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FD活動報告(平成 25 年度)

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FD活動報告(平成 25 年度)
熊本大学工学部
FD活動報告(平成 25 年度)
平成 26 年 3 月
熊本大学工学部
授業改善・FD委員会
内容:
(1) 学生による授業評価
1) 授業アンケート調査
2)
3)
工学部優秀教育者表彰(ティーチングアワード)
第 16 回 学生・教員相互触発型授業の検討会
(2)FD 特別講演会の実施
(3)各学科におけるファカルティ・ディベロップメント(FD)活動
(4)授業参観
(5)シラバスチェック
(6)卒業生アンケートの集計結果
(1) 学生による授業評価
1) 授業アンケート調査
H24(2012)年度の本アンケートの対象の実施科目数は、前期は 187 科目、後期は 158 科目である。多数
の教員で分担して行っている実験・実習科目やインターンシップ科目、卒業研究等は事前確認により本ア
ンケートの対象外としていることから、ほとんどは専門の講義科目や演習科目である。
大学共通の 8 項目に加え、工学部独自の 1 項目「この授業はシラバスに沿って行われましたか」の各質問
に対する集計結果について、授業改善アンケート結果報告書としてまとめ公表した。
以下に、その結果を要約する。
各設問についての評価結果
各設問についての結果を以下に説明する。前学期と後学期の差はほとんどみられないため、とくに断
りのない限り年度全体の傾向について述べる。
Q1 授業の難易度は、どうでしたか。
この設問への回答は平均値が 2.1 程度、標準偏差は 0.77 程度であった。これは大学の講義でありや
むを得ないことと考えられるが、平均して「少し難しかった」と評価され、また 20%以上の学生が「非常に
難しかった」と評価していることから、授業の難易度は比較的高いものであったといえる。科目毎の平均
値の標準偏差は 0.4 程度であり、科目間での難易度のばらつきはそれほど大きくない結果であった。
Q2 教員の声は,聞き取りやすかったですか。
この設問の平均値は 2 程度であり、平均して「聞き取りやすかった」との評価であり科目間の標準偏差
も 0.30~0.37 とばらつきもそれほど大きくはない。おおむね好評といえるが「聞き取りやすさ」は講義に
おいて重要な要件であるので、たとえば評価が中程度以下(この場合 2.5 程度より大きな値)であるなら
ば何らかの改善を図りたい。前期で 16 科目(9%程度)、後期で 5 科目(3%)がこの範囲であった。
Q3 授業の手段(教科書・プリント,板書,PowerPoint,ビデオ等)は,有効でしたか。
この設問への評価はおおむね好評であり、全回答者の 8 割近くが上位 2 カテゴリーと評価している。
平均値は 2 程度、科目間の標準偏差は 0.3 程度で、全体として有効と評価され、科目間のばらつきも少
ないといえる。
Q4 この授業において,教員との双方向的なやりとり(授業中の質疑応答,受講生へのレポートへの教
員のコメント,質問カードの利用など)が,どの程度行われていましたか。
この設問の平均値は 2.1 程度であるが、前期は選択肢 1(十分に行われていた:1839 件)よりも選択肢
3(あまり行われていなかった:2396 件)の方が多かった。教員の取り組みに関する項目の中では科目間
の標準偏差も 0.4 程度とやや大きく、各教員の取り組みが反映される設問といえよう。
Q5 授業の目標は,どの程度明示されていましたか。
この設問の平均値は 2 未満であり、全回答者の 8 割以上が「1: 十分に明示」あるいは「2: 少し明示」
と回答した。科目間の標準偏差も 0.3 程度と小さい。
Q6 あなた自身は,授業の目標をどの程度達成したと思いますか。
この設問の平均値は 2.2~2.3 程度と他の項目と比べて低めの評価であり、選択肢1(十分に達成でき
た)と回答したのは 1 割程度にとどまる。とはいえ大学の専門の授業において「十分に達成した」と自己
評価できる学生は多くはないと考えられ、この結果もある程度はやむを得ないものといえる。科目による
ばらつきは設問9に次いで小さい。
Q7 大学の授業の単位は,授業時間の 2 倍の時間外学習を前提として,取得できることになっています。
あなたは,この授業について 1 週あたり平均して,どの程度,授業時間外の学習(予習・復習,資料収集,文
献購読,レポート作成など)をしましたか。
この設問の平均値は 3.2 程度であった。時間数でいえば「1 時間以上 2 時間未満」と「1 時間未満」が
いずれも 1/3 ずつの回答数となっており、また前期で 10%程度、後期で 7%割程度の回答が「まったく
しなかった」であるなど、学生の学習時間の不足が見て取れる。
「3 時間以上」(講義科目の場合、授業時間の 2 倍以上を満たすこととなる)と回答したのは全回答者の
8%程度である。10 名以上の回答者が「3 時間以上」と回答した科目を見ると、前期では 8 科目(建築学科
4 科目、社会環境工学科 3 科目、物質生命科学科 1 科目)、後期では 8 科目(情報電気電子工学科 3
科目、建築学科 2 科目、社会環境工学科 2 科目、物質生命科学科 1 科目)であった。これらはほとんど
が実験・演習科目であるため、課題をこなすために多くの時間を割く必要があり、そのことを反映してい
ると考えられる。
演習以外の一般的な科目において、自主性に頼るのではなく、レポートなどを課すことによって、授業
時間外の学習を強制的にさせる取り組みが必要であることを示していると考えられる。
Q8 全体として,この授業はどの程度有意義でしたか。
この設問の平均値は 2.0~2.1 程度で、全回答者の約 8 割が「非常に有意義」「有意義」の上位 2 カテ
ゴリーへの回答であった。科目毎の標準偏差もばらつきも 0.3 程度と小さく、おおむね好意的な評価が
得られていることがわかる。
Q9 この授業はシラバスに沿って行われましたか。
この設問の平均値は 1.7~1.8 程度であり、上位 2 カテゴリーへの回答が 8 割を越えている。JABEE な
どの認証も関係していると思われるが、シラバスの整備が進み講義もそれに沿って行われ、それが学生
にも認知されていることが評価結果に見て取れる。科目毎のばらつきも設問の中で最も小さい。
前年度との比較
同一科目についての前年度と今年度の回答結果それぞれを対応のあるペアとみなす検定を行った。
Q7 の「授業時間外の学習時間」を除き、平成 24 年度と前年度の前期授業の評価に有意差は見られな
かった。平均値が小さいほど評価が高いため、Q7 より、平成 24 年度は前年度に比べて授業時間外の
学習時間が増加していると言える。平均値の差を比較すると、概してマイナスが多く、授業評価は前年
度より若干の改善傾向にあると言える。平均値の差がプラスの中で、Q1 は比較的平均の差が大きい。
授業の難易度が上がったと感じる学生が増加傾向にあると言える。
平成 24 年度と前年度の後期授業の評価に有意差は見られなかった。平均値の差を比較すると、Q1
以外はすべてマイナスであり、授業評価は前年度より若干の改善傾向にあると言える。Q1 は後期唯一
の平均値の差がプラスの項目であり、かつ比較的平均の差が大きい。前期と同様に授業の難易度が上
がったと感じる学生が増加傾向にあると言える。
すぐれた授業に関する考察
すぐれた授業の紹介として、Q3「授業の手段の有効さ」、Q4「教員との双方向的なやりとり」、Q6「授業
の達成度」、Q8「授業の有意義性」について、高評価を得た授業を紹介する。
4 つの設問それぞれで上位に入った科目は他の設問でも全体的に評価が高い。これら科目は、Q1
「授業の難易度」、Q7「学習時間」を除き、全ての設問において平均を上回っていた。Q1「授業の難易
度」については、ほとんどの科目が前後期の平均値 2.17 よりも値が大きい(難易度が低い)結果ではあ
ったが、一方で Q7「学習時間」はおおむね工学部の平均値 3.14 よりも小さく(学習時間が長い)、学生
がこれらの科目に比較的時間をかけて取り組んでいることがわかる。
自由記述の回答を見てみると、「話がわかりやすい」「説明・回答が丁寧」、「スライドが分かりやすかっ
た」などの学生への伝わり方、「映像教材」「授業で配られるプリント」「小テストの実施」「実例」などの工
夫、「毎回の質問タイム」「1 人 1 人の良い所を伸ばしてくれるアドバイスだったので良かった」など双方向
のやりとりといった、授業への取り組みについての言及が多く見られた。
また全体的な感想として「もっと頑張らなくては、と意欲がわく」「とても有意義な授業」「時間がたつの
がすごく早かった」「学習の仕方なども教えて頂いたのでためになった」「緊張感を持って授業に臨めた」
といった、受講生の高い満足度を示す回答が見られた。
授業アンケートデータの有効活用
教員個人の授業方法の改善に資することはもちろんであるが、本アンケートを利用して、学科(教育単
位)ごとに組織的な授業改善に取り組んでいる。その例として以下のものが挙げられる。
1.各質問項目について、高い評価を得た科目と教員を教室会議で公表する。
2.結果のヒストグラムを作成し、各教員に自分の評価の相対的位置を知らせる。
3.アンケートで悪い評価となっている教員に、学科長からその旨通知し熟慮を促す。
2)工学部優秀教育者表彰(ティーチングアワード)
I 基本方針
優秀教育者表彰(ティーチングアワード)は平成 13 年度に始まり本年度で 12 回目である。学生に良かっ
たと思われる授業を投票させ、その結果を基にして各学科より表彰対象となる授業担当教員を選出し工学
部として表彰するものである。その目的は、教育に対する教員の功労をたたえる目的に加え、「学生・教員
相互触発型授業検討会」を通して優れた教育法についての情報を他の教員に伝えることにより全体的な
教育の質のレベルアップを計ることにある。
教多くの教育者へ受賞機会を与え、教育質向上の取り組みをエンカレッジすることや、過去 10 年間の受
賞傾向を分析し、1 年次または 2 年次開講の選択必修科目または自由選択科目について賞を授与する仕
組みを考慮するなど、必ずしも投票方法を随時変化させながら、行ってきた。
平成 22 年度第 10 回までの受賞者調査により、必修科目担当者の受賞率が比較的高いことが明らかにさ
れている。そこで平成 23, 24 年度は、必修科目とそれ以外の科目(選択必修科目、推奨科目および自由選
択科目)を担当するそれぞれの教育者を別々に選考する新規方法で実施された。今年度は本質的な変更
は加えず、基本的に前年度を踏襲するが、推薦科目数を2から3に改めた。
ii.実施内容
① 投票対象の学年および授業科目について
対象学年を 1~3 年生とする。また、対象授業科目は、平成 25 年度受講した工学部開講科目(非常勤講師が担
当する授業も含む、再履修科目か否かを問わない)とし、教養教育の授業を除くこととする。
② 投票及び評価方法
事前に各学年の学生が最も集まる授業を調査し、1 月中旬~下旬に行われるその講義時間の終了 10 分前に
投票を行う。
投票における評価方法については、得られた得票数をその講義科目の受講者数(再履修者を含む)で割った
得票率を、各学年の対象講義科目数でかけた評点を導入して評価する。
なお、その科目の受講者数(再履修者を含む)は、SOSEKI のデータをそのまま利用する。
対象学年:工学部 1~3 年次学生
評価方法:評点 =((得票数)/(その科目の受講者数))×(その学年での開講科目数)
投票方法:推薦する 3 科目を選択。必修科目やそれ以外の科目に関わらず自由に 3 科目を選択。科目の重みづけ
はしない。
投票日時:平成 26 年 1 月 14 日(火)~24 日(金)で最も学生の集まる授業時間
投票時間:授業終了 10 分前から実施
表彰候補科目:今年度受講した工学部開講科目中、最も良かった必修科目およびそれ以外の科目(※)の授業クラ
ス単位に対し、それぞれ 1 位のみ。
※それ以外の科目:選択必修科目、推奨科目および自由選択科目
<今年度の変更点>
投票時は、推薦する 3 科目を選択する (平成 23 年度までは 1 科目,平成 24 年度は 2 科目)。
<表彰候補科目の扱いは平成 23 年度に変更したものを踏襲>
工学部開講科目中、最も良かった授業クラス単位に対し、各学科原則 1 科目(情報電気電子工学科では 2 科
目)選出する。
ただし、前年度表彰科目の連続受賞、あるいは 1~2 年次選択必修または自由選択科目の上位ランキング入り
が生じた場合、その点を考慮して 1 科目(情報電気電子工学科は 2 科目以内)追加選出することができる。
III.実施スケジュール
平成 25 年
12 月 13 日(金)
ティーチングアワードの対象科目、実施予定日調査依頼提出、TA 学生(院生)報告締め切り
平成 26 年
1 月 6 日(月) ティーチングアワードの広報開始 ポスター・委員長名でのメールでの案内
1 月 10 日(金) 予定 TA 学生担当者(大学院)への説明会
1 月 14 日(火)~24 日(金) 投票期間 各学科、各学年(1~3 年)必修授業において投票
1 月 27 日(月・仮) 開票・FD 委員会 TA と委員全員で集計
集計結果を元に、学科に持ち帰って候補者の選定 → FD 委員会 → 教授会へ報告
5月 2ni(予定) 優秀教育者表彰式および学生・教員相互接触型授業の検討会
IV.
受賞結果
平成25年度工学部ティーチングアワード(優秀教育者表彰者)
学科名
★氏名
(職名)
「講義
名」
学年/受
講形態
※選考
理由
物質生命化
マテリアル
機械システ
社会環境工
学科
工学科
ム工学科
学科
★新留 琢
郎
(教授)
「バイオテク
ノロジー」
3 年/必修
※選考理由
評点が 12.5
点で二位科
目 9.2 と大き
な差がある
ため。当該
科目は今回
初めての受
賞。
★山崎倫昭
(准教授)
「腐食と電気化
学」
2 年/必修
※選考理由
投票による評価
点が最上位で
あった。今回は
3回目の受賞。
★岩井 善太
(非常勤講師・
名誉教授)
「振動工学」
2 年/必修
★星野 裕司
(准教授)
★葛西 昭
(准教授)
「社会基盤
設計」
3 年/自由
選択
※選考理由
アンケートの評
価点が 1 位とな
ったため。
★安藤新二
(教授)
「格子欠陥学」
2 年/必修
※選考理由
投票による評価
点が 2 位であ
り,連続する3
年の講義も3位
であったので,
同等に評価され
るべきと判断し
た。今回は初め
ての受賞。
★宗像 瑞恵
(准教授)
「流体力学第
二」
2 年/選択必修
※選考理由
実施要領に
従って評価し,
上位 2 名を学科
教室会議で選
出した。
★田中 尚人
(政創研・准
教授)★円山
琢也
(政創研・准
教授)
「社会環境
工学セミナー」
3 年/自由
選択
※選考理由
アンケート 2 位
であり,1 位の
科目が前年度
受賞であったた
め。
建築学科
★川井
敬二
(准教
授)
★長谷川
麻子
(准教
授)
★高田
眞人
(助教)
「建築環
境工学演
習」
3 年/自
由選択
※選考理由
評価点が 1
位となった
ため。
★桂 英昭
(准教授)
「建築設計
演習第四」
3 年/必
修
※選考理由
評価点が2
位となった
ため。
情報電気電
数理工学
子工学科
科
★坂田 聡
(助教)
「基礎数学
演習
第一(A
組)」
1年/必
修
※選考理由
獲得ポイン
トが 3 位で
あり優秀と
判断した。
★千葉 周
也
(講師)
「情報数学
第一」
2 年/選択必
修
※選考理由
獲得ポイン
トが 1 位で
あり優秀と
判断した。
★中村 有
水
(教授)
「量子力
学」
3 年/自由
選択
※選考理由
獲得ポイン
トが 1 位で
あり優秀と
判断した。
★ジェフリ
ー,モロー
(非常勤講
師)
「英語 D1」
3 年/必
修
※選考理由
「英語 D1」
において獲
得ポイント
が 1 位であ
ったため。
H25.2.21(金)開催平成 25 年度第 4 回工学部授業改善・FD 委員会承認事項
3) 第 16 回 学生・教員相互触発型授業の検討会の実施
年度をまたいだ開催になるので、次年度の報告書で触れることとする。
(2)FD 特別講演会の実施
以下の2つの FD 講演会特別講演会を実施した。
1.第1回
授業改善 FD 講演会
次世代型研究・教育の創造に関するオープン・ディスカッション
〜数式処理ソフトウエア Mathematica の実践的応用を例として〜
Open Discussion on Next-Generation Scientific and Engineering Education using MATHEMATICA
日
時:平成 25 年 11 月 19 日(火)14:30~17:30
会
場:全学教育棟 E 棟 107 講義室
主
催:自然科学研究科・理学部・工学部FD委員会
プログラム:
Mathematica の概要とものづくりへの応用について(ウルフラム・中村英史氏)
企業の研究開発における Mathematica の利活用-音響工学研究を例として-
(株)TOA:福山和男氏)
理工系のための辞書を内蔵した新しい紙と鉛筆, Mathematica
-データ処理と回路解析から見た Mathematica の魅力 -(九大:笹田一郎氏)
直ぐに使える Mathematica 関連サイト(ウルフラム・中村英史氏)
次世代を担う科学者・工学者には、個々の専門分野の深化とともに、従来にない学際領域への進
出や未知フィールドの開拓が求められる。その際に強力な武器になるのは、全分野の基盤となる基
礎数学、応用数学、情報処理技術を使いこなすチカラである。熊本大学で利用可能な数学解析・情
報処理ソフトウエア Mathematica の実践的利活用の実際例をご紹介いただき、次世代型理工系教育
の実践を具体的に考える機会とする FD 講演会を開催した。
2.「第 2 回
授業改善 FD 講演会」
日
時
: 平成 25 年 12 月 10 日(火)
10:20 〜
会
場
: 2 号館 2F 221 教室
講
師
: 石川 純一
主
催
: 工学部授業改善・FD 委員会・自然科学研究科授業改善・FD 委員会
氏 (株)リアセック 主任研究員
工学部 3 学科 3 年生の一部を対象に実施された PROG テストの結果を他大学等の結果と比較しな
がら解説していただく講演会を開催した。PROG テストとは、河合塾と(株)リアセックが共同開発
した、専攻・専門にかかわらず、大卒者として社会で求められる汎用的な能力・態度・指向(ジェ
ネリックスキル)を、知識を活用して問題解決する力 (リテラシー)と、経験を積むことで身につ
いた行動特性(コンピテンシー)の 2 つの観点から測定するテストである。
(3)各学科におけるファカルティ・ディベロップメント(FD)活動
1. 物質生命化学科
(1) 環境 ISO(ISO14001)にもとづく環境教育
本学科では、環境 ISO を1年生から3年生にかけて実施する教育及び学生実験に基づく環境教育に関
連して取得している。講義及び学生実験を通じて環境教育を行い、試薬類の安全な取り扱いや適正な廃
液処理に関する知識の習得ならびに実践している。この活動により、環境への配慮に強い意識をもち、か
つ行動に移すことができる学生の育成を目指している。
環境 ISO では継続的かつ効率的な環境教育の計画・実践が要求されているため、環境教育を行う教職
員も、その目的達成のために環境目標及び実施計画の継続的な改善と実践を行っている。教職員の活動
に対して、毎年度 12 月までには学生主体の環境 ISO ワーキンググループによる内部監査、及び外部監査
機関による定期監査を実施しており、本年度も 10 月 15 日と 23 日に内部監査、11 月 12 日に外部審査を
実施した。内部監査では学生と教職員間で活発な意見交換が行われ、学生からも積極的に改善提案が出
された。外部審査ではこれまで継続してきた環境教育及び実践に対して高い評価を受けることができた。
・平成 25 年度 環境 ISO 内部監査
監査員:3 年生及び 4 年生
実施日:平成 25 年 10 月 15 日(火)10 時~16 時 10 分、10 月 23 日(水)12:50〜14:20
監査部署:トップマネジメント 環境管理責任者 ISO 事務局 サイト内全部署
適用規格:JIS Q 14001:2004/ISO 14001:2004
概要:外部審査を前にサイトの環境マネジメントシステム(EMS)が適切に実施され維持されているかを判
断するとともに、学生監査員のサイトの環境方針に対する意識の向上を図る。
・第7回環境 ISO サーベイランス審査
登録組織:熊本大学工学部物質生命化学科
登録範囲:熊本大学工学部物質生命化学科における 1~3 年生の教育及び学生実験に係わる事業
活動
審査部署:トップマネジメント 環境管理責任者 ISO 事務局 一部部署
審査会社:日本検査キューエイ株式会社(JICQA)
適用規格:JIS Q 14001:2004/ISO 14001:2004
日程:平成 25 年 11 月 12 日(火)9 時~15 時 30 分
概要:ISO14001 認証継続に関する規格要求事項に対する適合性を確認した.
登録日 :2004 年 1 月 15 日
再発行日:2013 年1月 15 日
登録維持確認日:2013 年 11 月 29 日(有効期限:2016 年 1 月 14 日)
また、環境教育の一環として、学部 1 年生を対象とした二酸化炭素排出量の調査を実施した。オープン
キャンパスや夢科学探検(後述)にも積極的に参画している。
(2)オープンキャンパス
このイベントは教職員及び学生が一体となり,主に高校生向けに大学生活や学科の研究紹介をはじめ,
サイエンスの面白さや楽しさを広く知っていただく機会として毎年行われている。今年度は 8 月 10 日(土)
に実施された。下記の通り物質生命化学科からも 10 の演示テーマが公開され,大変盛況であった。
記
実施日時:平成 25 年 8 月 10 日(土) 10 時 10 分~15 時 10 分
主な場所:物質生命化学科棟
外部からの参加者数:約 300 名(工学部全体では約 2,100 名)
物質生命化学科ラボツアーの参加者数:約 30 名
演示テーマ:
A-1: コンピューターで分子を作る・調べる
1 階 101 室
(学生実験室)
A-2: 不思議な水と二酸化炭素
1 階 101 室
(学生実験室)
A-3: 遺伝情報を化学的に操る
7 階 702 室
(井原研究室)
A-4: ナノシートの世界
1 階 101 室
(学生実験室)
A-5: 光を操る/光で操る高分子
1 階 101 室
(学生実験室)
A-6: 医薬品を無毒化する高分子
1 階 101 室
(学生実験室)
A-7: 植物原料から作るスキンケア用美粒子
1 階 101 室
(学生実験室)
A-8: 環境と食・健康に貢献するバイオテクノロジー
1 階 101 室
(学生実験室)
A-9: 小型酵素燃料電池
1 階 101 室
(学生実験室)
A-10: キャタリシススクエア~快適な暮らしを実現する触媒〜 1 階 101 室
(学生実験室)
環境 ISO 教育についての紹介
1 階 ロビー
(3)夢科学探検 2013
夢科学探検(工学部と理学部との共同開催)が 11 月 2 日に実施された。このイベントは、教職員および
学生が一体となって、一般市民にサイエンスの面白さや楽しさを知っていただくことを目的として演示実験
を行うものである。詳細は下記の通り。物質生命化学科からは 15 演題があった。また、企業からも 2 件の参
画があった。
記
実施日時:平成 25 年 11 月 2 日(土) 10 時~16 時
主な場所:物質生命化学科棟(主に、1F 学生実験室ならびに2F ロビー)
外部からの参加者数:約 800 名(全体で 2,300 名程度)
(4) 高校及び高専への訪問による出前講義
今年度物質生命化学科では,県内外の高等学校から 4 件の出前授業の依頼があった。平成 25 年度より
出前授業の申し込み形式が全学で統一されたこと,出張旅費が高校側負担となったため,依頼数が昨年
度よりも減ったが,県内外の高等専門学校 2 件と合わせて計 6 校に教員が訪問し,本学科で行っている研
究や最先端技術開発に関する取り組み事例を出前授業で紹介するとともに、本学科内で取り組んでいる
「環境教育」の方針及び実践事例を紹介した。また,高大連携推進室からの依頼で夏休みに開催されたワ
クワク連続講義も行った(工学部の学科持ち回りで本年度本学科が担当)。高校生が黒髪北キャンパスに
来訪し,104 名の高校生に対してナノサイエンスに関する講義が行われた(8月9日全学教育棟 C 棟 C301
教室にて)。
(5) 授業改善への取り組みについて
物質生命化学科における授業改善の取り組みとしては、実験科目のさらなる充実を目指して、平成 19
年度より継続している学生実験の改革を実施した。1年生から3年生にかけての実験テーマの継続性をは
かるとともに、実験科目のテーマや内容をより環境に関連づけることによって、環境 ISO に対する教育効果
を向上させることを目的としている。また、教員の担当科目の変更、授業内容の変更、および学生実験の
進行に合わせた座学開講時期の調整などを行い、物質生命化学科全体として学生の学習に配慮した授
業改善を行うことができた。
また、本学科では、卒業論文発表会および修士論文発表会を「3 年次学生の研究に関する勉強の場」と
位置付け、3 年次学生全員に先輩方の発表を聴講させ、学科所属の大学院生や学部 4 年生が行ってきた
最先端研究に触れる機会を設けるとともに、口頭形式・ポスター形式でのプレゼンテーション技術を学ばせ
ることを目指した。各自に両発表会の中で興味をもった卒業研究発表 4 件、および修士論文発表 4 件につ
いての概説と感想をレポートさせた結果、「研究を行うためには基礎学力が必要」、「〇〇の研究を行って
みたい!」、「自分も口頭(またはポスター)発表が上手にできるようになりたい!」といった回答が多く寄せ
られた。これは、卒業研究を間近に控えた 3 年次学生が、基礎学力の重要性を再認識するとともに、研究
の面白さを実感し、また発表スキル(ポスターやパワーポイントの作成技術、プレゼンテーション能力、質疑
対応の仕方など)を向上させたいという気持ちを高めることができている明らかな証拠である。意欲的な研
究者を育成するためにも、座学や学生実験とともに、本発表会を利用する 3 年次学生教育を、今後も継続
していきたい。
記
会議名①:平成 25 年度修士論文発表会(口頭発表形式)
実施日時:平成 26 年 2 月 14 日(金) 9 時 00 分~16 時 40 分
主な場所:工学部2号館(3教室に分かれて実施)
出席者数(3 年次学生):75 名
会議名②:平成 23 年度卒業論文発表会(ポスター発表形式)
実施日時:平成 24 年 2 月 20 日(木) 10 時 30 分~14 時 30 分
実施場所:工学部百周年記念館
出席者名(3 年次学生):73 名
◎レポート課題
「発表会①および②に出席し、各4件の発表概要および聴講の感想を配布したレポート用紙に記
入して提出しなさい。」
◎レポート期限:各日の発表会終了時
(6) 科学の祭典への参加について
一般市民への科学の啓蒙活動の一環として、「青少年のための科学の祭典・熊本大会」が、毎年、グラン
メッセで開催されている。物質生命化学科としては、学生組織である青藍会が例年参画している。2013 年
度も 8 月 17 日・18 日の2日間にわたって「バルーンスライムをつくろう!」のテーマで参加した。本テーマブ
ースに立ち寄ってくださった方々(主に小学生)は、延べ約 3,000 人であった。初日から例年よりも多くの市
民の方々が立ち寄ってくださり、終了時間を待たずに実験材料が底をつき、早めにブースを閉じることとな
った。科学の祭典には全体で 20,000〜30,000 名もの参加があったようである。参画した学生には大変な面
もあるが、得るものも多々あると思われる。今後も継続して取り組んで頂きたいと考えている。
記
会議名 :青少年のための科学の祭典・熊本大会
実施日時:平成 25 年 8 月 17 日(土)~18 日(日) 10 時~17 時
開催場所:グランメッセ熊本
担当者 :物質生命化学科学生会(青藍会)および学生支援委員(冨永准教授)
参加者数:3,000 名程度(延べ人数)(全体では 20,000~30,000 名)
2
マテリアル工学科
(1) 教育ログラムの改善
本学科では、JEBEE をはじめとして学外からの評価認証を経て、その教育プログラムの有効性を対外的
に示してきている。全学の授業アンケートを 2006 年(平成 18 年)4 月の学科改組以前から取り入れ、さらに
学外の方や本学科で学ぶ学生へのアンケートの実施、達成度自己評価システムの導入など、教育プログ
ラムの改善に役立つシステムの構築に継続的に取り組んでいる。2004 年(平成 16 年)度には JABEE を受
審し、九州地区ではじめて「材料および材料関連分野」における 5 年認定を受け、その後、2009 年(平成
21 年度)に 2004 年を上回る高評価を得て継続審査をパスした。下図は、本学科のプログラム改善システム
を模式的に示したものである。一番内側の太線は全学で実施されている授業アンケートであり、それを取り
巻く 2 重 3 重の改善システムが本学科では機能している。
■マテリアル学生アンケート
試験前に実施される全学の授業アンケートで
は調査できない項目
・成績評価はシラバス通り適切に行われたか
と教育目標,施設等に関する学科独自のアン
ケートを実施し,教育検討委員会で意見をまと
め教育効果改善の方策に資している。
■達成度自己評価システム
本学科で作成した「自己診断シート」を学期
毎に学生に配付し、それに自らチェックを入
れさせ、その後さらに担任がそれをチェックす
るシステムである。学生の学習・教育目標への
関心を持続させ、勉学態度の改善を促す効果
を期待している。
(2) 地域への教育貢献活動
本学科では、マテリアル工学の面白さや重要性を一般の方に理解していただくための活動として、出前
講義が主体の高校訪問、8月と11月にそれぞれ開催される「研究室公開」と「夢科学探検」で、マテリアル
工学の面白さと大切さを高校生や一般の方に広く理解してもらった。両行事ともマテリアル工学専攻の院
生を中心に実施され、超伝導材料や形状記憶合金の展示、レーザーや超伝導マグネットを使った実験な
ど数多くのテーマが準備され高校生や一般市民,小学生らに大学での研究の一端に触れさせ,マテリア
ル工学への興味を喚起している。また、恒例となっている SSH 指定高等学校との共同プログラムも積極的
に協力した。
昨年度より熊本県立熊本北高等学校と合同での開催となっており,本年度2校から合計16名の参加を得
て,マテリアルの面白さと重要性に関する講義と実習を行った。
実施概要
平成 25 年 12 月 14 日(土) 工学部研究棟Ⅰ 3 階308講義室,
テーマ 『マテリアルの組織と硬さの関係を調べてみよう!』
担当: 森園靖浩+TA 2名(原裕太,松田尚久)
参加学生数: 16名(熊本北高校6名,第二高校10名)
(3) 「卒業生アンケート」
昨年まで実施方法を模索していた「卒業生アンケート」「学外者アンケート」について、就職関
係の活動とリンクさせる新しい方法を採用し、回収率を改善することができた。
<今回導入した方法>
就職担当の先生に、求人訪問の相手にアンケートの意義を簡単に説明し、協力して頂く。その場
で回答を頂いても良いが、持ち帰って後で郵送でも構わないとした。アンケートは工学部共通のア
ンケートの他に学科独自のアンケートを併せてお願いした。学科のアンケートは「卒業生アンケー
ト」と「学外者アンケート」の2つであり、卒業生には、「工学部アンケート」+「卒業生アンケ
ート」をお願いし、卒業生でない場合は「工学部アンケート」+「「学外者アンケート」をお願い
した。これらの2つのアンケートの内容か以下のようになっている。
・ 回答者の情報(職種,業務)
・ 学科の学習・教育目標について(適切かどうか,足りないところはあるか など)
・ カリキュラムについて(基礎から応用に渡って項目別に必要性を問う)
卒業生に対しては自らの経験からの視点で回答を頂き、学外者は一般的な視点から回答を頂
く。
<結果>
工学部アンケートの回答数は25件,卒業生アンケートが16件、学外者アンケートが14件と
これまでの年数件であったアンケートの回収数に比較して多くの情報が得られた。
・学外者アンケート
管理職の回答者が多く、その立場での情報で要約すると次のようになる。
現状の学習教育目標は受け入れられたが、具体的に役に立つ実験実習を取り入れることが望
まれている。教育項目に関しても、実験実習が最も多く、その他では材料の性質等が教育され
るべきとなっていた。
・卒業生アンケート
技術職の回答者が多く、要約すると次のようになる。
同様に学習教育目標は受け入れられたが、卒業生はこれまでのカリキュラムで実験実習を経
験した上で、実験実習に工夫が足りなかったという意見が多かった。
マテリアル工学科カリキュラム検討委員会および実験自習 WG では、これらの結果を踏まえて、今後のカリ
キュラム改善に取り組んでゆく所存である。
3.機械システム工学科
(1 )継続的教育改善
機械システム工学科では,学科内の教育委員会が教育改善やその評価について継続的な検討を行っている.
下図は,機械システム工学科の教育関連組織と自己点検・継続的改善の仕組みを表したものである.機械系教
育委員会にて教育に関する点検・評価を行い,それを教育プログラムへフィードバックし,教育改善を図る仕組
みとなっている.
機械システム工学科 教育点検・改善システムの構成
(2) 地域への教育貢献活動
高校・高専・中学での出前授業・学科説明会に加えて、夢ナビライブ 2013 に講師を派遣し、入学前の若者に
対して科学技術・工学の面白さ、大切さを伝える活動を行った。また、恒例行事である夢科学探検や研究室公
開において、科学技術や機械工学を紹介し、その啓蒙に努めている。
4. 社会環境工学科
社会環境工学科では、学生による授業アンケート調査,熊本大学卒業生の評価に関するリクルーターへ
のアンケート調査,若手教員の海外語学研修派遣,JABEE への対応を通じて,教員の能力向上,カリキュ
ラムの改善を行っている.以下、平成 25 年度における FD に関連する主な取り組みを列挙する。
(1)最重要三項目による学生自らによる達成度評価
「学習・目標がどの程度達成され、どこまで教育成果をあげているか」を定量的に評価する試みとして、
各科目において定義されている最重要三項目に対する理解度調査をすべての学生に対して実施している。
昨年度からは、技術部の協力を得て、学生による自己点検をネットワーク上の Web サービスにて行うことが
出来るようにした。これにより集計などが飛躍的に迅速に行えるようになった。学生全員が必ずこの Web ペ
ージにアクセスして入力するように徹底することが必要である。
(2)外部講師による特別講演
3 年次における授業科目「インターンシップ」において複数の外部講師を招聘して特別講演をしていただ
いた。昨年度に引き続き、今年度もコーチング技術についての講演及び実践を行った。1 ヶ月間にわたり、
4 回の講演を行った。コーチングスキルについては、学校、会社、生活といったあらゆる社会の中でコミュニ
ケーションが極めて重要だという事の反面、実はそれが最も難しいものだということに薄々気づかされてい
る学生らに一つの解決策を提供できたと考えられる。社会人基礎力をより早い段階から定着させるために
は,重要な講演であった。今後とも続けることに期待する。
(3)1 年次学生合宿研修における教員と学生との交流
5 月 27 日(月)・28 日(火)に実施した新入生のための合宿研修では、新 1 年生次学生をインストラクタ(チ
ュータ)教員ごとのグループに分けて教員と学生の懇談会を実施した。親睦をはかることだけでなく、入学
志望動機や将来の夢、あるいは授業についての感想など、生の声を聞くことによってカリキュラムや学生支
援の改善に活用した。
(4)社会基盤計画
「ものづくり」教育として開講する社会基盤計画では、少人数制による課題解決型授業が実施された。今
年度は、「花畑・桜町地区の再開発」をテーマとして掲げ、より実践的な内容に関するデザインコンペを開
催した。その成果は、工学部夢科学探検でも披露され、一般市民からも貴重な意見をいただいた。社会環
境工学科では、「エンジニアリングデザイン教育」に対する取り組みとして、この「社会基盤計画」と、3 年次
後期に開講される「社会基盤設計」・「社会環境工学セミナー」がある。これらは必修ではないが、前期開講
科目と連動し、課題解決のための種々の取り組みを行った。
(5)学科 FD 会議
近年の入試動向を探るべく、講師を招き,学科 FD 会議を開いた。以下にその情報をまとめる。
講師:株式会社進研アド (ベネッセ・グループ)営業本部 九州支社 荒牧 耕平 氏
日時:平成 25 年 11 月 20 日(水) 14:30-15:30
場所:1 号館 3 階学科会議室
この講演では、現状でどのような生徒が入学するかを明らかにしていただいたところもあるが、同時に今
後、どのような授業を組み立てていくべきかを議論し、学科全体として教育力の向上にも努めた。
(5)授業参観
本年度から FD 活動の一環として、学科毎に授業参観を行うことになった。社会環境工学科においても、
以下の要領で授業参観を実施した。
科目名:「社会の基礎実験」
担 当:田中尚人准教授,円山琢也准教授,藤見俊夫准教授
日 時:2014 年 1 月 27 日(月)3,4限
教 室:工学部 2 号館 3 階 A313
それぞれの教員が種々の仕事を抱えており,なかなか多くの人数が集まれる機会を作れなかったのが
残念でならない。しかし、そのような中でも、授業をされた教員は、自分たちの改善点を見出すことができ、
参観の意義があったと言える。次年度は参加者数をもう少し増やせる機会に実施するよう心がけたい。
5.建築学科
1. 1 年次合宿研修における教員・学生間および教員間の交流
建築学科では1年次学生を対象に 1 泊 2 日の合宿研修を毎年実施しており、2013 年度は 6 月 3 日
(月)
・4 日(火)に実施した。研修初日は小国町の木造建築見学、OB による特別講演、夜の懇親
会では教員と学生が入試状況や入学動機、建築に関する興味などについて意見交換をおこなった。
翌日は九重登山をおこない親睦を図った。教員は学生の声を聞き、その内容を教員間で共有するこ
とにより、今後の学生支援や教の育方針について改善するべき点を論議した。
2. 授業改善へ向けた活動
JABEE で認定されている建築の 4 つの専門分野「計画」、「環境」、「構造」、「施工」ごとに
関係する全教員が集まり、授業内容の確認を行った。さらに、各分野を系統的に学ぶ上で連携に問
題がないように授業内容の微調整を図った。また、新任教員がここ数年で 4 名着任した(うち 1 名
は平成 26 年度から)ことから、担当科目や授業内容の調整、実施上の注意点等について議論した。
3. 卒業設計の指導強化
設計演習は建築学科に特有かつ最も重要な授業である。設計演習の 4 年間の総仕上げが卒業設計で
あるが、最近では卒業設計への着手の遅れによる作品の質・作業量の低下が学科内で問題となって
いた。そこで今年度から、形骸化していた 10 月着手を実質化するため、2013 年度からは卒業設計
の中間提出を 1 月の 1 回から 10 月、1 月の 2 回に増やし、ステップバイステップで目標に到達でき
るよう改善した。結果として、全体として作品の完成度は上がったが、設計案の内容に対する検証
は今後必要である。
4. 海外 FD 研修への参加
平成 25 年 9 月 3 日~5 日の 3 日間、本学くすのき会館にて「教育の国際化推進のための FD 研修」
に建築学科佐藤助教が参加した。佐藤助教は昨年度に続いて 2 回目の参加である。講師はカナダア
ルバータ大学の Ms. Laura Gallant, Dr. Martin Guardado の 2 名であり、留学生を対象とした英語
指導の専門家である。参加者は、工学部を中心に教育学部、法学部、医学部などの教員であり、他
学部の英語指導の現状を知る良い機会でもあった。参加した佐藤助教からは、「本研修を受けたこ
とで、英語による教授方法を改善することができ、その成果は研究室に在籍する留学生への研究指
導に活かしている。」というコメントがあった。
5. 卒業生の評価に関する所感
就職担当からは、卒業生が活躍する大手ゼネコンの施工管理分野の求人数が大幅に増えており、設
計や開発部門においてもその部門のトップとなっている卒業生が多くいるとの報告がある。
また、25 年度の一級建築士試験の本学の合格者数は 33 名であり、九州大学 40 名、鹿児島大学 25
名、福岡大学 18 名、大分大学 17 名の九州では 2 番目に多い合格者であった。学生の入学定員を考
えた合格率では九州大学と同等であり、他の九州の大学よりも格段に合格率は高い。
6 情報電気電子工学科
情報電気電子工学科は、平成 18 年度の工学部改組に伴い、(旧)電気システム工学科と(旧)数理情
報システム工学科とが合併して組織化されたものである。新カリキュラムとなり 6 年が経過したことになる。新
学科としての教育体制で動いて、引き続き授業改善とFD活動を順調に展開している。新学科のカリキュラ
ムや学習・教育目標の大枠は旧学科を継承しており、従来から、学生による授業評価アンケートの結果を
精査することによるカリキュラムの検討を実施してきた。平成 25 年度本学科で実施した主なFD活動は以下
の通りである。
(1) 授業改善へ向けた活動
JABEE の中間審査を受審して、認定技術者教育プログラムとして 2012 から 3 年間新たに認定された。
実地審査で、審査チームから、学習・教育目標に関する指摘を受けたため、2013 年度入学生に対する学
習・教育目標の検討を行い、以下のように改訂した。
<情報電気電子工学科 学習・教育目標>
A 豊かな教養を背景に、人間社会と地球環境の関わりを常に意識する素養を身に付ける。
B 数学・物理学などの自然科学に対する理解を深め問題解決のための基礎的素養を身に付ける。
C 情報技術を実践的に取り扱い、問題解決に利用できる基礎的素養を身に付ける。
D 情報・電気・電子工学を支える基盤技術を理解・開発するための専門知識を修得する。
E 常に最新の技術に関心を持ち、持続的に学習する専門意識を身に付ける。
F チームワークの中で創造性を発揮し、限られた制約の下で工学的課題を総合的に解決するための基
礎的能力を養う。
G 論理的な記述力、口頭発表力、討議などのコミュニケーション能力を養う。
H 人類の持続的発展を担う技術者として、社会に対する倫理感を身に付ける。
専門の授業科目全体を回路・半導体分野、電磁気・通信分野、電気エネルギー分野、計測制御信号処
理分野、計算機関連分野の5つのグループに分け、それぞれのグループ担当教員は定期的に検討会を
開き、シラバスの確認・修正、シラバスどおりに授業を実施したか、科目の連携に問題がなかったか、複数
クラスの授業間の連携に問題はなかったか、授業アンケート等による学生の意見で注意点はあったか、新
学科のカリキュラムの問題点や授業の反省点はなかったかなどの点について議論し、シラバスや授業改善
に活用した。
その他、学科教員が「教育の国際化推進のための FD 研修」や「大学におけるグローバル人材育成最前線
セミナープログラム」に応募参加するなど、国際的視野に立った授業改善の機運もさらに高まっている。
(2)授業参観の実施
情報電気電子工学科では、教育に関して教員の質的向上のために、これまでも授業参観を実施してきて
いる。本年度は、「プログラミング方法論(B 組)」を対象として、平成 25 年 11 月 12 日(火)2 限目に、共用
棟黒髪1 1階講義教室(臨時学科計算機室)において、例年の実施要領を踏襲しつつ授業参観を行った。
参加教員は9名であった。参加教員には学科で用意した「授業の相互参観チェックシート」を配布し、授業
に対するチェックおよび「ご意見・ご感想」を記載してもらった。本講義では学生の理解を助けるため、また、
集中力を引出すために様々な工夫がなされており、高評価であった。特に以下の点は特徴的であり、自分
の講義においても取り入れたいとのコメントが寄せられた。
・
マイクを回して学生に質問することで緊張感を持たせる。
・
ビデオ撮影を行い、後日閲覧できるように配慮している。
・
出席表を兼ねた質問票を配布し、それに記載された質問に対する回答を次回講義
の際に答えている。
一方で、プログラミングの演習時に T.A.をうまく活用していない等の問題点が指摘されており、今後の授
業改善に向けた課題等も明らかになった。「授業の相互参観チェックシート」の集計結果は授業参観実施
者に提示し、授業の改善のためにフィードバックした。
(3) ものづくり早期体験型実験・演習および循環型産学連携ものづくり実験の実施
ソフトウェアを通して実機を制御するという簡単な「ものづくり」を通じて、学科の学習・教育目標である情
報・電気・電子工学の知識や技術の修得、および基礎的なプログラミング手法の足掛かりとすべく、「ものづ
くり入門実習」科目を昨年度新設した。2 年目となる本年度は、昨年度の「ライントレースロボット」から「サッ
カーロボット」へ課題を変更するとともに、ものづくりのプロセスについて実習を通じて理解を深めるため、
「品質機能展開」と「PDCA サイクル」の実施を重視した指導を行った。学生に対して行ったアンケート結果
から、情報収集の必要性、グループワーク、プレゼンテーションの技術等についての重要性を理解できた
などの意見が得られるなど有意義な実習となった。
また、実践的な「ものづくり」を学ぶ機会を設けるため、「循環型産学連携ものづくり」を意識した学生実験
を 3 年次学生実験の 1 テーマとして実施した。学生が考えたアイデアについて地域企業のアドバイザから
意見・講評を受けることで、大学に留まらない幅広い視点で「ものづくりの開発演習」を実施することができ
た。
(4) 外部講師による特別講演
3 年次における授業科目「インターンシップ第一」ならびに「インターンシップ第二」において外部講師に
よる複数回の特別講演を実施し、年度末に学生のプレゼンおよび外部講師によるパネルディスカッション
を中心とするインターンシップ発表会を開催した。インターンシップに先立つインターンシップ講演会は、イ
ンターンシップへの参加を促すキックオフ講演会ともなり、有用な講演会となった。
7 数理工学科
(1)授業参観の実施
本年度から FD 活動の一環として,学科毎に授業参観を行うことになった。数理工学科においても,以下
の要領で授業参観を実施した。
科目:「解析数学第一」(2 年次)
担当:桑江 一洋 教授
日時:11 月 19 日(火)2限目
教室:学習支援室
学生数:9 名
参観者:西本先生(情電),高田,城本,岩佐,中村,和田
授業終了後,担当者と参観者で意見交換会を行った。
(2)革新ものづくり展開力の協働教育事業を利用した授業環境の改善
工学部が実施している「革新ものづくり展開力の協働教育事業」では様々なプロジェクトを公募しており,
これらに応募し,金銭的補助を受けることにより授業環境の改善を図った。
1 年次後期の必修科目「数理基礎第二」においては,「早期体験型実験・演習科目開発プロジェクト」の
予算を用いて 2 号館学習支援室の黒板を増設し,演習における環境の改善を図るとともに,演習内容を精
査して概念の論理的思考力を問う問題の解答を発表する分量を大幅に増やし,口頭発表の能力を向上さ
せられるものに改善した。さらに,学生に融合テーマ専門科目の内容紹介を課すようにし,学生に数学とも
のづくりの結びつきを意識させると同時に,融合テーマ専門科目を選択する際の指針となるようにした。
また,3 年次前期の選択必修科目「実験数学」においては,「実習・演習教育の改善プロジェクト」の予算
を用いて計算機環境を整備し,Scilab コンテストへの参加を目指した活動を行うなど,授業内容の改善を
行った。
(3)プロジェクト X 講演会
FD 活動の一環として,以下の要領でプロジェクト X 講演会を実施した。
日程:平成25年1月31日(金)
講師:小田 芳彰 氏 (慶應義塾大学理工学部数理科学科)
題目:経路問題と離散数学
数理工学科から数多くの学生が参加し,グラフ理論が社会における重要な問題と密接に関係しているとの認識
を新たにした。
(4)高等学校訪問(出前授業)
学科の内容をよく知っていただくため,積極的に学科説明や出前授業を行った。
1) 高校名:熊本県立第一高等学校
日程:平成25年7月19日
講師:城本啓介
題目:CD から聞こえる数学
2)高校名:熊本県立熊本北高等学校
日程:平成 25 年 9 月 6 日
講師:岩佐学
題目:統計学の世界
3)高校名:熊本県立北高等学校
(SSH 関連事業の1つのアクティブリサーチ I「数学」講座として開講)
日程:平成25年9月27日
講師:城本啓介
題目:誤り訂正符号を体験しよう
4)高校名:佐賀県立鳥栖高等学校
日程:平成 24 年 10 月 30 日
講師:千葉周也
題目:一筆書き問題~グラフ理論におけるオイラーグラフについて~
主な感想等:
・数学の応用について分かって楽しかった。
・ゲームと通して大学の数学が学べて良かった。
・数学が色々と所に使われているのを知れて良かった。
・数学の研究がしたくなった。
・高校での数学が大事だと良く分かった。
(4) 授業参観
全学 FD 委員会からの要望を受けて、工学部でも、平成25年度より授業参観プログラムを実施
することとなった。一部の学科は以前より、授業参観を実施していたが、全学科で実施することと
なった。実施に関しては、以下の授業参観実施要項に従い行った。初年度として、まず工学部各学
科毎に、ひとつの授業を選んで、授業参観を行うこととなった。初年度ということもあり、授業参
観の選択方法、実施方法は特に統一せず、各学科に自由に行っていただいた。多くの学科が、優秀
教育者表彰を受けている授業を参加授業に選び、優れている点を学ばせていただく目的で行った。
【工学部における授業参観実施要領】
(趣旨)
第1条 この要領は、工学部において行う授業参観の実施に関し必要な事項を定める。
(授業参観の実施形態)
第2条 授業参観は、授業相互参観により行うものとする。
(授業参観を実施する時期)
第3条 授業参観は、原則として、各学期の第 6 週から第 10 週の間に実施する。
(授業参観を実施する授業科目の選定方法)
第4条
学科ごとに授業参観を行う授業科目を最低一つ定め、公開する授業科目を工学部授
業改善・FD 委員会(以下「委員会」という。
)と本学FD委員会委員長に申し出るものとする。
授業参観を行う授業科目の選定は各学科に一任する。ただし、同じ教員の授業科目に繰り返し
授業参観科目とすることは避ける。
2 授業参観科目は、学部にかぎらず、所属する教員の大学院の授業科目も含める。
(授業参観実施日等の周知)
第5条 第4条により授業参観を実施することとなった授業科目の担当教員は、授業公開を行
う授業科目名、公開日、時限及び場所並びに意見交換の日時及び場所を、委員会委員長に通知
する。
2 委員会委員長は、次に掲げる事項を当該学部の教員にメール等により周知する。
(1) 公開授業科目名
(2) 担当教員名
(3) 授業公開日、時限及び場所
(4) 参加申込み方法
3 授業参観を希望する教員は、前項第4号に定める方法により、申込みを行うものとする。
(授業参観についての報告書)
第6条 授業参観者は、次の事項を記載した授業参観についてのアンケートを各学科委員に提
出する。委員は、これを報告書としてまとめ、委員会および授業公開者に提出する。
(1) 自分の授業に取り入れたいと思った点
(2) アドバイスをしたい点
(3) 授業参観参加後の感想
(事務)
第7条 工学部における授業参観の実施に関する事務は、教育研究推進部自然科学系事務ユニ
ットにおいて処理する。
(雑則)
第8条 この要領に定めるもののほか、シラバスチェックの実施に関し必要な事項は、FD 委員
会の議を経て、学部長が別に定める。
【物質生命化学科】
日 時: 平成25年11月29日(金)2限目
会 場: 工学部2号館2F225教室
担 当: 鯉沼 陸央先生(物質生命化学科・講師)
科 目: 「無機化学第二」
対 象: 学部2年生
授業参観者数: 6名
講義終了後(11:50-12:30)に意見交換会を開催して相互に確認するとともに、関連する質疑応答を行っ
た。
参加者のコメント:
1)自分の授業に取り入れたい点
・授業中に活発に質問するなどして、インタラクティブに進めること。
・学生との対話がうまく行うこと。
・大きな声での説明。(寝てる学生がいない。)
・ジェスチャーや表情をうまく利用していること。
・質疑応答を理解度確認に活用している点。
・効果的なパワーポイント、テキスト、補助教材の使い方。
・WebCT の活用。
・演習問題を配り、その回答を次回行う形で、前回の授業の復習を行うこと。
・授業内外で演習問題が効果的に利用すること。
・演習を授業中に解かせる際、学生間で自由に相談させて、自分たちで解こうと
する姿勢を引き出していること。
・「演習問題」から講義に入る点。
・丁寧な問題解説。
・説明をプリントに書かせている点。
・学生実験とのリンク。
2)アドバイスしたい点
・学生実験と授業内容のリンクを盛んに指摘して、記憶を呼び覚まそうとしている点は大変よい試みだと
感じたが、如何せん、学生のほとんどが実験の内容の記憶があいまいであった。学生実験のビデオや
写真(錯体の色が変わる様子など)を出して、画像記憶から呼び戻させると効果的かも知れないと感じ
た。
・教科書や板書などによる説明時には問題がなかったが、プレゼン資料を用いた説明の際にアイコンタ
クトをとることが望ましいと感じた。プロジェクター接続の際に利用できる台があれば、学生とアイコンタク
トをとりながら説明ができるようになると思われる。(教室の設備の問題として改善を期待する。)
・後部に着席している学生にも問いかけした方がよい。(担当の鯉沼先生からは、「講義のペースを重視
して意図的に前方の学生に問いかけしている」との説明があった。)
3)授業参観に参加して
・授業に対する熱意と準備に、ただただ頭が下がりました。
・演習がうまく組み込まれていた。
・演習に対する解説時に学生に記述される工夫があり、学生が積極的に参加する姿勢が見られた。
・全ての学生が教室の前方に着席している点はすばらしい。
・前方の学生のレスポンスがよい。
・全体に学生が集中していると感じた。
・実験や前の講義との関連を強調していて良い。
・演習との組み合わせ⇒宿題、の流れはよいと思う。
・多くの学生のクラスをうまく指導している。
・難しいトピックスをうまく単純化して説明している。
・参観は大変参考になった。
【マテリアル工学科】
授業参観対象科目「航空宇宙・環境マテリアル工学」水曜2限 工学部 2 号館234教室
マテリアル工学科 3 年 受講者39名
授業担当教員 頓田英機(熊本大学名誉教授 非常勤講師,ティーチングアワード受賞あり)
参観実施日 11月13日(水)および 27日(水)
実施結果
平成 25 年 11 月 13 日 授業参観者数: 5名
平成 25 年 11 月 28 日 授業参観者数: 5名
検討会 平成 25 年 11 月 17 日(火) 17:00-18:00 参加者15名
参観後,アンケートを回収し,それらの意見に基づいて検討会を行った。学科としてのまとめを以下に示
す。
良いと感じた点
まとめ1 経験に裏打ちされた揺るぎない教授法,学生に興味持たせる視点,要点に集中させる
方法等が参考になった。
講義進行のリズムがよい。
学生が授業に集中できるような話の間の取り方である。
要点をおさえた指導を心がけていた。
身近な製品の例をあげて学生の興味を持たせるようにしている。
複雑な現象を身近な素材や製品を用いて説明されているため,学生の興味喚起に極めて有効だ
と感じた。
図と表を活用して、授業内容を説明していた。
授業内容をわかり易く説明していた。
ポイントを丁寧に説明している(ただ覚えるようにしない)
。
授業のまとめをしっかりと行っていた。
メモ等を見ることなく多くのことを板書する姿は学生から見ても頼もしい先生と見えるのでは
ないか。
講義の際に話されていた“余談”,25 年前に聞いた記憶がはっきりある。大変感動した。
各論を教える際の授業の進め方について色々参考になった。自分は各論の講義を持っていない
ので直接的,短期的には取り入れることは考えていない。自分独自の方法で改善を進める。
まとめ 2 教科書の活用法が参考になり,教科書の重要性が再認識された。
教科書をそのまま説明するのではなく,かみくだいて説明され,特に重要な点は何度も強調さ
れていた。
教科書の具体的箇所を挙げて重要なポイントを示すようにしていた。
折々に教科書の対応個所を明示することにより,復習しやすくなると感じた。
教科書の中身で必要なこと,あまり必要でないことを示していた。
知らないこと,わからないことは「知らない」
「わからない」と素直に説明していた。
まとめ 3 学生が講義に集中できる最適な板書法,話し方が参考になった。
板書文字の大きさが適切であった。
聞き取りやすいスピードを意識して話していた。
大きく聞き取りやすい声で話すことを心がけていた。
話し方がゆっくりでわかりやすかった。
話し方も教員それぞれのスタイルがある。
まとめ 4 学生を予め指導しておく着席のさせ方が参考になった。
学生の着席状況がよい。
学生が教室前方に着席するよう,ルール決めがされていた。
講義の始めに全員を前の方に座らせること。
まとめ 5 「出席表」という独自の双方向システムが参考になり,学生との双方向のコミュニケ
ーションの重要性が認識できた。
授業の始めに前回授業の質問に対する解説をすることにより,出席票にきちんと感想・コメン
トを書く動機付けをしている点
講義の最後の 10 分を「出席表」の記入に割り当ててあり,
“復習時間”として効果が高いよう
に思った。
出席表の学生の質問に対して明確な回答を示している。
出席表を用いたコミュニケーションの取り方は参考になったが,教員それぞれのスタイルがあ
ると思う。
出席表の質問で稚拙なものに対しては自習が促されていて学生の意識向上につながっていると
感じた。
授業の終わりに質問事項を受けてらいるが,その時間中の講義内容ではなく,1週前の内容を
学生自身に勉強させたのちに質問を受けるなど,大変工夫がなされて,私自身勉強になった。
まとめ 6 科目間の連携を強化する「講義科目検討委員会」で科目間のつながりを教員相互で認
識し,講義に活かす。
他の科目での内容との関連性を示している。
具体的に教員,講義名を示して他の講義との関連性を示す。
学生が理解し易いように,他の講義とリンクさせながら御説明されていた。
教科書をそのまま説明するのではなく,かみくだいて説明され,特に重要な点は何度も強調さ
れていた。
授業参観をすることで他の科目の内容を知ることができ自分の科目との関連がわかってよい。
更なる授業の向上のための提案
まとめ 7 頓田先生に提案として伝え,他の教員も参考にする。
黒板は左から右に書いた方がノートを取りやすいのはないでしょうか。
講義の最初の宿題回収は時間のロスになっているように感じました。
学科の教員としてのお願いですが,遅刻者に対しては厳しく指導して頂ければ幸いです。
授業参観に関する感想,意見
まとめ 8 授業参観がある程度効果的であり,特色ある教授法については積極的に参観を行うと
結論しつつも,教員個々で様々な機会を見つけて教授法を探索するべきでもあり,
今後も検討を続ける。
まとめ 9 様々な FD 活動がある中で同学科の参観に出席を課すことには疑問がある。
FD 効果が非常に高いと思う。
自分の講義における問題点がよく理解できた。
教える側になってから改めて他の先生方の講義を拝聴することで,自分自身の講義に関する反
省点等,改めて認識することができた。
授業の進め方が非常に素晴らしく、大変勉強になりました。今後、自分が授業を受け持つこと
があれば、今回の授業を参考にして、このような授業が出来るように努力したいと考えている。
役に立った。
Teaching Award 受賞教員の授業を参観させて頂くのは大変参考になる。
それ以外にも,特色のある講義法を取り入れている授業を参観させて頂くのも双方に利点があ
ると思う。
教員の授業のスキルアップのためにどの程度有効なのかはわからない。
教育学部の教員から授業法に関するセミナーを開いて頂いた方が教授法のスキルアップにはつ
ながるのではないか。
FD 委員会がこの様な授業参観を企画するのはすばらしいことと思う。しかし,授業参観の方法
として FD 委員会自身の視野を広げ,学科での実施にこだわらず,工学部全体で参観可能の先生
方の講義を自由に参観できるような方法論を委員会で提供するというような企画があっても良
いと思う。教員の教育研究のアクティビティーが保証されるような制度設計が望まれる。
我々教員も若い頃、大学で講義を受けていたはずであり、その時に感じた思いを自身が行なう
講義の設計に反映させることで十分と感じている。これまでに感銘を受けるような講義受講経
験がなく不安を覚えている教員のみこういった授業参観に参加すれば良いのではないか。
【機械システム工学科】
授業科目:プログラミング及び演習(1 組)[1 年次必修科目]
担当教員:藤原 和人 教授
実 施 日:2013 年 10 月 29 日 5 限
場所:総合情報基盤センター実習室Ⅰ (3 階)
授業参観者数:6 名
(1) この授業で優れている点
1. 授業開始時にほとんどの受講生が PC を起動済みで,すぐに授業を始められる状態でした.
2. マイクを通しての説明は明瞭で後方に居ても聞きやすかったです。
3. マイクの音量が良く,説明が聞き取りやすい.
4. 授業の最初に宿題の解説と見直しに計 30 分の時間をかけ、その後授業に入っていた点。学生の理
解度はまちまちと思われますが、くわしい解説は理解度の低い学生から高い学生までそれぞれのレベ
ルで理解させ興味を持たせるのに役立っているように思われました。実際、解説中は(ごく一部学生を
除いては)ほとんどが説明に集中していたようです。
5. 課題の解説を丁寧にされている.課題のレベルも良いと思います.
6. プログラムの課題はよく考えられているが,初心者に難しすぎると思われる.
7. 課題の内容を踏まえた上で,本日の授業内容の説明に入られている.
8. 例題のレベルや説明のスピード,適切で学生にも伝わっている様子.自分の授業では説明が多すぎ
て学生がついてこれず消化不良になっている場合が多いので,見習いたい.
9. 授業項目の区切り毎に学生が内容を反芻するのに十分な間合いが挟まれている点。
10. モニタを使って実際のリストを見せながらの説明でゆっくり丁寧で分かり易い.
11. 学生の机の上にあるディスプレイを十分に活用されている.
12. 画像を映しながらなので,作るべきプログラムのイメージがつかみ易いと思う.
13. 時間中に質問の機会を随時設けている点。ただし、今の学生は人前で質問したがらないので、逆に
学生が疑問に思っていそうなことを問いかけて自答するようなことをしても良いかと思いました。
14. 授業中のポイントをまとめた資料「point.txt」を準備されている.
15. 関連する科目(「数値解析」)との関連性について言及している.
16. 次回の授業内容を予告し,予習範囲を明示している.
17. 時間内に授業をまとめられている.
18. チャイムと共に授業終了.これも見習いたい.
19. 授業終了後,質問する学生に対応している.
(2) アドバイスをしたい点
1. 教員が説明しているときに,講義に全く関係ないこと(ネットを立ち上げる等)を行っている学生やほと
んど何もしていない学生が見受けられた.TA を用いてこのような学生に注意を与えるべきである.
2. 授業中の説明についてこれていない学生がいるので,TA を活用されたら良いと思います.実習を伴う
ため,教員一名では限界があると思います.
3. 特に授業後半で、説明・解説がやや長く続くと注意力が途切れるせいか、他の事をやり始める学生が
増える傾向にあった。説明が長めの箇所では、説明途中の要所で学生を説明に集中させる工夫があっ
ても良いと思いました(全体に問いかける or 簡単な作業をさせるなど)。
4. 教員側の一方的な説明になりがちなので,もう少し,学生が手を動かす時間があっても良いのでは?
5. リストを見せての説明が長々と続くので,少し単調.ホワイトボード等を併用して,手続きの流れや関数
自体の説明,グラフなどを示してはどうか.
6. 教員 PC の画面で、1画面に収まらないプログラムを学生に見せている時、リストが頻繁に上下にスクロ
ールすると、見ている部分が予想外に動いたり画面外で見えなくなったりしました。リストを見せている
途中では極力スクロールさせない方が良いと思いました。
7. 準備に時間を要するでしょうが,ことばでの説明だけでは理解できない学生がいますので,イメージと
しての理解を補助する図やフローチャートを示すのがいいと思います.
8. プログラムを写しながらの言葉による説明だけではなく,日本語の文章による補足説明をつけ,それを
ノートに写すよう指導をしてはどうか.授業の記録を見ることができないと,授業後の課題がやりづらそう
である.
9. 1 年生対象科目なので,このやり方はよくないと悪例を示すのではなく,正しい方法を示すのがいいと
思います.学生は悪い使用法を覚えてしまいます.
10. メインとなる授業内容の部分は提供するソースをブランクにし,学生に入力させることで定着を図って
はいかがでしょうか.作業に時間はかかりますが,演習科目でもあるので対応できる複数の TA がいるは
ずですし(出欠をとるだけではもったいない),プログラミングはまちがって(エラーを起こして)それを修
正することで学ぶものだと思います.
(3) 授業参観に対する意見
1. 非常に参考になりました.
2. 本日は貴重な機会を設けていただきありがとうございました。自分の授業を良くするヒントが得られたと
思います。
3. 今後も学生の評価の高い授業や特徴ある授業に関する授業参観の機会があれば是非参加したいと
思います。
4. 授業参観に参加している教員が机間巡視できるようにすると,学生の理解度も確認でき,良いと思い
ます.
5. 演習授業であり,通常の座学とは少し異なる形態であったため,参観して参考にできる様な授業として
の共通的な部分があまり見れなかった点が残念だった.
6. 授業参観することにより,説明が多く作業が少ない演習では学生があまり興味を示さない印象を受け
た.
【社会環境工学科】
対 象 授 業: 社会の基礎実験(1 年生への開講)
日
時:
担 当 教 員:
2014 年 1 月 27 日(月) 3,4 限
田中尚人,円山琢也,藤見俊夫 参観参加者:5名
【授業の目標】
本科目は,社会教育の導入として位置づけられるものづくり教育である.前期で学習したハードを
主体とした「工学の基礎実験」に続いて,社会環境や地域課題に関わる調査やシミュレーションなどの
ソフトを主体とした実験を通し,コミュニケーション技術や問題発見能力を養い,課題に対する興味や
具現化や学習の動機を与えることを目的とする.
〔最重要3項目〕
1)問題発見・整理能力,経済性や空間スケール感を習得する.
2)課題の内容について自ら認識し能動的に学習する.
3)学習成果を分かり易く発表し,レポートにまとめる.
【参観の効果】
1.教員からの参観を受けたことによる,見つけることのできた良い点
▪
自分たちの取り組みを客観的に評価して頂けた.
▪
自分たちの改善点を見つける,よい機会になった.
2.教員からの参観を受けたことによる,見つけることのできた改善点
▪
学生たちに,自分たちの班の特徴を理解させる仕組みが必要だと感じた.
▪
発表会の前に,他の班のポスターも見せるための時間をつくったらよい.
3.その他
▪
社会環境工学科として,PBL は他の学科より先進的な事例であると思うので,積極的にア
ピールできると思う.他の学科の教員も見に来て欲しかった.
【FD 委員からの感想】
それぞれの教員が種々の仕事を抱えており,なかなか多くの人数が集まれる機会を作れないのが
現状である.しかし,そのような中でも,上記のように担当教員が改善点を見いだせた点は,参観の意
義があったと言える.次年度は参加者数をもう少し増やせる機会に実施するよう心がけたい.
【建築学科】
実施日時:
2013 年 12 月 5 日(木)
、2 限目(10:20~11:50)
実施場所:
工学部 1 号館 5 階製図室
対象授業:
建築設計演習第四(田中グループ)
、(2012 年度ティーチングアワード受賞授業)
授業教員:
田中智之 准教授
授業内容
全体に関しては、敷地に関する調査~分析~構想~設計といった一連の設計プロセスを通し
て建築設計手法を学ぶスタジオ型設計演習である。
このスタジオでは敷地を熊本市古町地区に限定し、その都市解読をいかに設計につなげてい
くかに焦点を絞っている点が特徴的である。
当日は設計小課題提出後、図面や模型(CCD カメラによる内観中継も実施)等を用いた全学
生による設計案の発表を行い、学生間の質疑・コメント等の時間を経て教員が講評・総括を行
った。
1. 授業参観者数 建築学科教員 12 名
2. 授業参観の様子
3. 参観者へのアンケート結果
参考になった点
参観者 1 特になし
参観者 2
参観者 3
参観者 4
参観者 5
参観者 6
参観者 7
参観者 8
参観者 9
参観者 10
アドバイス
特になし
感想
通常学生から作品への質問が少ないのです
が、見学した授業では学生の質問が多くてよ
かったと思う。何か学生が質問するようにす
る秘訣があるなら、教えてもらいたいですね。
模型をCCDカメラで撮影して、発表と同時
並行で写していたのですが、ちょっと見つら
かったかと思う。
敷地調査を通じて周辺環境やその土地の歴
史について十分調査をさせている点は素晴ら
しいと思った。
実際には、その意味を理解していない学生が
授業に「参加」しやすい雰囲気があった。
多かったが(周囲の模型をつくっていないこと 特になし
少人数制の授業の良さであろう。
や、周辺環境に配慮していないことが明白な
計画案などがあった)、それでもその重要性を
何度でもソフトな語り口で説かれる田中先生
の姿には頭が下がる思いがした。
学生の曖昧な話を、田中先生が根気強く聞
き続けられているのに感心 しました。私
が担当する構造力学や鋼構造の授業では
このような授業をやっていただければ、学生のプ
このような形態は無理と思いますが、少な 特になし
レゼンテーション能力は向上するだろうと思いま
くとも研究室のゼミではもっと学生の話
した。
をもっと聞いてやるべきだと反省しまし
た。
特にありません。ティーチング
今回の参観授業のような授業形態を経験した
いろいろな授業形態を参観する機会がもっと増
アワードに選ばれるだけあると
ことがないので、新鮮な印象を受けました。
えるとよいかと思いました。
思いました。
製図室のスクリーン、プロジェクター、マイク、
CCT カメラ等の機器が有効に使われていた。
学生が非常に良く勉強していて、非常に良い授
また、南の窓面にコルクパネルが立てられて
業のように思いました。
特になし
有効な掲示面になっていた。
ただ、学生がちょっと疲れ気味(提出期限のた
条項学生は上手に発表しており、TA も良く
め?)に見えた点が気になりました。
働いていました。
少ししか参観できなかったが、
学生のプレゼンテーション準備が十分で
教員によって多様なスタイルがあることはよ
時間配分はもう少し考慮するよ
きていた。
いことである。
ちがあるように思えた。
ゆっくりと時間をとって学生の
話を聞かれていたことが印象に
手描きのスケッチを皆よく描いていまし 残っていますが、要点をまとめ 設計の指導は難しいことを改めて感じまし
た。
た話し方。難しいことですが、 た。
その点についても指導されて
はと思います。
製図作品の講評会ということで、受講生の発
表、質疑、教員からの講評という手順の双方 授業の運営は頗る上手であり、
参観をするとなると、授業担当教員もそのた
向の発言がある授業でした。講義科目でも教 見習うべきところが上記のように
めに構えるところもあろうかと思います。そ
員と受講生との言葉の遣り取りを行う上で参 ありました。
れが良い効果をもたらすならば良しとするで
考になりました。
アドバイスは特にありませ
しょう。
マイクの使用で発言がしっかり聞き取れ ん。
るのは良かったと思います。
学生の意見や質問を引き出す方法
有意義ではあるが、担当者や参加者の負担が大
情報を総括し全体をとらえた上で講評す 特になし
きいため、今後授業参観自体を実施する必要は
る方法
ないと思います。
後ろに建築学科の先生がズラリと控えている状況
教員(田中先生)が講評をはじめる前に,学
特にありません。
は,学生達にとって非常に緊張感のあるものにな
生間で質疑応答をさせている点が非常に参
ただプレゼン時に学生がもっと ったのではないかと思います。
考になりました。
模 型 を 使 っ て説 明 し てく れる そういう意味で,授業参観は学生達にとっては良
普段の授業ではなかなか自ら発言しない学
と,より面白くなったのでは,と いスパイスになるのではないかと思います。
生達が,あの授業では(かなり)積極的に発言
思いました。
教員にとっても,普段の授業の構成を見つめ直
していた点が非常に印象的でした。
す機会になるのではないかと思います。
視聴覚機器の活用方法がかなり効果的であ
るように思いました。
参観者 11 学生の方から積極的な質問が出ていました 特になし
が、普段から学生と接する際に心がけておら
れることなどがあれば知りたいと思いました。
教員の講評会の前に設けられた、学生や TA
による質疑応答の時間が新鮮でした。
学生が積極的に質問している姿に、普段とは
参観者 12 異なる学生の一面を見ました。
特になし
担当教員が、学生の自発性を誘発・成長させ
る工夫を講義に織り込んでおり、大変参考に
なりました。
大変よい勉強になりました。ありがとうござ
いました。
他分野教員の講義を拝見するチャンスは多く
ないので、とても良い機会でした。
以上のアンケート結果を整理したものを、以下に示す。
良い点
・ 討論に参加しやすい雰囲気、学生や TA による積極的な質疑応答
・ 学生の考えをしっかりと聞く教員の態度
・ CCD カメラ等の視聴覚機器の活用
・ 学生にとってプレゼンテーションの良い訓練
・ 他分野の授業を参観するだけで新鮮
悪い点
・ 授業参観により学生が緊張していた
・ 授業参観自体はいいことだが負担が大きい
4. 授業担当者(田中教員)へのアンケート結果
参観者の意見から参考になった点
他の授業に比べて、学生間の質疑応答が活発に行われていることがわかった。また、学生の要点
をまとめた発表や、模型をさらに有効に活用したプレゼンテーションが不足しているという指摘が参
考になった。
授業参観を実施しての感想
12 名の教員が後方から見守る中での授業参観は緊張感があり、授業“参観”というよりも
何か授業“審査”のような感じがあり、学生がいつもより硬くなっていたので、できればも
う少しニュートラルな、柔らかい雰囲気の中で行われるような工夫が必要ではないかと思い
ました。
5. 討論結果
参観者、授業実施者のアンケート結果を踏まえ、学科内で討論した結果を以下に示す。
・ 演習科目だけでなく、座学で優れた授業を実施している教員の授業を参観したい。過去
のティーチングアワード受賞授業には演習科目が多く、座学が受賞できる仕組みが必要
ではないか。
・ 参観の際に、授業実施者や受講生ができるだけ普段の振る舞いができるように工夫する
必要がある。
・ 授業参観の実施に対する学科の負担は大きい。実施するのであれば、参観結果を学科内
でうまく生かす仕組みが必要ではないか。
【情報電気電子工学科】
授業科目名 プログラミング方法論(B 組),1年必修
授業実施者名
伊賀崎 伴彦 准教授
実施日
平成25年11月12日(火)2限目 10時20分~11時50分
講義室
共用棟黒髪1 1 階講義教室(臨時学科計算機室)
参観人数
9名
授業内容
計算機が仕事をするには,ソフトウェアすなわちプログラムが必要です.この演習では,
プログラミング言語として C 言語 を取り扱います.プログラミングでは「考え方(アルゴリズ
ム)」が最も重要となりますが,それを正しく表現するためには,プログラミング言語の使
用法(文 法)を修得する必要があります.条件判定などの基本文法の他,プログラムの
効率的表現に有効な「関数」,データをまとめて取り扱う「配列」.データを間接的に指し
示す「ポインタ」等の利用法を修得することを目標とします.
実施要領
情報電気電子工学科では,教育に関して教員の質的向上のために,これまでも授業参観を実施してき
ている.本年度は,これまでの実施要領を踏襲し授業参観を行った.
(1)実施要領
・「当該授業の優れた教授法を修得する」との趣旨で参観を実施する
(2)授業参観実施科目の選定方法
・学科内で対象科目の希望を募る
・希望者がいない場合は学科長、教務委員、FD 委員で協議して科目を指定する
(3)実施方法
・授業担当者と FD 委員が公開日時を決定する
・1コマ分を参観する
・「授業の相互参観チェックシート」を作成しておく(添付資料参照)
参観に参加した教員は,チェックシートの各項目を5段階で評価するとともに, 「ご意見・ご感想」欄」
に記載する
・チェックシートの結果をまとめ,教員にフィードバックすることで授業の改善を図る.
実施状況
平成25年11月12日(火)2 限目 10 時 20 分~11 時 50 分に,共用棟黒髪1 1階講義教室(臨時学科計
算機室)において授業参観を行った,授業参観に参加した教員は9名であった.参加教員には(添付資料)
の「授業の相互参観チェックシート」を配布し,授業に対するチェックおよび「ご意見・ご感想」を記載しても
らった. アンケートの集計結果を以下に示す.
平均
アンケート項目
(最大 5.0)
1)出席の取り方が適切である
4.6
2)その科目と関連科目との関係についてよく指摘している
3.1
3)その日何について講義(演習または実験)されるかが提示されている
4.4
4)教材を論理的かつ構造化した形で提供している
4.1
5)説明のしかたは明確で理解しやすい
4.8
6)学生の反応を見ながら講義している
4.9
7)学生の知的好奇心を刺激している
3.9
8)板書、OHP、パワーポイント、配布印刷物等は見易く明瞭である
4.6
9)講義の声は十分聞き取れる
4.7
10)学生が理解する時間を取っている
4.6
11)重要な事項については学生の注意をとくに喚起している
4.8
12)講義の進め方や教材に工夫が感じられる
4.8
13)講義の進行速度は適当である
4.4
14)学生の理解度をチェックする機構が構成されている
4.3
15)担当科目に情熱をもって授業をしている
4.9
16)質問や対話ができる雰囲気作りに真剣に努力している
4.4
17)講義内容と学生の卒業後の仕事との関連性について示している
3.1
18)講義の最後にその講義の内容を要約している
4.3
19)講義の最後に次回講義予定の内容を提示している
4.7
20)シラバスに沿った講義を行っている
4.6
21)この講義は、学科の学習・教育目標との対応が適切である。
5.0
「ご意見・ご感想」
・コンパイルコマンドを覚えていない学生が PC 操作の所で遅れ気味でした
・数学記号の=と C プログラムの代入の=の違いを教えられているでしょうか
・とても勉強になりました.ありがとうございました.
・教員が学生の名前を憶えているのは素晴らしい
・学生が次に何をすべきかわかっていない瞬間がちらほら見られた
少ない時間で最大限に手を動かす時間を作る努力が見られ,ただ座学で終わらせていない.その分説明
に「おまじない」という言葉が多くなるのは仕方ないのだろうか.
・後列の席だとホワイトボードの下 1/4 くらいが見にくい
・TA が座りっぱなしになっている.教室中段はサポートされていない?
・(出欠表の質問対応の)取り組みはよいとおもう.ただ,ここでの返答が同全体に共有されているか気になっ
た.
・次の点は参考になった,必要に応じて自分の授業に取り入れたい
・マイクを回す
・解答票の形式:質問を書かせることで理解度をチェックする
・熱意が感じられ集中力を切らさない工夫も感じられる.とてもよい講義と思いました
・授業の流れが少し分かりにくい気がしました.板書が少ないので一度わからなくなった後,流れに戻りにくい
と思いました.学生が自分で後で読んでわかるようなノートを自主的に作るのは難しいのだと再認識しまし
た.
・宿題,各個人の達成度評価はどのような工夫をされているのかもう少し知りたいと思いました.
・学生が本当に熱心に授業に集中しているのに感心しました.
・ビデオをとって公開している点もよいと思います
・発展的な C 言語の内容(構造体以降)を学科でどのように教育されているのかも知りたいと思いました"
・出席表で質問を書かせる点は良いと思いました.
・マイクを回す点もよい方法だと思います
・授業をビデオにとり利用する点も非常に良いと思います."
結果からもわかるように,本講義では学生の理解を助けるため,また,集中力を引出すために様々な工夫が
なされており,高評価であったことが伺える.特に以下の点は特徴的であり,自分の講義においても取り入れた
いとのコメントが寄せられた.
・
マイクを回して学生に質問することで緊張感を持たせる.
・
ビデオ撮影を行い,後日閲覧できるように配慮している.
・
出席表を兼ねた質問票を配布し,それに記載された質問に対する回答を次回講義の際に答えてい
る.
一方で,プログラミングの演習時に T.A をうまく活用していない等の問題点が指摘されており,今後の授業改善
に向けた課題等も明らかになった.また,「授業の相互参観チェックシート」の集計結果を授業参観実施者に提
示し,授業の改善のためにフィードバックした.以下に,授業担当者からの授業参観報告について記載する.
「プログラミング方法論」授業参観報告
情報電気電子工学科 伊賀崎伴彦
まずは、ご多忙中にも拘らず 9 名もの先生方にお越しいただいたこと、また、9 号館改修のためとはいえ
仮設計算機室で座る場所もないまま 90 分間をお過ごしいただいたことに心より感謝申し上げます。
本来の時間割では 1 限目に講義、2 限目に演習という構成のところ、演習をご担当の先生にお願いして、
上四半期の 1~2 限目を講義に当てることでプログラミングの方法論を叩き込み、下四半期の 1~2 限目を
演習に当てることで叩き込まれたはずの方法論を実践的に使用・利用して身に着けさせるという方針で行
っております。ただし、講義においても時間の許す限り演習の要素を含ませ、逆に演習においては講義
の復習の要素を含ませることで、相互補完を図っているつもりです。
いただいたアンケート結果で低評価の項目を見ますと、「その科目と関連科目との関係についてよく指
摘していない」「講義内容と学生の卒業後の仕事との関連性について示していない」とご指摘を受けてお
ります。他の回では雑談的に話をしており、今回は内容の多さも手伝ってそこまで言及できませんでした
が、学生が飽きていそうな頃合に「くすぐり」として話をするように心掛けたいと思います。
「学生が次に何をすべきかわかっていない」「授業の流れが分りにくい」というご指摘についてはそのとお
りで、事前準備をしているにも拘らずわたし自身が「あれも話さなければ」「これも話さなければ」と半ばパ
ニック状態に陥っており、大いに反省しております。話す内容と進行の順番をチェックシートに起こし(場
合によっては学生に配布し)、それに沿いながら行うよう改善したいと思います。
逆に好印象で受け取っていただいた「マイクを回す」「質問を書かせる」は、どちらかというと学生にも好
意的に受け取ってもらえており、前者については「授業に緊張感が出て良い」「間違った答えを言ってしま
ったが逆に印象に残った」という前向きな評価が、後者については記名式にも拘らず学生の正直な感想
が書かれており、次週の授業にすぐに反映できるという利点が得られております。もちろん、どのような質
問があったのかとそれに対する回答も、質問者だけでなく、授業中に可能な限り全員に向けて発信して
おります。時間はかかりますが、今後も継続したいと考えております。
その他のコメントに回答いたしますと、
・コンパイルコマンドを覚えていない学生が PC 操作の所で遅れ気味でした
・TA が座りっぱなしになっている.教室中段はサポートされていない?
…本来であれば TA が活躍する場面ですが、仮設計算機室(端末不足)ゆえ、通路にしか座れなかった学
生がいるため TA が動けず、サポートが及びませんでした。9 号館改修後は改善されると思います。
・数学記号の=と C プログラムの代入の=の違いを教えられているでしょうか
…「演算子」という単元で力説いたしました(C の「=」は代入なので「i=i+1」のように数学的に成り立たない
表記が C では成り立つ、など)。
・後列の席だとホワイトボードの下 1/4 くらいが見にくい
…これは学生からも多数指摘を受けました。気を付けていたのですが、どうしても下まで使ってしまいます。
原因はホワイトボード設置位置の欠陥ですので、学科に改善を要求したいと考えております。
・ビデオをとって公開している点もよいと思います
・授業をビデオにとり利用する点も非常に良いと思います
…これはもともと JABEE 対策のために始めたのですが、欠席してしまった学生や本当に復習しようとしてい
る学生には役に立っているようです。将来は YouTube 等で公開されても恥ずかしくないレベルを目指した
いと考えております。
・宿題,各個人の達成度評価はどのような工夫をされているのかもう少し知りたい
…過去には「小テスト」なるものを授業の冒頭ないしは終了間際に行っていましたが、時間の関係で今年
度は断念しました。したがって、現状では個々人で確認してもらうか、定期試験でないとわからないという
のが正直な回答です。ただ、過去の小テストがウェブサイトにアップロードされていることを周知しておりま
すので、やる気のある学生はチャレンジしてくれているものと信じております。
・発展的な C 言語の内容(構造体以降)を学科でどのように教育されているのかも知りたい
…数年前までは構造体もこの授業で触れていたのですが、学生の理解が「配列」「ポインタ」「関数」でパ
ンクしてしまい、取り扱わないようになりました。2 年次前期開講の「アルゴリズム論第一」と「プログラミング
演習第二」で触れております。これは学科の計算機分野会議で合意されています。
以上
【数理工学科】
科目:「解析数学第一」
(2 年次)
担当:桑江 一洋 教授
日時:11 月 19 日(火)2限目 教室:学習支援室
学生数:9 名
参観者:数理5名、他学科からの参加1名
授業内容について:
本科目の目標は,数学全分野の基礎となる「位相」の基本概念を習得することであり,今回の
講義内容は,
・
論法による関数の連続性(前回の続き)
・ Euclid 空間における開集合・閉集合の概念(1 回目)
であった.上記の内容に関して講義したのち,最後の 15 分程度をとって,小テストを行った.
感想など:
講義終了後,授業担当の桑江先生と参観者による反省会を行った.その場で出された感想・意
見等を以下に記す.
1.
黒板の字が大きくて読みやすくてよかった.
2.
他の先生が何をどのように教えているのか知っておく必要を改めて感じた.
3.
改めて自分の授業を振り返る機会になった.
4.
論法を説明する際に,製品の精度を保証するために部品の精度をあげる,という
ように説明していたのが印象的であった.
5.
Euclid 空間 Rn における開集合の例として,最初に Rn 全体や空集合が来るのは,開集合系
の定義からは自然であるが,開集合の概念を理解するうえでは適切ではないように思う.
また,開集合の例として B(x;r) を挙げていたが,つぎの例は B(a;r) の外部となってい
たため,文字の用法が統一されていないのは混乱を招くかもしれない.
(注:終了後の話し
合いで,例の提示順序および文字の用法は指定の教科書に従ったものであることがわかっ
た.)
(5)シラバスチェック
I. 概要
昨年度は全学の FD 委員会が主導で、10%の抽出調査が行われた。本年度からは,工学部 FD
委員会がこれを引き継ぎ、10%程度の抽出シラバスチェックを実施した。工学部としてシラバ
スの継続的チェックを行う体制を整えた。本来、統計的にシラバスの改善状況を確認すること
が目的であるが、項目チェックと同時に、ここのシラバスで特に気がついた点についてはコメ
ントとして残し、直接、各教員にコメントをフィードバックすることとした。チェックを行う
シラバスの抽出には、シラバスの整理番号の下一桁を選び、これに該当するものを対象とする
こととした。今後、毎年、異なる下一桁番号を選んでシラバスチェックを行っていくことで、
できるだけ多くのシラバスにチェックの目を広げていき、工学部としてシラバスの継続的改善
を行っていく体制を整えた。以下に,実施方法とそのシラバス抽出チェックの結果について考
察する。
II. 実施方法
以下の「工学部におけるシラバスチェック実施要領」
(平成 25 年 9 月 26 日工学部教授会
において承認、一部修正)に基づき,シラバスチェックを行った。
(趣旨)
第 1 条 この要領は、工学部において行うシラバスチェックの実施に関し必要な事項を定
める。
(実施体制)
第 2 条 シラバスチェックは、工学部授業教育改善・FD 委員会(以下「委員会」という。)
が行う。
(実施対象)
第 3 条 シラバスチェックの対象は、本学部のシラバスに掲載されているすべての学部授
業科目(本学部の責任コマとして開講する教養教育の授業科目を含む。以下同じ)のうちか
ら、内規のルールで、抽出した授業科目(約10%)とする。
(シラバスチェックの項目及び観点)
第 4 条 シラバスチェックは、次の各号に掲げる項目について、当該各号に定める観点か
ら行う。
(1) 授業形態
授業形態(講義、演習、実験・実習、実技など)が明示されているか。
(2) 授業の目標
イ) 学習の到達目標について、具体的に示されているか。
ロ) 学生を主体として書かれているか。
ハ) 文字数は、150 字程度を目安とする。
※(例)「○○について知り、説明できるようになる。
」「○○について学び、××について
考察することにより、△△できるようになる。」
(3) 授業内容
イ) 授業で取り上げる項目や重要な概念は明示されているか。
ロ) 15 回分の授業の内容やその相互の関連が示されているか。
ハ) 文字数は、300 字程度を目安とする。
※(注意)
「試験」は授業回数に含めない。
(4) キーワードは明示されているか。
(5) テキスト
イ) 使用するテキスト(書誌情報)あるいは資料等が明示されているか。
(6) 参考文献
イ) 授業内容などから必要な場合、参考文献(書誌情報)は明示されているか。
(7) 評価方法・基準
イ) 授業の(達成)目標や授業の内容を踏まえ、評価方法及びその割合が示されているか。
ロ) 評価基準は明示されているか。
※(例)
授業の目標や内容を踏まえた、小テスト、口頭発表、中間テスト・期末テスト、
学期末レポートなど、予定している評価方法および成績評価における割合(毎回の授業後
提出のコメントシート 20%、期末テスト 60%、学期末レポート 20%など)。なお、
「出席」
は、欠格条件とし(履修授業科目の全授業時間数の 3 分の 2 以上出席しなければ、当該授
業科目を履修したものと認めない)、いわゆる出席点は設けない。
(8) 履修上の指導(注意)
受講にあたって必要となる条件や前提となる知識・能力が明示されているか。
※(例)「本授業に関連する基礎的な知識を有すること」「○○(授業科目名)の単位を修得
済の者」
「この科目を履修するためには、事前に○○科目を履修することが必要である(望
ましい)。
」
(9) 事前学習
授業に臨むにあたって、予習など事前に必要なことが明示されているか。
(10) 事後学習 授業後の復習など事後に必要なことが明示されているか。
(評価値)
第 5 条 第 4 条各号の各項目に対する評価値は、記載内容が当該各号に定める観点への合
致の度合いに応じ、次のとおりとする。
(1) 基準に合致している
1
(2) 基準に合致していない
0
(分析)
第 6 条 第 4 条各号の各項目について、記載内容を精査して第 5 の評価値を与え、項目ご
とに別記様式に集計する。
2
前項の集計結果に基づき、工学部におけるシラバスの傾向及び課題を分析する。
(報告書の作成)
第 7 条 FD委員会委員長は、第 6 条の分析に基づき、所定のシラバスチェック実施報告
書を作成し、シラバスの課題等について教授会に報告する。
2
前項のシラバスチェック実施報告書は、所定の期日までに全学ファカルティ・ディ
ベロップメント委員会に提出するものとする。
(事務)
第8条 工学部におけるシラバスチェックの事務は、教育研究推進部自然科学系事務ユニ
ットにおいて処理する。
(雑則)
第9条 この要領に定めるもののほか、シラバスチェックの実施に関し必要な事項は、FD
委員会の議を経て、学部長が別に定める。
(内規)以下、内規から実施にあたっての要点を補足する。
・全シラバス(1522件)の10%(152件程度)を FD 委員が確認する。シラバス
の一覧表から、シラバスの抽出一覧表の1の位が所定のものを抽出することで、全シラバ
スの10%をチェックする。工学部 FD 委員で、手分けしてシラバスをチェックする。担
当シラバスは、所属学科に関係なく、無作為に設定する。
・コメント欄を設け、特に改善が必要と思われるものに関しては、改善を依頼するコメン
トを記入する。特に、修正を要するコメントの付いたものは、事務担当より、個別に授業
担当教員に連絡し、修正を依頼する。修正の確認は特に行わない。
III.
評価・集計及び分析
シラバスチェックの項目及び観点に基づき,サンプル抽出した調査対象科目を評価した。表
3−1 及び図3−1 に,平成24年度のデータと合わせて平成25年度の集計結果を示した。集
計は評価 1(合致する)のパーセンテージとしてまとめた。
平成24年度で問題であると指摘されていた点、授業内容「15 回分の授業内容・相互関連」
や評価方法・基準「評価基準の明示」が、平成25年度のシラバスでは大幅に改善されており、
FD 委員会から工学部教員へ強く依頼していたシラバス改善への取り組みがきちんとなされて
いることが確認された。まだ改善の余地は残っているものの、全体的に正しい方向でシラバス
の改善と充実が進んでいることが改めて確認された。チェック体制が、全学から工学部に移さ
れたことにより、より専門的な目で評価されたことで評価基準が厳しくなり、達成率が下がっ
た項目も多く見られた。しかし、これはチェックシステム自身の正当な進化であると考えられ、
来年以降も引き続きチェック継続していくことが重要とかんがえられる。
今回、全学ではなく学部単位でチェックを取る体制に移行したことを機会として、ただ統計
を取るためだけにシラバスチェックを行うのではなく、個別にコメントを直接教員に戻すシス
テムを工学部として独自に取り入れた。こうした取り組みが今後どのようにシラバスの改善・
充実につながっていくか注目していきたい。以下、個々の項目別に考察する。
表3−1.工学部シラバスチェック結果 (サンプル抽出数 = 134 科目)
合致%
H24
H25
1 授業形態
99.2
97.0
2 授業の目標「学習の到達目標」
96.7
92.5
3 授業の目標「学生を主体として」
95.0
80.6
4 授業の目標「文字数」
64.5
76.1
5 授業内容「項目や重要な概念」
100.0
79.1
6 授業内容「15 回分の授業内容・相互関連」
33.9
74.6
7 授業内容「文字数」
52.9
67.9
8 キーワード
75.2
94.8
9 テキスト「使用するテキスト、資料等」
90.9
93.3
10 参考文献「参考文献の明示」
88.4
85.1
11 評価方法・基準「評価方法及び割合」
76.0
87.3
12 評価方法・基準「評価基準の明示」
9.1
78.4
13 履修上の指導
95.0
82.8
14 事前学習
90.1
86.6
15 事後学習
95.0
88.1
1 授業形態
および
2 授業の目標「学習の到達目標」
これらの項目は、平成24年度の時点でほぼ達成されており、平成25年度のチェッ
15100.0
80.0
14
1
H24
2
H25
3
60.0
40.0
13
4
20.0
0.0
12
5
11
6
10
7
9
8
図 3-1.工学部シラバスチェック結果 (サンプル抽出数 = 134 科目)
ク
に
おいてもその点が確認された。平成25年度の方が若干数値が低めであるが、誤差範囲
であり、ほとんどのシラバスできちんと記述されていることが確認された。
3 授業の目標「学生を主体として」
平成24年度の適合率が95%であったものが、平成25年度は、80.6%に低下
していた。これはシラバスの記述レベルが下がったということではなく、工学部の教員
によってシラバスチェックが行われるようになり、全学で行った評価に比べ、専門的な
視点からより評価できるようになり、評価基準が厳しくなったせいであると考えられる。
今後、この点に注意して評価して行く必要がある。
4 授業の目標「文字数」
平成24年度の64.5%から、76.1%へ、著しく改善された。工学部 FD 委員
会の中で、文字数そのものよりも内容を重視すること、文字数が少なく記述に乏しいも
のは不適合とするが、字数の上限に関しては特に決めず、極端なものを除き、適合と判
断する旨、申し合わせを行った。このことも影響していることも考えられる。
5 授業内容「項目や重要な概念」
平成24年度の100%から、平成25年度は79.1%へ、低下が見られた。これ
は項目3と同様に、シラバスの記述レベルが下がったということではなく、工学部の教
員によって、より専門的な視点で評価するようになったことで、評価基準が厳しくなっ
たせいではないかと考えられる。
6 授業内容「15 回分の授業内容・相互関連」
平成24年度の33.9%から、74.6%へ、著しく改善された。昨年度、試験日
を15回分に数えていることから、不適合と指摘されているシラバスが多数見られた。
この点の改善を工学部内で、繰り返し周知徹底するよう努力したことで、このように大
幅に改善されたと考えられる。一方で、まだ4分の1程度のシラバスでは改善が必要で
あり、さらに工学部として引き続き努力が必要である。
7 授業内容「文字数」
項目4と同様に、平成24年度の52.9%から、67.9%へ、著しい改善が見ら
れた。前述のとおり、文字数そのものよりも内容を重視すること、文字数が少なく記述
に乏しいものは不適合とするが、字数の上限に関しては特に決めず、極端なものを除き、
適合と判断するとしたことが結果に反映していると考えられる。
8 キーワード
平成24年度の75.2%から、94.8%へ、著しく改善された。シラバスの充実
を工学部内で訴えてきた成果であると考えられる。
9 テキスト「使用するテキスト、資料等」
平成24,25年度とも、90%以上達成されており、問題なしと判断される。
10 参考文献「参考文献の明示」
平成24年度 88.4%、平成25年度 85.1%、比較的高い値を示している
が、テキストに比べると若干低く、改善の余地はまだあると考えられる。
11 評価方法・基準「評価方法及び割合」
平成24年度の76%から、87.6%へと、正常な改善が見られる。
12 評価方法・基準「評価基準の明示」
平成24年度の9.1%から、78.4%へ、極めて著しい改善が見られた。これは、
シラバスの充実化を工学部内で訴えてきたことの明らかな成果であると言える。来年度
以降、90%を超える達成率を目指して、さらに工学部内でのシラバスの重要性と改善
の取り組みを引き続き周知していきたい。
13 履修上の指導
平成24年度の適合率が95%であったものが、平成25年度は、82.8%に低下
した。これも、工学部の教員による専門的な視点からのシラバスチェックによって評価
基準が厳しくなったせいではないかと考えられる。
14 事前学習
および 15 事後学習
どちらも、95%前後の高い適合率である反面、若干平成25年度の方が、平成24
年度に比べ。数値が下がっていた。この理由も、工学部の教員による専門的な視点から
のシラバスチェックによって評価基準が厳しくなったせいではないかと考えられる。
シラバスチェック終了後の工学部 FD 委員会の会議において、シラバスチェックに関する意見交
換の場を持った。その際に、シラバスチェックで上げているチェック項目や用例をシラバス入力
画面で表示し、それを見ながら入力する形に変更することで、適合率の向上が見込めるはずであ
るというシラバス入力システム自身の改善を求める意見が出た。簡単な変更なので、是非、導入
を検討していきたいと考えている。
(6) 卒業生アンケートの集計結果
FD 委員会として、工学部の卒業生に関するア
ンケートを行った。この調査は、工学部を訪問さ
れた企業のリクルーター各位に対して図 1 に示
す用紙を配布し、無記名で提出頂いたものであ
る。用紙の配布は各学科就職担当教員を通じて
行われた。回収方法としては、自然科学系事務
部(工学系)教務係への FAX による提出、ないし
は各学科就職担当教員あるいは FD 委員に直接
の提出する形で行われた。
調査項目としては、回答者の特徴把握に関す
る設問、職場での過去 10 年間の本学卒業生の
評価に関する設問、教育面での工学部への要望、
の3つに分類される。卒業生の評価項目としては、
(1)教養知識、(2)専門知識、(3)コミュニケーション
能力、(4)社会性、(5)他大学卒業生との比較、(6)
意見や気づいた点についての自由記述、の6項
目からなる。(1)-(5)については 5 点満点で評価を
頂いた。
調査結果は表1の通りである。H25 年度につい
ては 48 件の回答があり、うち 46 件が本学の卒業
図1. 卒業生アンケートの調査用紙
生からの回答であった。年齢層では、20 歳台 24
件、30 歳台 18 件、40 歳台 3 件、50 歳台 1 件、不明 2 件であり、20−30歳台の回答者がほとんどであり、本調
査結果は企業で本学学生の採用担当者が比較的若い世代であること、ないしは調査に協力していただける
方々が若い世代であることがわかる。
ほとんどの回答者が工学部出身者であった。このため、本調査はいわゆる「身内」による回答になっているとい
う意味で偏りがある可能性がある。回答者の分布に偏りがあることから、この種のアンケートにご協力頂けるのは
工学部出身者に限られると思われるが、一方では本アンケートが本学出身者のみに回答を求めているように誤
解されていること、そもそも来訪するリクルーターが工学部出身者に強く偏っていることが原因であるかもしれな
い。様々な方々からの回答を得ることが望まれるのであれば、今後アンケート用紙の依頼部分の文章表現の工
夫、配布時の十分な説明が必要であろう。今回は回答者の分布に偏りがあることを前提に、調査結果を分析す
る。
回答者の勤務先は全員が民間企業の従業員であった。回答数 48 件に対して、過去 10 年以内の卒業生がい
ると回答したのは 37 件であり、11 件では該当する卒業生は雇用されていなかった。回答者の所属としてはニッ
セイコム株式会社様からの回答が 10 件と最大であり、次いで多いのは NS プラント設計株式会社様の 3 件、大
同メタル株式会社様 2 件、新日鐵住金エンジニアリング株式会社様 2 件、であり、その他の企業は 1 件ずつご
回答頂いた。
卒業生の資質については、教養知識についての評価は平均 3.7 点、専門知識については平均 3.9 点、コミュ
ニケーション能力については平均 4.1 点、社会性については平均 4.0 点、他大学との比較については平均 3.8
点であった。全体として平均点が 4 点(得点率 80%)近傍であるので、工学部卒業生への評価は比較的良好であ
ると思われる。4 点を基準として考えると、教養知識が若干欠如していること、他大学と比較して若干能力が劣る
との評価があるように思われるが、その程度は軽微であろう。コミュニケーション能力と社会性については、個人
の資質に依存する場合が多いと思われるが、平均的には各企業において十分な能力を発揮しているものと思
われる。自由記述欄の記述からはコミュニケーション能力が他大学学生よりも劣っているという評価と優れている
との評価の両方があるので、これは個人差が大きいものと思われる。語学力についても問題視する意見と良い
評価をする意見の両方があった。批判的な意見としては、「真面目」、「おとなしい」、「自己表現が苦手」などの
指摘もあった。
工学部への教育に対する意見としては、企業活動で役立つ実践的な教育が強く望まれる意見が多かった。例
えば、「即戦力育成のための座学、実践的カリキュラムが必要」との意見や「社会性やコミュニケーション能力を
育成する教育が必要」という向きの意見が多かった。
以上をまとめると、本調査は本学出身者による自己評価的な側面を有するものであり、その範囲内で工学部卒
業生は十分な評価を得ているものと思われる。卒業生の資質は当学部の教育について特段の問題があるような
指摘はなかったが、教育活動においては社会における実践的な能力を育成することを意識することが求められ
ているように思われる。
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