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見る/開く

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見る/開く
一
の
の
一
万三三 μ
5
評
議
営5
護
審
議
運r
J開設翠ヘヴト締提
議議文@警護輯
子
理
大坪政美│九州大学農学部助教授
甲本達也│佐賀大学農学部教援
江頭和彦│九州大学農学部教授
の作付け体系に起因する,物理的・化学的
1.まえがき
風化作用により土壌の物理的性質は農業の
有明海およびその沿岸には, 1
5
'
"
'
'
2
0
mの
作業条件に好ましい方向に変化してきた.
さの軟弱な粘土が堆積している.この堆
本報告ではまず第一に,粘土堆積物の粘
積物は,筑後J
1をはじめとする嘉瀬川,六
土鉱物組成が,有明海に流入する河川流域
角J
1,塩田 ]
11などの中小河川によって運搬
の母材を反映していること,また海水面変
される懸濁粒子が,過去 1万年の賠,海水
動による湾内の還流の影響を受けることを
中に沈積して形成されたものである.この
提示する.第二に,干拓後の時間経過にと
30mから十 3mまで変動して
もなう物理的性質の変化を,土壌風化によ
おり,土佐積物の鉱物・化学組成は,流入河
る酸化鉄の生成という観点、から論じる.第
開海水面は
川流域の母材の性質だけでなく,海水面の
変動の影響を受けると推測されている九
有明海の干満差は約 5mと大きいため,
その沿岸には広大な干潟が出現し,これを
利用して古くから干拓が盛んに行われてき
た.こうして造成された沿岸低平地は,わ
に,有明干拓地土壌の特徴をもとに,
耐
拓年代に伴う物理的性震の変化と土壊地i
力からみた作業条件との関係について考察
する.
2.有明粘土層の粘土鉱物
が国脊数の水田地帯となっている.干拓土
佐賀県杵島郡有明町牛屋(図-1)で採
壌は枇細粒子からなるので,干拓直後の土
取した高明粘土ボーリング試料の粘土鉱物
壌は超軟弱であり,建設工事はおろか農作
分析結果を閣 -2, 3に例示する.ボーリ
業さえできない状態である.しかし年代の
ング地点での脊明粘土層の惇さは 18mであ
経過とともに,自然の乾湿条件やその時々
り,全層にわたって一定の関隅で試料を採
76一一…4
平地研究 N
o
.4 M
ARCH 1
9
9
5
18.0A
O.9m
9.3m
密 - 1 有甥海に流入する河 )
1
1流域の土壌図
取,粘土画分を分離し, X線回折法によっ
て粘土鉱物を同定した.ルーチンの X線回
13.
5m
折法では Mg飽和一風乾, M g飽和一グリ
セロール溶媒和, K飽和一風乾, K飽和
3
0
0C加熱, K飽和一 5
5
0C加熱の 5処理の
X線屈折を行い,粘土鉱物を開定する.関
- 2には, Mg飽和一グリセロール溶媒和
処理試料の X線回折図の一部のみを示す.
一次鉱物(クリストパライト,石英,長お)
を除いて,同定された粘土鉱物は, 17.5m
の深さまではスメクタイト,イライト
母粘土鉱物と同義),ハロイサイト(l.0
nm),緑泥石,カオリナイトとパーミキュラ
イトであった. 18.4mの深さでは,イライ
ト,パーミキュライト,カオリナイト,混
合隠鉱物が悶定され,強く風化を受けてい
ることが示唆されて,必ずしも有明粘土と
はみなさなかった.
17.5mまでの深さについて,粘土掴分の
粘土鉱物組成を計算した.すなわち,まず
Mg飽和 グリセロール溶媒和処理試料の
X線回折留(関 2)をもとに,各鉱物の
(
0
01)回折線のぜーク強度を次式により鉱
物含量に換算した.ここで, 1はピーク強
度
, W は鉱物合震を表し, Sm,l
t,Ht
,
Ch,Kt,Vtはそれぞれスメクタイト,イラ
0
17.5m
0
18.4m
図 -2 粘土函分の X線図折図
イト,ハロイサイト(l.Onm),緑泥石,カ
オリナイト,パーミキュライトを表す.
I
1
.8onm)ニ 3W
Sm(
sm
I
I
l
(
I.oonm)ニ W 1
t
I
H
t
(
l
.
Ionm)= 1
.5WHt
I
Ic附 制n m /(
ICh切・ 354nm)
ch+Kt(O.71nm) X {
+ht(o357nm)) }
ヰW Ch
I
IKt(O.ぉ 7nm)1(
ICh(O354nm)
ch+Kt(o.71nm)X {
叶 Kt( 357nm))同 W K1
・
・
札
-77
低平地研究 N
o
.4 MARCH 1995
一一一
2WVt+ WCh
Ich+vl(
l
・ 42nm)出
次に
パターンが最も対照的であった.
W sm十 羽TIt十 W Ht十 W Ch十 W Kt十
粘土拡物組成の垂直分布陣(臨 -3)を
W vt=100とおき,各鉱物の相対合最(%)を
サマリウムおよびジルコニウムのまま誼分布
計算する.このようにして計算した粘土鉱
図(図 -4) と対比させて考える.サマリ
物含量を深さに対してプロットしたものを
ウムとジノレコニウムはそれぞれモナズ石,
図
3に示す.
ジルコンに含まれ,これら鉱物は随伴鉱物
今までの分析報告と同じく,表層部では
として花街岩に含まれる.有明海には大小
(54-58%),
次いでイライトであり(17-20%),ハロイ
サイト(l.O
nm),緑泥石,カオリナイト,
パーミキュライトは 10%
以下であった.粘
の河川が流入し(圏一1),有明粘土の供給
スメクタイト含量が最も高く
土鉱物合意の垂産分布については,スメク
源になっているが,嘉瀬川の背後地には赤
黄色土,褐色森林土の母岩である花尚岩が
広く分布している.そうすると,サマリウ
ムおよびジルコニウムの濃度変化は,嘉瀬
タイトは 2.4mの深さまでやや増加 (
54%か
川を含めてボーリング地点に近い北部
ら58%へ),それより深いところでは深さと
部の山地に発する河川系(嘉瀬川 1,六角}l1,
ともに減少し,最下部の 14.2-17.5mで
、
は
塩田}11)の流入物量のひとつの指標値とな
23-24%であった.残りの粘土鉱物はスメ
りうる.すなわち,ボーリング地点での有
クタイトと多少とも反対の垂直分布を示し,
明粘土形成へのこれら河川系からの流入物
そのなかではハロイサイト (
1
.
0
n
m
)の分布
の寄与は基部から 12.5mの深 dで最大で,
西
それより上部では浅くなるとともに低下し,
4.4-2.4mの深さで極小となり,表j
留部に
粘土鉱物含有率(%)
o
噛
o
骨
o
噛
船会担
A
@
A
傘 q
A
15
@
恩
A
金 oc
盟
齢
d
0
@
@
@
O'スメクタイト
嘩イライト
@
@
@
@
@
@
@
@
@
@
ロ J、ロイサイト
噛
鰯クロライト
A カオリナイト
A
バーミキュライト
20
@
@
吟
,
.
A
ロ0 <
1
1
@
@
@
O
噛
10020
@
@
@
6
ロ併
合
&
O
nwnv
L
l
I
i
O
,
8o
@
@
4
白
A
2
o
噛
ジルコニウム (ppm)
60
@
(臣)泌総
E金
4
or
o
噛
A
サマリウム (ppm)
3
o
嘩
.
&
d
A
分布ノ fターンによく対応した.この事実は,
o
@
A
10
る.
nm)の垂直分布パタ
ハロイサイト(l.O
ンはサマリウムおよびジルコニウムの垂直
o
o
母
A U図h
腿
艇
向かつてやや増加すると考えることができ
O
@
A
ε
噛
M
5
o
o
@
醐合調傘
AA
QAA
ロ
記
60
40
20
O
O
@
@
@
@
14
@
@
@
@
16
18
@
@
@
@
20
函-3 粘土腐の粘土鉱物総成の黍底分布図
78一 一 寸 問 研 究 陶 4 MARCH1995
図 - 4 粘土腐の徽盤元繁のきを底分布図
ハロイサイト(1.0
nm) がもっぱら嘉瀬 }
I
I,
そ40cmまで低下するので,地下水面より上
,塩田 }
I
Iの流入物に起源し,再JlI
の
六角JlI
部の土壌はこれまでかなりの頻度の乾湿履
なかでは思らく嘉瀬川の寄与が相対的に大
を受けたと考えられる.
きししたがって砕屑性であることを推測
(
2
) 実験方法
させる.ハロイサイトが花嵐岩風化物の主
パイライト
要な粘土鉱物であることもこの推測を支持
(
F
e
S
2
)の定量:酸性硫酸塩
する.ハロイサイト(1.0
nm)以外のイライ
土壌の可酸化性硫黄が主としてパイライト
からなることを考慮して,ここでは過酸化
ト,緑泥石,カオリナイト,パーミキュラ
水索水処理による簡易測定法を用いた幻
イトも開犠に砕屑性であり,これら河}1(
嘉
E
顕京方法の説明が不十分なので,説明を加え
I
I,六角JlI
,塩田JlI)の流入物に主とし
瀬}
る.まず,風乾土 1g と塩素駿カリウム
て起源すると考えることができる.
一方,スメクタイトの垂直分布ノ Tターン
(KC103) 3gを3
0
0
m
1にとり, p狂 7に調整
過酸化水素水 1
0
m
1を加え時計皿で
した 30%
は,サマリウムおよびジルコニウムの分布
ふたをする.これを湯燕またはホットプレ
パターンと逆の傾向にあった.このことは,
ート上で加混すると白煙を出して激しく反
スメクタイトが嘉瀬川,六角 }
I
I,塩田川の
応する.反応終了後,懸濁液の pHを測定し
流入物にはほとんど起源しないであろうこ
て
, 1
0
0
m
1のメスフラスコに移し,冷却後定
とを示唆する.有明海に最も多量の物質を
容とする.この液を乾燥ろ紙でろ過し,ろ
液2
5-50m1 (正確に定める)を三角フラス
搬入するのは筑後JlI
である.恐らくは筑後
}
1を通って搬入され,反時計四りの湾内還
流によって運ばれてボーリング地点に堆積
した火山砕屑物から,その海j
底での化学変
コにとり煮沸する.この液に指示薬のブロ
ムクレゾールパープルをわずかに加えると
によってスメクタイトが新たに生成した
黄色になる.この液の色が赤味を帯びた紫
色に変わるまで,ピュレツト中の O.lN-
のではないかと推測される. C
o
1
e and
NaOHを滴下し続けてその滴下鷺を決定
Shaw
幻は,現世の海成堆積物での自生スメ
する.このときの変色点を視覚的に決定す
クタイトの生成機構のひとつとして,火山
ることは難しいので,溶液の pHが指示薬
岩片および火山ガラスの化学変質を挙げて
の変色領域である 5
.
2
7
.
6(pH6.0を目標に
いる.ノントロナイトが最も広範な自生ス
する.この pH領域では,わずかな NaOH
メクタイトのタイプであり,有明粘土のス
メクタイトがパイデライトーノントロナイ
点を終点とする.この中和滴定において 0
.
1
ト型であることもその自生説を支持する.
1は1.6
0
3gの Sに相当す
N-NaOHの 1m
3.土壌の風化による酸化鉄の生成と物理
的性質
るので,これからパイライトの震を求める.
この中には間際水中の硫酸イオン,および
過酸化水素水に入っている硫黄も合まれて
3
. 1 試料と実験方法
く必要がある.
いるので,測定値から差しヲ i
(
1
) 試料
の添加で pHは急激に変わる)になった時
酸化鉄の定量:有明粘土に含まれる酸化
採取した.有明干拓は 1
9
5
1年に千陸され,
鉄は結晶度の低いフェリハイドライトであ
ることからぺ駿化鉄の抽出にはチロン法 5)
採土地点一帯は遊水池的機能をもっ宋耕地
を用いた.抽出物質の定量には原子吸光光
として放寵されたまま現夜に査っており,
度計を用いた.
イオン濃度測定期間隙水の抽出:試料の
供試土壌は佐賀県自お町の有明干拓から
今は葦が生えている.この地帯は降雨時に
は冠水するが,晴天時には地下水位がおよ
霊童国体濃度が 10%になるように,湿潤試
低 平 地 研 究 陥 4 附 RCH 19
釘一一一
7
9
料に蒸留水を添加後十分に振とうする.懸
ような反応によってどの程度酸性を中和し
濁液を遠心分離器にかけて上澄み液を採取
うるかにかかっている.
CaC03
十 2H+
→ Ca2
+十 日 20十 CO2
(
3
)
CaMg(C03
)2
十4
I
F
2
一~ Ca
++班 g2++2H2
0十 2C02
(
4
)
し,これをイオン濃度測定用問隙水とした.
陰イオンと陽イオンの定量模索イオン
濃度は,抽出した間際水を用いてイオンメ
ータにより澗定した.硫酸イオンの測定に
土壌中に存在する炭酸塩の量は気候条件に
は CLB (クロラニール酸バリウム)錠剤
依帯しており,熱帯地域では溶脱が激しい
を用いため.硫酸イオンを含む間離水に C
ためその量は少ないが,温暖な地域では溶
LB錠剤を加えて混ぜると次のような皮応
脱量が少ないためその震は多い.有明粘土
がおこり,溶液は赤紫色になる.
SO/ 十 Ba(C6C
12
04
)十 日 +
→日(
C6C
12
04
)
…十お aS0
4
においてはかなりの貝殻が残っており,炭
酸カルシウムの測定値としてl.0
"
'
2.
4%が
されている I九
C6C
12
04
)
ー
は SO/ と
ここで,生成する H(
3
0
当量関係にあることを利用して,溶液を 5
また,酸性硫酸塩土壌の酸化により生成
された水素イオンと硫酸イオンは,土壌中
nmで比色することにより間接的に硫酸イ
のカルシウムと結合してジプサム(石膏)
オン濃度を定量した.陽イオンは,抽出関
離水に含まれる Na+,K九 Ca Mg2
+の
が生成され,これが pHの上昇に寄与する.
カルシウムの供給漉は炭酸塩,その他のカ
楊イオン濃度を原子吸光光度計により測定
ルシウム合有鉱物,あるいは水溶性,吸着
した.
活性 H
価苗鉄の定霊:フエナントロリンに
性のカルシウムイオンであり,干拓地での
よる比色定量法を用いた η
の反応は次のように表される.
十 2H+十 SO/
CaC03
一十 H2
0
ヘ
物理.力学試験:粒度組成はピペット法
によった.乱さない粘土,および練り返し
粘土のせん断強度はベーンせん断試験によ
供給源としては炭酸塩が支配的であり,そ
→ CaS04・
2H2
0十 CO2
3. 3 粘土躍の化学的性質
(
5
)
5は,パイライト,活性 2価鉄,酸
化鉄の含荷量の変化を示す.地下水面の深
さはおよそ 4
0
c
mであり,パイライトと活性
り測定した.
3
. 2 酸化鉄の生成制 10)
堆積物の子陸により地下水位が地表面下
2儲鉄,酸化鉄の含有量は地下水面の上下
に下がると,空気が土閣内に侵入し土壌に
化学的変化がおこる.まず,パイライトが
で著しく異なる傾向を示している.即ち地
下水面より上部では,パイライトは 0.1%以
語変化されて 2価鉄と硫酸が生成される.
下,活性 2価鉄 (Fe十)は表面部を除き 0
.
0
1
十 日2
FeS2+7/202
0
2
2
ー十 2
狂+
→ Fe+十 2S04
%以下であるのに対し,地下水面より下部
(
1
)
では,パイライトは 1
4
0
c
m
付近を除いて 0
.
5
さらに酸化が進むと,最終的には次のよう
%より高く,活性 2価鉄は 50-60cm
付近で与
な反応によって水酸化鉄が生成される.
極大値を示しそれ以深では減少した.千陸
十1
十 14H
4FeS2
502
0→
2
4Fe(OH)3十 1
6五十十 8S0/-
当初,地表面に近いほど(1)式の反応に従っ
(
2
)
てより多くの Fe2+がパイライトから生成
反応式(
1
)
(
2
)における酸の生成が土壌 p狂の
0
c
m
付
されたが,その後地下水位が現在の 4
低下を引き起こすかどうか註,堆積物中に
近まで低下すると,地下水面より上部の
存在するカルサイト (CaC03
)やドロマイ
Fe吋ま酸化鉄に変化するため著しく減少
し,関 -5の分布になったと思われる.酸
)
2
J のような炭酸壌が次の
ト [CaMg(C03
8
0一 一 → 正 平 地 研 究 ト10.4 MARCH1995
Fe
S
2(%)
0
.
5
1
.0
Fe2+(略)
0
.
0
5
0
.
1
0
1
.2I・
Fe;;P3(%)
O
.
S
1
.0
轟診
1
.5
@
Y0
.
9
7
6
0
.
6
5
7
Xr
=
0
.
7
2
8
間
(ぷ)議ど制幽
5
0
@
(EO
﹀泌総
0.
4
タ φ﹄4
1
5
0
1%水準で有慾
0
.
8
0
.
0
0
.
0
2
0
0
@
@
0.
4
@
@
@
0
.
8
1
.6
1
.2
パイライト(%)
間-5 パイライト
2価鉄, および酸化鉄
の含有盤変化
イ七鉄含有量は,地下水面の上部で約1.1%,
地下水面付近で0
.7-0.8%,1
0
0
c
m
以深では
.5%以下であった.深さ方向の酸化
およそ 0
鉄合有震の変化は,パイライト合有量の変
化とは逆の傾向を示し,両者の関係をプロ
ットすると図 6のようになる.両者の関
には明らかに負の相関関係があり,これは
(
2
)
式の反応に従って,パイライトの酸化に
より酸化鉄が生成されたことを示している.
以上に述べたような活性 2価鉄,酸化鉄,
ノT
イライトの深度分布から,地下水面付近
~-6
パイライトと酸化鉄の含有盤の関係
SO/
ーが雨水浸透により溶脱されたこと,
(
5
)
式によって SO/
ーが消費されたことが考
えられる.溶脱が起こったことは,間隙水
中の塩素イオン濃度が海水中の濃度 (
5
3
5
me/l)より著しく低いことから理解され
1…濃度が低いのは,表
る.表面に近いほど C
ほど激しい塩類搭脱が起こったことを示
している.海水の C
1ーに対する S
0
42…の濃
度比は 0
.
1であり,粘土堆積後 SO/ーの生成
あるいは消費がなければ,間際水中の濃度
およびそれより上部の粘土は強い酸化作用
.
1となるはずである. S
0
42 は C1 と
比は 0
同様土壌にはほとんど吸着されないので,
を受け, 1
0
0
c
m
以下の土壌は酸化作用をあま
粘土堆積物が塩類の溶脱を受けても,濃度
り受けていないと考えてよい.有明海周辺
比は変化しないと考えられる.本粘土臆に
のクリーク底 質土においても本粘土躍と間
程度のパイライトおよび酸化鉄の合荷量が
測定されている 11)
おける濃度比を深さに対してプロットする
と関 - 7のようになり,濃度比は深さによ
4
り大幅に変化することがわかる.即ち濃度
酸化鉄と同時に硫酸イオンが生成される.
比は表面から 5
0
c
m付近までは 0
.
1より大き
0
1
3
0
c
mでは 0
.
1に近い値を, 1
3
0
い値を, 5
干拓地土壌における硫離イオンの生成につ
いては足立ら 12)による調査研究がある. (
2
)
c
mより下部では 0
.
1より小さい値を示して
いる. C
1ーに対する S
0
42…の濃度比が0
.
1よ
式では水酸化鉄と硫酸イオンの量は比例関
り高いというのは,粘土曜積後,新たな
(
2
)式によるとパイライトの酸化により水
係にあるので,土壌中の SO/濃震は,深さ
SO/の供給があったことを意味しており,
方向に酸化鉄含有量と類似した変化を示す
新たな
と予想される.しかし,測定された S
0
42 濃
度は圏 7に示すように,すべての深さで
.
1より低
たと考えてよい.一方,濃度比が0
ーが消失した
いのは溶脱以外の原因で SO/
5
5
m
e
/1)より低い値
海水中の SO/濃度 (
をとり,酸化鉄合脊最に対応した変化を示
ことを意味している.1
3
0
c
m
以下で与は新たな
SO/の生成はほとんどないので,この部
さなかった.この理由として,間際水中の
分の粘土は海水と間程度の
S
0
42 は(
2
)
式にしたがって生成され
S
0
42ーしか合ん
-81
低平均研究 N
o
.
4 附 RCH 1995
一一
SO;-{me
/
l
)
2
0
4
0
。
S
O
i
7
七
γ
cnme
l
I
)
4
0
00
.
0
2
0
0
0
.
2
pH
0
.
6 6
0
.
4
総賜イオン (
9
/1
)
。z
8
7
8
4
(EO)Mm
照
5
0
1
0
0
1
5
0
2
0
0
密 - 7 イオン濃度と pHの変化
9
S5¥1N 寸O 的
8
x
a
@
@
@
Y=0.3040.238X
5%水準で脊慾
@
7
s
O
0
.
1
0.2
@
0.1
@
0.3
幽
。4
..
.
-
@
0.0
0.0
0.5
0.5
s
o
l
:
/CI図-8 塩繁イオンに対する硫酸イオン濃度
比と pHの関係
思 - 9 様紫イオンに対する硫酸イオン濃度
比とパイライト含有霊堂の関係
1
.2
された結果によると思われる. SO/が
。
0.
4
窓
0.3
6 有
ばM で
0.2
%
め ら れ な か っ た が , pHは C
lに 対 す る
0
.
1
V八
した. pHと SO/濃 度 の 聞 に は 相 関 は 認
か準
一目ルh
r;
QU
00
0.0
0.0
。υ T l
白
河d
1
q3
+
n
u
VE
AU
.
“
。4
(
3
)(4)の反応により pH
は留一 7に示されるように, 6
.
5
以上に上昇
.
.
.
.
@
@怠
壌 の pHは低かったと予想、されるが,
@
@
@
0.8
@@
生成された時点、では,酸化作用を受けた土
(ぷ)心ぬと灘
度比は,このような SO/
ーが(
5
)
式により消
1.
5
1.0
パイライト(%)
でいなかった.この部分での 0
.
1より低い濃
2
-濃 度 の 低 下 や
@
@
Y=8.535-3.667X r=0.928
1%水準で有怒
S
0
4
r
=
0
.
5
8
1
同
0.5
s
o
i
1
C
I
図ーイ B 酸化鉄含有盤と,塩繁イオンに対す
SO/…の濃度比の関数として表されること
る硫酸イオン濃度比との関係
がわかった(回一 8
).
このように C
lーに対する SO/
…の濃度比
および駿化鉄含有量との関係を求める
ーの生成,消失の程度を表す指標と
は
, SO/
と図
なりうる.そこで濃度比とパイライト含有
パイライト含有量,および酸化鉄含有量の
82一 一 一 僻 地 研 究 院 4
附
RCH1
9
9
5
9,図 -10のようになり,濃度比と
粒度組成
合氷上ヒ
(%)
(%)
'
T
T
5
0
3
1
0
0
q
E
。
液性指数
50 1ω150
...Lー
」一ーム
司
惨
。
0
.
8
1
.
2
活性廃
1
.
0
1
.
5
せん断強度
。
鋭敏比
合P
a
)
1
0
20
o
1
0
20
30
ρL一一一一ム
O
制
照
b
t
1
5
0
司
令¥
2
0
0
図-11 粘土腐のヱ学約性質
開にはそれぞれ負,および正の相関が認め
このような深さによる工学的性質の変化
られる.これらの結果は,粘土堆積後の
SO/ の供給が(
2
)
式の反応、にもとづくこと
を支配する物理的,化学的因子をみつける
ために重回帰分析を行なった.目的変数の
を示している.
工学的性質としては,液性限界,活性度,
以上の考察から,本粘土層の地下水面付
せん断強度をとりあげ,それぞれの特性の
1に訴すものを用
近およびそれより上部の土壌は,干睦当初
説明変数としては,表
酸性硫酸塩土壌であったが,長年の乾混の
いた.重回帰分析における説明変数の選択
繰り返しゃ塩類溶脱により酸性硫酸塩土壌
には変数増加法を用いた.このようにして
の特性が失われたと考えてよい.
3• 4 粘土躍の工学的性質とその支配因子
得られた各自的変数についての自由度調整
ずみ霊棺関係数,寄与率,儒相関係数を表
1に示す.自
粘土層の工学的性紫を圏一 1
2に示す.液性隈界の支配困子としては,
粘土分含有量と酸化鉄含有量が選ばれた.
酸化鉄含有量と液性限界の間には負の相関
があり,これは,酸化鉄の増加が液性限界
の低下に寄与することを示している.合成
然含水比と液性限界は,地表から 5
0
c
m
付近
まで増加し,それより下層ではほぼ一定値
を示した.塑性限界は深さによらずほぽ一
定となった. 4
0
c
mより上閣では,液性眼界
0
c
m
以下では,
が自然合水比より高いが, 4
自然含水比より低かった.これは液性指数
の大きさに反映しており,その髄は上層部
で 1以下,下層部で 1以上を示した.粒度
組成については,粘土分が42-52%の範聞
で変化した.乱さない粘土および練り迭し
粘土のせん断強度は,表面から 5
0
c
m
付近ま
で減少し,それ以深ではほぼ一定であった.
このようにコンシステンシー限界, ~夜性指
数,せん断強度などの工学的性賓は, 405
0
c
m
付近にある地下水面を境として,その
上下関で著しく異なる傾向を示した.
表- 1
霊童回帰分析に用いた説明変数
と目的変数 (y)
(
x
)
X,
:自然合*'比(%)
X2 :粘二!こ分(<2p
m
)
(%)
(
%)
X3 :酸化鉄 (
F
巴2
0
s
l
X
.
.:I
湯 イオン濃度 (g/
1)
X5 : pH
Y,
:液性限界(%)
Y2 :活性皮
Y3 :'不撹乱せん断強度 (
k
1
込)
Y4 :絞り返しせん断強度 (
k
P
a
)
Y5 :鋭敏比
X 2 • X 3 • X,
, X5
X 3 • X 4 • X5
X"X 2 • X 3• X 4 • X5
X.
,X z• X 3• X
.
.
.X5
X 2 • X 3 • X,
. X5
{ 岬I
也研究ぬ 4 MARCH I
問 一
83
表 -2 選択された説明変数と解析結果
目的変数 (Y) 説明変数 (X)
R2
R
F
{
i
痘
r
0
.
8
4
9 0
.
7
6
1
液性限界
0
.
8
3
0
0
.
4
9
8
粘土分含有童
話変化鉄含有量
2
6
.
6
3
.
9
6
0
.
5
3
0 0
.
3
3
2
活 性 度
0
.
5
7
6
酸化鉄含有盆
0
.
9
1
5 0
.
8
6
1
不撹乱強度
酸化欽含有認
0
.
9
0
1
粘土分合有章
一0
.
6
2
7
0
.
9
7
5 0
.
9
6
2
練り返し強度
一0
.
9
0
6
自然合水比
pH
0
.
7
4
8
0
.
7
0
9
酸化鉄含有量
一
偏
R:自由度調整ずみ童相関係数
R2 :
υ一
、
戸 一数
一係
町一関
Jυ
酸化鉄含有設
5一
R
0
.
5
0
0 0
.
3
0
4
鋭 敏 比
5
0
.
6
1
4
.
0
1
1
.
1
した酸化鉄と粘土鉱物の複合体が乾燥履涯
負の相関がある.これは,液性眼界の場合
を受けると,複合体の液性限界は低下する
と同様,乾燥により酸化鉄を多く合む粘土
ことが示され1
1その原因として,酸化鉄の
ほど団粒化が進み,練り返しせん断強度が
屈化により団粒が形成され,加水しでも間
粒が崩壊しないこと 14)が考えられている.
低下したした結果である.繰り返し強度に
対する不撹乱強度の比として表される鋭敏
このことから,本粘土閣における酸化鉄の
比が酸化鉄含有量と負の椙関を示すのは,
増加に伴う液性限界の低下は,より多くの
酸化鉄の増加による練り返し強度の増加割
酸化鉄を含む地表面に近い粘土が,より強
合が,不
い乾燥作用を受けた結果であると解釈でき
あろう.
る.塑性指数を粘土分含有量で除した活性
度は,酸化鉄含有量と負の相関を有してい
る.古しさない粘土のせん断強度は,酸化鉄
m苦し強度のそれより大きいためで
4
. 干拓地土壌の物理的性質と地耐力
4. 1 佐賀平野土壌の特徴
とは高い正の棺関を示している.酸
佐賀平野(白石平野を含む)は,筑紫平
化鉄がせん断強度を増加させる機構として
野の西半分を形成し,図 -1217)に示すよう
は,酸化鉄が,負荷需をもっ粘土粒子表面
にそのほとんどが低平で軟弱な沖積低地で
に沈着して粒子間反発力を減少させるこ
ある.また,筑後}
I
Iをはじめとする嘉瀬川,
と川町酸化鉄が粒子間の架橋として作用
I
I,塩田川等の中小河川が流入する有
六角 }
する 1のこと考えられる.練り返しせん断強
明海は,干満の差が約 5mにも及び,沿岸
度の支配因子としては,自然含水比, p狂
,
に広大な干潟が出現し,古くから干拓が盛
酸化鉄含有最が選ばれた. p百と練り返し
んに行・われてきた所である.干拓により新
せん断強度の間の負の相関は, pHが高い
たに造成された脊明海沿岸低平地を含めて,
ほど粒子間反発力が増加し,その結果せん
佐賀平野は我が間有数の水田地帯でもある.
断強度は抵下することから説明できる.酸
しかも,図
化鉄含有議と練り返しせん断強度の間には
の大部分が重粘土からなるクリーク地帯水
84一 一 → 僻 地 研 究
N
O
.
4附
附 1
995
1
2に示すように佐賀平野はそ
福岡県
九司ず~
・
,
)~
k
、、
、F州~佐爽平野の区域
ヘ-)
信室3グライ土壌徴(縮)殺気
¥
_
‘
¥
.
.
,
・ ~良醤
幾崎線
C玄D 灰色~W<掲色土壌細教鍵~中粒寅
\4・~、-~灰褐色~磯質土壌中粒寅~粗粒焚
、
.
.
.
.5m等高線クリーク地帯
図-12 佐賀平野と土壌分布 17)
国であることがわかる.
図-12にしたがって,佐賀平野を土性的
考えられる.ここでは,佐賀平野土壊の物
理的性質について,その特質や農作業との
にみると,上流の非クリーク地帯は粘土分
関連について述べる.
合有量 10-20%で,砂壌土 (
SL)一壌土(L)
各地の干拓後間もない干拓地粘土の物理
的性質の比較を塑性問上で、行ったものが図
の粗粒質の土壌であるが,クリーク地帯に
の土;壌となっている.また,膏明湯の沿岸
-1318)である.これによると,一般に干拓後
間もない子拓地粘土はカサグランデの A線
より上,液性眼界 wL50%以上の高塑性・無
地のみについてみると東部の粘土分含有量
機費の粘土に区分される.特に,有明干拓
は30-40%であるのに対して器部の粘土分
地粘土は A線 と の 対 応 が よ し こ れ ら の 干
は50-60%と東部沿岸地よりは西部
拓地粘土の中では比較的有機質な粘土であ
なると粘土分合有意は 3
0… 50%と高くなり
軽埴土(LiC)一重埴土 (HC)の強粘細粒質
沿岸地の方がより細粒質な土壌となってい
る.
200
4. 2 佐賀平野土壌の工学的分類
地盤が農作業や建設工事の対象となる場
合,土壌の持つ物理的性質や力学的性質が
問題となる.つまり,干拓直後の粘土は超
軟弱で、あり建設工事はおろか農作業さえも
出来ない状態であるが,千陸後の蒸発散や
排水といった土壌水分の減少効果によりや
がては農作業が出来るようになる.これは,
土壌水分の減少作用により土壌の物理的性
質や力学的性質が改善されたためであると
盤1 1
5
0
性
綴
数
1
0
1
0
0
p
(た)
5
0
1
。
。
図 -13 冬穣土壌の塑性図上のイ立霞 18)
低平地研究 N
O
.
4 附 RCH 1995
一
一-85
表-3 干拓地水田の畑転換による有効水分とコンシステンシーの変化問
j
習
立
イ
pF1.5-4.2
(Mv %
)
LL PL
.7
PL/pFl
(
%
) (
%
)
Apg
Bg
E
H G
1
5
2
3
3
0
8
7
1
0
9
1
2
1
4
4
5
3
5
4
0
.
6
9
0
.
5
1
0
.
3
4
I Ap
B
G
1
7
1
4
3
0
7
6
7
3
1
2
1
4
2
4
0
5
1
0
.
6
8
0
.
6
9
0
.
4
1
Apg
Bim
Bm
1
3
9
1
5
9
3
9
0
1
0
2
4
7
4
9
5
3
0
.
6
3
0
.
8
0
0
.
5
8
l Ap
忍
イ 年 Bim
W
I Bm
1
2
8
1
6
8
0
9
0
1
0
1
4
7
5
1
5
2
0
.
8
2
0
.
8
6
0
.
5
6
1
0 Ap
ニ
t 年 四m
1
2
8
9
7
1
8
6
1
0
6
4
3
4
7
5
3
0
.
8
1
0
.
7
4
0
.
7
1
水
グ
フ
イ
土
年
畑
水
灰
出
色
主
自
畑
Bm
ると分類される.
の小さい土壌へと変化することが伺われる.
佐賀平野では,干拓地は当初,主として
水田として整備・利用されたが,その後,
4
. 3 藤作業と土壌のエ学的性質
農業の機械化が進み,佐賀平野の水田地
水田利用再編対策として大豆等への転作を
帯に大型トラクターやコンパインが導入さ
含めて水田の汎用化がはかられてきた.こ
れた. トラクターやコンパインなどの農作
のことから,干拓地水田は干拓年代を経る
業用車両はもともと乾燥した畑地を対象に
ことによる自然的な乾溜条件だけでなく,
発達したものであるので水田のような混潤
その時々の作付け体系によっても土壌の物
な臨場ではこれら車両の定行性が問題とな
理的性質を変化させてきたと思われる.い
ま,干拓地水田土壌のコンシステンシー眼
界の経年変化を国
1
4
0
1419)に,塑性図を閤-
15叫に示した.図 -14によれば,コンシステ
ンシー限界のうち塑性眼界値は経年的にほ
とんど変化はないが,液性隈界値は年を経
生土@
合
水
るにつれて減少しているのがわかる.さら
比
15より干拓地水田土壌は干拓後間
%
に,図
もない干拓地粘土(圏一 1
3
) とは異なり A
図 -14 干拓地水国土壌作土のコンシステン
シーの変化
(I~I お平野水IJ])
1
9
)
脚
一
地
1995
∞
∞ -一土
→正平地研究 N
O
.
4 MAR仰
問一茸
86
E
量ダライ土
3
2
り,畑地の期間が長くなるにつれて圧縮性
H
守山山一
一E
3
1
i
1
:
5
0
4年一
3 に示される.表
から転換畑土壊は水田土壌より有機質であ
2
初代時
理性の変化は表
19
)
B
グ
また,干柘地水田の畑転換による土壌の物
E
9箔一土
子一ィ
に分類されるようになることがわかる.
。
E
撃性際界 (
Wp)
限年一
練の下側に位置しており,有機質粘土の範
露
乱
暴
露
土
液性磁界 (WL)
e
c(
5
.0
8 c
m
/
の柔らかい土で・ ~2inch/ s
ω
麹 トω
f
主 I
。As塁'Bs喜
s
e
c
)の貫入速度で押し込むときの単位荷重
日終
・
B
G
s
・
塁Gs
建
をコーン指数(Ic
) という.
お
コーン指数の測定は,同一水田関場内の
飲料。
も地耐力の低い軟弱な部分で数回行い,
I
p
(
%
)
ト2
0
。
。
I
I
平均値をその圏場の代表髄とする.藤 }
ら2
0
)は,梅岡県三瀦町のモデル悶場での各
6
0
液性限界
的
1
∞
1
2
0 1
4
0
WL (%)
種車両の走行性試験結果を基に,富山県野
尻および岐阜県高須輪中での走行性に関す
る試験結果を加味して判定基準を以下のよ
盟-15 子拓地水白土壌の塑性図
うに得ている.
(白石平野水田) '
'
'
)
る.これまで,農作業用車両の走行性判定
のために走行性と土壌の工学的性賓との関
i)正規型土層の場合
a) 耕うんおよび収穫時における作業走
行
率によって判定することができる.スリッ
4のよう
C
6は底部断面積6
.
4
5
である.表において, I
0のコーンのコーン指数であ
c
m
¥ 先端角 3
り,数値は画場表面から深さ 1
5
c
mまでの I
C
6
プ率は車両の駆動輪がスリップすることな
の平均値である.
係が明らかにされてきた.
この時の走行性判定基準は表
車両の走行のし易さは「走行能(トラフ
Jとよばれ,車問のスリップ
ィカピリテイ )
0
,スリ
く n回転する問に進行する距離を s
b) シロカキ作業走行
ップしながら n回転して進行した距離を
ホイール型トラクタを使用してシロカキ
ぜとすれば, (
S
S
'
)/
s *100%で表される.
を行うときには,水自主主輪あるいはガード
この値が20%を越えると走行が事実上不可
能になるといわれている.スリップ率は地
ルを装着する.この場合の I
C
6は作土層直下
耐力不足に基ずく車両の沈下による走行抵
抗の増加,土壌水分過多のためのスリップ
1
0
c
m間の平均値が 3k
g
/
c
m
'
以上あればよい.
i
i
) 不正規型土障の場合
i
,
) b) に準じることにする.
などによって増大するが,このスリップ率
ここに,規型土層とは,①土層断面にお
と最もよく対応するのがコーンペネトロメ
cが等
ける強さの分布として,深さにつれ I
ーターによって測定するコーン指数である.
しいかあるいは増加する土庸,または,②
このコーンペネトロメーターによる測定方
耕盤が明瞭で、それが耕盤支持型の形式を示
x
p
e
r
i
法は米国の WES (Waterways E
mentS
t
a
t
i
o
n
) により採用されたものであ
断面における強さの分布としてある深さ
司
す土躍をいい,不正規型土躍とは,①土層
(表面から 1
0
c
1
司程度)で,その寵上部より
る.
4. 4 コーン指数と走行能
WESにより採用されたコーンペネトロ
0,底部断面積
メーターはコーンの先端角 3
2
0
.
5
i
n(
3
.2
3
c
m
つで 1
50
lb(
6
8
.0
4
k
g
)程度まで
はかれる応力環を備え 1人で潤定操作が
0
できるものである(我が国では,先端角
極度に土の強さが減少する土層,または,
②耕盤が不明瞭で、それが十分な支持力を持
0~10cm) が
たない土踏,例えば,表層 (
農作業機械の一回作業定行が可能な程度の
表層強さで,その下層が軟弱な表閣支持型
の土層をいう.
2
のものも併用されて
3
0,底部断面積 6
.4
5
c
m
佐賀県地先干拓地における沖積軟弱地水
いる ).このコーンペネトロメーターを普通
田臨場のような場合,土層は表層 (0~10cm)
0
-87
低平均研究 N
o
.4 MARCH 1
9
9
5
一一一
表-4 直進作襲撃走行の難易判定基準20)
無負荷走行あるいはロータリ耕うん走行の場合
深さ
o
~15cm の
Ic6の平均
(
k
g
/
c
ぱ)
ホイ…ノレ型ト
深さ
ラクタの;場合
o
~15cm の
Ic6の平均
(
k
g
/
αぜ
)
収穫走行の場合
o
~15cm
ガードノレ装着の
深さ
ホイーノレ型及び
の IC6の平均
クロ
ラ型トラ
(
k
g
/
c
m
'
)
セミクロ
ラ製
コンパインの場
d
口
'
>
.
クタの場合
>4
容易
>3
容易
4~3
可能
3~2
3~2
困難
2~1
可能
困難
2>
不能
1>
不能
が農作業機械の一副作業走行が可能な程度
>3.0
3.0~2.5
2.5>1
.0
1
.0>
容易
可能
困難
非常に困難 不能
(
3
) 佐賀平野における干拓地土壌のコンシ
の表鹿強さしかなしその下層も軟弱な表
ステンシー限界の経年変化をみると,液性
層支持型であり,典型的な不正規型土層と
限界が減少することから,農作業車両の走
判定される.したがって,このような水田
行能は改善されると予想され,その程度は
i)
転換畑で特に著しいであろう.土壌のコー
における判定基準は,上記のごとし
の b) に従うことになる.
5.まとめ
(
1
) 有明干拓でのボーリング試料の粘土鉱
物分析から,スメクタイト含有量は,
ほど高いことがわかった.これは,海水面
の変動に起関する有明梅の還流の変化によ
り,上層ほど筑後JlI
からの火山砕崩物起源
の物質が多く,この物質が堆積後スメクタ
イトに変質したためと推察される.
(
2
) 干拓地土壌でのパイライト含有量は,
地下水面を境として,それより上部で低く
下部で高いのに対し,駿化鉄含有量は上部
で高く下部で低かった.これは地下水面よ
り上部の土壌が酸化作用を受けて,パイラ
イトから酸化鉄と硫酸イオンが生成された
ことを示している.しかし,粘土の間隙水
中の硫酸イオン濃度は海水のそれより低く,
pHも 6以上を示している.これは,粘土層
が塩類溶脱を受けたことと硫酸イオンが炭
酸塩と反応した結果であると思われる.生
成された酸化鉄は,粘土の液性限界,練り
返し強度の低下,および不撹乱強度の増加
に寄与することが,重回帰分析から明かに
なった.
88ー イ 問 研 究 助 4 MARCH1995
ン指数と走行能の関係をもとに作成した車
両の直進作業走行の難易度判定基準による
と,典型的な干拓地水田土壌は,表層 (
0-
1
0
c
m
) が農作業機械による一匝作業走行が
可能な程度の強さしかなしその下層も軟
弱な表層支持型であり,不正規型土謄と判
される.
引用文献
1)有明海研究グループ:有明・不知火海域の第
1(
1
9
6
5
)
四系,地鴎研等報 1
.
G
.andShaw,H
.
F
.
:Then
a
t
u
r
eand
2
)C
o
l
e,T
巴s i
n some
o
r
i
g
i
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)
3)村上英行:過酸化水素による千拓地土壌中の
可酸化性イオウの半定量法,日本土:f?I~肥料学
雑誌, 3
2
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2(
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)
5)児玉秀臣,林久人:化学溶解法の比較検討
非品質鉱物の同定と定量への応用一,粘土科
学
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5
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自著者路盤
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3(
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5
7
)
7)土壌養分測定法委員会編:土壌養分分析法,
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.
3
1
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1
9(
1
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7
5
)
8) 久馬一階:酸性土壌とその利用(閤中明編),
p
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.
1
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1
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4
2,日本土壌肥料学会主主修,博友社
(
1
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4
)
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) VanBreemen,
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.andHarmsen,
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) 川崎弘:筑後 J
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Iド流域水田地殺の新設クリー
農業試験場報告, 2
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クの低質土,九州、i
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3(
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)
1
2
) 足立忠、可,松本康夫,原徹夫:土壌水分から
大坪政美
(おおつぽ
まさみ)
1
9
7
7年 九 州 大 学 大 学 院
農学研究科博士諜程単佼取得退
学
1
9
8
8年 九州大学長星学部助教授
見た干拓地土壌の酸性硫酸塩土壌化過程,農
6
2,ω.899
6(
1
9
9
2
)
業土木学会論文集, 1
1
3
) 大坪政美,和田信一郎カオリナイト 非品
繁水酸化鉄複合体のコンシステンシ…限界と
8
(
2
),p
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.
3
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粒子関相互作用,粘土科学, 2
司
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)
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) El-Swaify, S
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5
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(
1
9
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)
1
7
) 緒方雄一郎:水田基擁護備計画と排水対策,
1,p
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.
2
2
3
1(
19
7
8
)
幾作業研究, 3
1
8
) 長堀金造,天谷孝夫,高橋強:干拓ヘドロ
伺
の基礎的諮特性と除域機構について,
0
1,p
p
.
1
5
2
5(
1
9
8
2
)
木学会論文集, 1
1
9
) 定資 汎:有明海周辺干拓地の水間土壌,第
2
2田幾業土木学会土壌物理研究会シンポジウ
49
7
2(
19
8
3
)
ム,佐賀, pp.
2
0
)藤川武信,加来研,藤本昌宣,古関勲:
水悶ホ場地耐力の判定に関する研究,土質理
工学研究報告, 1
2,p
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.
6
7…6
8(
1
9
6
8
)
甲本達也
にうもと
たつや)
1
9
7
2年 九 州 大 学 大 学 院
農学研究科隠士課程単位敬得退
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1
9
9
3年 佐 賀 大 学 農 学 部 教 授 農 学 博 士
江頭和彦
(えがしら
かずひこ)
1
9
6
9年 九 州 大 学 大 学 院
農学研究科修士課程修了
1
9
9
2年九州大学農学部教授
農学博士
イ民平地研究ぬ 4 附 R印 刷5一一
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