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商品の評価 - MakeShop
Chapter 3 商品の評価 商品の評価の全体像 Section 0 1級合格のための …… 3-2 ページ 例 題 重要度 ★☆☆☆☆ 2級の知識 Section 1 払出金額の計算… …… 3-4 ページ 1 数量計算の方法 ★★★★☆ 2 金額計算の方法 ★★★★☆ 3 払出単価の計算 例 1-1 ~ 1-3 ★★★★☆ Section 2 期末商品の評価… …… 3-10 ページ 1 1級で学ぶことの概要 ★★★★★ 2 棚卸減耗費 ★★★★★ 3 商品評価損 ★★★★★ Section 3 売価還元法… ………… 3-15 ページ 1 売価還元法とは ★★☆☆☆ 2 売価還元法の処理 例 3-1 ~ 3-3 ★★★☆☆ 3 売価還元法における 控除項目の扱い 例 3 - 4 ★★★☆☆ 用語集 ・継続記録法………… 商 品有高帳などの帳簿記録にもとづいて払出数量を 直接計算する方法 ・棚卸計算法………… 期末に実地棚卸を行い払出数量を間接的に計算する方法 ・個別法……………… 棚卸資産ごとに取得原価がわかるように区別して記録 しておき、その個々の取得原価を払出原価とする方法 ・先入先出法………… さ きに取得したものから順次払い出されると仮定し て、払出単価を計算する方法 ・平均原価法………… 取 得した棚卸資産の平均単価を算出し、この平均単 価を払出単価とする方法 ・最終仕入原価法…… 便 宜的に、当期中の最終に仕入れたさいの単価を、 その商品の期末商品の単価として計算する方法 ・売価還元法………… い ったん売価によって棚卸を行い、それに原価率を 掛けて期末商品を算定する方法 Chapter 3 商品の評価 0 1 2 3 4 5 6 7 3-1 Section 0 重要度 ★★★★★ 1級合格のための2級の知識 はじめに 払出単価の計算や期末商品の評価は、2級の知識がそのまま1級でも使えるところで す。しっかりと復習しておきましょう。 1 払出単価の計算 先 入 先 出 法 さきに取得したものから順次払い出されると仮定して、払出単価を計 算する方法です。 平 均 原 価 法 一定の範囲の平均単価を用いて払出単価を決定する方法。 ①移動平均法 払出時点での平均単価を常に計算しなおし、平均単価を払出単価と する方法です。 ②総平均法 期末に一括して平均単価を計算し、平均単価を払出単価とする方法 です。 2 期末商品の評価 棚 卸 減 耗 費 棚卸減耗とは、帳簿上の数量と実地棚卸を行って判明した数量との差 をいい、棚卸減耗費とは、この不足分の金額のことをいいます。 棚卸減耗費…=…原価…×(帳簿数量…-…実地数量) 商 品 評 価 損 商品評価損とは、期末の商品の収益性(正味売却価額)が下落した場合 に、簿価を切り下げて計上する評価損です。 商品評価損…=(原価…-…正味売却価額)×…実地数量 貸借対照表の商品金額 期末帳簿棚卸高 150 個 原価 @ 1,000 円 期末実地棚卸高 140 個 正味売却価額 @800 円 期首商品棚卸高は200,000 円である。 棚卸減耗費は売上原価に算入しない。 3-2 原価 @1,000円 正味売却価額 @800円 P/L・期末商品棚卸高 150,000円 商品評価損 28,000円 棚 卸 減 耗 費 B/S・商品 112,000円 10,000円 実地数量 140個 帳簿数量 150個 決算時の仕訳を示すと次のとおりです。 (借)仕 入 200,000 (貸)繰 越 商 品 200,000 (借)繰 越 商 品 150,000 (貸)仕 入 150,000 (借) 棚 卸 減 耗 費 10,000 (貸)繰 越 商 品 38,000 商 品 評 価 損 (借)仕 入 28,000 28,000 (貸)商 品 評 価 損 28,000 棚 卸 減 耗 費: @ 1,000 円 ×(150 個− 140 個)= 10,000 円 商 品 評 価 損:(@ 1,000 円−@ 800 円)× 140 個= 28,000 円 0 1 2 3 4 5 6 7 Section 0 1級合格のための2級の知識 3-3 Section 重要度 ★★★★★ 払出金額の計算 1 はじめに 商品の金額はすべて、「商品の単価×期末商品の数量」で計算されます。しかし、その 時々で仕入単価が異なる場合に、どれを「単価」とすればいいのでしょうか?… また、数量は帳簿上の数量でいいのでしょうか?… それとも、実際に棚卸を行わなけ ればならないのでしょうか? 1 数量計算の方法 棚卸資産 01)の数量 02)の計算方法には、⑴継続記録法と… ⑵棚卸計算法が あります。 意味 継 続 記 録 法 棚 卸 計 算 法 ・商品有高帳などの帳簿記録にも ・期末に実地棚卸を行い、払出 数量を間接的に計算する方法03) とづいて払出数量を直接計算す る方法 ・払出数量を直接計算するので、 つねに在庫数量が明らかになる。 ・期末に実地棚卸を行えば、帳簿 ・計算が簡便で手間がかからな 長所 数量と実地棚卸数量とを比較す い。 ることで、棚卸減耗を把握で き、管理目的に適している。 短所 01)数量的に把握する資産 を棚卸資産といいます。 02)期末商品の数量は通常、 問題文で与えられてい ます。 また、継続記録法で記録 し、期末に実地棚卸を行 うことが、前提となって います。 03)期首実地棚卸数量 +当期購入数量 −期末実地棚卸数量 =払出数量 ・帳簿の作成が必要となり手間が ・ 棚 卸 減 耗 を 把 握 で き な い の かかる。 で、管理目的には適さない。 棚卸減耗とは、保管・運搬中に生じる数量の減少です。期末帳簿棚卸 高と期末実地棚卸高の差額が棚卸減耗費です。 とおるゼミ Ch3 問題 1 へ 2 金額計算の方法 金額計算とは、棚卸資産の費用化 04)にあたり、払出単価を計算するこ とをいいます。また、費用化せずに残った棚卸資産が期末の貸借対照表 価額となります。 3-4 04)もちろん販売等によっ て費用化するのです。 金額計算の方法には以下のものがあります。 ⑴個 別 法 ⑵先 入 先 出 法 … ⑶平 均 原 価 法 … ①総 平 均 法 ②移動平均法 ⑷最終仕入原価法 ⑸売 価 還 元 法 3 払出単価の計算 ⑴個別法 棚卸資産ごとに、取得原価がわかるように区別して記録しておき、そ の個々の取得原価を払出原価とする方法 05)です。 ⑵先入先出法 06) さきに取得したものから順次払い出されると仮定して、払出単価を計 算する方法です。 例 1-1 05)絵画・宝石など、個別性 の高い商品に用いられ ます。 06)先入先出法では物価上 昇前の売上原価に物価 上昇後の売上高が対応 するため、インフレによ る利益が計上されてし まいます。 先入先出法の計算 以下の資料にもとづいて、売上原価および期末商品棚卸高を算定しなさい。 なお、払出金額の計算には、先入先出法を用いること。 ■資 料■ 1日 期首商品棚卸高 2個 @100円 5日 仕 入 3個 @120円 10日 売 上 4個 15日 仕 入 4個 20日 売 上 4個 25日 仕 入 1個 @132円 0 @152円 売 上 原 価 956 円 期末商品棚卸高 284 円 商 品 期首 @100円×2個 =200円 当期仕入 5 日@120円×3個 =360円 15日@132円×4個 =528円 25日@152円×1個 =152円 売上原価 10日 20日 期末 @100円×2個=200円 @120円×2個=240円 @120円×1個=120円 1 2 3 4 @132円×3個=396円 5 @132円×1個=132円 @152円×1個=152円 6 7 Section 1 払出金額の計算 3-5 ⑶平均原価法 取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価を払出単価とす る方法です。平均原価法には、①総平均法と②移動平均法があります。 ①総平均法 総平均法とは、当期中に取得した棚卸資産の取得原価総額および取 得総数量から、期末に総平均単価を算出し、これを払出単価とする方 法です。 ②移動平均法 移動平均法とは、棚卸資産を取得するごとに払出単価(移動平均単価) を算出し、これを払出単価とする方法です。 例 1-2 平均原価法の計算 【例1-1】 の資料にもとづき、払出金額の計算に平均原価法(①総平均法、②移動平均 法)を用いた場合の売上原価および期末商品棚卸高を算定しなさい。 売 上 原 価 期末商品棚卸高 ①総平均法 992 円 248 円 ②移動平均法 960 円 280 円 ①総平均法 商 品 期首 @100円×2個 =200円 売上原価 992円 @124円×8個=992円 当期仕入 05日@120円×3個 =360円 15日@132円×4個 =528円 25日@152円×1個 =152円 200円+360円+528円+152円 =@124円(総平均単価) 2個+3個+4個+1個 期末 248円 @124円×2個=248円 ②移動平均法 商 品 期首 @100円×2個 =200円 当期仕入 05日@120円×3個 =360円 15日@132円×4個 =528円 25日@152円×1個 =152円 3-6 売上原価 10日 448円 20日 512円 期末 280円 200円+360円 =@112円 2個+3個 @112円×4個=448円 112円+528円 =@128円 1個+4個 @128円×4個=512円 128円+152円 =@140円 1個+1個 @140円×2個=280円 ⑷最終仕入原価法 便宜的に、当期中の最後に仕入れたさいの単価を、その商品の期末商 品の単価として計算する方法です。したがって、払出単価は事後的に算 定されることになります 07)。 例 1-3 07)期末在庫数量≦最終仕 入数量の場合には、先入 先出法と同じ結果にな ります。 最終仕入原価法の計算 【例1-1】の資料にもとづき、払出金額の計算に最終仕入原価法を用いた場合の売上 原価および期末商品棚卸高を算定しなさい。 売 上 原 価 936 円 期末商品棚卸高 304 円 商 品 期首 @100円×2個 =200円 売上原価(差額) 936円 当期仕入 05日@120円×3個 =360円 15日@132円×4個 =528円 25日@152円×1個 =152円 最終仕入原価法は、先入先 出法、各種の平均法などと同 等に、取得原価基準に属する 方法であるといって差し支 えない。 解答 × …取 得原価基準による方法 ではありません。 期末 @152円×2個=304円 ⑸売価還元法 売価還元法とは、売価に原価率を掛けて原価を計算する方法です。こ の方法は取扱品種のきわめて多い小売業および卸売業において適用が認 められています。 詳しくは、Section 3売価還元法で学習します。 とおるゼミ Ch3 問題 2・問題 3 へ 0 1 2 3 4 5 6 7 Section 1 払出金額の計算 3-7 Try it 例題 A 社は今期まで、棚卸資産の評価方法として、先入先出法を適用してきている。今期 より総平均法に変更した場合、今期末の貸借対照表に及ぼす影響を計算しなさい。現 行の評価方法にもとづいた〔資料 1〕貸借対照表および〔資料 2〕参考事項は次のとおりで ある。 ■資料 1 ■ 変更前貸借対照表 貸 借 対 照 表 ×4年3月31日 資 産 金 額 負債・純資産 (単位:円) 金 額 現 金 預 金 306,000 支 払 手 形 410,000 受 取 手 形 724,000 そ の 他 負 債 440,000 商 品 各自計算 資 本 金 1,000,000 そ の 他 資 産 ? その他利益剰余金 150,000 合 計 2,000,000 合 計 2,000,000 ■資料 2 ■ 参考事項 1.期首商品棚卸高 2.期末商品棚卸高 なし (@ ? 円 250 個) 3.当期商品純仕入高 (第1回:@ 510 円 600 個) (第2回:@ 520 円 800 個) (第3回:@ 550 円 1,000 個) 4.当期純売上高 (@ 760 円 2,150 個) 5.当期売上原価 各自計算 (注) 1.当期中の販売単価は一定である。 2.税金の影響は考慮しないこと。 3.解答欄の各勘定には増加または減少の純額のみを記載すること。総額を記入し た場合には、無効とする。 4.影響がない場合にはゼロを記入し、減少の場合には数字の前に△印を付けること。 貸 借 対 照 表 ×4年3月31日 資 産 3-8 影響額 負債・純資産 現 金 預 金 支 払 手 形 受 取 手 形 そ の 他 負 債 商 品 資 本 金 そ の 他 資 産 その他利益剰余金 合 計 合 計 (単位:円) 影響額 貸 解答 借 対 照 表 ×4年3月31日 資 産 (単位:円) 負債・純資産 影響額 影響額 現 金 預 金 0 支 払 手 形 0 受 取 手 形 0 そ の 他 負 債 0 5,000 資 本 金 0 0 その他利益剰余金 △ 5,000 合 計 △ 5,000 商 品 △ そ の 他 資 産 合 計 △ 5,000 棚卸資産の評価方法の変更によって、期末商品と売上原価の金額が変わります。また、 解説 売上原価の金額が変わることにより当期純利益の金額に影響を与えます。 ⑴先入先出法(変更前) 商 品 期首 売上原価(差額) なし 1,134,500円 当期仕入 変更前売上原価:1,134,500 円 変 更 前 商 品:137,500 円 @510円×600個 期末 @520円×800個 @550円×250個 @550円×1,000個 =137,500円 ⑵総平均法(変更後) 商 品 売上原価(差額) 期首 なし 1,139,500円 当期仕入 @510円×600個 期末 @520円×800個 08) @530 ×250個 @550円×1,000個 =132,500円 当期純利益(その他利益剰余金)の減少額: 1,134,500 円− 1,139,500 円=△ 5,000 円 商品:132,500 円− 137,500 円=△ 5,000 円 08) (@ 510 円 ×600 個)+(@ 520 円 ×800 個)+(@ 550 円 ×1,000 個) 600 個+ 800 個+ 1,000 個 =@ 530 円 0 1 2 3 4 5 6 7 Section 1 払出金額の計算 3-9