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「黄金の1週間」にやること
折々の記(校長室通信)NO.21 発行者:黒須隆雄 H.25. 4 .10 「黄金の1週間」にやること 新学期が始まって、最初の1週間を、 「黄金の1週間」と呼ぶ人がいます。 新しい学年、新しいクラス、新しい先生。「今年こそは」と、子どもたちのモチベーションは、最高 に高まっています。しかも、旧クラスが解体したことで、以前通用していたルールも人間関係も一度リ セットされています。まだ「集団」とは言えません。「烏合の衆」に近い。この時期に、指導したこと は、1年間を左右するほど大きな力を持ちます。 この「黄金の1週間」に何をやるべきか。わたしは、以下の3つは欠かせないと思います。 1 学級担任としての夢・理想を語る こんな学級にしたいという先生の夢・理想を語るということです。学級担任は、その学級の指導者で す。子どもたちの願いを聞く前に、教師として「こんな学級にしたい」という夢・理想を語らなくては ならないと思います。 そのとき、学校教育目標や学年目標との関係から語るというのではなく、 「楽しいクラスにしたい」 「何 事も全力でがんばるクラスにしたい」 「笑顔がいっぱいのクラスにしたい」 「みんな最高に仲のよいクラ スにしたい」など、自分のイメージする学級の姿を率直に語ればいいと思います。 では、どうすれば、そんなクラスになるのかは、1年間を通じて、子どもたちと一緒に考え、計画し、 実行していけばいいでしょう。 「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、 計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。 故に、夢なき者に成功なし。 」 とは、吉田松陰のことばです。 2 学級のシステムをつくる 朝、学校に来て、午後、家に帰るまでの学校での「子どもの生活のすべて」が、 「子ども自身の運営」 によって「快適にすごせる」ために必要な、個々人の動き(やること)、役割とその分担を決めること。 それが「学級のシステム」をつくるということです。 向山洋一氏は「担任がいなくても一週間子どもが学級での生活を営める」状態を思い浮かべて、シス テム・組織(しくみ)をつくるとよいと言っています。こうすると、具体的に必要なさまざまな個々の 動きと役割(当番・係)がみえてくるでしょう。 例えば、朝、くつ箱に靴を入れるときはかかとをそろえる。そろっていない人がいたらどうする?点 検するのはだれ?教室に入ってすぐやることは?教室の窓を開けるのはだれ?花に水をやるのはだ れ?連絡帳や宿題を教卓の上のかごに入れる。点検するのはだれ?出していない人がいたらどうする? 忘れた人はどうする?朝の会が始まる前までにやることは?朝の会の司会はだれ?授業の始まり終わ りの号令はだれがかける?授業中や自習時間中にうるさい人がいたらどうする?注意する人はだれ? 先生が来なかったらどうする?だれが聞きに行く?(朝、日記やノートなど、先生の持ってくるものが たくさんある場合)手伝う人はだれ?ともだちの具合がわるくなったら?等々、一日の生活を思い浮か べるとたくさんでてきます。 組織としては、当番・係になるでしょう。ちなみに当番は「学級運営上、必要で、ないと困るもの」 、 係は「なくても学級生活には支障はないが、学級生活の充実向上に役立つもの」です。 朝から帰りまでの、個々の動きや必要な係・当番をできるだけ早く決めることが大事です。中学年以 上の学級なら、普段の生活のことは先生に指示されなくてもオートメーションで滞りなく進められるの がベストです。 子どもたちができることは、子どもたちに細かく役割当番を決めてやらせると、次のようなメリット があります。 (1)先生の雑仕事が減り、余裕をもって授業に専念できる(2)子どもたちが必ず学級 に貢献できるので、学級への所属意識が高まる(3)仕事を通して、どの子も個別に褒めることができ る(褒める種がふえる) <ある学級の役割当番の例> ① 黒板消し1時間目、2時間目、3時間目、4時間目(そうじ前) 、5時間目、6時間目(帰る前) ② 黒板消しクリーナー③チョークそろえ④チョークかす掃除⑤配膳台出す⑥配膳台ふく⑦配膳台しま う⑧あいさつ(いただきます)⑨あいさつ(ごちそうさま)⑩窓あけ(教室)⑪窓あけ(廊下)⑫窓閉 め(教室)⑬窓閉め(廊下)⑭電気つける⑮電気消す⑯鍵あける⑰鍵しめる⑱鍵とってくる⑲体操服チ 21えんぴつけずり○ 22えんぴつけずりゴミ○ 23エプロンチェック○ 24 おとしものチ ェック⑳本だなチェック○ 25ファイルチェック○ 26名札チェック○ 27先生手伝い○ 28朝の会司会○ 29帰りの会司会○ 30保健(月・水・ ェック○ 31保健(火・木)○ 32机整頓○ 33ボールチェック○ 34長縄チェック○ 35給食メニュー発表○ 36配り○ 37体育○ 38音 金)○ 3 9 4 0 4 1 4 2 4 3 4 4 4 5 楽○掃除ロッカー整理○雑巾チェック○下駄箱チェック○休み手紙○宿題チェック○朝学習○学級日 誌 3 学級の基本的なルールの定着を図る 細かいルールはこれから追々作っていくにしても、1 年間を通して、守らせたい基本的なルールを定 着させるのは、この 1 週間が大事です。 私は、生徒指導部の年間指導計画にある 1 学期の重点「あいさつ」 「返事」「言葉遣い」は、是非、4 月中に徹底して指導してほしいと思います。 この 3 つはルールというよりも社会生活上の人としての「礼儀」です。学級経営で最も大事なことは、 学級の子どもたちの人間関係をよくするということですが、人間関係の基本となる礼儀は、きちんと教 えておかなければなりません。そこをいい加減にして、良い人間関係を育てようとしても、規律や礼儀 がないため、一緒にいてもお互いに傷つけることを言い合ったり、喧嘩したりします。その結果、集団 の中に差別や恨み、序列が生じ、 「いじめ」などの問題も生じ安くなります。 1 週間目から、 「あいさつ」 「返事」 「言葉遣い」については、「社会生活3つの基本」ということで、 どのクラスも徹底させてほしいと思います。 (1)あいさつ ・先生と…「おはようございます」 「こんにちは」「さようなら」 ・友達と…朝は、 「おはよう」のあいさつから (2)返事 ・呼ばれたとき…「はい」 ・先生の話しを聞くとき…うなずきの「はい」 (3)ことば遣い ・友だちの名前…「~君、~さん」 ※呼び捨てや「おまえ」は礼儀に反する。 ・友だちと…ていねいな言葉遣い ・先生と……敬語 特に本校は、子どもたち同士の「ことば遣い」が課題です。呼び捨てや「おまえ」が普通になってい ます。注意をすると、何でだめなのと驚く子がいます。 ですから、最初の1~2週間が勝負です。後から徹底させようとしても、難しいでしょう。 子どもたちには、次のように説明してあげるといいでしょう。 「みなさんが、将来社会にでて、この3つのことがきちんとできなければ、社会人として相手にされま せん。お父さんやお母さんに聞いてみてください。職場で「あいさつができない」 「返事ができない」 「ことば遣いが悪い」人がいたら、みんなからどう思われるか・・・。今から、きちんとできるよう にしておきましょう。 」 そして、毎日、できなければ(やさしく)繰り返し繰り返しやり直しをさせます。それを徹底しない で流してしまうとまず定着しないでしょう。 この3つの基本がクラスの中に定着してくると、自然にクラスが落ち着いてきます。喧嘩や言い争い もぐんと減ってきます。これは、わたしの経験的事実です。 この3つのほかにも、1 年間を通して徹底したい基本的なルールをこの 1 週間で子どもたちに定着さ せるようがんばってください。最も子どもたちの受け入れ態勢ができているこの 1 週間が勝負です。