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スライドダウンロード - 第17回 日本検査血液学会学術集会

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スライドダウンロード - 第17回 日本検査血液学会学術集会
第17回日本検査血液学会学術集会
初心者のための
細胞スライドカンファレンス
赤血球・血小板
国家公務員共済組合連合会
熊本中央病院
逢坂 珠美
1
クリッカーを使用しての参加型の細胞同定カンファレンスです!
それぞれの設問に対して、選択肢より解答してください。
解答の変更は、締め切り前であれば何度でも可能です。
締め切り前、最後に押した番号が最終解答として集計されます。
2
Q1. 末梢血の赤血球形態を同定してください
(全体像より)
A
B
MG染色 ×1000
MG染色 ×1000
1. 球状赤血球
C
2. 楕円赤血球
3. 涙滴赤血球
4. 菲薄赤血球
MG染色 ×1000
5. 破砕赤血球
3
Q1. 末梢血の赤血球形態を同定してください
(全体像より)
A
B
MG染色 ×1000
MG染色 ×1000
1. 球状赤血球
C
2. 楕円赤血球
3. 涙滴赤血球
4. 菲薄赤血球
MG染色 ×1000
5. 破砕赤血球
4
Q1. 末梢血の赤血球形態を同定してください
(全体像より)
A
B
MG染色 ×1000
MG染色 ×1000
1. 球状赤血球
C
2. 楕円赤血球
3. 涙滴赤血球
4. 菲薄赤血球
MG染色 ×1000
5. 破砕赤血球
5
Q1. 解 答
A
B
MG染色 ×1000
C
MG染色 ×1000
MG染色 ×1000
A
5. 破砕赤血球
B
1. 球状赤血球
C
3. 涙滴赤血球
臨床的重症性の高い赤血球を
正しく同定する! 6
臨床的重要性の高い赤血球形態異常
A
C
B
破砕赤血球
schizocyte
・赤血球の機械的破壊により
ヘルメット型・つの型・三日月型
三角型・小球状型・いがぐり
型・不規則変形型・赤血球ゴー
ストなどの変形をなす。
・赤血球破砕症候群の診断基準
全赤血球の0.6%以上(厚生省特定疾患特
発性造血障害調査研究班溶血性貧血分科会.1990)
球状赤血球
spherocyte
・赤血球中央のくぼみが見られ
ず、厚みが増した濃染する小
型赤血球
(表面積/体積比の減少による)
涙滴赤血球
dacryocyte
・赤血球の一部がしっぽのよう
に伸び西洋梨型や涙の滴様の
外観を呈する)
・溶血所見(+)
・脾臓での脱核時に生じた堕性
変性の名残とされる
・遺伝性球状赤血球症・自己免
疫性溶血性貧血など
・骨髄線維症や癌の骨髄転移な
ど
・溶血性尿毒症症候群・血栓性
血小板減少性紫斑病・DIC・
骨髄移植後TTPなど
7
赤血球の形態学的評価を妨げるアーチファクトの存在に注意!
連銭形成
楕円赤血球
球状赤血球
引き終わり
アーチファクト:塗抹の際に生じた一定方向の配列
いずれも流れや方向性の確認が重要!
輸血後
8
赤血球観察の基本
1. 塗抹標本作製にあたって
・充分な乾燥と固定
2. 適切な観察部位の選択
・赤血球の接する部分が均一で赤血球2個の重なりが50%以内の部分
・標本の辺縁や引きはじめ、引き終わりは、アーチファクト
(人工的変化)の宝庫でもあり、赤血球形態観察には不適
・・・引き終わりに見られる中心淡明部のない球状様形態
・・・変形(楕円・涙滴)や連銭形成に対しては方向性(流れ)の確認
3. 形態異常を掴む
検査所見、輸血歴など事前情報を先読みし意識しながら観察する
①大きさの変化
②染色性の変化
④赤血球内構造(封入体)の変化
③形状の変化
⑤赤血球の集合
9
Q2. 骨髄の細胞同定を行ってください
1. リンパ球
2. 前赤芽球
A
3. 好塩基性赤芽球
B
C
4. 多染性赤芽球
5. 正染性赤芽球
10
Q2. 骨髄の細胞同定を行ってください
1. リンパ球
2. 前赤芽球
A
3. 好塩基性赤芽球
B
C
4. 多染性赤芽球
5. 正染性赤芽球
11
Q2. 骨髄の細胞同定を行ってください
1. リンパ球
2. 前赤芽球
A
3. 好塩基性赤芽球
B
C
4. 多染性赤芽球
5. 正染性赤芽球
12
Q2. 解 答
A
B
A
2. 前赤芽球
B
3. 好塩基性赤芽球
C
5. 正染性赤芽球
C
赤芽球系細胞の各分化段階を正しく同定する!
13
赤芽球系細胞の分化・成熟
細胞質内RNA
ヘモグロビン量
分
裂
能
成
熟
ヘモグロビンの合成が活発!!
前赤芽球
Proerythroblast
好塩基性赤芽球
多染性赤芽球
正染性赤芽球
Basophllic
erythroblast
Polychromatic
erythroblast
Pyknotic
erythroblast
網赤血球
赤血球
Reticulocyte
Erythrocyte
 大きさは、前赤芽球が最大で成熟に従い小さくなる。
(多染性赤芽球までは分裂しており、ある程度の大型化は認められる)
 核網は顆粒状繊細~粒状~ブロック状~濃縮・濃染と変化
 核のDNA合成障害などにより、核の成熟遅延が起こることがあるので
細胞質所見(色調変化;好塩基性~多染性~正染性)を優先して観察
 核と細胞質の成熟のズレをチェックする!
14
巨赤芽球性貧血の赤芽球形態
巨赤芽球性貧血 megloblastic anemia
巨赤芽球が出現する貧血の総称で、DNA合成障害により核の発育が遅延する。
一方で細胞質の発育がそのまま進むため細胞サイズは大きくなる(核・細胞質成熟乖離)
これらは成熟の過程で早期に崩壊する(無効造血)
汎血球減少へ
細胞質内RNA
ヘモグロビン量
DNA合成
細胞の大型化・スポンジ様クロマチン
正常
巨大後骨髄球
■赤芽球の細胞質所見を
きちんと捉える事により
成熟解離現象を
見抜く
→巨赤芽球の同定
15
Q3. 骨髄の細胞同定を行ってください
(A・Bは同一標本)
A
B
MG染色
×1000
MG染色 ×1000
1. 形質細胞
2. 赤芽球
3. 血球貪食組織球
4. 骨髄巨核球
5. 腺癌細胞
16
Q3. 骨髄の細胞同定を行ってください
(A・Bは同一標本)
A
B
MG染色
×1000
MG染色 ×1000
1. 形質細胞
2. 赤芽球
3. 血球貪食組織球
4. 骨髄巨核球
5. 腺癌細胞
17
Q3. 解 答
A
B
MG染色
×1000
4. 骨髄巨核球
MG染色 ×1000
3. 血球貪食組織球
(エンペリポレーシス)
骨髄に出現する類似の大型細胞を正しく同定する
18
骨髄巨核球系細胞の分化・成熟
2N~16N
巨核芽球
前巨核球
アズール好性巨核球
血小板産生巨核球
N/C比大
好塩基性の細胞質
核網は繊細顆粒状
核小体+
裸核巨核球
やや好塩基性の
細胞質, 核の分葉
核網は繊細
血小板形成-
細胞質は巨大化し
アズール顆粒が充満する
多核, 核網は粗剛
細胞質に血小板産生像
を見る
細胞質を失い
濃縮核のみとなる
血小板
 巨核球は細胞質分裂をせず、細胞内分裂を繰り返す独自の成熟過程
をとる。
 細胞内分裂により核のDNA量は、2N、4N、8N・・32Nと増える。
核のDNAの増加に伴い細胞質は大型化する(細胞の数は増えない)。
 巨核芽球以外は、形態的にはわかりやすいが形態異常を認識するた
めには大きさ・形ともに正常形態を熟知しておくことが必要となる
骨髄巨核球
(エンペリポレーシス)
細胞質に血球の通り抜け
現象が見られる 19
骨髄に出現する大型細胞
●大型細胞は、標本の引き終わりや辺縁部に集まりやすいので弱拡大での観察を省かない
多核分離巨核球
血球貪食組織球
ゴーシェ細胞
組織肥満細胞
多核形質細胞
多核赤芽球
腺癌細胞
20
初心者のための
細胞スライドカンファレンス
顆粒球
宮崎県立延岡病院
釘宮 弘子
21
原則
核→細胞質
①
細胞の大きさと形、核・細胞質比、核の位置
②
核所見(核形、クロマチン構造、核小体)
③
細胞質(色調、顆粒、空胞、封入物)
顆粒球系と赤芽球系細胞の見方
顆粒球系・・・核→細胞質(細胞質は核に比べ常に変化に富んでいる)
①
二次的に異常顆粒(中毒性顆粒など)が出現
②
顆粒の逸脱現象が発生
③
成熟型にも拘らず細胞質に好塩基性の縁取りをみることがある
赤芽球系・・・細胞質→核
*VB12や葉酸の欠乏により成熟解離(DNA合成障害による核の遅延現象)
がみられるなど
22
顆粒球系細胞の分化・成熟
骨髄芽球
前骨髄球
骨髄球
後骨髄球
桿状核球
分葉核球
分 裂
直径
10~15μm 15~20μm 12~20μm 12~18μm 12~15μm 12~15μm
成熟につれ小さくなる(前骨髄球が最大)
骨髄球までは分裂するため巨大化した細胞がみられることあり
N/C比
60~80%
50~70%
30~50%
20~40%
N/C比
(面積比)
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
23
顆粒球系細胞の分化・成熟
核形
骨髄芽球
前骨髄球
骨髄球
後骨髄球
桿状核球
分葉核球
中央
偏在
類円形
長径:短径
長径:短径
2~5個
3:1未満
3:1以上
核形は円形・類円形から固有の形へ
核網
網状繊細
繊細
粗剛
粗剛
粗剛
粗剛
核クロマチン構造は繊細から粗へ(不活性化クロマチンは凝縮をおこすため)
核小体
あり
あり
なし
なし
なし
なし
核小体は明瞭から不明瞭へ、そして消失する
細胞質
青色
青色
特異顆粒
特異顆粒
細胞質は好塩基性から固有の色調に変化する
顆粒
なし
アズール顆粒
アズール残存
顆粒は一次顆粒(アズール顆粒)から二次顆粒へ変化
24
好酸球/好塩基性顆粒球の分化・成熟
?
骨髄芽球
前骨髄球
骨髄球
後骨髄球
桿状核球
分葉核球
?
Q.分類は?
好酸球
好塩基球
幼若型
分類が必要なときには核の形態変化に準じ分類
核の鑑別困難なときは好塩基球と一括して分類
鑑別疾患
AML inv(16)(p13;q22)
 異常な未熟な好酸性顆粒
(紫からすみれ色)
特に幼若球で認められる
Mastcytosis
・腫瘍性の肥満細胞
25
それでは問題です!
26
Q1.細胞の同定を行ってください
A
CC
B
選択肢
①
分葉核球
②
桿状核球
③
後骨髄球
④
骨髄球
⑤
単球
27
Q1.解
A
答
CC
B
②
桿状核球
Point !!
好中球と単球
①
分葉核球
⑤
単球
核クロマチンと細胞質の色調!!
28
Q1.解
新しい好中球目視区分(分類)法
説
 原則として倍率400倍の鏡検で判定する。
A
B
C
鑑別細胞
b
a
桿状核球
分葉核球
単 球
直径12~15μm
直径12~15μm
直径15~20μm
核クロマチン粗剛
核クロマチン粗剛
繊細(好中球に比べて)
核の長径と短径の
比率が3:1以上
核は2~5個に分葉。
分葉した核の間は核糸でつながる
核内不整
核の最小幅部分(a)が最
大幅部分(b)の1/3以上
核の最小幅部分が十分に狭小化した場合は核糸
形成が進行したとみなして分葉核球と判定する
細胞質 青灰色
分葉
長い曲がった核を持つ
核の最小幅部分が最大幅部分の1/3未満、
あるいは赤血球直径の1/4(約2μm)未満であれば
核糸形成とみなす
核が重なり合って分葉核球か桿状核球か明確
でないときは分葉核球と判定する
29
30
日本検査血液学会HPより
31
日本検査血液学会HPより
Q2.細胞の同定を行ってください
A
C
B
選択肢
①
前骨髄球
②
骨髄球
③
後骨髄球
④
桿状核球
⑤
単球
32
Q2.解
A
⑤
答
C
B
単球
②
骨髄球
③
後骨髄球
顆粒球の分化・成熟をしっかり理解する!
33
Q2.解
A
説
C
B
単球
骨髄球
後骨髄球
大きさ
15~20μm
12~20μm
12~18μm
核網
やや繊細
粗剛
粗剛一部塊状
核形
不整
類円形
陥没
長径:短径 3:1未満
細胞質
アズール顆粒
Point !!
青灰色、二重構造
青味薄れ、淡橙色
淡橙色
微細
リンパ球>骨髄球
>単球
特異顆粒
核網・核形・細胞質の色・細胞質の二重構造の有無 ・アズール顆粒
34
の大きさ・特殊顆粒の出現等を確認
Q3.細胞の同定を行ってください
B
A
選択肢
①
骨髄球
②
前骨髄球
③
骨髄芽球
④
単芽球
⑤
前単球
35
Q3.解
B
A
②
答
前骨髄球
⑤
前単球
幼若な細胞を正しく同定する!
36
Q3.解 説
B
A
リアス式
二重構造
ゴルジ野
Point !!
核形・核偏在・
核網・
ゴルジ野・
細胞質の二重
構造の有無・
アズール顆粒の
大きさ等を確認
前単球
前骨髄球
15~20μm
大きさ
16~24μm
顕著
核偏在
なし
軽度
核形不整
顕著(リアス式様)
繊細(やや粗剛)
核網
繊細
あり 1(大)
核小体
+(明瞭)から-
青色
細胞質
灰青色
明瞭(発達)
ゴルジ野
不明瞭
粗大
アズール顆粒
微細
37
未分化単球系細胞(単芽球、前単球)は正常骨髄ではほとんど認めら
れず、主に単球系を含む白血病(M5,M4,CMMoL)で認められる。
単球系細胞分化
単芽球
前単球
単球
大きさ
16~23μm
16~24μm
15~20μm
核形
円形~類円形
類円形から不整
(リアス式様)
陥没傾向
(腎臓形、馬蹄形)
核形不整
無し
顕著
腎形、馬蹄形
核網
繊細
繊細
やや繊細(レース様)
核小体
著明
+から-
無し
細胞質
塩基性強い
やや強い
灰青色
突起
舌状
不明瞭
不明瞭
アズール顆粒
微細
微細(二重構造)
赤紫
38
骨髄では前単球は芽球扱いとするが、末梢血では芽球扱いとならない。
39
顆
粒
異
中毒性顆粒
常
デーレ小体
 敗血症、細菌感染
 化学療法後G-CSF投与
 敗血症、細菌感染
 化学療法後G-CSF投与
貯蔵プールの低下・枯渇
貯蔵プールの低下・枯渇
回転を短縮して好中球出現 (骨髄における好中球産生の亢進)
(正常細胞)
好中球
前骨髄球
一次顆粒=アズール顆粒
ムコ多糖類を含む
(アズール好生のため紫色に染まる)
細胞質
粗大顆粒
濃紫~紫紅色
ムコ多糖類
消失
(染まらない)
RNAに富む
(酸性物質がメチレン青により青色に染まる)
二次顆粒
特殊顆粒(小型)
40
(薄紫~濃桃色)
顆 粒 異 常
顆粒減少
*80%以上の減少
顆粒分布異常
考慮する疾患
考慮する疾患
 MDS (カテゴリーA)
 MDS
 CML(幼若球、BASO増加等)
 感染症
異常顆粒
赤紫色の粗大異常
アズール顆粒
考慮する疾患
 APL
(M3)
先天性に見られる顆粒異常
Alder-Reilly異常
 大型のアズール顆粒
Chediak-Higashi症候群
41
偽ペルゲル核異常
環状核
核の形態異常
先天性に見られる核異常
*核網は凝集が強く粗
*淡桃色の細胞質
小型類円形を骨髄球と
間違えないよう
考慮する疾患
 MDS
 感染症
‥
考慮する疾患
 MDS (カテゴリーA)
 AML t(8;21), t(6;9) ,inv(3)
 感染症(重篤なもので一過性)
Pelger-Huet異常(AD)
考慮する疾患
単球
 巨赤芽球性貧血
 MDS
 感染症
 化学療法からの造
血回復期
 抗がん剤後
hypersegmentation
hyperlobulation
42
細胞質異常
空胞変性
先天性に見られる細胞質異常
考慮する疾患
 感染症
 微量元素(Cu,Zn)欠乏
アウエル小体
May-Hegglin異常
 大型のデーレ小体
ファゴット細胞
Jordan’s異常
 細胞質に大小の脂肪空胞
(中性脂肪)を認める
好塩基性の縁取り 43
t(8;21) AML
44
Q. 違いがわかりますか
顆粒を有する芽球
顆粒を有さない芽球
核の位置
核網
核小体
顆粒を有さない芽球
Type Ⅰ
顆粒を有する芽球
Type Ⅱ
前骨髄球
中心性
やや偏在
偏在性
網状繊細
網状繊細
やや粗剛
1~2
1~2
1(大)
微細
粗大
なし
あり
顆粒の大きさ
ゴルジ-体
前骨髄球
なし
45
不明細胞を見極めるためには
ここに注目!!
 細胞の大きさ
 核と細胞質の比
 核の形
 核クロマチン構造
 核小体の形状
 細胞質の形状
 顆粒・封入体の有無
Q. 鑑別してみましょう
正常芽球よりやや大型
N/C比大
80%
核形不整ややみられる
核クロマチン網状繊細
核小体・・・腫大
細胞質の塩基性は弱い
少数のアズール顆粒
アウエル小体 有
*80%以上
をN/C大
という!
46
Q. 形態から疾患の推測ができますか?









細胞の大きさは
N/C比は
核形態は
クロマチン
核小体
細胞質
顆粒
細胞質辺縁
その他
大
60~80%
不規則かつ多様(アレイ状)
網状繊細
明瞭
塩基性強い
微細から粗大(異常)
不整
アウエル小体あり
BM-MG ×1000
47
Q. 形態から疾患の推測ができますか?
BM-MG ×1000
芽球
前骨髄球~成熟好中球
・好塩基性で広い胞体をもつ大きな芽球
・核分葉異常、細胞質染色異常
・多くのアズール顆粒を含み、長くて鋭い・短い、2本
の束(bundle) など、様々なAuer小体を認める
・偽ペルゲル核好中球、顆粒減少
・成熟好中球にAuer小体がみられる
場合がある
48
MPO染色(強陽性)
M2 t(8;21)
M3
無数のアズール顆粒をもつ
M3v
アズール顆粒ほとんど見られない
49
第17回 日本検査血液学会学術集
会
2016年8月6日(土)7日(日)
『初心者のための細胞スライドカンファレンス』
リンパ球系細胞の形態学
池田栄一郎
50
50
リンパ球の形態
小リンパ球
6~9μ m
N/C比は高い。
クロマチンは濃染。
細胞質は青色に染まる。
51
大リンパ球
10~15μ m
胞体が広くN/C比は低い
クロマチン密度は小リンパ球
に比べて低い。
細胞質は淡青色。
Sasebo City General Hospital
顆粒リンパ球
細胞質に3個以上の顆粒を持
つ。
NK細胞型は大型で赤紫色の
顆粒を有する。
T細胞型は大きさや顆粒の大
きさも様々。
51
血球の大きさ
好中球
好酸球
好塩基球
単球
リンパ球
赤血球
血小板
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
異型リンパ球
22
24
細胞直径(μ m)
52
Sasebo City General Hospital
52
リンパ球が増加する疾患
• 反応性疾患(多クローン性)
伝染性単核症
サイトメガロウイルス感染症
百日咳、結核
自己免疫疾患
• 腫瘍性疾患(単クローン性)
ALL
CLL
リンパ腫の白血化
百日咳 PB MG×1000
53
Sasebo City General Hospital
麻疹、ポリオ、HIVではリン
パ球が破壊され減少する。
53
リンパ球増加症の観察のポイント
(リンパ球系細胞数4×109/ℓ以上 小児では8×109/ℓ以上)
• 未熟細胞
T/B前駆リンパ球性白血病(ALL)
B細胞性前リンパ球性白血病(B-PLL)
リンパ球著増
Prolymphocyteが55%以上、
• 成熟細胞
慢性リンパ性白血病(CLL)
リンパ球数5×109/ℓ以上
成熟B細胞腫瘍
AMLとの鑑別
MCL(leukemic
variant t(11;14))と
の鑑別
百日咳、結核、おた
ふくかぜ、風疹、甲
状腺機能亢進症な
どとの鑑別
異型リンパ球との鑑別
成熟T/NK細胞腫瘍
Sasebo City General Hospital
54
設問1:この細胞は何でしょう?
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
A
B
単球
単芽球
前単球
骨髄球
リンパ球
異型リンパ球
異常リンパ球
PB MG×1000
Sasebo City General Hospital
55
設問1:解説
Aの形態的特徴
細胞は大型
細胞質は好塩基性
顆粒は認めない
核網は粗剛、平面的
核の不整(軽度)
⑥異型リンパ球
A
B
Bの形態的特徴
細胞は大型
広い細胞質
細胞質はくすんだ淡青色
微細なアズール顆粒
PB MG×1000
空胞
核網はやや繊細
核のしわ、立体的
①単球
Sasebo City General Hospital
56
異型リンパ球の形態
異型リンパ球の判定基準
1. 胞体の大型化(16μm以上)
2. 細胞質の好塩基性
3. 核網の粗剛化
※これらの形態的特徴の二つ以上を認める。但し、
著明な核の形態異常を認めない。
血液形態検査に関する勧告法より
細胞様式が多彩であることが重要!
57
Sasebo City General Hospital
反応性リンパ球の特徴
57
正常リンパ球と異型リンパ球
の比較
特徴
小さい
細胞質は淡青色
正常リンパ球
細胞の大型化
核網は粗剛化
核小体を認める場合もある。
細胞質は濃淡を伴った淡青色から紺青色
比較的広い胞体・バレリーナスカート様
核影やアポトーシスを伴う。
形態は多様性に富む。⇔反応性増殖を示唆
異型リンパ球
核影
58
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58
設問2:この細胞は何でしょう?
①
②
③
④
⑤
⑥
リンパ球
異型リンパ球
異常リンパ球
リンパ芽球
癌細胞
巨核球
PB MG×1000
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59
設問2:解説
形態的特徴
細胞は大型
裸核状
核網はきわめて粗剛
核の切れ込み
⑥巨核球
PB MG×1000
ATLL
ATLL
PTCL
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MCL
ALL
60
異常リンパ球と異型リンパ球
の比較
特徴
•形態は多様性
に富む
異型リンパ球
N/C比は高い
著明な核形不整
クロマチン粗剛・増量
核小体
細胞様式が単一⇔monoclonalityを示唆
異常リンパ球
61
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61
末梢血に出現しやすい悪性リンパ腫
成人T細胞性白血
病/リンパ腫
(ATLL)
核網は粗剛で核型
不整が著しい。形
態が多様性に富ん
でいる。
62
濾胞性リンパ腫
(FL)
小型から中型の細
胞で核網は緻密で
核の中心に向かっ
た切れ込みを有す
る。
マントル細胞リンパ
腫(MCL)
中型から大型、クロ
マチンは粗剛で、
核形不整や切れ込
みを伴う。
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びまん性大細胞型
B細胞性リンパ腫
(DLBCL)
大型で明瞭な核小
体を有し、クロマチ
ンは粗顆粒状、細
胞質は好塩基性で
空胞を認めることも
ある。
62
設問3:細胞形態から疑われる疾患は何ですか?
① 濾胞性リンパ腫(FL)
② びまん性大細胞型B細胞
性リンパ腫(DLBCL)
③ 成人T細胞性白血病/リン
パ腫(ATLL)
④ セザリー症候群(SS)
⑤ マントル細胞リンパ腫
(MCL)
PB MG×1000
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63
設問3:解説
形態的特徴
著しい核形不整
大小不同
クロマチン濃縮~やや繊細
細胞質は好塩基性
顆粒認めず
一部に空胞
PB MG×1000
③成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)
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ATLLと他の疾患
成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)
セザリー症候群(SS)
T細胞性前リンパ球白血病(T-PLL)
末梢性T細胞性リンパ腫(PTCL)
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ATLの多様な形態:polymorphism
腹水
PB – MG×1000
66
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66
観察部位で異なる細胞
形態
• HCLでは観察部位によって絨毛状突起が目立たない場合がある。
• HCLを疑う場合は引き始めの観察や自然乾燥標本を作製する。
引き始め
中間
引き終わり
Hairy cell leukemia (HCL) PB MG ×1000
67
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67
形質細胞と類似する細胞
形質細胞
大きさ9~20μmで核は偏在し、ク
ロマチンは濃縮している。細胞質
は好塩基性でゴルジ野の発達に
よって核周明庭を認める。
骨芽細胞
大きさ20~40μmで類円形を呈し
細胞質は好塩基性で嫌色庭を認
める。核は偏在、クロマチンは網
状である。数個の集塊を形成する
ことが多い。
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異型リンパ球
大きさ16μm以上で、クロマチンは
濃縮し、集塊状を呈する。細胞質
は好塩基性、ゴルジ野は形質細
胞ほど発達していない。
68
設問4:AとBの細胞はそれぞれ何でしょうか?
①A:形質細胞
②A:好塩基性赤芽球
③A:好塩基性赤芽球
④A:形質細胞
⑤A:異型リンパ球
A
B:骨芽細胞
B:異型リンパ球
B:形質細胞
B:骨芽細胞
B:形質細胞
B
BM MG×1000
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設問4:解説
Aの特徴
細胞質は好塩基
性
ゴルジ野あり
円形核
クロマチンは凝集
し粗い顆粒状
A
B
③
BM MG×1000
Bの特徴
細胞質は好塩基
性
ゴルジ野あり
核の偏在
クロマチンは濃縮
し結節状
A:好塩基性赤芽球 B:形質細胞
クロマチンパターンの違いを捉える!
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形質細胞骨髄腫 Plasma cell
myeloma
• Greipp分類
plasmablastic type immature type
intermediate type
mature type
myeloma cellの形態異常
3核以上の多核化
大型化
核型不整
核小体の大型化、明瞭化
細胞質の異常 flaming cell
顆粒・結晶
plasmablastic typeは予後不良
BM MG×1000
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劇症型骨髄腫
極めて大型の細胞
著しく不整形の核
分葉傾向
高LDH血症を伴う
治療抵抗性で急激な
経過をたどる
BM MG ×1000
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