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保険薬局における 麻薬管理指導の取り組み Sugi Pharmacy Co.,LTD 1 <目的> 平成20年度の調剤報酬改定により、麻薬管 理指導加算の点数が8点から22点と大幅に上 昇した。算定要件は、「電話等により定期的に、 投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び 保管状況について確認し、残薬の適切な取扱 方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必 要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の 効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬 学的管理指導を行う」である。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 2 「スリー・フェース確認用紙」を用いて、麻薬 が処方された患者に対して、服用や管理状況 および疼痛の効果や副作用などの確認をして いる。今回は、本確認用紙の内容と指導後の 処方変更状況について報告する。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 3 <対象と方法> 2008年4月から5月の2月における 20名の麻 薬処方患者に対して、スリー・フェース確認用紙(図 1)を使用した。 スリー・フェース確認用紙の調査項目 ①第一フェース:初回来局時記入 ・投薬日 ・薬品名 ・疼痛のための追加薬品、 (なお、薬歴簿に詳細を記載する) Sugi Pharmacy Co.,LTD 4 ②第二フェース: 2週間以上の長期処方の場合には、 電話による確認の了解を予め得た。 ・12名(60%)に電話確認の了承を得た。8名(40%)は 電話確認を辞退した。 ・電話による服薬状況・管理状況を、良・悪で (悪い場合には詳細記載)で確認した。 電話確認による記入 ・服用状況:3段階評価 ・管理状況:3段階評価 Sugi Pharmacy Co.,LTD 5 ③第三フェース:再来局時記入 ・疼痛の効果(フェイススケールWHO方式) による評価:疼痛の状態を6段階で評価 0:全く痛まない 1:ほとんど痛まない 2:軽い痛み 3:中等度の痛み 4:高度の痛み 5:耐えられない痛み Sugi Pharmacy Co.,LTD 6 ・服用状況:良、悪の2段階評価、悪い場合は、 飲み忘れあり、服薬時間が不定期、貼付状況が悪い、 などをチェック ・管理状況:良、悪の2段階評価、悪い場合は、残薬あり、 不適な温度や湿度、安易な放置、などをチェック ・副作用の有無:あり、なしの2段階評価、有りの場合は、 嘔気、嘔吐、ふらつき感、眠気、排尿障害、便秘、幻覚、 血圧低下、不眠、口内乾燥などをチェック ・また、本確認用紙を使用して、次回来局時の処方変化 についても確認した。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 7 図1:確認用ツール 初回来局時記入 電話確認時記入 再来局確認時記入 Sugi Pharmacy Co.,LTD 8 <結果> 解析対象者20名の性別 女性9名 (45%) Sugi Pharmacy Co.,LTD 男性11名 (55%) 9 調査対象者20名の年齢層 40代1名(5%) 50代1名 (5%) 80代5人 (25%) 60代6名 (30%) 70代7名 (35%) Sugi Pharmacy Co.,LTD 10 電話による服薬状況・管理状況 電話による服薬状況・管理状況の確認は、12 名 (100%)全員が2項目(服薬状況・管理状況) とも「良」示した。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 11 20名の次回来局時における疼痛の評価は、0: 3名(15%) 1:5名(25%) 2:7名(35%) 3: 3名(15%) 4:2名(10%)を示した。 服薬状況・管理状況は「良」は19名(95%)、悪いが 1名(5%)を示した。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 12 副作用の有りは、12名(60%)示した。副作用 で最も多いのは、便秘5名(25%)であった。 次回に、投与量追加あるいは追加処方が行われ たのは、9名(45%)を示した。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 13 再来局時9名における処方変更内容 年齢 性別 疼痛(フェーススケール) 86歳女性 3 73歳女性 2 89歳男性 4 83歳女性 4 56歳男性 2 48歳男性 3 80歳女性 1 72歳女性 2 69歳男性 3 Sugi Pharmacy Co.,LTD 追加処方内容 オキシコンチン5 2錠⇒3錠 オキシコンチン10 2錠⇒4錠 オキシコンチン5 追加 オキシコンチン5 2錠⇒4錠 オプソ 追加 オキシコンチン20 3錠⇒6錠 オキシコンチン5 追加 オキシコンチン20 3錠⇒6錠 デュロテップパッチ 追加 14 <考察> 薬局での疼痛緩和の状況は、軽い痛み以上の 場合が12名(60%)であることから、良好なコント ロールが得られていないものと思われる。しかし、 中等度威容の痛みの場合には、次回必ず追加が あり、薬剤師によるチェックを行うことによって、患 者が痛みを積極的に、主治医に伝えたのではな いかと推測している。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 15 我国の主な死因のトップは、悪性新生物( cancer ) で、全死亡数の30%以上を占めている。がんによ る死亡者数は、増加傾向にある。がん患者の80% 以上は、オピオイド(医療用麻薬)によるコントロー ルが必要であると報告されている。我国においても WHO方式がん疼痛治療法やがん疼痛対策の普 及によって、モルヒネの使用量が増加している。し かし、日本は先進国中で最もその使用量が低いこ とが指摘されている。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 16 不適切なオピオイドの使用、痛みと徐痛効果に対 するアセスメントの不足、不十分な副作用対策な どによって、がん患者に対して良好な疼痛緩和が 得られていないことがある。診断技術も急速に進 歩し、外来でがん化学療法を受ける患者が増加 しており、また、在宅でがん治療や終末期医療を うける患者の数も増えていることから、保険薬局 薬剤師においてもがん疼痛緩和に関しての服薬 指導や副作用対策(主に便秘・悪心・嘔吐)に適 切に対応しなければならない。 Sugi Pharmacy Co.,LTD 17