Comments
Description
Transcript
第10回 オゾン層の保護
第10回 オゾン層の保護 10.1 オゾン層(ozone layer, O3)(p194) hν O2 → 2O O2 + O → O3 紫外線によって 酸素(O2)から オゾン(O3)が生成 オゾンは有害紫外線 (特にUV-C)を吸収し, 地球上の生物 を保護している。 10.2 オゾン層の破壊(p195) 南極では35年間でオゾン層が半減 気象庁ホームページ http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/diag_o3hole.html 10.2 オゾン層の破壊(p195) オゾンホールの規模を示す要素の一つであるオゾンホールの面積(オゾン全量が 220m atm-cm以下の領域の面積)の推移。赤線は2015年、 灰色線は2014年、 黒線は過去10年(2005∼2014年)の平均値。濃い紫色の領域の上端と下端は2005 ∼2014年の最大値・最小値。右図は1979年以降の年最大値の経年変化。緑色の横 線は南極大陸の面積。米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データ(TOMSお よびOMIデータ)をもとに作成。 気象庁ホームページ http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/diag_o3hole.html 10.3 オゾン層破壊のメカニズム(p196) フロン 「夢の溶媒」・・・無毒,安定,不燃性,高溶解能,低沸点 用途・・・冷媒,洗浄剤,発泡剤,スプレー剤,消火剤 塩素原子 (ラジカル)が 連鎖反応的に オゾンを分解。 ! 塩素原子1個で オゾン1万∼ 10万個を分解。 *CO の10,000倍 2 10.4 フロン・ハロンの種類(p196) 化合物 CCl3F CCl2F2 CCl2FCClF2 記号(C-1,H+1, F) CFC-11 CFC-12 CFC-113 CClF2CClF2 CFC-114 CF3CClF2 CFC-115 CBrClF2 ハロン-1211 (C,F,Cl,Br) ハロン-1301 CBrF3 CHClF2 CF3CHCl2 CCl4 CCl3CH3 CF3CHF2 CHF2CHF2 CH2FCH2F HCFC-22 HCFC-123 四塩化炭素 1,1,1-トリクロロエタン HFC-125 HFC-134a HFC-152a ODP 1 GWP 0.32 1* 0.48 0.5-1.5 1-3 0.95 0.8 0.6-0.8 0.5 ! ! 0.07 0.01 - 2.70 11.4 0.047 0.016 1.1 0.10-0.18 ! ! 0 0 0 <0.1 <0.1 10.5 オゾン層保護の動き(p198) モントリオール議定書(p200) 国際的に協調してオゾン層保護対策を推進する。オゾン層破壊 物質の生産削減等の規制措置等を定める。1987年(昭和62年) に採択。これまで5度にわたり規制対象物質の追加や規制スケ ジュールの前倒し等,段階的に規制強化が行われている。先進国 と開発途上国で物質の撤廃時期が異なる。 日本では,ハロン,CFC,四塩化炭素,1,1,1-トリクロロエタ ン,HBFC,ブロモクロロメタン及び検疫用途及び必要不可欠な 用途を除く臭化メチルについては2004年(平成16年)末まで に、生産及び消費が全廃。HCFCについては2020年(平成32 年)をもって消費が全廃されることとなっている。 H27 環境/循環/生物多様性白書 10.6 オゾン層破壊防止対策(p199) 1) 全世界的なオゾン層破壊物質の削減および使用停止 2) フロン代替品の開発および普及 3) すでに生産され,使用中であるフロンの回収 4) 回収したフロンの無害化(分解技術の開発) <分解法の例> a) 高温分解法(800-1500℃) b) プラズマ分解法 高周波プラズマを用い10,000℃でスチームにより分解 c) 触媒分解法(白金,チタンなど,250-500℃) (研究段階) 10.7 我が国のフロン回収・破壊の実際 我が国では、主要なオゾン層破壊 物質の生産は、すでに全廃されてい ますが、過去に生産され、冷蔵庫、 カーエアコン等の機器の中に充てん されたCFC、HCFCが相当量残され ており、オゾン層保護を推進するた めには、こうしたCFC等の回収・破 壊を促進することが大きな課題となっ ています。また、CFC等は強力な温 室効果ガスであり、その代替物質で あるHFCは京都議定書の削減対象物 質となっていることから、HFCを含 めたフロン類の排出抑制対策は、地 球温暖化対策の観点からも重要です。 H27 環境/循環/生物多様性白書