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[ 総説 ] コラージュ療法の起源とその発展および看護における現状と課題
人間と科学 県立広島大学課健福桂学部誌 8( 1 ) 1 7- 24 2008 [総説] コラージュ療法の起源とその発展および看護における現状と課題 山本映子 県立広島大学保健福祉学部看護学科 抄隷 美備のー技法であるコラージュの成立とコラージュ療法へ発震した経緯を述べた。自本では,従来の箱庭療 法を踏襲した鍾人心理療法としてだけで立く 独自の技法として集自にも応用され急速な発展を遂げている その理由について考察すると共に,わが国のコラージュ療法の起掠と歴史の間違いが心理臨床界を混乱させ ていることにも鰻れた。 O ついで,日本のコラージュ療法以前に精神分析を背景とした集団療法 評語法としてアメリカ作業療法で導 入された経緯について述べた。看護領域でもコラージュ技法は有用なスキんとして今後の活用が期待されるが, それには,アメリカにおける作業療法の実践から学ぶべき点が多いことを述べた。コラージュ療法の看護にお ける現状と課題について法,主主実践嶺域である精神看護の実践的立事関研究を通して,導入の日的,意義, 有用性について明らかにした 今後の展望として,その汎用性からさらに集団での多用が考えられ,自己理 O 解・他者理解,職業訓練,コミュニケーションの促進,心の健壕や人間理解に役立つ開発的カウンセリングへ と活用の幅を広げて Lぺ可能性が大きいことを示唆した。 キーワード:コラージュ療法,起源,看護,活用課題 i 噌 ヴ ,a 入間と科学 県立広島大学保健福社学部誌 8( 1 ) 1 7-2 42 0 0 8 フレットなどの既成のイメージをハサミで切り抜き, Z はじめに 台紙の上で再構成し,糖づけするというきわめて単純 日本で開発された f コラージュ療法j注1) は,箱庭 の設備のないところで籍庭と同様の効果を求めてとい 1 9 8 7 ) 1)から生み出された。この森谷 う森谷の発想 ( で,明快な方法を指している O この 現1 -t美樹の重要 P i c a s s o, な表現技法としてのコラージュは,どカソ ( P . 1 8 8 1 1 9 7 3 ) やブラック ( B r a q u e, G . 1 8 8 2 1 9 6 3 ) をは I キュ の功讃 i ま,“箱庭に匹敵する l まどの効果あるものとし じめとする高度の構造を持った絵を発展させ, てコラージュを再発見した"という点にある。「持ち u b i s m J (立体主義)と p う名称がつけられた。 ゼスム, c 運べる箱庭J[簡便な箱庭j としてこの 2 0年間,独自 ついで, の技法として応用 り,物体の世界の惑覚を作品のなかに取り戻そうとし である O 急速に発展してきた個人心理療法 しかし,現在,わが国の心理臨床界ではその r 分析的キュピスム J ( 1 9 0 9 1 1 ) の段轄に至 て,新語紙や楽譜,壁紙,切符 レッテんなど,現実 起諜と歴史に間違いがあったことが判明し, 1 . 昆 茜L が起 の物体の臨片を導入した絵画を作ちはじめた。この表 きている o 過去に掲載された間違った内容の訂正が求 められている。看護にコラージュ療法を初めて導入し 現技法誌 た筆者法,実践の成果を研究発表してきたが,その中 で引用した文献内容に間違いがあることを知ったい らの発展は, I 総合的キュビスム J ( 1 9 1 1 1 6 ) として 知られている(入江 1 9 9 3 ) 4)。そして,わが自におけ ま,機会を得て訂正する責任があると感じている O 看 る研究では,ピカゾが 1 912年に耕作した『藤椅子の 護にとってコラージュ技法を n i t i a lc o l l a g e ) ある静物j がイニシャル・コラージュ(i 有用なツーんとして紹 f パピエ・コレ J( p a p i e rc o l 1 e ;貼り紙)と呼 ばれ,後にコラージュと呼ばれるようになった。これ 弁し,発展に寄与すべく実践してきたが,文献で見る (初回作品)として紹分され重読されてきた 5 Lし 隈与十分に活用されているとは言いがたい。 かし,この「美補技法としてのコラージュの発見者は r コラージュ j と f コラージュ 療 法jの起源にふれ日本でのコラージュ療法以前に エルンスト ( M . E r n s t, 1 8 9 1 1 9 7 5 ) であり,キュビス ト・ピカソは表現形式の工夫をしたに過ぎ立 tlJ 6) と 精神分析を背景とした集団療法評語法としてアメリ の指描もある。青木 ( 2 0 0 5 )は カ非業療法で導入された経緯について紹分する。今後, いたシュルレアワスト・エルンストの着想が,多くの 看護領域でのコラージュ療法試 橿入面接としての知 識者らに語られているコラージュ療法に関する知見と そこで,本積では, これまで軽視されて アメリカの作業察法での実践報告 類i 医することを明確にした。コラージュの芸術として から学ぶことが大きいと考える。日本でのコラージュ の特性は,表現や治癌にどう関わっているのだろうか。 療法も採健福祉医療者がチームでアプローチすること 青木は,この意義について での発震が期待される O また 筆者がコラージュを看 れるエルンストのコラージュと,発見の意義,無意識 護に導入した当初から実施している「集団個人療法」 注訟について,先行研究の申から実証的な一事関(慢 への態度に詮 Eし 改めて験討を加えている O すなわ 性統合失調症者) 2) を提示し,導入した目的,意義, ジュ療法を用いる治療者に多くの示唆をもたらしてく れる。 j として「シュルレアワストたちが、稽神分析に 見を活かしながら 有用牲,および、実施上の留意点について述べる。 r コラージュ J コラージュ技法」 注1)本文中では f f コラージュ療法」の用語を意図的に使用し ち , コラージュの発見者とさ I コラージュ発見者エんンストの発想誌,コラー 精通していたこともあり 設の残した言葉法;()理に関 わるものにとって魅力的に喚る点も否め立い。同時に ているが,頴雑で読みにくい点があることを 精神分析的に理解しやすい表現でもある c 一中略-こ お断りする。「箱定j と「箱庭療法j の使用 れまでの考察で,表現形態の工夫を求めたキュビスト 二意図的に使用している o も同様 i らと異なり,コラージュという自ら発見した手法でヱ 注2 ) コラージュ療法の対象は集団であるが,各自 でコラージュを制作する方法 五 「三ラージュ jと「コラージュ療法jの起源 1 美衛史におけるコラージュ コラージュ ( c o l l a g e ) とは,フランス語で,糖づけ o l 1 e r " から派生している o {する〉ことを意味する“ c 芸能的な表現としてのコラージュの起源は古く,中世 ヨーロッパの芸能作品に見られる油絵に金詰を部分的 005) という。 に貼り付けたものが克られる(青本 2 しかし,今日,現代美術の重要な技法の一つであり, 心理療法に導入されているコラージュは,雑誌やパン ルンストが表現したかったものが,われわれの意図す, るものと類似することが明らかにされたと思われる。ー エルンストによってコラージュは自身のイメージを表 出させる方法として用いられた。それらのイメージは 芋成者自身に犠きかけ,意識的態度の変容をも捉す, すなわち自己治癌力を発揮するものとして理解できょ うG この文脹において,エルンストコラージュをこそ, コラージュ療法における並i t i a lc o l l a g eとして位置づけ るべきである oJ7) としてコラージュの真の発見者は エルンストの作品にあることを明確にした。この提言 は,コラージュの心理療法的意義に着目しつつ,それ を一つの心理療法の技法としてまとめあげたコラージ ュ療法をより適切に表現しているとも考えられる G -18- 人間と科学 県立広島大学保護福祉学部誌 8( 1 ) 1 7- 2 4 2 0 0 8 コラージュ技法は詔現実主義 C s u r r e a l i s m( 英) Jの 絵画の手法として 1920年代からつねに利用された表 p a p i e rc o l l e ) 現技法で品る。これらは,パピエ・コレ ( 載される診断や臨床所見と一致し 意義のあることを 示した。また,コラージュの内容は時に無意識的葛藤 を露呈することがあるとし 評部技法としての有効性 から発展したキュゼスム(立体主義)的コラージュの 涜れと,マックス・エルンストに代表されるシュール が強調された。 レアワスム的コラージュの流れを推進発展させた。最 近で誌デピット・ホックニー (D.Hockney, 19 3 7 )に よるフォト・コラージュの技法が発展してきている。 青木の指摘は,芸諦と心理療法にとって更なる検討 を要する興味ある課題を提供しているといえよう。な お,日本におけるコラージュは,世界の流れとは周個 に,桂ゆき ( 1 9 1 3 1 9 91)によって創始された(海老 沢廷か, 1 9 9 5 ) 0 2 臨床場面でのコラージュ技法の産史 さて,この美街技法であるコラージュが,臨来場面 に登場するきっかけは文献の入手が乏しいために現在 あまりはっきりと註していな t'¥0 しかし,森谷らが入 レティ ( M o r i a r t y )は“C o l l a g eg r o u p白 e r 句 yw i t h モリア J f e m a l ec h r o n i cs c h i z o p h r e n i ci np a t i e n ぉ." 女性入院慢性 1 9 7 3 )J 11) 分裂痛患者のグループ ・コラージュ療法 ( r 0 で , 20-56歳までの 8名の自開的女性慢性統合失語症 患者に対し,コラージュを集団で実施した。言語レぺ んの怪い患者がより高い言語性を獲得することが感情 分離の克服に有益とする視点から アクティビティと 言語的な療法を兼ね構えた技法としてコラージュが適 用されている。作成後に現実検討能力やグループ内の 対人関係(リーダ一等のメンバーの動向〉を評価対象 としている O この指向からも窺えるように,アメリカ 非業療法のコラージュは 評 飼 法 集 団 療 法 的 治 療 (=アクティピティ) 12) という視点から行われてきた。 ここで示唆されるのは アメワ力作業、農法のコラージ c o l l a g e J という語源が 手した文献の中で一番早期に I 見られたのは, 1970年に発表されたアメワカ・イリ ノイ州シカゴの 1 )プキン ( Lipkin, S) の論文“ The ュ運用手法の経緯から,個人への適用のみ立らず,グ J レープへの運用が可能ではな L功ミということであっ I m a g i n a r yC o l l a g ea n di t su s ei np s y c h o t h e r a p y " である。 想壊的なコラージュと J心理療法上の応用について, f 想像上のコラージュは絵を描いたりするよりも,外 的軒識に拘束されずに,患者は自分自身の内界に従っ て生産するので好都合であると被は述べているく森谷 1 9 9 3 )J 8) 実際のコラージュ作品を作成するので立 臨床的にで誌なく 実証的研究ではラーナー ( L e r n e r ),ロス ( R o s s ) が挙汗られる。被らは,マガ ジン・ピクチャー・コラージュについて臨床及び研究 面での適用の見地,精神軒患者を対象とした非業療法 の評価手段として三分野にわたる研究を行っている O ラーナーは,精神科作業家法のテキスト「精神系作業 く,人が頭の中で言葉や色,考え,シンボル,感情な どをまとめたり,集めたり,取捨選択していることに ついて,空想上のコラージュであるとしている針。こ emphill編 療法の評舗過翠 実技技法と開発頭理-H 著j に f マガジン・ピクチャー・コラージュ Jと題し て系統的な研究成果(1977 :1 9 7 9 )訟を掲載 ( 1 9 8 2 ) の論文は E本で進められているコラージュ技法とは趣 習試同じであるが 技法としては異なっている O 実際 の活用に関する言及がないのは残念である。 し,コラージュを評価法の 1つとして広く作業療法の 分野に知らしめた。マガジン・ピクチャー・コラージ 0 最初に技法そのものをテーマとしたのが“Magazine 評価法と P i c t u r eC o l l a g e sa sa nE v a l u a t i v eT e c h n i q u e "I してのマガジン・ピクチャー・コラージュ J (Buck& P r o v a n c h e r1 9 7 2 ) 10) である O 医師のパック(亘u c k ), 作業療法士のプロパンチャー(Pr o v a n c h e r )誌 , 1968 年から精神分析的見地にもとづき,患者の人諮の力動 的構造に作用している症状を評価すべく, 18-70歳ま での精神病院入院患者約 500例を対象に作業療法プロ グラムとしてコラージュを実施した。その方法は,事 前に準備された雑誌を患者が切り抜き, 1 2X 1 8 i n c h 〈 約 30X 45cm) の台紙に貼り f 寸けるもので,作成に 30分程度の時間が与えられた c 作成後に,窃り抜き を選んだ理由,どのような意味があるのかを記述する よう指示される このプロセスから,自己概念,心的 エネルギーと積持機龍レベル,拐需機制とその統制の 質主ど,パーソナリティの主要側面と病態特識の関連 づけが行われた。薄られた結論は,患者のカルテに記 O た 。 2年以上使用してきたことが論文中に記述され ュを 1 ている。コラージュがミシガン州デトロイト市にある S i n a i痛院で始められ,後にトロント市に品る Mount S i n a i痛読で継続されたとする記載がある。両病院と も全患者に作業療法が行われ専門科部門の治療方針 は精神分者的アプローチであったという O 前述したパ 7 2 ) 論文の最後に, S i n a i ックとプロパンチャー(19 病読の作業療法土ジャン・ミッシェル(J a n eM i t c h e l l ) に謝辞が述べられていることからも コラージュは最 初デトロイト市にある S i n a i痛院を中心に始められた と推躍される。 さらにラーナー ( 1 9 8 2 )は , MountS i n a i病院のコ ラージュ実践はパックとプロパンチャー ( 1 9 7 2 ) の理 論に準拠するが,その不錆を憂い,理論および応用面 7 7 ),( 1 9 7 9 ) での根拠を祷強するために一連の研究(19 を行ったと述べている また,ラーナー(19 8 2 )は , 新たに入院した患者の不快感や不安を最小限とする士 めにコラージュ制作という課題が作業療法での複雑立 -19- O 人間と科学 黒立広島大学保健福祉学部誌 8( 1 ) 1 7-2 4 2 0 0 8 作業活動の最初のステップとなるものとして,有用性 とを示唆した。これは,諸外国と日本のコラージュ察 を説明した。また,コラージュ評点表を#成し,同一 法の発想が異なっていることを前提とした提言である 素材を用いて艇激を統一することを試みている G 日本 993年からコラージュを精神科病棟で が,山本は, 1 でもコラージュが評舗法(心理臨床でいうところのア 導入してきたが,治療構造は セスメント)に有用であるとされ 対象とした関わり{集団調人療法)を重要規してきた。 多くの毘解が発表 集団であっても罷人を されているが,理論的見解の言及のみで(森谷 1 9 9 9 ), 看護領域への導入の意義や有用性については後述する (藤掛 1 9 9 6 ),ラーナーの実践したよう立視点での試 が,これら作業療法を主とする先行研究は,日本にお 0 0 5 )。 みは行われていない(青木 2 ける集団を対象とするコラージュ療法のあり方,集団 1 9 7 7年にはラトクリフ ( R a t c 1 i f f e, E . R .)が修士論文 「古典美術作品のコラージュー自己発見のための芸楕 療法技法j を f 芸術療法誌」に発表した。このころよ り,作業療法の分野だけではなく,芸術療法の技法と して注目されてきているようである{森谷 1 9 9 3 ) 14)。 を対象とするグノレープワーク等に大いなる示唆をあた 集団を対象に 2000枚の古異美稿作品の譲製を用いて 何度もそれを使用し その前後に心理テストを実撞し えてくれるだろうという提言に,筆者も同意する。 9 9 0 なお,近年の海外のコラージュ研究の動向は, 1 年前後から精神科領域での論文が減少し,その後,主 に健常者を対象とした教育等の場面での活用にとどま 0 0 5 ),看護教育,ターミナ っているようであり(青木 2 ルケア等でのグループに活用する論文のみである 160 てその影響を調べている。この論文に誌フロイト ( P r e u d . S ) やユング(J ung, c .G . ) の論文の引用がある が,箱庭については全く言及されてい立い。この件に 関して,青木は, I 歴史的背景からして当然と言える j という o コラージュの主要な先行研究が見られるア メリカで法, 1988年 に 箱 庭 療 法 家 協 会 が 設 立 (Bradway2000) され, 70年代に精神科預域関捺者に 箱庭療誌が普友していたとは考えにく Lリ 15) という r 3 日本におけるコラージュ療法 現在,わが国で実施されているコラージュ療法(以 下,コラージュ技法・コラージュ察法を総称して,コ ラージュ療法と表記する)は アメリカで始まった精 神障害者の評価法として生まれ発麗してきたコラー ジュ察法とは同じ名稔であるがその内容は異なってい る。吾本では, 1 987年に森谷が,箱露療法の設需が 1 このため,諸外国でのコ ない場所で,箱庭と間接な効果を用うるにはどうすれ ラージュ研究を国内のコラージュ療法開発等の経緯に ばよいのか,という目的から出発した。友人と雑議し 理由からである。さらに, 合わせて理解するに辻多くの問題が残されている j と いう O 筆者は, 2 001年および 2002年にアメワカ老年 2J i に ている中で思いつき,早速に実施して,罰年 1 東海精神神経学会で発表し その抄録が 1 988年 5月 学会“ TheG e r o n t o l o g i c a lS o c i e t yo fAmericaC o u n c i l に精神神経学雑誌に掲載されたのが始まりとされる。 53nd ( 5 4 n d ) AnnualS c i e n t i f i c " で「老人保健施設に 入所中の癌呆高齢者にみるコラージュ察法の回想法的 効 果j等について報告したが,馴染みの関係や依存的 であった言動の変容や冨想法的効果についての学会参 加者の理解は困難であったかもしれないと感じてい る 日本のコラージュ療法が海外諸研究の知見を導入 しているとしながらも ユング心理学を背景に持つ箱 庭療法に準拠しつつ,個人療法を中心とする「コラー ジュ療法」として独自の特徴を有する技法として発展 したという意味を含むものであり 文化的背景を視野 にいれた研究が求められよう。 1 970年代から 1980年 O l s o n, E.W.1977)やラーナ の終わりまで,オルソンや ( L e r n e r.前述上アートセラピストのグワーンスプ ー( D.B.1982), ス タ ー ジ ェ ス ーン CGreenspoon, C S t u r g e s s, J . 1 9 8 3 ),リレイ ( R i l e y, S1 9 8 7 )やランドガー L a n d g a r t e n, H . B . 1 9 8 7 )などの活躍が挙げられる テン ( が詳述法省略する。 青木は,日本でのコラージュ家法以前にコラージュ が精神分析を背景とした集団療法,評価法としてアメ リ力作業療法で導入された経緯を明曜にした(この視 点が従来の研究で欠けてい主)。併せて,個人家法と してのみならず,コラージュが集団にも有効で、あるこ 美術にお汁るコラージュ作品は日本では,大正時代に O ‘ 桂ゆき (1913~1991) がコラージュという言葉を知ら ずに耕作していたのが拾まりとされ,創始者といわれ ているが,心理面接でこれ以前にもコラージュを散発 的に取り入れた治豪家は存在したといわれている17)。 また,患者が制作して作品を持参したという報告〈山 中)は島るが,箱庭と関連づけて, r 持ち運べる籍嘉」 「ミニ箱庭 Jな ど の コ ン セ プ ト で 発 想 し た の 法 森 谷 ( 1 9 8 7 ) が最初で毒る c この,起、源について, コラージュ療法一基礎的研 究と実際 J(杉浦 1 9 9 4 ) の中で「コラージュ療法の成 987年に甫 J I I震枝記念 立過程-11頁」に 「筆者は 1 会館で行われた秋山さと子先生のユング心理学講産を 受講していた。コラージュと箱寵との類似点について の質問に,く確かにコラージュは箱庭に叡ていますね。 籍涯の代わりに使えますね〉とコメントされた。その 言葉に触発されて箱庭の量かれてい主い椙議機関で, 筆者は単発的;こコラージュを導入し始めた。 Jという tのエスプリ (386号)の中の産談会 記述がある 現 1 記事でも自身の口から明確に同じ発言がされている コラージュ療法に関する図書や先行研究から,筆者を はじめ多くの者が 日本でのコラージュの起源は -20- r O O 人間と科学 県立法島大学保健福祉学部誌、 8( 1 ) 1 9 8 0年代に 1 1 9 8 7年,森苔,杉浦らにより j とか, 1 始まったわが国のコラージュ療法は,杉浦,森谷らに 9 9 6 ) よ与」といった記述を引用してきた。上関府ら(1 は. w臨床場面にお汁るコラージュ使用上の留意点j18) のなかで f 臨床場面でのコラージュの痩患ということ 1 7-2 42 0 0 8 壌や人間的理解に役立つ開発的カウンセワングへと活 用領域を広げつつある 20)。 筆者は,精神科病棟で導入を開始した当初はレクリ エーション療法として笠置づけたが コラージュ蜜法 が適用された様々な事例を晃ていくとid:ぜ f コラー に立ると, 1970 年~の初めころ米国を中心;こ,主に ジュ Jを導入し,そこから信が解釈・理解でき,治療 非業療法や集団芸能療法として使用されていた。一方, につながったのかが不明確なケースが少立くないこと 舗人療法としてぬコラージュ察法は,わが患で独自に に気づく。また自己開発立どを目的に集団・グループ 1 9 8 7年,森谷寛之お ワークで用いられた事例からも,何故,コラージュを 共時的に発想され、どちらも、 用いたのか,導入する必要があったのか,適切な枠組 生れたと言ってもよいだろう よび杉浦京子によって o 箱庭療法との類似性を強く意識しての着想で島ったと みの中で実擁されているのかなど いう{杉諸, 1 9 9 4 ) J と杉浦の著書から引用している のが多いと感じる一人である。このよう立諜題を持ち 共詩的に発想されたのではなく O 秩山さと子氏に質問 されたのは会場の見知らぬ参加者であり,それは,初 疑問の残されるも 立がらも,心理臨床の場で多用され,効果が実証され ているコラージュ療法(技法)は 看護にとっても有 めてのコラージュ療法に関する森谷の論文を読んでの 効で毒り,今後の発震が期待できることから,次では, 費問であったことが推測されるという(森各の、 看護におけるコラージュ(療法)の現状と課題につい 2 0 0 7 . 7 . 3付け資料)。毘様なこと法 て,実証的な事例研究の文献を用いて考察する。 最近の心理臨床 9 4 ) 法,コラー 学研究に掲載された論文に「杉浦(19 ジュ制作の特徴として“平面における切り抜きなどの E 看護者の実施するコラージュ療法 組み合わせ"で島ると言及しているが,これは森谷の アイデアであったことを論文著者に抗議をして調べな おしてもらったら 著者はそれを認めて謝罪された j 内山 ( 2 0 0 3 ) は,コラージュを看護介入に用いるこ との意義について文献検索を通して考察している c r と資料(森各から“コラージュ療法の問題を考える諸 1 9 9 0年 -2003年の 1 3年間について. コラージュ療 先生各位へ"に宛てた 2 0 0 7 . 1 2 . 1 5付)にあった。 法 J コラージュ J 看護」をキーワードとして医学中 ま , 2 006年 8月の[アーツセラピー研 問題の発端 i 究所紀要] (杉浦の創立〉の中で 上述した問題とさ れる内容が杉浦氏によ与訂正されたことに拠る O その ため, r 現在,出回っている書籍,論文,学会発表は 全て何らかの間違いを含んでいる J ,それ i まf 杉請 9 4 ) の記述を鵜呑みにしたために生じた J と資科 ( 19 (上述)にある。筆者も十分に吟味しないまま“正薙 でない"文献を引用して混乱の一端を担ったことを反 省しお詫び申したい。今後は機会あるたびごとに訂正 r r 央 雑 誌 web,NACSIS-IRよ り 検 索 し た 。 ま た , r r MEDLINより c o l l a g e J n u r s i n g J をキーワードとし 全年度分の検索を行った。その結果,前出のキーワー ドで NACSIS-IR,MEDLINで換索したが O件であっ r r たという o コラージュ家法J, c o l l a g e J のみで検索 5件と 2 4 3件道うったが,看護に関する内 した結果誌 3 容を含んで、いるものは晃当たらなかった。そのため産 学中央雑誌 webにより得られた文献 1 8件のうち,看 護ケアに関する 8件(原著論文 5件 その他 3件)を した今ごろになって“なぜ?"という疑問が生乙,杉 分析対象として f コラージュを看護介入に用いること の意義に関する一考察 J21) を卒業研究論文としてま 靖氏から助言指導を賜った者の一人として大きな遺穂 とめている O しなければならないと考える。創始から 20年を経過 の意を表する。 今回,これを参考として, 1 コラージュ Ja n dr 看 護j さて,コラージュ療法が心理療法のーっとして,短 で , 2 0 0 2年 -2 0 0 7年の 6年簡を同様に検索した。そ 期間で急速に普及している理由は何で毒ろうか σ 青木 2件が追加された。内山の検索した の結果,新たに 1 ( 2 0 0 5 ) は. 実施者の工夫が重複され,替に手法論を 8件を加えて 20件であった。そのうち,原著論文法 1 2件で,筆頭著者が山本および山本ら誌 4件であっ た。看護の分野部では精神君護 9件(思春期の攻撃性, r 持たなかったことがあげられる」訟という。対象者 の年齢・性刻を関わず,健常者から精神疾患,認知症 者までと幅広く適用され 貼る素材(チラシやパンフ レット,新開・雑誌、まどの写莫や絵本ど)とハサミと 糖,貼りつける台紙があれば時間と場所を選ば右いた めの簡便さから,現在もなお発展しつつある療法(技 不登校を含む).小児看護 4件,老年看護 1 f 午,看護 教育および学生対象が各 2件であった。 2 0 0 5 ) が「コラージュに関する主主基 なお,青木 ( 礎 先 行 研 究J22) で挙げた論文〈内容分析・形式分折 訣)である c その汎用性から 自己理解・地者理解と いう自己開発,医学系(看護,作業療法)学生への職 業調練を目的とした集団場面での活用に始まり,リハ 64件で患った o その中で看護者が関わった論文は 1 件(山本 1 9 9 6 ) のみであった。「精神科看護における ビリテーション,コミュニケーションの促進,心の鍵 コラージュ療法一心のケアへのアプローチ法として j を中心とした研究に限るという選択基準がある)は -21- 人間と科学 県立広島大学保健福祉学部誌 8( 1 ) 1 7-2 42 0 0 8 である。この研究から,コラージュ療法を看護へ導入 まうことを懇念し した目的,方法,意義(有用性),今後の課題につい て観寵する。 る 。 #3 6では初の重ね詰り O 切片数も 1 0枚を越える ようになち,他の参加者の作品を褒めるなど肯定的な 言葉が聞かれるようになる。また 参加者が少ない持 〈三ラージュに関する主な基礎的先行研究}(青木 2 0 0 5, p . 5 7・58より転載したが,筆者の付記も、混在した記載 であることをお翫りする。者お, Cl.はクライエント, 主ど,その他者の状況を Th.lこ{云達することができる T h .はセラピストの略記) この研究で誌, 1 9 9 3年 1 0月 18から精神科病棟で 週 1田,集団鵠人療法としてコラージュによるセッシ 0 4枚の作品(セッション 1 0 6 ョンを 2年半実践して 1 毘)が制作された。対象は慢性統合失調症の女性患者 8農で躍うつ病と診断され, 38義から当菊 である。 2 読に入院して学生が受け持った時は 68蔑であった。 山本がコラージュ f 支法(マガジン・ピクチャー・コラ ージュ法,一部コラージュボックス法}を導入した目 的は,争当初は f 精神科額域で実曹を行う看護学生が, コラージュ・ボックス法を併用す ようになった。 1 0 4回目でコラージュそのものが終了 となるが, Cl . は , T h . 'こ対しプレゼントと君主し制作を 宕う。その後 SST'こも参加し 1クール柊えたとの医 掛からの報告がある。{症状,表情,言動の変化と作 品変化が関連している様子が譲察されている。筆者の 付記) ③ 2年 5ヶ月の実施期間で,計 1 0 6回セッションが ( 週 1国)もたれ A子は 1 0 3回参加。作品 1 0 4枚を 非成。初屈は 1 5名の参加者。筆者注)精神科病棟内 の集団療法・作業療法(レクリエーション)の一環と B4) 画用紙を使用。色 して実施。台紙は 8つ切り ( 語尾紙も用意する G 制詐場所は食堂(ホ-)レ)。毎週 実費で患者とのコミュニケーションを図る非言語的手 段としてj導入を検討したが,著護という性格から精 神療法として扱うより レクリヱーションの 1つとし 木曜日の午後 2時かち 3持半ごろまで実施。(ここで は治療構造,環境,参加者などについて述べている 筆者の付記) て導入を検討するに至る(寄木 2 0 0 5 )。また,学生に 以上は,青木のまとめをほとんどそのまま主用した。 この論文試,原著論文として『臨床看護研究の進歩j i こ掲載された刻。新しい研究者の芽を育てることを とってコラージュは自己潟察 自己開発にも有用であ る。作品の解釈は強いてせず本人の気持ちと,テー マがあればそれを聴く。時にはそれを作品とともに参 加者に披露し,惑想を求める。またテーマを募り,あ がったものの中から本人に選択してもらう。感信の共 有と個人の尊重を心がける。 Cl.がコラージュに取号 組む時間と,そこでの存在を認め自発性を尊重した τ h .のかかわりが Cl.の眠っていた感覚を刺激し,自我 の強化に役立ち,自尊惑積を鼓聾したのだと考えられ るO 斉藤虞(19 9 3 ) による「コラージュの技法では, イメージの流動性をどこかでホールドする治療関係, 治援者の内的態度としての守りの厚みが要求される。 このこと法,操り返し強調されねばなら左いであろう j を強調。〈ここでは巨的と方法 かかわり方が述べら れている。筆者の付記〉 ②多弁・多動などは薬物により軽減。人格荒廃が進 行し,無為,自閉,無欲で不潔な状態で島る 特定地 者との交流しかできない。「意設の低下に惇う離床菌 難・レクワエーションへの不参加jが看護診断として O 下される。 Cl.はコラージュの初回から参加し,最初 は黙って作業し, 20分間で非成し終えるとさっさと 部屋に引き上げるという状態が続く。作品は画用紙に 4分割という表現が 2ヵ月半続く o #1 0以降, 2-3 屈の繰り返しで切片数に変化が見られた。#26,3 0 では色画用紙を使用。詰るための写真を話白から選択 して切り抜く。親しい友人とカラオケの責任者を引き 受け,衣料品窟で自らブラウスを選ぶなど行動や態度 に変色が晃られる。#2 5- 35まで「若い女性j をテ ーマとした作品が継続したため 作嵐が国定位してし O 9 9 3 編集方針とした年 1回発刊の看護専門誌である。 1 年当時,コラージュを導入した大学病読では作業療法 士は雇用されてなく レクリエーションは看護者の役 詣であった。患者の内界に鱒きかける心理療法(精神 療法)は室訴以外はやってはならないと言う雰囲気が 島った。レクリエーションとして,卓球,囲碁,オセ ロ,カラオケ,映画鑑賞,習字,絵画,盆踊り立どの 季節感のあるものなど 多くのプログラムが組まれて いたが,ここではコラージュはその言葉さえ知られて Lミなかった。 実は,筆者のコラージュを導入したいと考えた真の 理由は却に島った c それ誌 4月に就f 壬して精神科病 棟に初めて挨拶に行った詩の簡撃的な印象から,鞠に 0年 40年もの長期間在践 暖めていたことである。 3 を余儀なくされている患者{社会的入院患者)を自の 当たりにしたとき 筆者は「なぜ私でなくあなたな のリとハンセン病患者を見た時に神谷美恵子の発し た言葉と毘様の感情を抱いた。ベッドだけが唯一自分 の居場所とする環境で,人生のほとんどの時間を通す ことを考えたとき “気が狂わ会いほうがおかしい と正直そう惑じた。この人たちを少しでも理解し設立 ちたい,自分にできることは立いのかと,この想いが 脳裏に境きついて離れなくなっていた。 そのころ多くの靖神科病棟では 生活療法と悲して 患者に労欝をさせ 酷使させてきたという家族等の非 難の声があがり,病院はその批判を避けるために患者 にレクリエーション以外の積極的立行動療法を行って -22- 人間と科学 県立広島大学保健福祉学部誌 8( 1 ) いないように筆者に法感じられた。このような生活は, 自分には耐えられないと強く感じた瞬間であった。実 習の終了を眼前にして諮み続けていた時,突紫. 4月 に研f 諺参で れだ,コラージュがある た 。 ! J と導入することを決断し 4月に開始した精神科看護実習は 10月半ばに終了 し,翌年 4月まで病諌を訪れる名目がなくなる O そこ で,看護教員として患者理解を深め,学生の学ぶ環境 を整えておくために,レクリエーションとしてコラー ジュを実践したいと学科長を通して看護部長へ荻頼し てもらった。論文で記述した通り 学生が担当した受 け持ち患者とのコミュニケーションの国難さに,コラ ージュが媒介のツーんと立るのでは立 Lミカミとの判顕が 990年の学生相談学会分科会で,コラージ あった。 1 ュを用いた杉濯の発表を語いていたことも考えを後押 しした。こうして 週 1居 決 め ら れ た 躍 Eの決まっ た時間にセッションを持つことが実現した。 患者法自由参加であり 医師の指示や許可を得て看 護者が声をかけることもあった。入撰したその場で参 加する患者もいて 急性期の患者は避けると禁忌項目 が頭にあったが,無事に制作されたイニシャん・コラ ージュを見て感嘆したこともあった。しかし. I 安全 で回避性が保証されている jことは守らねばならない。 1回の参加者は,患者 8入が最少で,実習生や看護師, 医師等の参加で, 24入に膨れることも島った。病棟 *ーんに次回まで作品を展示し その後の作品を預か るため,患者には写真室で現像したプリントを渡して いた。箱庭とは異きり 作品が手元に残ることに在る が,患者の内界が表現されているものとして大切に扱 った。 コラージュが個人心理療法としてわが国で創始され たとの認識はセミナーで得ていたが, 精神内界に医 師以外の者が働きかけることはしては立らない」と, 1人の医師からきつくいわれた。時代背景もあり,研 究としてまとめ,発表する時の目的 i こは“レクリエー ションとして導入門と報告した。レクリエーションに は患者の希望が取り入れられていたが,コラージュは 患者からの要望で 何時しか定著していた。中井 ( 1991)は「芸街療法を一人の患者に適応できる期間 は平均おおよそ 2年である。もっとも,方法のヴオル テージが高いほど この期聞は短く 逆に低い i まど長 い。部えば色彩分割だけならば,期限はないにひとし t)J24) と述べている コラージュを導入するには, 作品を継続してみていくための期間として凶作品く らいを目安に 1期として評価し その結果で継続する ことが望ましいと考える 毎週創作される作品は,臨 床心理士の資格を持つ教員と糖神看護担当講師と T h . の三人でミーティングをもち 作品の見方や解釈を学 ぶ機会を持ったが スーパービジョンと共に欠かせな r O O 1 7- 2 4 2 0 0 8 いことだと考える O 活動(アクティピティ〉の実施後 の振り返り,評価は対人援助者にとって重要であり, 作品の流れを継続してみていくことがアセスメントの 判断を誤らないためにも大切である。この事例では, 第 1期を年内 1 2国と設定し レクワエーションとし て註霞づけた結果,患者から鐘続の要望が強く,引き 続き実施することに会り 結果として 2年半に及ぶ活 動と立った。コラージュを導入した目的,方法,実施 上の留意点,その有用性について明らかとなったと考 える O また,コラージュは. I 心理療法の一技法としてだ けでなく,アセスメントとして考えることができる。 す立わち,コラージュ作品から作成者の心理的状態や 病理本準右どを捉えようとする捉え方である J25) こ とから,他の心理テストと組み合わせ(テストバッテ リー〉用いることは検討に値すると考える。コラージ ュの持つ自己治癌力法,不安感、やストレスを解泊して, 自己表現を促し,援助者にとって患者理解に役立つも のである。 『臨床看護研究の進歩 j ,こ掲載された論文講評者の 1人である時保 26) は 「心理療法を養護者が活用する ことに対する危険性の指橋は さまざま主治療的試み を回避させてきたー留でもある O 看護者は治聾者では 立いという認識によるのだろう。しかし,看護法もと もと治票作用を有しているがゆえに ケアとして成立 してきたのである。どんな技法であれ,看護む視点、に 基づいていれば,それは看護である。 Jと評して山本 の論文を支持している。コラージュの治療的意味につ いて中井(19 9 3 )法 , 安全性の高さ,田遊性がある j として心理療法の基本を挙げているが,これは看護に とっての基本でもある コラージュが看護に導入され r O て1 4年経過し,その関の研究で,患者理解,コミュ ニケーションの手段として抜群の能力を発揮すること を明らかにした c 看護領域で讃極的に実践されない理 由についても言及したが コラージュは看護にとって も有用な技法であり 心理農法から学ぶべきものが多 いことは明らかである。 先の論文のもう 1人の議評者で品る梶原 ( 1 9 9 6 ) 27) r は,その実践は「心理療法で島るとともに, 識りな すこころの看護 j (野鵠ら;平成 8年 平成 8年度厚 生科学訴究費撞助金研究}で毒ったと思う」といい さらに, I チーム医療の中で看護者が成熟していくた めには,絵画療法,膏楽療法,サイコドラマ,回想、法 など,いずれも精神療法としての効用と危険性をはら むことを前提に専門的かかわりをしていか立くてはな らな Lリと述べている O 近年で誌 心の健康や人間的 な理解者どを主綴とした開発的カウンセリング効果, ソーシャルスキルの発達,社会性の向上主どを目的と した自己開発等,新たな治豪的活用の可能性が諸研究 から示唆されている。現在では精神看護学の教本に -23- 人間と科学県立長島大学保健福祉学部誌 8( 1 ) 1 7- 2 42 0 0 8 認知行動療法をはじめ多くのカウンセリング理論と技 c o l l a g ea sa ne v a l u a t i v et e c h n i q u e .TheAmerican 法が掲載され,看護師の心理教育能力が求められる時 かかわりよりも,コラージュを用いて,健康・不健康 a 1o fO c c u p a t i o n a lTh e r a p y, 26( 1 ):3 6 3 9,1 9 7 2 J o u r n 1 1 )説o r i a r t y,J . C o l l a g egroupt h e r a ぉrwithfemale c h r o n i cs c h i z o p h r e n i ci np a t i e n t s .P s y c h o t h e r a p y . ミe s e a c h& P r a c t i c eSummer,1 0( 2 ) :1 5 3 1 5 4 Theory,l ( 1 5 5 ),1973 1 2 ) Moriarty,J .:Combininga c t i v i t yandgroupp s y c h o t h e t a p yi nt h et r e a t m e n to fc h o r o n i cs c h i z o p h r e n i c s . 耳o s p i t a l& CommunicationP s y i a t r y,27( 8 ) :5 7 4 5 7 6 , 1976 1 3 ) Lerner, C . J .:Themagazinep i c t u r ec o l l a g e I ts を間わず看護の対象に非業療法的読点でのアクティピ c l i n i c a lu s eandv a l i d i t ya sana s s e s s m e n td e v i c e . ティを集団で行うことの検討を課題としたい。心理療 AmericanJ oum a 1o fO c c u p a t i o n a lTherapy,38( 8 ): 代と立った。コラージュをどのような目的で活用する かは,看護の発展にもつながる看護者にとっての今後 の課題でもある。 小見者護,老年看護も精神看護と毘様に対象および 疾患の持性を把握して コラージュを導入する目的を 明確に方法を吟味し コラージュの持つ治、療要盟を念 頭に重きながらの実践が 看護支援により貢献すると 考える O 多忙な看護者にとっては,個人心理票法的な 法であることを心して 看護にとっても基本で毒る安 全性の保証と安楽に配慮しながら 自主性を尊重して 自己表環できる告頼感の構築とそのための環境を整備 することが実施上の宮意点である。 文藍 1)森谷寛之:心理療法におけるコラージュ(切り貼 5 ):450,1998 り遊び)の利用(抄諒).精神経誌、, 90( 2 ) 山本映子:精神科看護におけるコラージュ療法一 心のケアへのアプローチ法として.臨床看護研究 9 7 9,1 9 9 6 の進歩, 8 :6 3 ) 青木智子:コラージュ察法の発展的活用.東京, 風間書后, ,まじめにし 2005 4 ) 入江茂:コラージュ療法入門.東京,創元社, 1 5, 1993 5 ) 入江茂:土掲 4 ),1 6 6 ) 青木智子:上掲 3 ),9 2 7 ) 青本智子:上掲 3 ),9 2 1 0 9 8 ) 森谷寛之:臨床場面でのコラージュ技法の歴史. コラージュ療法入門,東京,創元社, 26,1 993 9 ) 今村友本子:コラージュ表現.東京,創元社, 1 3, 2006 1 0 ) Buck, R . E .andP r o v a n c h e r , M.A.:Magazinep i c t u r e 5 0 0 5 0 4 .1 9 7 9 1 4 ) 森谷寛之:上掲 8 ),28 1 5 ) 青木智子:上据 3 ),9 2 1 6 ) 青本智子:上掲 3 ),7 3 1 7 ) 森谷寛之,杉浦京子編:現弐のエスプワ,盛議会 7,1 9 9 9 コラージュ療法の起源と発展.至文堂, 6 1 8 ) 上別府圭子,海老沢生知江:臨床場面におけるコ ラージュ費用上の留意点.臨床描画萌究/家族画 研究会編,東京, 6 仏8 2,1996 1 9 ) 青木智子:上掲 3 ),3 2 0 ) 青木智子:上掲 3 ),,まじめに i 2 1 ) 内山愛:コラージュを看護分入に用いることの意 義に関する一考察.広島果立保健福祉大学保健福 祉学部看護学科平成 1 5年度卒業研究論文集, 3 1 3 6 . 2003 ),3 7 6 7 2 2 ) 青木智子:上掲 3 2 3 ) 山本映子:上掲 2 ),6 9 7 9 2 4 ) 中井久夫:芸術療法ノートより.中井久夫著作集, 精 神 医 学 の 研 究 第 2巻,東京,岩崎学街出版, 2 4 7 .1 9 9 1 2 5 ) 青木智子:上掲 3 ) 2 6 ) 阿保顕子:臨床看護研究短評集,精神科著護にお けるコラージュ療法(山本映子), 1 5 4 1 5 5 2 7 ) 梶原和歌:上掲 2 6 ),1 5 5 1 5 6 -24-