Comments
Description
Transcript
学内演習「3D プリンタ」 - 大阪大学大学院:理学研究科技術部
学内演習「3D プリンタ」 理学研究科 技術部 1 はじめに 理学研究科技術職員研修は、学内研修、学外研修、学内演習をそれぞれ 1 日ずつ年 3 日 間行う研修です。この 3 つの研修の中でも特に学内演習は、実習形式の演習を含むなど毎 年特徴的なプログラムが組まれ実施されます。今年度の学内演習では、「3D プリンタ」を テーマとしました。3D プリンタの紹介から始まり、データ作成方法、取り扱い、印刷手順 を実習形式で学び、今後業務で利用できる物品の作成等に役立てていくことにしました。 2 概要 <日時> 平成 28 年 3 月 11 日(金) <場所> 理学研究科講義室( B202、B208 号室 )、技術部室( B220 号室 ) 演習の進め方としては、オリエンテーション、技術部運営委員長の挨拶が終了した後、 まず 3D プリンタに詳しい技術職員 4 名が講義を行いました。講義内容は、3D プリンタの 紹介、3 種類の 3D データ(分子モデル、CG、CAD)に関するものです。今回の演習では、 3 種類の 3D データを作成することから 3D データ作成実習に入る段階で 3 班に分かれ、各 講義室に移動しました。班分けについては、事前にどの種類の 3D データの作成を希望す るか調査しそれに基づいて行いました。 各講義室に移動した後は、講師となった技術職員が実習をリードして、3D データ作成 と 3D プリント実習を行いました。研修参加者が 3D データ作成に使用する PC は各自用意 して、必要なソフトウェアは、学内演習前日までに予めインストールしておきました。班 によっては、当日までに何度か演習を行い、ソフトウエアにある程度慣れたところもあり ます。実習で講師を担当した技術職員の講義内容や各班の実習内容については以下の通り です。 <1 班(分子モデル)> 化合物の分子モデルの 3D データを作成・印刷する方法の講義および実習をしました。 一般的に 3D データの作成には、高度な技術が必要となる 3D CAD や 3D モデリングのソフ トウエアを用いています。今回、それらのソフトウェアは用いず、簡単な方法で化合物の 分子モデルの 3D データを作成する方法を実習しました。分子モデルで一般的なボール& スティックモデルの 3D データを作成しました。ソフトウェアは非営利、非商業的には無 料で使用できるものを利用しました。ソフトウェアの本来の使用方法とは異なりますが、 ACD ChemSketch、BIOVIA Discovery Studio Visualizer、UCSF CHIMERA、Autodesk Meshmixer を組み合わせ、化学構造式から分子模型のデータ(STL 形式)を作成・エラー修正を行い ました。最後にフィラメント交換などの基本的な 3D プリントの操作を含め、MakerBot Desktop を用い印刷データを作り、実際に 3D プリントを行いました。理学研究科では化学 専攻、高分子専攻をはじめ、研究対象に化合物を取り扱う研究室も多くあります。今回の 実習が理学研究科・大阪大学の研究支援の一環になることを期待しています。 <2 班(CG)> 2 班では Blender というソフトにより 3DCG モデルの製作を行いました。Blender は無料 ながら 3D モデルの作成だけでなく、レンダリング、アニメーション制作、コンポジット 機能も備える多機能なもので、有志の手より日本語にも対応しています。また windows だ けでなく Mac、Linux など多くの OS に対応しているのも特徴です。 今回の実習では初歩的な機能を用いてテントウムシや名札など比較的簡単なもので操作 方法を覚えながらゆっくりと作りました。まずは視点操作、立方体や球などのオブジェク トの追加方法、オブジェクトの回転・移動、変形など基本的なことから練習していきまし た。 マウスの決定ボタンが左右逆だったり UI が特殊なことと、そもそも 3D 製作が初めてと いう方が多かったので最初は戸惑われたと思いますが「慣れ」の問題が大きいですので研 修後もときどき触ってもらえたらと思います。 残念ながら今回は時間内に課題を完成させられた方が少なかったのが反省点です。事前 に課題を与えて演習前に何度かソフトウェアを触ってきてもらうようにすべきでした。 <3 班(CAD)> 講義では、機械系 3D CAD(3-dimensional Computer Aided Design system)について簡単に 説明を行いました。2D CAD が、正面図、平面図、側面図から全体を自分の頭の中でイメ ージングするのに対し、3D CAD では、コンピューター上で 3 次元の物体を創造していき ます。今回の学内演習では、それぞれ異なったモデリングの手法について、3 つのグルー プに分かれましたが、そのうち良く似た 3D CAD と 3D CG(3-dimensional Computergraphics) との違いについて簡単に説明することで、それぞれの長所と短所を示しました。それぞれ が目指す 3D モデルの形状によって、CAD、CG、その他専用ソフトを選択利用するのが時 間的にも効率が良いと思います。 3D CAD「DesignSpark Mechanical」は、RS Componets 社が米 SpaceClaim と共同で開発さ れた機械設計用 3D CAD ツールで、ダイレクトモデリング方式が採用されており、「プル」 「移動」「フィル」「組み合わせ」の 4 つのコマンドを使用して直感的に 3D 形状を描画で きます。登録が必要ですが、インターネットに接続することが出来れば、商用も含めた完 全にフリーなソフトです。また 3D プリントのためのモデリングだけでなく、PDF 保存す る事で、この CAD ソフトをインストールしていない人でも、3D モデルとして見ることが 出来ます。入門者には打って付けであると判断し、今回演習に採用しました。 DesignSpark Mechanical のインストールと設定、基本的な操作方法の説明と、簡単なモデ リング(プル機能、移動、断面図)方法について講習しました。 演習では、大阪大学のロゴマークと文字を立体化してプレート上に配置したモデルを作 製しました。 完成した 3D データは、スライスソフト Kisslicer(フリー)で、3D 印刷のためのデータに 変換(スライス)を行い、同様の 3D プリンタ制御ソフト Printerface(フリー)により、Genkei 社 atom3D プリンタ組立キットを用いて出力を行いました。 ① ロゴマークの作成 ② 文字の立体会 ③ 貼り付けるプレートの作成 3 まとめ 3D プリンタは、業務に役立つものを多く作製できるだけでなく、施設見学等の社会貢献 活動でも活用できます。3D データの作製、プリントを実際に行うには、ソフトウエアの使 い方や 3D プリンタの取り扱い方についてよく知っておく必要がありますが、今回の学内 演習では、その最初の一歩を踏み出せたように思います。これからもこの演習で得られた 知識を活用して 3D プリンタに慣れて技術職員として理学研究科に貢献できるよう努力し ていきたいと思います。 技術部運営委員長挨拶 講義「3D プリンタの紹介」 2 班(CG)の実習 3 班(CAD)の実習 1 班(分子モデル)の実習 修了証授与