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三平方の定理 1

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三平方の定理 1
中高一貫コース
中学 3 年
数 学
ハイレベル・スタンダード
「要点」見本
*「要点」は『Z Study サポート』に 1 年分をまとめて掲載。実際の教材ではサイズは B5 です。
AM0311981A-01
三平方の定理 1
1
三平方の定理
ここでは,直角三角形の辺の長さの関係について学習してみましょう。
POINT
N 三平方の定理(ピタゴラスの定理)
A
直角三角形の直角をはさむ 2 辺の長さを a,b とし,斜辺の
c
b
長さを c とすると
a2 + b2 = c2
B
C
a
が成り立つ。これを三平方の定理(ピタゴラスの定理)という。
O 直角三角形の辺の長さ
直角三角形の 2 辺の長さがわかれば,残りの辺の長さは,三平方の定理を利用して求めるこ
とができる。直角をはさむ 2 辺の長さを a,b とし,斜辺の長さを c とすると
・ a,b が与えられたとき
c=
a2 +b2
・ b,c が与えられたとき
a=
c2 −b2
P 三平方の定理の逆
三角形の 3 辺の長さ a,b,c の間に
a2 + b2 = c2
の関係が成り立つとき,この三角形は長さ c の辺を斜辺とする直角三角形である。
右の図のように,合同な直角三角形を 4 つ使って 1 辺が a + b の正方形
a
b
をつくるとき,内部に 1 辺が c の正方形ができ,面積に注目すると三平方の
b
定理を導くことができます。
a
2
1
2
2
2
2
_ a+b i = c 2 ×a×b m ×4+c より a +b =c
a
c
2
b
なお,線分 AB の長さの 2 乗を AB のように表すことがあります。したが
って,三平方の定理を,∠ C = 90 °の直角三角形 ABC において
2
2
BC + CA = AB
b
a
2
が成り立つと表すこともできます。
それでは,三平方の定理を利用して,実際に直角三角形の辺の長さを求める練習をしてみましょう。
1
三平方の定理
右の図のように,∠ C = 90 °の直角三角形 ABC の辺 BC 上に
点 D がある。AB=5
A
5 cm,BD = 6cm,DC = 4cm のとき,
5 5 cm
AD の長さを求めなさい。
B
6cm
D
4cm
C
AM0311981A-02
U ADC は直角三角形であるから,AC の長さがわかれば AD の長さが求められる。そこで,ま
ず,U ABC に注目し,三平方の定理を利用して,AC の長さを求める。
U ABC で三平方の定理より
AC= _ 5 5 i −10 2 =5(cm)
2
[AC は直角をはさむ 2 辺のう
ちの 1 辺である。
←AC= AB 2 −BC 2
さらに,U ADC で三平方の定理より
AD=
4 2 +5 2 =
[AD は斜辺である。
41 (cm)←AD= DC 2 +AC 2
41 cm (答)
次に三平方の定理の逆を使って,直角三角形かどうかを判断する練習をしてみましょう。
2
三平方の定理の逆
4 cm, 6 cm,2 5 cm を 3 辺とする三角形は直角三角形であることを証明しなさい。
直角三角形ならば,最も長い 6 cm の辺が斜辺になる。したがって,4 + _ 2 5 i と 6 の値
2
2
2
が等しいかどうかを調べればよい。
[ 4<2
3 辺のうちで最も長い辺は, 6 cm の辺であるから
4 + _ 2 5 i =16+20=36
2
2
2
6 =36
2 乗と,残りの 2 乗
4 最も長い辺の
の和を比べる。
よって,4 + _ 2 5 i =6 が成り立つので,直角三角形である。
2
2
5 <6
2
[ 6 cm の辺が斜辺になる。
(証明終)
チェック問題
次の図の x の値を求めなさい。
¸
¹
x
x
5
2
17
4
解答
¸ x= 4 2 +2 2 = 20 = 2 5
(答)
¹ x= ` 17 j − ` 5 j = 12 = 2 3
2
2
(答)
練習問題へ
AM0311981A-03
2
特別な三角形
ここでは,よく使われる特別な直角三角形の辺の比について学習してみましょう。
POINT
N 特別な直角三角形
② 30 °
,60 °
,90 °
の直角三角形
① 直角二等辺三角形
45°
30°
2
2
1
3
60°
45°
1
1
1:1: 2
1: 3 :2
③ 整数比の辺をもつ直角三角形
5
13
3
5
4
12
3:4:5
5:12:13
②の 30 °
,60 °
,90 °
の角をもつ直角三角形は,正三角形を 1 つの中線で切
り分けたときにできる図形です。したがって, 1 辺の長さが a の正三角形の高
3
a であることがこの辺の比からわかるので,その面積は
さは
2
3
3 2
1
×a×
a より a
2
2
4
60°
a
─
2
で表されます。正三角形の面積の公式として,覚えておいて下さい。
それでは,特別な直角三角形の辺の比を使った練習をしてみましょう。
3
特別な直角三角形の辺の比
次の図の x の値を求めなさい。
¸
A
¹
6
A
45゜ D
15
13
12
B
30゜
x
C
30°
a
B
H
x
C
3
─a
2
AM0311981A-04
¸ U ABD は直角二等辺三角形,U BCD は 30 °
,60 °
の角をもつ直角三角形であるから, 3 辺
のうちの 1 辺の長さがわかると残りの辺の長さも求められる。ここでは,共通の BD の長さを
調べると,x の値が求められる。
¹ U ABH と U ACH に分けて,それぞれがどのような辺の比をもつ直角三角形であるかを調べ
てみるとよい。
¸ U ABD は直角二等辺三角形より
AD:BD=1: 2 ←1:1: 2 の辺の比をもつ。
6:BD=1: 2 BD=6 2
U BCD は 30 °
,60 °
の角をもつ直角三角形より
BC:BD= 3 :2 ←1: 3 :2の辺の比をもつ。
[ 2x=6
x:6 2 = 3 :2 x=3 6
3 6
6
(答)
¹ 直角三角形 ABH において,斜辺は AB であり
AH : AB = 12 : 15 = 4 : 5
よって,BH : AH : AB = 3 : 4 : 5 の直角三角形なので
BH=
3
3
AH= ×12=9
4
4
[ BH : AH = 3 : 4
また,直角三角形 ACH において,斜辺は AC であり
AH : AC = 12 : 13
よって,CH : AH : AC = 5 : 12 : 13 の直角三角形なので
[ CH : AH = 5 : 12
CH = 5
ゆえに, x = BH + CH = 9 + 5 = 14
14 (答)
チェック問題
次の x の値を求めなさい。
¸
¹
4
º
6
60゜
8
3
45゜
x
x
x
解答
¸ 4:x=1:
2
x=4
2
(答)
¹ 直角をはさむ 2 辺の辺が 6 : 8 = 3 : 4 より
º 3:x=1:
3
x=3 3
6:x=3:5
x = 10 (答)
(答)
練習問題へ
AM0311981A-05
3
三平方の定理の応用
(高校内容)
ここでは,三平方の定理を利用して,三角形の辺の間に成り立つ関係について学習してみましょう。
POINT
N 三角形の角と辺
C
VABC の∠ A,∠ B,∠ C に対する辺の長さをそれぞれ a,
b,c とするとき,次の関係が成り立つ。
2
2
2
2
2
2
2
2
2
b
a
① ∠ C < 90 ° a + b > c
② ∠ C = 90 ° a + b = c
A
③ ∠ C > 90 ° a + b < c
B
c
A
O 中線定理(パップスの定理)
VABC の辺 BC の中点を M とすると
AB2 +AC2 =2 ` AM2 +BM2 j
が成り立つ。
B
M
C
Nの②は,三平方の定理とその逆です。そして,等号が成立しないときの角と辺の関係を表したものが①
と③です。このことから,三角形の 3 辺の長さがわかれば,鋭角三角形か,直角三角形か,鈍角三角形かを
知ることができます。
また,Oは三角形の中線と 3 辺の長さに関する定理です。頂点 A から辺 BC に垂線 AH をひいたとき,
点 H が線分 MC 上にある場合について,説明してみましょう。
BM = CM = x,HM = y,AH = h とすると,三平方の定理より
A
AB 2 = _ x+y i +h 2 , AC 2 = _ x−y i +h 2
2
2
よって, AB 2 +AC 2 = _ x+y i +h 2 + _ x−y i +h 2
2
2
h
=2 ` x +y +h j
2
2
2
=2 ` AM +BM j
2
2
M
2
2
2
2
← y +h =AM ,x =BM
2
B
x
y H
x
C
となります。点 H が線分 BM 上,BC の延長上,CB の延長上のいずれの場合でも証明ができます。これらの
場合については,各自で考えてみて下さい。
それでは,三角形の 3 辺の長さから,その三角形を角によって分類してみましょう。
4
三角形の角と辺
次のような 3 辺の長さをもつ三角形は,鋭角三角形,直角三角形,鈍角三角形のどれですか。
¸
5 cm, 6 cm, 8 cm
¹
6 cm, 3 cm, 14 cm
最も長い辺の長さの 2 乗と残りの 2 辺の長さの 2 乗の和を比べ,最も長い辺に対する角の大き
さが鋭角か,直角か,鈍角かを調べる。
AM0311981A-06
¸ 最も長い辺の長さは8cmであり
5 2 +6 2 =25+36=61<8 2
N 最も長い辺の長さの2乗と,
O
O 残りの2辺の長さの2乗の和
O を比べる。
P
より,この辺に対する角の大きさは鈍角であるから
鈍角三角形 (答)
鈍角三角形
¹ 最も長い辺の長さは
14 cm であり
_ 6 i +3 =6+9=15> _ 14 i
2
2
2
より,この辺に対する角の大きさは鋭角であるから
鋭角三角形 (答)
鋭角三角形
[三角形では,最も長い辺に対
する角が最も大きいので,内
角はすべて鋭角になる。
次に,中線定理を利用して,三角形の中線の長さを求める練習をしてみましょう。
5
中線定理
AB = 7cm,BC = 10cm,CA = 9cm の U ABC がある。辺 BC の中点を M とするとき,AM の
長さを求めなさい。
中線定理 AB +AC =2 ` AM +BM j に,AB = 7,AC = 9,BM=5 を代入して AM の長
2
2
2
2
さを求める。
中線定理より
7 2 +9 2 =2 ` AM 2 +5 2 j ←AB 2 +AC 2 =2 a AM 2 +BM 2 k
2AM 2 =80 AM 2 =40
[ 49 + 81 = 2AM + 50
2
AM > 0 より
AM=
40 =2 10 (cm)
2 10 cm (答)
チェック問題
AB = 5cm,BC = 6cm,CA = 7cm の U ABC について,次の問いに答えなさい。
¸ この三角形は,鋭角三角形,直角三角形,鈍角三角形のどれですか。
¹ 辺 BC の中点を M とするとき,AM の長さを求めなさい。
解答
¸ 5 + 6 = 25 + 36 = 61 > 7 より
2
2
¹ 中線定理より
AM > 0 より
2
鋭角三角形 (答)
5 +7 =2 a AM +3 2 k
2
AM=
2
2
AM2 = 28
28 = 2 7 (cm) (答)
練習問題へ
AM0311981A-07
4
平面図形への利用
ここでは,三平方の定理を利用して,長方形の対角線の長さや座標平面上の 2 点間の距離の求め方を学習
してみましょう。
POINT
N 長方形の対角線の長さ
b
縦の長さが a,横の長さが b の長方形の対角線の長さは
a 2+b 2
a2 +b2
a
で求められる。とくに, 1 辺の長さが a の正方形の対角線の長さは
2a
である。
O 座標平面上の 2 点間の距離
y
座標平面上の 2 点 A
(x1,y1)
,B
(x2,y2)
を結ぶ線分 AB の
y2
(x )
B
2,
y2
長さは
_ x 2 −x1 i + _ y2 −y1 i
2
│y2− y│
1
2
y1
で求められる。
y1
A(x )
1,
x1
O
│x 2 −x 1│ x2
x
Oは,点 A,B を通り座標軸に平行な直線をそれぞれ引くことで,直角三角形をつくることができます
(長方形を考えてもよいでしょう)
。そこで,三平方の定理の利用を考えればよいわけです。
なお,原点 O と点 A(x1,y1)との距離(線分 OA の長さ)は
x 12 +y 12
で求められます。
それでは,長方形の対角線の長さを求める練習をしてみましょう。
6
長方形の対角線の長さ
次の各問いに答えなさい。
¸ 縦の長さが 4 cm,横の長さが 10cm の長方形の対角線の長さを求めなさい。
¹ 対角線の長さが 8 cm の正方形の 1 辺の長さを求めなさい。
¸ 縦が a cm,横が b cm の長方形の対角線の長さは
a 2 +b 2 で求められるから,これに
a = 4,b = 10 を代入する。
¹
1 辺の長さを x cm とすると, 2 x=8 が成り立つ。
¸ 4 2 +10 2
←縦 が a ,横 が b の長 方 形 の対 角 線 の長 さは
= 116
= 2 29 (cm)
a 2 +b 2
[
2 29 cm (答)
16+100
AM0311981A-08
¹ 正方形の 1 辺の長さを x cm とすると
2 x=8
← 1 辺が a の正方形の対角線の長さは
2 a
x=4 2 (cm)
[ x=
8 2
8
=
2
2
4 2 cm (答)
次に,座標平面上の 2 点間の距離の求め方を練習してみましょう。
7
座標平面上の 2 点間の距離
点 O を原点とする座標平面上に, 2 点 A(3,5)
,B(− 1,4)がある。このとき,U OAB はど
んな三角形になりますか。
点 O を原点とする座標平面上に 2 点 P(x1,y1)
,Q(x2,y2)があるとき
PQ= _ x 2 −x 1 i + _ y 2 −y 1 i , OP=
2
2
x 12 +y 12
になる。これを利用して,U OAB の 3 辺の長さを調べる。
3 辺の長さはそれぞれ
OA= 3 2 +5 2 = 34
OB= _ −1 i +4 2 = 17
2
N
O P _ x 1 ,y 1 i のとき
O
O OP= x 2 +y 2
1
1
O
P
AB= _ −1−3 i + _ 4−5 i = 17
2
2
[ _ −4 i + _ −1 i
2
↑P _ x 1 ,y 1 i ,Q _ x 2 ,y 2 i のとき
PQ=
_ x 2 −x 1 i + _ y 2 −y 1 i
2
2
ここで,OB = AB であり,_ 17 i + _ 17 i = _ 34 i より
2
2
2
2
2
2
OB + AB = OA
よって,U OAB は∠ B = 90 °
の直角二等辺三角形である。
[三平方の定理の逆が成り立つ。
[どの角が 90 °になるのかも
示しておくとよい。
の直角二等辺三角形 (答)
∠ B = 90 °
チェック問題
¸ 縦の長さが 4 cm,横の長さが 2 5 cm の長方形の対角線の長さを求めなさい。
,B(1,2)があるとき,線分 AB の長さを求めなさい。
¹ 座標平面上に 2 点 A(− 3,5)
解答
¸
42 + ` 2 5 j =
¹
# 1− _ −3 i - + _ 2−5 i =
2
2
36 = 6(cm)(答)
2
2
25 = 5(答)
練習問題へ
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