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スピーディーな研究開発を支える創薬・医療技術基盤 創薬・医療技術
創薬・医療技術プラットフォーム ワンストップ、スピーディーな研究開発を支える創薬・医療技術基盤 新しい医薬や医療技術の研究開発においては多岐に渡る技術基盤が必要であり、また、技術 基盤自体もライフサイエンス研究の進展に伴い革新しております。創薬研究においては、疾患原 因蛋白などの創薬標的の同定・解析をはじめとして、各種スクリーニングにより創薬シードを創出 し、メディシナルケミストリーにより最適化を図り、前臨床試験に進んでいきます。したがって、創薬 ・医療技術の研究においては1つの研究室で完結することはなく、多岐に渡る技術基盤を指揮しな がら組織戦で進めていくことになります。創薬・医療技術基盤プログラムでは、理研内にあるライフ サイエンス系研究センターにある創薬研究機能を再構築して、各創薬基盤ユニットを組織してこれ に応えています。 創薬・医療技術を実現するための3つの研究開発領域を特定して、その整備・組織化するととも に、外部機関との連携策を講じています。創薬ターゲットの同定・解析などを担う基礎研究領域、 化合物のスクリーニングや最適化を担う探索研究・開発領域、臨床試験やそれに進めるための安 全性評価を行う前臨床試験などのTR(トランスレーショナル)支援領域があります(下図)。 創薬・医療技術基盤プログラムでは、化合物ライブラリーの整備や複合体の相互作用・構造解 析などの基礎研究領域の探索研究・開発領域やTR支援領域への橋渡し機能を担当支援してい きます。 この研究開発領域をカバーするように、7つの創薬基盤ユニット、4つの先鋭・育成基盤を設け、 研究所内に無い技術基盤はアウトソーシングを進め、TR支援領域については、東北大学医学系 研究科等との連携を進めております。 1 創薬・医療技術を実現するための基盤ユニット群と先鋭・育成基盤 -実践的な技術基盤ネットワークの構築と研究開発の推進創薬・医療技術を実現するための研究開発領域を支えるために、下記の創薬・医療技術基盤ユニッ ト、先鋭育成基盤を設けています。それぞれの基盤ユニットでは、創薬研究を支える基本機能のほ かに、独自の技術やノウハウについても進化を続けており、創薬・医療技術基盤プログラムならでは の技術基盤ネットワークを構築しております。 ケミカルバンク基盤ユニット: 天然物化合物によるスクリーニング ケミカルバンク基盤ユニットが強みとするのは、天然化合物バンク「NPdepo」にて収集した2万4 千の天然化合物とそのデータベースです。独自に微生物二次代謝産物の収集・保存を行うととも に、インターネット上で化合物データベースを公開する天然化合物バンク事業を推進します。さら に微量で検出・測定が可能なケミカルチップを開発・活用することで、天然化合物とタンパク質相 互作用のスクリーニング研究を行います。 >>詳細はこちら 創薬分子設計基盤ユニット: 最新モデリング理論と統計理論を駆使した高精度インシリコスクリーニング 創薬分子設計基盤ユニットでは、標的タンパク質の立体構造と既知阻害剤情報を用いて、最新 のモデリング理論と統計理論の両面から精度の高いインシリコスクリーニングを実現しています。 WETでのスクリーニング結果などの実験データを機械学習させること、ADMETなどを考慮した最適 化設計を可能していることが特長です。 >>詳細はこちら 創薬生化学スクリーニング基盤ユニット: 阻害活性化合物を高感度かつ迅速にスクリーニング 創薬生化学スクリーニング基盤ユニットでは、創薬ターゲットに対して活性を持つ化合物を探索 するために、酵素活性や結合活性などを指標とするin vitroの生化学評価とcell-basedの化合物効 力評価を、独自のアッセイ系や自動化ロボットなどを用いて実施します。 >>詳細はこちら 創薬X線構造解析基盤ユニット: 膜タンパク質を含むターゲットの構造解析や化合物との複合体解析を実現する 創薬X線構造解析基盤は、標的タンパク質の試料調製、結晶化、X線回折データの取得、立体構 造解析をハイスループットに行い、標的タンパク質の立体構造と薬剤候補化合物との結合状態の 情報を、迅速かつ的確に獲得し、タンパク質の立体構造に基づく創薬研究の中核基盤としての役 割を果たします。 >>詳細はこちら 2 NMR基盤ユニット: 標的タンパク質と化合物の相互作用を体系的に解析する NMR基盤ユニットでは、タンパク質の立体構造と機能の解析を行う高性能NMR装置約40台( 900MHz:3台、800MHz:14台、700MHz:6台、600MHz:17台)を備え、年間300以上のタンパク質立 体構造を決定できる技術を有しています。分子量4〜5万程度のタンパク質側の信号と、分子量10 万程度の化合物側の信号までを観測可能とする技術を元に、標的タンパク質と化合物の相互作 用解析の体系化を行います。NMRを利用した相互作用解析では、タンパク質や化合物が結合す る際の動的な構造変化や両者の位置情報を捉えることが特徴です。さらに、NMR立体構造解析 パイプラインと組み合わせ、タンパク質の発現・調整から解析まで、強力なNMR基盤ユニットを構 築します。 >>詳細はこちら 創薬化学基盤ユニット: メディシナルケミストリーによる化合物を最適化する 創薬化学基盤ユニットは、メディシナルケミストリーを基盤として研究開発段階のステージアップ を図ります。具体的には、ターゲットへ薬理活性を有する新規医薬品候補化合物の合成と、薬理 学的および薬物代謝・薬物動態学的アッセイデータ等に基づく構造活性相関研究を進め、開発候 補化合物の同定を目指します。また、創薬基盤間の連携により、シード・リード化合物を見出す手 法として注目されている医薬品探索研究の初期段階におけるFragment-Based Drug Discovery( FBDD)を展開し、新規創薬シード・リード化合物の同定を目指します。 >>詳細はこちら 創薬・医療技術イメージング基盤ユニット: 分子イメージング技術導入による創薬プロセスの革新 創薬・医療技術イメージング基盤ユニットでは、陽電子放射断層画像撮影法(PET法)を中心とし た分子イメージング技術の活用により、マーモセット(サル)・マウスやヒト生体内での薬物動態研 究を推進します。分子イメージングプローブの標識化技術は、生体内での観察時間の確保や代謝 分解後の追跡を向上させています。また、マイクロドーズ臨床試験を視野に入れ、マウスからヒトま での一気通貫した分子イメージング法の活用とともに、薬剤候補化合物の標識化やプローブ化を 行い、新たな創薬プロセスの構築を目指します。 >>詳細はこちら 3 創薬・医療技術の開発支援を高度化する先鋭・育成基盤 -新しい技術による研究開発の革新へマウス基盤ユニット: ヒト疾患モデルマウスの更なる研究利用を目指して マウス基盤ユニットでは、ENU技術などを利用して、変形性関節症(OA: Osteoarthritis)モデルマ ウスや変形性関節症(OA: Osteoarthritis)モデルマウスをはじめ、40種以上のヒト疾患モデルマウ スを創出して理研内外に提供します。また、マウスの表現系解析のための100項目以上の検査を 実施するハイスループットな表現型解析を行う技術基盤を有しており、疾患モデルマウスについて 薬効試験や血液検査をはじめとした解析を行います。また、ヒト疾患モデルマウスと表現系解析に 関する各種情報は、ヒト疾患モデルマウス・データベースを整備して公開しています。 >>詳細はこちら 細胞イメージング基盤: リアルタイムの生命情報を独自の蛍光タンパク質技術で解析します 細胞イメージング基盤では、狙った生体分子を蛍光ラベルし細胞内で光らせてその動きを追跡す る細胞イメージングを通じて増殖や分化等の生命現象を制御する重要な生体分子の細胞内の分 布、挙動(時間的・空間的制御)を解析します。複数の蛍光タンパク質を用いることにより、細胞周 期解析や細胞内シグナル伝達系等の複雑な系における重要生体分子の挙動の同時観測(マルチ カラーイメージング)も可能としています。また、薬剤に対する標的蛋白や細胞内情報のリアルタイ ム変化の解析は、創薬研究に役立つものとして期待されています。 >>詳細はこちら 先端計算科学基盤: 水分子の挙動も含めたスパコン利用の先端インシリコスクリーニング技術 本基盤では、創薬研究の推進のため「大規模・高速スパコン利用先端計算科学技術によるイン シリコ創薬の確立とその応用」を図ります。インシリコ創薬を高精度化するために水溶液中のタン パク質-低分子化合物の複合体構造の動態を考慮し、高精度な結合親和性を予測するシミュレー ション技術を実現します。薬物候補化合物の分子レベルにおける理解・究明を深め、また、有望化 合物構造式の特定(生成・選択)に役立てます。 >>詳細はこちら 次世代シークエンス基盤: 網羅的な遺伝子動態の解析技術によりターゲット・候補化合物を評価します 次世代シーケンス基盤では、文部科学省「セルイノベーションプログラム」によるシーケンス拠点 として、最先端の次世代シーケンサーを整備し、その利用技術開発を行っています。単なる利用技 術開発・技術支援部門ではなく、最先端の生命科学研究を行うことで、その研究手法の有効性を 実証していることが特徴です。特にRNA解析においては、ノンコーディングRNAの大量発見や、完 全長cDNAライブラリーの作成(マウス、シロイヌナズナ等)などの卓越した成果を基に、今後の創 薬研究に貢献します。 >>詳細はこちら 4