL SYSTEM CONFIGURATION (Tabriz) [M701F5 1 on 1 x 2]

#7
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FUEL GAS SYSTEM

#8
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FUEL OIL SYSTEM

#9
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM PLANT WATER SYSTEM

#10
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM WASTE WATER TREATMENT SYSTEM

#11
CONCEPTUAL FLOW DIAGRAM FIRE FIGHTING SYSTEM

#12-1 HEAT BALANCE DIAGRAM (Tabriz) [M701F5 1 on 1]

#12-2 HEAT BALANCE DIAGRAM (REY) [M701F5 1 ON 1]
イラン電力セクター
(電力事業及び電力系統関連)調査
(最終報告書)
2016 年 3 月 18 日(金)
一般財団法人 海外投融資情報財団
目次
ページ
目次 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- i
図表目次 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- ii
要約 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------- iv
1.
電力需給動向------------------------------------------------------------------------------------------ 1
(1) 需要動向 -------------------------------------------------------------------------------------------------- 1
(2) 供給動向 -------------------------------------------------------------------------------------------------- 4
2.
発送配電設備の状況------------------------------------------------------------------------------- 10
(1) 発電設備 ------------------------------------------------------------------------------------------------ 10
(2) 送配電設備 --------------------------------------------------------------------------------------------- 13
3.
電力料金動向---------------------------------------------------------------------------------------- 16
4.
電力セクターの政策と計画 --------------------------------------------------------------------- 18
(1) 電力セクター政策 ------------------------------------------------------------------------------------ 18
(2) 供給能力増強計画 ------------------------------------------------------------------------------------ 25
5.
発電プロジェクト実施上の留意点 ------------------------------------------------------------ 34
(1) 環境規制との関係 ------------------------------------------------------------------------------------ 34
(2) 燃料供給リスク --------------------------------------------------------------------------------------- 38
(3) ファイナンス等の問題 ------------------------------------------------------------------------------ 40
別表 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 43
i
図表目次
図 1-1
用途別の電力需要推移 --------------------------------------------------------------------------- 1
図 1-2
用途別の需要構成(2014 年度) -------------------------------------------------------------- 2
図 1-3
用途別需要家件数の推移 ------------------------------------------------------------------------ 2
図 1-4
季節ごとの需要変動 ------------------------------------------------------------------------------ 3
図 1-5
地域別、月別の需要変動(2014 年度) ----------------------------------------------------- 3
図 1-6
負荷率の推移 --------------------------------------------------------------------------------------- 4
図 1-7
発電プラント所有者別の定格設備容量推移 ------------------------------------------------ 5
図 1-8
電源別の定格設備容量推移 --------------------------------------------------------------------- 5
図 1-9
発電プラント稼働率の推移 --------------------------------------------------------------------- 6
図 1-10 リザーブマージン 26%に対する稼働設備容量の不足分推移 -------------------------- 6
図 1-11 発電プラント所有者別総発電量の推移 ------------------------------------------------------ 7
図 1-12 電源別総発電量の推移 --------------------------------------------------------------------------- 7
図 1-13 電源別の総発電量構成(2014 年度)-------------------------------------------------------- 8
図 1-14 州別発電量と売電量(2014 年度)----------------------------------------------------------- 8
図 1-15 近隣諸国との電力輸出入状況 ------------------------------------------------------------------ 9
図 1-16 相手国・地域別電力輸出の推移 --------------------------------------------------------------- 9
図 1-17 相手国・地域別電力輸入の推移 ------------------------------------------------------------- 10
図 2-1
定格設備容量ベースの発電プラント構成(2014 年度)------------------------------ 10
表 2-1
稼働中の民間発電プラント概要 ------------------------------------------------------------- 11
図 2-2
発電量ベースの発電プラント構成(2014 年度)--------------------------------------- 12
表 2-2
発電量の電源別、発電プラント別構成(2014 年度)--------------------------------- 12
表 2-3
再生可能エネルギー発電プラントの所有者別、技術別の設備容量
(2015 年 7 月 31 日時点) --------------------------------------------------------------------- 12
図 2-3
稼働開始年度別、電源別発電プラントの建設状況 ------------------------------------- 13
図 2-4
火力発電プラントの発電効率推移 ---------------------------------------------------------- 13
図 2-5
電圧別の送配電線延長推移 ------------------------------------------------------------------- 14
図 2-6
送電線の年数別構成(2014 年度) --------------------------------------------------------- 14
図 2-7
変圧器の定格容量の推移 ---------------------------------------------------------------------- 15
図 2-8
変圧器の年数別構成(2014 年度) --------------------------------------------------------- 16
ii
図 3-1
用途別電力料金の推移 ------------------------------------------------------------------------- 16
図 3-2
品目別の消費者物価上昇率の推移 ---------------------------------------------------------- 17
表 4-1
第 6 次 5 カ年計画における電力部門関連の諸事項 ------------------------------------- 19
図 4-1
エネルギー省傘下企業 ------------------------------------------------------------------------- 22
表 4-2
再生可能エネルギー発電の買取保証価格 ------------------------------------------------- 25
表 4-3
投資誘致対象の発電プロジェクト ---------------------------------------------------------- 27
表 4-4
発電プラントの稼働開始計画 ---------------------------------------------------------------- 29
表 4-5
非政府部門による再生可能エネルギー発電プロジェクトの進捗状況 ------------- 26
表 4-6
2016 年度予算案に計上されている発電プロジェクト--------------------------------- 31
表 4-7
投資誘致対象の送電プロジェクト ---------------------------------------------------------- 32
表 4-8
2016 年度予算案に計上されている送電プロジェクト--------------------------------- 33
図 5-1
排出源別の CO2 排出量推移 ------------------------------------------------------------------ 34
図 5-2
発電における燃料使用量の推移 ------------------------------------------------------------- 38
表 5-1
天然ガス消費の用途別内訳 ------------------------------------------------------------------- 39
表 5-2
サウスパースガス田の開発状況 ------------------------------------------------------------- 40
表 5-3
売電契約締結済みで進捗が見られない民間発電案件 ---------------------------------- 41
別表 1 用途別、契約形態別のメーター数(2014 年度末) ------------------------------------- 43
別表 2 発電プラントの稼働状況(2014 年度) ---------------------------------------------------- 49
別表 3 下水排出に関する規制基準 -------------------------------------------------------------------- 52
iii
要約
1.電力需給動向
イランの電力需要は 2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 124TWh から 220TWh
へと 76%増加した。需要は、補助金改革による電力料金の急騰がみられた 2011 年度に一
時停滞したが、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間の年平均伸び率は
5.8%であった。2014 年度の用途別需要構成は、産業用と家庭用が主でそれぞれ 33.8%と
32.4%を占める。需要家件数は、2004 年度には約 1,900 万件であったが、2014 年度には
3,100 万件を超えた。圧倒的多数は家庭用で 2,600 万件弱、業務用が 400 万件弱でそれに
続く。イランの電力需要は、夏季にピークを迎える傾向があり、負荷率は概ね 60%台後半
で推移している。
定格設備容量は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 37,300MW から
73,152MW へと、年平均 7.0%増加した。従来はエネルギー省所有の発電プラントが殆ど
であったが、2013 年度以降、それ以外の所有によるプラント設備容量が大きく増加し、
2014 年度には過半を占めるに至った。電源別に最も伸びが高かったのは再生可能エネルギ
ーで、この 10 年間の年平均増加率 47.2%、続いてガスタービンとコンバインドサイクル
が同 10.5%ずつであった。一方、同期間に稼働率は 90.6%から 87.5%へとやや低下し
た。稼働率が最も低いのはディーゼル発電プラントで 60%台、ガスタービンやコンバイン
ドサイクルの発電プラントも 80%台前半の稼働率にとどまっている。エネルギー省は、
2014 年度の稼働設備容量につき、リザーブマージン 26%を基準とすると 4,251MW 不足
していたと計算している。
地域別の需給状況をみると、首都を擁するテヘラン州では消費量が発電量を大きく上回
っている一方、カスピ海に面したギーラーン州、南部のブシェール州やファールス州、テ
ヘラン州西隣のガズヴィーン州などでは供給が需要を大きく上回っている。イランは近隣
諸国との電力輸出入も行っており、最も輸出量が多いのがイラク向け(2014 年度
6.1TWh)
、次いでトルコ向け(同 2.2TWh)となっている。輸入は、ここ数年、トルクメ
ニスタンやアルメニア等から 4TWh 弱を調達している。
2.発送配電設備の状況
2014 年度の定格設備容量の電源別構成は、ガスタービンが最大で 36.1%、続いてコン
バインドサイクル 25.3%、スチーム 21.6%等となっている。同じくプラントの所有者別に
は、エネルギー省が 47.9%、その他が 52.1%という構成である。発電量ベースでは、コン
iv
バインドサイクルの構成比が容量ベースより 10 ポイント高い。コンバインドサイクルや
ガスタービンは民間プラントによる発電が多く、スチームその他ではエネルギー省所有プ
ラントによる発電が多い。2000 年代にスチームからガスへと発電の主流が移り、コンバイ
ンドサイクルもその時期に登場した。2014 年度の火力発電プラント全体の平均発電効率は
36.3%である。
送配電線の延長は、この 10 年間に 400kV は年平均 5.4%、230kV は同 2.4%、132kV
は同 3.3%、66kV 及び 63kV は同 2.9%伸びた。電線敷設年数は、230kV では 11 年以上
を経過したものが多いが、400kV では 6~10 年の比率も比較的高い。送電線はすべて
Tavanir の所有である。変電所は、従来、400kV 及び 230kV 系統は TPPH が、132kV 及
び 63kV 系統は地域電力会社と Tavanir がそれぞれ所有していたが、今後、順次、テヘラ
ン地域電力会社が入札を実施する予定である。この 10 年間に、400kV、230kV、
132kV、66kV 及び 63kV 系統の変圧器の定格容量は、それぞれ年平均 7.8%、4.7%、
6.5%、5.5%増加した。
3.電力料金動向
イランの電力料金は、補助金によって低水準に抑えられていたが、2010 年末に補助金を
削減する政策が導入され、2011 年度に大幅に上昇した。2014 年度の全用途平均電力料金
は 2010 年度よりも 26.0%高い 525.60 リアル/kWh となっている。用途別には産業用料金
が高く、農業用や家庭用の料金が低い。
現在の電力料金は電力生産コストより低い水準で、イラン政府はこれを等しくすること
を目標としている。但し、基本的な生活費の上昇につながる料金の値上げは国民の反発を
招き易い問題であり、その実現可能性は定かではない。
4.電力セクターの政策と計画
電力政策を含め、イランの経済政策全般は、原則 5 年ごとに定められる 5 カ年計画に基
づいて策定されている。2016 年は、新たな第 6 次 5 カ年計画期間(2016 年 3 月 20 日~
2021 年 3 月 19 日)に入る年であり、専門の作業部会から、BOO 等による発電能力の増
強、ガスコンバインドサイクル発電への転換等を通じた発電効率の改善、電力市場の整
備、再生可能エネルギー発電の促進等を目指す内容の政策が提案されている。予算審議と
の関連等から、第 6 次 5 カ年計画を今年度中に決定することは難しい模様であるが、電力
政策に関しては現在の提案から大きく外れた内容になることはないとみられている。
v
供給能力の増強に関しては、今後 5 年間、年平均 7~10%伸びるとみられる国内需要を
満たし、かつ近隣諸国への輸出増も目指すため、毎年 5,000MW、5 年間で計 25,000MW
を増設し、2021 年度までに設備容量を 100GW まで増強する計画である。このうち、太陽
光、風力等の再生可能エネルギー発電を今後 5 年間で 10GW 導入する予定である一方、天
然ガス発電のシェアも維持する方針である。新規のプラントは、F クラス以上のタービン
を利用し、発電効率 58%以上を達成する高効率のガスコンバインドサイクル発電が条件と
される。既存発電所の発電効率向上を目指すプロジェクトとしては、ガス発電にスチーム
発電を加えるコンバインドサイクル化や、老朽化発電プラントから古いボイラシステムを
取り除き、ガスタービンや熱回収スチーム発電機を設置して出力を増加させるリパワリン
グが計画されている。
5.発電プロジェクト実施上の留意点
発電プラントの建設にあたっては、環境行政当局からの認可取得が重要なポイントであ
る。他の手続きをすべてクリアしたにも関わらず、環境関連の認可が取得できずに行き詰
ったプロジェクトが過去に何件かあったとのことである。大気汚染防止法は、イランの
CO2 排出の 30%以上を占める発電プラントにとくに関わりの深い法律である。また、発電
プロジェクトは環境アセスメントの実施を義務付けられており、社会的・経済的・文化的
環境への影響も含めた広範な項目に関する報告を行わなければならない。イランでは水資
源不足が深刻な問題となっていることから、水利用関連の許認可取得がとくにポイントで
あるとも指摘される。
発電における天然ガス利用を増やすとの政府方針の下、能力増強計画に見合った燃料供
給が確保されるかどうかにも注意が必要である。天然ガスに対する需要は、発電だけでな
く他の消費部門でも大きく伸びる見通しであり、政策的にも伸張が図られている。イラン
の天然ガス生産は、制裁解除によって今後の増加が見込まれるものの、開発プロジェクト
の推進には 200 億ドルの外資導入が必要とも言われる。発電向けの供給が十分に確保され
るだけの生産増がタイムリーに実現するか、見守る必要がある。
vi
1.電力需給動向
(1) 需要動向
イランの電力需要(消費量)は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 124TWh か
ら 220TWh へと 76%増加した1。
需要は、
補助金改革による電力料金の急騰がみられた 2011
年度に一時停滞したが2、その後また以前と同様の伸びを取り戻し、この 10 年間の年平均伸
び率は 5.8%であった。用途別には、農業用、業務用、産業用の需要がそれぞれ年平均 8.6%、
7.0%、6.3%と全体を上回る伸び率で、家庭用需要の伸び率は全体と同じく年平均 5.8%、
公共サービス用需要の伸び率は全体を下回る年平均 2.8%であった(図 1-1)。
図 1-1 用途別の電力需要推移
出所: Tavanir, “Statistical Report on 48 Years of Activities of Iran Electric Power Industry (1967-2014)”,
December 2015
2014 年度の用途別需要構成は、産業用と家庭用が主でそれぞれ 33.8%と 32.4%を占
め、農業が 16.0%でそれに続いている(図 1-2)。
イランの年度は、年により、西暦の 3 月 20 日又は 21 日から始まる 1 年間となっている。本稿で 2014
年度という場合、2014 年 3 月 21 日から始まるイラン暦 1393 年度を指す。
2 電力料金の動向については p.16 を参照。
1
1
図 1-2 用途別の需要構成(2014 年度)
出所:図 1-1 に同じ
需要家件数は、2004 年度には約 1,900 万件であったが、2014 年度には 3,100 万件を超え
た。圧倒的多数は家庭用で 2,600 万件弱、業務用が 400 万件弱でそれに続く(図 1-3)。こ
の期間の需要家 1 件あたりの電力需要は、農業用や公共サービス用ではやや減少している
が、産業用、業務用、家庭用では若干増えている。2014 年度末の契約形態ごとの需要家件
数の状況は、巻末別表のとおりである(別表 1)。
図 1-3 用途別需要家件数の推移
出所:図 1-1 に同じ
2
イランの電力需要は、夏季にピークを迎える傾向がある(図 1-4)。地域別、月ごとの需要
変動は下図のとおりであり、年平均需要電力の最大供給電力に対する比率(負荷率)は概ね
60%台後半で推移している(図 1-5、1-6)。
図 1-4 季節ごとの需要変動
出所:エネルギー省, “Energy Balance Sheet”, 2013
図 1-5 地域別、月別の需要変動(2014 年度)
出所:Tavanir, “Statistics on Iran’s Electricity Industry: Production”,2014、
エネルギー省, “Balance Sheet”, 2013
3
図 1-6 負荷率の推移
出所:図 1-1 に同じ
(2) 供給動向
定格設備容量は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 37,300MW から 73,152MW
へと、年平均 7.0%増加した。従来はエネルギー省所有の発電プラントが殆どであったが、
2013 年度以降、それ以外の所有による発電プラントの設備容量が大きく増加し、2014 年度
には過半を占めるに至った(図 1-7)。電源別に最も伸びが高かったのは再生可能エネルギー
で同じ 10 年間の年平均増加率 47.2%、続いてガスタービンとコンバインドサイクルが同
10.5%ずつであった(図 1-8)。
同期間に、稼働設備容量は 33,802MW から 63,987MW と年平均 6.6%の増加で、稼働率
は 90.6%から 87.5%へとやや低下した。稼働率が最も低いのはディーゼル発電プラントで
60%台、ガスタービンやコンバインドサイクルの発電プラントも 80%台前半の稼働率にと
どまっている(図 1-9)。エネルギー省は、2014 年度の稼働設備容量につき、リザーブマー
ジン 26%を基準にすると 4,251MW 不足していたと計算している(図 1-10)。
4
図 1-7 発電プラント所有者別の定格設備容量推移
出所:図 1-1 に同じ
図 1-8 電源別の定格設備容量推移
出所:図 1-1 に同じ
5
図 1-9 発電プラント稼働率の推移
出所:図 1-1 に同じ
図 1-10
リザーブマージン 26%に対する稼働設備容量の不足分推移
出所:図 1-1 に同じ
総発電量は、2004 年度から 2014 年度までの 10 年間に 163TWh から 274TWh へと年平
均 1.5%増加した。以前はエネルギー省所有の発電プラントによる発電が殆どであったが、
その比率は 2013 年度から大きく減り、2014 年度には半分を下回っている(図 1-11)。電源
別には、ガスタービンやコンバインドサイクル発電が増えており、スチーム発電は減少して
いる(図 1-12)。
6
図 1-11 発電プラント所有者別総発電量の推移
出所:図 1-1 に同じ
図 1-12 電源別総発電量の推移
出所:図 1-1 に同じ
2014 年度の電源別発電量の構成は、設備容量ではガスタービンに次いで 2 番目であった
コンバインドサイクルが 35.3%で最も多く、次いでスチームが 31.2%、ガスタービン 26.7%、
水力 5.1%、再生可能エネルギー1.7%となっている(図 1-13)。
7
図 1-13 電源別の総発電量構成(2014 年度)
出所:図 1-1 に同じ
地域別の需給状況をみると、首都を擁するテヘラン州では消費(売電)量が供給(発電量)
を大きく上回っている一方、カスピ海に面したギーラーン州、南部のブシェール州やファー
ルス州、テヘラン州西隣のガズヴィーン州などでは供給が需要を大きく上回っている(図 114)。
図 1-14 州別発電量と売電量(2014 年度)
出所:Tavanir, “Statistics on Iran’s Electricity Industry: Production”,2014、
Tavanir, Statistics on Iran’s Electricity Industry: Supply, 2014
8
イランは、イラクやトルコなど国境を接している国々に対し、小規模ではあるが電力を輸
出している(図 1-15)。最も輸出量が多いのがイラク向けで、2014 年度には 6.1TWh を輸
出した。トルコ向けがそれに続き、2014 年度の輸出は 2.2TWh であった。各国・地域への
輸出量の推移は下図のとおりで、2007 年度以降、2013 年度までに 5 倍程度にも規模を拡
大させてきたが、2014 年度には輸出余力の減少に加え、イラクで送電線がイスラム国に占
拠されたこともあり、輸出量が大きく減少した(図 1-16)。輸入は、ここ数年、トルクメニ
スタンやアルメニア等から 4TWh 弱を調達している(図 1-17)。
図 1-15 電力輸出入状況
アルメニア
アゼルバイジャン
ナヒチェバン
注: 矢印の太さは、輸出入量の大きさについてのイメージを表す。
出所:http://gundembugun.blogspot.jp/2013/04/the-turkey-russia-iran-nexus-eurasian.html の地図上に
矢印を加筆
図 1-16 相手国・地域別電力輸出の推移
出所:図 1-1 に同じ
9
図 1-17 相手国・地域別電力輸入の推移
出所:図 1-1 に同じ
2.発送配電設備の状況
(1) 発電設備
2014 年度の定格設備容量の電源別構成は、ガスタービンが最大で 36.1%、続いてコンバ
インドサイクル 25.3%、スチーム 21.6%等となっている。同じく発電プラントの所有者別
には、エネルギー省が 47.9%、その他が 52.1%という構成である(図 2-1)。2015 年 10 月
時点で稼動している民間発電プラントは、次ページの表のとおりである(表 2-1)。
図 2-1
①
定格設備容量ベースの発電プラント構成(2014 年度)
電源別
②
プラント所有者別
出所:Tavanir, “Statistical Report on 48 Years of Activities of Iran Electric Power Industry (1967-2014)”,
December 2015
10
表 1-1 稼働中の民間発電プラント概要
South Isfahan
Rudshur
Kahnuj 2
Fersoosi (Tus)
Asaluyeh 2
Kashan
Nooshahr
Khorramshahr
1
Ali Abad
BOT
BOO
BOO
BOO
BOO
BOO
BOO
MAPNA
Aryan Mahtab Gostar
Aryan Mahtab Gostar
MAPNA
MAPNA
Rah-Avard Kalay Iran
Aryan Mahtab Gostar
954
792
75
954
942
324
50
2005
2007
2007
2008
2009
2009
2009
電源
ガス
ガス
ガス
ガス
ガス
ガス
ガス
ガス
BOO
Moastazafan Foundation
972
2010
ガス
BOO
SANA, MAPNA
972
2010
Zavareh
BOO
Persian Steel
484
2012
Paresar
BOT
MAPNA
968
2012
Fars
BOT
MAPNA
972
2012
Ganaveh
BOO
MAPNA
484
2012
Shirkuh- Yazd
1
BOO
Farab
484
2012
ガス
コンバインド
サイクル
コンバインド
サイクル
ガス
コンバインド
サイクル
コンバインド
サイクル
プラント名
プロジェクト
タイプ
投資家
設備容量
(MW)
運転開
始年
Aryan Mahtab Gostar,
50
2012
Roshan Gostar Tus
Kahnuj
BOO
Aryan Mahtab Gostar
324
2013
Ardakan
BOO
Chadormalu
332
2014
出所:TPPH、
「民間発電プラントプロジェクトの最新状況」
、2015 年 10 月 20 日
Sarakhs
BOO
ガス
ガス
ガス
同年度の発電量ベースの構成は、電源別にはコンバインドサイクルが全体の 35.3%と設
備容量ベースの構成比より 10 ポイント高く、逆にガスは 9.4 ポイント低い。プラント所有
者別には、エネルギー省の構成比が 44.9%と、設備容量構成比より 3 ポイント低くなって
いる(図 2-2)。
電源とプラント所有者をクロスでみると、コンバインドサイクルやガスタービンは民間
プラントによる発電が多く、スチームその他ではエネルギー省所有プラントによる発電が
多い(表 2-2)。再生可能エネルギー発電は政府(エネルギー省)所有のプラントが多いが、
風力では政府の半分ほど民間所有のプラントもあり、バイオマスは民間のみが実施してい
る(表 2-3)。
稼働開始時期別に電源ごとの発電プラントの建設状況をみると、2000 年代にスチームか
らガスへと主流が移り、
コンバインドサイクルも登場した(図 2-3)。プラントの発電効率は、
コンバインドサイクルが続けて導入され始めた 2000 年前後に大きく向上し、2014 年度の
火力発電プラント全体の平均発電効率は 36.3%となっている(図 2-4)。
2014 年度の発電プラント稼働状況に関する詳細情報は、巻末別表のとおり(別表 2)。
11
図 2-2 発電量ベースの発電プラント構成(2014 年度)
① 電源別
②
プラント所有者別
出所:図 2-1 に同じ
表 2-2 発電量の電源別、発電プラント別構成(2014 年度)
(単位:%)
スチーム
エネルギー省
大企業
民間
合計
エネルギー省
大企業
民間
合計
出所:図 2-1 に同じ
70.1
2.9
27.0
100.0
48.8
39.2
15.9
31.2
ガスタービン
29.5
5.2
65.3
100.0
17.6
60.8
33.0
26.7
コンバインド
サイクル
23.6
0.0
76.4
100.0
18.6
0.0
51.0
35.3
その他
99.7
0.0
0.3
100.0
15.1
0.0
0.0
6.8
合計
44.9
2.3
52.8
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
表 2-3 再生可能エネルギー発電プラントの所有者別、技術別の設備容量
(2015 年 7 月 31 日時点)
(単位:MW)
所有者
政府
民間
合計
技術
98.86
55.90
154.76
風力
7.20
0.51
7.71
太陽光
0.00
10.50
10.50
バイオマス
62.40
0.44
62.88
小規模水力
168.46
67.35
235.85
合計
出所:Bahram Taheri エネルギー省大臣補佐官, “The Role of RE+EE in the Iranian Low Carbon Policy”,
20th Reform Group Meeting, Salzburg (On the Way to COP21 in Paris, Climate Protection Policy,
Carbon Markets and Sustainability Agenda), Aug. 31st-Sept. 4, 2015 プレゼンテーション資料
12
図 2-3 稼働開始年度別、電源別発電プラントの建設状況
出所:Tavanir, “Statistical Report on 48 Years of Activities of Iran Electric Power Industry (19672014)”, December 2015
図 2-4 火力発電プラントの発電効率推移
出所:図 2-1 に同じ
(2) 送配電設備
2014 年度の送配電線延長は、400kV が 19,995km、230kV が 30,732km、132kV が
22,918km、
63kV 及び 66kV が 47,105km であった。
この 10 年間に 400kV は年平均 5.4%、
13
230kV は同 2.4%、132kV は同 3.3%、66kV 及び 63kV は同 2.9%伸びている(図 2-5)。敷
設からの年数は、230kV では 11 年以上を経過したものが多いが、400kV では 6~10 年の
比率も比較的高い(図 2-6)。電線の殆どが架空であり、2014 年度は 400kV の地中電線はな
く、230kV、132kV、63kV 及び 66kV の地中電線延長はそれぞれ 74km、58km、1,492km
であった。送電線はすべて Tavanir(Iran Power Generation Transmission & Distribution
Management Company)が所有している。
図 2-5 電圧別の送配電線延長推移
出所:図 2-1 に同じ
図 2-6 送電線の年数別構成(2014 年度)
出所:図 2-1 に同じ
14
変電所は、従来、400kV 及び 230kV 系統は TPPH が、132kV 及び 63kV 系統は地域電
力会社と Tavanir がそれぞれ所有していた。今後、400kV 及び 230kV 系統の 84 カ所を
TPPH からテヘラン地域電力会社に移管して設備購入に関する入札を実施予定である。
132kV 及び 63kV 系統の変電所については既にテヘラン地域電力会社が入札を実施し、応
札者を評価しているところである3。
2014 年度の変圧器の定格容量は、400kV 系統が 57,143MVA、
230kV 系統が 75,024MVA、
132kV 系統が 29,269MVA、63kV 及び 66kV 系統が 65,601MVA となっている。この 10 年
間にそれぞれ年平均 7.8%、4.7%、6.5%、5.5%の伸びである(図 2-7)。400kV 系統の変圧
器は 10 年以下のものが容量ベースで 50%を超えるが、230kV 系統の変圧器は 20 年を超す
ものも多く、35 年超の比率が同じく容量ベースで 10%を上回る(図 2-8)。
図 2-7 変圧器の定格容量の推移
出所:図 2-1 に同じ
変電所に関しては、2016 年 2 月の TPPH との面談による。TPPH、Tavanir、地域電力会社等、エネル
ギー省傘下企業の関係については、p.22 の図 4-1 を参照。
3
15
図 2-8 変圧器の年数別構成(2014 年度)
出所:図 2-1 に同じ
3.電力料金動向
イランの電力料金は、補助金によって低水準に抑えられていたが、2010 年末に補助金を
削減する政策が導入され、2011 年度に大幅に上昇した(図 3-1)。2014 年度の全用途平均電
力料金は 2010 年度よりも 26.0%高い 525.60 リアル/kWh となっている。用途別には産業
用料金が高く、農業用や家庭用の料金が低い。
図 3-1 用途別電力料金の推移
出所:Tavanir, “Statistical Report on 48 Years of Activities of Iran Electric Power Industry (1967-2014)”,
December 2015
16
現在の電力料金は電力生産コストより低い水準であり、イラン政府はこれを等しくする
ことを目標としている。但し、基本的な生活費の上昇につながる料金の値上げは国民の反発
を招き易い問題であり、これまでも住宅や電気、ガス、水道等の料金の値上げは平均小売物
価上昇率(CPI)より低率に抑えられてきた(図 3-2)。CPI より高率での電力料金値上げ検
討に関する報道も見受けられるが4、その実現可能性は定かではない。ちなみに、ロウハニ
政権の下で CPI は劇的に低下しており、ピーク時の 40%超から 2016 年 1~2 月期には
8.9%となっている。
(2011 年度=100)
図 3-2 品目別の消費者物価上昇率の推移
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(年度)
凡例:
総合指数、
食料品、
衣料品、
住宅、水、電気、ガス他燃料
出所:イラン中央銀行, “Consumer Price Index for All Urban Consumers (December 22, 2015 – January
20, 2016)
たとえば、2015 年 9 月 17 日付 IRNA は、イランエネルギー輸出産業協会会長の発言として、政府が物
価上昇率より 5~10%高い電気・水料金値上げ計画を検討していると伝えている。又、2015 年 11 月 29
日付 ISNA は、エネルギー省傘下の企業である国家上下水エンジニアリング会社(National Water &
Wastewater Engineering Company)エネルギー部長が、次年度の電力料金が 10~25%引き上げられる
可能性があると指摘したと伝えている。
4
17
4.電力セクターの政策と計画
(1) 政策の基本方針
電力政策を含め、イランの経済政策全般は、原則 5 年ごとに定められる 5 カ年計画(経
済・文化・社会開発 5 カ年計画)に基づいて策定されている。2016 年は、新たな第 6 次 5
カ年計画期間(2016 年 3 月 20 日~2021 年 3 月 19 日)に入る年である。
第 6 次 5 カ年計画は、2015 年 7 月にハメネイ最高指導者からロウハニ大統領への書簡の
中 で 大 枠 の ガ イ ド ラ イ ン が 示 さ れ 5 、 同 10 月 に 計 画 の 起 草 を 担 当 す る 行 政 計 画 庁
31 項目の経済政策ガイドラインは以下のとおり。
1- 国家の能力と資源を存分に活用し、持続可能で迅速な経済成長(計画期間中の年平均成長率 8%)を達
成する。
2- 事業環境と競争的な市場構造を継続的に改善する。
3- 「抵抗経済(自立経済を促進するための一連の政策)
」の目標実現にあたり、非政府組織の能力を活用
する。
5
4- 相互の経済貿易関係をとくに東南アジア諸国と拡大し、貿易や輸送のハブとなり、他国と二国間ある
いは多国間の通貨(米ドルやユーロ以外の相手国通貨による決済)協定を締結する。
5- 金融市場及びその手段(貨幣市場、資本市場、保険)を発展させ、金融システムの透明性と統合性を
国内外の個人や企業の参加を通じて高め、投資を奨励し、経済的安定を促進し、事業活動におけるリスク
を削減する。
6- 銀行を通じ、中小企業に融資する。
7- 保険市場及びその手段(競争的市場、再保険等)を国内外の個人や企業の参加を通じて改善し、投資
を奨励し、経済的安定を促進し、事業活動におけるリスクを削減する。
8- 様々なインセンティブを通じ、外国人や在外イラン人による投資を奨励する。
9- イラン中央銀行(CBI)による市場や銀行、金融・信用供与機関への監督を広範に実施し、規制対象で
ない金融・信用供与機関に対する統制を行い、より透明性を高める。
10-石油ガス収入の 30%をイラン国家開発基金(NDFI)に移転し、毎年、最低 2%ずつその比率を高め
ることを恒久的な規定とする(現在は 5 カ年計画に基づき、この比率が決められている)
。
10-1 NDFI の口座管理を CBI から独立させる。
10-2 NDFI から非政府部門に対し、ハードカレンシーによるインセンティブを供与する。
10-3 NDFI の支出を予算や法律上の義務から独立させる。
10-4 NDFI がハードカレンシーによる所得の 20%までを商業銀行に預ける代わりに、当該銀行は、農業
部門、中小企業、コーペラティブ部門に対するイランリアルによる信用供与のためのクレジットラインを
開設する。
11- 石油ガスのバリューチェーンを完成させ、GDP 当たりのエネルギー消費を削減する。
12- 民間企業が憲法第 44 条の一般ガイドラインの枠組みに従って行う石油ガス田の探鉱・探査・開発に
対する投資をサポートする。
13- 再生可能エネルギーのシェア及び小規模発電プラントの数を増加させる。
14- 補助金改革プランを、とくに工業生産と雇用の促進、効率改善、社会正義の促進に力点を置いて完全
に実現する。
15- 随伴石油ガスプロジェクトへの民間参入を奨励する。
16- 石油ガス産業のバリューチェーンを完成させ、エネルギー効率の良い製品の生産を拡大させることに
より、石油ガス部門の付加価値を高める。
17- 石油ガス産業の上流及び下流において知識集約型企業を設立、発展させることにより、設計、エンジ
ニアリング、設備製造、組立における自給率を高める。
18- 石油ガス田からの最終的な回収率を高めるため、回収率の継続的な改善を図る。
19- 政府の支援により、低開発地域、地方、沿海部、島嶼部に新たな経済機会を創造する。
18
(Management Planning Organization, MPO)が草案を国会に提出した。同ガイドライン
の中で電力セクターに言及しているのは、「再生可能エネルギーのシェアを増大させ、小規
模発電プラントの数を増やす」との第 13 項目だけであるが、MPO が主体となって設置し
たエネルギー・電力専門ワーキンググループが 2015 年 2 月に決定した「第 6 次 5 カ年計画
における電力部門関連の諸事項」では、3 つの目標を掲げ、それぞれについてより具体的な
戦略、施策を提案している(表 4-1)。
表 4-1 第 6 次 5 カ年計画における電力部門関連の諸事項
1
2
目標
生産性向上を伴
う安定的かつ持
続的な電力供給


戦略
発電、送電、配電の効率
向上
電力産業の経済的改善




エネルギー消費・需要 
の管理及びガイドライ
ンの改革


電力産業における技術
水準の向上
3 電力部門の持続 
エネルギー源及び発電 
再生可能エネルギー発電への非政府部門参入
的かつ均衡的発
技術の多様化
の拡大
展

再生可能エネルギー発 
再生可能エネルギー発電からの電力購入保証
電能力の向上

再生可能エネルギーの発展に対する金融支援

環境汚染物質の発生の
削減
出所:第 6 次 5 カ年計画エネルギー・電力専門ワーキンググループ決定(2015 年 2 月 3 日)
エネルギー消
費・需要管理の
効率化

実施政策
管理された需要に応じた発電能力の拡大
電力産業への非政府部門の参入の拡大
電力産業の生産性向上
電力産業の発展のために必要となる資金調達
制度の改善
電力消費や電力供給機器・設備に関する基準の
向上と発展
消費制御を通じた電力網の安全性の改善
第 6 次 5 カ年計画については、2016 年 1 月から MPO の草案に基づく閣議を開始してい
るが、具体的な審議は、2016 年度予算の成立後に開始されるものと目される。予算審議は
20- 地方開発のためのプランを資源の公平な配分、新しい経済機会の創出、基礎的インフラの改善、ロー
カルビジネスへの支援を通じて実施する。
21- 南部 Chabahar-Khorramshahr 沿海ベルト地帯の海運経済を、とくに Makran 沿海地域に焦点を当
てて開発する。
22- ジニ係数 0.43 を達成する。
23- 海上貿易を拡大し、戦略的立地に特別経済地域を建設する。
24- 鉄道輸送を発展させ、その分野において比較優位を作り出す。
25- 鉄等及びターミナル施設のアップグレードや、国の鉄道を周辺地域や国際的な輸送回廊と接続して輸
出や通過を増やすことにより、鉄道貨物輸送を発展させる。
26- 鉱工業部門の付加価値を高め、輸出を増大させる。
27- 製造業やせービス部門における現代的技術を採用し、企業化(商業化)を進め、域内及び国際市場に
おいて強いプレゼンスを発揮する。
28- 戦略的産業(石油、ガス、石油化学、運輸、新素材、建設、情報通信技術、宇宙、海洋、農業、水
等)に優先順位を付け、これらの部門に現在的な技術を導入する。
29- 国内産業への原料供給を、鉱物製品のためのバリューチェーン完成に力点を置いて優先する。
30- 標準化や品質管理システムの変更に向けたロードマップを開発し、実施する。
31- 包括的かつ効率的な国家統計システムを確立する。
19
2 月 26 日の国会選挙後に本格化する見通しである。したがって、第 6 次 5 カ年計画や 2016
年度予算が 2015 年度内に成立することは極めて難しい状況であるが、
電力政策に関しては、
現在出されている案から大きく外れた内容になることはないとみられている6。
上述のエネルギー・電力専門ワーキンググループは、第 6 次 5 カ年計画期間中の電力政
策として、以下の諸措置も提案している。
1 関連 供給力拡大
〔インフラ整備〕


発電
エネルギー省に対し、発電建設を申し出る非政府部門の企業に許可書を発行し、国内
外の国営、共同組合や民間の投資家を通じて BOO や BOT により、あるいは各企業
の内部資金を用い、管理された需要に応じた発電能力の増加を図ることを認める。

国家開発基金(National Development Fund of Iran, NDFI)は、上記のようなプロ
ジェクトのために優先的に融資を行わなければならない。電力購入保証価格は、投資
の利益率が NDFI の融資基準に達する水準に設定されなければならない。

エネルギー省傘下の企業に対し、老朽化している低効率発電所の高効率最新型火力発
電所への代替、スチーム発電所の能力増強(アップグレード)及び電力ロスの削減を
提案する非政府部門の企業とバイバック契約を結ぶことを許可する。


送配電
政府は、送電設備や配電設備等に使用する費用として、十億ユーロ相当のイランリア
ル建て金額を毎年の国家予算に計上しなければならない。

建設中の発電プロジェクトや送電・配電プロジェクトを完了させるため、発電所の売
却収入の少なくとも 75%をエネルギー省やその傘下企業に割り当てる。

エネルギー省に対し、光ファイバー網の売却から得られる資金の全額を送電または配
電網の建設のために利用することを許可する。
供給力拡大に関しては、毎年 5,000MW 程度の発電設備容量拡大を目指す旨、エネルギー
省から繰り返し発表されている。この設備増強に必要な投資額は年間 70~80 億ドルと見込
まれており、既に 250 億ドル規模の投資プロジェクトが用意されている7。これらのプロジ
6
7
2016 年 2 月のテヘラン出張における現地関係者の見方による。
Tavanir 長官発言(2015 年 11 月 11 日、Fars News Agency)。
20
ェクト資金は、NDFI や国内外の投資家によって賄う方針である8。送配電設備の拡充にも
年間 20 億ドルの投資を必要としており、そのための奨励策を採用するとしている。
発電効率の改善は、ガスコンバインドサイクル発電への転換等を通じて実現する方針で、
足元 36~37%程度の発電効率を 2025 年までに 52%まで高める目標である。ロス率削減に
関しては、現状、18%台である送配電ロス率を 2025 年までに 15%とすることを目指して
いる9。
〔電力市場の整備〕

エネルギー省は、設備容量証明書に基づく電力取引所を設立し、需要者が、エネルギ
ー取引所や非政府発電供給者を通じて MW 単位の電力を調達できるような仕組みを
構築しなければならない。
〔事業の経済性確保〕

政府は、コントラクターや民間の電力販売社への未払いの契約金を支払うために、3
年満期の「イスラム国庫証券」を発行しなければならない。

第 6 次 5 カ年計画終了時点に電力料金がその生産コストに等しくなるよう、平均の販
売料金を毎年少なくとも 25%引き上げることをエネルギー省に対して許可する。電
力料金が生産コストを下回る水準に設定されている間は、MPO が、その差額を毎年
の国家予算を通じてエネルギー省やその傘下企業に支払われるようにしなければな
らない。エネルギー相からの要請があれば、それをエネルギー省及び傘下企業の借金
や税金と相殺することもできる。

第 6 次 5 カ年計画開始以降、補助金付き料金の設定は農業部門と家計部門のみに許可
される。政府は、電力販売に関する控除ないし割引制度に伴う費用(補助金等の財源)
を一般歳入から調達し、エネルギー省に支払わなければならない。
なお、上述の提案の中に「エネルギー省やその傘下企業」という言葉がたびたび出てくる
が、エネルギー省傘下の企業は下ページの図のとおり(図 4-1)。
エネルギー省電力担当次官発言(2015 年 11 月 8 日、ISNA)。
この段落の記述内容は、イランが温室効果ガス排出削減目標(2025 年までに政府資金により 30%削
減、同じく国際的な技術・資金支援を得て 34%削減)を達成するために UNFCCC に示した政策の抜粋
(Climate Change Legislation IRAN 2015)
。
8
9
21
図 4-1 エネルギー省傘下企業
エネルギー省
Ministry of Energy
立法支援及び国会問題担当次官
水及び下水担当次官
エネルギー及び電力担当次官
調査及び人事担当次官
計画及び経済問題担当次官
Deputy of Legislation Support
and Parliament Affairs
Deputy of Water
and Sewage
Deputy of Energy
and Electricity
Deputy of Research
and Human Resources
Deputy of Planning
and Economic Affairs
Iran Water Resources
Management Company
Iran Water and Power Resources
Development Company
Thermal Power Plants Holding
Company (TPPH)
Tavanir Holding Company
地域電力会社
Regional Electricity Company (REC)
火力発電
送電
配電
400kV 及び 230kV 系統変電
132kV 及び 63kV 系統変電
水力発電
Iran Grid Management Company (IGMC)
Iran Power Plant Repairs Company
Iran Renewable Energy Organization(SUNA)
再生可能エネルギー発電
Iran Energy Efficiency Organization (SABA)
Azerbaijan
Bakhtar
Fars
Gharb
Gilan
Hormozgan
Isfahan
Kerman
Khorassan
Khuzestan
Mazandaran
Semnan
Sistan & Baluchestan
Tehran
Yazd
Zanjan
出所:エネルギー省, “Electric Power Industry in Iran (2012-2013)” を基に、2016 年 2 月の面談情報等を加味して作成
22
2 関連 需要管理
〔基準整備〕

イラン国家標準機構(Iran National Standard Organization, INSO)は、エネルギ
ー消費ラベル(製品のエネルギー消費効率を示すラベル)に関する最新の情報を毎月
公表しなければならない。

INSO は、民間によるエネルギー消費ラベル実験所建設や拡大を奨励するための仕組
みを導入しなければならない。

第 6 次 5 カ年計画開始以降、エネルギー消費ラベルで効率が「A」以下の電力消費型
機器・設備の輸入を禁止する。

道路・都市開発省は、石油省、エネルギー省、内務省、鉱工商業省、INSO 及び MPO
との協力の下、政府や公共関連の建物・施設におけるエネルギー消費基準に関する規
則を作成しなければならない。
〔消費制御〕

年間 1,000 ㎥以上の燃料油に相当する燃料、もしくは 1MW 以上の電力量を使用する
エネルギー消費ユニットがエネルギー消費基準を守らない場合、そのユニットに対す
るエネルギー料金は、猶予期間終了後、担当機関により引き上げられる。

電力消費ピーク時間帯における電力供給の能力及び安全性を向上するために、すべて
の契約者、とくに各省庁、製造業、大規模農業は、年間 300 時間の消費量に相当する
電力消費量を削減しなければならない。

配電各社は、非合法な電力消費をなくすための対策として、公費による(その分の費
用を料金に上乗せしない)配電設備を暫定的に整備しなければならない。
3 関連 再生可能エネルギー発電の促進
〔非政府部門参入支援〕

政府は、第 6 次 5 カ年計画期間中に増加する発電能力に占める再生可能エネルギー
(小規模水力を含む)発電所のシェアが 5%に達するよう、非政府部門の投資を優先
するとともに、国産機器・設備の使用が最大になるように計画しなければならない。

エネルギー省は、非政府部門による 100MW 以上の火力発電の建設を、その発電所の
定格設備容量の 3%に相当する電力を再生可能エネルギーから生産することを条件に
許可することができる。

エネルギー省は、上記の発電所による再生可能エネルギー発電電力を購入しなければ
23
ならない。又、上記の発電所は、再生可能エネルギー発電を行わない場合、課徴金を
支払わなければならない。課徴金の計算は非政府部門の再生可能発電所の平均稼働率
を基準とし、当該発電所からの平均電力買取保証価格の 2 倍とする。

第 6 次 5 カ年計画開始 2 年目から、1MW 以上の需要を持ち、環境保護の基準や規制
を守っていないと環境庁に認定された環境汚染ユニットは、発電所を建設するか、電
力購入契約の 10%に相当する電力量を再生可能エネルギー発電事業者から調達しな
ければならない。この規則に違反したユニットには罰金が課せられる。
再生可能エネルギー発電の促進に関しては、第 6 次 5 カ年計画の終了時点(2021 年)ま
でに発電設備容量合計 10 万 MW のうち、再生可能エネルギー発電の設備容量を 5,000MW
にする計画である。なかでも風力発電所に関しては、建設の意向がある民間投資家に直ちに
建設許可書を発行するとしており、投資回収も短期間であると主張して投資を促している
10。
〔金融支援〕

エネルギー省は、所定の料金基準に基づいて再生可能エネルギーから生産される電力
を購入するか、その輸出に対してトランジット料金を徴収せずに許可書を発行しなけ
ればならない。

エネルギー省に対し、農村地域における配電網の修理・維持・発展と再生可能エネル
ギー発電電力購入に必要な資金を、農村地域以外の消費者から徴収する課金によって
調達することを許可する。
再生可能エネルギー発電の買取保証価格は、採用技術や規模に応じて次のとおり定め
られている(表 4-2)。この表に示された価格は実質水準で維持され11、次の 10 年間はこれ
に 0.7 を乗じた価格とされる12。再生可能エネルギー発電の買取保証価格は再生可能エネ
ルギー発電の設備容量拡大につれて低減させる方針であり、具体的な水準の設定について
は Renewable Energy Organization of Iran(SUNA)が責任を持つこととされている。
エネルギー省電力担当次官発言(2014 年 2 月 27 日、Ettelaat 紙)
。
実質価格を等しくするための調整方法は、Economic Council Act 第 3 条注釈 3 に基づく。
12 風力発電プラントについては、最初の 10 年間の生産ファクター40%以上の場合は次の 10 年間から 0.4
を乗じ、同じく生産ファクター20%未満の場合は 1 を乗じ、20%以上 40%未満の場合は適切な値を乗じ
ることとする。
10
11
24
表 4-2 再生可能エネルギー発電の買取保証価格
技術の種類
電力購入保証価格
左記買取額
(リアル/kWh)
保証年数
2,900
20
バイオマス 埋め立て廃棄物
3,150
20
嫌気性消化
5,870
20
焼却
4,060
20
風力
50MW 超
4,970
20
50MW 以下
5,930
20
1MW 以下
5,600
20
太陽光
10MW 超
6,750
20
10MW 以下
8,730
20
100 キロワット以下
9,770
20
20 キロワット以下
5,770
20
地熱
1,800
10
ターボエクスパンダ
3,050
10
産業廃棄物リサイクル
3,070
10
10MW 以下の小規模水力
4,873
20
水力以外のその他再生可能又はクリーンパワー発電
出所:Bahram Taheri エネルギー省大臣補佐官, “The Role of RE+EE in the Iranian Low Carbon Policy”,
20th Reform Group Meeting, Salzburg (On the Way to COP21 in Paris, Climate Protection Policy,
Carbon Markets and Sustainability Agenda), Aug. 31st-Sept. 4, 2015 プレゼンテーション資料
(2) 供給能力増強計画
エネルギー省は、今後 5 年間、年平均 7~10%伸びるとみられる国内需要を満たし、かつ
近隣諸国への輸出増も目指すため、毎年 5,000MW、5 年間で計 25,000MW を増設し、2021
年度までに設備容量を 100GW まで増強する計画である。このうち、太陽光、風力等の再生
可能エネルギー発電を今後 5 年間で 10GW 導入する予定である一方、天然ガス発電のシェ
アも維持する方針である。
新規の建設については、F クラス以上のタービンを利用し、発電効率 58%以上を達成す
る高効率のガスコンバインドサイクル発電プラントが条件とされる。既存発電所の発電効
率向上を目指すプロジェクトとしては、ガス発電にスチーム発電を加えるコンバインドサ
イクル化、老朽化発電プラントから古いボイラシステムを取り除き、ガスタービンや熱回収
スチーム発電機を設置して出力を増加させるリパワリングがある。前者については、今後 3
年間でガスタービン発電 17GW のうち 8GW にスチーム発電を組み合わせ、ガスコンバイ
ンドサイクル発電に変換する計画である。これらのタイプ及び再生可能エネルギー発電に
つき、エネルギー省は p.27 の各プロジェクトを投資誘致対象として紹介している(表 4-3)。
Tavanir の資料によると、2014 年時点で建設が確定している発電プラントの 2018 年度
末までの稼働計画は p.29 の表のとおりである(表 4-4)。ただし、この中で、民間プロジェ
クトの South Ahvaz については、2015 年に基本許可が取り消されている13。
13
基本許可は、発電プラント建設プロジェクト申請に当たり、エネルギー省から付与されるもので、事業
25
表 4-4 に掲げた期間中に稼働開始が計画されている発電プラント容量の 70%以上は民間
プロジェクトであり、とくにコンバインドサイクル発電や水力以外の再生可能エネルギー
発電においては、民間が主導的役割を果たすことが期待されていることが分かる。既に稼働
中の民間による再生可能エネルギー発電プロジェクトは風力が殆どであるが、建設許可書
発行レベルまでは太陽光も 2,000MW を超えるプロジェクトがある(表 4-5)。
表 4-5 非政府部門による再生可能エネルギー発電プロジェクトの進捗状況
(単位:MW)
発電所の進捗度
風力
太陽光
バイオマス 小規模水力 波力・潮力
合計
0.514
10.56
0.44
65.39
稼働中
53.88(注)
451.50
10.30
0.17
461.97
電力 購入 133 条
契約済み 19 条
959.00
5.00
3.60
967.6
4,143.70
2,756.60
183.50
21.20
0.15
7,105.15
建設許可書発行
9,225.55
2,109.07
119.69
45.61
11,499.92
許可書取消
14,833.63
4,881.49
313.75
71.02
0.15
20,100.04
合計
注: 当初、政府予算で建設され、後に入札を通して非政府部門に譲渡された Binalud グリーン電力風力
発電所の 28.4MW 分を含む。
出所:SUNA 報告(2015 年 12 月 13 日)
これらの発電プロジェクトに関する予算措置は、p.31 の表のとおりとなっている(表 46)。2020 年度にかけて終了予定とされている各種プロジェクトの 2014 年度までの支出実
績は、平均 20.1%にとどまっている。
送電については、p.32 の変電所や送電線の敷設、変電能力増強のプロジェクトが投資誘
致対象として紹介されている(表 4-7)。すべてテヘラン電力会社の監督の下で実施される。
この他、送配電ロス率を削減するプロジェクトも、エネルギー消費の節約に貢献するとして
奨励されている。
プロジェクトへの予算措置は p.33 の表のとおりとなっており、表 4-6 掲載の発電プロジ
ェクトより遅い終了予定のものが多いが、2014 年度までの支出実績比率は 56.8%と発電プ
ロジェクトより高い(表 4-8)。
者は、原則 9 カ月の許可有効期間中に、採算性の調査や各種許認可取得の手続きを実施しなければならな
い。事業者の責に拠らない事由で作業が遅れたと判断された場合には期間が延長されることもあるが、事
業者の能力不足や資金不足でプロジェクトの進捗が見込めないと判断された場合、許可が取り消される。
26
表 4-3 投資誘致対象の発電プロジェクト
①
高効率ガスコンバインドサイクル発電プラント新設
設備容量
想定投資額
プロジェクト名
(MW)
(百万ドル)
Maragheh
848
678.4
Miyaneh
848
678.4
Omidiyeh
848
678.4
Fars North
848
678.4
Tabriz
848
678.4
Zahedan
848
678.4
2.5 億€超
Zanjan
500
4,070 百万ドル
合計
+2.5 億€
土地所有権者
East Azarbaijan Natural Resources Office
East Azarbaijan Natural Resources Office
Khouzestan Regional Electric Company
Fars Natural Resources Office
East Azarbaijan Natural Resources Office
Sistan Natural Resources Office
Zanjan Regional Electric Company
②
既設発電プラントのコンバインドサイクル化
設備容量
最低投資額
プロジェクト(プラント)名
(MW) (百万ドル)
Chabahar Power Plant
160
176
Golestan (Aliabad) Power Plant
480
528
Hafez Power Plant
480
528
Hormozgan Power Plant
320
352
Iranshar Power Plant
160
176
Kashan Power Plant
160
176
Khaleej Fars Power Plant
480
528
Mahshahr Power Plant
320
352
Parand Power Plant
480
528
Rudeshur Power Plant
340
374
Sabalan Power Plant
480
528
Shahid Kaveh Power Plant
320
352
Shahrud Power Plant
160
176
Soltanieh Power Plant
320
352
South Isfahan Power Plant
480
528
Urmia Power Plant
480
528
Zagros Power Plant
320
352
合計
6.534
F/S
実施主体
投資家
投資家
IPDC
IPDC
IPDC
投資家
IPDC
IPDC
投資家
投資家
投資家
IPDC
IPDC
投資家
IPDC
投資家
投資家
27
土地所有権
用地準備
民間投資家
民間投資家
IPDC
IPDC
IPDC
民間投資家
IPDC
IPDC
民間投資家
民間投資家
民間投資家
IPDC
IPDC
承認過程
IPDC
民間投資家
移転途中
不明
不明
不明
不明
準備済
不明
不明
不明
11%
3%
2%
準備済
準備済
不明
不明
不明
不明
③
既設発電プラントのリパワリング
スチームユニット
単位実質
プラント名
数
容量
(MW/unit)
Isfahan
1
120
Hamedan
2
500
Besat
1
75
Rajaee
2
500
Tos
2
300
Bistoon
1
320
Loshan
2
240
Bandar Abbas
2
640
Tabriz
1
350
Montazeri
4
800
Montazer Ghaem
1
150
合計
発電量 (GWh)
ガスユニット
単位容量
(MW/unit)
数
2
4
1
4
4
2
4
4
2
8
2
123
201
162
201
162
291
123
291
291
201
162
定格容量
(MW)
246
804
162
804
648
582
492
1,164
582
1,608
324
増強前
767
3,197
480
3,197
1,918
2,046
1,535
3,479
2,238
5,116
959
④
増強後
1,755
6,254
1,137
6,254
4,547
4,326
3,668
9,397
4,470
11,549
2,273
発電効率 (%)
増強前
(当初)
34
37.5
31
37.5
36.7
39
34
35
38
35.6
36
増強後
48.2
51.4
49.8
51.4
49.8
54.6
48.2
54.6
54.6
51.4
49.8
再生可能エネルギー発電
電源
州、地域
設備容量 (MW)
面積 (ha)
投資額(百万ドル)
Yazd
100
200
200
Isfahan
100
200
200
Fars
100
200
200
Kerman
100
200
200
Sistan - Baluchestan
50
100
100
太陽光
Qom - Center
50
100
100
Semnan
50
100
100
Khorasan
50
100
100
小計
600
1,200
Razavi Khorasan - Khaf
750
6,000
1,300
Sistan - Baluchestan
650
5,200
1,150
Qazvin - Takestan
500
4,000
875
風力
East Azerbaijan
250
2,000
450
小計
2,150
3,775
地熱
要請による
Ardabil - Meshkin Shahr
100
500
バイオマス
50
175
小規模水力
South & North
125
合計
5,775
出所:イランエネルギー省, “IRAN, WATER & POWER Investment and Cooperation Opportunities”, December 2015
28
ガス使用量 (MCM)
増強後
364
1,217
228
1,217
913
792
318
964
358
997
175
節約
相当量
152
451
138
451
326
317
267
633
316
874
176
投資額
(百万ドル)
133
437
88
432
352
316
267
633
316
874
176
4,024
表 4-4 発電プラントの稼働開始計画
(単位:MW)
発電所
生産方法
電力局
2015.122016.3
2016.3-6
2016.6-9
2016.9-12
2016.122017.3
2017.3-6
2017.6-9
2017.9-12
2017.122018.3
2018.3-6
2018.6-9
2018.9-12
2018.122019.3
エネルギー省プロジェクト
Shirvan
Sarbandar - Mahshahr
West Mazandaran 1
コンバインド
サイクル
Ramin Development
Khorasan
Khuzestan
324
160
160
162
162
Mazandaran
160
324
Khuzestan
325
325
Bakhtar
325
325
Tabas 火力発電所
Yazd
325
325
Gatvand Development
Khuzestan
Simereh
西部
Dariyan
西部
Shazand Development
スチーム
640
160
160
140
70
西部
60
60
Chamshir
Khuzestan
55
138
Azad
西部
Rudbar-e Lorestan
水力
Sardasht
小・中規模水力発電所
風力発電所
Bakhtar
225
225
510
4
各地
風力
90
各地
709
エネルギー省合計
707
736
35
50
50
90
419
268
90
100
0
975
2,160
100
0
0
民間プロジェクト
South Ahvaz
Khuzestan
162
Pasargad Qeshm
Hormozgan
162
West Mazandaran 2
Mazandaran
162
Khorram Abad
Bakhtar
162
Saduq (Yazd 2)
Dalahu (Kermanshah)
コンバインド
サイクル
Yazd
Samangan ( Sirjan)
Kerman
Kahnuj
Kerman
Behbahan
Khuzestan
Jahrom
Fars
160
160
162
160
162
162
Kermanshah
162
162
160
160
162
162
162
160
162
160
160
324
160
160
160
160
再生可能
再生可能
各地
50
88
88
88
88
150
150
150
150
225
225
255
255
熱電併給他
熱電併給他
各地
50
120
120
120
120
120
120
120
120
120
120
120
120
民間合計
586
854
692
1,176
692
430
592
590
750
345
345
375
375
全国合計
1,295
1,561
1,428
1,226
1,111
698
682
590
1,725
2,505
445
375
375
76,845
78,273
79,498
80,608
75,982
76,664
77,254
78,979
83,113
83,558
83,933
84,308
全国累計
75,284
出所:Tavanir, “Statistics on Iran’s Electricity Industry: Production”,2014
29
30
表 4-6
プロジェクト名
Siah Bisheh 揚水発電所
小規模水力発電所
風力発電所開発
Simreh 水力発電所
規模(MW)
1,000
インフラ整備
120 カ所+
小規模水力 66
257
水力 480+
揚水 1,000
1,000
Karoon4 水力発電所
Gatvand-e Olya 水力発電
2,000
所
Rodbar-e Lorestan 水力発
水力 385+
電所
揚水 1,000
コンバインドサイクル発電
4,334
所建設
Bakhtiyari 水力発電所
1,500
Khorsan3 ダム・発電所建
400
設
中規模(原子力)発電所の
1 カ所
設計・建設
原子力発電所の設計・建設
2 カ所
Azad 揚水発電所
500
コンバインドサイクル発電
所のスチームタービン増設
3,680
23 ユニット
Aras(Qare Chiler)水力発
130
電所
上記計
注: 開始年度、終了年度の早い順。
出所:2016 年度予算案
2016 年度予算案に計上されている発電プロジェクト
第 5 次 5 カ年計画期間
第 6 次 5 カ年計画期間
(単位:十億リアル)
2014 年度
までの支出
合計
実績比率
(%)
2,840
84.2
開始
年度
終了
年度
第5次5カ
年計画以前
1978
2016
828
1,562
250
200
0
1983
2019
513
193
140
140
2,040
3,026
23.3
1989
2017
1,440
427
180
100
1,300
3,447
54.2
1993
2016
2,185
1,970
950
900
0
6,005
69.2
1993
2016
4,316
1,541
750
400
0
7,007
83.6
1993
2017
6,003
2,639
983
900
6,500
17,025
50.8
1994
2018
1,092
963
750
770
15,300
18,875
10.9
2002
2018
3,944
943
570
570
2,900
8,928
54.7
2008
2019
180
1,510
350
250
2,800
5,090
33.2
2009
2017
14
769
800
900
69,000
71,483
1.1
2009
2020
310
312
180
120
1,250
2,172
28.6
2010
2012
2020
2017
3
0
1,049
316
800
150
1,000
100
11,500
5,702
14,352
6,269
7.3
5.0
2012
2018
0
658
40
300
8,560
9,558
6.9
2013
2019
0
70
100
50
1,350
1,570
4.5
20,828
14,922
6,993
6,700
128,202
177,647
20.1
2011~2014
年度実績
31
2015 年度
予算
2016 年度
推定
2017 年度
以降予測
表 4-7 投資誘致対象の送電プロジェクト
① 変電所・送電線敷設
プロジェクト
400kV 変電所
230kV 変電所
132kV 変電所
63kV 変電所
テヘラン市 63kV ケーブル
合計
数
35
49
85
227
450km
コスト
(十億米ドル)
1.3
1.4
0.5
~3.13
② 変電設備購入
対象地域電力会社(購入数)
電圧
Azarbaijan (6), Zanjan (2), Gharb (2), Fars (2), Kerman (2), Manzandran (2)
Tehran (4)
Tehran (2)
Azarbaijan (2), Khorasan (10), Khuzestan (12), Fars (2), Kerman (4), Hormozgan (2)
Fars (10)
Tehran (2), Mazandaran (2), Yazd (2), Bakhtar (2)
Azarbaijan (6), Kerman (2)
Fars (14)
Fars (2), Sistan & Baluchestan (4)
Tehran (2)
Tehran (8), Mazandaran (4)
Bakhtar (6), Tehran (2), Zanjan (2), Gharb (2), Gilan (2), Hormozgan (14), Yazd (2)
Tehran (2), Sistan & Baluchestan (16), Gilan (4)
Khuzestan (2)
Azarbaijan (20), Kerman (2), Hoemozgan (4), Yazd (2), Fars (18)
Azarbaijan (6), Kerman (4), Khorasan (42), Gharb (2)
Khuzestan (70)
Fars (108)
Isfahan (26), Bakhtar 26), Tehran (180), Semnan (14), Gilan (8), Mazandaran (20), Hormozgan (10)
Azarbaijan (8), Zanjan (10), Sistan & Baluchestan (20), Gharb (8), Kerman (12), Gilan (4)
出所:表 4-3 に同じ
32
400/230
400/230
400/230
400/132
400/66
400/63
230/132
230/66
230/20
230/63
230/63
230/63
230/63
230/33
132/20
132/20
132/33
66/20
63/20
63/20
数
16
4
2
32
10
8
8
14
6
2
12
30
24
2
46
54
70
108
284
62
定格容量
(MVA)
315
500
200
200
200
200
160
160
50
250
180
160
125
50
50
40
50
40
40
30
表 4-8
2016 年度予算案に計上されている送電プロジェクト
第 5 次 5 カ年計画中
プロジェクト名
単位
MVA
Km
MVA
Fars & Bushehr 送電
Km
MVA
Tehran 送電
Km
MVA
Qarb 送電
Km
MVA
Khuzestan 送電
Km
MVA
Isfahan 送電
Km
MVA
Khorasan 送電
Km
MVA
Bakhtar 送電
Km
MVA
Mazandaran 送電
Km
MVA
Azarbaijan 送電
Km
MVA
Zanjan 送電
Km
MVA
上記計
km
注: 開始年度、終了年度の早い順。
出所:2016 年度予算案
Iran 送電
規模
6,699
15,000
21,274
7,845
27,621
4,024
11,640
4,572
19,659
9,087
14,280
3,450
8,270
4,549
11,021
5,194
12,178
2,512
14,788
6,590
4,820
1,924
152,250
64,747
第5次5カ
年計画以前
第 6 次 5 カ年計画中
(単位:十億リアル)
2014 年度
までの支出
合計
実績比率
(%)
開始
年度
終了
年度
1990
2020
2,245
677
300
300
1,400
4,922
59.4
1995
2020
1,486
153
70
130
620
2,460
66.7
1995
2020
1,872
457
150
210
940
3,629
64.2
1995
2020
1,038
133
70
110
540
1,891
61.9
1995
2020
1,806
469
202
254
1,140
3,871
58.8
1995
2020
853
102
70
110
540
1,675
57.0
1995
2020
1,026
185
100
150
700
2,161
56.0
1995
2020
710
75
70
110
540
1,505
52.2
1995
2020
500
98
70
110
540
1,319
45.4
1995
2020
764
150
110
220
980
2,224
41.1
1995
2020
410
154
75
130
620
1,389
40.6
12,709
2,655
1,287
1,834
8,560
27,045
56.8
2011~2014
年度実績
33
2015 年度
予算
2016 年度
推定
2017 年度
以降予測
5.発電プロジェクト実施上の留意点
(1) 環境規制との関係
発電プラントの建設にあたっては、①実施企業の財務状況や発電事業に関する技術力に
関する事前資格審査、②立地や設備容量に関する大枠の MOU 締結、を経て、③採算性調査
や関連の許認可取得、に移ることとなる。この 3 段階目の作業において、環境関連の認可取
得が大変重要な要素である。TPPH によれば、他の手続きをすべてクリアしたにも関わら
ず、環境関連の認可が取得できずに行き詰ったプロジェクトが過去に何件かあったとのこ
とである14。
イランには環境関連の法律が数多くあるが、なかでも発電プラントに関係の深いものと
して、1995 年度制定の大気汚染防止法がある。イランの発電プラントからの CO2 排出は国
全体の CO2 排出の 30%以上を占めており、電力セクターにおける環境対応は優先的な政策
課題と認識されている(図 5-1)。
図 5-1 排出源別の CO2 排出量推移
出所:Bahram Taheri エネルギー省大臣補佐官, “The Role of RE+EE in the Iranian Low Carbon Policy”,
20th Reform Group Meeting, Salzburg (On the Way to COP21 in Paris, Climate Protection Policy,
Carbon Markets and Sustainability Agenda), Aug. 31st-Sept. 4, 2015 プレゼンテーション資料
大気汚染防止法は、大気汚染を引き起こす要因を、輸送機関、工場や発電所、商業施設等
に分類し、それぞれについて大気汚染の原因となる物質の排出を規制し、汚染物質排出の影
2016 年 2 月の面談による。なお同面談では、プラント稼働開始後に汚染物質の排出が増えるなどして
環境庁が発電所の運転差し止めに入ることは、経済的な影響の大きさを考えると想定しにくいが、裁判所
が州知事に対して一時的に管轄域内の発電所の稼働停止命令を出すことはあり得るとの見解が示された。
14
34
響を軽減するための事業者の義務等を定めている。発電所関連では、以下のような規定があ
る。

建設許可は立地に関わる環境庁の基準遵守に基づいて発行され15、その一部が許可書を
発行した監督官庁から環境庁16に送付される。
(第 13 条及びその第 1 注釈)

環境庁は、環境基準を上回って汚染物質を排出する発電所を特定し、汚染の量や種類を
発電所所有者や経営者に通知する。通知を受けた発電所は、一定の猶予期間内に汚染源
を除去するか、除去するまで稼働停止しなければならない。
(第 15 条)

発電所の所有者や経営者が第 15 条の義務を果たさない場合には、環境庁の要請に基づ
く司法機関の決定により、治安機構の警官が汚染発電所の稼働停止命令を実行する。
(第 16 条)

発電所等は、用地の少なくとも 10%を植樹等、緑空間の設置に割り当てなければなら
ない。
(第 19 条)

発電所等は、大気汚染を軽減するような燃料と燃焼技術を採用しなければならない。
(第 20 条)
2011 年 6 月には、環境保護最高審議会が、発電所が環境アセスメントの実施対象となる
ことを決議した。これにより、小規模発電所を除くガス発電所と、すべての規模のコンバイ
ンドサイクル発電所、原子力発電所、地熱発電所、太陽光発電所、水力・揚水発電所は、環
境アセスメントの実施を義務付けられた。対象プロジェクトは、次ページ以下に記載する諸
項目につき、アセスメント結果を 100 ページ以内の報告書で報告しなければならない。
ここに挙げられた項目をみると、国家の総合的計画や総合的政策との関係(2.3)
、社会的・
経済的・文化的影響の考察(7.4)等、自然環境保護とは直接に関係しないものも含まれて
おり、アセスメントに対する判断は、これらの観点も含んだ総合的な見地から行われるもの
と推察される。また、現在、イランでは水不足が深刻な問題となっていることから、水関係
の許認可取得がとくにポイントとなる点であるとも指摘される。一定量の水利用に関する
認可のほか、井戸を掘るための認可取得等が必要となるケースもある。また、発電技術にお
いても水使用量を最大限減らす工夫が求められているとのことである17。
発電所に適用される排出基準は、CO が 150ppm、SO2 が 800ppm、NOX が 350ppm。
大気汚染防止法には、同法制定(1995 年)当時の環境関連の当局である環境保護庁と記されている
が、現在の組織名とする。以下、同様。
17
2016 年 2 月の TPPH との面談では、冷媒として水を利用せず空気冷却装置を用いることなどが、こ
の例として示された。
15
16
35
環境アセスメントの対象となるプロジェクトに関する概要報告書の諸項目
1. 非技術的概略:プロジェクトの種類と特徴、可能な選択肢、現在の環境状況の概略、プ
ロジェクトによる環境影響、悪影響を減少し制御する対策、そして環境アセスメントの
結論(最長 5 枚)
2. プロジェクトの詳細(最長 20 枚)
2.1.プロジェクト名称
2.2. プロジェクトの目的、ニーズと必要性
2.3. 国家の総合的計画や総合的政策における本プロジェクトの位置づけ
2.4. 本プロジェクトに関わる環境関係の諸法令、規制や基準
2.5. プロジェクトの建設提案地の立地条件(地図を使用)
2.6. プロジェクトの技術・立地に関する選択肢
2.7. プロジェクトの一般的な諸段階(準備、工事、稼働等)と将来の発展計画
2.8. 建設段階と稼働段階の内容説明
2.9. 生産ラインや生産の諸工程についての説明
2.10. 付加施設やインフラ(道路建設、公共サービス等)
2.11. 各選択肢や段階におけるプロジェクトの諸特徴
2.11.1. 生産能力(水力発電所のように鉱工業・開発プロジェクト)や容量規模(道
路建設、空港、ガス・パイプライン等)の提示
2.11.2. 投資規模(イランリアルおよび外貨)
2.11.3. 原材料、その調達方法と輸送方法
2.11.4. 資源の種類と規模(水、エネルギー、燃料)、その使用方法、調達方法と輸
送方法
2.11.5. 必要な労働力とその調達方法
2.11.6. 主製品と副製品の生産量
3. 地盤整備や基礎工事の段階で生じる環境変化や環境破壊の説明。例えば森林植物の破壊、
排水路建設、掘削、爆発、河川の変更、道路や公共施設やサービス施設の建設等(最長
5 枚)
4. 各段階における建設や加工によって発生する汚染物や廃棄物:空気汚染物、下水18、産
業排水、産業廃棄物、騒音19、振動、放射線等(最長 5 枚)
5. 各段階における危険性、事故や安全問題を伴う可能性のある爆発、自然災害や予想困難
事態(最長 5 枚)
18
19
下水排出に関する規制基準については、巻末別表 3 を参照。
騒音に関する規制基準は、次のとおり(単位 db)
。
昼間(7 時~22 時)
:住宅地 30、商業・住宅地 60、商業地 65、工業・住宅地 70、工業地 75
夜間(22 時~7 時)
:住宅地 30、商業・住宅地 50、商業地 55、工業・住宅地 60、工業地 65
36
6. 現在の環境状況:プロジェクト実施の各選択肢における以下の項目で(地図と表・グラ
フを使用。最長 25 枚)
6.1.調査範囲の定義と地図での明記
6.2. 物理的環境:
6.2.1. 土壌(質と特徴、傾斜、浸食等)、土壌汚染とその原因
6.2.2. 地質(地形、地震発生可能性、地すべり等)
6.2.3. 水資源(場所、陸水または地下水の質と量、地下水面状況、洪水や干ばつ、
水汚染、その原因、水使用方法)
6.2.4. 空気・気候(風配図、雨量、過去 10~15 年間の気温と水蒸発状況、空気汚
染とその原因)
6.2.5. 騒音、騒音汚染とその原因
6.2.6. 自然・生物条件(植物や動物のリストアップ、希少植物と希少動物の特定等)
6.2.7. 社会の衛生・保健状況(地域の医学大学の見解に基づいて)
6.2.8. 社会的・経済的・文化的環境(人口の特徴と変動、雇用、住宅、教育、文化
的・宗教的思考、文化遺産)
6.2.9. 承認されているその他の開発プロジェクトの概要紹介(農業、工業またはサ
ービス業の開発プロジェクト、国軍地理局発行の地形図で本プロジェクトと
の位置関係を明示)
6.2.10. 調査地域の「土地用途」とこれらの土地に関する基本計画の説明
7. 各段階における本プロジェクトの悪影響または好影響の予想
7.1.物理的環境(土壌、地質、水、空気と気候)
7.2.自然・生物条件(陸上生物と水中生物、植物と動物)
7.3.社会の衛生・保健状況(地域の医学大学の見解に基づいて)
7.4.社会的・経済的・文化的環境(人口の特徴と変動、雇用、住宅、教育、文化的・宗
教的思考、文化遺産)
7.5.調査地域の「土地用途」と他の開発プロジェクト
8. プロジェクトの生態学的な影響の分析とその結論
9. 環境の管理と保護
9.1.プロジェクトによる環境への悪影響の減少や制御方法の提示(最長 10 枚)
9.2.環境や影響の計量や悪影響の減少・制御方法の監視に関する総合的な計画の提示
10. 環境リスクの管理と評価(必要な場合)
11. 報告書作成にあたって参考とした資料や人物
12. 報告書執筆者や顧問の名前と特定事項、経歴と職歴
37
(2) 燃料供給リスク
イラン政府は、エネルギー政策及び環境政策の観点から、発電における天然ガス利用を増
やす方針であり、今後の発電プロジェクト実施にあたっての燃料関連の問題としては、天然
ガス供給の確保が最大の課題である。しかし、これまでの発電での各燃料の使用量推移をみ
ると、実際には天然ガスの供給が十分に確保できず、ディーゼルや燃料油の利用を減らせな
い状況が続いてきた (図 5-2)。2014 年度の発電プラントでの天然ガス消費量は合計
50.2BCM で、燃料油とディーゼルがそれぞれ 177 千バレル/日、153 千バレル/日であった
(巻末別表 2 を参照)
。
図 5-2 発電における燃料使用量の推移
出所:Tavanir, “Statistical Report on 48 Years of Activities of Iran Electric Power Industry (1967-2014)”,
December 2015
今後は、イランの核開発に関連した制裁が解除されたことに伴い、停滞していた天然ガス
開発が進み、生産量がこれまで以上に増加してくるものと期待される。しかし、天然ガスは
国内の民生用や石油化学等の産業用でも需要増が見込まれ、全ての用途を賄うだけの供給
を確保できるかが問題となる。
前述のとおり20、イランは今後 5 年間に 25GW を増設する計画である。再生可能エネル
ギー発電の推進や、水力や原子力などの発電プラント建設計画もあるが、天然ガス発電の比
20
p.25 参照。
38
率を 80%程度で維持するとのエネルギー省高官の発言もあることから21、今後 5 年間に天
然ガスを主要電源とするプラントが 15GW 程度増設されると見込まれる。2014 年度、天然
ガスを消費したスチーム、ガスタービン、コンバインドサイクルの各発電所の合計設備容量
は 60.7GW であり、同じ発電効率で燃料を消費するとした場合、15GW の発電プラントで
の天然ガス使用量は約 12.4BCM となる計算である。発電効率については 2025 年までに 15
~16%ポイント高める目標が掲げられており22、5 年後までにその半分程度の効率向上を実
現させたとしても、11.4BCM の天然ガスが必要となる。
天然ガスは、家庭用で最も多く消費されており、発電用としては、それに次いで全体の
20%程度を消費している(表 5-1)。今後、イラン政府は天然ガスの「フレア」は減少させて
いく意向であるが、他用途については政策的にも天然ガスの国内消費や輸出を推進してい
く構えであり23、いずれも需要増が見込まれる。その中で、今後も天然ガス供給全体の 20%
強が発電利用とすれば、今後 5 年間での天然ガス供給は、上述の量の 4~5 倍、すなわち 50
~60BCM 程度の増加が求められることになる。
表 5-1 天然ガス消費の用途別内訳
2013 年度
2014 年度
消費量(bcm)
構成比(%)
消費量(bcm)
構成比(%)
88.9
42.5
90.0
39.4
家庭用
36.8
17.6
50.3
22.0
発電用
32.9
15.7
33.9
14.8
油田への注入
29.8
14.3
32.6
14.3
産業用
11.7
5.6
11.7
5.1
フレア
9.0
4.3
9.9
4.3
輸出
209.1
100.0
228.3
100.0
合計
出所:Micha’el Tanchum, “A Post-Sanctions Iran and the Eurasian Energy Architecture”, Atlantic
Council, September, 2015(原出所:Shana News Agency 及び Trend News Agency 報道の NIGC
データ)
用途
イランの主要なガス田であるサウスパースガス田は、合計 300BCM を超える生産能力を
持つ。全 24 フェーズのうち第 8 フェーズまでが天然ガスに関する制裁がイランに科される
前に生産開始し、制裁下で第 9&10 フェーズと第 12 フェーズが生産を開始し、2016 年 1
月に第 15&16 フェーズが生産を開始したばかりである。ロウハニ大統領は、第 15&16 フ
ェーズの開所式において、残りのすべてのフェーズも 2017 年度末までに生産開始するべく
努力していると述べたが、一方で、残りのフェーズ開発のためには総額 200 億ドルの投資
が必要であるとも述べている。第 15&16 フェーズは 18BCM 程度の生産能力があり、第
9&10 や第 12 フェーズにも増産余地があるとみられるが、それだけでは 50~60BCM の増
21
2016 年 2 月の面談でのファラハティアンエネルギー省副大臣の発言に基づく。
22
p.21 参照。
天然ガスの用途別配分は、天然ガス利用に関わる各関係省庁大臣が出席する閣議での決定事項である。
23
39
産には届かない。
イランの核開発問題に関する最終合意が成立する前の 2014 年 12 月時点の資料に基づく
サウスパースガス田の開発状況は下表のとおりである(表 5-2)。イランの天然ガス供給源は
サウスパースガス田に限らないとはいえ、天然ガスの供給能力は、この表で 2020 年以降の
生産開始とされている各フェーズの開発がどの程度のスピードで実現するかに大きく依存
する。
表 5-2 サウスパースガス田の開発状況
コンデンセート
開発終了
生産能力
(予定)年
(千バレル/日)
1
1
40
2003
2&3
2
80
2002
4&5
2
80
2004
6~8
3.7
158
2008
9&10
2
80
2010
2022 以降
11
2
80
12
3
120
2014
2020 以降
13
2
80
2021 以降
14
2
77
15&16
2
80
2016(注)
17&18
2
80
2016
19
2
77
2020 以降
20&21
2
75
2020 以降
2
77
22~24
2021 以降
30
1,184
合計
注: 下記出所では 2015 とされていたが、実際には本文のとおり 2016 年 1 月にずれ込んだため、修正。
出所:EIA, “International energy data and analysis: Iran”, Last Updated: June 19, 2015(原出所:Facts
Global Energy, December 2014)
フェーズ
天然ガス
生産能力
(BCF/日)
燃料供給のリスクとしては、量の問題に加え、価格の問題もある。BOO プロジェクトの
場合、ECA 契約期間中は、TPPH が NIGC との燃料供給契約に基づき、事業者に無料で天
然ガスを供給するが、その後は事業者の料金負担となる。天然ガスの料金は、毎年、閣議で
用途ごとに決定される。
(3) ファイナンス等の問題
各種許認可取得手続きを終え、売電契約の締結まで至っても、資金調達がスムーズにいか
ない等の理由でプロジェクトが進まない事例も散見される。そのような状況にある民間発
電案件は、次表のとおりである(表 5-3)。
40
表 5-3 売電契約締結済みで進捗が見られない民間発電案件
プロジェクト
(プラント)名
Rafsanjan
Tehran 1
Qazvin 1
Hormozgan 1
小規模
Zanjan 1
設備容量
(MW)
500
968
500
500
50
500
投資家
基本許可発行
期日
電力買付契約
期日
投資家発表の取引
銀行
2011 年 1 月
2007 年 2 月
2009 年 4 月
2004 年 6 月
2008 年 3 月
2008 年 4 月
2012 年 8 月
2011 年 4 月
2011 年 9 月
2011 年 9 月
2008 年 4 月
2009 年 9 月
BIM(注)
Tejarat
2008 年 7 月
2009 年 11 月
2004 年 8 月
TAVANIR に契約破棄申請
中断中
Mellat 交渉中
Tejarat
Mellat
Sepah
5
中断中
2010 年 6 月
-
中断中
2004 年 7 月
2010 年 9 月
2
中断中
2008 年 12 月
2013 年 11 月
Sepah 交渉中
2
中断中
2011 年 6 月
2011 年 12 月
Saderat
5
2008 年 4 月
2010 年 5 月
シンジケート団
2
取引銀行で調査中
2010 年 3 月
2010 年 10 月
2
契約破棄申請
2007 年 11 月
2009 年 9 月
BIM
2
NDF で調査中
2011 年 4 月
2013 年 11 月
Tejarat
0
中断中
2
取引銀行で調査中
5
中断中
2
2
5
取引銀行で調査中
契約破棄申請
NDF で調査中
2
取引銀行で調査中
-
契約締結直後
250
500
Takestan Indu. Syestem
2011 年 8 月
2013 年 11 月
500
Aryan Mahtab Gostar
2006 年 10 月
2010 年 9 月
2013 年 10 月
Hounam Jam
2012 年 5 月
Anamis Steel
2014 年 10 月
Hour, Alvand, Tana Energy
North
&
South
Enrgy
2008 年 5 月
Zanjan 2
500
Development
2012 年 9 月
Damqan
500
Steel Azin, Khavar Azin
注:BIM は Bank of Industry and Mine。
出所:TPPH、
「民間発電プラントプロジェクトの最新状況」
、2015 年 10 月 20 日
2015 年 2 月
2015 年 2 月
2015 年 2 月
BIM, Sepah,
Eqtesad-e Novin,
Tose'e, Ma'aden
BIM
Maskan
Sepah
2015 年 3 月
BIM
1,000
East Esfahan
1000
Sarakhs
500
Tehran 2
500
Sabzevar
Torbat
Heidariyeh
Aras 1
Pasargad
Qeshm
Kordestan
Takestan
(Qazvin 2)
500
Qarb
Mazandaran
Omidiyeh
Band zark
Haris
500
250
540
備考
2
2
5
Tadbir Parsiyan, STATCO, TIM
Shahed Investment
Power Control Eng.
Azarab Enrgy
Pars Qaem Gostar
Power Control Eng.
Boland Payeh, Matin Energy
Development
Farab
Roshan Gostar Tus, Sarakhs
SEZ, NATAN
Matin Tam Energy, Mehrgan
Investment
NAJA Cooperatin
Khorasan
Power
Ind.
Cooperation
Pars Qaem Gostar + SEMCO
ALAMTEC, Pega Cons., Vala
Energy
Hour Roonak Makers
South Fars
進捗率
(%)
500
500
1,000
41
2015 年 8 月
契約破棄
TAVANIR に契約破棄申請
中国によるファイナンス
42
別表 1 用途別、契約形態別のメーター数(2014 年度末)
配電会社
単相
3相
Tabriz 市
大口消費者
単相
3相
East Azarbaijan
大口消費者
単相
3相
West Azarbaijan
大口消費者
単相
3相
Ardebil
大口消費者
単相
3相
Isfahan
大口消費者
単相
3相
Isfahan 市
大口消費者
単相
3相
Chaharmahal va Bakhtiyari
大口消費者
契約形態
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
家庭
公共
142
215 025
8 030
0
1 636
235
3
0
2
0
225 073
44 192
215 371
0
12
252
0
0
0
1
0
259 828
93 845
339 976
2 022
31
570
81
7
0
0
0
436 532
24 235
145 474
226
25
280
42
117
10
0
0
170 409
44 482
273 656
10 883
94
1 124
257
15
0
0
0
330 511
30 860
269 238
17 306
475
3 262
378
75
0
0
0
321 594
31 048
74 380
16
10
206
0
0
0
0
0
105 660
43
3
4 441
86
5
7 254
663
426
56
1
0
12 935
667
4 645
1 258
32
4 513
1 457
1 297
122
0
0
13 991
811
5 836
297
73
5 747
1 422
1 451
142
0
0
15 779
235
4 159
219
30
7 228
536
791
107
0
0
13 305
986
5 320
424
140
8 250
4 283
1 973
172
8
0
21 556
396
4 985
376
59
15 428
1 388
2 340
168
9
0
25 149
135
1 934
7
31
2 105
30
515
41
0
4 798
農業
0
24
8
30
55
21
99
0
0
0
237
22
1 175
197
2 818
3 119
756
3 730
55
4
1
11 877
48
2 289
147
1 862
2 841
398
5 426
98
5
1
13 115
8
151
5
471
907
238
1 183
56
9
0
3 028
22
1 172
207
1 021
6 172
9 035
7 575
58
2
0
25 264
16
339
42
89
4 068
286
2 540
42
3
0
7 425
40
138
380
1 334
4
3 264
63
1
0
5 224
工業
その他
0
45
17
129
249
820
103
13
2
1 378
17
450
122
31
960
476
1 682
269
20
4
4 031
30
327
24
35
978
376
1 975
233
11
1
3 990
14
296
10
2
408
311
845
129
7
2
2 024
20
307
64
57
2 060
8 463
5 885
808
47
1
17 712
79
329
49
27
2 538
963
2 507
539
23
0
7 054
6
92
2
10
950
24
785
95
6
0
1 970
9
23 628
1 902
5
14 695
3 036
721
27
1
0
44 024
4 789
34 407
8 404
117
6 055
2 556
305
10
0
0
56 643
7 126
58 742
1 055
162
8 396
2 406
622
16
0
0
78 525
2 185
20 226
370
19
2 812
911
249
12
0
0
26 784
3 479
38 030
3 289
388
11 553
5 659
1 122
12
0
0
63 532
7 640
55 463
5 393
484
20 957
2 530
1 127
55
2
0
93 651
1 346
10 808
12
37
5 322
65
168
9
1
0
17 768
合計
154
243 163
10 043
40
23 769
4 204
2 069
186
17
2
283 647
49 687
256 048
9 981
3 010
14 899
5 245
7 014
456
25
5
346 370
101 860
407 170
3 545
2 163
18 532
4 683
9 481
489
16
2
547 941
26 677
170 306
830
547
11 635
2 038
3 185
314
16
2
215 550
48 989
318 485
14 867
1 700
29 159
27 697
16 570
1 050
57
1
458 575
38 991
330 354
23 166
1 134
46 253
5 545
8 589
804
37
0
454 873
32 575
87 352
37
468
9 917
123
4 732
208
8
0
135 420
(続き)
配電会社
単相
3相
Markazi
大口消費者
単相
3相
Hamedan
大口消費者
単相
3相
Lorestan
大口消費者
単相
3相
Alborz
大口消費者
単相
3相
Great Tehran 市
大口消費者
単相
3相
Tehran
大口消費者
単相
3相
Qom
大口消費者
契約形態
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
家庭
33 730
158 565
2 186
7
366
29
87
0
0
0
194 970
60 810
145 031
93
5
225
2
2
0
0
0
206 168
64 533
150 271
117
27
767
9
60
1
0
0
215 785
25 417
448 828
5 259
1 377
3 230
674
116
0
0
0
484 901
26 264
566 978
603 797
23 444
24 548
9 699
284
0
0
0
1 255 014
49 725
656 801
97 053
214
2 321
1 708
331
0
0
0
808 153
13 042
126 166
29 276
86
922
628
6
0
0
0
170 126
44
公共
336
5 327
36
15
4 916
425
2 233
106
6
0
13 400
486
5 647
7
30
5 990
21
496
100
1
0
12 778
220
2 306
33
18
2 911
77
1 637
139
1
0
7 342
558
16 356
138
571
18 467
12 553
1 123
141
10
1
49 918
1 641
34 876
17 219
1 362
23 089
86 693
13 507
1 250
87
5
179 729
839
39 062
9 494
139
14 416
16 171
3 186
206
13
0
83 526
164
1 095
309
550
3 468
3 994
782
126
2
0
10 490
農業
7
276
22
8
450
29
6 186
32
1
0
7 011
12
87
2
13
202
11
5 450
28
1
0
5 806
5
71
2
20
288
25
9 255
75
6
1
9 748
10
171
8
27
753
92
2 720
65
0
0
3 846
0
4
4
4
22
65
821
80
12
0
1 012
28
28
55
70
1 441
339
5 144
100
4
0
7 209
5
473
11
917
417
400
1 113
18
0
0
3 354
工業
114
261
10
10
436
98
2 972
415
67
9
4 392
22
239
10
710
44
1 394
112
4
0
2 535
35
119
8
195
4
2 503
330
29
7
3 230
78
212
12
37
1 027
180
3 145
417
68
1
5 177
77
425
538
76
1 572
2 550
1 862
314
68
6
7 488
90
569
114
25
4 997
1 999
12 896
752
92
9
21 543
121
275
54
1 744
761
919
2 056
209
11
0
6 150
その他
3 614
23 964
560
21
3 428
435
1 562
19
0
0
33 603
3 423
25 636
52
28
3 429
177
188
7
0
32 940
3 462
22 244
64
56
4 310
167
1 003
31
0
0
31 337
11 900
60 554
1 716
1 188
11 083
2 624
2 183
57
3
0
91 308
16 512
104 424
80 354
3 364
19 008
31 326
5 864
666
31
1
261 550
11 839
92 612
23 322
324
21 467
11 420
9 411
89
2
0
170 486
3 213
17 643
3 448
424
3 323
2 671
717
20
0
0
31 459
合計
37 801
188 393
2 814
61
9 596
1 016
13 040
572
74
9
253 376
64 753
176 640
154
86
10 556
255
7 530
247
6
0
260 227
68 255
175 011
216
129
8 471
282
14 458
576
36
8
267 442
37 963
526 121
7 133
3 200
34 560
16 123
9 287
680
81
2
635 150
44 494
706 707
701 912
28 250
68 239
130 333
22 338
2 310
198
12
1 704 793
62 521
789 072
130 038
772
44 642
31 637
30 968
1 147
111
9
1 090 917
16 545
145 652
33 098
3 721
8 891
8 612
4 674
373
13
0
221 579
(続き)
配電会社
単相
3相
Mashhad 市
大口消費者
単相
3相
Khorasan Razavi
大口消費者
単相
3相
South Khorasan
大口消費者
単相
3相
North Khorasan
大口消費者
単相
3相
Ahvaz 市
大口消費者
単相
3相
Khuzestan
大口消費者
単相
3相
Kohgiluyeh va Boyer-Ahmadi
大口消費者
契約形態
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
家庭
99 569
278 427
174 338
1 386
4 382
1 711
79
0
0
0
559 892
64 348
255 371
27 014
218
254
58
12
0
0
0
347 275
2 062
87 685
2 612
210
159
38
1
0
0
0
92 767
31 243
83 163
8 040
11
64
21
0
0
0
0
122 542
3 227
34 807
86 035
53 773
27 367
628
16
0
0
0
205 853
56
48 245
151 359
48 189
50 102
158
103
3
0
0
298 215
7 338
56 447
3 166
1 706
1 933
10
0
0
0
0
70 600
45
公共
1 286
7 368
4 108
186
19 549
4 913
1 535
310
4
0
39 259
368
6 082
658
236
4 126
534
1 174
107
0
0
13 285
435
2 807
289
137
2 840
465
356
43
0
0
7 372
476
2 680
266
54
2 088
611
468
56
0
0
6 699
31
633
976
5 941
4 748
150
1 287
254
12
1
14 033
0
1 905
2 139
981
6 039
50
2 857
209
30
4
14 214
77
996
16
29
984
12
452
31
1
2
2 600
農業
5
49
42
104
417
1 898
1 712
37
1
0
4 265
54
162
31
723
2 304
728
9 860
31
0
0
13 893
19
174
39
468
1 094
305
1 438
3
0
0
3 540
10
10
45
317
703
237
1 420
13
0
0
2 755
5
9
210
175
20
687
47
6
10
1 169
1
49
158
207
964
25
4 655
128
18
1
6 206
3
54
3
11
473
31
773
11
1
0
1 360
工業
127
487
266
102
2 105
4 069
3 028
388
26
0
10 598
11
287
24
125
1 224
244
2 110
285
28
0
4 338
39
263
47
49
682
200
418
67
15
0
1 780
11
96
29
21
459
160
422
70
3
1
1 272
1
37
20
259
165
13
493
130
19
17
1 154
0
66
60
21
157
4
1 302
179
31
11
1 831
2
39
1
1
147
5
293
24
2
2
516
その他
13 114
45 170
28 627
1 121
11 606
4 987
1 593
69
3
0
106 290
1 809
33 921
6 300
1 535
6 444
1 110
824
11
0
51 954
49
12 934
890
276
2 937
590
115
9
0
17 800
4 329
13 573
1 712
170
2 484
558
185
13
0
0
23 024
453
8 537
9 925
7 556
5 067
396
774
83
2
1
32 794
36
15 400
18 417
3 457
8 763
123
934
60
1
1
47 192
329
6 508
124
48
1 349
38
121
2
0
0
8 519
合計
114 101
331 501
207 381
2 899
38 059
17 578
7 947
804
34
0
720 304
66 590
295 823
34 027
2 837
14 352
2 674
13 980
434
28
0
430 745
2 604
103 863
3 877
1 140
7 712
1 598
2 328
122
15
0
123 259
36 069
99 522
10 092
573
5 798
1 587
2 495
152
3
1
156 292
3 712
44 019
96 965
67 739
37 522
1 207
3 257
514
39
29
255 003
93
65 665
172 133
52 855
66 025
360
9 851
579
80
17
367 658
7 749
64 044
3 310
1 795
4 886
96
1 639
68
4
4
83 595
(続き)
配電会社
単相
3相
Zanjan
大口消費者
単相
3相
Qazvin
大口消費者
単相
3相
Semnan
大口消費者
単相
3相
Sistan va Baluchestan
大口消費者
単相
3相
Kermanshah
大口消費者
単相
3相
Kordestan
大口消費者
単相
3相
Iilam
大口消費者
契約形態
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
家庭
20 745
128 746
898
23
169
7
0
0
0
0
150 588
21 106
175 219
10 610
336
324
92
4
0
0
0
207 691
13 280
108 847
2 004
43
232
62
0
0
0
0
124 468
76 136
201 787
35 981
79
7 503
329
21
0
0
0
321 836
41 209
171 406
217
40
586
22
7
0
0
0
213 487
24 762
167 661
459
27
258
7
3
0
0
0
193 177
5 867
54 419
6 246
580
2 114
354
0
0
0
0
69 580
46
公共
260
2 768
62
29
3 845
584
345
67
3
0
7 963
589
12 700
1 200
118
5 430
3 310
1 204
88
5
0
24 644
334
4 974
192
37
5 161
979
421
0
3
0
12 101
479
4 765
2 004
7
4 747
562
1 693
141
10
4
14 412
545
3 356
28
88
6 877
187
1 718
173
3
0
12 975
317
3 744
43
25
5 348
180
744
90
1
0
10 492
87
1 061
171
26
1 931
1 544
1 327
47
4
0
6 198
農業
11
527
102
1 115
862
1 068
2 139
32
2
0
5 858
5
48
35
279
678
3 792
3 534
37
3
0
8 411
31
473
85
77
655
668
1 876
90
0
0
3 955
15
2 686
81
788
1 314
492
2 423
54
0
0
7 853
21
148
0
394
1 022
146
2 521
24
0
0
4 276
0
506
12
2
4 125
110
3 319
44
5
0
8 123
19
214
20
46
205
1 205
1 156
20
1
1
2 887
工業
17
240
9
16
627
412
907
187
76
3
2 494
57
175
91
202
853
2 207
1 714
357
98
4
5 758
13
110
8
10
552
743
1 861
12
32
0
3 341
6
65
5
230
275
809
97
1
0
0
1 488
13
116
0
3
264
58
1 166
165
18
0
1 803
14
277
7
1
704
51
980
105
3
0
2 142
2
79
12
12
157
504
400
63
1
4
1 234
その他
1 517
17 388
390
54
2 901
492
134
11
0
0
22 887
6 451
15 105
12 744
327
3 975
2 617
602
8
1
0
41 830
3 998
18 538
927
147
3 128
1 181
270
355
0
0
28 544
2 573
22 645
3 854
15
4 486
992
536
35
0
0
35 136
5 451
26 656
592
31
3 272
249
499
32
0
0
36 782
3 783
32 648
308
56
4 867
266
385
8
0
0
42 321
695
8 447
763
90
1 395
424
193
11
0
0
12 018
合計
22 550
149 669
1 461
1 237
8 404
2 563
3 525
297
81
3
189 790
28 208
203 247
24 680
1 262
11 260
12 018
7 058
490
107
4
288 334
17 656
132 942
3 216
314
9 728
3 633
4 428
457
35
0
172 409
79 209
231 948
41 925
1 119
18 325
3 184
4 770
231
10
4
380 725
47 239
201 682
837
556
12 021
662
5 911
394
21
0
269 323
28 876
204 836
829
111
15 302
614
5 431
247
9
0
256 255
6 670
64 220
7 212
754
5 802
4 031
3 076
141
6
5
91 917
(続き)
配電会社
単相
3相
Shiraz 市
大口消費者
単相
3相
Fars
大口消費者
単相
3相
Bushehr
大口消費者
単相
3相
Kerman (Northern Part)
大口消費者
単相
3相
Kerman (Southern Part)
大口消費者
単相
3相
Gilan
大口消費者
単相
3相
Mazandaran
大口消費者
契約形態
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
25A
25A 以上
25A 以下
25A
25A 以上
30~250kW
250~2000kW
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
家庭
25 240
183 113
139 656
150
8 508
2 200
98
1
0
0
358 966
4 564
52 184
15 168
21
1 504
748
4
0
0
0
74 193
981
30 468
87 724
9
14 234
1 213
41
0
0
0
134 670
16 499
125 421
47 907
25
1 331
34
34
0
0
0
191 251
35 605
149 686
59 281
116
4 337
124
8
0
0
0
249 157
31 194
353 186
11 606
30
3 139
663
43
0
0
0
399 861
1 759
109 086
183 657
3
387
1 856
106
1
0
0
296 855
47
公共
505
2 291
2 258
23
4 427
10 904
2 061
195
4
0
22 668
85
970
127
4
806
316
162
5
0
0
2 475
8
391
783
1
1 962
2 226
1 643
147
22
0
7 183
172
2 320
738
9
3 870
372
1 020
116
7
0
8 624
331
2 663
848
3
2 107
135
1 533
73
4
0
7 697
515
18 177
598
30
11 004
2 396
1 481
254
11
0
34 466
38
4 870
12 965
15
4 150
9 491
931
66
0
0
32 526
農業
1
141
94
26
1 376
6 151
5 460
21
0
0
13 270
1
46
7
43
342
1 752
1 533
2
0
0
3 726
0
5
18
256
1 192
1 943
1 622
9
0
0
5 045
3
40
16
68
362
89
3 388
20
0
1
3 987
6
21
32
28
2 610
119
6 068
4
0
0
8 888
1 081
3 664
104
21
465
256
3 631
197
1
0
9 420
22
10 667
13 596
270
1 155
1 092
1 997
21
0
0
28 820
工業
130
181
214
6
1 017
3 219
2 326
188
8
0
7 289
8
76
15
2
160
388
329
11
0
0
989
8
111
105
5
280
851
693
77
3
0
2 133
7
107
41
1
586
54
1 074
162
18
2
2 052
19
55
9
0
361
37
824
77
11
0
1 393
14
361
34
5
650
312
1 832
400
36
5
3 649
0
158
486
13
332
921
1 983
181
12
6
4 092
その他
10 115
20 867
28 491
65
9 125
9 592
1 534
50
0
0
79 839
1 333
8 351
1 583
15
1 083
343
82
0
0
0
12 790
734
16 167
9 878
33
2 960
1 461
644
24
1
0
31 902
2 287
14 425
8 160
29
5 128
390
1 445
40
1
0
31 905
2 265
9 347
5 890
10
4 109
388
573
15
0
0
22 597
6 383
67 403
2 292
68
5 985
1 669
1 028
43
1
0
84 872
19
11 278
37 481
12
1 014
3 442
819
12
0
0
54 077
合計
35 991
206 593
170 713
270
24 453
32 066
11 479
455
12
0
482 032
5 991
61 627
16 900
85
3 895
3 547
2 110
18
0
0
94 173
1 731
47 142
98 508
304
20 628
7 694
4 643
257
26
0
180 933
18 968
142 313
56 862
132
11 277
939
6 961
338
26
3
237 819
38 226
161 772
66 060
157
13 524
803
9 006
169
15
0
289 732
39 187
442 791
14 634
154
21 243
5 296
8 015
894
49
5
532 268
1 838
136 059
248 185
313
7 038
16 802
5 836
281
12
6
416 370
(続き)
配電会社
契約形態
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
Mazandaran (Western part)
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
Golestan
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
Hormozgan
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
Yazd
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
Kish
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
25A 以下
単相
25A
25A 以上
25A 以下
3相
25A
25A 以上
合計
30~250kW
250~2000kW
大口消費者
2000~7000kW
7000kW 以上
合計
出所:Tavanir, “Statistics on Iran’s Electricity Industry: Supply”, 2014
家庭
5 294
100 557
67 602
137
3 925
3 099
260
46
0
0
180 920
3
608
331
1 405
159 823
27 484
14
0
1
0
189 669
12 738
55 375
88 008
885
72 645
943
226
11
1
0
230 832
11 659
158 670
35 671
180
1 981
1 217
11
0
0
0
209 389
0
14 950
1 873
0
6 144
179
4
2
0
0
23 152
1 098 809
6 971 294
2 023 727
135 389
413 114
56 999
2 198
75
5
0
10 701 610
48
公共
109
2 787
2 742
7
1 449
2 306
579
81
0
0
10 060
19
5 562
1 613
5
3 099
684
494
5
1
0
11 482
120
1 542
2 191
28
6 605
180
2 756
150
4
5
13 581
172
1 632
436
41
2 200
1 157
717
77
3
0
6 435
0
2 465
37
0
740
120
169
41
18
0
3 590
14 835
237 498
67 391
11 115
239 914
174 081
60 884
5 702
288
22
811 730
農業
工業
2
2 559
902
56
259
130
1 206
42
0
0
5 156
268
605
177
3
224
320
2 369
17
6
0
3 989
0
21
35
18
1 485
19
3 600
197
12
0
5 387
18
379
381
17
1 850
1 203
1 509
23
0
0
5 380
0
1
0
0
16
16
22
4
1
0
60
1 819
29 652
16 734
13 277
48 396
35 514
124 424
1 898
105
16
271 835
9
189
128
2
257
157
775
117
6
1
1 641
1
96
35
0
81
16
596
62
4
0
891
5
45
68
2
328
4
1 001
60
0
3
1 516
44
384
135
31
2 252
1 450
2 312
442
62
1
7 113
0
353
0
0
119
49
110
34
25
0
690
1 261
8 399
2 865
3 191
32 515
33 593
70 373
8 569
1 003
102
161 871
その他
748
11 408
7 187
19
1 503
1 624
575
28
2
0
23 094
6
1 103
999
7
18 539
5 008
251
11
0
0
25 924
1 302
8 697
12 597
14
7 995
186
1 660
93
8
0
32 552
1 874
22 493
9 682
144
6 731
4 366
491
16
0
0
45 797
0
2 995
927
0
2 065
584
265
11
32
0
6 879
152 190
1 060 385
340 681
21 916
264 749
109 059
41 774
2 080
92
3
1 992 929
合計
6 162
117 500
78 561
221
7 393
7 316
3 395
314
8
1
220 871
297
7 974
3 155
1 420
181 766
33 512
3 724
95
12
0
231 955
14 165
65 680
102 899
947
89 058
1 332
9 243
511
25
8
283 868
13 767
183 558
46 305
413
15 014
9 393
5 040
558
65
1
274 114
0
20 764
2 837
0
9 084
948
570
92
76
0
34 371
1 268 914
8 307 228
2 451 398
184 888
998 688
409 246
299 653
18 324
1 493
143
13 939 975
別表 2 発電プラントの稼働状況(2014 年度)
所在地(州名)
Azarbaijan
Esfahan
Bakhtar
Tehran
Khorasan
Khuzestan
Zanjan
Semnan
Sistan and
Baluchestan
Qarb
Fars
Kerman
Gillan
Mazandaran
Hormozgan
Yazd
Kish
発電プラント名
Sahand
Sufian
Orumia
Ardebil
Moqan
Esfahan
Hasa
Dorood
Shazand
Mofatteh
Besat
Firuzi
Rey
Rejaii (スチーム)
Rajaii(CC)
Qaen
Kaveh(CC)
Shirvan(CC)
Khrvan Olya
Robat Khan
Nai Band
Ramin
Soltaniyeh
Bastami
Iranshahr
Zahedan
Kenarak
Bampur
Iranshahr (ディーゼル)
Khash
Zabol
Zahedan (ディーゼル)
Saravan
Sanandaj (ディーゼル)
Bisutun
Eslam Abad Qarb
Kangan (ガス)
Bushehr
Bushehr (原子力)
Shiraz (ガス)
Ouz
Beyram
Dahram
Emad-deh
Khark (ディーゼル)
Khark (ガス)
Zarand
Kerman
Ravar
Faryab
Sirjan
Jiroft (ディーゼル)
Golbaft
Behashti
Baheshti (ガス)
Salimi (Neka)
Salimi (CC)
Bandar Abbas
Khalij Fars (ガス)
Iisin (ガス)
Bandar Abbas (ガス)
Parsiyan
Jask
Dargahan
Yazd (ガス)
Yazd (CC)
Kish (ガス)
Kish (ディーゼル)
総発電量
(GWh)
純発電量
(GWh)
ガス
(MCM)
エネルギー省(火力)
4,490
4,171
188
132
131
59
107
106
41
0
0
0
1
1
0
2,737
2,509
758
56
56
23
126
125
60
7,254
6,652
1,843
2,506
2,243
128
1,211
1,122
397
246
229
115
1,758
1,746
750
6,397
5,950
374
5,622
5,529
866
74
73
30
2,521
2,498
708
3,231
3,202
940
0
0
0
0
0
0
1
1
0
11,694
11,065
2,177
2,165
2,153
584
1,364
1,357
385
1,277
1,159
0
659
657
0
359
356
0
760
754
66
10
10
0
7
7
0
6
5
0
8
8
0
10
9
0
6
5
0
3,746
3,436
130
3
3
0
652
648
320
111
111
56
4,546
4,546
0
327
326
126
5
5
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
22
20
0
18
18
0
296
273
0
9,969
9,803
1,806
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1,632
1,525
398
336
329
130
9,535
9,249
613
2,537
2,478
571
7,013
6,505
623
4,758
4,747
1,436
965
958
316
124
124
50
2
1
0
0
0
0
1
1
0
371
370
157
4,734
4,647
926
638
631
138
2
2
0
49
燃料消費量
燃料油
(百万ℓ)
ディーゼル
(百万ℓ)
955
0
0
0
0
9
0
0
58
507
0
0
0
1,255
0
0
0
0
0
0
0
1,072
0
0
396
0
0
0
0
0
0
0
0
0
780
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
107
0
0
0
0
0
0
0
0
1,810
0
1,278
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
8
0
0
0
0
1
1
0
1
0
2
1
367
2
100
101
0
0
0
0
111
47
0
276
170
173
3
2
2
2
3
2
0
1
0
0
0
12
2
0
0
0
6
5
0
398
0
0
0
0
0
75
3
0
0
1
31
0
0
0
0
0
0
83
108
1
熱効率
(kcal/kWh)
2,232
4,022
3,980
2,455
3,607
4,213
2,302
2,328
2,875
4,105
3,748
2,318
1,911
3,650
2,739
2,755
5,780
5,942
2,822
2,423
2,806
2,764
2,855
3,600
4,074
2,716
2,449
2,257
2,604
2,556
2,587
2,577
2,200
2,868
4,303
4,418
3,697
2,553
2,995
,3234
2,937
2,322
2,203
3,327
1,909
3,686
3,225
3,686
3,440
3,686
2,534
3,465
2,310
1,972
2,446
2,663
2,832
3,469
2,504
4,722
3,630
3,708
1,866
3,355
2,788
発電効率
(%)
37.0
21.4
21.6
35.0
23.8
20.4
37.4
36.9
29.9
21.0
22.9
37.1
45.0
23.6
31.4
31.2
14.9
14.5
30.5
35.5
30.6
31.1
30.1
23.9
21.1
31.7
35.1
38.1
33.0
33.7
33.2
33.4
38.7
30.0
30.0
19.5
23.3
33.7
28.7
26.6
29.3
37.0
39.0
25.8
45.0
23.3
26.7
23.3
25.0
23.3
33.9
24.8
37.2
43.6
35.2
32.3
30.4
24.8
34.4
18.2
23.7
23.2
46.1
25.6
30.8
(続き)
所在地(州名)
発電プラント名
West Azarbaijan
Esfahan
Tehran
ChaharMahal &
Bakhtiyari
Khuzestan
Fars
Kerman
Kermanshah
Kohgiluye &
Boyer Ahmadi
Gilan
Mazandaran
Hamedan
Lorestan
Azarbaijan
Esfahan
Khorasan
Khuzestan
Sistan and
Baluchestan
Aras
Mahabad
Zayandeh-rud
Kalan
Amir Kabir
Latiyan
Taleqan
Lavarak
Karun 4
Kuhrang
Dez
Abbaspour
Masjed Soleyman
Karkheh
Karun 3
Marun
Gatvan
Molla Sadra
Droud Zan
Talebi (Sepidan)
Jiroft
Piran
Pol-e Kolu4
Kerik 2
Kerik 3
Pol-e Kolu2
Pol-e Kolu1
Sefid Rud
Takam
Siyah Bisheh
Gamasiyab
Darreh Takht 2
Tabriz (太陽光)
Tabriz (風力)
Sarab (風力)
Sar'ein (風力)
Nir (風力)
Esfahan (風力)
Khaf (風力)
Mashdah (廃棄物)
Mahshahr (風力)
Zabol (風力)
Shiraz (風力)
Shiraz (廃棄物)
Manjil (風力)
Gillan
エネルギー省合計
Fars
Esfahan
Iilam
Bushehr
Khuzestan
Kerman
Esfahan Steel Co.
Mobarakeh Steel
(スチーム)
Mobarakeh Steel (ガス)
Iilam Refinery
South Pars
Fajr Petrochemcal
Sarcheshmeh Copper
Complex (ガス)
Sarcheshmeh Copper
Complex (スチーム)
大企業合計
総発電量
(GWh)
燃料消費量
燃料油
(百万ℓ)
ディーゼル
(百万ℓ)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
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0
0
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0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-
-
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-
-
0
0
0
-
-
0
0
0
18,287
0
0
0
8,228
0
0
0
2,104
-
-
247
0
0
2,812
30.6
純発電量
(GWh)
ガス
(MCM)
エネルギー省(水力)
50
48
6
6
126
125
87
87
82
80
30
30
8
8
64
64
1,356
1,350
56
56
2,017
2,010
2,199
2,188
2,533
2,528
109
108
1,841
1,806
242
241
2,194
2,187
94
93
11
11
4
4
42
42
11
11
6
6
5
5
6
6
6
6
5
5
132
131
24
24
509
505
5
5
2
2
エネルギー省(再生可能)
0
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
6
6
2
2
0
0
1
0
2
129
123,791
1,294
1
0
2
129
119,201
大企業
1,165
熱効率
(kcal/kWh)
発電効率
(%)
1,077
988
492
0
19
4,153
20.7
599
12
2,262
450
597
12
2,094
450
185
4
646
129
0
0
0
0
0
0
0
0
2,706
2,503
2,504
2,425
31.8
34.4
34.3
35.5
87
86
0
0
0
-
-
489
488
194
0
0
3,433
25.1
6,270
5,881
1,896
0
19
2,902
29.6
50
(続き)
所在地(州名)
発電プラント名
総発電量
(GWh)
純発電量
(GWh)
燃料消費量
燃料油
(百万ℓ)
ディーゼル
(百万ℓ)
343
19
7
872
370
609
2,802
343
737
0
0
0
0
0
9
0
1
0
0
259
124
215
0
125
2,420
4,155
2,191
2,865
1,966
2,937
2,504
2,849
35.5
20.7
39.3
30.0
43.7
29.3
34.3
30.2
ガス
(MCM)
熱効率
(kcal/kWh)
発電効率
(%)
Tabriz (蒸気)
Tabriz (ガス)
その他
Urumiyeh (CC)
Khoi (CC)
Sabalan (CC)
Montazeri
Kashan
South Esfahan
(Chehelsutun)
Zavareh
その他計
4,047
39
26
3,446
2,195
2,446
9,836
1,433
民間部門
3,719
39
26
3,425
2,164
2,430
9,083
1,426
3,128
3,105
758
0
229
2,753
31.2
3,003
34
2,949
34
478
9
0
0
150
0
1,824
2,191
47.2
39.3
州内プラント計
3
3
1
0
0
2,192
39.2
州内プラント計
州内プラント計
Montaze Qaem
Montazer Qaem (CC)
Parand
Damavand (CC)
Rudshur
その他計
Qom(CC)
Shariati (ガス)
Shariati (CC)
Tus
Mashhad
Mashhad (ガス)
Binalud (風)
Neishabur CC)
Ferdoosi (CC)
その他計
州内プラント計
Zargan
Abadan (CC)
Khorramshahr
Zargan (ガス)
Takestan (風)
その他計
州内プラント計
Qods (CC)
6
18
3,524
5,131
3,065
14,066
3,691
439
4,784
158
2,172
3,959
969
639
56
6,066
2,830
51
5
794
3,882
3,767
308
3
120
23
1,407
6
19
3,276
5,069
3,045
13,826
3,660
439
4,695
156
2,135
3,665
889
635
56
5,934
2,817
51
5
737
3,812
3,734
306
3
120
23
1,399
1
5
515
937
823
2,372
780
110
974
62
453
248
327
240
0
1,173
847
13
1
201
838
756
121
0
30
6
393
0
0
486
0
0
0
0
0
0
0
0
813
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
227
197
722
263
0
134
11
35
0
1
4
0
202
113
0
0
0
40
440
0
0
0
0
39
2,192
2,191
2,566
1,980
2,907
1,919
2,464
2,191
2,025
3,953
1,921
2,425
2,891
3,257
1,938
2,900
2,135
2,136
2,144
1,981
2,708
3,342
2,191
2,191
2,683
39.2
39.3
33.5
43.4
29.6
44.8
34.9
39.3
42.5
21.8
44.8
35.5
29.7
26.4
44.4
29.7
40.3
40.3
40.1
43.4
31.8
23.7
39.3
39.3
32.1
Chabahar
1,687
1,674
0
0
592
3,020
28.5
Sanandaj (CC)
5,458
5,361
Zagros
2,627
2,580
Kermanshah
その他計
7
7
Asaluyeh (ガス)
4,936
4,900
Bushehr
Ganaveh
853
838
Fars (CC)
5,173
5,081
Kazerun (CC)
7,712
7,581
Jahrom (CC)
3,407
3,390
Fars
Hafez
3,459
3,434
その他計
56
56
Kahnuj
178
176
Kerman
Shubad (Kahnuj)
59
58
Gilan (CC)
8,681
8,482
Gilan
Pare-Sar
2,355
2,313
Golestan
Golestan
2,722
2,701
Noushahr
106
105
Mazandaran
その他計
192
192
州内プラント計
Hormozgan
48
47
Zanbaq Yazd
275
274
Shir Kuh
2,429
2,378
Yazd
Chadormalu
838
832
その他計
228
228
民間合計
145,059
141,606
全国合計
275,120
266,687
出所:Tavanir, “Statistics on Iran’s Electricity Industry: Production”, 2014
1,005
683
2
1,510
0
1,016
1,410
919
966
14
0
0
1,598
548
780
44
48
12
106
437
0
57
29,989
50,172
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2,045
10,273
173
169
0
98
290
153
316
196
153
0
80
20
370
85
137
4
0
0
2
93
279
0
6,749
8,872
1,887
2,830
2,201
2,851
2,920
1,974
1,955
2,859
2,828
2,191
3,895
2,855
1,979
2,350
2,944
3,936
2,191
2,161
3,446
1,906
1,906
2,866
1,906
2,371
45.6
30.4
39.1
30.2
29.5
43.6
44.0
30.1
30.4
39.3
22.1
30.1
43.4
36.6
29.2
21.9
39.3
39.8
25.0
45.1
30.0
39.3
45.1
36.3
East Azarbaijan
West Azarbaijan
Ardebil
Isfahan
ChaharMahal
Bakhtiyari
Lorestan
Hamedan
&
Alborz
Tehran
Qom
Khorasan Razavi
North Khorasan
Khuzestan
Khuzestan
Zanjan
Qazvin
Semnan
Sistan &
Baluchestan
Kordestan
51
別表 3 下水排出に関する規制基準
① 基準値
測定項目
生物化学的酸素要求量(注 1)
化学的酸素要求量(注 1)
溶存酸素
総電解質物質
浮遊物質
全浮遊物質
水素イオン指数
放射性物質
濁度
色度
温度
②
単位
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
ppm
mg/ℓ
mg/ℓ
pH
Bq/kg
度
度
度
陸上排水
30
60
2
30
60
-
(注 2)
(注 3)
40
6.5~8.5
0
50
75
5.0~9.0
0
75
-
(注 4)
個別物質含有量
含有物質
地下水
農業用水
100
200
2
0
100
6.5~8.5
0
50
75
-
単位
陸上排水
地下水
農業用水
銀
mg/ℓ
1
0.1
0.1
アルミニウム
mg/ℓ
5
5
5
ヒ素
mg/ℓ
0.1
0.1
0.1
ホウ素
mg/ℓ
2
1
1
バリウム
mg/ℓ
5
1
1
ベリリウム
mg/ℓ
0.1
1
0.5
カルシウム
mg/ℓ
75
カドミウム
mg/ℓ
0.1
0.1
0.05
塩素
mg/ℓ
1
1
0.2
塩化物
mg/ℓ
600(注 2)
600(注 3)
600
ホルムアルデヒド
mg/ℓ
1
1
1
フェノール
mg/ℓ
微量
1
1
コペルニシウム
mg/ℓ
0.5
0.1
0.1
コバルト
mg/ℓ
1
1
0.05
六価クロム
mg/ℓ
0.5
1
クロム
mg/ℓ
2
2
2
銅
mg/ℓ
1
1
0.2
フッ素
mg/ℓ
2.5
2
2
鉄
mg/ℓ
3
3
3
水銀
mg/ℓ
微量
微量
微量
リチウム
mg/ℓ
2.5
2.5
2.5
マグネシウム
mg/ℓ
100
100
100
マンガン
mg/ℓ
1
1
1
モリブデン
mg/ℓ
0.01
0.01
0.01
ニッケル
mg/ℓ
2
2
2
アンモニウム
mg/ℓ
2.5
1
亜硝酸態窒素
mg/ℓ
10
10
硝酸態窒素
mg/ℓ
50
10
リン酸塩
mg/ℓ
6
6
鉛
mg/ℓ
1
1
1
セレン
mg/ℓ
1
0.1
0.1
硫化水素
mg/ℓ
3
3
3
三酸化硫黄
mg/ℓ
1
1
1
硫酸塩
mg/ℓ
400(注 2)
400(注 3)
500
バナジウム
mg/ℓ
0.1
0.1
0.1
亜鉛
mg/ℓ
2
2
2
油
mg/ℓ
10
10
10
洗剤
mg/ℓ
1.5
0.5
0.5
糞便性大腸菌
個/100mℓ
400
400
400
大腸菌群数
個/100mℓ
1,000
1,000
1,000
(注 5)
線形動物
個/100mℓ
注 1:既存の産業活動については、値を従来の 90%以上削減することでも可。
注 2:半径 200m の領域で塩化物、硫酸塩や TDS の濃度を 10%以上増やさないという条件で、規準以上の排出も認められる。
注 3:塩化物、硫酸塩や TS の増加分が使用水に比例して 10%を超えない条件で、規準以上の排出も認められる。
注 4:半径 200m の領域で気温を 3℃以上変化させてはならない。
注 5:処理された都市部の下水が生のまま使用されるか農作物用の灌漑に使われる場合、一リットル当たりの線形動物の数を最大 1 個に制限する。
出所:環境省、
「環境関連の規則と基準」
52
大気汚染防止法は、大気汚染を引き起こす要因を、輸送機関、工場や発電所、商業施設等
に分類し、それぞれについて大気汚染の原因となる物質の排出を規制し、汚染物質排出の影
響を軽減するための事業者の義務等を定めている。発電所関連では、以下のような規定があ
る。

建設許可は立地に関わる環境庁の基準遵守に基づいて発行され1、その一部が許可書を
発行した監督官庁から環境庁2に送付される。
(第 13 条及びその第 1 注釈)

環境庁は、環境基準を上回って汚染物質を排出する発電所を特定し、汚染の量や種類を
発電所所有者や経営者に通知する。通知を受けた発電所は、一定の猶予期間内に汚染源
を除去するか、除去するまで稼働停止しなければならない。
(第 15 条)

発電所の所有者や経営者が第 15 条の義務を果たさない場合には、環境庁の要請に基づ
く司法機関の決定により、治安機構の警官が汚染発電所の稼働停止命令を実行する。
(第 16 条)

発電所等は、用地の少なくとも 10%を植樹等、緑空間の設置に割り当てなければなら
ない。
(第 19 条)

発電所等は、大気汚染を軽減するような燃料と燃焼技術を採用しなければならない。
(第 20 条)
2011 年 6 月には、環境保護最高審議会が、発電所が環境アセスメントの実施対象となる
ことを決議した。これにより、小規模発電所を除くガス発電所と、すべての規模のコンバイ
ンドサイクル発電所、原子力発電所、地熱発電所、太陽光発電所、水力・揚水発電所は、環
境アセスメントの実施を義務付けられた。対象プロジェクトは、次ページ以下に記載する諸
項目につき、アセスメント結果を 100 ページ以内の報告書で報告しなければならない。
ここに挙げられた項目をみると、国家の総合的計画や総合的政策との関係(2.3)、社会的・
経済的・文化的影響の考察(7.4)等、自然環境保護とは直接に関係しないものも含まれて
おり、アセスメントに対する判断は、これらの観点も含んだ総合的な見地から行われるもの
と推察される。また、現在、イランでは水不足が深刻な問題となっていることから、水関係
の許認可取得がとくにポイントとなる点であるとも指摘される。一定量の水利用に関する
認可のほか、井戸を掘るための認可取得等が必要となるケースもある。また、発電技術にお
いても水使用量を最大限減らす工夫が求められているとのことである3。
1
2
発電所に適用される排出基準は、CO が 150ppm、SO2 が 800ppm、NOx が 350ppm。
大気汚染防止法には、同法制定(1995 年)当時の環境関連の当局である環境保護庁と記されている
が、現在の組織名とする。以下、同様。
3
2016 年 2 月の TPPHC との面談では、冷媒として水を利用せず空気冷却装置を用いることなどが、こ
環境アセスメントの対象となるプロジェクトに関する概要報告書の諸項目
1. 非技術的概略:プロジェクトの種類と特徴、可能な選択肢、現在の環境状況の概略、プ
ロジェクトによる環境影響、悪影響を減少し制御する対策、そして環境アセスメントの
結論(最長 5 枚)
2. プロジェクトの詳細(最長 20 枚)
2.1.プロジェクト名称
2.2. プロジェクトの目的、ニーズと必要性
2.3. 国家の総合的計画や総合的政策における本プロジェクトの位置づけ
2.4. 本プロジェクトに関わる環境関係の諸法令、規制や基準
2.5. プロジェクトの建設提案地の立地条件(地図を使用)
2.6. プロジェクトの技術・立地に関する選択肢
2.7. プロジェクトの一般的な諸段階(準備、工事、稼働等)と将来の発展計画
2.8. 建設段階と稼働段階の内容説明
2.9. 生産ラインや生産の諸工程についての説明
2.10. 付加施設やインフラ(道路建設、公共サービス等)
2.11. 各選択肢や段階におけるプロジェクトの諸特徴
2.11.1. 生産能力(水力発電所のように鉱工業・開発プロジェクト)や容量規模(道
路建設、空港、ガス・パイプライン等)の提示
2.11.2. 投資規模(イランリアルおよび外貨)
2.11.3. 原材料、その調達方法と輸送方法
2.11.4. 資源の種類と規模(水、エネルギー、燃料)、その使用方法、調達方法と輸
送方法
2.11.5. 必要な労働力とその調達方法
2.11.6. 主製品と副製品の生産量
3. 地盤整備や基礎工事の段階で生じる環境変化や環境破壊の説明。例えば森林植物の破壊、
排水路建設、掘削、爆発、河川の変更、道路や公共施設やサービス施設の建設等(最長
5 枚)
4. 各段階における建設や加工によって発生する汚染物や廃棄物:空気汚染物、下水4、産業
排水、産業廃棄物、騒音5、振動、放射線等(最長 5 枚)
の例として示された。
4
下水排出に関する規制基準については、巻末別表 3 を参照。
5
騒音に関する規制基準は、次のとおり(単位 db)
。
昼間(7 時~22 時)
:住宅地 30、商業・住宅地 60、商業地 65、工業・住宅地 70、工業地 75
夜間(22 時~7 時)
:住宅地 30、商業・住宅地 50、商業地 55、工業・住宅地 60、工業地 65
別表 3 下水排出に関する規制基準
① 基準値
測定項目
生物化学的酸素要求量(注 1)
化学的酸素要求量(注 1)
溶存酸素
総電解質物質
浮遊物質
全浮遊物質
水素イオン指数
放射性物質
濁度
色度
温度
②
単位
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
ppm
mg/ℓ
mg/ℓ
pH
Bq/kg
度
度
度
陸上排水
30
60
2
地下水
30
60
-
(注 2)
(注 3)
40
6.5~8.5
0
50
75
5.0~9.0
0
75
-
(注 4)
農業用水
100
200
2
0
100
6.5~8.5
0
50
75
-
個別物質含有量
含有物質
単位
陸上排水
地下水
農業用水
銀
mg/ℓ
1
0.1
0.1
アルミニウム
mg/ℓ
5
5
5
ヒ素
mg/ℓ
0.1
0.1
0.1
ホウ素
mg/ℓ
2
1
1
バリウム
mg/ℓ
5
1
1
ベリリウム
mg/ℓ
0.1
1
0.5
カルシウム
mg/ℓ
75
カドミウム
mg/ℓ
0.1
0.1
0.05
塩素
mg/ℓ
1
1
0.2
塩化物
mg/ℓ
600(注 2)
600(注 3)
600
ホルムアルデヒド
mg/ℓ
1
1
1
フェノール
mg/ℓ
微量
1
1
コペルニシウム
mg/ℓ
0.5
0.1
0.1
コバルト
mg/ℓ
1
1
0.05
六価クロム
mg/ℓ
0.5
1
クロム
mg/ℓ
2
2
2
銅
mg/ℓ
1
1
0.2
フッ素
mg/ℓ
2.5
2
2
鉄
mg/ℓ
3
3
3
水銀
mg/ℓ
微量
微量
微量
リチウム
mg/ℓ
2.5
2.5
2.5
マグネシウム
mg/ℓ
100
100
100
マンガン
mg/ℓ
1
1
1
モリブデン
mg/ℓ
0.01
0.01
0.01
ニッケル
mg/ℓ
2
2
2
アンモニウム
mg/ℓ
2.5
1
亜硝酸態窒素
mg/ℓ
10
10
硝酸態窒素
mg/ℓ
50
10
リン酸塩
mg/ℓ
6
6
鉛
mg/ℓ
1
1
1
セレン
mg/ℓ
1
0.1
0.1
硫化水素
mg/ℓ
3
3
3
三酸化硫黄
mg/ℓ
1
1
1
硫酸塩
mg/ℓ
400(注 2)
400(注 3)
500
バナジウム
mg/ℓ
0.1
0.1
0.1
亜鉛
mg/ℓ
2
2
2
油
mg/ℓ
10
10
10
洗剤
mg/ℓ
1.5
0.5
0.5
糞便性大腸菌
個/100mℓ
400
400
400
大腸菌群数
個/100mℓ
1,000
1,000
1,000
(注 5)
線形動物
個/100mℓ
注 1:既存の産業活動については、値を従来の 90%以上削減することでも可。
注 2:半径 200m の領域で塩化物、硫酸塩や TDS の濃度を 10%以上増やさないという条件で、規準以上の排出も認められる。
注 3:塩化物、硫酸塩や TS の増加分が使用水に比例して 10%を超えない条件で、規準以上の排出も認められる。
注 4:半径 200m の領域で気温を 3℃以上変化させてはならない。
注 5:処理された都市部の下水が生のまま使用されるか農作物用の灌漑に使われる場合、1 リットル当たりの線形動物の数を最大 1 個に制限する。
出所:環境保護庁、
「環境関連の規則と基準」
、1999 年
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