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県立病院改革に関する計画 移譲及び公設民営化 [PDFファイル
県立病院改革(移譲及び公設民営化) に関する計画 平成 15年 10月 福 岡 県 目 次 はじめに 第1 第2 第4 1 これまでの県立病院改革の総括 1 第一次、第二次県立病院改革計画の取組 ……… 2 2 医療環境の変化と県立病院の医療機能 ……… 3 3 県立病院の経営状況 ……… 4 4 各県立病院の現状 ……… 6 県立病院改革の基本方針 1 第3 ……… 朝倉病院、柳川病院、嘉穂病院、遠賀病院の移譲 ……… 8 2 太宰府病院の公設民営化 ……… 8 3 実施スケジュール ……… 8 4 地域医療の確保等 ……… 9 改革の進め方 1 移譲先の選定 ……… 9 2 太宰府病院の指定管理者の選定と管理方策 ……… 9 3 地域医療の維持・向上 ………11 4 職員処遇 ………12 5 資産譲渡の特例及び支援措置 ………13 6 移譲に伴う財務整理 ………13 当面の経営健全化 ………14 はじめに 福岡県の県立病院事業は、平成5年度から14年度までの二次10年間に わたり県立病院改革を実施し、診療機能の見直しや経営改善の取組を進め てきた。 しかし、経 営 状 況 をみると、平 成 14年 度 決 算 では、医 業 収 支 比 率 は 71.4%であり、一般会計から多額の繰入を行っても純損益は赤字である。 さらに、累積欠損金は約137億1千万円、不良債務額は約27億9千万円に 上っており、今後の厳しい医療経営環境を考えると、更に経営状況は悪化す ると考えられる。 また、増大する長期借入金の問題や退職手当の引当ができないこと、新た な起債が発行できず改築ができない等多くの課題を抱えている。 このような経営状況の中で、県は平成14年9月に、福岡県行政改革審議 会から県立病院改革に関する答申を受けた。 答申内容は、深刻な経営状況の指摘と併せ、県立病院が果たしている医 療機能の評価や今後の経営形態の検討等もなされた上で、「消化器医療セ ンター朝倉病院、柳川病院、嘉穂病院及び遠賀病院の4病院は、現時点で 県立病院としての公的役割は希薄化しており、将来的にも、特に県立病院で なければならない必然性は認められず、地域医療の状況にも配慮し、移譲 を考えるべきである。」 「精神医療センター太宰府病院は、現在の公務員の 身分に基づく県直営のままでは問題点や課題の解決は難しく、公設民営方 式により病院経営の抜本的な改革を図る必要がある。」を主眼とするもので ある。 答申を受け、県は、今後の県立病院のあり方について様々な検討を行っ てきたが、県直営での改革は困難と判断し、答申に沿った形での抜本的な 県立病院改革を進めていくこととした。 ※ 以下、「消化器医療センター朝倉病院」は「朝倉病院」、「精神医療センター太宰府病院」は「太 宰府病院」と記す。 1 第1 これまでの県立病院改革の総括 1 第一次、第二次県立病院改革計画の取組 本県では、平成5年度以降二次にわたって県立病院改革計画を策定し、 実施してきた。 (1) 第一次県立病院改革計画(平成5∼9年度) <主な取組> ・ 太宰府病院の機能見直しや遠賀病院老人性痴呆疾患病棟建設 ・ 施設改善や高度医療機器の整備 ・ 黒木病院の廃止と病床利用率を踏まえた病床規模の適正化 ・ 非診療部門の民間委託 ・ 職員定数の削減(5年間で90人削減)による人件費の縮減 ○ これらにより一定の経営改善が進んだが、平成9年度末の累積欠損金は約126 億1千万円、不良債務額が約51億9千万円と、根本的な経営改善は図れなかった。 (2) 第二次県立病院改革計画(平成10∼14年度) <主な取組> ・ 朝倉病院の肝・消化器医療センターへの転換 ・ 施設改善や高度医療機器の整備 ・ 病診連携の推進や平均在院日数短縮の取組 ・ 病床利用率を踏まえた病床規模の適正化 ・ 職員定数の削減(5年間で64人削減)による人件費の縮減 ○ 第二次県立病院改革計画では、病院ごとの機能転換と経営基盤の強化を目指した が、患者数は減少傾向にあり、経営的にも恒常的な赤字体質から脱却できない状 況が続いている。 ○ 県立病院事業の目標としていた平成14年度までの不良債務解消はできず、朝倉 病院、遠賀病院の改築計画策定に至らなかった。 ○ このような状況から、福岡県行政改革審議会に対して、抜本的な県立病院改革を 諮問することとなった。 2 2 医療環境の変化と県立病院の医療機能 本県の県立病院は、昭和6年に設置した太宰府病院(当時筑紫保養院) を除けば、戦後の医療提供体制が未整備の時代に、結核医療対策や地域 医療の不足を補うために設置された。 その後結核患者の減少に合わせ、随時一般医療に転換しながら、地域 医療に一定の役割を果たし、また、長年地域の中核的病院としての役割を 担ってきた病院もある。 しかし、民間を含めた医療施設の整備により、県内の医療提供体制の充 足度が質・量ともに高まるにつれ、地域医療で一定の役割は果たしているも のの、太宰府病院を除いては、県立病院としての存在意義や役割は希薄化 している。 (1) 福岡県の医療提供体制 ・ 4つの大学病院をはじめ、多くの大規模病院が開設され、医療提 供体制が充実している。 ・ 基準病床数に対する既存病床数は、ほとんどの2次保健医療圏 でオーバーしている。 ・ 特定機能病院、救命救急センター、地域医療支援病院、災害拠 点病院、感染症指定医療機関など、医療システムも整備されて いる。 (2) 県立病院の現状 ・ 一般医療は、診療圏が狭く、同規模の市町村立病院や民間病院 と同じような医療機能であり、県内の医療システムの中でも重要 な位置付けがなされていない。 ・ 精神医療では、太宰府病院に県の精神医療の中核施設としての 役割が求められるものの、十分に役割を果たしているとは言えな い。 ・ 結核医療は、県の拠点病院的な機能はなく、結核患者も減少傾 向が続いている。 3 3 県立病院の経営状況 県立病院は、地方公営企業法の適用を受け企業会計方式によっている。 病院の事業活動に伴う収益的収支の観点から見ても、資本的収支や資金 借入れ等の観点から見ても、深刻な問題点を抱えている。 ※ 収益的収支は、1会計年度における事業活動に伴う収入(診療収入、その他の医業収入、一般 会計からの繰入金など)と支出(給与費、材料費、経費、減価償却費など)である。 ※ 資本的収支は、支出の効果が中・長期に及ぶ建設改良費や資産購入費などの収入と支出であ る。 (1) 収益的収支の観点から見た主な問題点 ・ 平成14年度決算では、医業損益は約36億9千万円の赤字で 医業収支比率は71.4%である。一般会計から約38億3千万 円繰入れても、純損益は、なお約2億8千万円の赤字である。 特に、太宰府病院の赤字は大きく、一般会計から約13億円繰 入れても、なお赤字である。 ・ 累積欠損金は約137億1千万円に上り、恒常的な赤字体質か ら脱却できない状況で、今後も更に膨らむ構造にある。 ・ 赤字の主な要因は、低い医業収入と高い職員給与費である。 特に給与は、国より高い職務級に格付けされ、経営状況を全く 反映しておらず、医業収入に対する職員給与費比率は極めて 高くなっている。 ・ 本県では一般会計からの繰入の中に、退職手当等の補助金 が含まれているが、退職手当は本来病院事業収益から引き当 てるべきもので、地方公営企業としては健全な姿ではない。 ・ 平成13年度決算における主な経営指標を、本県と都道府県 平均とで比較すると、いずれも本県の方が厳しい状況にある。 ※ 医業損益 医業収入(入院収入、外来収入など診療に係る収入)から医業費用(職員 給与費、材料費、経費、減価償却費など診療に係る費用)を差し引いた額 ※ 純損益 総収入(医業収入に一般会計からの繰入金や補助金、土地売却益などを 加えたもの)から総費用(医業費用に支払利息や雑損失などを加えたも の)を差し引いた額 ※ 医業収支比率 医業費用に対する医業収入の割合 4 (参考) 自治体病院経営状況比較(平成13年度総務省決算方式) (単位:%) 医業収支比率 福 岡 職員給与費 一般会計繰入金 比 比 率 率 県(5病院) 75.3 83.6 28.0 都 道 府 県(227病院) 84.3 64.0 20.7 北 九 州 市(5病院) 89.7 61.1 14.0 福 市(2病院) 85.2 49.9 19.2 県 内 市 町 村 (13病院) 98.0 51.0 7.2 岡 ※ 職員給与費比率 ※ 一般会計繰入金比率 医業収入に対する職員給与費の割合 総収入に対する一般会計からの繰入金(負担金、補助金)の占める割合 (2) 資本的収支や資金借入れ等の観点から見た主な問題点 ・ 本来、病院事業収益の中から充てるべき病院事業債の元金の 1/3の償還や、施設改良・医療機器整備のための資金とし て、一般会計から長期借入金を借り入れている。借入金はこの 5年間で約9億9千万円増え、その残高は平成14年度末で約 51億9千万円に上っているが、返済の目途が立たない。 ・ 経営状況が悪く、積立金や内部留保資金が全くないことから、 長期借入金は今後も増える構造にある。 ・ 平成14年度末で約27億9千万円の不良債務を抱えており、 一般会計から毎年一時借り入れを繰り返しているという実態に ある。(平成14年度末一時借入金残高約43億1千万円) ・ 原則として医業収入に対する不良債務の比率(不良債務比率) が概ね10%を超えると、国の起債許可が受けられない。本県 は不良債務比率が30.3%と高く、許可が得られないため、改 築などの大規模な施設整備は行えない。 ※ 病院事業債 自治体病院においては、施設建設や改良、医療機器整備など設備投資にあ たって、病院事業債によることが多い。その償還にあたっては、元利償還金 の2/3を一般会計から繰り入れることが認められているが、残りの1/3は、 本来、病院事業収益の中から償還すべきものとされている。 ※ 不良債務 地方公営企業法で規定される概念で、流動負債が流動資産を上回ることを いい、キャッシュフロー上の事業運営資金の不足額を表す。 5 4 各県立病院の現状 病 院 の 概 要 経営状況(平成14年度) ・ 甘木朝倉地域の中核的医療機関としての役 ・医業収支比率 76.0% 割を担ってきたが、甘木朝倉医師会病院(地 収入 約18億2千万円 朝 域医療支援病院指定)が設置されて以降、そ 費用 約24億円 倉 の役割は限定的なものに止まっている。 病 院 ・職員給与費比率 ・ 平成12年度から肝・消化器医療の専門病院 院 ・昭和42年 改築 〔繰入金 約6億2千万円〕 △ 約7百万円 ・ 消化器、婦人科、泌尿器科などのガンに対す ・医業収支比率 病 150床 84.0% ・純損益 川 ・一般病床 への特化を図った。しかし、診療圏は近隣の ・一般会計繰入金比率 市町村に限られ、また、施設の老朽化もあ 25.3% り、入院患者は漸次減少してきている。 柳 主な施設 77.3% る医療を中心に、柳川・山門地域の中核的役 収入 約22億2千万円 割を担っているが、診療圏は近隣の市町村 費用 約28億7千万円 に限られている。 ・職員給与費比率 ・ 救急医療への取組を進めているが、平均在 ・一般病床 210床 ・昭和57年 改築 81.7% 院日数の短縮化等で、入院患者は減少して ・一般会計繰入金比率 いる。 24.3% 〔繰入金 約7億2千万円〕 ・純損益 △ 約9千万円 ・ 結核、じん肺等の呼吸器系疾患に対する医 ・医業収支比率 嘉 穂 83.2% ・一般病床 療を中心に、糖尿病やリウマチに取り組んで 収入 約19億6千万円 200床 いるが、診療圏は近隣の市町村に限られて 費用 約23億5千万円 ・結核病床 いる。 50床 ・職員給与費比率 ・ 病診連携の推進により患者紹介率はある程 73.8% 病 度高く、救急医療への取組も進めているが、 ・一般会計繰入金比率 院 入院患者は減少傾向にある。 21.3% 〔繰入金 約5億4千万円〕 ・純損益 6 約7千万円 ・昭和53年 改築 病 院 の 概 要 経営状況(平成14年度) ・ 結核などの呼吸器系疾患に対する医療や合 医業収支比率 69.7% 収入 約16億6千万円 200床 度からみどり病棟を設置し老人性痴呆疾患 費用 約23億8千万円 ・結核病床 医療に取り組んでいるが、診療圏は近隣の市 ・職員給与費比率 賀 町村に限られている。 院 ・一般病床 併症を有する高齢者医療のほか、平成7年 遠 病 主な施設 50床 93.9% ・ 結核患者の減少を反映し、結核の病床利用 ・一般会計繰入金比率 率は極めて低く、また、施設の老朽化もあり、 28.1% 入 院 ・外 来 とも患 者 は漸 次 減 少 してきてい 〔繰入金 約6億5千万円〕 る。 ・精神病床 50床 ・昭和42年 改築 ・純損益 △ 約1億3千万円 ・ 精神保健福祉法により県に設置義務がある。 ・医業収支比率 53.7% ・ 県の精神科救急システムの拠点・専門病院で 収入 約15億6千万円 あり、救急のほか、対応が難しい患者の受入 費用 約29億1千万円 を積極的に行うことが求められる。このため、 ・職員給与費比率 太 民間精神病院との協力・連携を進め、病床の 宰 有効利用を図る必要がある。 府 ・ モデル的医療への取組が弱い。 病 ・ 研修・教育機能への取組が不十分である。 院 ・ 5病院の中では、従来から最も厳しい経営が ・純損益 △ 約2億5千万円 続いている。 (土地売却益を除く) 132.5% ・一般会計繰入金比率 43.4% 7 〔繰入金 約13億円〕 ・精神病床 300床 ・平成13年 改築 第2 県立病院改革の基本方針 これまで述べてきたことから、県直営という現在の経営形態のままでの改 革は困難と判断し、次の基本方針に基づき、抜本的な県立病院改革を進め ていく。 1 朝倉病院、柳川病院、嘉穂病院、遠賀病院の移譲 ・ 朝倉病院、柳川病院、嘉穂病院、遠賀病院の4病院は、県立病院 としての役割は希薄化しており、診療機能の維持・向上や健全な 経営が期待できる医療機関等に移譲する。 2 太宰府病院の公設民営化 ・ 県に設置義務のある太宰府病院は公設民営化を行い、施設の 設置や整備、病院が担う医療機能等は県が開設者として責任を 持つ一方、診療業務を含めた病院の管理は、効率的な運営や健 全な経営のほか、民間精神病院との連携の強化が期待できる医 療機関等に行わせる。 3 実施スケジュール ・ 県立病院の移譲及び公設民営化は、施設の老朽化が著しい朝 倉病院、遠賀病院及び経営状況が極めて悪い太宰府病院を先 行して実施するものとする。移譲先等との協議や職員の意向聴 取などの期間を考慮し、平成17年春の実施を目標とする。 ・ これに向け、移譲先等の選定及び関係条例の制定等を進める。 ・ 柳川病院、嘉穂病院については、先行3病院の改革の進行状況 等を勘案し、移譲時期を決定することとする。 8 4 地域医療の確保等 ・ 主として県立病院が行ってきた医療については、移譲される病院 に引き継ぐなど、地域医療の確保を図る。 ・ 太宰府病院については、県の精神医療の中核施設としての役割 を果たすため、精神科救急医療システムの拠点・専門病院として の機能を中心に、医療機能の強化を図る。 第3 改革の進め方 1 移譲先の選定 ・ 移譲にあたっては、外部有識者等で構成する委員会の意見を聴 き、職員の雇用確保に十分留意しつつ、医療機関等の意向を聴 取した上で移譲先を選定する。 【委員会の設置】 ○ 移譲にあたっては、外部の有識者等で構成する委員会を設置する。 ○ 委員会は、県が移譲先を選定するにあたっての基本的事項について検討を行う。 【移譲先の選定】 ○ 県は、委員会の意見を聴き、職員の受入方針を含め医療機関等の意向を聴取した 上で移譲先を選定する。 2 太宰府病院の指定管理者の選定と管理方策 (1) 指定管理者の指定 ・ 公設民営化にあたっては、外部有識者等で構成する委員会の意 見を聴き、職員の雇用確保に十分留意しつつ、医療機関等の意 向を聴取した上で指定管理者を選定する。 ・ 指定管理者の指定にあたっては、地方自治法に基づき、必要な 条例等の制定を行った上、あらかじめ議会の議決を経て指定す る。 9 【委員会の設置】 ○ 公設民営化にあたっては、外部の有識者等で構成する委員会を設置する。(移譲に おける委員会と同一の委員会とする。) ○ 委員会は、県が指定管理者を選定するにあたっての基本的事項について検討を行 う。 【必要な条例等の制定】 ○ 平成15年6月に改正された地方自治法の規定に基づき、必要な条例等の制定を 行う。 【指定管理者の指定】 ○ 県は、委員会の意見を聴き、職員の受入方針を含め医療機関等の意向を聴取した 上で指定管理者を選定し、あらかじめ議会の議決を経て指定管理者を指定する。 (2) 管理の方法 ・ 管理にあたっての具体的な取扱いについては、県の精神医療の 中核的施設を運営するという観点に基づき、協定を締結する。 ・ 県は、施設・設備等の整備を行うとともに、病院事業会計を管理 する。 ・ 指定管理者は、病院の運営、診療業務、施設・設備等の維持管 理等の業務について代行する。 ○ 公設民営化後も県が開設者となるため、地方公営企業法の適用を受ける病院事 業は継承される。 【県と指定管理者の業務の範囲】 ○ 県 ・ 開設事項(病床数、診療科目等)に関する届出 ・ 基本的な診療機能等(救急医療、モデル医療、研修受入等)の決定 ・ 施設・設備等の整備、一定金額以上の機器の購入 ○ 指定管理者 ・ 病院の運営(運営計画の策定、職員採用、人事管理) ・ 診療業務 ・ 施設の維持管理(診療業務を除く業務の再委託を含む) 10 【委託料の支払い】 ○ 県は、管理に係る費用を算定し、委託料を指定管理者に支払う。 【病院事業に係る収入の取扱い】 ○ 病院使用料及び手数料の徴収(診療報酬請求・受取、患者負担金の徴収)の事務 も、指定管理者に委託する。 【経営改善方策等】 ○ 太宰府病院の公設民営化にあたっては、抜本的な経営改善を図ることが重要な課 題である。このため、指定管理者制度の運用においては、経営改善努力に応じて 指定管理者や職員に一定の改善効果が還元される成果主義を取り入れるなど、大 幅な経営改善につながる方策を検討する。 3 地域医療の維持・向上 (1) 移譲する県立病院が所在する地域ごとの取組 ・ 主として県立病院が行ってきた医療については、移譲される病院 に引き継ぐ。 ・ 地域で要望の多い医療機能の充実策等について、移譲先等との 協議を進め、体制の整備を図る。 【朝倉病院】 ○ 朝倉病院が現在行っている肝疾患を中心とした消化器系疾患に対する医療、救急 医療は移譲先へ引き継ぐ。 ○ 地域で要望の多い小児救急医療については、移譲先や地元との協議を進め、新 たな体制の整備を図る。 【柳川病院】 ○ 柳川病院が現在行っているガンに対する医療を中心とした急性期医療、現在備え ている総合病院的機能は移譲先へ引き継ぐ。 ○ 救急医療については、移譲先や地元との協議を進め維持拡大を図る。 【嘉穂病院】 ○ 嘉穂病院が現在行っている結核、じん肺等の呼吸器疾患に対する医療は移譲先 へ引き継ぐ。 11 【遠賀病院】 ○ 遠賀病院が現在行っている痴呆疾患等に対する老人医療は移譲先へ引き継ぐ。 ○ 地域で要望の多い小児救急を含む救急医療は、移譲先や地元との協議を進め、 新たな体制の整備を図る。 (2) 太宰府病院における精神医療の取組 ・ 県の精神医療の中核施設としての役割を果たすため、施設利用 の促進や民間病院との連携を進めながら、精神科救急医療シス テムの拠点・専門病院としての機能を中心に、医療機能の強化を 図る。 ○ 精神科救急医療システムの充実・強化を図るため、輪番病院としての役割は継続し ながら、拠点・専門病院としての機能強化を図る。 ○ 精神疾患患者の結核合併症に対応するため、結核患者収容モデル病床は維持継続 する。 ○ 県内の精神科医療の質の向上を図るため、研究・研修機能を充実し、研修医や医療 技術者を積極的に受け入れる。 ○ 児童思春期外来などのモデル的な医療への取組についても検討する。 4 職員処遇 県立病院改革に伴う職員処遇については、これまでの専門的な知識や技 術が活用される方向で、雇用の確保に努める。 ・ 同職種については、広域的な異動も行う。 ・ 移譲先とも協議の上、医療関係職員を中心に移譲先等への出 向派遣を行う。 ・ 退職手当の割増措置や医療関係職員の移譲先等への再就職 斡旋を基本とした退職勧奨を進める。 12 5 資産譲渡等の特例及び支援措置 (1) 資産譲渡等の特例 ・ 地域医療の確保や、職員の雇用確保の観点から、資産譲渡等の 特別措置を検討する。 ・ 移譲に伴う資産の譲渡等にあたっては、条例の制定等により公 正に取り扱う。 ○ 地域医療の確保や職員の雇用確保の重要性に照らし、これらの協力が得られる医 療機関には、資産の譲渡や貸付において優遇策を設けることを検討する。 ○ 移譲にあたっては、資産の譲渡や貸付が公正に取り扱われなければならない。こ のため、必要な条例等の制定を行う。 (2) 移譲先への支援措置 ・ 地域医療の確保や、職員の雇用確保の観点から、運営費の補助 について検討する。 ・ 移譲にあたっては、施設・設備整備費の補助を検討する。 【運営費の補助】 ○ 地域医療の確保や職員の雇用確保の重要性に照らし、これらの協力が得られる医 療機関には、国立病院の移譲の場合を参考にして、一定期間、経常損失が生じた 場合に、運営費の補助を検討する。 【施設・設備整備費補助】 ○ 4病院とも施設や設備の老朽化が進んでおり、国立病院の移譲の場合を参考にし て、施設・設備整備費の補助を検討する。 6 移譲に伴う財務整理 ・ 移譲される4病院の病院事業債の未償還金や、その他の県立病 院事業に係る債務の整理について検討を進める。 13 第4 当面の経営健全化 ・ 地域医療機関との連携強化による患者確保、診療単価のアップ 等による収入の確保を図る。 ・ 薬品、診療材料等の効率的な購入や適正な在庫管理による経 費節減を図る。 ・ 未収金対策や診療報酬の請求漏れ防止、査定減対策の強化を 図る。 ・ 未利用地の売却を推進する。 ・ 人件費を抑制するための方策について検討する。 14