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REACH EC 1907/2006規制の影響

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REACH EC 1907/2006規制の影響
産業サービス –REACH 白書
REACH EC 1907/2006規制の影響
サプライチェーンにおいてREACHが輸出者に与える影響の分析
産業サービス –REACH 白書
はじめに
REACH規制は、2007年に施行され、2010年12月および2013
これは完全に間違いではないのですが、欧州外の企業
年5月の2回の登録締め切りを経て、欧州の企業および欧州外
も、REACHに直接対処すること、そして欧州でのビジネスへ
のサプライチェーンへの法的要求面での影響が明確に見えて
で起こり得る影響を理解することの利点を認識しなければな
きました。
りません。
欧州の中小企業は、REACHを最も負担の大きいEU法だと捉
この報告書では、サプライチェーンにおいてREACHが輸出者
えています。多くの欧州の企業は、欧州外のサプライヤーに
に与える影響を分析し、欧州の輸入者が一般的に何を求めて
登録の責任を持たせようとして、欧州外のサプライヤーが規
いるかについて説明しています。
制の要求事項について誤解をしてしまうこともあります。
同時に、この報告書では、欧州外の企業のリスクを分析して
欧州外のサプライヤーからは、「REACHは欧州の規制なの
おり、REACH要求事項、特に欧州市場内のビジネス・チャン
で、欧州の企業がその法的要求に対応すべきだ」という反応
スに関するものをよりよく理解することができるでしょう。
がよく見られます。
REACH規制の段階的導入による登録スケジュール
REACH 規制の施工期日
施行日 2007年6月
予備登録
2008年6月1日~12月1日
+18ヶ月
2010年12月までに導入
≥ 1000 t/年
≥ 100 t/年(水生環境に悪影響を
及ぼしえる物質)
≥ 1 t/年(CMR*)
2013年6月までに導入
≥ 100 t/年
+3.5年
2018年6月までに導入
≥ 1t/年
+6年
+11年
2008
2009
2010
2011
2012
2013
REACHの目的は?
▪▪環境およびヒトの健康を高い水準で保護することを確保する
▪▪化学品のリスクを特定し、最小限に抑える
▪▪化学物質の特性を公開して、その透明性を生み出す
▪▪物質の危険有害性評価のための代替方法を促進して、動物実験の数を減少させる
2014
2018
産業サービス –REACH 白書
REACHとは
REACHとは、欧州共同体(EC)の化学物質の登録、評
価、認可、制限に関する安全および環境規則です。2007年
6月1日に施行され、メーカーおよび輸入者は、EU内で年
間1トン以上の量を製造した場合や、EUに年間1トン以上の
量を輸入した場合には、ヘルシンキに本拠がある欧州化学
品庁(ECHA)に対し登録を行わなければならなくなりま
した。
REACHは化学品の規制と捉えられることが多い一方、EUに輸
入される成形品(article)、プラスチックや金属製品にも適用
されます。要するに、EUへ輸出される製品はどんなものであ
ってもREACH規制の要求事項を満たさなければなりません。
欧州の法人は、REACH一式文書の提出を要求されます。欧州
外の企業がREACHに対応する場合には、二つの選択肢があ
ります。自社の欧州の法人を使用するか、または欧州の法人
にいわゆる「唯一の代理人」(OR)を依頼するかのいずれかで
す。OR企業は、欧州市場での製造または欧州市場への輸出
を行う依頼企業に代わり、REACH規制に従ってすべての業務
および義務を引き受けます。
ORにとって、欧州の輸入者に関する最新情報を把握するこ
とは、重要かつ大切な義務のひとつです。ORには、正確な
生産量が知らされなければならず、また、欧州の規制に適合
した安全性データシートも、必要不可欠です。
OR(唯一の代理人)の役割を提供する会社の中には、法的
に課された義務を見過ごし、その結果、各国の当局の検査を
受ける際に、欧州外の企業のREACH適合性を実証することが
できないケースが多く見られます。2013年までに完了した登
録のうち、23%がORの申請したものであることは注目すべ
き点です。
この高い割合が示す通り、登録総数の4分の1が欧州外の企
業によって申請されたものだということになります。ORに
は、欧州外の企業がこれを利用するだけのメリットがありま
す。トン数の大きい化学物質に関する登録手続きを実施する
際に、登録一式文書に必要な情報は、より詳細でなければな
りません。化学物質の本当の危険有害性を評価することこそ
がREACHの主要目的であるからです。
要求される調査は、次のものです。
• 生理学的化学物質試験
• 毒物学的調査
• 生態毒性調査
使用(use)に関する情報が入手できない場合には、様々な
試験を行わなければならず、登録の費用も、それに伴い増加
します。実際に、トン数の最も大きい枠(≥ 1000 t/年)にある
物質では、まったく既存情報がない場合の調査費用は、簡単
に150万ユーロに達してしまいかねません。
たとえ、複数の企業が同じ物質を登録するので、その費用を
分担するとしても、REACH規制の下における登録は、それで
も欧州の企業にとって大きな問題です。というのは、REACH
規制にうまく適合するには、費用の投入だけでなく、知識や
時間も必要となるからです。
製造業者の義務
輸入業者の義務
▪▪ REACH登録の義務
▪▪ 情報伝達の義務
▪▪ 安全使用に関する情報伝達
▪▪ 顧客への情報伝達の義務
▪▪ 必要に応じて、REACH認可
▪▪ REACH登録の義務
▪▪ 情報伝達の義務
▪▪ 安全使用に関する情報伝達
▪▪ 必要に応じてREACH認可
▪▪ 告知 成型品に含まれる高懸念物質(SVHC)
▪▪ 情報伝達の義務(成型品に含まれるSVHC)
販売業者の義務
川下ユーザーの義務
▪▪ サプライチェーンに従い、情報を川下に伝達する義務
▪ ▪ 安全使用に関する情報の安全性データシートへの
▪▪ 用途の情報伝達
▪▪ MSDSからの情報の適用
▪▪ 特定用途の場合の化学品安全報告書の準備
転記(川下に)
▪▪ 使用条件の転記(川上に)
産業サービス –REACH 白書
欧州の輸入者が求めること
REACH規制の法的要求は、物質(物質自体または調剤に含
まれる物質)に適用されます。すなわち、欧州の輸入者が
REACHへの登録を行おうとする際には、輸入製品の組成につ
いて詳細な情報が必要となります。この情報がないと、欧州
の輸入者は、REACH規制に適合することができません。
同様の問題は、安全性データシート(MSDS)でも見られま
す。欧州委員会は、いわゆるCLP規制第1272号/2008を導入
しています。CLP規制は。物質および混合物の分類、表示や
包装までをカバーしており、この規則は、GHSのため、国連
の勧告に基づいて導入されたものです。
多くの場合、物質や調剤に関する情報は、機密事項となって
います。欧州外のサプライヤーにとっては、ORを起用する
ことによりこの情報の機密を保護することが可能になりま
す。自ら登録を行う選択肢もあります。代理人を利用するこ
とにより、製品の財産価値が保護され、輸入者のREACH適合
の負担がなくなり、EU輸入者の希望するREACH適合製品を
提供することが可能になります。
製品のMSDSは、REACHおよびCLPの両規制従をなければ
なりません。繰り返しになりますが、CLP規制でも組成に関
する情報がなければ、欧州の企業は、十分に適合したMSDS
を作成することができず、欧州各国の当局の検査が行れる際
に、膨大な罰金を科される可能性もあります。.
REACH対象の産業
▪▪ 化学産業
▪▪ スポーツ用品産業
▪▪ 織物および革製品産業
▪▪ 玩具産業
▪▪ プラスチック加工産業
▪▪ リサイクル産業
▪▪ 化粧品産業
▪▪ 電気工学産業
▪▪ 食品産業
▪▪ 精密器械産業
▪▪ 石油精製産業
▪▪ 光学産業
▪▪ 印刷産業
▪▪ エンジンおよびプラント製造産業
▪▪ 家具産業
欧州外のサプライチェーンへの影響
REACH規制について認識が全般的に不足している欧州外の企
業も多く、輸入者のREACH適合に関する義務について深刻か
つ重大な問題が起こり、ビジネスに多大な悪影響を及ぼす可
能性があります。実際、輸入者に登録の義務が引き渡された
場合には、これらの輸入業者は、それぞれREACHの要求事項
を満たさなければならなくなります。
ライヤは、ビジネスチャンスを失って行くことになります。
将来のビジネスを考慮すると、新たな製品の最初の輸入に
あたっては、その製品を将来使用することになるかも知れ
ない顧客も、REACHの要求事項を満足していなければなり
ません。法的な要求事項によって、欧州のバイヤーの決定
手続きが遅れ、契約を失う可能性すらあります。バイヤー
が、REACH規制の要求事項をこれから満たすことになる製品
よりも、既にREACH規制の要求事項を満たしている製品を選
ぶからです。
サプライチェーンにおいてはREACH規制に関する情報がます
ます重要になっており、EUの境を越えて企業間で情報が共有
されるようになっています。実際に、自社の顧客にREACHの
適合を保証するため、原材料のサプライヤーにREACHの適合
を要求する欧州外の国に所在する企業(主に配合企業)がま
すます増えています。
REACH規制を考える上で重量なポイントの1つは、欧州の輸
入者が行う登録において、輸入者の社名だけが記載されるこ
とです。これはサプライヤーが何社かかわっていても、変わ
らず、関係サプライヤーの所在地についても同様です。欧州
の輸入業者は、物質の提供にあたり、より柔軟な対応をする
ことができるため、REACH規制の要求事項を満たさないサプ
しかしながら、欧州外の企業は、欧州の輸入者を登録責任か
ら外すと、自らREACH適合性の責任を負うことになり、欧州
の顧客と一層深い関係を築き、お互いにメリットのある状況
が作ることができます。
このような方法は、サプライチェーンにおいてREACH規制が
認識されている国でよく見られ、特にREACHに類似する規制
を短期に取り入れている国で顕著です。世界で最も難解なが
ら、最も包括的な化学物質に関する規制とみられるREACH規
制ですが、多くの国で採用され、または類似の各国法律の導
入が検討されています。
産業サービス –REACH 白書
化学品の管理は、段階的に整合され、欧州のREACH規制を理
解し、これに精通している企業は、必ずやREACHに類似する
規制にも自信を持って対応できるでしょう。
REACH規制の主要原則の一つに、「no data, no market」が
あり、EU諸国に、あらゆる場合に、REACHの適合を要求し
ています。登録番号がなければ、製品の輸入ができません。
欧州のすべての国では、欧州各国の当局および税関職員が大
規模にREACH検査を実施しています。
REACH適合性が費用や人的資源等を必要とするため、
REACHを調達プロセスの重要な要因の一つと考えている欧
州企業の数が増えています。
ンスがはるかに高くなります。多くの欧州外の企業は、製品が
REACH規制の要求事項を満たしている点をセールス・ポイント
として強調しています。従って、欧州のREACH規制は、単に欧
州の顧客が満たすべき法的要求事項というだけではなく、将来
の欧州でのビジネス・チャンスを考える戦略的意思決定の不可
欠な要素です。
欧州外の企業は、従って、少なくともまずREACHに適合が必
要な自社製品の状況を分析し、将来のビジネスへの影響を想
定することになります。テュフ ラインランドグループは、世
界中の企業を、REACH規制の下での義務、チャンス、リスク
などを確定し、その製品のREACH適合を達成して、外部にあ
って、中立な立場のパートナーとしてサポートしています。
私たちの専門性をお役立てください
・貴社製品の化学物質に必要な登録業務を的確にサポートし、スムーズな欧州市場への進出をお手伝いします。
・経験豊富なREACH登録の専門家がサポートします。
・効果的な費用と信頼性とで、REACHコンプライアンスを実現します。
・書面化した安全基準に従い、貴社の賠償責任のリスクを最低限に抑えます。
・貴社の製品とサービスの品質への信頼性を高めます。
・貴社の費用と人的資源を一層効率よく活用することができます。
・テュフ ラインランドのワンストップサービスで、他の関連サービスも活用いただけます。
テュフ ラインランド グループ
・テュフ ラインランド グループは、世界66ヶ国に拠点を持ち、約18,000人が従事しています。
・第三者検査のエキスパートとして、品質、安全、環境、テクノロジーを支えています。
・産業用装置や製品、サービスの検査だけではなく、プロジェクト管理や企業のプロセス構築もサポートしています。
・企業の社会的責任ならびに企業倫理の達成に真摯に取り組んでいます。
・テュフ ラインランド グループは、第三者認証機関として、140年以上の経験があります。
・テュフ ラインランドは、2006年から国連グローバル・コンパクトに参加しています。
お問い合せ
テュフ ラインランド ジャパン株式会社
〒222-0033 横浜市港北区新横浜3-19-5
新横浜第二センタービル
Tel. 045-470-1860 Fax 045-473-5221
カスタマーサービスセンター [email protected]
東日本地域 Tel: 045-470-1850
西日本地域 Tel: 06-6355-5400
® TÜV, TUEV and TUV are registered trademarks. Utilisation and application requires prior approval. I.06TD001jaDE15051.0
これにより、REACH規制の要求事項を満たしている製品は、
満たしていない製品と比較して、欧州市場でのビジネス・チャ
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