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W。men`s 帥ks
ウイ メンズ
第50号 1994年 2月 25日
ブックス
ウイメンズ
1『
ブックス 2月雪
Womenb Booに
25日
発行
・ウイメンズブ ック友の会会報
ウイメン ズブ ックス トア
発行所 有 限会 社 松 香 堂 書 店
〒鯨
都市上京 区 卜立売通西洞院西入る
TELIFAX 075‐ 441‐ 6905
振 替 貯金 口座 京都 8‐ 7950
円年会費慣た
“
ウ段
oた 彙日
2Xl円
団体■mD
この リス トの書籍 をご希望の方 は、
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イ メ ンズ ブ ック最 新 刊
[女 性間
は ?]
『おん な と日本 需』
れいのるず =秋 葉かつ え編
有信堂
1993年 10月 2781円
日本語社会 のモヤモヤとあい まい な性差別につい て仕
分 けす る書。江原由美子他に よる「性差別のエ ス ノメ
ソ ドロジー」分析 が面白い。女 と男 の会話 を参与観察
し、会話 の 中に どのような権力装置が入 り込むか を実
証す る。男女の 日常会話に潜 む性差別に、なるほ どと
思 う。
『主婦一忘れ られた労働者』
レイ・ アン ドレ 矢木公子 黒木雅子訳
勁草書房 1993年 11月 5665円
原題 は『HOMEMAKERS:The forgotten Workers』 。
著者は組織心理学者で、企業 にお ける労働生活 の 質の
稼 ぐ手段 を持 たない
向上 を研究 して きた。本書では “
労働者 =主 婦"が 抱 える問題 とは何かを探 り、そ の解
決法 を探 っている。
r女 性問題学習の視点一国立市公民館 の実践か ら』
伊藤雅子 未来社 1993年 11月 2575円
公民館 の女性 問題講座 を担当 して きた著者 の実践 と思
い をまとめた もの。官製の「生 涯学習」が呼 びかけ ら
れる前か ら、手づ くりの「社会教育」があった。女 と
子 ども、老 い、性 と働 くことをめ ぐって学 び、 自分 の
言葉、思考 を育てていった主婦 たちの仲間づ くりが今、
地域 で実 を結 びつつある。
『生活学 を学ぶ
一 ウィメ ンズ 。ライフロング・ カ レッジの実践』
日本女子大学女子教育研究所編 ドメス 出版
1993年 11月 2060円
「 ウィメ ンズ 。ライフロング・ カ レッジ」 とは、 日本
女子大学 と川崎市教育委員会が共催 で開いた生活学講
座の こと。本書 は、女性が男女共同・平等・ 参画型社
会 の担 い手 となることを目指 した、生涯学習 の試み と
実践 を記録 してい る。
『世紀末 のフェミニズムー四つ の国の女たち』
スーザ ン・バ スネ ット 後藤久美子訳
田畑書店 1993年 7月 2400円
ニュー フェ ミニ ズ ム 運 動 は、 真 に カ ウ ン ター カル
チ ャーであ り得 たか ? 自ら関わったアメ リカ、旧東
ドイツ、イタリア、 イギ リスの四つの国の女たちの運
動 を極力客観的に分 析 し、批判す る。 しか し著者は世
紀末 の フェミニズム に向け、階級、人種、国籍 を越 え、
ジェ ンダーによって結 びつ く女たちの連帯 を予見 し、
希求 してやまない。
『都市 と女性の社会学一性役割 の揺 らぎを超 えて』
矢澤澄子編 サ イエ ンス社 1993年 11月 1957円
高度経済成長の最盛期、60年 代末、大卒女性 の専業主
婦化 は ピークに達 した。都市型生活世界の 中で、囲い
込 まれた女性たちの主婦的状況 の悩みは深 い。都市 に
生 きる等身大の女性像 の解明一性役割の拘束 とアイデ
ンテ ィテ イーの模索 のための社会学的アプ ローチの書。
『 ドイツの見 えない壁―女が問い直す統一』
上野千鶴子 田中美由紀 前 みち子
岩波書店 1993年 12月 620円
ドイツ統一 をめ ぐる東 ドイツの女性運動の変化 を、3
人の女性学研究者が追 った。統 一後3年 、彼女 たちの
質的調査 と取材 の結果 は悪 い方に予測が的中 した。既
得権― 中絶の権利や社会保障 は どんどん狭め られた。
権利 は常に聞いのプロセスか らしか生 まれない。だが
今、東 と西の女たちは、生 きに くい社会に抗 して、 ど
の ように共に歩み始めるのだろ うか。
ウイメンズ
『フ ェミニズム・ コ レクション I一性 。身体・母性』
加藤秀 一 坂本佳鶴恵 瀬地山 角編
勁草書房 1993年 11月 3296円
性暴力、セクシュアル・ハ ラスメ ン ト、買売春、ポ ル
ノグラフイー、 ミス コン、そ して母性 をめ ぐるコレク
シ ョン。「か らか いの政治学」 (江 原 由美子)、 「お産 と
出会 う 抄」 (吉 村 典子)等 、11編 が収め られている。
『フェミニズム・ コ レクションⅢ一 理論』
加藤秀 一 坂本佳鶴恵 瀬地山 角編
勁草書房 1993年 12月 3296円
知 の 冒険がす きな編者たちによる コ レクションもこれ
で完結。女性学 とは何か、家族論、 フェ ミニス ト批評、
男 の解放 を視野 に入 れ編纂。「女性 学 のめ ざす もの」
(井 上輝子、原 ひろ子)、 「女 は世界 を救 えるか」 (上
野千鶴子)、 「『智恵 子抄』 は光太郎 の贖罪の うた」 (駒
尺喜美)等 、15編 を収めている。
rフ
ェミローグ 4-日 本文化 を問 い直す』
『フェ ミロー グ』 の会編 玄文社
1993年 11月 1000円
日本 主義や和 の精神 をフェ ミニ ズ ムの立場か ら撃 つ
フェ ミロー グの会の第 4弾 。一本 一草 に宿る、ヌエ の
よ うな天皇制、 日本 的なるものを問 い直す作業 は、な
かなか難 しい。混迷す る時代、果た して フェミニズム
は時代 を切 り拓 く有効 な手段 とな りうるか。
「女」 はや つて られない』
『も う、
田嶋陽子 講談社 1993年 10月 1800円
これ まであちこちで発表 してきた評論 を、一冊に収集。
いず れ も文学をフ ェ ミニズム批評の視点か ら鋭 く論 じ
た ものばか り。恋 (奪 うこと)と 愛 (関 係 を維持す る
こと)の 矛盾 を斬 り、父の娘 (父 権制 を支持する娘 )
と母 の娘 (母 の苦悩 にのみ込まれる娘 )の 断絶か ら男
社会 をえ ぐる著者 の シャー プさに、 これか らも期待 し
たい。
[女 性 と仕事]
『工事現場に輝 くオ ンナ』
松村みち子 NTT出 版 1993年 11月 1500円
著者 自身、土木業界 で働 いてきた とい う経歴の持 ち主。
「土木技術者女性 の会」中部地区世話人で もある。人
手不足 を背景に増 えた工事現場で働 く女たちを取材。
生 き生 きと働 く姿 を紹介すると同時 に、女たちの個人
的頑張 りの前で壁 となる業界の体質 を も明 らかにして
い る。
『女 子高生のための仕事 の本』
森 絹江 ユ ック舎 1993年 8月 1545円
「何 で働かな くちゃい けないの ?」 とい う女子高校 生
の前 でおぼえる戸 惑 い。「主婦 になるのが悪 い とは思
わない けれど… (で も、何か気になるの)」 と、著者 は
思案す る。本書は、そんな著者 と女子高校生たちが一
緒 に考え、働 く女 た ちにイ ンタビュー した一冊。働 く
ことと稼 ぐことの 間 にある現代女性事情が見えて くる。
ブックス
第50号 1994年 2月 25日
『母が教 えて くれなかつたゲ ーム』
ベ テ ィ・L。 ハ ラガ ン 福沢恵子 水野谷悦子共訳
WAVE出 版 1993年 12月 2800円
本書 は『ビジネス・ゲーム』 の完全翻訳版。 ビジネス
とは別名 パ ワーダームのこと。著者はそのルール と、
働 くことへ の クールな姿勢、仕事で成功す る秘訣を女
性 たちに伝授 してい る。で も成功 したい と思 うか どう
かは、それぞれが決めること。ただどんな道 を選ぶに
して も、
「道 中 どうぞご無事 で」 と願わず にはい られ
ない状況があるのは一緒だ と思 う。
F平 成5年 版
働 く女性の実情』
労働省婦人局編 大蔵省印刷局 1993年 10月 1200円
今年 か ら本書 の名称が、「婦 人労働の実情」 か ら「働
く女性 の実情」 に変わった。 パー トタイム労働者や働
く女性 に関す る対策、統計表、女子労働 関係判例 を収
録 している。
『ワーキングウーマン症候群J
杵 測幸子 大月書店 1993年 11月 1400円
心 の 中は本当 はプルーなのに、何 とか 自分 を励 まして
著者は メランコリッ
(ご まか して)働 くのは しん どい。
クな気持 ちを隠 さずに「語 る」 ことが、 自分 らしい生
き方 を見 つ ける第一歩 だとい う。職場 のス トレス、恋
愛、結婚、拒食、過食などをテーマに、ケース を紹介。
痛み の深層 を洗 い出す作業へ とい ざなっている。
『わた しの就職活動 レポー ト』
等身大女子学生DAN編 マール社 1993年 11月 900円
今や大学 は レジャー ラン ド。学生は就職活動 を通 して
は じめて社会の厳 しさと向か い合 う。本書 は、編者 た
ちが友人か ら友人へ と呼びかけて行ったア ンケー トを
まとめた もの。不況の しわ寄せ をあびた女子学生たち
が就職活動で感 じた怒 り、困惑、そ して人生観が、ス
トレー トに表現 されている。
[女 性 論 ・ エ ッ セ イ ]
『愛、まさにその名のもとにJ
落合恵子 岩波書店 1993年 10月 1500円
落合恵子 は60年 代末の思想 を今 も誠実に持 ち続けてい
る。彼女 の文章 には、理想や正義、友情 な ど、時代か
ら忘れ られそ うな言葉が、生 き生 きと生 きている。 自
分 を生 きる柔 らかなイデオ ロギー を、未来 に予感 させ
るエ ッセイだ。
『矩形感覚』
富岡多恵子 朝 日新聞社 1993年 12月 1400円
研 ぎす まされた言葉の感覚 と意味が満載の富 岡多恵子
の最新 エ ッセイ。「女 ぎらい」 の文化 の三 島由紀夫論、
性 の観念小説 について書かれた中勘助論が圧巻。短 い
文章 に凝縮 された著者の思想がみえる。
『サザエ さん からい じわるばあさんヘ
ー女 。子 どもの生活史』
樋 口恵子 ドメス出版 1993年 11月 1545円
「サザエ さん」 はアニメでみ るほど保守的 な漫画では
第50号 1994年 2月 25日
ウイメンズ
ない。む しろ長谷川町子はフ ェ ミニス トではないか と
思 っていた私 は、この本でその思 いに確信 を持 った。
戦後す ぐ、普通 の三世代家族 を描 き始め、人生 70年 が
常識になった 頃「い じわるばあ さん」が出て くるあた
り、実に的確 に時代 を読んで い る。巻末のサザ エ さん
年表 は、戦後生活史にもなってい る。
『ぬえの名前』
橋本 治 岩波書店 1993年 11月 1500円
『ぬえの名前』 とはウ ンベ ル ト・エーコの『薔薇 の名
前』 の もじり。 いいかげんで、 しか も知的なオサ ム・
ワール ドは、「ぬ え」 とい う「何 だかわけのわか らな
い言葉」 で敢 えて規定 される ことか ら自由でい たがっ
ているよ う。 “
生 きる上で必要 な術 =教 養"と は何か
に こだわるエ ッセイ集。
rひ
とを愛す るとい うこと』
増 田れい子 労働旬報社 1993年 9月 1300円
自立へ の旅 に発 つ少女たちへ 、増 田れい子が 自分 の人
生に重ねて語 りかける書。反戦、 自然 との共生、働 く
とい うこと、人を愛する ことなど、未来に生 きる若者
たちへ の暖か く柔 らかなメ ッセ ー ジ。
『ファッシ ョンー蝶は国境 をこえるJ
森 英恵 岩波書店 1993年 10月 620円
「ファッシ ョンとはつ ま り、時代 の気分」 と森英恵 は
い う。 自らの生い立ちや、男女論、流行論 をま じえて
語 るファッシ ョンの世界。初 の書 き下ろ し。
『水パイプの傍 らの幸福
―現代 エ ジプ ト入女性 の仕事 。結婚 。子育 て』
足立恵子 近代文藝社 1993年 9月 1200円
現代 を生 きるエ ジプ ト人女性 を取材。巻末にはサ ー ダ
ウィヘ のイ ンタビュー も収録 。 日本や欧米 との価 値観
(常 識)の ちがい を軸に、 エ ジプ ト人女性 の生の声 を
集めてい る。
『私 の四十歳一女が人生 と向 き合 うとき』
大和書房編集部編 大和書房 1993年 11月 1600円
年齢に こだわるのはいやだ けれ ど、で も年は素敵 に重
ねてい きたい もの。本書 はさまざまな分野で活躍す る
女性が書 き下 ろ したエ ッセイ集。書 き手は石内都や河
野貴代美、 山根基世など28人 。みなそれぞれ、ハ ンサ
ムに輝 い てい る。
[女 性 の 歴 史 ]
『愛と結婚とセクシュアリテの歴史
一増補・ 愛 とセ クシュア リテの歴 史』
福井憲彦 新 曜社 1993年 11月 3914円
アラ ン・ コルバ ン、 フ ィ リップ・ ア リエ スほか 、 フラ
ンスの一 流歴 史家が書 く、愛 と性 の歴 史。愛 や性 とい
うイ ンフ ォーマ ル な領域 にお け る人 々の生 き方 、感 じ
方が公的 な領城 に与 えた影響 は大 きい。専 門 レベ ルの
内容が わか りやす い記述 と、 いい翻訳 で、豊 か に語 ら
れて いる。
ブックス
『姉 の力 樋 ロー葉』
関 ネL子 筑摩書房 1993年 11月 1450円
樋 ロー葉には、女性研究者 を触発 させてや まない何か
があ るのだろう。「 いふ まじきこと」「かた りがたき次
第」 を抱 える女たちの ドラマ を描 く一葉。一葉 の文体
と身体性 のつ なが り、働 く女か ら「姉の力」 を体現す
る女性作家へのプ ロセスなど、著者の一葉へ の汲め ど
も尽 きせぬ思 いが、 ひ しひしと伝 わって くる。
『おん な擦乱一恋 と革命 の歴 史』
永畑道子 藤原書店 1993年 12月 2200円
大正 は恋愛の時代。 自らの意志 で行動す る大正の女が
まぶ しい。豊かな感性 と捨て身の行動で、 まっす ぐに
恋 と時代 を生 きる男女 を網羅す る。恋愛 を基軸 に描 く、
近代 日本女性史。
『
「輝 ク」の時代― 長谷川時雨 とその周辺』
尾形明子 ドメス出版 1993年 9月 3090円
「女 人芸術」か ら「輝 ク」ヘー長谷川時雨 の再評価 と
危 うさを記 した書。 当時 をひたす らに生 き、今 も存命
の人 た ちを訪ね、「輝 ク」の全貌 に迫 る。後 の世 に生
きる者が、過去 を批判 し、再評価する優位性 を自戒 し
つつ 、著者は時代 を生 きた女たちか ら熱 いメ ッセー ジ
を受 け とめる。
『京都 。久多一女性がつづ る山里の暮 らし』
久多木の実会編 ナカニ シヤ出版
1993年 11月 1900円
京都 府北山山地 の伝承文化 を地元の女性 たちが綴った。
衣食住 にわたる生活文化、行事 ごとや祭、祝 い事 を伝
え守 ってきたのは、女性の力 によるものが多 い。書 き
留 めた文章に添 え られた写真が、山里の暮 らしをよく
伝 えて いる。
『京舞井上流家元 三世井上八千代
― 祇園の女風土記』
遠藤保子 リプロポー ト 1993年 8月 1957円
京舞 井 上流を大成 させ、都 をど りを草案 した三世井上
八 千代 こと片山春子。著者 は祇 園に生 きた一 人の女性
の人生か ら、 日本 の近代化 を浮 き彫 りに しようと試み
てい る。
『サ ッチャー回願録一 ダウニ ング街 の 日々/上 下J
マー ガ レッ ト・ サ ッチャー 石塚雅彦訳
日本経済新聞社 1993年 11月 各2800円
二
冷戦構造 極対立 か らソ連 。東欧圏崩壊 までの11年 間、
首相 の座にあった マーガレッ ト・ サ ッチ ヤーの回顧録。
「不安 の冬」 と呼 ばれたイギ リス社会 を、サ ッチ ャー
自らダウニング街 にあって、 どの ように激 しく変えて
いったか。西側社 会 に立ち、20世 紀後半 の歴史 を大 き
く動 か した女性 であることは事実。各国首脳へ の率直
な評価が面白い。
(4)
ウイメンズ
第50号 1994年 2月 25日
ブックス
『女性記者一新 聞 に生 きた女たち』
米田佐代子 岩崎千恵子 池 田恵美子他編著
世界思想社 1994年 1月 1950円
は新聞社で働
く女性たちの姿 を、女性史研究 とメ
本書
デ イア研究の立場か ら描 く。第二章では、戦中、そ し
て戦 後、 ジャーナ リズムの世界で働 いて きた女性たち
13人 を取材。編者 たちの明確なフェ ミニ ズムの視点が
心 地 よい。
『みんなの 自伝』
ガー トルー ド・ス タイン 落石八月月訳
マガジンハ ウス 1993年 9月 2500円
一人語 りの破格 な文体で綴 られた、ガー ドルー ド・ ス
タインの 自伝。天才 は天才 を知る。 まだ無名 のビカソ
やマチス、 ダリなどキラ星の ような人 々 との交流。彼
女の 自由 自在 の文章を、 ニュー ヨーク在住 の訳者が、
実に楽 しく訳 している。
『ナ イチンゲ ールー そ の生涯 と思想 I』
エ ドワー ド・ ク ック
『リゴベル タ 。メンチュウー先住民族の誇 りと希望』
上野清士 日本社会党中央本部機関紙局
中村妙子訳
時空出版 1993年 12月 3300円
フ ロー レンス・ ナイチ ンゲールの書簡、 メモを丹念 に
収録 し、解説 を加 えた膨大な伝記。 クリミア戦争へ の
召命 を生 きた自己犠牲 の人 とい うよ り、明晰な頭脳 と
才能 を持った改革者、女性解放の先駆者 としてのナイ
チ ンゲールのイメー ジが浮かび上が って くる。
『ナ イチンゲ ール伝 他一篇』
リッ トン・ ス トレイチ ー 橋 口 稔訳
岩波書店 1993年 11月 460円
ー
いた 『著名 なヴイク トリア朝
はス
が書
トレイチ
本書
「ナイチ ンゲール伝」と「アー ノル ド博士伝」
人』か ら、
を選 び、訳 した もの。著者は、単なる自衣 の天使 では
な い、生身のナイチ ングール像 を浮 き彫 りにす る。そ
の 目的は、「偉大 な時代 (ヴ イク トリア朝)」 の「偉大
な人物」 とい う通説へ の抵抗であった。
『女人禁制―現代械 れ・清 め考』
木津 譲 解放出版社 1993年 11月 1854円
「 是従女人結界」「 女 人禁制」 と書 かれ た結界石が残
る山 々がある。女 は不浄 だか らとい う。浄機観が習俗
や宗教 の もとで差別 を内在 してきたことはい うまで も
な い。だが機れてい て何が悪い とい う発想 の転換 こそ
が、差別を撃つ対抗性 を持 ちうるのではないだろ うか。
『買春王国の女 たち― 娼婦 と産婦に よる近代史』
森崎和江 宝島社 1993年 9月 1600円
家制 度下 における産婦 としての女 と、公 娼制度下の娼
婦 とい う名の女 は、別 々の存在なのだろ うか。本書 は
戸籍法 の施行以降、売春防止法の成立 まで、法の歴 史
が近代女性史 と重 な りあい、一見、相対す るかに見 え
る「妻」 と「娼婦」が 同時に必要 とされて きた事実 を、
細密 な資料 と聞 き書 きで解 きあか して いる。
「溝 口健 二 を愛 した女
―女流映画監督第一号/坂 根 田鶴子 の生涯』
大西悦子 三一書房 1993年 9月 2300円
日本女性で初めて映画監督 となった坂根 田鶴子。 しか
し彼女が撮 ったフイルムは、今では観 ることがで きず、
彼女 の名 を知る人 も少 ない。溝口健 二の もとで映画の
仕事 を修得 した坂根 田鶴子 とは、一体 どんな女性だっ
たのか。本書は埋 もれた女性 の生涯 を掘 り起 こし、 日
本映画界 の一側面 を描 き出 している。
1993年 7月 500円
1992年 、 ノーベ ル平和賞はグァテマ ラの女性 リゴベル
タ 。メンチ ュウに与えられた。国際先住民年は、同時
に反 コロンプス500年 の年 で もあった。彼女 の受賞記
念講演「希望」 のメッセー ジは、実に説得力 と誇 りに
満ちた演説 だ。
r与 謝野晶子― 昭和期 を中心 に』
香 内信子 ドメス出版 1993年 10月 2369円
与謝野晶子 とその時代、出来事、周辺の人 々 との関わ
りを、短歌 と資料か らた どる。65歳 で世 を去 るまで、
思想 の枯渇 を覚 えなかった とい う晶子 の魅 力 を探 る書。
[か
らだとこころ]
『赤 ちゃんがほ しい
一 生 殖・ 妊 娠 。出産 の 現 場 で 今何 が起 こって い る
か ?』 別冊宝島188
宝島社 1993年 12月 1100円
不妊治療、病院出産、 自宅分娩、無痛分娩etc.。 子 ど
もを持つ 人生のス ター トライ ンであるお産 と不妊治療
の現場 を、多角的に レポー トしている。
!
「贖 い』
ア ン ドレア・ ドウォーキ ン 寺沢みづ ほ訳
青土社 1993年 11月 2600円
ドウォー キ ンは、 レイプが女 にとっていかに不条理な
出来事であるか を、 レイプ体験 を語るとい う設定 によ
り明 らかに してい る。男に とって「 レイプは レイプで
はな くセ ックスである」。 この ことが常識 として通用
す る社会である限 り、「全 てのセ ックスは レイプであ
る」 とい う女性が いて も、少 しも不思議ではない。本
書は ドウォー キ ン流 の闘いの書 なのだ。
『あなたとわた しのA:DS
―今、試 されるQuality of love』
大竹登志子編著 ミネルヴァ書房
1994年 1月 1600円
AIDSは 、私 たち一人ひ と りに人間 としての生 き方 を
試 しているのか も知れない と著者 はい う。 AIDSに つ
いて、予 防、 AIDS患 者 との 関 わ りな ど、 Qual■ y of
loveを 若 い人たちに説 く書。
第50号 1994年 2月 25日
ウイメンズ
『癒 しのポデ ィワークー か らだの感覚 を磨 く』
松井洋子 創森 出版 1993年 11月 1600円
「大阪か らだとこころの 出会 いの会」 を主宰す る松井
洋子が行 ってきたボデ イワー クをまとめた一冊。ケー
ス ワー ク とレッス ンノー トの二部構成。 “
体 の声 に耳
をす ます と心が見えて くる。心が見 えて くると関係が
変化 して い く"と い う実践 の書。
『エ イズ と売買春 レポー ト』
宗像恒次編著 日本評論社 1993年 12月 2472円
“
HIV感 染予防 =コ ン ドーム を使 ったセ ックス"と い
う図式 がある。その一方で、同性愛者や売春 している
女性 をハ イ リスク・ グルー プに仕立てあげ、買春する
男 は コン ドーム さえ使 えばいい とい う状況があ る。本
書 は 日本やバ ンコクで売春 しているタイ人女性へ のア
ンケー トをもとに作成。その結果か ら、買春する日本
人男性 の貧 しいセ クシュア リテイが見えて くる。
『男でもな く 女でもな く
―新時代 のア ン ドロジナスたちへ』
蔦森 樹 勁草書房 1993年 10月 2678円
著者 に とって、この社会 はジェ ンダーの鎖 につ ながれ
た世界。その鎖は自らの 身体 にしみ こみ、 自らを縛 っ
てい る。著者の願 いはその鎖 を断ち切 り、男・ 女にこ
だわ らず、周 りや 自分 に言 い訳せず生 きられるように
な りた い とい うこと。本書 で著者 はジェ ンダーの鎖か
ら受けた傷 を癒 し、 自らを受 け入れ、世界 を受け入れ
られるようになるまでの 自己史を語 っている。
ブ ックス
『ジ ェンダー と権カー セクシュア リテ イの社会学』
ロバー ト・W・ コンネル
森 重雄 菊地栄治 加藤隆雄 越智康詞訳
三交社 1993年 12月 5150円
著者 はオース トラリアに生 まれ、現在 はカリフォルニ
ア大学で社会学 を教 えてい る。本書 は 自らが異性愛男
性 である とい う立場 を明 らかにしつつ 、異性愛男性が
家父長制 とい う鎧 を脱 ぐための理論構築 を試みてい る。
『女子割礼一 因習に呪縛 される女性 の性 と人権』
フラ ン・P・ ホスケ ン 鳥居千代香訳
明石書店 1993年 10月 2200円
アフリカで割礼 される女性 の数は、年 々増 え続けて い
る とい う。本書 はアメリカ人女性 ホスケ ンが女性の割
「女子割礼」 は
ネLに ついて書 いた レポー トの最新版。
女性 の 自己決定権 に関わる問題であ り、だか らこそ最
も基本的な政治問題 なのだとい う著者 の強い意志が感
じられる。
『性差 と文化一東京大学公開講座 57』
有馬朗人著者代表 東京大学出版会
19934「 10ナ 1
2266H
本書 は1992年 に東京大学が行った公開講座 をまとめた
もの。 副題 は「動物行動学か らフェ ミニ ズム まで」。
「女性 の発見一 アメ リカ文化 とジェ ンダー」 (瀧 田佳
子 )「 性差 と健康 リス ク」 (松 原純子)他 9編 を収めて
いる。
『セ ックス・ ワークー性産業に携 わる女性 たちの声』
『女 のエロス 男のエロス
ー女 と男の ワー クシヨップ』
松井洋子 青弓社 1993年 12月 2060円
と人
との関係
を、 とて も素直に平明に表 した本だ。
人
そのベー スには、 自他 の肯定、お互 いの 自我 を支え合
う愛があ る。 ワー クシ ョップによる体 と心の癒 しと再
生が、わか りやすい文章で記 されている。
『女 の トイレ事件簿― ナプキ ン先生 性 と生 を語る』
小野清美 TOTO出 版 1993年 12月 1000円
著者 の専 門は母性看護学。月経処置 の研究 に力 を入れ、
トイ レと女性の関わ りを見 つ めて きた。本書 では、 ト
イレで繰 り広げられる性 と生の密接 な関わ りを、古典
文学か ら現代社会事情 まで、幅広 く集 めている。
『子 ども産みます-35歳 ・働 く私 の子産 み どき』
林 寛子 学陽書房 1993年 12月 1400円
妊娠、 出産、子育 て と日々変化 してい く生活。本書 に
は、直面する現実へ の著者 の困惑が正直に表現 されて
い る。何 よ りも著者 の人生 観、「 自分 の本 当の気持 ち
に従 っていこう」 とい う言葉がステキ。子 どもを生み
たい と思わない私が本書 に深 く共感す るゆえんは、そ
の一点 にあるのだ と思 う。働 くことと愛す ること、生
きる ことを大切に した い人へ 、お勧めの一冊。
パ
ン
フレデ リ ック・ デ ラ コス テ
プ リシラ・ ア レキサ ンダー 編
ドラ監修・ 発 行 現代書館発 売
1993年 11月 3950円
売春 について語 るときの困難さは何 に起因するのか。
本書 はか らまった糸 を解 きは ぐす作業 を行 っている。
第 I部 は売春婦 として働 く女性 たち自身 に原稿 を依頼。
第 Ⅱ部 ではフェニ ミス トにとって売春がなぜ難問なの
か、売春婦 を社会の スケープゴー ドに仕立てあげる こ
との意味を考察。第 Ⅲ部は、 アメリカ、 イギ リス、 オ
ラ ンダで売春問題 に取 り組む組織 の声 を紹介 してい る。
『バ ースマザーー ある代理母の手記』
エ リザベス・ ケイ ン 落合恵子訳
共同通信社 1993年 12月 2200円
著者 のエ リザベ ス・ ケイ ンは、アメ リカ合衆国におけ
る法的代理母の第一号。代理母制度 に賛成 し、出産 し
たが、その後反対運動 に転身 した。代理母出産 とい う
「善行」 の前 で複雑 な感情 を押 し殺 し、「献身」 とい
う名 の母性 を演 じ続 けたエ リザベ ス。 自らを癒す ため
に書かれたこの手記か ら、 ビジネス としての代理母 と、
そ の 中で消費され ている女の胎盤 と感情が見 えて くる。
ウイメンズ
トナ ーシ ップ]
『〔
親子で学んだ〕ウィーン・シュタイナー学校』
[家 族・ 家庭・ パー
広瀬牧子 ミネルヴ ァ書房 1993年 12月 1800円
シュ タイナー教育 の研 究者 であ る夫が、 ウイー ン・
シュ タイナー学校へ留学す ることになった。子 どもた
ち と ともにウイー ンヘ 移 り住 んだ一 年 間。 シュタイ
ナ ー教育 にふれ、自らも含めて家族一人 ひ と りが どう
変 わったかを、著者 は語 っている。
『家族 は変わつたか』
有地 亨 有斐閣 1993年 12月 2060円
戦後 50年 、家族は変わったのだろ うか。現象的、表層
的には家族 の揺れは確かに激 しい。だが本書が試みた
家族 に関す る意識調査、新聞・雑誌へ の投書 を用 いた
集合的心性 をみても、人 々はす人になることよ り、 も
たれ合 うことを選んでいる。幻想 としての家族 に、憩
いの場 の意味付与を求める 日本人の変わ らない姿がみ
えて くる。
『変わる主婦・ 変わらない主婦』
わいふ編 集部編 グループわいふ 1993年 11月 1500円
「わいふ」発刊か ら30年 。その間の歩み をまとめ、今
までの特集記事 に寄せ られた投稿か ら、「わ いふ」 の
歴 史 をふ りかえる。
『現代家族法を学ぶ人のために』
中川 淳 世界思想社 1994年 1月 2300円
婚姻家族 の崩壊 を家族法が どこまで くい とめ ることが
で きるか。家族形態 の変化 をあ とづ ける豊富 な判例 を
例示 した家族法の入門書。
11月
・
1000円
・
著者 は、「子 どもがかわいい」 と思 えず に 自分 を責め
て しまう女性たちに、子育 てにはス トレスが あ って当
前 とや さしく語 りかける。そ して「素敵なお母 さん」
神 話 か ら一 歩 はなれ る方法 を、豊富 な体験 談 を交 え
語 っている。
『子 たたきは母の叫び一孤独 な育児か らの脱出』
か もがわブ ック レッ ト65
橘 由子 野寺夕子 か もがわ出版
1993年 12月 550円
著者は子育て中の迷 いや孤独 を、 自らの体験 を通 して
語 って きた。女の人生は「結婚 して、子 どもを生むと、
何 か違 って くる」 とい う実感。「児童虐待」 の伏線 は、
そ こか ら始 まっているのか もしれない。読 んでいて思
わず “うん、 うん"と うなず いて しまう、現代子育て
論。
『コ ドモよ り親が大事J
伊藤比呂美 婦人生活社 1993年 10月 1240円
伊藤比 呂美が子育て用 に作 った標語 は「 が さつ、 ぐう
た ら、ずぼ ら」、そ して「 コ ドモよ り親が大事」。子育
てに悩 める女たちに、著者 は「がんばって」 とはいわ
ブックス
第50号 1994年 2月 25日
ない (い えない)。 必要 なのはただ「あなたはよくやっ
てい ます」 とい う言葉 だ と実感 して いるか ら。「 自己
肯定的デモシカ育児」 をススメる本書 は、読んでいて
とって も心が軽 くなる。
『主人在宅 ス トレス症候群』
黒川順夫 双葉社 1993年 11月 1300円
著者は心療内科 の医師。最近、来院す る年配の主婦の
訴 えに「夫が定年退職 し、在宅するようになってか ら
体調が悪 くな りは じめた」 =「 主人在宅ス トレス」 と
い う共通点 がみ える とい う。本書 はその さまざまな
ケース を取 り上げると同時に、心療 内科 とは何かを説
明 している。
『
「主人」 とい うことば― 女か らみた男の呼び方』
福 田真弓編 明石書店 1993年 10月 2060円
きっ か け は NHKの ラ ジ オ 英 語 講 座 だっ た。
husband"を ど う して 『主 人』 と訳 す の か」 と
「“
NHKに “ラブ レター"を 出 した著者。 それか ら 5年
たち、反響 をまとめたのが この一冊。言葉 は人 と人 と
の関係性 を表す もの。私が相手 とどう関係 したいのか
を大切 に、著者 は言葉 とい う文化 の探検 を続 けている。
『ひ とりで子育 て しないで
一 グッバ イ !母 親ス トレス』
子育 てグルー プあんふ あんて編 ジャパ ンマシニス ト
19934「 10′ ]
1380Fl
“
あんふ あんて〉 とはフラ ンス語 で「出産す る」 の
〈
ほかに「生み出す」「創 り出す」の意味"(本 書)。 「楽
しい子育 てをしたい」気持ちを大切 に、ネ ッ トワー ク
を生み出 している女たちが作 った、母親 ス トレスにさ
よならす るための本。会員 を中心に声 を集め、マ タニ
テ ィ・ プルーや夫 との関係、 自立 した子育てについて
な ど、アイデ ィアを満載 している。
『夫婦別姓―家族 をここか らかえる』
福 島瑞穂 千葉景子 日本社会党中央本部機関紙局
1993年 8月 500円
夫婦別姓 の法改正 も間近。時代の流れは確実 に動 いて
いる。イキのいい女性 二人の元気の出る トー ク集。外
国の夫婦 の呼称例 も参考になる。
『ね え、ごはん食 べ た ?― 小 さな料理人たちへ』
おち とよこ アスク講談社 1993年 10月 1200円
「必要な ときに、食べ たい ものを作れる知識 と技術 を
身 につ けてお くことは、 自立 した大入へ成長するため
に不可欠なパスポー ト」 (本 書)。 著者は子 ども時代の
留守番 タイムを自立へ の第一歩 として考 え、簡単 クッ
キ ングを指南。体 にいい もの 。悪い ものの 区別や、文
化 としての食事 な ど、わか りやす く書かれている。
[高 齢化社会 を考える]
『老親 とともに生 きる』
向井承子 晶文社 1993年 9月 1800円
老親 と暮 らす 日々を続けて20年 。父 を87歳 で看取 り、
ウイメンズ
第50号 1994年 2月 25日
ブックス
骨粗 しよう症で寝 た きりの母 も、90歳 間近。個人の限
界 を越 える介護 の 中か ら、病 と老 い をまっす ぐに見据
える限差 しが鋭 い。
レーズを集 めた トー ク・エ ッセイ。吉本ばなな、山田
詠美、橋本治 など、著者 の好 きな作家の言葉 を ビック
ア ップ。
「ガールズ 。ビー・ ア ンピシャス」とい うメ ッ
セージにはふ さわ しくない装画が、ち よつと気 になる。
[女 性 と メデ ィア ]
『グ リーン・ ク リスマス』
野中 棒 福武書店 1993年 8月 1200円
「幸せ にな りたい」 とい う思 い を、人はそれぞれ どん
なふ うに実現 しているのだろ うか。この物語 に登場す
るシューコちゃんは、誰 かに幸せ にして もらお う とか、
誰か を幸せ に してあげたい とは思わない11歳 の女 の子。
「 自分 で幸せ になれる」 と確信す るか らこそ、彼女 の
笑顔 は とびきりや さしい。
『メディアに描かれる女性像
―新 聞 をめ ぐって 増補 ・ 反響編付』
メデ ィアの 中 の性 差別 を考 える会編
桂書房 1993年 11月 2060円
詳 し くは「 あ なたの情報 。わた しの情報」欄 を ご覧下
さい 。
[女 性 と芸術 ]
『移 り行 く姿』
近藤富枝
彩樹社発行
星雲社発売
1993年 10月 2200円
大正 ・昭和 を自由奔放 に生 きた女 と男 たち。芸術、文
壇、新劇界 にあって、愛を移 り行 く姿 を活写する ノ ン
フィクション。著者 の身近 にいた新劇女優伊藤智子 と
堀阿佐子の生 と死 は、一気 に読 ませ る迫力がある。
『幼 い未亡 人』
M・ K・ イ ンデ イラ 鳥居千代香訳
三一書房 1993年 11月 1600円
イ ン ドでの幼児婚 と、夫を亡 くした女性 の過酷な人生
を、淡 々とした 日常描写で告発す る小説。主人公パニ
ヤマ は月経が始 まる前に結婚。若 くして夫を亡 くし、
マーデイ (未 亡人)と して一生 を送 った。 自らの人生
を運命 として感受 しているよ うに見えるパニヤマ。で
も心 の うちは どうだったのか。本書 はイ ン ド社会 を女
性 の視点で描 いている。
『女が うつる一 ヒステ リー仕掛 けの文学論』
富 島美子 勁草書房 1993年 12月 3090円
シャーロ ッ ト・ ギ ルマ ンの短編『黄色 い壁紙』(1892年 )
は、ギルマ ン自身の ヒステ リー治療体験 を書 いた、治
療方法へ の異議 申 し立て書だ った。著者は 『黄色 い壁
紙』 との出会 いを原点に、 ヒステ リー をキー ワー ドと
して様 々なテキ ス トを読み解 き、時代 の中で抑圧 され
て きたもの 。して きた ものを明 らかに してい く。著者
自身による『黄色 い壁紙』 の訳付。
『女たちのデ カメロン』
ヴォズ ネセ ンスカヤ 法木綾子訳
群像社 1993年 11月 2000円
ロ シアの産院では、女たちは10日 間隔離病棟 にいる ら
しい。そ こでデ カメロンごっこをす る女たちの放談会、
10日 物語が展 開 される。初恋、誘惑、嫉妬、幸せ につ
いて語 られる100の エ ピソー ドは、「 ソ連」崩壊後 の今
も変わらない 日常 なのか も知れない。
『女 の言葉 が男 を変 える一 フェ ミニズム名言集J
木下明美 講談社 1993年 11月 1200円
日のウロコが落ちるフ
って元気の出る言葉、
著者にと
『ケ ーテ・ コル ヴィッツ
ー世界 の悲 しみ を見 つめた画家
「 フェ ミニズム・ アー ト」 シリーズ』
若桑み どり 1993年 11月 2200円
彩樹社発行 星雲社発売
芸術 の中で暴力 と死 は美化 されて きた。戦争 で子 ども
を亡 くした母の像 は、常 に「女子 ども」 の卑小 さとし
て しか認知 されて こなか った。 二つの大戦 を生 きた ド
イツの画家 コル ヴィッツは、美術史上初めて「子 ども
を殺 された母親」 として戦争 を描 いた。彼女が訴 える
ものは、殺 された者へ の哀悼であ り、痛恨であ り、告
発 であると著者は コル ヴイッツ論 を展開 して いる。
『ケニアの女の物語
― パ スプ ック 。1950年 代 ア フ リカ独 立の闘 い に生 き
る』
ム トニ・ リキマニ 丹埜靖子訳
明石書店 1993年 12月 3300円
1964年 ケニア独立 に至 るまでの50年 代 の問い をリー ド
し、支 えた女たちをもとに した小説。ア フリカ人の失
われた土地 と自由を取 り戻す マ ウマ ウ運動 は、 フオー
レス ト・ フアイター と呼ばれる森 の戦士 を生んだ。植
民地体制へ の レジス タンス、現代史の一 コマ を描 く書。
『三軒 目の ドラキ ュラ』
上野 瞭 新潮社 1993年 10月 1700円
いろん
な箱 に縛 られなが ら生 きている。例 えば、
人は
家、学校、会社 、性、老 いetc.… 。箱 の 中で他人 を利
用 しなが ら生 きる有 り様 は、人の生 き血 を吸 って暮 ら
す ドラキユラの ようだ と上野瞭 はい う。 では ドラキ ユ
ラたちが箱か ら自由にな りたい と思った らどうなるの
か。飛 びたい と思 った とき、人は初めて 自分が何 に縛
られているのか気付 くのか も知れない。
と生』
『新藤兼人の足跡呻
新藤兼人 岩波書店 1993年 11月 2400円
男 の映画監督は女優 をい じめる とい う。女 が好 きだか
らい じめたいのだ とい う。そ して女の性 を描 いた (つ
もり)で い る。 カメラの レンズを見なが ら、 なかなか
「人
カ ッ トの声 をかけない監督 とい うのは、どっちみ ち
殺 し」なのだ と新藤兼人はい う。女 は被写体 に過 ぎな
いのだろ うか。
ウイメンズ
(8)
『 ドロテア・ タニング
ー「 フェ ミニズム・ アー ト」 シリーズ』
ドロテア・ タニング 坂上桂子 荒川裕子訳
彩樹社発行 星雲社発売 1993年 9月 2200円
画家 を志す ドロテア・ タニ ングは、「31人 の女たち」
と題 す る展覧会 の作品選 びのためにア トリエ を訪ね歩
いていたマ ックス・エルンス トと出会 う。 1942年 の こ
とだった。本書 には二人の シュール レアリス トの画家
の生 涯が、 タペ ス トリのように綴 られている。
『中勘助の恋』
富 岡多恵子 創元社 1993年 11月 2500円
富 岡多恵子 な らではの作家 と作 品の謎に迫る評伝。 中
勘助 に惹 きよせ られる女たち一 姉 (兄 嫁)、 万世 (親
友 の妻)と 、その娘妙子一 に彼 は どこまで も、すげな
く、つ れない。 中勘助 にとっての「書 きたいことは書
いて はいけない こと」 とは何か。性 の絶対矛盾 を避 け
るためには、観念的 自己愛 を描かねばならなかった。
『ファザーフ ァッカー』
内田春菊 文藝春秋 1993年 9月 1600円
主人公静子 は16歳 で家に別れを告げた。家出とい う形
で。怒 りや悲 しみにふ りまわされる ことな く綴 られる
文章 には、精神 的に母親殺 しを成 し遂げた女性の 自立
した姿が見 える。
『フ ェミニズ ム小 説論』
渡辺和子 柘植書房 1993年 12月 2884円
詳 しくは書評欄 をご覧下さい。
『マー トブー 自由を求めて550日 /上 下』
ベ テ イ・ マムーディ ウィリアム・ ホファー
内海 舶訳 三田公美子監訳
ジャンニ・ コ ミュニケー シ ョンズ発行 星雲社発売
1993年 10月 各 1800円
イラン人医師 と結婚 したアメリカ人女性が、革命下 の
イランか ら娘 マー トプを連れて脱出をはかる。異文化
間結婚 の軋礫 と、 イラ ン・ イラク戦争 を背景に、世 界
的ベ ス トセラー となったノンフィクション。
『ラヴ ェンダ ース クリーン
ー ゲイ&レ ズ ビア ン・ フィル●・ ガイ ド』
ボーゼ・ハ ドリー 奥田祐士訳
自夜書房 1993年 9月 2900円
『制服 の処女』 か ら『 トーチ ソング・ トリロジー』 ま
で、 ハ リウッ ド映画 を中心 に300本 のゲイ&レ ズ ビア
ンフ ィルムを解 説。「映画は、 エ ンター テイメ ン トで
ある と同時に プ ロパ ガンダで もある」 とい う著者。 ヘ
テ ロが大前提 の 中で作 られて きた (い る)映 画を、そ
の ことが もた らす効果 も含めて評論 している。
[男 性問題 ]
『X― の男たち一彼が離婚 した理由』
石坂晴海 扶桑社 1993年 10月 1200円
ブックス
第50号 1994年 2月 25日
別れを選んだ (選 ばされた)男 たちは、修羅場をくぐっ
ていい男 に変わった。立 ち止 まって 自分 を知 り、相手
にも想像力 を持つ ようになったか らだ。離婚上手があ
るとすれば、男が女に近 づ き、女 も男 の悲哀を知るよ
うになる ことだろ うか。 バ ツイチの男 の気持ちにグッ
と踏み込むイ ンタビュー だが、言葉 の使 い方がちょっ
と変、 と思 うところが少 し気になる。
[女 性 と社 会 ]
『介護福祉学 とは何 か』
日本介護福祉学会設立準備委員会編
一番 ヶ瀬康子監修 ミネルヴァ書房
1993年 11年 1800円
日本介護福祉学会設立準備会の記録集。新 しい実践科
学 としての介護福祉学 を起 こすための問題提起、提言
が各専 門家か ら寄せ られている。そのキー ワー ドは介
護 を受 ける人への共感性 を持つ素養ではないかと思 う。
『希望 の革命―土井たか子 の挑戦』
板垣 英憲 DHC 1993年 11月 1300円
自ら解体する力 も失ったか のように見 える社会党の中
で、おたかさんだけは華がある。初 の女性党首t女 性
衆議院議長 となった土井 たか子は、今、何 を考えてい
るのだろ う。55年 体制 の終焉後、間われているのは自
発的 な一 人ひとりのポ リシーだ。
『証言
強制連行 された朝鮮人軍慰安婦 たち』
韓国挺身隊問題対策協議会 。挺身隊研究会
従軍慰安婦 問題 ウリヨソンネ ッ トワーク訳
明石書店 1993年 10月 3000円
歴史 を記録する19人 の元軍慰安婦だったハルモニたち
の初 の証言集。歴史的資料 を残すための長い準備 と、
つ らい作業 に思いがゆ く。戦争体験 は もとより、戦後
半世紀 の彼女 たちの生 き難 さを思わず にはい られない。
『
「陣中 日配」に書かれた慰安所 と毒ガス』
教科書 に書かれなかった戦争Part14
高崎隆治 梨 の木舎 1993年 12月 2060円
討伐 と酒 と慰安所の 日々、そ して毒 ガス使用 を証拠づ
ける陣中 日誌の記録 を自 日の もとに示 した書。戦争 と
は、誰 もが狂気をもつ世界 とい う弁明 を拒否する、あ
まりに も日常的な生活が詳述 されてい る。教科書で し
か歴史 を学ばない若 い人たちにこそ、 この事実を知 っ
てほ しい。
『楽 しくやろ うよ、国際交流
永井由美子 朝 日カルチ ャーセンター
1993年 10月 1200円
たった一人で 自分の住 む町、 島本町 とアメ リカのメイ
プルグ ロー プ市を姉妹都市 に した著者。彼女のバ イタ
リテ イと率直 さが伝わって くる、国際交流 を身近に感
じさせ る本。
ウイメンズ
第50号 1994年 2月 25日
富士通 ウーマ ンズネ ッ ト編著
情報 セ ンター出版局 1993年 12月 1200円
[資 料]
『N:RA 研究報告書
― (NIRA市 民 フオー ラム)女 性 の社会参加 と課題
第 4回 「非婚 。結婚 をめ ぐる諸問踊
1躍
1本 書
尋
M覧 清
撃
は
喚
に “[政"を絆
ryw舅 留
璃
編
零
テー
された政策研究機関)が 1993年 に行った 結婚
マ に した調査報告 と、提言をまとめた もの。社会保障
制度が、個 人で はな く世帯 を対象 として い るこ と、
“
専業主婦 と働 く夫"の 組み合 わせが企業にとって理
想 の結婚像 であることの弊害が見 えて くる。
『日本女性運動資料集成 (全 10巻 ・ 別巻 1)
一第 5巻 生活・ 労働 Ⅱ
無産婦人運動 と労働運動 の昴揚』
鈴木裕子 不 二 出版 1993年 11月 15000円
第一人編 無産婦人運動 と労働運動の昂揚
第一九編 労働組合婦人部組織 の三派分立
第二〇編 女性 を中心 とした労働争議 の昂揚
『季刊
女子教育もんだい-1993夏 56号 』
労働教育 セ ンター 1993年 7月 910円
特 集 :性 暴力
セ クハ ラ とは何 か
国際的人権問題「女性 に対する暴力」
「夫 (恋 人)か らの暴力」調査研究
ほか
ブックス
宮
淑子
『女性状無意識
一 テクノガイネーシンス 女性SF論 序説』
小谷真理 勁草書房 1994年 1月 2987円
『親密 さのダンスー 身近 な人間関係 を変える』
H・ G・ レーナー 中釜洋子訳 誠新書房
1994年 1月 2781円
『ス リッピングダウン・ ライフ』
ア ン・ タイラー
中野恵津子訳
文藝春秋 1993年 10月 2200円
『せいいっぱい』
土井たか子
朝 日新聞社 1993年 11月 1300円
『戦場 の女性特派員』
ジュ リア・エ ドワーズ 太田昭子訳
平凡社 1994年 1月 2800円
『胎動 SiCN OF L:FE
―写真 で綴 る自然出産の メモ リアル』
宮崎雅子 東京音楽社発行 ショパ ン発売
1994年 1月 2200円
林 陽子
ゆの まえ知子
『男女協働社会の創造J
金平輝子 ぎようせ い 1993年 9月 3200円
女子教育もんだい-1993秋 57号 』
労働教育 セ ンター 1993年 10月 910円
特集 :教 師の悩 み 。その周辺
原田瑠美子
学校 の変化・ 生徒の変化
い まだ多 い女性教職員へ の性差別
池田芳江
ほか
『季刊
『国際女性 Annual No.7 December 1993』
国際女性 の地位協会発行 1993年 12月 2500円
特集 :「 日本政府第 2次 レポー トの問題点」
[詳 細 は次号 で]
『浮 かび あがる』
マーガレッ ト・ ア トウ ッ ド 大島かお り訳
新水社 1993年 12月 2200円
『親指Pの 修業時代 /上 下』
松浦理英子 河出書房新社 1993年 11月
文藝春秋 1994年
1月
1800円
『ビア ノ・ レッスン』
カンピオ ン 斉藤敦子訳
新潮社 1993年 12月 560円
J・
『マザ ー・ マ シンー知 られざる生殖技術 の実態』
ジーナ・ コリア 斉藤千香子訳
作品社 1993年 10月 2800円
『ミセス・ ステ ィーブンスは人魚の歌 を聞 く』
メイ・ ダー トン 大社淑子訳
みすず書房 1993年 9月 2884円
『ルーシー』
ジャメイカ 。キ ンケイ ド 風 呂本惇子訳
學藝書林 1993年 11月 1860円
各 1500円
『グッ ト・ ガール 、パ ッド・ ガール』
ア ンナ・ クイン ドレン 廣木明子訳
東京書籍 1992年 10月 1700円
『仕事 と子育て両立 マニュアル
ー勇気 と希望の玉手箱』
『同性愛者 たち』
井田真木子
『わがの仕事』
中村 きい子
思想 の科学社 1993年 3月 4944円
『私 たちはたまごのカラ ?』
小沢王春 生活 クラブ連合会編
学陽書房 1993年 12月 1200円
ウイメンズ
『 わ が 愛 と叛 逆 』
所 美都 子
第50号 1994年 2月 25日
前衛社 (絶 版 )
日本でウーマ ンリブと言われる新 しい女性解放へ の
うね りが登場 したのは、1972年 に優生保護法改悪阻止
闘争が起 こった中での ことではないだろうか。それ ま
での運動 の発想 を本質的なところで変えようとした リ
プは、 また新たな運動 の視点を求めた。
私 もその動 きの端 っこにいて、 自らの内面 の求める
もの と現実の 自分 の 間を埋 めた くて もがいていたが、
当時、田中美津 さんの「便所か らの解放」ほ ど衝撃的
ではなかった ものの、未だに忘れ られない本に、所美
都子 さんの「わが愛 と叛逆」がある。 しか し、今、改
めてこの本の タイ トル を見 ると、何か陳腐 さを感 じて
しまう。で も彼女 の言葉は今 も生 き生 き輝 いてい る。
この タイ トルか ら類推 される学生運動、若者の反権力
闘争が メイ ンの テーマ ではない。「予感 される組織 に
寄せて」 にあるように女の視点、女の論理に輪郭 を与
えようと努力 した彼女の足跡 なのだ。「あれ も存在 し
ていいだろ う、 これだって、在 ったっていい筈 だ等 々、
そ こでの論理 は、すべ て非常に肯定的である」 と源氏
物語 を表す る彼女は、当時すでに リブ、フェ ミニス ト
と言っていい。
しか し彼女 は、1968年 29歳 で逝 き、それ らとは無縁
だった。だか ら彼女が高群逸枝や シモー ヌ・ ヴェーユ
に傾倒 し、女性 を「母性」で括 っているともとれると
ころが あるのは、ひっかかるか もしれない。 しか し、
常 に本質をみ ようとした彼女 は、 自己変革の柔 らか さ
をもった人だった。彼女が当初、生物学の研究者 を志
し、のち社会科学 に転 じて、そ して膠原病 と闘ったこ
とは、象徴的である。
菅原充子 (婦 人民主 クラブ)
『フェミニズム・コレクション
ブックス
I・ I・ I』
瀬地山 角他編 勁草書房 1993∼ 4年 各3296円
『思想の科学』が500号 記念 に、“
昨年 5月 、
私 にとっ
てのフェ ミニズム とはなにか ?"と い う特集 を組んだ。
その問い に堂 々たるフェ ミニス トか ら、そ うでない人
まで、 ゴチ ャまぜの107人 がこたえてい る。
それを読んで私は、 フェ ミニ ズムが ここまで届 いて
い なかったのか とい う現実 にあ然 とし、現代の 日本で
はフェ ミニス トってマイノリテ ィなんだ― とい う、思
えば当然の ことに新鮮 に驚 いて しまった。
この3巻 の本書 は、 リブ以降の フェ ミニズムの主要
な言説 を網羅 し、解説 を付す ことによ り、 この20年 の
フェ ミニズムの軌跡 を トレース してい る。この間、フェ
ミニズムが提示 して きた ものを、あい まいに しか理解
して これ なかった私にはあ りがたい。本書第 I巻 では
「フェ ミニズムは もう古 い」 とい う若者 の意見 をもす
くいあげてい る。
1960年 以降生 まれの3人 の編者たちの ス タンスの と
れた批評は、21世 紀 に向か うフェ ミニズムの課題 と浸
透 に、示唆 を与 えるものに思える。
奥田利子 (女 性 セ ンター図書室司書)
わ た しの 出 会 つ た4
『ファザーファッカー』
内田春菊 文藝春秋 1993年 1600円
私 は内田春菊 さんの作品が好 きだ。マ ンガはほ とん
ど全部読 んでいる。『ファザ ー ファッカー』 を読んで
始めに思 ったのは「 ああ、 これは春菊 さんの世界だ」
とい うこと。私の好 きなあの「 ニ オイ」 といった感 じ。
次 の 日の仕事 を気 に しつつ、 と う と う全部読 んで し
まったのだ。
そ して改めて考 えた。私は「春菊 さんの世界」の何
が いったい好 きなのだろ うか と。「 フツー」 とい うも
のに対す る距離の とりかた とか、 いわゆる自分の「不
幸」な情況に対す る醒めた眼 とか、多分春菊 さんはフェ
ミニス トではないのだろ うけれ ど、 自分 の中の女性性
を肯定 しているところとか、そ ういった ものの混合物
の ような気がする。そ してこれは全て私の関心あるこ
とで もある。
私 は春菊 さん とは全 く似てい ない。例えば上 に掲 げ
た ものについて言えば、私は普段、日で言っているよ
りはるかに「 フツー」にとらわれてい る し、自分の「不
幸」 な情況には簡単にふ りまわされて しまうし (悲 劇
の ヒロイ ンにはな らない けれ ど)、 自分 の 中の女性性
を完全 には肯定 し得 ないため にフェ ミニズムにすが り
つ く… とい うようなところがあるのだ。
「等身大で生 きる」 とい うクサイ言葉が若 い頃は大
嫌 いだった。今で もあま り好 きな言葉ではないけれ ど、
「等身大」 になることの難 しさは思 いっ きり感 じてい
る。 自分 を大 きくみせ ようととした り、見た くない現
実 に眼をふ さぐための「知識」 を少 しばか り身につ け
て しまったか ら。
春菊 さんの『ファザ ー ファッカー』にはひとりの「不
幸」 な少女が登場す る。結末 も16歳 で家出とい う決 し
て手放 しのハ ッピーエ ン ドではない。で もこの少女は
「等身大」で生 きる。楽 しいことを楽 しい と言い、苦
しいこ とを苦 しい、嫌な ことは嫌 と言 う。 自分 の情況
を真 っ直 ぐに見 つ める。「等身大」 とい う言葉が似合
わないほ どに、この少女 は「 自分」であ り続ける。きっ
と私はそこに魅かれるのだ。
江上諭子 (ビ デオエ房AKAME)
第50号 1994年 2月 25日
ウイメンズ
『真犯 人』
パ トリシア・ コー ンウェル 相原真理子訳
講談社 1993年 720円
昨年 の12月 にでた『真犯人』 は、わた しに とって半
年 ぶ りの ラブ レターだった。そわそわ して、毎 日本屋
に通 い、やっと手に した 日、500ペ ー ジを一気 に読んだ。
ケイ・ スカーペ ツクはバー ジニア州の検屍 局長。綿
密 な科学捜査 で事件 を解決す る。今回は、 グ ロテスク
な傷 を負 った少年が瀕死 の状態で発見 されたのを皮切
りに、連続殺人事件 が起 こる。そ して現場 には処刑 さ
れたはず の死刑囚の指紋が残 っていた !!
部下 の女性が殺 され、ケイは犯人 と疑 われる。そん
な窮地 も、 ルーマ・ ライ トとい う目に見 えないような
微細 な毛や指紋 などを浮 き出させる最新 の装置な どを
駆使 して立ち向か う。 アメリカの検屍 の最先端 がのぞ
けて、非常 に興味深 い。
筆者 、訳者、主人公、読者が女性 とい う小説 は「4F
小説」 と呼ばれ、人気が高い。中で もこのケイと、サ
ラ・ パ レ ツ キー が 描 く シ カ ゴの 女 性 探 偵 V・ I・
ウォー シヨースキーが双壁 だろう。
ひ とり暮 らし。一作 ごとに年 を重ね、悩み傷つ く。
女性が社会で仕事 を していこうとする と受 け るいやが
らせや中傷 を二 人 とも受け、時にや りか え し、仕事仲
間に支 えられて乗 り切 って行 く。女性読者 にとって、
共感で きる彼女たちのキャラクターが人気 の秘密 だ と
思 う。
で も、そろそろケイや ヴイグ (V・ I・ ウオー シヨー
スキーのこと)の ような 日本人女性 を主人公に した小
説が 出て きてほ しい。
川崎治子 (新 聞記者)
詩 あ そび 土 あ そ び 』
おぎ ようこ 自費出版 2000円
著者からの「とにか く展覧会を見に来て !」 との強
い要請の電話があ り、お盆参 りの衣姿のまま、閉展後
『墨 あ そ び
に駆 け込 んだ私 だつたが、来て よか つた と思 った し、
い や確 か に実際見 なけれ ばわか らない ものだ と感 じた。
生 来 の 弱視 の上 に、 9歳 の 時、性 虐 待 の 体 験 に会 い 、
一 時 は 自閉的生活 を送 った とい う著者 が、 まさに墨 と
詩 L土 で、子供心 を もって遊 んだ結果 生 まれた芸術 だ
と思 う。
習字の教本の型にはまったような字でなくていいん
ブ ックス
や、左右対称 の大 きさでな くていいんや、 とヘ タな字
に少 しコンプレックスを抱 いていた私 をホ ッとさせ る
ものが、墨あそびだつた。
そ して詩:「 おんなの哀に おんながつ らなる」「沈
黙 破 る 痛 み」 (口 にで きない女 ・ 口にで きる女)
「哀語 るときの 鋭 い刺す痛み」 とい う詩 にふれた時、
女 の私には痛みが走 り、 ただただため息が出るばか り。
けれ ど、土で遊んだ「あ くび こあ くび おおあ くび」
「寝 っころがって いい きもち」等 の作品が、 とて も
自遊 自在 で、ほとん ど忘れかけていた子供心 に、私た
ちを帰 させて くれ る。
「お こ らん ど きゃ ら くたあ ひ と りひ と り ち
が ってあ た りまえ」 と最初 に。「ハ ンディあ るか ら
個性 ある創造」 が著者 の合言葉。縛 られていた自分が、
おこらんど
少し解き放たれた気がした。〈
)、
おぎよう
この世界 に出会 ってみ ませんか ?
蓮 月 (真 宗大谷派僧侶 )
『 ゼ バ ス チ ア ン か らの 電 話 』
イリーナ・ コルシュノフ 石井素子・ 吉原高志訳
福武書店 1990年 1300円
は、大学生の息
こ
と思った動機
この
を書
う
本
作者が
ールフレン
を失 い、彼 のた
ド
が、次第に自主性
のガ
子
めに女性役割 に戻 ってい くのを見 て驚 いたか らだとい
う。高校生のザ ビーネには大学で化学 を専攻 し、環境
問題 に取 り組 みたい とい う夢があ つた。 しか し、セバ
スチアンとい うボー イフ レン ドがで きてか らは、彼が
バ イオリニス トとして成功す るために、 自分 は就職 し、
いつ も側にいたい と願 うようになっていつた。 自分 の
意志 を通 さず、祖母や夫 の奴隷 の よ うに行動する母 を
非難す るザ ビー ネだ ったが、 自分 も同 じような道を歩
もうとしていることに気がつ かない。 しか し、彼 と別
れ、働 く女性 の姿 を見、引越 しを経験 し、女友達 と出
会 うことによって、彼女は自分 の足 で立ちたい、 自分
を失いた くない と思 うようになる。
一方、母 も夫に反旗 をひるが えす ようにな り、そん
な母 の姿 を娘は「 いいな」 と思 い、応援す る。父親の
失業 も加わ り、家族 は新 しい生 き方 を模索 し始める。
女性 の 自立、性、学校制度の歪み等、現代的問題が取
り上げ られている。
「行動する女」
恋人を「待つ女」か ら物語が始 ま り、
を
い
は
ドイツだが、女性
。設定
が
で終 わるあた り `さ 憎
3人
の娘
い
を
。
るの
には驚
く
して
取 り巻 く状況が酷似
と自由にはばた
のびのび
いる
は、彼女たちが
私
育 てて
いては しい と願 っている。 これか ら思春期 をむかえる
人たちに、私 はこの本 を贈 りたい。勿論、大人にも十
分読み ごたえのある本だと思 う。
藤場芳子 (石 川県在住 )
ウイメンズ ブックス
第50号 1994年 2月 25日
ほんもの は優 しい
鈴木陽子
アイスランド=ド イッ=ノ ルウェー合作映画 『春にして君を想 う』 の試写を見たあ と、相手の
気持ちを尊重 して こそ、ほんものの優 しさだと、 しみ じみ思 い、同時にある物語が′
きに浮かんだ。
10年 も前に読んだ『家出 。12歳 の夏』 (M・ D。 バ ウアー 文研出版 1230円 )で ある。
4年 前 まで20年 前近 く地域文庫 の運営にかかわって きた関係 で、今 も子
どもの本 を私 は読み続 けて い るのだが、『家 出』 は出色の 1冊 で、 当時、
子 どもの本 の 関係者 の間で も評価が高かった。主人公は12歳 の少女 ステイ
シー なのだが、 どち らが主人公 とも言えない ほ ど存在感があるの は、オク
ラホマの草原 に一人住むエ ラばあ さんだ。家出 したステイシー が た ど り着
いたのが、風 の吹 きす さぶ土地で犬 と暮 らして い るエ ラばあさんの小屋で
ある。エ ラばあ さん との出会 い で、自分 のことしか考えなか ったステイシー
は、生 きる ことの重み を体得 して い く。少女 とおばあさんのか らみが実に
面 白 く、
心 をゆす る物語 なのだが、
おばあさんのところに、
時 々顔 を出す ヘ ン
ー
エ
ダ ソンと ラばあさん とのかかわ り方が、 もう一つ私 には心 に残 った。
「ジャック・ヘンダーソンはいい人だよ。
なんだかんだと口実をつ くっては、
さり気なくここにたちよってようすをみて くれる」 とエ ラばあさんはステイシーに言 う。そのヘ ン
ダーソンのところに、おばあさんが動けなくなった時、ステイシーは助けを求めに行 く。
おばあさんは
あんなふ うに一人で住んでいてはいけない、わた しが い なかったら家に帰 りつけないで、
死んでし
ハゲタカのえじきになってしまった、とステイシーは訴える。ところがヘンダーソンは、
まって、
おば
あさんのもとヘ トラックを走らせながら、こう答えるのだ。
「そう…そ りゃ、ばあさんのかって じゃな
いかね ?」 「死ぬのが ?」 「自分のお もうように生きるって ことがさ…ばあさんは、
あんなへ んぴなと
ころで、だれにも迷惑をかけずにくらしている。ときが くればあそこで死ぬ。あんたならどこで死にた
いのかい ?」
『春 に して君 を想 う』 とい う映画 は、年 とった男
女が主役 だ。老 い て疲れたために農夫 の生 活 を閉 じ
て、首都 の娘 一 家 の もとに居 を移す ことに した ソウ
ルゲ イル は、娘 の家か ら老人ホームヘ と送 られ る。そ
こで幼 な じみのステラと会 う。ス テラは故郷 で 死 に
た い と願い続 け、ホーム脱走の常習犯だ。ステ ラの願
い にソウルダイル もいつ しか共感 を覚 える。老人 三
人が手 をつ な ぎ、おぼつ かない足 ど りの脱出行 は、
現
実ではか なわな い夢 として、映画では超 自然現象が
映画『春にして君を想う』の一場面より
(;i曇
』Iijili][:晏 ヨ
l;1)
曇サ
i「
:言
手助 けす る。
映画 と物 語 に共通 して い るのは、はたか らは冷酷
に見 えよ う とも、自分 の 意 の ままに生 きよう とす る
女性 と、他 人のお もわ くよ り当人 の気持 ちを尊重 で
きる男性 の存在 だ。
相手 の気持 ちを無視 して、本人 の
い
い
こと
望んで な
を君のためだ と押 しつ ける こ とほ
ど、
優 しさか ら遠 い ものはない。 (フ リー ライ ター)
第50号 1994年 2月 25日
ウイメンズ
ブ ックス
あ な た の 情 報・ 私 の 情 報
私 たちが間われている
『テ レビメデ ィアが問われ、
ドラマ「フィリピーナを愛 した男たち」をめぐつて』
世話人 吉田和子・稲垣紀代
一 昨年 12月 フジテ レビ系 で放映 された ドラマ「フイリ
ピー ナを愛 した男 たち」が性差別、民族差別的であると
フィリ ピン女性が抗議 の声 を挙げ ました。監督のM氏
「 もっと勉 強 してか ら文句 をつ けろ」とい
がその抗議に
う文面 の手紙 を送った ことも、私 たちは フイリピン人
「ソフ
差別 と考 え、
報告書 を作 りました。M氏 は抗議 を
私たち
トファシズムの『表現狩 り』」と呼 んで い ますが、
こつい て考える一歩 に
には
「メデイア と少数者の人権」ι
な りました。
残念なが ら ドラマの制作者 とは、かみ合 う
論議 になってい ませ ん。問題 は次の ことで した。監督M
氏、フジテ レビ局が、ドラマで表現 した アジア人蔑視、
「貧
女性差別を当 り前 と考 えていること。フイリピンは
しく、女性 は売春 しなければ」とい う固定観念 を強固に
す る映像 であった こ と。これは私 たちの文化が戦前 の
ア ジア蔑視のままであ る現れではな いで しようか。メ
デ ィアは少数者 の人権 に敏感になる必要があ り、視聴
者 もメデイアを批判 的に見 る必要があると思 うのです。
ぜ ひ読んでみて下 さい。(700円 )
なぜ、メデ ィアは“主婦"が 好 きなのか ?
『メデ ィアに描 かれる女性像 増補・反響編付』
メデ ィアの中の性差別 を考 える会
『メデ イアに描かれる女性像 一新聞をめ ぐっ
この本 は、
て』('90年 度市川房枝 基金援助対象)が 品切 れになった
①前
特色 は、
の を機 に、新 たに編纂 し直 した ものです。
こと。
した
追加
『
る
自費出版
)を
(1992年
反響編』
著 に対す
い
と指摘
された点、
らわか
りに
く
②読者や報道関係者か
批判や意見 を受 けた所 を検討 し、よ り多 くの方 々 と共
③前著 で要 旨のみ掲
通認識 を持 てる ように したこと。
メデ イアをどう変 え
の
「男
講演
載 だった上野千鶴子氏
ことで
読者・メデ イア
した
す。
現在、
全面収録
るか」を、
・
セ
のノン
クシス
ト表現 の研
アメリカ
との意見交換や、
"を
“
ここ
3年 間の新
い
し
模索
中。
表現
究 を参考 に、望 ま
い
メデ
い
イアは
に、
近
男
の
して
ます。
うち
聞 変化 も調査
い
メデ
ので
イアの性
つつ
と
した
も
す。
ある、 報告
変わ り
性 差別"
差別 “
表現"を 問題 にす ることは、見 えに くい “
の
ら
まで自分
「今
ことで
方か
もあ ります。
読者
を考 える
が漠然 と感 じていた痛みは、これなんだ !」 との声 が多
数届 いてい ます。女性学講座 のテキス トにも最適です。
『第7回 女 と健康 国際会議・ウガンダ報告集 ウガ ンダ
編集発行 安藤能子
赤 い大地 よ り』
「セルフ・ヘ ルプ・ヘルス」を合言
「女 と健康国際会議」は
葉 に始 まった草 の根 の「女 と健康運動」で、1977年 以降
3年 ごとに開催 され、
女 たちの出会 い と交流・討論 の場
7回 目の会議が アフリ
を作 り続けて きました。昨年9月 、
カの ウガ ンダで 開かれ ました。この会議 に参加す るた
先回の フイリピン会議参加者
め、東京エ リアを中心 に、
準備 にあたって
が
「女 と健康連絡会・ウガ ンダ」を作 り、
きました。ウガ ンダにあるエ イズ救援組織 (TASO)訪
間 のメモ リアルキ ル トジャパ ンのメ ンバーの参加 も得
て、全体会議、ワー クシ ョップ報告 に とどまらない、生
横浜 で
の声 ものせ るこ とがで きました。今年8月 には、
「エ イズ国際会議」、9月 にはカイ ロで「国際人口開発会
「世界女性会議」と政府 レベ ル
議」、そ して来年 は北京で
の会議がめ じろ押 しです。このパ ンフレッ トが、こうし
た
「健康」をめ ぐる動 きへ の橋渡 しの一助 になっ
「女」と
て くれれば と願 っています。(300円 )
『女性学年報躙 4号 がで きました
女性学年報 14号 編集委員会 桂 容子
10月
『
に 女性学年報』14号 を刊行 しま した。特集
昨年 の
は
「表現す る女 たち」。マ ドンナ の写真集『SEX』 を中心
にフェ ミニズムの視点か ら表現者 マ ドンナを論 じた巻
頭論文 を始め、等身大 の女 を描 き続 けた女性作家 一干
刈 あが た論、明治 の女工の 自我意識 を小唄の歌詞か ら
分析 した論文 な ど五本 を集めて い ます。女性 が表現者
としてアイデ ンテ ィテ イを明確 に してい く過程 が分析
され、女性 と表現 とい うテーマの重要性が浮か び上が
世界におけ る人権問題へ の取 り組
ります。
特集の他 に、
二
みの報告が 編 あ り、フェ ミニ ズムの今 日的課題がそ
のままテーマ として現れてい ます。その他、女性 と少年
愛 について、また仏教 と母性、CRグ ループ と金銭授受
の問題、
児童虐待 と子育て期 の母親 についてなど、いず
「女性学年報』は誠実 な思索 と論考
れ も力作揃 いです。
に対 して、誰 にで も開かれて い ます。どうぞ、読み手 と
『女性学年報』に
して書 き手 として、また作 り手 として、
ご参加下 さい。(1600円 )
:
(桂 書房
2060円 )
!
『
「主人」ということば』について男たちの反応をい くつか
人』という呼び方がええとかアカンとか、どうでもええ
編著者 福田真弓
やんとか、いっぺ んみんなで話そうやって思ったんや
男
「きめ細やかな学術書」とい う感想をもらったのは、
ろ ? そんで結論とか答とかはその人自身が出せばい
「 もし男が読 んでも楽しめるものに
友だちからである。
いよってい う、そんなあんたのメッセージが伝わって
鬼 に金棒でしよう」と、要望 とい う形での
なるのなら、
Open― ended(オ ー
きたな」。こうい う姿勢 を英語では“
批判が付け加 えられていた。時代 はますます男 も自分
プン・エン ド)"と 形容している。あなたの近 くではどう
「ジェンダー」に関する本を求めているよう
を楽にする
い うテーマで、オープン・エン ドなおしゃべ りが展開す
、 なん
別の男友だちから「
だ。
今度は彼の番やでと思う。
『主
るだろうか ?(明 石書店 2060円 )
かあんたとしゃべ ってい るみたい な感 じやった。
ブックス
コ
二
ヽヽヽ
報
情
ヽ
ヽ
ヽ
ウイメンズ
第50号 1994年 2月 25日
(松 香堂 で扱 っているミニコ ミの最新情報です)
「 れ組通信 No.79-オ レゴンの 山の中で経験 したウー
マ ンズ・ ス ピリチュアリテ イほか」
れ組スタジオ東京 1993年 11月 400円
「れ組通信 No.80-本 を読む時間 もないKさ んに送 る
1993年 12月 400円
新刊紹介 ほか」
「れ組 通信 No.81-性 嗜好 か ら性志 向へ ほか」
1994年 1月 400円
「れ組 通信 No.82-個 人的 な こ とは社会 的 (日 本 の社
1994年 2月 400円
会保障 を考 える②)ほ か」
「婦人通信 12月 号― ことし私の初体験 ほか」
日本婦人団体連合会 1993年 12月 300円
「婦人通信 1月 号-1994。 国際家族年 〈さまざまなで
きごとに立 ち向かう、家族の こと自分のこと〉 ほか」
「行動する女No.78-家 庭科共修は今 ほか」
行動す る女たちの会 1993年 10月 200円
「行動す る女 No.79-「 イエローキ ャブ」 を検証す る
ほか」
ほか」
1993年 12月 600円
「Wel月 号一特 集
1994年 2月 300円
「Fi町 :Fitt Vol.22-特 集 転換 点 に立 つ 女性 労働
ほか」
Click 1993年 11月 550円
「婦人通信 No.258-女 性専用車両 を実現 しようほか」
社会主義婦人会議 1993年 10月 400円
「婦人通信 No.259-強 姦救援 セ ンター10周 年記念 ツ
ア ーin福 岡 ほか」
1993年 11月
400円
「婦人通信 No.26い 第2回 強制「従軍慰安婦」問題ア
ジア連合会議 〈
アジア7カ 国がつ どい日本政府に早期
解決を迫る〉ほか」
1993年 12月 400円
「プ ロシューム12月 号一特 集 学校 とどうつ きあ うほ
か」
大阪 よどがわ市民生協 1993年 12月 330円
「プ ロ シューム1月 号―特集 減農薬ってた いへ ん な
んだほか」
「 プ ロシ ューム2月 号―特集
なPTAほ か」
1994年 1月
330円
や ってみたいな、 こん
1994年 2月 330円
「女 の た め の ク リニ ックニ ュー ス No.104-フ ェ ミニ
ス トカウ ンセ リ ング全 国大会 ワー クシ ョップほか 」
ウ ィメ ンズセ ンター大阪 1993年 12月 300円
の
た
め の ク リニ ックニ ュー ス No.105-み ん なで
「女
考 え よう女 と胎 児診 断 ほか」
1994年 1月 300円
「 Women and Health :n」 apan No.1l Winter
1993-94 Report on the "Women and AIDS"Sympo‐
Women's Center Osaka 500円
sium etc.」
「月刊 むすぶ No.276-特 集 産 ませ る社会・ 産 ませ
ロシナ ンテ社 1993年 12月 700円
ない社会ほか」
「 月刊むすぶ No。 277-特 集 企業 ってなんだ ?ほ か」
1994年 1月 700円
「Voice第 46号― 規約人権委員会審議傍聴報告 第 一
弾 ほか」 住民票続柄裁判交流会 1993年 11月 150円
「Voice第 47号 一 規約人権委員会 での婚外子 問題論
議 ほか」
1993年 12月 150円
「あご らNo.19時 政治 “
改革"の 危険性 ほか」
BOC出 版部 1993年 11月 1133円
「あご らNo.191-買 春王国「性 を売 る女たち」 ほか」
1993年 12月 886円
1993年 12月 300円
「 月刊家族 No.95-特 集 読者へ の年賀状・読者か ら
の年賀状 ほか」
1994年 1月 300円
「Woll月 号一特 集 性 を語るほか」
Weの 会 1993年 11月 600円
「Wo12月 号一特集 つ ながるいの ちはか」
1994年 1月 300円
「婦人通信 2月 一 カルテか ら見 た現代母親像 ほか」
1993年 11月 200円
「 月刊家族 No.93-特 集 男の職場 に集出 した均等法
世代 の女たちはか」
家族社 1993年 11月 300円
「月刊家族 No.94-特 集 娘が再び母親 と暮 らす とき
病 い 。障害を分か ち合 うほか」
1994年 1月 600円
「 シ ン グルズ 。ネ ッ トVoi.19-特 集 シ ングルズ ア
ンケー トほか」
確信犯 ?シ ングルの会 1993年 12月 200円
「パ ヮー ァ ップ ニュー スVOL.8-子 た た きす る母親
は悪 い母ですかほか」
パ ワーアッププラ ンニ ング 1993年 12月 250円
「WiFE No.24卜 特集 病気 とのつい あいほか」
グルー プわいふ 1994年 1月 460円
「野合 Vo:.35-と どまる ところを しらない往復書簡
ほか」
朝倉ふみ 1994年 1月 200円
「CHOISiR(シ ョワ ジ ール)Voi.32-特 集 メデイ
アほか」
シ ョワジー ル 1993年 12月 300円
「あんだんて‖号一女性 史 〈
古代か ら近代 まで〉ほか」
女性史グルー プあんだんて 1993年 12月 800円
「 FLCネ ッ トワー クニ ュース レターNo.9-特 集「 ク
レヨンしん ちゃん」 を考 える」
FLC研 究所 1994年 1月 300円
「女性 の ライフサイクル研究第二号特集 ダイエ ッ ト
か ら摂食障害 まではか」
FLC研 究所 1993年 1月 1000円
「ファムポ リティック創刊 準備号―緊急特集 政治家
はほん とうに「政治浄化」 を望んでいるのかほか」
グルー プわいふ 1993年 9月 300円
「 ファムポ リテ ィック創刊号一緊急特集 改正「政治
資金規正法」 はザル法 になる !ほ か」
1993年 12月 300円
「
「 メデ ィア と人権 を考 え る会」報告 書 No.1ド ラマ
「フイリピーナを愛 した男 たち」をめ ぐって」
メデ ィアと人権 を考 える会 1993年 11月 700円
「報告書 住民参画を考 える 参画 ?」
住民参画を考 える会 1993年 10月 824円
ウイメンズ
第50号 1994年 2月 25日
ブックス
ミニ コ ミの女 たち
CHOIS:R〉
〈
色川
奈緒
「徒党 を
「女か ら女たちへ」という言葉が恥ずか しい。
組 んで闘う」ス タイルに馴染めない。一枚岩であること
が
「勝利」につ なが ると信 じて疑わない ように見 える女
性 たちが苦手である。それで も、たぶん私はフェ ミニス
トだ。世 の 中を フェ ミニス トとそれ以外 に分 けるのな
ら。
知人 と
1989年 末 に中絶可能時期 の短縮 問題 を知 り、
グ ルー プ を発 足 し た の が きっ か け で、ミ ニ コ ミ
「CHOISIR」 を発行す るようになった。当初は避妊や中
絶 な ど、身体 に関す る記事 をまとめた りして いたのだ
が、だんだん と、自分 自身に密着 した形 の意見 を交換す
る場 に変わっていった。
読者 の 中に はバ リバ リの運動 家 もい るが、フェ ミニ
ズムに関心 はあるものの、
本や シンポジウムだけでは、
しっ くりこない 自分 を抱えている人が多い。
いつ も、
全体 と個人の間で揺れている。そ うい うもん
じゃないか、と思 っている。キ レイ ゴ トは信用で きない。
たった一言 で言 えて しまう答 えな ら、問題 は とうの昔
簡潔 な言葉
に解決 していたはずなわけで、だか ら私は、
の裏の意図された ものに思いをめ ぐらせ ることはで き
て も、フェ ミニ ス トと呼ばれ る人たちの紋切 り型 口上
や、市民運動家 と呼ばれる人たちのス ローガ ンを好 き
になれない。
例 えば、中絶 の非合法化 には反対で も、中絶選択 の権
利 は絶対的な ものか どうか、とまどい を覚える。ポルノ
グラフイが現実 の性差別の再生産 になるとい う側面 は
法規制 には絶対 に反対 だ し、ポルノグラフイ
認め るが、
は必ず しも性 差別 とイコール とは限 らない と思 う。ミ
ス・ コンテス トが「性の商品化」だ とい う見方 に、一概
☆1993年 度
にうなづ けない。男 も女 も育児休暇 を とれると言った
ところで、実際 に育児休暇 を と りそ うな男 を私は知 ら
「妻 が
「家事 を分担 して くれる協力的な男」とか
ないが、
い
は、
ことに
る男
に惚
れると
う芸当
理解があ
」
外で働 く
―
い
などなど。
にはで
きな
私
解答 が一つ しか ないかの ように、語 り始 めた誰か の
口をふ さ ぐおエ ラ方の態度が大嫌 い。違 い を違 い とし
て認め合 い、相手 を黙 らせ るのではないや り方 でつ な
がってい く、とい うフレーズの、そのウツクシサ も怖 い。
仲良 しクラプをや ってい くことの安心感 は、人を束縛
す る。違 う意見 を口にす ることが ご法度 となった り、日
腹 の底 を隠 した賞賛 を受けるだけに
に した ところで、
わった
りするとい う形 で。
終
昨年 末 に「CHOISIR」 は個 人誌 に なった (当 初 の グ
ループは解散 したのである)。 この ミニコ ミを続けてい
く目的 も気持 ちも十分に持 ち合 わせていた私のや り方
で私が作 るこの ミ■ コ ミに、いろん な人が関わつて く
れた ら、それはとて も嬉 しい。
簡潔に言 い切 ることので きない 自分 を語 ることで見
えて くる もの、それ を読 んだ誰かが何 かを返 して くれ
ること、そ して、そ こか らまた見 えて くるものを大切 に
「 フェ ミニズムか らこぼれ
してい きた い。これか らも、
つ
い
い
て
もりで いる。
に置
く
る私」を基本
ろん投稿大歓迎。
最近嬉 しかつた こ と、
だか ら、もち
に「CHOISIR」 は、
で
リ。
ちなみ
ど、
もア
何
怒 り、悩 み な
・
・セ
ユアリテ
イ
。
クシ
不問
年齢 性別
年会費3000円 。東京 0-24408(名 義 :シ ヨワジール)
問 い合わせ先 :東 京都杉並区天沼2-8-7-103色 川奈緒
ウイメンズブ ックス トアBEST20☆ (松 香堂刊 は除外 )
①エイジズム ニューフェミニズムレビュー第4号
樋口恵子編 学陽書房 1600円
②皇太子妃報道の読み方 亀井 淳 岩波書店 550円
③ボロずきんの冒険
エ クセル・J・ フェルプス編 学陽書房 1600円
④ ワーキングウーマンのサバ イパルガイド
福沢恵子 学陽書房 1400円
⑤女性の呼び方大研究 遠藤織枝編 三省堂 1600円
鹿島 敬 岩波書店 580円
⑥男の座標軸
⑦対話快楽の技術
斉藤綾子・伏見憲明 学陽書房 1500円
③女性差別の社会思想史
安川悦子・安川寿之輔 明石書店 4800円
編集部編
⑨女性情報年鑑1993「 女性情報年鑑」
パ ドウィメンズオフイス 3800円
⑩老いの青い鳥を求めて
樋口恵子監修 ミネルヴア書房 1700円
樹原富士子 明石書店 2060円
⑪女性 と戸籍
山崎浩一 紀伊国屋書店 1500円
⑫男女論
⑬愛 という名の支配 田嶋陽子 太郎次郎社 1780円
福島瑞穂 岩波書店 550円
⑭結婚 と家族
⑮精神療法Vo:.18「 女性 と精神療法」
金剛出版 1850円
⑩アジアの子どもと買春
ロン・オグレデイ 明石書店 1600円
落合恵子 新潮社 360円
⑫セカンドカミング
⑬女性 と社会保障
社会保障研究所編 東大出版 4532円
⑩沈黙の季節 ゲイル・シーヒー 飛`鳥 新社 1600円
④沈黙 をやぶつて 森田ゆ り編著 築地書館 2060円
ウイメンズ
ブックス
=書 評=
『フェ ミニズムJヽ 説論 ―女性作家 の 自分探 し』
第50号 1994年 2月 25日
渡辺和 子 柘植書房2884円
副題 の「 自分探 し」 が ひっかかる。「 自分」 とは掘 り下 げ、
絶 えず定め 直 して い くもので
あって、きょときょと探 す ものでは な い か らだ。と くに作 家 は 自分 の特殊性 へ の こだわ りか
らまず 出発す る。それは負の こだわ りである場合が ほ とん どだが、言語化 とい う行為 によっ
て正 の 意味 づ けへ の転換 をはかる。そ こに「書 くわた し」 が成立 す るのだ。だか ら、作 家 は
この 地点ですでに自分 の 属す る集団か ら離反す る 自己 を確保 して い る。「書 くわた し」 は
書 き手 としての 自己 を さ らに社 会的 に位 置づ ける こ とで、いいかえれ ば特殊性 の普遍化 に
成功す ることでの教、公認 された「作 家」 へ と昇格 しうるのだ。
ここでは じめて新 しい課題が生ず る。自ら離反 した集団 との折 り合 い をいかにつ けるか、
だ。た とえばアメ リカの黒 人女性作家の場合 の よ うに、黒 人 として女 として二重 に抑圧 され
た集団 との 関係 づ けにお い て集団の語 り部あるい は巫女 といったス タンツをとるこ ともで
きるが、逆 に女性集団が抑圧的に働けば、そ こか ら永遠 に離反 しつづ ける ことに正の 意味 づ
けをせ ざるをえない こ と もあ りうるのだ。したが って、「 フェ ミニ ズム小 説」 とはや は り、
書 き手 の フェ ミニ ス トと して の 自己認識 に基 づ くもので あ り、女性 の 女性 としての 抑圧 の
言語化 とい う共通項 だけで は成立 しないので はあるまいか。
以上 二つ が「 フェ ミニ ズム小説論」 の 著者 の野心 的 なアプ ロー チ にた いす る、小 説 の 書
き手 としてのわた しの批判 で ある。
だが、ひるが えって、作 品 をフェ ミニ ズ ムの視点か ら読 む ことは無限 に可 能 で あ り、そ う
い う読者 の存在 は、と くに女 性作家の作 品に関 しては不可欠 で ある。著者 は フェ ミニ ス トの
立場 か ら、アメ リカ女性 作 家 の 自己定立 史 を作品の読解 を通 して丹念 にた どってい く。それ
は と りもなお さず、
著者 自身が書 いている よ うに、著者 の 「 自分探 し」 の真摯な プ ロセス で
あ り、それ を豊 富 な知識 と言 葉 を駆使 して、女性必読 の書 に まとめ上げた。
冥王
まさ子 (作 家 )
○会費納入 のお願 い。年が新 しくな りました ので、本年度 の会費納入 をお願 い します。
○『資料 日本 ウーマ ン・ リブ史』 第 Ⅱ巻 (11,000円 )を 発行 しま した。ぜ ひご一読下 さい。図書館等
へ の リクエ ス トもお願 い します ′
=
原 稿
上記 の書評欄へ の投稿 をお待 ちしてい ます。
女性の 日で見直 した鋭い批評や、視点を変 えた
ユニー クな もの をお寄せ くだ さい。400字 詰原
募
集=
稿用紙 に約 2枚 、900字 前後です。掲載 させて頂
いた方 には薄 々謝、進呈致 します。
「あ なたの情報 。私 の情報」 とコラム「わた
しの出会 った本」 は知って欲 しい本、 ご意見 。
情報交換 等 に御利用 くだ さい。400字 以内でお
願 い します。但 しこれ らの欄 は 申 しわけあ りま
せんが、 薄 々謝 も差 し上げ られ ません。
尚、 ご投稿 は会員に限 らせていただきます。
宛先は
〒602京 都市上京区下立売通西洞院西入
松香堂書店「 ウイメンズ ブ ックス係」です。
次号の締切 は 1994年 4月 20日 。
た くさんの ご投稿 をお待 ち してい ます。
編 集 室 か ら
☆おい しい食事は楽しく食べ られる関係があって
こそ成 り立つ もの。 ステキな本 との出会 いは、
それ をサ カナに会話の出来る人を持 って、初め
て私 の栄養 になるのだ と思います。読書三味の
生活 の 中で、妙 に人恋 しくなっている 自分 を感
じて い ます。
(池 嶋 陽子 )
☆ こん なに もた くさん、力 のこ もった、胸の熱 く
なる、 いい本が出ている。なのに女の本が売れ
ない。書店の女性の本の コーナーがだんだん小
さ くなってい く。で も、ベ ス トセラー よ りは、
少数の読者 を持つ本の方が、著者 と読者 の関係
は濃密 なのか も知れない、 と思った りす る。今
年 もいい本 を紹介 します。 よろしく。
(や ぎ みね)
☆次号 は1994年 5月 25日 発行 の予定です。
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