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米軍施設環境対策事業 報 告 書 (概 要 版)

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米軍施設環境対策事業 報 告 書 (概 要 版)
平成 26 年度
米軍施設環境対策事業
報
告
書
(概
要
版)
平成 27 年 2 月
沖
縄
0
県
目
次
第 1 章 業務概要 ...................................................................................................................................... 1
1.1 事業名 ............................................................................................................................................ 1
1.2 委託者 ............................................................................................................................................ 1
1.3 事業目的 ........................................................................................................................................ 1
1.4 履行期間 ........................................................................................................................................ 1
1.5 受託者 ............................................................................................................................................ 1
1.6 本業務の全体像............................................................................................................................. 1
第 2 章 「米軍施設内の環境問題に関連する政府間の主な取り決め及び環境関連法規」
に関する情報収集............ 4
2.1 調査目的 ........................................................................................................................................ 4
2.2 米軍基地に関連する米軍駐留国と米国間の主な政府間の取り決め等 ................................. 7
2.3 米軍駐留国における主な環境関連法規 ..................................................................................... 9
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集 ............................ 11
3.1 調査目的 ...................................................................................................................................... 11
3.2 調査対象 ...................................................................................................................................... 11
3.3 米国本国内米軍施設における環境問題とその対応状況 ....................................................... 12
3.4 在日米軍施設内における環境問題とその対応状況 ............................................................... 13
3.5 域外米軍施設(在日米軍施設を除く)における環境問題とその対応状況 ....................... 13
第 4 章 「日本国内の米軍施設外の環境問題とその対応状況」に関する情報収集 .................... 14
4.1 調査目的 ...................................................................................................................................... 14
4.2 調査対象 ...................................................................................................................................... 14
4.3 環境問題に係る日本国内の法令(米軍施設関連を除く) ................................................... 15
4.4 環境問題に対する対応事例 ....................................................................................................... 15
第 5 章 国内ヒアリング ........................................................................................................................ 16
5.1 調査目的 ...................................................................................................................................... 16
5.2 ヒアリング先............................................................................................................................... 16
5.3 ヒアリング結果........................................................................................................................... 16
第 6 章 海外調査 .................................................................................................................................... 18
6.1 調査目的 ...................................................................................................................................... 18
6.2 渡航先及び選定理由................................................................................................................... 18
6.3 行程及び訪問先........................................................................................................................... 19
6.4 海外調査結果............................................................................................................................... 20
第 7 章 ガイドライン及びカルテの考え方について ........................................................................ 21
7.1 ガイドライン及びカルテに求められる要素について ........................................................... 21
7.2 ガイドライン及びカルテのとりまとめの方向性について ................................................... 22
7.3 ガイドラインについて............................................................................................................... 23
7.4 カルテについて........................................................................................................................... 24
7.5 国内専門家及び基地内環境問題の実務担当者から助言・有用情報
並びに今後の検討観点 ........................... 25
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営 ............................................................ 30
8.1 検討委員会委員及び委員会での議事概要 ................................................................................ 30
8.2 第 1 回委員会
概要................................................................................................................... 31
8.3 第 2 回委員会
概要................................................................................................................... 33
8.4 第 3 回委員会
概要................................................................................................................... 34
第 9 章 収集資料のサンプルについて ................................................................................................ 36
9.1 ファイル収集リスト................................................................................................................... 36
第 1 章 事業概要
第 1章 業 務 概 要
1.1
事業名
平 成 26 年 度 米 軍 施 設 環 境 対 策 事 業
1.2
委託者
沖縄県環境部環境政策課基地環境特別対策室
1.3
事業目的
米軍施設に関する各種調査を行うとともに米軍施設における環境情報の構築を
図 り 、環 境 対 策 方 針 を 整 備 し な が ら 、国 と 連 携 し た 新 た な 環 境 保 全 の し く み 並 び に
米 軍 施 設 及 び そ の 周 辺 の 環 境 情 報 を ま と め た 環 境 カ ル テ を 作 成 す る た め 、こ れ ら に
関する様々な資料や情報を収集し、及び整理することを目的とする。
1.4
履行期間
自
平 成 26 年 7 月 23 日
至
平 成 27 年 2 月 27 日
(契約日
1.5
平 成 26 年 7 月 23 日 )
受託者
い で あ ( 株 )・ エ キ ス テ ィ ッ ク エ ピ セ ン タ ー ( 株 ) 共 同 企 業 体
1.6
本業務の全体像
本 業 務 の 実 施 方 針 を 表 1-1 に 、 フ ロ ー を 図 1-1 に 、 本 報 告 書 各 章 に お け る 調 査
項 目 及 び 調 査 目 的 を 表 1-3 に 示 す 。
表 1-1
本業務の実施方針
○業務全体について
・沖縄県として、確実な課題解決に向けた施策が講じられるよう、資料の収集整理・分析及び海
外調査・ヒアリングを行う。
・調査を実施するに当たって、適切な指導及び助言を得るために、検討委員会を設置する。
○環境情報の収集整理・分析について
・米軍施設に関する環境情報を海外及び国内で資料収集する。
・本業務を進める上でバックグラウンドとなる重要な日米政府間の政治的取決め状況や環境関連
法規等について整理する。
○海外調査ヒアリングについて
・基地環境問題に対する地元自治体等の対応事例を収集するため、海外視察調査を行う。
・米国環境行政機関等へのヒアリングのほか、米軍基地内の環境問題及び米国の環境行政に知見
のある国内有識者へのヒアリングを行う。
-1-
第 1 章 事業概要
計画打合せ
①バックグラウンド情報の収集・整理
⑧
・日本以外の米軍駐留国と米政府間の主な取り決め、合意、環境関連法規等
「第 2 章」
検
討
委
②環境情報の収集・整理 海外基地
③環境情報の収集・整理
国内基地
・環境問題の対応ガイドライン
・環境問題の対応ガイドライン
員
・環境問題の状況と対応事例 「第 3 章」
・環境問題の状況と対応事例 「第 3 章」
会
ギャップ把握
⑤情報の収集・整理
打
④環境情報の収集・整理
優先箇所
ち
国内その他
・米軍基地・跡地の使用履歴
・環境問題の対応ガイドライン
・基地及び周辺の自然環境等 「第 9 章」
・環境問題の状況と対応事例
合
わ
「第 4 章」
せ
「第 8 章」
⑥国内ヒアリング
「第 5 章」
⑦海外調査
「第 6 章」
H26 最終報告
「第 7・9 章」
アウトプット
アウトプット
・ガイドライン
・カルテ
図 1-1 実 施 方 針 の フ ロ ー
ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ の 位 置 づ け を 表 1-2 に 示 す 。
表 1-2
本事業におけるガイドライン及びカルテの位置づけ
米軍施設環境対策事業では、米軍施設に関する国と連携した新たな環境保全のし
くみ(以下「ガイドライン」という。)並びに米軍施設及びその周辺の環境情報
をまとめた環境カルテ(以下「カルテ」という。)を、平成 28 年度末を目処に策
定することを計画している。
-2-
第 1 章 事業概要
ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ 作 成 に 資 す る 基 本 情 報 を 表 1-3 の と お り 整 理 し た 。
表 1-3
各章における調査項目及び調査目的
章
第1章
事業概要
調査項目
調査目的(概要)
事業概要
米軍施設環境対策事業
の目的(ガイドライン
とカルテの作成)を踏
まえた報告書全体像の
明示。
第 2 章 「米軍施設内の環
境問題に関連する政府間
の取り決め等及び環境関
連法規」に関する情報収
集
・米軍駐留国と米国間の米軍基地に
係る主な政府間の取り決め
・米軍駐留国と米国間の環境に関す
る合意
・米軍駐留国における主な環境法規
米軍駐留国ごとに基地
環境問題への対応の背
景を整理。
第 3 章 「米軍施設内にお
ける環境問題とその対応
状況」に関する情報収集
・米国本国内米軍基地における環境
問題とその対応状況
・在日米軍基地における環境問題と
その対応状況
・域外 注 ) 米軍基地(在日米軍基地を
除く)における環境問題とその対
応状況
米軍駐留国ごとに基地
環境問題とその対応状
況を整理。
第 4 章 「日本国内の環境
関連法規等と対応事例」
に関する情報収集
・環境問題に係る日本国内の法規等
(米軍基地関連を除く)
・環境問題に対する対応事例
日本国内の環境関連法
令やガイドラインと環
境問題への対応事例を
整理。
第5章
国内ヒアリング
・有識者へのヒアリング
米軍基地内の環境問題
及び米国の環境行政に
知見のある有識者への
ヒアリング。
第6章
海外調査
・ハワイ調査
・北米調査
・ドイツ調査
関係機関へのヒアリン
グ及び基地跡地の現地
調査。
第 7 章 ガイドライン及び
カルテの考え方について
・ガイドライン作成の目的及び考え
方
・カルテ作成の目的及び考え方
本事業で作成するガイ
ドラインとカルテで整
理する内容を明示。
第 8 章 環境情報収集のた
めの検討委員会
・第 1 回委員会(H26.9.11)
・第 2 回委員会(H27.1.8)
・第 3 回委員会(H27.2.6)
有効な情報収集及び整
理について指導・助言
等を得る。
第 9 章 収集資料のサンプ
ルについて
・ガイドライン関連
・カルテ関連
収集資料のサンプルを
整理。
注)域外とは米国本国外を示す。
-3-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
第 2章 「米軍施設内の環境問題に関連する政府間の主な取り決め及び環境関連法
規」に関する情報収集
2.1 調 査 目 的
本 事 業 の 最 終 成 果 物 の 一 つ で あ る「 ガ イ ド ラ イ ン 」に つ い て は 、在 沖 米 軍 基 地 内
に お け る 環 境 問 題 に 対 す る 対 処 法 等 を 明 記 す る た め 、海 外 ・ 国 内 を 問 わ ず 米 軍 基 地
内 で 発 生 し た 環 境 問 題 に 対 す る 対 処 事 例 や 、基 地 に 関 す る 各 種 環 境 法 規 等 は 参 考 と
な る 。し か し な が ら 、そ れ ら の 情 報 の 取 り 扱 い に 際 し て は 、米 軍 駐 留 国 と 米 国 側 の
政 府 間 の 取 り 決 め 、そ れ ぞ れ の 国 家 に お け る 環 境 法 規 と い っ た バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の
違 い に よ り 、同 じ 米 軍 基 地 内 の 環 境 問 題 で あ っ て も 、そ の 対 応 が 国 に よ っ て 異 な る
可 能 性 が あ る 点 に 留 意 す る 必 要 が あ る 。 そ の た め 、 本 章 で は 、 表 2-1 に 示 す 調 査
項 目 を バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 情 報 と し て 、政 府 間 の 主 な 取 り 決 め 、合 意 及 び 環 境 法 規 に
ついて整理を行った。
表 2-1
本章における調査項目及びその目的
調査項目
調査目的(詳細)
米軍駐留国と米国間の米軍基地に
米軍駐留国と米国における主な取り決めや合意について、
係る主な政府間の主な取り決め
日本を中心に収集・整理し、日本及びその他米軍駐留国に
おける米軍基地内の環境問題対応の相違のバックグラウ
ンドを把握することを目的とする。
米軍駐留国における主な環境法規
米軍基地に関連する環境法規について、日本と米国を中心
に収集・整理し、米軍基地の環境問題に対する環境規制・
対応について把握すること目的とする。
2.1.1 米 軍 基 地 に 関 連 す る 米 軍 駐 留 国 と 米 国 間 の 政 府 間 の 主 な 取 り 決 め 等
ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ 作 成 に 向 け 、日 本 及 び 米 国 政 府 間 、韓 国 と 米 国 政 府 間 並
び に ド イ ツ と NATO( 北 大 西 洋 条 約 機 構 )間 の 主 な 取 り 決 め や 合 意 に つ い て 情 報 収 集
を行った。
な お 、 情 報 収 集 に お い て は 、 同 じ 種 類 の 環 境 問 題 で も 、 政 治 的 取 り 決 め 、基 地 に
関 連 す る 環 境 法 規 が 異 な る と 、環 境 問 題 へ の 対 応 が 異 な る と 推 察 さ れ る 。こ の 差 を
踏 ま え 環 境 情 報 を 解 析 し 、在 沖 米 軍 基 地 に お け る 適 切 な 環 境 問 題 へ の 対 応( ガ イ ド
ライン、カルテの作成)ができるように留意した。
-4-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
表 2-2
収集資料(米軍駐留国と米国間の米軍基地に係る政府間の主な取り決め)
米軍駐留国名 - 米国政府等
政府間の主な取り決め
日本-米国政府間
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく
施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地
位協定)
(1960 年(昭和 34 年)1 月 19 日)
1973 年日米合同委員会合意「環境に関する協力について」
日米合同委員会合意「合衆国の施設及び区域への立入許可手続」
(1996 年 12 月)
沖縄に関する特別行動委員会(SACO;Special Action Committee on
Okinawa)最終報告(1996 年(平成 8 年)12 月 2 日)
環境原則に関する共同発表
(2000 年 9 月 11 日)
共同文書「再編実施のための日米のロードマップ」の合意
(2006 年(平成 18 年)5 月 1 日)
沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画の公表
(2013 年(平成 25 年)4 月 5 日)
日米安全保障条約協議委員会共同発表「より力強い同盟と大きな責任の共有
に向けて」
(2013 年 10 月 3 日)
在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表
(2013 年(平成 25 年)12 月 25 日)
日米地位協定に関わる環境管理の分野における協力についての日米共同発表
(2014 年 10 月 20 日)
韓国-米国政府間
アメリカ合衆国と大韓民国との間の相互防衛条約第 4 条に基づく施設及び区
域並びに大韓民国における合衆国軍隊の地位に関する協定(韓米地位協定)
(1966 年 7 月 9 日署名、1967 年 2 月 9 日発効、2001 年 1 月 18 日改正)
アメリカ合衆国と大韓民国との間の相互防衛条約第 4 条に基づく施設及び区
域並びに大韓民国における合衆国軍隊の地位に関する協定の合意議事録
(1966 年 7 月 9 日署名、2001 年 1 月 18 日改正)
アメリカ合衆国と大韓民国との間の相互防衛条約第 4 条に基づく施設及び区
域並びに大韓民国における合衆国軍隊の地位に関する協定の合意議録に関す
る了解事項
(2001 年 1 月 18 日改正)
環境保護に関する特別了解覚書
(2001 年 1 月 18 日署名)
ドイツ-北大西洋
条約当事国(NATO)間
フィリピン-米国政府間
ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事国の地位に
関する協定を補足する協定(ドイツ駐留 NATO 軍地位補足協定:通称ボン補足
協定)
(1959 年 8 月 3 日締結、1981 年 5 月 18 日改定、1993 年 3 月 18
日改定)
米比防衛相互強化協定
(2014 年 4 月 28 日)
-5-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
2.1.2 米 軍 駐 留 国 に お け る 主 な 環 境 関 連 法 規
各 国 に お け る 環 境 問 題 に 対 す る 考 え 方 を 整 理 す る た め に 、環 境 関 連 法 規 に つ い て
概 要 を 整 理 し 、 表 2-3 に 記 す 。
表 2-3
在米軍基地国名
日本
収集資料(米軍駐留国における主な環境関連法規)
適用
環境関連法規
米軍基地
沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用
の推進に関する特別措置法(2012)
米国
○
公衆衛生事業法(1944)
Public Health Service Act
○
○
○
水質汚染防止法(1972)
Clean Water Act
○
○
○
安全飲料水法(1974)
Safe Drinking Water Act
○
○
○
有害物質規制法(1976)
Toxic Substances Control Act
○
○
○
資源保護回復法(1976)
Resource Conservation and Recovery Act
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
改正・大気汚染防止法(1990)
Clean Air Act
1990年軍事基地整理縮小・閉鎖法(1990)
Defence Base Closure and Realignment Act of 1990
ドイツ
韓国
一般環境
○
日本環境管理基準(2012)※1
Japan Environmental Governing Standards
包括的環境対処補償責任法(1980)
Comprehensive Environmental Response, Compensation,
and Liability Act
スーパー・ファンド法修正・再授権法(1986)
Superfund Amendments and Reauthorization Act of 1986
域外
(米国本国以外)
米軍基地跡地
国防省指示書4715.07 国防環境修復計画(2013)※2
Department of Defence Instruction 4715.07 Defense
Environmental Restoration Program (DERP)
大統領令12114
環境に重大な影響を与える主要な活動(1979)
Exective Order 12114 Environmental effects abroad of
major federal actions
国防省通達4715.05-G海外環境基本指針文書(2007)
Department of Defence4715.05-GOVERSEAS
ENVIRONMENTAL BASELINE GUIDANCE
DOCUMENT(OEBGD)
国防総省指示書4715.08※3 域外の環境汚染修復(2013)
Department of Defence Instruction 4715.08
Remediation of Environmental Contamination Outside
the United States
国防総省指示書4715.05※4 域外施設の環境遵守(2013)
Department of Defence Instruction4715.05Environmental
Compliance at Installations Outside the United States
連邦土壌保全法(1998)
Gesetz zum Schutz vor schädlichen Bodenveränderungen
und zur Sanierung von Altlasten
ドイツ最終管理基準
Final governing standaeds Germany(GFGS)
韓国環境管理基準
Envionmental governing standards
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
※1 日本環境管理基準(2012)から地方自治体の上乗せ排水基準が反映されている。
※2 国防総省指示書4715.7 環境修復計画(1996)「Environmental Restoration Program」を更新
※3 国防総省指示書4715.8 国防総省の域外活動に関する環境修復(1998)「Environmental Remediation for DoD
※4 国防総省指示書4715.5 域外施設における環境遵守管理(1996)「Management of Environmental Compliance
at Overseas Installations 」を更新
-6-
○
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
2.2 米 軍 基 地 に 関 連 す る 米 軍 駐 留 国 と 米 国 間 の 主 な 政 府 間 の 取 り 決 め 等
政 府 間 の 主 な 取 り 決 め に つ い て は 、 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 に 資 す る よ う 、 図 2-1 に
示す観点から整理を行った。
【政府間の取り決めに係る整理の観点】
【平成26 年度成果物】
【ガイドラインに求められる要素】
・正式名称、背景及び目的等
米軍駐留国ごとに
イ.返還予定地及び返還跡地で発覚し
・環境問題に対する対応・手続き
異なる基地環境問
た環境問題への対処法について
・環境問題に対する各主体の責務・役割
題への対処の背景
ウ.米軍活動から派生する環境問題へ
の対処法について
・立入に関する規定
エ.返還予定及び返還跡地における環
境調査について
注)ガイドラインに求められる要素については、第 7 章に示す。
図 2-1
政府間の取り決めに係る整理の観点とガイドラインとの関係
2.2.1 米 国 域 外 米 軍 施 設 に 対 す る 環 境 管 理 の 比 較 分 析
米 国 域 外 に お け る 米 軍 施 設 で は 、域 外 米 軍 が 作 成 し た 基 準 に 従 っ て 環 境 保 護 と 安
全 の た め の 取 り 組 み が 行 わ れ て い る 。こ こ で は 、米 軍 施 設 が 置 か れ て い る 日 本 、韓
国 、ド イ ツ の 3 国 に つ い て 、そ れ ぞ れ の 米 軍 施 設 に お け る 環 境 保 全 の 取 り 組 み に つ
いて比較することで在日米軍との類似点と相違点を整理した。
(1) 最終管理基準(FGS)の概要
米 国 防 省 で は 、 米 国 域 外 の 軍 事 施 設 の 環 境 管 理 の 基 本 指 針 と し て 、 1992 年 に
域 外 環 境 基 本 指 針 文 書 ( Overseas Environmental Baseline Guidance Document
以下、
「 OEBGD」と す る 。)を 作 成 し て い る 。各 国 に 駐 留 す る 米 軍 の 環 境 執 行 官 は 、
OEBGD と 接 受 国 の 環 境 に 関 す る 基 準 と 比 較 し て 、 よ り 厳 し い 基 準 を 反 映 さ せ て 、
最 終 管 理 基 準 ( FGS) を 作 成 し な け れ ば な ら な い と さ れ て い る 。
在 日 米 軍 が 作 成 す る FGS が 日 本 環 境 管 理 基 準 ( JEGS : Japan Environmental
Governing Standards) で あ り 、 同 様 に 韓 国 で は EGS( Environmental Governing
Standards)、 ド イ ツ で は GFGS( German Final Governing Standards) と 呼 ば れ
る FGS が 作 成 さ れ て い る 。
FGS に は 汚 染 に 関 す る 項 目 以 外 に 歴 史 的・文 化 的 遺 産 や 自 然 資 源 及 び 絶 滅 危 惧
種 に つ い て も 記 載 が あ る が 、騒 音 、悪 臭 、土 壌 汚 染 等 の 問 題 は 含 ま れ て い な い 。
な お 、「 環 境 騒 音 」 に つ い て は 、 2000 年 3 月 の OEBGD か ら 削 除 さ れ た の に 伴 い 、
日 本 と 韓 国 の FGS で は 削 除 さ れ て い る 。 ま た 、 表 中 の 空 白 の 欄 に は 当 初 、「 ラ ド
-7-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
ン」に関する記載があったが、3 国で同様に削除されている。
FGS は 域 外 米 軍 施 設 の 最 も 重 要 な 環 境 に 関 す る 規 定 と し て 扱 わ れ る が 、あ く ま
で内部規定であり、その運用実態は明らかではない。また、定められているの
は基準であり、届出、立入調査、改善勧告等の行政手続は含まれていない。
以 下 、 3 国 の FGS の 概 要 を 述 べ る 。 な お 、 JEGS、 EGS 及 び GFGS は 何 れ も 英 語
版を正文とし、本訳の用語が必ずしも各国の法律や商習慣における同用語と一
致するものではない。
① 日 本 環 境 管 理 基 準 ( JEGS)
JEGS は 1995 年 に 策 定 さ れ 、こ れ ま で 9 回 更 新 さ れ て い る 。 2001 年 8 月 に は 、
日 米 合 同 委 員 会 に 設 置 さ れ た 環 境 分 科 委 員 会 の 下 に JEGS 作 業 部 会 が 設 け ら れ 、
JEGS 見 直 し に 関 す る 日 米 間 の 協 力 強 化 が 図 ら れ 、 通 常 2 年 ご と に 更 新 さ れ る 。
JEGS は 、 2001 年 10 月 の 改 訂 の 際 、「 環 境 騒 音 」、「 ラ ド ン 」、「 海 外 に お け る 環 境
へ の 影 響 」の 章 が 削 除 さ れ 、
「 海 外 に お け る 環 境 へ の 影 響 」が 掲 載 さ れ て い た 17
章 は 、現 在 、
「 鉛 ベ ー ス 塗 料 」が 記 載 さ れ て い る 。削 除 の 理 由 は 、上 位 基 準 の OEBGD
からこれらの章が削除されたことによるとされている。
② ド イ ツ 最 終 管 理 基 準 ( GFGS)
ド イ ツ は 共 和 国 で あ る こ と か ら 、 GFGS は 国 防 省 施 設 ・ 部 隊 の あ る 国 内 各 州 の
基 準 に 従 っ て 環 境 規 格 ・ 基 準 を 定 め て い る 。 ド イ ツ 国 の 規 則 に 加 え 、 NATO の 環
境方針にも準じたものでなければならない。
GFGS は 、 2009 年 に 8 章 の 「 医 療 廃 棄 物 管 理 」 と 15 章 の 「 ア ス ベ ス ト 」 が 更
新されている。
③ 韓 国 の 環 境 管 理 基 準 ( EGS)
韓国では、日本と同様に、国防省施設・部隊の所在地に関係なく、接受国に
よる単一の環境規格・基準、暴露及び許容レベルが設定されている。
韓 国 の EGS に は 、2001 年 1 月 18 日 に 署 名 し た 環 境 保 護 に 関 す る 特 別 了 解 覚 書
( Memorandum of Special Understandings in Environmental Protection ) と
そ の 後 の 改 定 に 伴 っ て 根 本 的 な 変 更 が 見 ら れ る 。 覚 書 の 前 も 後 も 、 韓 国 の FGS
には期限を定めた要件の変更が行われてきたが、覚書後の改定において定めら
れた要件及び基準は極めて厳しいものとなっている。
-8-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
2.3 米 軍 駐 留 国 に お け る 主 な 環 境 関 連 法 規
2.3.1 日 本
(1) 跡地利用推進法について
日 本 国 内 に お け る 米 軍 基 地 に か か る 関 連 法 規 と し て 、日 米 地 位 協 定 第 25 条 に
規定する合同委員会において返還が合意された駐留軍用地跡地(=米軍基地跡
地)を対象とした「沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推
進 に 関 す る 特 別 措 置 法 」( 以 下 、「 跡 地 利 用 推 進 法 」 と い う 。) が あ る 。 な お 、 当
該法律内で引用のある、土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、ダイオキシン類対
策特別措置法については、別途「第 4 章日本国内の米軍施設外の環境問題とそ
の対応状況」にて整理を行った。
2.3.2 米 国 本 国
(1) 米合衆国本土における環境関連法規及び環境へ取り組みの歴史的推移
米合衆国において環境に関連する規則、取り決めは、歴史をたどると慣習法
の時代に遡り、州や地域によって数多く存在する。近代においては魚類、野生
動物の保護や、森林保護などが主であり、初めて連邦政府の法律として制定さ
れ た の は 1899 年 の 河 川 及 び 港 湾 法 ( 仮 訳 ) で あ っ た 。
そ の 後 、 1963 年 に 制 定 さ れ た Clean Air Act( 大 気 浄 化 法 ) や 、 1965 年 制 定
の Solid Waste Disposal Act( 固 形 廃 棄 物 処 理 法 )、 続 い て 1972 年 制 定 の Clean
Water Act( 水 質 浄 化 法 ) な ど 、 産 業 や 工 業 の 発 展 に よ り 人 間 の 創 り 出 す 化 学 物
質や廃棄物などの環境汚染が深刻になりつつある中で、特に環境に関する関心
が 高 ま り 、1960 年 代 終 わ り か ら 1970 年 代 に か け て 、様 々 な 法 改 正 、環 境 関 連 の
法整備がなされるようになった。
(2) 米国以外の米連邦政府施設から発する環境問題への対応について
米国の環境法令は、特に明文化されていない限り、総じて海外においては適
用されない。
例 を 挙 げ る と 、 Asbestos School Hazard Abatement of 1984 ( ア ス ベ ス ト 学
校有害物排除法)では、各州及び教育機関・学校が、その児童・生徒や教師、
従業員の健康を守るため、施設内に存在するアスベスト物質の危険性を確認・
特 定 ・ 排 除 で き る よ う に 、EPA が 、各 州 及 び 教 育 機 関 に 科 学 的 技 術 的 経 済 的 な 支
援を行うことを目的とする法律を定めた。
こ の 法 律 は 、海 外 の 国 防 総 省 学 校 を 含 む い か な る 学 校 に お い て も 適 用 さ れ る 。
こ の よ う に 、法 律 に 規 定 の な い 米 国 外 に お け る 環 境 関 連 の 取 り 扱 い に つ い て 、
特に世界各国に展開する国防総省施設における環境遵守の取り決め事は、接受
-9-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
国との間における条約や合意、また国防総省の政策方針により、米国基準とそ
れ ぞ れ の 接 受 国 の 基 準 と の 調 整 が 行 わ れ 、 Final Governing Standard ( 環 境 管
理基準)を設定し、数年ごとに見直し、改定がなされるよう定められている。
2.3.3 ド イ ツ
(1) 連邦土壌保護法
連 邦 土 壌 保 護 法 は 、「 土 壌 の 機 能 を 持 続 的 に 確 保 し 、 あ る い は 回 復 す る こ と 」
を目的に、土壌汚染対策全般の枠組みを定め、同法の政令である土壌保護・汚
染サイト令は、法の補足、基準値及び調査方法等を定めている。
連邦土壌保護法は汚染サイト一般を対象にした法律であり、第 3 条で列挙さ
れた他の法令が土壌への影響を規制しない限りにおいて適用される。これは、
土壌環境保全において、先に制定されていた連邦イミシオン防止法注や、水管
理法等の複数の法令で対応しきれなかった部分を、総括的に法制度として統合
するために連邦土壌保護法が制定されたためである。このため、ドイツの土壌
環境保護制度では、連邦イミシオン防止法や建築法等といった他の法令による
土壌汚染調査や、浄化の義務が発生する。
-10-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
第 3章 「 米 軍 施 設 内 に お け る 環 境 問 題 と そ の 対 応 状 況 」に 関 す る 情 報 収 集
3.1 調 査 目 的
在 沖 米 軍 施 設 内 に お け る 環 境 問 題 へ の 対 応 方 法 等 を 検 討 す る た め 、第 2 章 で 整 理
し た バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 異 な る 、日 本 、米 国 本 国 、並 び に 域 外 の 米 軍 施 設 に お け る
環 境 問 題 の 実 態 と そ の 対 応 状 況 に つ い て 整 理 し た 。 表 3-1 に 整 理 し た 調 査 項 目 を
示す。
表 3-1
本章における調査項目及びその目的
調査項目
調査目的(詳細)
米国本国内米軍施設における環
米国本国内の米軍施設内の環境問題及びその対応状況の
境問題とその対応状況
実態について把握し、在日米軍基地における環境問題の相
違を把握することを目的とする。
在日米軍施設内における環境問
在日米軍施設内の環境問題及びその対応状況について実
題とその対応状況
態を把握することを目的とする。
域外米軍施設(在日米軍施設を
域外米軍基施設の環境問題及びその対応状況の実態につ
除く)における環境問題とその
いて把握し、在日米軍施設における環境問題の相違を把握
対応状況
することを目的とする。
3.2 調 査 対 象
返還予定地等で発覚した環境問題の対応状況や事故発生時の対応状況について
事 例 を 収 集 す る 。特 に 、ガ イ ド ラ イ ン で は 在 沖 米 軍 基 地 内 に お け る 環 境 問 題 の 可 能
性 を 推 察 で き る よ う に 、事 例 の 整 理 に あ た っ て は 、汚 染 物 質 の 種 類 、環 境 問 題 の 発
生形態、汚染場所を把握した。
本章での
整理内容
事例
汚染物質の種類
環境汚染の発生形態
どのような物質が
どのような時に
汚染場所
どこを汚染した。
ガイドライン
汚染物質の種類
場所の利用形態
汚染可能性推察
利用形態推察
場所
在沖米軍基地
図 3-1
本章での整理内容とガイドラインでの取扱いの関係
-11-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
表 3-2
米軍施設に係る環境問題の整理イメージ
汚染場所
環境問題の発生形態
汚染物質の種類
有害廃棄物集積場所
有害廃棄物集積場所でのトラン
PCB
事故発生場所
ス・コンデンサからの漏出
トランス・コンデンサ中の絶縁
トランス・コンデンサの有害廃棄
材もしくは冷却材として使用
物集積場所への移動中の漏出
軍用機保管場所
航空機用防食表面処理時
六価クロム
防食表面処理塗布剤の成分
射撃訓練場、演習所、射爆場
射撃訓練時
鉛
弾薬に含有
地下埋設タンク老朽箇所
地下埋設タンクからの油漏出
油
燃料補給箇所
燃料補給時における漏出
地下埋設タンク
墜落事故発生個所
航空機の墜落事故時における漏出
ジェットエンジン燃料
建築物
建築物からの飛散
アスベスト
山林等
建築物解体時に発生
建築物への吹付材の成分
裸地面の造成・維持
赤土
注)今後の調査により適宜追加・修正する。
3.3 米 国 本 国 内 米 軍 施 設 に お け る 環 境 問 題 と そ の 対 応 状 況
3.3.1 収 集 対 象 と し た 資 料
収 集 の 対 象 と し た 資 料 は 表 3-3 に 示 す 資 料 で あ る 。
表 3-3
収集対象とした資料(米国本国内米軍施設)
収集資料の種類・名称
公文書等
概要
ROD(Record of Decision)
【CERCLA】汚染場所の汚染状況、浄化手法について
記載した書類
EA(Environmental Assessment) 【NEPA 等】事業計画に対する環境影響評価
及び EIS(Environmental Impact
Statement)
ECP レ ポ ー ト ( Environmental
【BRAC】移管予定の資産に関する環境情報を記載し
Condition of Property Report)
その他汚染状況の報告、浄化目的
た書類
その他、ガイドライン作成に有用と考えられる書類
で作成された資料
研究論文
汚染状況について研究論文
同上
-12-
第 3 章 「米軍施設内における環境問題とその対応状況」に関する情報収集
3.4 在 日 米 軍 施 設 内 に お け る 環 境 問 題 と そ の 対 応 状 況
3.4.1 収 集 対 象 と し た 資 料
在日米軍基地内の環境問題の状況に関する収集資料を下記に示す。
な お 、整 理 に あ た っ て は 、今 後 、資 料 収 集 方 針 を 検 討 す る た め に 、当 該 資 料 の 特
徴を把握することを目的とした。
表 3-4
収集対象とした資料(在日本国内米軍施設)
収集資料の種類・名称
公文書等
概要
日本国政府・沖縄県庁作成の文書
在沖米軍基地内における施設利用の変遷及び事故の
状況を把握する。
研究論文
DE 作成の文書
在沖米軍基地内における土地利用状況を把握する。
USCAR 文書
在沖米軍基地内における土地利用状況を把握する。
汚染状況について研究論文
在沖米軍基地内の環境問題状況等を把握する。
注)DE(District Engineer の略称)は米陸軍沖縄地区工兵隊を指す。米軍統治下において、米軍の基地建設や道
路工事などの監督を行っていた。
3.5 域 外 米 軍 施 設 ( 在 日 米 軍 施 設 を 除 く ) に お け る 環 境 問 題 と そ の 対 応 状 況
3.5.1 収 集 対 象 と し た 資 料
収 集 の 対 象 と し た 資 料 は 表 3-5 に 示 す 資 料 で あ る 。
表 3-5
収集対象とした資料(域外米軍施設)
収集資料の種類・名称
研究論文
環境問題に関する研究論文
概要
域外の米軍基地に関する環境問題の情報について情報を
収集した。
-13-
第5章
国内ヒアリング
第 4章 「 日 本 国 内 の 米 軍 施 設 外 の 環 境 問 題 と そ の 対 応 状 況 」に 関 す る 情 報
収集
4.1 調 査 目 的
本 事 業 の 目 的 は 、「 ガ イ ド ラ イ ン 」 と 「 カ ル テ 」 を 作 成 す る こ と で あ る 。 特 に ガ
イ ド ラ イ ン に つ い て は 、環 境 問 題 に 対 す る 対 応 方 法 を 明 記 す る た め 、米 軍 基 地 関 連
の 汚 染 で な く と も 、環 境 問 題 に 対 す る 日 本 国 内 に お け る 考 え 方 と し て 環 境 法 規 の 整
理及び日本国内における環境問題に対する対応事例は、参考になると考えられる。
そ の た め 、 表 4-1 に 示 す 日 本 国 内 に お け る 環 境 法 規 に 関 す る 各 種 環 境 関 連 法 規 及
び環境問題並びにその対応状況について整理した。
表 4-1
本章における調査項目及びその目的
調査項目
調査目的
環 境 問 題 に係 る 日 本 国内 の 法 令
米軍施設以外の環境問題に対応する環境法規の一部を収集整理
(米軍施設関連を除く)
環境問題に対する対応事例
米軍施設以外の環境問題の事例とその対応例について収集整理
注)米軍基地関連に関する日本国内の法令は第 2 章米軍施設内の環境問題に関連する政府間の取り決
め及び環境法規に記載。
4.2 調 査 対 象
日本国内の米軍施設以外の場所において発覚した環境問題の対応状況や、法令、
ガ イ ド ラ イ ン 、マ ニ ュ ア ル 等 を 収 集 ・ 整 理 す る 。一 部 の 法 律 、条 例 の 中 の 基 準 値 と
JEGS と の 比 較 を 行 い 、 基 地 に 由 来 す る 環 境 問 題 の 調 査 の 参 考 と す る 。
表 4-2
検討対象とする法令等の例
法令等名称
法律
・土壌汚染対策法
・労働安全衛生法 石綿障害予防規則
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・水質汚濁防止法
・ダイオキシン類対策特別措置法
・大気汚染防止法
沖縄県条例
・沖縄県生活環境保全条例
・水質汚濁防止法第 3 条第 3 項の規定に基づき排水基準を定める条例
(上乗せ排水基準)
その他指針等
・土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第 2 版)
・油汚染対策ガイドライン
・埋設農薬調査・掘削等マニュアル
・射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドライン
-14-
第5章
国内ヒアリング
また、基地以外の工場等において発覚した環境問題の対応状況について整理し
た。
表 4-3
米軍施設以外の環境問題の事例
調査対象
調査目的(詳細)
茨城県神栖町(現:神栖市) 汚染が発覚した際の、汚染に対する対応(汚染除去、対象法令、
における有機ヒ素化合物に
周辺住民への情報公開)について、実際の事例を収集整理
よる地下水の汚染について
4.3 環 境 問 題 に 係 る 日 本 国 内 の 法 令 ( 米 軍 施 設 関 連 を 除 く )
環 境 問 題 に 係 る 日 本 国 内 の 法 令 に つ い て は 、ガ イ ド ラ イ ン 作 成 に 資 す る よ う 、図
4-1 に 示 す 観 点 か ら 整 理 を 行 っ た 。
【環境関連法規の整理事項】
【平成26 年度成果物】
【ガイドラインに求められる要素】
・正式名称、背景及び目的等
・環境汚染時の対応
イ.返還予定地及び返還跡地で
・環境汚染発覚時の対応
発覚した環境問題への対処法
・浄化の程度を検討する際に参考となる基準
について
ウ.米軍活動から派生する環境
・環境汚染に対する各主体の責務・役割
問題への対処法について
・手続きを進めるための立入に関する規定
エ.返還予定及び返還跡地にお
・必要な環境調査
ける環境調査について
注)ガイドラインに求められる要素については、第7 章に示す。
図 4-1
環境法規の整理事項
4.4 環 境 問 題 に 対 す る 対 応 事 例
茨 城 県 神 栖 町( 現 : 神 栖 市 )に お け る 有 機 ヒ 素 化 合 物 に よ る 地 下 水 の 汚 染 に つ い
て、その概要をとりまとめた。
-15-
第5章
国内ヒアリング
第 5章 国 内 ヒ ア リ ン グ
5.1 調 査 目 的
返 還 予 定 地 及 び 返 還 跡 地 で 発 覚 し た 環 境 問 題 の 対 応 状 況 等 に つ い て 、有 識 者 か ら
情報を得ることを目的としてヒアリングを行った。
5.2 ヒ ア リ ン グ 先
米 軍 基 地 に 係 る 環 境 問 題 に 係 る 学 識 経 験 者 を 対 象 と し た 。た だ し 、本 事 業 で 設 置
している委員会の委員は除く。
表 5-1
ヒアリング対象者の専門分野
No.
専門分野
1
米軍基地環境プログラムに関する専門家
2
アジア太平洋地域安全保障問題、及び情報公開法に関する専門家
3
行政法、環境法に関する専門家
4
環境法に関する専門家
5
環境経済学、環境政策論に関する専門家
5.3 ヒ ア リ ン グ 結 果
今 後 、ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ を 作 成 す る に 際 し て 、国 内 調 査 に お い て 専 門 家 か
らの助言を踏まえた今後の検討観点を以下のとおり整理した。
表 5-2 専門家からの助言もしくは有用情報を踏まえた今後の検討観点
ヒアリ
ヒアリング対象者
ング日
(専門分野等)
9/22
米 軍 基 地 環境 プ ロ グ ラ
ムに関する専門家
専門家の助言・有用情報
今後の検討観点
・牧港補給地区には
(在沖米軍施設内で想定される事例から
DRMO があることに
みた環境問題について)
留意し、ガイドラ
・一般廃棄物は、DRMO(Defense
イン・カルテの作
Reutilization and Marketing Office)
成を行う。必要が
で処分したり販売したりする。また、そ
ある。
れとは別で業者に買い取ってもらった
りする。この買い取られた廃棄物は、業 ・ドラム缶による埋立
廃棄については、
者が好きなように処理を行っていいこ
腐食による内容物
とになっている。危険物の場合は確実に
流出の可能性にも
管理され処理される。このための担当部
留意して、ガイド
署も存在する。
ライン・カルテの
作成を行う必要が
・RCRA(Resource Conservation and
ある。
Recovery Act;資源保護回復法)が効果
を発揮する 1980 年以前は、廃棄物をド
ラム缶に収容して埋立てることが普通
であったため、この時期以前は注意すべ
-16-
第5章
ヒアリ
ング日
10/20
12/18
1/30
1/30
ヒアリング対象者
(専門分野等)
専門家の助言・有用情報
国内ヒアリング
今後の検討観点
きである。特に窪地などに廃棄するのが
常であったので要注意である。
・情報公開法による情
ア ジ ア 太 平洋 地 域 安 全 (情報の収集方法について)
報収集について
保障問題、及び情報公開 ・米国情報公開法に基づく情報公開請
は、時間を要する
法に関する専門家
求を行う場合には、米軍側が回答し
ため、別の手法も
やすいように文章名称・発行年度等
含め検討する必要
を明確に示したリクエスト文を作成
がある。
し、基地ごとに提出する必要がある。
(情報公開の窓口は現地事務所)
・返答までの時間は半年程度の場合も
あるが、数年かかる場合もある。
・個別基地は窓口がはっきりしないの
で、電子メールでのやりとりが困難
である。
・情報担当官は人員削減されており、
対応には時間がかかるかもしれな
い。
行政法、環境法に関する ・ ア メ リ カ は リ ス ク ベ ー ス で 除 染 の 基 ・どの程度浄化するか
専門家
準を設定するが、日本は一律基準で
については、慎重
除染する必要があるため高額となり
に検討する必要が
得る。
ある。
・売買契約締結後にフッ素含有土壌や
油汚染が含まれていたことに対し
て、売主の瑕疵担保責任に関する裁
判が行われたことがある。
環境法に関する専門家
・日本の土壌汚染対策法では、井戸水を飲 ・汚染土壌の搬出先に
ついても認識する
料水として使用しているかが重要なポ
必要がある。
イントとなる。
・スーパーファンド法の制定契機となった
ラブキャナル事件では、有害化学物質を
詰め投棄されたドラム缶が腐食し、内容
物が流出し事件へと発展した。
・可能な限り浄化する必要はあるが、どこ
で折り合いをつけるかが課題である。ま
た、汚染土壌の搬出先も問題となる。
環境経済学、環境政策論
に関する専門家
・韓国ではキャンプ・キャロルの事例が深 ・牧港補給地区には
刻である。ここは DRMO の施設であった
DRMO があることに
が、非常に高い汚染が発見され、放置さ
留意する必要があ
れていた。
る。
・ドイツでは、米国の汚染管理システムを ・米国の汚染管理のシ
参考にしている。
ステムを参考する
かを検討する必要
がある。
注)ヒアリングは 2014 年度に実施。
-17-
第6章
海外調査
第 6章 海 外 調 査
6.1 調 査 目 的
国 外 に お け る 米 軍 基 地 由 来 の 環 境 問 題 や 、基 地 返 還 予 定 地 及 び 返 還 跡 地 に お け る
環 境 問 題 に 関 す る 実 態 や 制 度 等 に 関 す る 情 報 に つ い て 調 査 ・収 集 す る こ と を 目 的 と
して、海外調査を実施した。
6.2 渡 航 先 及 び 選 定 理 由
米国及びドイツへの渡航理由は以下のとおりである。
表 6-1 海 外 調 査 の 渡 航 先 及 び 選 定 理 由
渡航先
米国
ハワイ州
渡航先の選定理由
・米軍の四軍が常駐している。
・島嶼地域でかつ観光地である他、独特な歴史、文化を有
し、沖縄県と比較対照出来る。
・全米の中でも環境への取組において先進地の一つである。
コロラド州
・かつてローリー空軍基地が所在し、その跡地再開発が成
功している。
マサチューセッツ州
・米軍基地跡地の浄化に際して、油等、独自の基準設定を
行っている。
・全米の中でも環境への取組において先進地の一つである。
ワシントン DC
・米国環境保護庁が所在している。
・隣接したメリーランド州には NARA(米国立公文書館)の
ArchivesII が所在している。
ドイツ
・ボン補足協定が締結されており、駐留軍施設内において
もドイツ法令が適用されているとのことだが、同協定の
運用実態が不明であるため。
-18-
第6章
海外調査
6.3 行 程 及 び 訪 問 先
渡 航 行 程 及 び 訪 問 先 の 概 要 を 表 6-2 に 示 す 。
表 6-2
行程及び訪問先【概要】
渡航先/出張期間
米国ハワイ州
訪問先
8/25,26
ハワイ州政府
2014 年 8 月 25 日(月)
8/26
米軍基地跡地の現地踏査
~2014 年 8 月 29 日(金)
8/27
東西センター、米国浄化事業者、米国コンサルタント
米国本国
2014 年 11 月 16 日(日)
11/17
コロラド州政府・米国環境保護庁第 8 管区
11/17
米国コンサルタント
~2014 年 11 月 23 日(日) 11/18
ローリー空軍基地跡地
11/19
マサチューセッツ州政府
11/20
米国環境保護庁
11/20,21
ドイツ
現地踏査
米国立公文書館 ArchivesII
12/1
BICC(Bonn International Center for Conversion)
2014 年 11 月 30 日(日)
12/2
BImA(Bundesanstalt für Immobilienaufgaben)
~2014 年 12 月 7 日(日)
12/3
ErLensse 空 軍 基 地 跡 地 、 Hanau 基 地 跡 地 、 Lawboy
(Hanau)現地踏査
12/4
BUND
12/4
環境市街区再開発バーンシュタットプロジェクト及び
元鉄道操車場
12/5
現地踏査
カールスルーエ市内米軍基地跡地
現地踏査
注 1)BICC;ボン国際軍民転換センター。国連提案により BICC 設立。平和研究を行う国際機関。
注 2)BImA;ドイツ連邦不動産管理機協会。・BImA は連邦政府所有不動産を管理する組織。ドイツ国内の駐留軍
用地の大半は国有地であり、BImA が所管。
注 3)BUND;ドイツの NPO 法人。米軍施設跡地を含め再開発事業に環境の観点から関与。
-19-
第6章
海外調査
6.4 海 外 調 査 結 果
6.4.1 概 要
海外調査結果から外国の米軍基地と県内米軍基地の環境問題への対応について、
類似点と相違点が判明した。
【類似点】
○施設情報等の不足による環境調査立案作業が困難である。
○使用履歴等の情報不足による環境汚染物質の絞り込みが困難である。
○盛り土区域における廃棄物発見等の非意図的事例への対応に苦慮している。
○環境調査及び汚染浄化に長期間を要する事例があり、跡地利用の支障となっている。
○州政府は運用中の基地には原則的に立入できない。
【相違点】
○米国の連邦法が基地にも適用されるため、EPA の権限が基地にも適用される。
○BRAC 法に基づく、多数の基地の閉鎖事例があり、環境調査及び浄化措置の情報が蓄積されてい
る。
○基地跡地は国有地であり、跡地利用において、環境汚染状況に応じた跡地利用法の選択肢が決
めやすい(利用制限等)。
【留意点】
○基地の施設情報等は残っていない可能性もあるため、可能な限り長期間の航空写真等を収集し
て、施設の変遷を入手することは重要である。
○米国の事例から、基地ごとに施設情報と環境汚染物質の情報を対比してひな形(テンプレート)
作成は可能と思われる。
○米国でも、軍からの情報提供は十分でない事例が多く、環境部局が写真資料等を入手して、施
設情報を補完して汚染を把握していることもある。
○基地跡地からは様々な物質が検出される可能性があるため、調査にあたっては施設情報等の収
集が重要である。
-20-
第7章
ガイドライン及びカルテの考え方について
第 7章 ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ の 考 え 方 に つ い て
7.1 ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ に 求 め ら れ る 要 素 に つ い て
本 事 業 に お い て 、ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ を 作 成 す る に あ た っ て 、そ れ ら に 求 め
ら れ る 要 素 及 び 役 割 を 表 7-1、 図 7-1 に 示 す 。
表 7-1
ガイドライン及びカルテに求められる要素
(1)ガイドラインについて
ア
在沖米軍施設内で想定される事例からみた環境問題について
イ
返還予定地及び返還跡地で発覚した環境汚染の対処法について
ウ
米軍活動から派生する環境問題への対処法について
エ
返還予定地及び返還跡地における環境調査について
オ
その他必要な事項について
(2)カルテについて
ア
米軍施設及び返還跡地における土地の改変・使用履歴について
イ
米軍施設内の過去の汚染事例について
ウ
米軍施設内及び周辺の自然環境状況について
エ
その他必要な事項について
【ガイドライン】
・環境対策方針、環
境問題に関する調
査・対処方法
ガイド
ライン
基地から派生する様々な環境問題
カルテ
カルテ
カルテ
カルテ
基地 A
基地 B
基地 C
基地 D
図 7-1
カルテ
・・・・
基地○
ガイドラインとカルテの役割
-21-
【カルテ】
・基地ごとに作成
・米軍施設及びその
周辺情報を整理
第7章
ガイドライン及びカルテの考え方について
7.2 ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ の と り ま と め の 方 向 性 に つ い て
こ れ ま で 実 施 し て き た 資 料 収 集 及 び 国 内 外 の ヒ ア リ ン グ を 踏 ま え 、ガ イ ド ラ イ ン
及びカルテのとりまとめの方向性について以下に記載する。
【ガイドライン及びカルテの使命】
・返還跡地の円滑な利用に向け、環境面からの技術的支援を行う。
【ガイドライン及びカルテ作成上の留意事項】
・日本国の法令では対象としていない米軍施設特有の環境汚染が存在する。
・施設返還前は米国、返還後は日本の管轄で管理される。
【ガイドライン・カルテ作成の方向性】
・米軍施設特有の環境汚染があることを認識する。
・日本国内法令だけではなく米国法令等の海外法令を整理した上で、米軍施設特有の環境汚染に
係る諸問題解決に向けて検討する。
米軍施設特有の
環境問題の実態
国内法令
米国法令等の海外法令
米軍施設内の環境問題の事例
基地内環境問題の実務担当者
からの助言
その他有用な知見等
ガイドライン・カルテ
図 7-2
今後のとりまとめの方向性
-22-
第7章
ガイドライン及びカルテの考え方について
7.3 ガ イ ド ラ イ ン に つ い て
ガイドライン作成にあたっての考え方を以下に示す。
○
ガイドラインの目的及び概要等
・目的(自然環境の保全、円滑な跡地利用、県民の安全・安心な生活を実現)
・概要及び位置づけ
○
作業概要及び返還プログラム
・作業の全体像(目標[マイルストーン]、返還プログラム)の検討
・目標到達のための作業概要の整理
○
米軍施設内で想定される事例からみた環境問題について
・施設利用や演習内容から基地内の環境問題の可能性を推察できる資料・データの整理
・基地運用時(施設利用時・演習時・事故時)の環境問題の整理
・不発弾等による環境問題の整理
○
返還予定地及び返還跡地で発覚した環境汚染の対処方法について
・技術的観点から検討
○
米軍の行為に起因する事故から派生する環境問題への対処法について
・技術的観点から検討
○
返還予定地及び返還跡地における環境調査について
・基地特有の環境汚染を調査するための環境調査手法について検討
○
住民との情報共有の在り方について
・県の役割と国・市町村・地域に期待する役割の検討
-23-
第7章
ガイドライン及びカルテの考え方について
7.4 カ ル テ に つ い て
カ ル テ は 沖 縄 県 内 に お け る 全 て の 米 軍 施 設 を 対 象 に 、施 設 ご と に 作 成 す る こ と を
基 本 と す る が 、嘉 手 納 飛 行 場 以 南 の 施 設 を 優 先 的 に 、以 下 に 記 す 内 容 に 関 す る 情 報
収集を行う。
○
基地の概要
・名称、面積、所在地、返還目途、訓練内容、沿革、施設情報
○
米軍施設及び返還跡地における土地の改変・使用履歴について
・基地内の地図・地形図、航空写真、施設ごとの使用履歴
○
米軍施設内の過去の汚染事例について
・過去汚染事例の整理
○
米軍施設内及び周辺の自然環境状況について
○
今後収集が望まれる情報について
-24-
第7章
ガイドライン及びカルテの考え方について
7.5 国 内 専 門 家 及 び 基 地 内 環 境 問 題 の 実 務 担 当 者 か ら 助 言 ・ 有 用 情 報
並びに今後の検討観点
今 後 、ガ イ ド ラ イ ン 及 び カ ル テ を 作 成 す る に 際 し て 、海 外 の 基 地 汚 染 に 関 す る 実
務担当者からの助言を踏まえた今後の検討観点を以下のとおり整理した。
表 7-2 専門家からの助言もしくは有用情報を踏まえた今後の検討観点【再掲】
ヒアリ
ヒアリング対象者
ング日
(専門分野等)
9/22
米 軍 基 地 環境 プ ロ グ ラ
ムに関する専門家
10/20
ア ジ ア 太 平洋 地 域 安 全
保障問題、及び情報公開
法に関する専門家
12/18
行政法、環境法に関する
専門家
専門家の助言・有用情報
今後の検討観点
・牧港補給地区には
(在沖米軍施設内で想定される事例から
DRMO があることに
みた環境問題について)
留意し、ガイドラ
・一般廃棄物は、DRMO(Defense
イン・カルテの作
Reutilization and Marketing Office)
成を行う。必要が
で処分したり販売したりする。また、そ
ある。
れとは別で業者に買い取ってもらった
りする。この買い取られた廃棄物は、業 ・ドラム缶による埋立
廃棄については、
者が好きなように処理を行っていいこ
腐食による内容物
とになっている。危険物の場合は確実に
流出の可能性にも
管理され処理される。このための担当部
留意して、ガイド
署も存在する。
ライン・カルテの
作成を行う必要が
・RCRA(Resource Conservation and
ある。
Recovery Act;資源保護回復法)が効果
を発揮する 1980 年以前は、廃棄物をド
ラム缶に収容して埋立てることが普通
であったため、この時期以前は注意すべ
きである。特に窪地などに廃棄するのが
常であったので要注意である。
・情報公開法による情
(情報の収集方法について)
報収集について
・米国情報公開法に基づく情報公開請
は、時間を要する
求を行う場合には、米軍側が回答し
ため、別の手法も
やすいように文章名称・発行年度等
含め検討する必要
を明確に示したリクエスト文を作成
がある。
し、基地ごとに提出する必要がある。
(情報公開の窓口は現地事務所)
・返答までの時間は半年程度の場合も
あるが、数年かかる場合もある。
・個別基地は窓口がはっきりしないの
で、電子メールでのやりとりが困難
である。
・情報担当官は人員削減されており、
対応には時間がかかるかもしれな
い。
・ ア メ リ カ は リ ス ク ベ ー ス で 除 染 の 基 ・どの程度浄化するか
準を設定するが、日本は一律基準で
については、慎重
除染する必要があるため高額となり
に検討する必要が
得る。
ある。
・売買契約締結後にフッ素含有土壌や
油汚染が含まれていたことに対し
て、売主の瑕疵担保責任に関する裁
判が行われたことがある。
-25-
第7章
ヒアリ
ヒアリング対象者
ング日
(専門分野等)
1/30
環境法に関する専門家
1/30
環境経済学、環境政策論
に関する専門家
ガイドライン及びカルテの考え方について
専門家の助言・有用情報
今後の検討観点
・日本の土壌汚染対策法では、井戸水を飲 ・汚染土壌の搬出先に
料水として使用しているかが重要なポ
ついても認識する
イントとなる。
必要がある。
・スーパーファンド法の制定契機となった
ラブキャナル事件では、有害化学物質を
詰め投棄されたドラム缶が腐食し、内容
物が流出し事件へと発展した。
・可能な限り浄化する必要はあるが、どこ
で折り合いをつけるかが課題である。ま
た、汚染土壌の搬出先も問題となる。
・韓国ではキャンプ・キャロルの事例が深 ・牧港補給地区には
刻である。ここは DRMO の施設であった
DRMO があることに
が、非常に高い汚染が発見され、放置さ
留意する必要があ
る。
れていた。
・ドイツでは、米国の汚染管理システムを ・米国の汚染管理のシ
参考にしている。
ステムを参考する
かを検討する必要
がある。
注)ヒアリングは 2014 年度に実施。
表 7-3 実務担当者からの助言もしくは有用情報を踏まえた今後の検討観点(ガイドライン)
項目
作業概要及
び返還プロ
グラム
米軍施設内
で想定され
る事例から
みた環境汚
染について
実務担当者の助言・有用情報
(作業期間の目安)
汚染場所の特定及び浄化計画の策定には十分な時間
が必要である。また、現場調査着手が返還後になると、
その分土地利用が遅れる。
(環境浄化レベル)
浄化をどこまで行うかは一部議論もあるが、基本的には
跡地の利用計画に応じて決定している。また、ドイツで
は、地下水汚染の浄化については、跡地の使用用途にか
かわらず、ドイツ国内の厳格な基準を適用している。浄
化が懸念される箇所は、連邦政府所管の自然公園・保護
区等として利用されることが多い。
(除染作業の確実な実施について)
米国では、NPL に指定された連邦政府施設については、
EPA、州政府との合意書(FFA/IAG;Federal Facility
Agreement/Interagency Agreement)を作成し、除染工程、
除染方法等を詳しく定めて工程管理している。
情報源
今後の検討観点
米国コンサル
タント会社
マサチューセ
ッツ州政府
米国・ドイツ多
数
適切な支障除去
を、確実に行うた
め工程管理を行う
ための返還プログ
ラムと目標(マイ
ルストーン)を設
定する必要があ
る。
米国環境保護
庁
(環境補足協定について)
ボン補足協定に基づき、ドイツの環境法令が適用されて
いる。
BImA
(沖縄特有の環境からみた汚染について)
沖縄県内の石灰岩質の土壌においては、土壌汚染がある
と仮定した場合、浸透しやすく、地下水汚染のみならず
海域汚染や、蒸発した場合の大気汚染等が懸念される。
(航空写真の重要性について)
汚染の推定には航空写真が必要である。また、汚染状況
ハワイ州政府
-26-
コロラド州政
府
・ドイツにおける
環境補足協定のよ
うに、現在協議中
の日本の環境補足
協定の効果も期待
できることから、
この動向について
も注視しつつ、今
後の事業を進める
必要がある。
第二次世界大戦以
降、基地内の施設
配置並びに運営の
仕方に一定のパタ
ーン(テンプレー
ト)があることか
第7章
項目
ガイドライン及びカルテの考え方について
実務担当者の助言・有用情報
は施設・建物ごとに年代を追って利用履歴を確認しない
と汚染の履歴が追えない。
(続き)
返還予定地
及び返還跡
地で発覚し
た環境汚染
の対処方法
について
米軍の行為
に起因する
情報源
マサチューセ
ッツ州政府
米国環境保護
庁
BImA
コロラド州政
府
(基地の施設配置の類似性)について
基地内インフラ等、基地以外の民間利用地での同様の汚
染に加え、基地内に特有の演習等による汚染がある。こ
の問題に対しては、米軍施設内のデザイン構成(平面図)
において、施設、建物並びに、運用の仕方に一定のパタ
ーン(テンプレート;インフラ整備、洗浄場所、訓練場
等)がある。
基地の施設配置はテンプレートで作成されているため、 米 国 環 境 保 護
他の基地の環境汚染状況から、沖縄の基地内の汚染状況 庁
を推察することはできる。
(浄化基準の必要性について)
浄化基準が設定されていれば、汚染が発覚した後の対応
を検討することができる。そのため、在沖米軍施設内で
の懸念される汚染物質については、浄化基準が設定され
ていることが望ましい。
マサチューセッツ州では全石油系炭化水素(TPH;total
petroleum hydrocarbons)の基準を州環境部で作り、軍
には科学的根拠を明示し、人の健康への影響、特に発が
ん性があるという人権上の観点から説明している。その
結果、軍は基準があれば守っている
基準のない物質については、基準を新たに設定するか、
リスクアセスメントで対応するか検討する必要がある。
(リスクアセスの活用について)
ハワイと同じ地質の沖縄であれば、ESL サーファーの利
用が可能であり、日本基準ではなく米国基準ではあるが、
在沖米軍施設内でも一定のリスク評価をすることができ
る。
健康被害への影響を検討するためには、単純に基準との
比較をするだけではなく、人にどのような影響を及ぼす
かを把握していく必要がある。
(環境補足協定について)
・駐留軍用地には、ボン補足協定に基づきドイツ環境法
令が適用されている。
・連邦政府職員には入構許可書が発行され、連邦政府所
有不動産の管理(環境保護等)という点からも基地内へ
の立入が保証されているが、地方自治体職員については、
BImA 職員と同伴でなければ基地内へ立ち入ることはで
きない。
・なお、環境汚染が推測される駐留軍基地内への立ち入
り調査は、米軍に拒否されることもあるものの、大抵の
場合は調査が可能。ただし、BImA も駐留軍用地内の全て
の環境問題を把握しているわけではなく、詳細な環境調
査は土地の返還後になる。
・除染に際しては、以前の使用履歴等が重要になってく
ることから、BImA と土地の使用者との情報の共有が非常
に重要になる。
(連絡体制について)
「Incident Command System」のようなシステムに米軍は
-27-
ハワイ州政府
マサチューセ
ッツ州政府
マサチューセ
ッツ州政府
ハワイ州政府
ハワイ州政府
BImA
ハワイ州政府
今後の検討観点
ら、それらの情報
収集を行い、施設
と想定される汚染
状況、基地運用と
汚染状況の関係を
あぶり出す必要が
ある。
・基準のある物質
については、その
後の対応検討や軍
も遵守することが
期待できるため、
基準は必要であ
り、ガイドライン
作成時にはそのよ
うな考え方が適用
できるか、検討す
る必要がある。
・ドイツにおける
環境補足協定のよ
うに、現在協議中
の日本の環境補足
協定の効果も期待
できることから、
この動向について
も注視しつつ、今
後の事業を進める
必要がある。
・米軍とのコミュ
ニケーションの場
第7章
項目
事故から派
生する環境
問題への対
処法につい
て
(続き)
返還予定地
及び返還跡
地における
環境調査に
ついて
情報共有の
あり方につ
ガイドライン及びカルテの考え方について
実務担当者の助言・有用情報
情報源
慣れており、当該システムの中で情報を出しながら、環
境事故・災害に対する対応を行っている。
(立入について)
米国環境保護
民間で使用しない物質が、基地外で検出された場合には、 庁
それを根拠に基地に立入できるのではないか。
(地下水汚染検討の必要性について)
汚染は化学物質によっては汚染プルームとして汚染域が
拡大することを踏まえ、土壌汚染及び地下水汚染の検討
が必要である。つまり、汚染はその汚染場所だけでなく、
化学物質ごとに異なる移動特性を踏まえて、その汚染経
路を把握する必要がある。
汚染は基地内から基地外に地下水を通じて拡散する場合
があった。また、逆に基地外の汚染が地下水を通じて基
地内に流入したこともあった。
コロラド州政
府
(環境補足協定について)
ボン補足協定が存在することにより、ドイツの環境法令
が適用されるが、例えば騒音の問題については、必ずし
も協定が遵守されない場合もある。
BICC
(環境調査実施個所について)
廃棄物を窪地や泉へ投棄及び埋土し埋めることは、当時
の廃棄物を処理する方法の 1 つであった。
上陸演習箇所では、ゴミや燃料が廃棄されている可能性
が高いことから、演習内容や施設の配置も踏まえ対策を
検討する必要がある。
埋設タンクは老朽化していれば、漏出している可能性が
あり、基地返還後の環境対策を検討するに当たっては、
埋設タンクの位置は把握する必要がある。
(浄化時のモニタリングの必要性について)
テトラクロロエチレン等のドライクリーニング等の溶剤
をバキュームによる吸引後、燃焼処理している。浄化に
あわせ、汚染及び浄化状況を把握する必要がある。
ドライクリーニング跡地では、モニタリングが 20 年以上
続いている。完全に浄化するのではなく、長期的視点か
ら汚染状況を管理する必要がある。
ハワイ州政府
(環境調査計画の立案について)
土壌汚染の考えについては、日本と米国とで基準の設定
背景が異なることに留意し、かつ、土地利用履歴等の基
地内情報を踏まえつつ、環境調査計画の立案等を行う必
要がある。
(地下水汚染検討の必要性について) 【再掲】
汚染は化学物質によっては汚染プルームとして汚染域が
拡大することを踏まえ、土壌汚染及び地下水汚染の検討
が必要である。つまり、汚染はその汚染場所だけでなく、
化学物質ごとに異なる移動特性を踏まえて、その汚染経
路を把握する必要がある。
汚染は基地内から基地外に地下水を通じて拡散する場合
があった。また、逆に基地外の汚染が地下水を通じて基
地内に流入したこともあった。
地域住民参加の元、除染及び跡地利用を検討する必要が
ある。
-28-
コロラド州政
府
ハワイ州政府
今後の検討観点
が必要である。
・基地外で基地汚
染特有の物質が
検出された場合、
その由来を検討す
る必要がある。
・日本において環
境補足協定が締結
された場合に、実
際の運用面の重要
性も認識する必要
がある。
・基地のテンプレ
ート(施設配置)を
作成した上で環境
調査計画作成の考
え方を立案をする
必要がある。
ハワイ州政府
ハワイ州政府
・基地内の汚染は
その場だけでなく
地下水が汚染プル
ームとして拡散す
る可能性に配慮す
る必要がある。
ハワイ州政府
米国コンサル
タント会社
コロラド州政
府
コロラド州政
府
跡地利用を推進す
るためには、情報
第7章
項目
いて
(続き)
ガイドライン及びカルテの考え方について
実務担当者の助言・有用情報
情報源
今後の検討観点
除染及び跡地利用を検討する上では、地元住民の参画が
必要である。
米国コンサル
タント会社、
マサチューセ
ッツ州政府
共有のあり方につ
いて十分留意する
必要がある。
基地跡地利用を進める1番最初の段階となる関係者の話
し合いから、周辺住民にも関与してもらうことが成功に
つながる。
BImA
ドイツにおいては、基地跡地の汚染問題や土地所有権に
関して大きな社会問題とはなっておらず、問題の焦点は
跡地利用の検討であり、検討段階での住民参加の重要性
である。そのため、今後の事業進行にあたっては、住民
参加の観点も視野に入れ検討する必要がある。
BUND
BICC
なお、
ドイツ国内では一般的には、経済的理由から駐留軍に対
する批判はないが、例外も有る(BICC)。
・駐留軍基地から発生する騒音への対策を求める声が高
まり、国防大臣を通して抗議している。
・1994 年当時に旧ソ連軍が使用していた飛行場跡地での
高濃度の油汚染、森林の地雷が問題化していた。 等
表 7-4 実務担当者からの助言もしくは有用情報を踏まえた今後の検討観点(カルテ)
項目
基地の概要
米軍施設及び
返還跡地にお
ける土地の改
変・使用履歴
について
米軍施設内の
過去の環境汚
染事例につい
て
米軍施設内及
び周辺の自然
環境状況につ
いて
今後収集が望
まれる情報に
ついて
実務担当者の助言・有用情報
情報源
今後の検討観点
特になし
-
-
施設・建物ごとに年代を追って利用履歴を確認しないと
汚染状況を正確に把握できない。
コロラド州政
府
米軍施設内では定期的に環境レポートが作成されてい
る。
米国環境保護
庁
米国コンサル
タント会社
米軍は資料を手元に長期間保存するわけではないこと
から、米軍へ過去の汚染について情報提供を依頼したと
しても、すぐには出てこない可能性がある。
米国汚染浄化
事業者
汚染状況は施設・
建物ごとに年代を
追って利用履歴を
確認する必要があ
る。
在沖米軍基地にお
ける環境レポート
の存在状況も含め
て確認する必要が
ある。
情報の入手手法に
ついて検討する必
要がある。
・ドイツでは、駐留軍からドイツ側へ環境情報が提供さ
れているものの、全ては把握できていないのが現状。
・かつてドイツも、歴史的資料から問題がありそうな場
所を洗い出した。米国立公文書館 NARA での資料収集を
薦める。
・航空写真については、米国関係機関からも同様の助言
があった。
BImA・米国政府
機関等
-29-
環境補足協定の締
結とは別に、独自
に情報収集・整
理・解析を進める
必要がある。
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
第 8章 環 境 情 報 収 集 の た め の 検 討 委 員 会 の 設 置 及 び 運 営
8.1
検討委員会委員及び委員会での議事概要
環 境 汚 染 の 専 門 家 及 び 国 際 法 の 専 門 家 か ら な る 検 討 委 員 会 を 3 回 実 施 し た 。検 討
委 員 会 の 委 員 及 び 委 員 会 実 施 状 況 に つ い て 、 表 8-1 及 び 表 8-2 に 記 す 。
表 8-1
検討委員会委員
氏名
委員
委員長
所属団体
(敬称略)
府本 禮司
役職
NPO法人
沖縄平和協力センター
国立大学法人琉球大学
副委員長
藤田 陽子
国際沖縄研究所
法文学部
仲本 和彦
委
米軍基地問題、国際関係論
所長
環境経済学、
教授
環境影響評価・環境政策
公文書主任専
沖縄県文化振興会
門員
和歌山大学
理事・副学長
復技術(汚染調査と評価,汚染除
教授
去・修復技術,汚染質動態とモデ
リング,土壌・地下水・水環境)
国立大学法人
益永 茂樹
横浜国立大学大学院
環境動態解析、環境評価、
教授
環境リスク評価
環境情報研究院
渡部 恒雄
公益財団法人
上席研究員
東京財団
表 8-2
情報査定、情報収集、情報記録
水工学、環境モデリング・保全修
システム工学部
員
理事長
公益財団法人
国立大学法人
平田 健正
専門分野
外交・安全保障、戦略国際問題
委員会での審議内容
回次
時期
議事内容
第1回
平成 26 年 9 月 11 日
調査方法の検討
第2回
平成 27 年 1 月 8 日
環境情報の収集状況、国内ヒアリング結果、とりまとめの方向性
第3回
平成 27 年 2 月 6 日
事業報告、次年度検討
-30-
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
8.2
第 1 回委員会
概要
(1) 委員会の公開について
表 8-3
情報公開について(合意事項)
No
合意事項
1
今年度は資料収集が中心であり、そのための技術的助言を行うことが主であることから、
委員会は非公開とする。
2
ガイドライン及びカルテの作成に取りかかる次年度以降については再度検討する。
3
会議の資料及び議事内容については概要版として県 HP にて公開する。
4
公開内容は個人情報の取り扱いや資産価値への影響に十分配慮する。
(2) 設置要綱について
表 8-4
設置要綱(案)について(合意事項)
No
1
合意事項
委員の承諾を得、当日付けで施行。
(3) 委員長・副委員長の選任について
委員長に府本禮司氏、副委員長に藤田陽子氏が選任された。
(4) 事業の概要及び平成 26 年度事業計画について
1) 事 務 局 に よ る 資 料 説 明
平 成 26 年 度 ~ 平 成 28 年 度 に 実 施 予 定 の 概 要 に つ い て 説 明 を 行 っ た 。
2) 議 事 概 要
以下事項について合意及び意見があった。
表 8-5
No
1
事業全体の概要について(合意事項)
合意事項
【今年度事業の概要】
「返還予定地・既返還地における環境問題への対応」、「米軍活動に起因する環境問題へ
の解決」のため、米軍施設及びその周辺の環境情報をまとめた環境カルテ及び新たな環境
保全のための仕組み(ガイドライン)の作成に向けた関係資料の収集。
-31-
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
表 8-6 主要意見及び事務局の対応
No
主要意見
対応
1
土壌汚染対策法は調査手順について既にリ
土壌汚染対策法も含め、ガイドライン等作
ストとして系統立てて整理されている。当
成に有用な国内法令等を整理する。
該資料を参考とすると良い。
2
米軍基地に係る環境情報については、米軍 汚染の要因が分かるように整理する。
の活動実態等、汚染の要因が分かるように
整理する必要がある。
3
海外調査においては、当該国における基地 地位協定等の内容も把握する。
運用・返還実態のみならず、その背後にあ
る地位協定等の内容も把握する必要があ
る。
(5) 米国ハワイ州での調査結果について
1) 事 務 局 に よ る 資 料 説 明
ハワイ州政府による米軍基地環境問題に係る取組状況の説明を行った。
2) 審 議 概 要
ハワイ州政府の取組状況を踏まえた上で、日本国内の状況について意見があ
った。
表 8-7
No
1
米国ハワイ州での調査結果について(主要意見及び事務局の対応)
主要意見
対応
日本の跡地利用推進法における支障除去の 確認する。
定義を専門家に確認する必要がある。
-32-
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
8.3
第 2 回委員会
8.3.1
概要
第 1 回委員会の主要意見と対応について
第 1 回委員会における主要意見と対応について説明を行った。
(1) 今後のとりまとめの方向性とガイドライン及びカルテ作成の考え方について
今後のとりまとめの方向性と、ガイドライン及びカルテ作成の考え方に関す
る説明を行った。主要意見を以下に示す。
表 8-8
No
1
基地特有の汚染物質への対応について
主要意見
対応
基地特有の汚染物質については、現行の日 現在日本国内で規制されていない物質につ
本国法令で対象となっている物質は少な いても支障除去の対象となるよう考慮して
い。それらの物質に対してどのように対応 いく。
するか今後検討する必要がある。
表 8-9
No
1
ガイドライン及びカルテ作成の考え方について
主要意見
対応
基地内の汚染は事故時だけではなく、運用 ご指摘の趣旨を踏まえ整理する。
中も発生する。
2
基地固有の問題と、基地以外の場所でも起
きている問題を分ける必要がある。
3
米軍基地ができる前の状態の把握も必要で
ある。
4
旧日本軍基地の情報も収集が必要である。
5
基地周辺の地下水調査結果が蓄積されてい 地下水調査結果について整理する。
れば整理しておいた方がよい。
6
施設配置から汚染物質を推察した結果をカ カルテに掲載するデータは、最新の正確性
ルテに掲載する場合には、掲載手法につい のある情報を加味しながら更新していく。
て検討が必要。
(2) その他について
No
1
主要意見
対応
環境に関する基本的な事項については、米 ご指摘の趣旨を踏まえ、米軍環境部門と情
軍との間で情報交換ができるような仕組み 報交換を始められるよう、調整していきた
を作って欲しい。
い。
-33-
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
8.4
第 3 回委員会
8.4.1
概要
第 2 回委員会の主要意見と対応について
第 2 回 委 員 会 に お け る 主 要 意 見 と 対 応 に つ い て 説 明 を 行 っ た 。内 容 は 資 料 1 を 参
照。委員から特段の意見はなかった。
(1) 情報収集の結果について
今年度の情報収集結果等について説明を行った。内容は資料 2 を参照。委員
からの主要意見を以下に示す。
表 8-10
No
1
情報収集結果について
主要意見
対応
運用中の基地に対する環境法令の適用範囲を整理すべき 意見を踏まえて整理する。
である。
2
運用中の基地の環境浄化に関わった方からの情報は参考 米国における閉鎖後の基地の汚染調査と
となる。
浄化の手続きを中心に情報を得ている。
3
米国で発生した環境問題に関する裁判事例が参考になる。 今後、事例収集を行う。
4
土地利用が確定していない場合では、リスク評価の考え方 意見を踏まえて整理する。
が重要である。
5
ガイドラインに組み込む項目は、記載順に手順を進めるよ 跡地利用をスムーズに進めるという考え
うに誤解される可能性がある。表現を整理した方が良い
方をもとに、ガイドラインの項目の整理を
進める。
-34-
第 8 章 環境情報収集のための検討委員会の設置及び運営
(2) 次年度以降の事業について
次 年 度 以 降 の 事 業 の 方 向 性 に つ い て 説 明 を 行 っ た 。委 員 か ら の 主 要 意 見 を 以 下 に
示す。
表 8-11
No
1
主要意見及び事務局の対応
主要意見
対応
返還が決まってから跡地利用が始まるまでの手順をど 意見を踏まえて整理する。
のように進めるのか、ガイドラインで示す必要がある。
2
手順を示す際は具体的な事例を多数示した方がわかり
やすい。
3
ガイドラインについては、早めに試案を示してほしい。 今後検討する。
4
ガイドラインの要素として、
「合意形成」という言葉は、 意見を踏まえて修正する。
この事業の趣旨である科学的調査にそぐわない。
環境調査の内容に関する「住民参加」または「住民との
情報共有」としたほうがガイドラインそのものの役割を
果たすことができるのではないか。
5
汚染の状況や現状に関する具体的な情報収集の方法と 更なる資料収集や関係者へのヒアリング
して、「施設配置テンプレートに基づく推測」の手段し 等により広範な情報収集に努めていく。
か予定されていないが、他の側面からの手法についても
アプローチを考えてほしい。
6
汚染の状況等に関する情報を収集するだけでなく、情報 情報を多角的に照合するなどして汚染リ
の信頼性を高める手法を確立することもこの事業の中 スクの可能性を判断する手法を検討する。
で検討してほしい。
7
土壌汚染や地下水汚染の専門性が高い分野については、 次年度の検討委員会で専門部会の設置に
専門部会の設置を検討した方が良い。
ついて検討を行う。
-35-
第 9章 収 集 資 料 の サ ン プ ル に つ い て
9.1 フ ァ イ ル 収 集 リ ス ト
情 報 収 集 し た 結 果 を 要 素 ご と に 集 計 し 、 表 9-1 に 示 す 。
表 9-1 情報収集結果
要
資料数
素
国内調査
海外調査
Web
ガ
A-1
ガイドラインの目的及び概要等
0
1
0
イ
A-2
作業概要及びスケジュール
0
21
230
ド
A-3
在沖米軍施設内で想定される事例からみた環境問題について
0
1
43
ラ
A-4
返還予定地及び返還跡地で発覚した環境問題の対処法について
51
1
362
イ
A-5
米軍活動から派生する環境問題への対処法について
36
0
154
ン
A-6
返還予定地及び返還跡地における環境調査について
0
9
16
A-7
情報共有のあり方について
0
3
0
87
36
449
合
計
572
資料数
要
素
国内調査
海外調査
Web
カ
B-1
基地の概要
1
4
42
ル
B-2
米軍施設及び返還跡地における土地の改変・使用履歴について
3
41
1
テ
B-3
米軍施設内の過去の汚染事例について
2
0
0
B-4
米軍施設内及び周辺の自然環境状況について
13
0
0
B-5
今後収集が望まれる情報について
合
計
1
0
0
20
45
43
108
注)1.国内調査は、国内ヒアリング及び国内資料収集を含む。
2.資料の合計数については、重複した資料数を除く。
(1) 必要な情報の全体像
次ページ以降にはガイドライン及びカルテに求められる要素に必要な情報の
全 体 像 を 表 9-2 及 び 表 9-3 に 示 す 。こ れ ら を 踏 ま え 、今 年 度 調 査 で 不 足 し て い
る部分を中心に次年度以降、引き続き情報の収集を行う。
米 軍 施 設 内 の 環 境 問 題 に つ い て は 図 9-1 に 示 す よ う に 、 基 地 の 外 で も 起 こ り
うる一般的な問題と、基地内でしか起こりえない問題があることに留意して、
今後整理していく。
一般的な環境問題
米軍基地外でも起こりうる環境問題
例;油の流出、アマルガムの廃棄、ドラム缶の廃棄、PCB 汚染、不発弾、クリーニング溶剤、農薬の廃棄等
基地特有の環境問題
米軍基地内でしか起こりえない環境問題
例;射撃場、廃棄弾薬等
図 9-1 米軍施設内における環境問題
36
表 9-2 ガイドラインに求められる要素と作業及び検討内容等(案)
要
ガ
素
作業及び検討内容
必要な情報
ガイドラインの目的
○各要素の関連づけ
及び概要等
○環境調査に係る必須項目の整理
ド
作業概要及び返還プ
○汚染確認から浄化終了までの
・国内の汚染対処事例
ラ
ログラム
・小目標(マイルストーン)の設定
・海外の汚染対処事例
・作業の洗い出し
・米国の基地汚染対処手続き
イ
イ
ン
A-1
A-2
○国内外の環境法令
・作業期間の目安の設定
○認識すべき作業の洗い出し
・土地利用計画、文化財調査等
A-3
在沖米軍施設内で想
○施設配置のテンプレート作成
・基地内の施設配置の考え方
定される事例からみ
○施設・利用場所ごとの汚染の可能性把
・基地内の施設配置事例
た環境問題について
返還予定地及び返還
跡地で発覚した環境
A-4
握
・施設ごとの汚染事例
・一般の環境問題
・米国基地環境評価事例
・基地特有の環境問題
・自衛隊基地内の事例
○不発弾
・不発弾
○返還跡地で発覚した環境問題及び対
・日米地位協定等、日米政府間の
処例の検証
合意状況(地位協定・環境原則
問題の対処法につい
○今後の対処法のあり方
て
・対処法の検討
に関する共同発表)
・返還跡地で発覚した環境問題及
・浄化方法の検討
び対処事例
○地域への情報提供のあり方
米軍活動から派生す
○日米情報共有のあり方
・米本国における事故と対処事例
る環境問題への対処
・平常時
・事故別の汚染の種類
法について
・事故時
・地方公共団体と軍との情報共有
○日米合同調査のあり方
事例
・平常時
・環境情報に係る米軍側の開示例
A-5
・事故時
○地域への情報提供のあり方
○環境問題への対処
返還予定地及び返還
○環境調査項目・方法等のあり方の検討
・基地内の一般汚染の事例
跡地における環境調
○環境調査結果の評価方法の検討
・基地特有の汚染の事例
査について
・化学物質の浄化基準
・汚染に対する対処事例
A-6
・リスク評価
・汚染に対する環境調査事例
・サンプリング方法
・環境調査結果の評価事例
A-7
情報共有のあり方
○国内外の事例を検証し、適切な情報共
有のあり方について検討する。
37
・米国の基地汚染浄化に係る情報
共有事例
表 9-3 カルテに求められる要素と作業及び検討内容等(案)
要
基地の概要
カ
ル
素
作業及び検討内容
○施設配置図の整理
必要な情報
・名称、面積、所在地、返還目途、
沿革
B-1
・施設配置状況(時系列)
テ
・施設利用状況(時系列)
・訓練内容及び訓練位置
B-2
米軍施設及び返還跡
○土地の改変状況の整理
・米軍接収前の土地利用状況
地における土地の改
○土地の使用履歴の整理
・基地内の施設配置
変・使用履歴につい
・地形図
て
・航空写真
・施設ごとの使用履歴
米軍施設内の過去の
B-3
B-4
○過去の汚染事例の整理
環境問題事例につい
・過去の汚染対処事例
て
○過去の汚染対処事例の整理
米軍施設内及び周辺
○米軍施設内の環境状況の整理
・施設内の環境情報
の自然環境状況につ
○米軍施設周辺の環境状況の整理
・施設周辺の環境情報
いて
B-5
・過去の汚染事例
今後収集が望まれる
情報について
38
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