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鳥取スポーツクラブ オール電化蓄熱システム施工事例
―― 実 施 例 ―― 鳥取スポーツクラブ オール電化蓄熱システム施工事例 ñ中電工 鳥取支店 上 田 洋 ■キーワード/ ■キーワード/ヒートポンプ・業務用蓄熱調整契約・温水プール 2.建物概要 1.はじめに 鳥取スポーツクラブクオーレは,雄大な鳥取砂丘と, 建 物 名 称 鳥取スポーツクラブクオーレ 冬の味覚「松葉ガニ」の水揚げ漁港でも知られる賀露港 所 をひかえた,鳥取市郊外の大型店舗が立ち並ぶ商業エリ 建 物 規 模 S造,地上2階 アの一画にこのたび完成した。当施設は,健康志向とリ 延 床 面 積 ラクゼーションを求める意識の高まりを受け,利用者個 工 期 平成14年6月∼14年11月 人のニーズによって利用可能な温水プール・エアロビス 設 計 設計室 空間 タジオ・トレーニングジムを中心とした,トータル・ス 施 工 ñ丸二建設 ポーツクラブとして計画された。 (写真−1) 空調衛生設備 ñ中電工 鳥取営業所 その設計コンセプトは,全電化施設として,「安心・ 在 地 鳥取市南隈 2,500fl 電 気 設 備 ñ中電工 鳥取営業所 安全,低コスト,省エネルギー,環境調和」を考慮した システムとした。運用の形態にマッチした高効率なシス 3.設備概要 テムを構築するとともに,信頼性の面から,ヒートポン 3−1 主要機器 プを採用し,プールの加温・給湯はもとより,空調設備 氷蓄熱ヒートポンプエアコン(ビルマルチ) 室外機20HP× 6台 においても業務用蓄熱調整契約による夜間電力を利用 氷蓄熱ヒートポンプエアコン(ビルマルチ) し,ランニングコストの低減をはかっている。 室外機20HP× 1台 本施設は2階建で,1階が温水プール・リラクゼーシ 天吊カセット形 室内機 ョンプール・歩行浴プール,水風呂,サウナ,浴室から 構成されている。また,2階は最新マシン70台による 室外機 8HP× 1台 トレーニングジムとエアロビクス,ステップエクササイ 天吊カセット形 室内機 ズを取り入れた全面鏡貼のスタジオAとスタジオBで構 成されている。 空気熱源ヒートポンプチラー(冷水用) 写真−1 建物外観 ヒートポンプとその応用 2003.3.No.60 57台 空気熱源ヒートポンプエアコン (ビルマルチ) ― 28 ― 6台 8HP× 1台 ―― 実 施 例 ―― 事務所については,ヒートポンプエアコン(ビルマル 空気熱源ヒートポンプチラー (給湯・加温湯) チ)を採用し,営業時間外も空調対応が可能なシステム 室外機20HP× 9台 温水ユニットヒータ としている。 1,200形×20台 プール加温ポンプ 600Î/Ò×2.2kW× 2台 上記のように,大・小容量のスペースにきめ細かな個 給湯加圧ポンプ 190Î/Ò×0.75kW× 2台 別空調を行うとともに,集中管理を事務所で行い, 室内環 温水加温一次ポンプ 1,010Î/Ò×3.7kW× 1台 境に対してフレキシブルな対応が可能なシステムとした。 温水二次ポンプ 1,010Î/Ò×7.5kW× 1台 蓄熱槽(耐熱FRP製) 4.プール設備概要 37„× 1基 3−2 空調設備 4−1 プールシステム主要機器・設備 当施設の空調設備は,温熱環境と利用形態を考慮し, 温水プール (25m×5コース) プールサイドゾーンとトレーニングジム・スタジオゾー 25.0m×10.5m×1.2m=315„ ンの2ゾーンに分けている。プールサイドは暖房のみを プール循環ろ過装置 181„/h×1基 行っているため,プール加温・給湯用の空気熱源ヒート ろ過ポンプ 3,016Î/Ò×15kW×1台 ポンプチラーの温水を利用したユニットヒータを採用し 還水槽(FRP製) ている。またトレーニングジム・スタジオ・ロッカー 自動塩素滅菌装置 室・ロビーなどは,営業時間(10∼22時)を考慮し,氷 リラクゼーションプール 蓄熱ヒートポンプエアコン (ビルマルチ) を採用し,熱源 リラクゼーション循環ろ過装置 機器容量の低減をはかるとともに,省エネルギー化をは ろ過ポンプ かったシステムとしている。 還水槽(FRP製) 3.0m×3.0m×2.0m=18.0„ アクアクリーンシステム 30„/h×1基 500Î/Ò×3.7kW×1台 3.0m×1.0m×2.0m=6.0„ ブロアーポンプ 2.5Î/Ò×1.5kW×1台 ジェットポンプ 500Î/Ò×3.7kW×1台 4−2 熱源システム 当施設は,業務用蓄熱調整契約制度を利用した空気熱 源ヒートポンプチラー(20HP×9台)で,プール加温・ 給湯設備を含む施設の運用を行っている。深夜電力を利 用することで,ランニングコストの低減をはかるととも に,電力の負荷平準化にも寄与している。図−1に給湯 熱源システム系統図を示す。 プール・リラクゼーションプールは,空気熱源ヒート ポンプチラーにより,夜間蓄熱時間帯(22∼8時)に 55℃の温水を37„蓄熱し,加温時はそれぞれの熱交換 器を介して昇温を行う。プールの設定温度は30℃で計 写真−2 氷蓄熱室外機 比例式電動2方弁装置 32A 給水 蓄熱槽 37t 空気熱源式ヒートポンプチリングユニット (加熱専用機)×6台 Ⅰ Ⅱ 屋上機械室 HR HS Ⅱ Ⅰ BHS BHR CS CR 電動2方弁装置 20A Ⅱ 給温 Ⅰ 水風呂 1F屋外 空気熱源式ヒートポンプチリングユニット (加熱専用機)×3台 給水 温水ユニットヒータ×20台 プール系統 安全弁3K 減圧弁装置 20A 5K-1K 膨張水槽 HS HR HR HS Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ BHS BHR 空調設備 (温度表示盤) (ユニット主制御盤) 比例式電動3方弁装置 65A MV-3 減圧弁装置 安全弁3K 20A 5K-1K 25A 給水 1Fプール室 膨張水槽 1F機械室 空気熱源式冷水ユニット 熱交換器 図−1 給湯熱源システム系統図 ― 29 ― ヒートポンプとその応用 2003. 3. No.60 ―― 実 施 例 ―― 写真−3 スイミングプール 写真−6 リラクゼーションプール 画しているが,蓄熱時間終了時に31℃まで昇温する設 低下すると,湯温が55℃に回復するまで給水を停止し, 定となっている。 給湯加熱を行う。この運転を所定の湯量が確保されるま 蓄熱槽は,昼間の蓄熱湯の消費にともない温度が低下 した場合は,追従運転で昇温を行い蓄熱量を確保する。 で繰り返すことにより,蓄熱槽には常時適温の湯を蓄え ることができるように制御されている。 湯温が48℃に低下した場合は,55℃まで加熱するよう 制御を行っている。また,湯量が設定値以下となった場 5.おわりに 合は,自動的に給水を行う。給水によって蓄熱槽温度が 戦後,他に類を見ないほどの経済成長を成し遂げ,わ れわれの基本的な衣食住面での生活水準は大幅に向上す る結果となった。今や国民の関心の第1位に「健康」が あげられ,健康食品・健康器具・健康ドリンクなどの健 康産業が空前の活況を呈するなど,異常ともいえるほど の健康指向ブームとなっている。またこの健康ブームの 影響で,ジョギングや水泳・エアロビクスなどがさかん に行われ,かつてないスポーツブームとなっている。こ の健康・スポーツブームにはポジティブな側面もある が,若者にはファッションや遊び感覚の側面もあるよう に見受けられる。 これからの21世紀の高齢化社会を考えると,中高年 の健康指向はますます高まると考えられる。このような 社会的な背景のなかで,健康志向をめざしたスポーツ施 写真−4 熱源機器・蓄熱槽 設の需要は今後さらに増大し, さまざまな多機能プール, さらには温泉気分・風呂気分を味わうことのできるスポ ーツ・温浴施設に,多くの人が集まるものと思われる。 以上のような,多種多様なニーズを満足させる施設と して「鳥取スポーツクラブクオーレ」がこのたび完成の 運びとなった。 空調・給湯システムにヒートポンプ方式を採用した本 システムは,まさにベストミックスな方式であると考え られる。現在,平成14年12月のオープンに向けて,ほ ぼ調整も終わり施設運用面の研修中であり,オープン後 は運転実績・経済効果などのデータ収集を行い,運用面 および経済面での分析・評価を行う予定である。 最後に,本工事の施工に際し,ご指導・ご協力をいた 写真−5 プールろ過装置 ヒートポンプとその応用 2003.3.No.60 だいた関係各位に心よりお礼申しあげます。 ― 30 ―