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7th International Seminar on - 建設都市工学コース

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7th International Seminar on - 建設都市工学コース
第 12 回日本地震工学シンポジウム
0205
弾塑性応答を考慮した桁間衝突速度に関する研究
Relative Velocity during Collision between Girders Considering Elasto-plastic Responses
北原武嗣 1,伊津野和行 2,梶田幸秀 3,四元義直 4
Takeshi KITAHARA1, Kazuyuki IZUNO2, Yukihide KAJITA3 Yoshinao YOTSUMOTO4
1
関東学院大学 工学部社会環境システム学科,Dept. of Civil and Environmental Engineering, Kanto Gakuin University
2
立命館大学 理工学部都市システム工学科,Dept. of Civil Engineering, Ritsumeikan University
3
九州大学大学院 工学研究院建設デザイン部門,Dept. of Civil and Structural Engineering, Kyushu University
4
関東学院大学大学院 工学研究科土木工学専攻,Dept. of Civil Engineering, Kanto Gakuin University
SUMMARY: Herein studied the relative velocity during collision between the adjacent bridges in order to estimate the
collision force. The elasto-plastic response analyses were carried out using 2-degree-of freedom model. In this
paper, it is investigated the influence of type of input motion, ground classifications, damping ratio and collision spring
on the relative velocity. As compared to elastic responses, the relative velocity was reduced in about half and it
ranged from 0.3 to 2.5 m/sec. Finally, it is clarified that the ground classifications, differential ratio of natural period
and collision spring strongly affect on the relative velocity during pounding girders.
1
はじめに
現行の道路橋示方書・Ⅴ耐震設計編[1]では,落橋防止
システムに対して衝撃力緩和効果を期待しており,緩衝材
への期待は大きいと考えられる.また,道路橋に作用する
衝撃力としては,落橋防止システムと上部構造の衝突だけ
でなく,隣接桁間の衝突現象も考えられる.特に,ゴム支
承の普及が急速に高まっている現状では,桁間衝突の発生
する可能性は高まっているといえる.このため,地震時に
おける桁間衝突を考慮した橋梁の応答性状や解析手法に
関して検討が行われている[2],[3].
このような衝突現象による桁端部等の損傷を検討する
ためには,衝突時の衝撃力を的確に把握する必要がある.
理論的には衝突現象は力積により評価することができ,力
積は衝突時の相対速度に依存する.著者らの実験的研究[4]
からも,衝突時の最大衝撃力は衝突速度に強く関係するこ
とを確認している.
文献[5]では,隣接橋梁間の桁間衝突を対象として衝突
速度を数値解析により検討し,固有周期差比をパラメータ
とした衝突速度スペクトルを提案している.そこでは,構
造物の応答を弾性として検討している.しかしながら,実
際に衝突現象が発生するのは,大地震時であり構造物は弾
塑性応答を示していると考えられる.
したがって本研究では,構造物の非線形性を考慮した桁
間衝突時の衝突速度を把握することを目的とした.この際,
構造系の固有周期,復元力特性,および減衰定数等をパラ
メータとして考慮し,これらが衝突速度に与える影響につ
いて検討した.最終的には,復元力特性や減衰等をパラメ
ータとした衝突速度のスペクトル化を目指している.
2
検討方法
異なる固有周期を有する橋梁を対象とし,Fig. 1 および
Fig. 2 に示すような解析モデルとした.文献[5]と同様,モ
デル 1 は長大橋,モデル 2 は隣接中小橋と考え Table 1 に
示す構造諸元とした.モデル 1 は実在する長大橋の諸元を
参考に,固有周期を変化させるため質量を変化させて設定
した.なお,Fig. 1 は隣接橋梁間の衝突を考慮しない最も
簡便なモデルであり,Fig. 2 は衝突を衝突ばね要素として
考慮したモデルである.これにより,衝突ばねの考慮の有
無が衝突速度に与える影響を検討する.
モデル 1 として L1 から L4 の 4 ケース,モデル 2 とし
て M1 から M3 の 3 ケースを設定し,各々の組合せにより
合計 12 通りの解析モデルとした.Table 2 に各モデルの固
有周期差比を示す.固有周期差比は 0.10~0.80 の範囲に分
布している.ここで,固有周期差比ΔT/T は次式で定義し
ている.
ΔT T1 − T2
=
T
T1
(1)
ただし,T1:モデル 1 の固有周期,
T2:モデル 2 の固有周期(T1 ≧T2).
減衰の影響を検討するため,Table 3 に示す 4 ケースを
設定して検討した.ケース 1 を基準と考え,基準の減衰定
数よりも大きな減衰を有するケース 2,モデル 1 とモデル
2 で減衰定数が異なるケース 3 とケース 4 を想定した.
橋脚の非線形は Fig. 3 に示すようなバイリニアモデルと
して考慮した.この際,2 次勾配/初期剛性が 0.2 の場合
を基準とし,0.1 および 0.3 とした場合も検討し,2 次勾配
/初期剛性の値が衝突速度に与える影響も検討した.ただ
し,本論文では,紙面の関係上 2 次勾配の影響に関しては
報告を割愛する.なお本解析では,最大応答変位は降伏時
変位の 3~9 倍程度の非線形応答を示した.
衝突ばねの復元力特性は Fig. 4 に示すような,剛性が急
変するマルチリニア型の非線形弾性とした.またモデルの
簡便化のため,構造系間の連結部遊間が拡幅する方向(Fig.
4 において正側)と縮小する方向(負側)に同じ移動制限量
-926-
第12回日本地震工学シンポジウム
(±δ)を仮定した.衝突ばねの 2 次勾配を適切に設定する
ことが最大衝撃力の評価には重要であるが,文献[3]によ
ると衝突ばねの剛性が衝突速度に与える影響は小さい.パ
ラメータの変化による衝突速度の影響を検討することが
本研究の目的であることを勘案し,文献[5]を参考に便宜
的に 100GN/m と設定した.
衝突速度に与える移動制限量の影響を検討するため,こ
こでは移動制限量を 5cm,10cm,20cm と変化させて検討
した.これは,-10℃~40℃の温度変化による鋼桁の伸縮
を考えた場合,桁長として 80m~320m を想定した可動支
承の移動制限量に相当する.
Ⅰ種地盤,Ⅱ種地盤,Ⅲ種地盤ごとに,タイプⅠおよびタ
イプⅡ,それぞれ 3 波ずつ合計 6 波の地震波を使用した.
3
解析結果と考察
3.1 地震波種別および地盤種別の影響
地盤種別および地震波種別が衝突速度に与える影響を
検討するため,Fig. 1 に示した簡便モデルによる解析結果
を整理する.ここでは,衝突速度をモデル 1 とモデル 2
の構造系間相対速度で代用するものとした.
Fig. 5 に構造系間相対速度と固有周期差比の関係を示す.
図中,(a)~(c) はそれぞれ,Ⅰ種地盤,Ⅱ種地盤およびⅢ
種地盤の結果を示したものである.また,実線はタイプⅠ
地震波 3 波による平均値を,点線はタイプⅡ地震波 3 波に
よる平均値を表している.
2.5
2
Relative velocity (m/sec)
Fig. 1 Analysis model
Fig. 2 Analysis model
force
1.5
1
0.5
+δ
0
Displace
ment
0
model 2
Relative velocity (m/sec)
Fig. 4 Collision spring
model 1
model 2
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
L1(Type1)
(TypeⅠ)
L2(Type1)
(TypeⅠ)
L3(Type1)
(TypeⅠ)
(TypeⅠ)
L4(Type1)
(TypeⅡ)
L1(Type2)
(TypeⅡ)
L2(Type2)
(TypeⅡ)
L3(Type2)
(TypeⅡ)
L4(Type2)
2
1.5
1
0.5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0.7
0.8
0.9
Differencial ratio of natural period
(b) Ground classification II
2.5
Table 2 Differential ratio of natural period
M1
M2
M3
0.50
0.30
0.10
0.67
0.53
0.40
0.75
0.65
0.55
0.80
0.72
0.64
Table 3 Analysis case
case1
case2
case3
2%
4%
4%
2%
4%
2%
0.3
(a) Ground classification I
Relative velocity (m/sec)
L1
L2
L3
L4
0.2
2.5
Table 1 Analysis model specification
Mass
stiffness
Period
M(t)
K(kN/cm)
T(sec)
L1
2100
8130
1.0
L2
4800
8260
1.5
L3
8600
8330
2.0
L4
13600
8420
2.5
M1
500
7750
0.5
M2
1000
7900
0.7
M3
1700
8130
0.9
model 1
0.1
Differencial ratio of natural period
-δ
Fig. 3 Hysteresis Loop
L1(Type1)
(TypeⅠ)
L2(Type1)
(TypeⅠ)
(TypeⅠ)
L3(Type1)
(TypeⅠ)
L4(Type1)
(TypeⅡ)
L1(Type2)
(TypeⅡ)
L2(Type2)
(TypeⅡ)
L3(Type2)
(TypeⅡ)
L4(Type2)
L1(Type1)
(TypeⅠ)
L2(Type1)
(TypeⅠ)
(TypeⅠ)
L3(Type1)
L4(Type1)
(TypeⅠ)
(TypeⅡ)
L1(Type2)
(TypeⅡ)
L2(Type2)
(TypeⅡ)
L3(Type2)
(TypeⅡ)
L4(Type2)
2
1.5
1
0.5
case4
2%
4%
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Differencial ratio of natural period
入力地震波は,道路橋示方書・V耐震設計編[1]に示さ
れる設計応答スペクトルに適合する模擬地震波を用いた.
-927-
(c) Ground classification III
Fig. 5 Relative Velocity (case 1)
第12回日本地震工学シンポジウム
Ⅲ種地盤における地震波 6 波による平均値を示している.
なお,Ⅰ種地盤,Ⅱ種地盤でもほぼ同様の傾向を示したた
め図は省略する.
Relative velocity (m/sec)
2.5
L1(2%-2%)
L2(2%-2%)
L3(2%-2%)
L4(2%-2%)
L1(4%-4%)
L2(4%-4%)
L3(4%-4%)
L4(4%-4%)
2
1.5
1
0.5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Relative velocity (m/sec)
2
1.5
2
1.5
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
L1(2%-2%)
L2(2%-2%)
L3(2%-2%)
L4(2%-2%)
L1(4%-2%)
L2(4%-2%)
L3(4%-2%)
L4(4%-2%)
1
0
0
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
Differencial ratio of natural period
0.8
0.9
(a) Type I motion
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
Relative velocity (m/sec)
2.5
2
1.5
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅠ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅡ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
classificationⅢ)
0.3
0.6
0.7
0.8
0.9
1.5
L1(2%-2%)
L2(2%-2%)
L3(2%-2%)
L4(2%-2%)
L1(2%-4%)
L2 (2%-4%)
L3(2%-4%)
L4(2%-4%)
1
0.5
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
Differencial ratio of natural period
(c) Case1 vs. case4
Fig. 7 Relative Velocity
0
0.2
0.5
2
0
0.5
0.1
0.4
0
1
0
0.3
(b) Case1 vs. case 3
0
0.2
0.2
2.5
0.5
0.1
0.1
Differencial ratio of natural period
1
0
0.9
(a) Case 1 vs. case 2
Relative velocity (m/sec)
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
L1(ground
L2(ground
L3(ground
L4(ground
0.8
2.5
0.5
2.5
0.7
Differencial ratio of natural period
Relative velocity (m/sec)
Fig. 5 より,地盤種に関係なくタイプⅠ地震波とタイプ
Ⅱ地震波によって構造系間相対速度に大きな差異がみら
れないことがわかる.したがって,3.2 節以降の検討では,
地震波種別による区分を行わず地震波全 6 波による平均
値として結果を考察する.
また,橋脚を弾性として検討した文献[5]と比較すると,
ほぼ同様の傾向が現れていると考えられる.ただし,文献
[5]では 0.5~5.0m/sec 程度の相対速度が生じていたが,弾
塑性を考慮した本検討では,0.3~2.5m/sec 程度の相対速度
となっており,約半分程度の値に減少していることがわか
る.衝突現象を検討する際,弾性モデルで検討すれば安全
側となるが,より詳細な検討を行うには弾塑性を考慮した
検討が必要と考えられる.
つぎに地盤種による差異を検討するため,Fig.6(a)にタイ
プⅠ地震波の結果を,Fig. 6(b)にはタイプⅡ地震波の結果
を示す.これらの図から,Ⅰ種地盤,Ⅱ種地盤,Ⅲ種地盤
ともに固有周期差比が大きくなるにしたがい,構造系間相
対速度も大きくなること傾向がみられる.特に,Ⅲ種地盤
ほど大きな相対速度を示しており,固有周期差比による変
化の割合も大きい.これは,Ⅲ種地盤では入力した地震波
の速度応答スペクトルが,モデル 1 の固有周期範囲である
1.0~2.5 秒で変化が大きいためであると考えられる.
Fig. 5 および Fig. 6 より相対速度は,地震波種別による
影響は小さく,地盤種別や固有周期差比と強い関係のある
ことがかわる.
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
Differencial ratio of natural period
(b) Type II motion
Fig. 6 Relative Velocity (case 1)
3.2 減衰定数の影響
減衰定数が異なる場合の比較を Fig. 7 に示す.(a)はケー
ス 1 とケース 2 の比較,(b)はケース 1 とケース 3 の比較,
(c)はケース 1 とケース 4 の比較を表している.それぞれ,
これらの図より,減衰定数が 2%のケース 1 の場合が最
も相対速度が大きく,4%と大きな減衰定数としたケース 2
の相対速度は小さな値を示している.また,構造系間で減
衰定数が異なるケース 3 とケース 4 をみてみると,長大橋
側のモデル 1 の減衰定数を 4%としたケース 3 では,相対
速度が小さくなっているが,隣接中小橋の減衰定数を 4%
としたケース 4 では,ケース 1 とほぼ同じ相対速度が生じ
ることがわかる.以上より,隣接中小橋の減衰定数の差異
よりも,長大橋側の減衰定数の差異の方が,相対速度に影
響を与えると考えられる.
ただし,減衰定数が相対速度に与える影響は最大でも
1.3 倍程度であり,それほど大きいものではないと判断で
きる.また,弾塑性応答を考慮した場合,履歴減衰も生じ
-928-
第12回日本地震工学シンポジウム
るため解析上の粘性減衰をあまり大きく設定することは
過小評価につながる可能性もある.したがって本検討では,
長大橋,隣接中小橋ともに 2%の減衰としたケース 1 を基
準として考えた.
3.3
衝突ばねの影響
衝突ばねの有無が相対速度に与える影響を Fig. 8 に示す.
実線で衝突ばねがない場合の結果を,点線で衝突ばねを考
慮した場合の結果を示している.Ⅰ種地盤,Ⅱ種地盤,Ⅲ
種地盤ともにほぼ同様の傾向を示したため,差異が顕著に
表れているⅢ種地盤の結果を示している.なお,衝突ばね
を考慮した(b)の結果は移動制限量を 5cm とした場合の結
果である.
L1(without collision spring)
L2(without collision spring)
L3(without collision spring)
L4(without collision spring)
L1(with collision spring)
L2(with collision spring)
L3(with collision spring)
L4(with collision spring)
Relative velocity (m/sec)
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
Diffrencial ratio of natural period
Fig. 8 Relative Velocity (without collision vs. with collision)
図より,衝突ばねを考慮すると相対速度は小さくなるこ
とがわかる.これは衝突ばねを考慮した場合,モデル 1
およびモデル 2 の最大応答速度自体が衝突により小さく
抑えられたためであると考えられる.
しかしながら,長大橋側のモデル 1 の固有周期が 2.5 秒
である L4 のケースをみると,相対速度が逆に大きくなっ
ている場合も存在する.これは,モデル 1 とモデル 2 の応
答が逆位相に近い形で挙動し,衝突によって過大な応答が
発生したためと思われる.
つぎに,移動制限量による相対速度の影響を Fig. 9 に示
す.本検討結果も地盤種による差異は小さいため,傾向が
顕著に現れているⅢ種地盤の結果を示す.それぞれ,地震
波 6 波による平均値を示している.
L1(expansion
L2(expansion
L3(expansion
L4(expansion
L1(expansion
L2(expansion
L3(expansion
L4(expansion
L1(expansion
L2(expansion
L3(expansion
L4(expansion
Relative velocity (m/sec)
2.5
2
1.5
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
gap
5cm)
5cm)
5cm)
5cm)
10cm)
10cm)
10cm)
10cm)
20cm)
20cm)
20cm)
20cm)
1
0.5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
Diffrencial ratio of natural period
Fig.9 Relative Velocity (comparison among expansion gap)
Fig.9 より,衝突ばねの変位量が 5cm,10cm,20cm とお
おきくなるにしたがい,相対速度も大きくなる傾向がある.
移動制限量 5cm と 20cm では,最大で約 2 倍程度の差異が
生じることもある.したがって,相対速度を小さく抑える
ためには,小さな移動制限量を設定することが一つの策で
あるといえる.移動制限量の増加に伴い相対速度が大きく
なるのは,移動制限量を大きくすると構造系間の衝突回数
が減少するためと考えられる.
以上の検討より,衝突現象による衝突速度を詳細に検討
するためには,衝突ばねを考慮して検討することが望まし
いと考えられる.
4
結論
構造系の固有周期,復元力特性,および減衰定数等をパ
ラメータとし,これらが衝突速度に与える影響について検
討した.本研究で得られた結論を以下に簡単にまとめる.
(1) 隣接橋梁間の相対速度に与える,地震波種別の影響は
小さい.
(2) 隣接橋梁間の相対速度は地盤種別に大きな影響を受
け,Ⅰ種地盤<Ⅱ種地盤<Ⅲ種地盤の順に相対速度が
大きくなる.
(3) 固有周期差比が大きくなるにしたがい,相対速度も大
きくなる.
(4) 弾性応答の検討では,0.5~5.0m/sec 程度の相対速度が
生じていたが,弾塑性を考慮すると 0.3~2.5m/sec 程
度の相対速度に低減される.
(5) 衝突ばねを考慮した解析によると,相対速度を小さく
抑えたい場合は,上部構造の移動制限量を小さくする
必要がある.
隣接桁間の衝突速度に関して地震波種別,地盤種別,固
有周期差比,および衝突ばねの影響を定性的に把握するこ
とができた.今後,桁間衝突時の最大衝撃力推定を目的と
して,衝突速度スペクトルの定量化に関して検討していく
予定である.
謝辞
本研究は,平成 17 年度科学研究費補助金・基盤研究(B)
「緩衝機能を有する落橋防止装置の耐力と変形性能の評
価および動的設計法の開発」の補助を受けて実施した.記
して謝意を表する.
参考文献
[1] (社)日本道路協会:道路橋示方書同解説・Ⅴ耐震設計
編,丸善,2002.
[2] 例えば,川島一彦,佐藤貴志:相対変位応答スペクト
ルの提案とその適用,構造工学論文集,Vol.42A,
pp.645-652,1996.
[3] 渡邊学歩,川島一彦:衝突ばねを用いた棒の衝突の数
値解析,土木学会論文集,No.675/I-55,pp.125-139,
2001.
[4] 梶田幸秀,北原武嗣,西本安志,大塚久哲:鋼材衝突
実験におけるゴム製緩衝材に作用する最大衝撃力の
推定式,構造工学論文集,Vol.52A,pp.557-564,2006.
[5] 武野志之歩,伊津野和行:隣接橋梁間の地震時相対速
度応答と衝突速度スペクトルに関する研究,土木学会
論文集,No.668/Ⅰ-54,pp.163-175,2001.
-929-
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