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STS-123(1J/A)ミッション概要

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STS-123(1J/A)ミッション概要
STS-123(1J/A)ミッション概要
宇宙航空研究開発機構
2008/2/22
STS-123ミッション概要
1
目次
1. ミッションの目的・特徴
2. 飛行計画
3. 搭載品
4. ミッション概要
5. フライトスケジュール
6. 「きぼう」の運用管制チーム
7. ISS第16次長期滞在ミッション中に行われるJAXAの実験
8. JAXAオープンラボ共同研究の実証
9. 「きぼう」の教育・文化利用
-------------------Backup Charts
STS-123ミッション概要
2
1.ミッションの目的・特徴
主な目的
• 「きぼう」船内保管室の運搬と設置
• 「デクスター」(特殊目的ロボットアーム)の運搬と設置
• 船内保管室の起動、入室、室内の設定
• センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)のISSへの取付け
• ISS長期滞在クルー1名の交代
STS-123ミッション概要
3
1.ミッションの目的・特徴(続き)
特徴
•
日本のモジュールが初めてISSに打ち上げられます。船内保管室は、「きぼう」船内実験室
が到着するまで、ハーモニー(第2結合部)の共通結合機構(CBM)に仮設置されます。
•
JAXAの土井隆雄宇宙飛行士がミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)としてスペー
スシャトルに搭乗し、船内保管室の取付けや室内の設定作業を担当します。
•
ISSの組立フライトとしては、最長飛行期間を記録するミッションとなります。
•
次のSTS-124(1J)ミッションでは「きぼう」船内実験室をISSに運びますが、スペースシャトル
のペイロードベイ(貨物室)に搭載するペイロードとの間に十分な間隔が確保できない為、打
上げ時にOBSS※を搭載できません。したがって、STS-123ミッションではOBSSをISSに残し
て帰還します。
•
29回目のISSの組立・補給フライト(ロシアのロケットを含む)
(スペースシャトルのみでは25回目)になります。
※OBSSはスペースシャトルの打上げ後と再突入前に機体の損傷を点検するための重要なツールです。詳しくはP75~
P77「シャトルの安全対策」を参照ください。
STS-123ミッション概要
4
1.ミッションの目的・特徴(続き)
土井隆雄宇宙飛行士の任務
• 土井宇宙飛行士は、ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:
MS)として、スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)の操作や、
船内保管室に関わる作業全般を担当します。
‹ スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)を操作して、船内保管室をISSに取り付けます。
‹ SRMSとセンサ付き検査用延長ブーム(OBSS)を使用した熱防護システム(TPS)の損傷点検作業において、
SRMSの操作を行います。
‹ 船外活動(EVA)時にSRMSおよびSRMSのTVカメラを操作して、 EVAを支援します。
‹ 船内保管室をISSに結合した後、船内保管室の連結部に入り、電気ケーブルや配管、通風換気の設定などを行
い、船内保管室への入室準備をします。また、船内保管室の電源を投入して起動を行います。
‹ 船内保管室に最初に入室して、室内の点検を行います。
‹ ロードマスター(物資移送責任者)として、スペースシャトル/ISS間の物資移送作業の全体を取りまとめます。
スペースシャトルのミッドデッキに搭載された物資はISS側に移送されます。また、ISSから地上へ回収する物資
や実験サンプルは、ISSからスペースシャトルのミッドデッキへと移送されます。
STS-123ミッション概要
5
2.飛行計画
項 目
飛
行
計
画
STSミッション番号
STS-123(通算122回目のスペースシャトルフライト)
ISS組立てフライト番号
1J/A (スペースシャトルによる25回目、ロシアのロケットを含めると29回目のISS組立てフライト)
オービタ名称
エンデバー号(OV-105) (エンデバー号としては 21回目の飛行)
打上げ予定日
打上げ場所
2008年3月11日(火)午後3時31分(日本時間)
2008年3月11日(火)午前2時31分(米国東部夏時間)
打上げ可能時間帯は5分間
フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39A発射台
: ドミニク・ゴーリ
: グレゴリー・ジョンソン
: ロバート・ベンケン
: マイケル・フォアマン
飛行時間
約15日間
搭乗員
コマンダー
パイロット
MS1
MS2
軌道
軌道投入高度: 約226km
帰還予定日
2008年3月27日(木)午前8時51分(日本時間)
2008年3月26日(水)午後7時51分(米国東部夏時間)
帰還予定場所
主帰還地 : フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)
代替帰還地 : カリフォルニア州エドワーズ空軍基地内NASAドライデン飛行研究センター(DFRC)
ニューメキシコ州ホワイトサンズ宇宙基地
主搭載品
貨物室
: 「きぼう」船内保管室、デクスター、SLP-D1(デクスターを収容)、MISSE-6など
ミッドデッキ : ISSへの補給品、科学実験用品など
MS3
MS4
ISS長期滞在クルー(打上げ)
ISS長期滞在クルー(帰還)
ランデブ高度: 約343km
STS-123ミッション概要
: 土井 隆雄
: リチャード・リネハン
: ギャレット・リーズマン
: レオポルド・アイハーツ
軌道傾斜角: 51.6度
6
2.飛行計画(続き)
クルー
船長(Commander)
ドミニク・ゴーリ (Dominic L. Gorie)
1998年(STS-91)、2000年(STS-99)にパイロットとして搭乗。
2001年(STS-108)にコマンダーとして飛行。
STS-99ではJAXAの毛利宇宙飛行士とともに飛行。
パイロット(Pilot)
グレゴリー・ジョンソン (Gregory H. Johnson)
MS3
土井 隆雄(どい たかお)
1997年のSTS-87ミッションに搭乗し、 ISS建設に必要な宇宙ク
レーンの機能・性能及び操作性の確認を行い、さらに当初予定
されていなかったスパルタン衛星(太陽コロナ)の回収作業など、
日本人宇宙飛行士として初めて船外活動を行った。
今回が初飛行。
MS4
リチャード・リネハン (Richard M. Linnehan)
1996年(STS-78)及び1998年(STS-90)、2002年(STS109)に搭乗。STS-109ミッションでは、ハッブル宇宙望遠鏡修
復のための3回の船外活動を実施した。
ミッションスペシャリスト(MS)1
ロバート・ベンケン (Robert L. Behnken)
今回が初飛行。
第16次・17次長期滞在クルー(打上げ)
ギャレット・リーズマン (Garrett E. Reisman)
今回が初飛行。レオポルド・アイハーツと交代する。STS-124で
帰還予定。
MS2
マイケル・フォアマン (Michael J. Foreman)
今回が初飛行。
第16次長期滞在クルー(帰還)
レオポルド・アイハーツ(Leopold Eyharts)
STS-122(1E)で打ち上げられISS第16次長期滞在クルーのダニ
エル・タニと交代。フライトエンジニアとして1ヶ月ほどISSに滞在し
ていた。
※MS(Mission Specialist):搭乗運用技術者
STS-123ミッション概要
7
2.飛行計画(続き)
飛行日
主な実施ミッション
飛行日
主な実施ミッション
1日目
打上げ/軌道投入、ペイロードベイドアの開放、スペースシャトルの
ロボットアーム(SRMS)の起動、外部燃料タンク(External Tank:
ET)の画像と翼前縁センサデータの地上への送信、船内保管室へ
のヒータ電力の供給開始
8日目
2日目
SRMSとセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor
System: OBSS)を使用した熱防護システム(Thermal Protection
System: TPS)の損傷点検、宇宙服の点検、オービタのドッキングシ
ステムの準備、ランデブ用軌道制御など
第3回船外活動(リネハン/ベンケン)、デクスターの軌道上組立
て(続)、軌道上交換ユニット(Orbital Replacement Unit: ORU)
の船外保管プラットフォーム2(External Stowage Platform:
ESP-2)への移送、STS-124ミッションに向けた準備作業、物資
の移送、船内保管室内の設定・準備など
9日目
デクスターの格納、SLP-D1のペイロードベイ(貨物室)への収容、
船内保管室内の設定、STS-124ミッションに向けた準備作業、ク
ルーの自由時間など
3日目
ISSからのスペースシャトルのTPSの撮影(ランデブ・ピッチ・マヌー
バ)、ISSとのドッキング、ISSへの入室、第1回船外活動準備、取外
し可能型スペースラブパレット1(SLP-D1)のISSへの取付け、ISS第
16次長期滞在クルーの交代など
10日目
クルーの休息、クルー全員によるNASA広報イベント、物資の移
送、第4回船外活動準備など
11日目
第4回船外活動(ベンケン/フォアマン)、タイルの損傷修理試験、
STS-124ミッションに向けた準備作業、物資移送など
12日目
SRMSとOBSSを使用したTPSの後期点検、物資の移送、第5回
船外活動準備、ISS船内のラックの移送など
4日目
第1回船外活動(リネハン/リーズマン)、船内保管室の設置、デクス
ターの軌道上組立て、物資の移送など
5日目
船内保管室連結部の配線・配管作業、船内保管室の起動と入室、
物資の移送、第2回船外活動準備、TPSの詳細検査(必要な場合)
など
13日目
第5回船外活動(ベンケン/フォアマン)、 OBSSのISSトラス
(OBSS格納機構)への取付け、船内保管室外部の艤装、デス
ティニーへのデブリ防護パネルの取付けなど
6日目
第2回船外活動(リネハン/フォアマン)、デクスターの軌道上組立て
(続)、船内保管室内のラック設定作業、物資の移送など
14日目
クルーの休息、物資の移送、クルー合同記者会見(写真撮影)、
ISS分離に向けた点検・準備作業、ISS船内のラックの移送など
7日目
JAXA広報イベント(20分)、クルー全員による米国の広報イベント、
デクスター動作試験、船内保管室内のラック設定作業、物資の移送、
第3回船外活動準備など
15日目
スペースシャトル/ISS間のハッチ閉鎖・ISS分離、フライアラウ
ンド
16日目
飛行制御システムの点検、船内の片づけ、軌道離脱準備、
NASA広報イベント、Kuバンドアンテナ収納
17日目
軌道離脱、着陸
STS-123ミッション概要
8
2.飛行計画(続き)
船内保管室
ハーモニー天頂側の
共通結合機構(CBM)へ
仮設置
STS-122ミッション終了後(2008年2月)のISS形態
STS-123ミッション後のISS形態
※完成時のISSの構成要素についてはBackup Chartの
P67を参照ください。
STS-123ミッション概要
9
3.搭載品
RIGEX
(実験装置)
船内保管室
直流切替ユニット
(DCSU)2基
(軌道上予備)
MISSE-6
の取付け台
(LWAPA)
ISSのロボットアームの
ヨー関節部
(軌道上予備)
センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)
スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)
オービタ・ドッキング・
システム(ODS)
ミッドデッキへ
MISSE-6
(実験装置)
「デクスター」を収容した
スペースラブパレット展開型-1
(SLP-D1)
STS-123ミッションのペイロードベイ(貨物室)の搭載状況
STS-123ミッション概要
10
3.搭載品(「きぼう」船内保管室)
宇宙ステーション整備施設内で移動のため吊り上げられている
船内保管室(NASAケネディ宇宙センター(KSC))
「きぼう」船内保管室諸元
項目
値
寸法 長さ 4.2m、外径 4.4m
構造重量:約4,200kg
重量
打上げ時重量:約8,480kg
船内保管室はJAXAが開発した「きぼう」日本実験棟の
構成要素です。
船内保管室は、打上げ時には「きぼう」のシステムラッ
クや実験ラック、物品などを運ぶための輸送コンテナと
して使用されます。その後、軌道上で「きぼう」の運用
が始まると、主に保管庫として使用されます。船内保管
室内部には、システム機器、実験装置などのメンテナ
ンスに必要なツールや、実験試料、そして機器の故障
時に備えて予備部品などが保管されます。
船内保管室内は1気圧に保たれ、常温の空気で満たさ
れており、クルーが船内実験室から自由に出入りする
ことができます(船内実験室がISSに設置されるまでは、
ハーモニーからの入室となります)。室内の4方の壁に
は計8個のラックを設置することができます。
空気、電力、熱など運用に必要なリソースは、ISSから
船内実験室を通して供給されます(船内実験室に移設
するまではハーモニーを通して供給されます)。
※「きぼう」の構成する各要素についてはBackup
ChartのP68「「きぼう」の構成要素」を参照ください。
STS-123ミッション概要
11
3.搭載品(「きぼう」船内保管室)(続き)
船内保管室は、船内実験室の上部の結合機構に設置
され運用されることになります。しかし、船内保管室は
船内実験室よりも先にISSに運ばれるため、STS-123
ミッションでは同じ結合機構を持つ米国の「ハーモニー」
(第2結合部)に仮設置され、船内実験室の到着を待つ
ことになります。
STS-124ミッションで船内実験室がISSに到着した後、
船内保管室は船内実験室に移設されます。
土井宇宙飛行士は、スペースシャトルがISSにドッキン
グしている間に、船内保管室内で軌道上運用に備えた
設定作業を行います。また、船内保管室に搭載して運
んできた「きぼう」のラックを、船内実験室が到着した後
に船内実験室へ移設する為の準備として、ラックの設定
(固定器具の取外しなど)なども行います。
「きぼう」の与圧部(船内保管室と船内実験室)とロボット
アームの構成
※「きぼう」の構成要素の打上げ計画については、
Backup ChartのP69「「きぼう」の打上げスケジュール」
を参照ください。
STS-123ミッション概要
12
3.搭載品(「きぼう」船内保管室) (続き)
衛星間通信システム(ICS)ラック
左舷側
船内保管室に搭載してISSに運ぶラック
• 「きぼう」のシステムラック
電力(EPS)ラック1
実験ラック(SAIBO)
情報管制(DMS)ラック1
ワークステーション(WS)ラック
ロボットアーム制御(JEMRMS)ラック
衛星間通信システム(ICS)ラック
• JAXAの実験ラック※
SAIBOラック
RYUTAIラック
• その他
ワークステーショ 保管ラック(JRSR)
情報管制(DMS)ラック1
実験ラック(RYUTAI)
後方
進行方向
ロボットアーム
制御(JEMRMS)
ラック
ン(WS)ラック
保管 (JRSR) ラック
右舷側
電力(EPS)ラック1
船内保管室に搭載して運搬するラックの位置
※奥が天頂方向
※JAXAの実験ラックであるSAIBOラックとRYUTAI
ラックは実験装置を組み込んだ状態で打ち上げら
れます。
赤:システムラック、水色:実験ラック、緑:保管ラック
STS-123ミッション概要
13
3.搭載品(「きぼう」船内保管室) (続き)
STS-123ミッション概要
14
3.搭載品(デクスター)
「デクスター」(特殊目的ロボットアーム)
「デクスター」(特殊目的ロボットアーム)は、ISSのロボットアー
ムシステム(Mobile Servicing System:MSS)のひとつとして、
カナダ宇宙庁(CSA)が開発した遠隔操作ロボットアームです。
今後、船外活動クルーの手に代わり、ISS船外の組立・メンテ
ナンス等での活躍が期待されています。
デクスターはISSのロボットアーム(SSRMS)に取付けて使用さ
れます。本体の両脇に取り付けられたふたつのアームには、そ
れぞれ7つの関節があるため、動きにかなりの自由度がありま
す。また内蔵されたセンサで力を感知して操作者にフィードバッ
クする事ができるため、デリケートな動作・取扱いの必要な作
業をこなすことができます。
デクスターの本体には、2台のカラーTVカメラが装備されており、
これによって、ISS船内のロボットアーム操作卓上で、またはダ
ウンリンクされた映像でモニタしながらロボット操作することが
出来ます。
デクスターがISSに登場することにより、これまでは船外活動で
船外活動クルーが行っていたような作業をロボット操作で行う
ことができるようになり、クルーの作業負荷が軽減され、実験な
どISS利用により多くの時間がとれるようになります。
STS-123ミッション概要
15
3.搭載品(取外し可能型スペースラブパレット1)
スペースラブパレット(SLP)は宇宙空間へ
の曝露が必要な機器などを収容して打上
げるためのU字型の輸送キャリアです。
デクスター
本体
今回スペースシャトルに搭載される、取外
し可能型スペースラブパレット(SLP-D1)
は、デクスターの輸送を目的として専用に
開発されました。
STS-123ミッションでは、SLP-D1はデクス
ターを収容してスペースシャトルのペイ
ロードベイ(貨物室)に搭載され、打ち上げ
られます。軌道上でデクスターを取り出し
た後は、SLP-D1はシャトルのペイロード
ベイ(貨物室)に再び搭載され、地上に回
収されます。
SLP-D1に搭載されたデクスター。片方のアームをクレーンで搭載
中。(宇宙ステーション整備施設(SSPF) NASAケネディ宇宙セン
ター(KSC) )
SLP-D1
STS-123ミッション概要
16
3.搭載品(デクスター)
取り外し可能型スペースラブパレット(SLP-D1)搭載イメージ
STS-123ミッション概要
17
3.搭載品(材料曝露実験装置6)
材料曝露実験装置6(Materials ISS
Experiment: MISSE-6)は、NASAの
6回目の材料曝露実験となります。
MISSE-6には、2つのコンテナ(AとB)があり、
飛行13日目の第5回船外活動で、ISS船外
(コロンバス(欧州実験棟)の外側)に取り付
けられます。
MISSE-6には、宇宙機の耐熱シールド素材
や放熱シールド素材、オリオン有人宇宙船※
用の候補素材など、140個以上の材料サン
プルが含まれています。
材料曝露実験装置6(Materials ISS Experiment: MISSE-6)
がエンデバー号のペイロードベイ(貨物室)に搭載された様子
(NASAケネディ宇宙センター(KSC) オービタ整備棟)
※オリオン有人宇宙船:米国のスペースシャ
トルの後継機としてNASAが現在開発中の
有人宇宙機。
STS-123ミッション概要
18
3.搭載品(膨張硬化構造物実験装置)
膨張硬化構造物実験装置(Regidizable Inflatable Get-Away-Special
Experiment: RIGEX)は、膨張構造チューブを加熱して膨張させ、その
後冷却して硬化構造チューブへと変化させる実験です。
実験の目的は、硬化構造データを収集し、地上で実施した実験データ
と比較分析することです。
RIGEX実験装置は、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)のペ
イロード放出キャニスタ(CAPE)に搭載されて打ち上げられ、実験はペ
イロードベイ内で行われます(放出はしません)。
飛行13日目と14日目のクルー就寝前に、土井宇宙飛行士が船内から
RIGEXコンピュータとヒータの電源を投入します。実験は、クルーの就
寝中にコンピュータプログラム制御で実施されます。
膨張硬化構造物実験装置(RIGEX)
STS-123ミッションクルーによる装置点検。スペース
シャトルのペイロードベイ(貨物室)に置かれたRIGEX。
(NASAケネディ宇宙センター(KSC) オービタ整備棟)
伸縮した(畳まれた)状態の
膨張硬化チューブ
STS-123ミッション概要
地上でのチューブの膨張硬化試験
(左:膨張前、右:膨張後)
19
4. ミッションの概要
スペースシャトル「エンデバー号」(STS-123ミッション)飛行概要
STS-123ミッション搭乗員
STS-123ミッション搭乗員
飛行6日目
飛行5日目
ドミニク・ゴーリ
コマンダー(船長)
NASA 宇宙飛行士
船内保管室起動・入室
EVA#2
デクスター組立
飛行4日目
グレゴリー・ジョンソン
パイロット(操縦士)
NASA 宇宙飛行士
EVA#1 船内保管室設置、
デクスター組立
飛行7日目
飛行8日目
飛行9日目
JAXA広報イベント
NASA 広報イベント
EVA#3
デクスター組立(続)
デクスターの格納、
SLP-D1の収容
飛行10日目
NASA広報イベント 飛行11日目
EVA#4
T-RADによる軌道上
タイル補修試験
オービタ
オービタ :エンデバー号(OV-105)
:エンデバー号(OV-105)
搭乗員数
搭乗員数 :7名(内1名はISS長期滞在クルー)
:7名(内1名はISS長期滞在クルー)
打上げ
打上げ :日本時間2008年3月11日(火)
:日本時間2008年3月11日(火) 午後3時31分
午後3時31分
(米国東部夏時間2008年3月11日(火)
(米国東部夏時間2008年3月11日(火)午前2時31分)
午前2時31分)
帰還
:日本時間2008年3月27日(木)
帰還
:日本時間2008年3月27日(木)
(米国東部夏時間2008年3月26日(水))
(米国東部夏時間2008年3月26日(水))
飛行期間
飛行期間 :約15日間
:約15日間
打上げ・帰還場所:米国フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)
打上げ・帰還場所:米国フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)
飛行12日目
SRMSとOBSSを使用したTPS
の後期点検
飛行13日目
EVA#5 OBSSのISSへの固定
STS-123(1J/A)ミッションの目的
STS-123(1J/A)ミッションの目的
飛行3日目
ロバート・ベンケン
(MS1)
NASA 宇宙飛行士
ISSから熱防護システム撮影
ISSとドッキング
飛行2日目
SRMS、OBSSによるTPS点検
マイケル・フォアマン
(MS2)
NASA 宇宙飛行士
飛行1日目: 打上げ
3月11日(火)午後03時31分(日本時間)
米国フロリダ州 KSC
外部燃料タンク撮影、船内保管室ヒータ電力供給
・「きぼう」船内保管室の輸送と取付け
・「きぼう」船内保管室の輸送と取付け
・デクスター(特殊目的ロボットアーム)の輸送と取付け
・デクスター(特殊目的ロボットアーム)の輸送と取付け
・第16次長期滞在クルー1名の交代
・第16次長期滞在クルー1名の交代
・物資の運搬
・物資の運搬
船外活動(5回)
船外活動(5回)
EVA#1(飛行4日目)
EVA#1(飛行4日目) :船内保管室のISSへの取り付け準備
:船内保管室のISSへの取り付け準備
EVA#2(飛行6日目)
EVA#2(飛行6日目) :デクスターの軌道上組立作業
:デクスターの軌道上組立作業
EVA#3(飛行8日目)
EVA#3(飛行8日目) :デクスターの軌道上組立作業(続き)、ORUの移送など
:デクスターの軌道上組立作業(続き)、ORUの移送など
EVA#4
EVA#4 (飛行11日目):T-RADによる耐熱タイル損傷の軌道上修理試験
(飛行11日目):T-RADによる耐熱タイル損傷の軌道上修理試験
EVA#5
EVA#5 (飛行13日目):OBSSのISSへの固定、MISSE-6の取付け
(飛行13日目):OBSSのISSへの固定、MISSE-6の取付け
略語
略語
ESA:
European
ESA:
EuropeanSpace
SpaceAgency
Agency
EVA
EVA :: Extravehicular
ExtravehicularActivity
Activity
JAXA
:
Japan
Aerospace
JAXA : Japan AerospaceExpolation
ExpolationAgency
Agency
KSC:
Kennedy
KSC:
KennedySpace
SpaceCenter
Center
MISSE:
MISSE: Materials
MaterialsISS
ISSExperiment
Experiment
MS
MS :: Mission
MissionSpecialist
Specialist
OBSS
OBSS :: Orbiter
OrbiterBoom
BoomSensor
SensorSystem
System
RCC
RCC :: Reinforced
ReinforcedCarbon-Carbon
Carbon-Carbon
SPDM:
SPDM: Special
SpecialPurpose
PurposeDexterous
DexterousManipulator
Manipulator
SRMS
SRMS:: Shuttle
ShuttleRemote
RemoteManipulator
ManipulatorSystem
System
T-RAD
T-RAD ;; Tile
TileRepair
RepairAblator
AblatorDispenser
Dispenser
欧州宇宙機関
欧州宇宙機関
船外活動
船外活動
宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構
NASAケネディ宇宙センター
NASAケネディ宇宙センター
材料曝露実験装置
材料曝露実験装置
搭乗運用技術者
搭乗運用技術者
センサ付き検査用延長ブーム
センサ付き検査用延長ブーム
強化炭素複合材
強化炭素複合材
「デクスター」特殊目的ロボットアーム
「デクスター」特殊目的ロボットアーム
スペースシャトルのロボットアーム
スペースシャトルのロボットアーム
タイル修理用耐熱材充填装置
タイル修理用耐熱材充填装置
STS-123ミッション概要
土井 隆雄
(MS3)
JAXA 宇宙飛行士
リチャード・リネハン
(MS4)
NASA 宇宙飛行士
飛行14日目
クルー合同記者会見
第16次長期滞在クルー
打上
飛行15日目
アンドッキング
ギャレット・リーズマン
NASA 宇宙飛行士
飛行16日目
NASA 広報イベント
帰還準備
飛行17日目: 着陸
米国フロリダ州 KSC
帰還
レオポルド・アイハーツ
ESA 宇宙飛行士
20
注:各飛行日の写真はイメージです。
5. フライトスケジュール 1日目
• 打上げ/軌道投入
• ペイロードベイ(貨物室)ドアの開放
• スペースシャトルのロボットアーム
(SRMS)起動
• Kuバンドアンテナ展開
• 船内保管室へのヒータ電力供給開始
• 翼前縁の衝突検知センサデータ、外
部燃料タンク(ET)カメラの画像の地
上への送信
• ランデブに向けた軌道制御
スペースシャトルの
打上げ(STS-120)
メインエンジン停止直後の船内(STS-118)
STS-123ミッション概要
21
5. フライトスケジュール 2日目
• ペイロードベイ(貨物室)の状態の点検
• スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)とセンサ付き検査用延
長ブーム(OBSS)を使用した強化炭素複合材(RCC)の損傷点検
• 宇宙服(EMU)の点検
• オービタ・ドッキング・システム
(ODS)の点検
• ODSのドッキングリングの伸展と
カメラの取付け(ドッキング準備)
• ランデブに向けた軌道制御
飛行2日目のスペースシャトルの様子:
貨物室に搭載しているのは「ハーモニー」
(第2結合部)(STS-120)
STS-123ミッション概要
22
5. フライトスケジュール 3日目
• ランデブに向けた軌道制御
• ISSからのスペースシャトルの熱防護
システムの撮影※1
• ISSとのドッキングおよび入室
• ISS長期滞在クルー1名の交代※2
• ISSからスペースシャトルへの電力供
給装置(SSPTS)の起動
• 取外し可能型スペースラブパレット
(SPL-D1)のISSへの取付け
• 第1回船外活動準備(船外活動手順確認
およびリネハン(EV1)、リーズマン(EV2)両
宇宙飛行士のキャンプアウト※3)
RPM時に、ISSから撮影された耐熱タイルの
損傷箇所(STS-121)
※1:Backup Chart(P78)参照
※2:ミッション中、交代クルーの専用のシートライナーを
緊急事態の際に地上に帰還するためのロシアの
ソユーズ宇宙船に取り付けた時点で、長期滞在
クルーの交代は正式に完了します。
※3:P25参照
STS-123ミッション概要
23
5. フライトスケジュール 3日目(続き)
取外し可能型スペースラブパレット(SLP-D1)のISSへの取付け
デクスターを収容した状態の取外し可能型スペースラブパレット(Spacelab
Pallet Deployable1: SLP-D1)をスペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)から
取り出し、ISSのモービル・ベース・システム(Mobile Base System: MBS)のペイ
ロード/ORU取付け場所(Payload/Orbital Replacement Unit Accommodation:
POA)に取り付けます。
デクスターの軌道上での組立て作業
は、翌日(飛行4日目)の船外活動か
ら開始されます。
デクスターの組立ては、SLP-D1に固
定された状態で行われます。
スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)から
SLP-D1を取り出してMBSに取り付ける様子
STS-123ミッション概要
24
5. フライトスケジュール 3日目(続き)
キャンプアウト(Campout)
船外活動を行うクルーが、気圧※を下げた「クエスト」(エアロック)の中で船外活
動の前夜滞在することをキャンプアウトと呼んでいます。
低い気圧の中で一晩を過ごすことで、血中の窒素を体外に追い出す事ができ、
“ベンズ”と呼ばれる減圧症を予防する事が
できます。
睡眠時間を利用することにより、船外活動
の準備を効率良く行うことが出来ます。
※エアロック内部の気圧は、10.2psi(約0.7気圧)にまで下げら
れる予定です。通常はISS内部は14.7psi(1気圧)に保たれてい
ます。
「クエスト」内部の様子(STS-121ミッション)
注:実際のキャンプアウト中はクルーは普段着で過ごします。
STS-123ミッション概要
25
5. フライトスケジュール 4日目
• 第1回船外活動
¾ 船内保管室の取付け準備
¾ デクスターの軌道上組立
て作業
• 船内保管室の「ハーモニー」
(第2結合部)への取付け
スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)内
で作業を行う船外活動クルー(STS-114)
(土井宇宙飛行士の作業)
• 物資移送
NASAジョンソン宇宙センター(JSC)のスペース
シャトルのモックアップ内で訓練を行う土井宇宙
飛行士とアイハーツ宇宙飛行士
STS-123ミッション概要
26
5. フライトスケジュール 4日目(続き)
第1回船外活動(EVA#1)
‹所要時間:約6時間30分
‹担当
:リネハン(EV1)、リーズマン(EV2)
‹実施内容:以下のとおり
① 船内保管室の共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)の保護
カバーを取り外します。
船外活動クルーは、 ISSのクエスト(エアロック)から船外に
出ると、まず、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)に
移動し、ペイロードベイ内に固定されている船内保管室を
ハーモニー(第2結合部)に設置するための準備を行います。
船内保管室のパッシブ共通結合機構(Passive Common
Berthing Mechanism: PCBM)の保護カバーを取りはずし、
ハーモニー天頂側のアクティブ共通結合機構(Active CBM:
ACBM)への結合に備えます。
クエスト(エアロック)からISS船外に出
た船外活動クルー(STS-116)
STS-123ミッション概要
27
5. フライトスケジュール 4日目(続き)
第1回船外活動(続き)
②船内保管室のアンビリカルケーブル(スペースシャトルからのヒータ電力供給に使
われていたケーブル)を取り外し、ペイロードベイ内のケーブル収納箱に収納します。
③ハーモニー(第2結合部)の天頂側に移動し、ハーモニー天頂の共通結合機構
(CBM)のハッチウィンドウを開放します。
ハーモニーのアクティブCBM(ACBM)のハッチウィ
ンドウを開けることにより、ハーモニーのACBM内
側に取り付けたドッキング操作用のカメラ※で、船
内保管室が接近する様子をモニタすることができる
ようになります。
EVA
クルー
ハーモニー
ハーモニー付近で作業する船外活
動クルー(Expedition 16)
ハーモニーのハッチウィンドウの
カバーを取る船外活動クルー
(Expedition 16)
※軌道上でモジュール同士を結合させる際、クルーが双方のモ
ジュールのアラインメント(位置合わせ)を視覚で確認するための
カメラです。
STS-123ミッション概要
28
5. フライトスケジュール 4日目(続き)
第1回船外活動(続き)
④デクスターの軌道上組立てを
行います。
取外し可能型スペースラブパレット(SLP-D1)に固定
された状態のデクスターの2本のアームの先端に、
軌道上交換ユニット/工具交換機構(Orbital
Replacement Unit/Tool Changeout Mechanism:
OTCM)を取り付けます。
デクスター(宇宙センター整備施設(SSPF) NASA KSC)
OTCMはペイロードや工具を把持する機構で、白黒
カメラと照明がついています。また、ボルトを固定す
るためのソケットや、ペイロードに電力・データなどを
供給するためのコネクタもついています。
OTCM
STS-123ミッション概要
29
5. フライトスケジュール 4日目(続き)
船内保管室のハーモニーへの取付け
スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)を使用して、船内保管室をペイロードベ
イから取り出し、ハーモニーに仮設置※します。SRMSは土井宇宙飛行士とゴーリ
宇宙飛行士が操作します。
※船内保管室は、「きぼう」船内実験室が到着するまで、「ハーモニー」(第2結
合部)に仮設置されます。
STS-123ミッション概要
30
5. フライトスケジュール 5日目
船内保管室/ハーモニー間の連結部の設定(入室準備)
船内保管室内への入室
物資の移送
OBSSを使用したスペースシャトルの熱防護システム
(TPS)の詳細検査 (必要な場合)
• 第2回船外活動準備
•
•
•
•
(船外活動手順確認およびリネハン(EV1)、フォアマン(EV2)両宇宙飛行士の
キャンプアウト:P25参照)
STS-123ミッション概要
31
5. フライトスケジュール 5日目(続き)
船内保管室とハーモニー間の連結部の設定(入室準備)
船内保管室入室準備作業として、土井宇宙飛行士とリネハン宇宙
飛行士が船内保管室の連結部へと入り、次の作業を行います。
•
•
•
•
船内保管室とハーモニー間の電気ケーブル等の接続
ハーモニー側から、船内保管室の電源を投入(換気稼動開始)
船内保管室とハーモニー連結部の気密漏れ点検
船内保管室とハーモニー間のハッチの開放
ハーモニー/デスティニー間の連結部
で作業するクルー(STS-120)
モジュール同士の結合では、クルーが新たに設置し
たモジュールに安全に入室する環境を整えるため、
モジュール間のハッチを開放する前に、連結部で設
定作業を行います。
STS-120ミッションではハーモニーがデスティニーに
設置されました。写真はその時の作業風景です。
ハーモニー/デスティニー間のハッチを
開放するところ(STS-120)
STS-123ミッション概要
32
5. フライトスケジュール 5日目(続き)
船内保管室内への入室
浮遊物※などを吸い込まな
いよう、マスクとゴーグルを
着用して予防します。
※地上での作業中に、室内に混じり込み機
器類に付着した粒子が浮遊する可能性が
あるため。
船内保管室内の設定作業
船内保管室内部の設定作業
(ラックの設定含む)は飛行9
日目まで続けられます。
結合したハーモニーに入室するクルー(STS-120)
STS-123ミッション概要
33
5. フライトスケジュール 6日目
• 第2回船外活動
¾ デクスターの軌道上組立て(続き)
• 船内保管室内の「きぼう」のラックの設定・移送準備
• 物資の移送
STS-123ミッション概要
34
5. フライトスケジュール 6日目(続き)
第2回船外活動(EVA#2)
‹所要時間:約7時間00分
‹担当
:リネハン(EV1)、フォアマン(EV2)
‹実施内容:以下のとおり
デクスターの2本のアームをデクスター本体に取り
付けます。
肩関節(ヨー)
デクスターのアーム1
肩関節(ピッチ)
ひじ関節(ピッチ)
手首関節(ロール)
力感知センサー
(フォース・モーメント・
センサ)
肩関節
(ロール)
手首関節(ピッチ)
本体カラーカメラ
※デクスターの軌道上組立て作業
では、各パーツを保護するために
覆っていた断熱カバーも取り外しま
す。
手首関節(ヨー)
デクスターのアーム2
STS-123ミッション概要
35
5. フライトスケジュール 6日目(続き)
船内保管室内の「きぼう」のラックの設定・移動準備
土井宇宙飛行士およびISS第16次長期
滞在クルー1名(ウィットソン宇宙飛行士
とリーズマン宇宙飛行士が交代で)が、
船内保管室に入室し、情報管制(DMS)
ラック1、電力(EPS)ラック1、ワークス
テーション(WS)ラックの設定を行いま
す。
ラックを固定場所から前方に引き出して、
固定していたボルトなどを取外し、STS124ミッションでの船内実験室への移設
に備えます。
STS-123ミッション概要
ISS内でラックを引き出して移動する
様子 (STS-98)
36
5. フライトスケジュール 7日目
•
•
•
•
•
船内保管室内のラックの設定作業(続き)
デクスターの動作試験
JAXA広報イベント(20分)
NASA広報イベント(20分)
第3回船外活動準備
(船外活動手順確認およびリネハン(EV1)、ベンケン(EV2)両宇宙飛
行士のキャンプアウト:P25参照)
• 物資の移送
STS-123ミッション概要
37
5. フライトスケジュール 7日目(続き)
船内保管室内のラックの設定作業
前日に引き続き、ISS船内では船内保管室内に搭載して運
んできた「きぼう」のシステムラックの設定作業を行います。
土井宇宙飛行士および第16次長期滞在クルー1名(マレン
チェンコ宇宙飛行士とリーズマン宇宙飛行士が交代で)が、
ロボットアーム(JEMRMS)制御ラック、保管ラック(JRSR)、
衛星間通信システム(ICS)ラックの設定作業などを行います。
OBSS
JEMRMS Rack
デクスターの動作試験
デクスターの左右アームのブレーキ試験を行います。
STS-123ミッション概要
38
5. フライトスケジュール 7日目(続き)
JAXA広報イベント
NASA広報イベント
土井宇宙飛行士とともに、STS-123ミッ
ションのコマンダーであるゴーリ宇宙飛
行士、ISS第16次長期滞在クルーのコ
マンダーであるウィットソン宇宙飛行士
が参加します。
STS-123ミッションクルーとISS第16次
長期滞在クルー全員が参加します。
NASA広報イベント(STS-120)
ハーモニー内でのESA広報イベントの様子(STS-120)
STS-123ミッション概要
39
5. フライトスケジュール 8日目
• 第3回船外活動
¾ デクスターの軌道上組立て作業(続き)
¾ MISSE-6の軽量取付け台(Lightweight Adapter Plate
Assembly: LWAPA)をISS船外(コロンバス外部)に設置
¾ ペイロードベイ(貨物室)に搭載して運んできた3基のORUを
ISSの船外保管プラットフォーム2(ESP-2)へ移送・保管
• 船内保管室内の設定作業(続き)
• STS-124(1J)ミッションに向けた準備作業
• 物資の移送
STS-123ミッション概要
40
5. フライトスケジュール 8日目(続き)
第3回船外活動(EVA#3)
‹所要時間:約6時間30分
‹担当
:リネハン(EV1)、ベンケン(EV2)両宇宙飛行士
‹実施内容:以下のとおり
① デクスターの工具格納装置
(Tool Holder Assembly: THA)
と軌道上交換ユニット仮置き場所
(ORU Temporary Platform: OTP)
をSLP-D1から取り外し、
デクスター本体へ取り付けます。
備考:THAには4つ(3種類)の工具が格納されます。
THA
STS-123ミッション概要
デクスターのTHAとOTPの位置
OTP
41
5. フライトスケジュール 8日目(続き)
第3回船外活動(続き)
② カメラ・照明・雲台装置(Camera Light Pan/Tilt Unit assembly: CLPA)2基
をデクスター本体に取り付けます。
CLPA1とCLPA2
CLPA
STS-123ミッション概要
42
5. フライトスケジュール 8日目(続き)
第3回船外活動(続き)
③ MISSE-6の取付け台(Lightweight
Adapter Plate Assembly: LWAPA)
をコロンバス外部に取り付けます。
④ 直流切替ユニット(Direct Current
Switching Unit: DCSU) 2基と、ISSの
ロボットアーム(SSRMS)のヨー関節部
(Yaw)1基の交換品をペイロードベイ
(貨物室)から取り出し、船外保管プ
ラットフォーム2(External Stowage
Platform:ESP-2)に運んで保管します。
STS-123ミッション概要
ORUを船外保管プラットフォーム
に取り付ける様子(STS-120)
ESP-2
ESP-2付近で作業する船外活
動クルー(STS-118)
43
5. フライトスケジュール 8日目(続き)
STS-124ミッションに向けた準備
STS-124ミッションで使用するものを仕分けて、使用時に取り出しやすいように
用意しておく作業を行います。
STS-123ミッションでは、船内保管室に搭載されてたくさんの物品が打ち上げら
れます。しかし、それら物品が使用される時期はさまざまで、今回のミッションで
使用されるものもあれば、ずっと先のミッションで使用されるものまで混在してい
ます。
STS-124ミッションは作業スケジュールが過
密で、いかに効率よく作業を進めていくかが
ミッション成功の鍵となります。物品をいろい
ろな場所から物品のラベルをたよりに探し出
すのは以外に時間のかかる作業ですが、あ
らかじめ使用するものを仕分けておくことに
ジョンソン宇宙センター(JSC)のISSのモックアップ内
よって効率よく作業が進められます。
で物資移送の訓練を行う土井宇宙飛行士
STS-123ミッション概要
44
5. フライトスケジュール 9日目
• デクスターの「デスティニー」(米国実
験棟)底部の保管場所への格納
• 船内保管室内の設定作業(続き)
• SLP-D1のスペースシャトルのペイ
ロードベイへの収容
• 物資の移送
• STS-124(1J)ミッションに向けた準備
作業
OBSS
SLP-D1からデクスターを取り出すイメージ
(NASA HPより)
• クルーの休息
STS-123ミッション概要
45
5. フライトスケジュール 10日目
• クルーの休息
• NASA広報イベント
• 物資の移送
• 第4回船外活動準備(船外活動で使
用する工具の準備、船外活動の手順確認お
よびベンケン(EV1)、フォアマン(EV2)両宇
宙飛行士のキャンプアウト:P23参照)
STS-123ミッション概要
OBSS
ISS内での広報活動
(STS-120ミッション)
46
5. フライトスケジュール 11日目
•
第4回船外活動
¾タイル修理用耐熱材充填装置(T-RAD)※1を使用した軌道上耐熱タイル修理試験※2
•
JAXA 教育プロジェクト
¾宇宙連詩DVD
¾「宇宙と生命」を学ぶミッション
サンプルリターンミッション
-Life in the universe-
• STS-124ミッション準備
• 物資移送
【参考】KC-135機のパラボリックフライト(無重力状態(0G))でのタイル修復試験の様子
※1:次ページを参照
※2:T-RADを使用したタイル修理試験は、2007年のSTS-120ミッションで行われる予定でしたが、STS-120ミッションではP6トラ
スの太陽電池パドルの損傷を修復する作業が入ったため延期されていました。
STS-123ミッション概要
47
5. フライトスケジュール 11日目(続き)
タイル修理用耐熱材充填装置(T-RAD)
タイル修理用耐熱材充填装置(Tile Repair Ablator
Dispenser: T-RAD)は、タイル補修剤充填装置(Cure
In Place Ablator Applicator: CIPAA)※を基に開発
された、耐熱タイル修理用の耐熱材を充填するための
装置です。
T-RAD
耐熱材には、STA-54と呼ばれる褐色でペースト状の
アブレータ(溶融材)が使用されます。
※:T-RADの基になったCIPAAは、コロンビア号事故後に開発が行われ、STS-114ミッション
で試験が行われる予定でしたが、技術的な困難さに直面し試験は中止されました。その後、
より小型化して取り扱いを容易にしたT-RADがSTS-121ミッションから非常時に備えて毎回
搭載されていましたが、宇宙での試験は行っていなかったことから、今回試験を行うことにな
りました。
STS-123ミッション概要
地上でのT-RADを使用した修理後のタイル
48
5. フライトスケジュール 11日目(続き)
第4回船外活動(EVA#4)
‹所要時間:約6時間30分
‹担当
:ベンケン(EV1)、フォアマン(EV2)両宇宙飛行士
‹実施内容:以下のとおり
① T-RADを使用した軌道上での
耐熱タイル修理試験
タイル修理試験用の損傷したタイルサンプルを
用いて、T-RADを使用した修理試験を行います。
T-RADとSTA-54を使用した試験は、地上の
真空チャンバーや、航空機を使った短時間の
微小重力環境では行われていますが、宇宙での
タイル修理試験用サンプルタイルのイメージ
試験は初めてとなります。試験では、T-RADの
操作性や、気泡が発生しても表面を滑らかにすることが出来るか等の評価が行わ
れ、地上に回収した後にはアークジェット試験等が行われる予定です。
STS-123ミッション概要
49
5. フライトスケジュール 11日目(続き)
「きぼう」の教育・文化利用
z宇宙連詩DVDの船内保管室への保管
Copyright©www.nasa.gov / Copyright©www.hubblesite.org
All Right Reserved
z「宇宙と生命」を学ぶミッション
サンプルリターンミッション-Life in the universe-
サンプルの船内保管室への保管
※詳細はP65「「きぼう」の教育・文化利用」を参照ください
植物の種子や
微生物の休眠卵
STS-123ミッション概要
50
5. フライトスケジュール 12日目
• スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)とセンサ付き検査用
延長ブーム(OBSS)を使用したスペースシャトルの熱防護シス
テム(TPS)の後期点検(オービタの両翼と ノーズキャップの強
化炭素複合材(RCC)の損傷の有無を検査)
• 物資の移送
• Expressラックの移送(ISSクルー作業)
• 第5回船外活動の準備
(船外活動手順確認およびベンケン(EV1)、
フォアマン(EV2)両宇宙飛行士の
ISSとのドッキング中にOBSSを把持した
SRMS(STS-114)
キャンプアウト:P25参照)
STS-123ミッション概要
51
5. フライトスケジュール 12日目(続き)
SRMSとOBSSを使用した熱防
護システム(TPS)の後期点検
STS-123ミッションではセンサ付き検査
用延長ブーム(OBSS)をISSに残して
帰還するため、スペースシャトルのドッ
キング中に熱防護システムの後期点
検を行います。
物資の移送
土井宇宙飛行士は、STS-123ミッションの
物資移送責任者(ロードマスター)として、
物資の移送作業全体を取りまとめます。
スペースシャトルでISSに運ばれた補給
物資を移送するクルー (ISS第11次長期
滞在クルー)
STS-123ミッション概要
スペースシャトルのミッドデッキに搭
載された物資のチェックリストを確
認するクルー(STS-120)
52
5. フライトスケジュール 13日目
• 第5回船外活動
¾ OBSSのISSトラスのブームスタンドへの格納
¾ MISSE-6のコロンバスへの取付け
¾船内保管室外部の整備
• 船内保管室の構造殻
(シェル)の温度点検
STS-123ミッション概要
53
5. フライトスケジュール 13日目(続き)
第5回船外活動
‹ 所要時間:約6時間30分
‹ 担当
:ベンケン(EV1)、フォアマン(EV2)両宇宙飛行士
‹ 実施内容:以下のとおり
① OBSSをOBSS固定機構(OBSSブームスタンド)へ格納します。
OBSSの固定機構(OBSSブーム
スタンド)は、STS-118ミッション
時にISSのS1トラス上に設置済
みです。
トラスにOBSSの固定機構(Boom Stand)を固定するクルー(STS-118)
STS-123ミッション概要
54
5. フライトスケジュール 13日目(続き)
第5回船外活動
② MISSE-6(2個)をコロンバス外部に取り付けます。
MISSE-6の取付け台(LWAPA)は本ミッションの
第3回船外活動でコロンバスに設置済みです。
③ 船内保管室外部の整備。
【参考】MISSE-5
船内保管室のトラニオンピン※に多層断熱材
(Multi-Layered Insulation: MLI)カバー
を取付けます。
④ 過去の船外活動時に確実な固定ができなかった
米国モジュールのデブリ防護パネルの再固定を
行います。
⑤ 前倒し作業
トラニオンピンの位置
※トラニオンピンは、打上げ時にスペースシャトルのペイロードベイに
ペイロードを固定しておくための機構です。
STS-123ミッション概要
55
5. フライトスケジュール 13日目(続き)
船内保管室の構造殻(シェル)温度点検
この日、土井宇宙飛行士は、船内保管室の構造殻温度を「船内保管室データ
監視装置」(Minimum Keep Alive Monitor: MKAM)の画面上で確認します。
船内保管室を起動した後、室内に搭載したラック内の冷却水が凍結するのを防止
するために、船内保管室の構造殻(シェル)内面には複数のヒータが設置されてい
ます。この構造殻の温度を適正な範囲に維持するため、MKAMによる温度監視
が継続的に行われますが、「きぼう」船内実験室が軌道上に到着するまでは、
MKAMのデータを地上で確認することができません。このため、クルーによる定期
的な温度点検が必要になります。飛行5日目に船内保管室入室前の点検が行わ
れ、飛行13日目(入室約1週間後)からは、1週間に1回の定期点検が行われる予
定です。
STS-123ミッション概要
56
5. フライトスケジュール 14日目
• クルーの休息
• 物資の移送
• ISSクルー/STS-123ミッション
クルー合同記者会見
(集合写真撮影、合同食事会)
ISSドッキング中、スペースシャトルのミッドデッキ
に集まったクルー(STS-120)
• 欧州の植物実験装置ラックの
移送(ISS船内)
• ISS分離に向けた準備作業
ISS(ズヴェズダ)内での食事風景(STS-120)
STS-123ミッション概要
57
5. フライトスケジュール 15日目
• スペースシャトル/ISS間のハッチの閉鎖
• ISSからの分離
• フライアラウンド
ISSから離れていくスペースシャトル(STS-120)
STS-123ミッション概要
58
5. フライトスケジュール 16日目
•
•
•
•
•
飛行システムの点検
船内の片付け
軌道離脱準備
NASA広報イベント
Kuバンドアンテナ収納
STS-123ミッション概要
59
5. フライトスケジュール 17日目
• 軌道離脱準備
• 軌道離脱
• 着陸
スペースシャトルの着陸(STS-120ミッション)
STS-123ミッション概要
60
6. 「きぼう」の運用管制
「きぼう」日本実験棟の運用は、筑波宇宙センター(TKSC)で行われます。
「きぼう」の運用は、TKSCの運用管制チーム(JAXA Flight Control Team: JFCT)
によって、3交代24時間体制で実施されます。JFCTは、4名のフライトディレクタを
はじめとする複数のポジションの運用管制要員から成る総勢50名以上のチームで
す。
STS-123ミッションでJ-Flight(フライト
ディレクタ)を担当する松浦真弓主任
開発員
「きぼう」日本実験棟運用管制室
STS-123ミッション概要
STS-123ミッションでJ-COM(「きぼ
う」との交信担当)を担当するJAXA
の山崎直子宇宙飛行士
61
6. 「きぼう」の運用管制
運用管制チーム(JFCT)には、次の担当部署があります。
J-FLIGHT(J-フライト): フライトディレクタ
CANSEI(カンセイ):
管制・通信・電力系機器担当
FLAT(フラット):
環境・熱制御系機器担当
KIBOTT(キボット):
ロボットアーム・機構系担当
J-PLAN(J-プラン):
実運用計画担当
SENIN(センニン):
システム担当
TSUKUBA GC(ツクバジーシー):地上設備担当
J-COM(J-コム):
交信担当
ARIES(アリーズ):
船内活動支援担当
JEM PAYLOADS(ジェムペイローズ):ペイロード担当
JAXA EVA(ジャクサイーブイエー):船外活動支援
また、JET(ジェット)と呼ばれるJEM技術チームが、運用
管制室のバックルームで「きぼう」の運用をモニタし、JFCT
を技術面でサポートします。「きぼう」の運用に関して問題
が発生した場合、NASAとともに対処にあたることが出来
るよう、 JETの技術者はNASAのミッションコントロールセ
ンターにも配置されています。
STS-123ミッション概要
「きぼう」日本実験棟運用管制室
各飛行管制官の配置図
62
7. ISS第16次長期滞在ミッション中に
行われるJAXAの実験
Cell Wall
微小重力環境下におけるシロイヌナズナの支持組織形成に関わる遺伝子群の逆遺伝学的解析
代表研究者: 西谷和彦(東北大学大学院生命科学研究科)
シロイナズナを宇宙で栽培し、細胞壁のセルロースなどをつくるのに関連する約10種類の遺伝子が、宇宙でどう動くかを調
べる実験です。
Resist Wall
植物の抗重力反応における微小管-原形質膜-細胞壁連絡の役割
代表研究者: 保尊隆享 (大阪市立大学大学院理学研究科)
細胞をその形に保つ役割のある微小管や細胞膜が正常でない突然変異体が、宇宙でどう育つのかを調べる実験です。
1J/A(STS-123ミッション)から1J(STS-124ミッション)にかけて、NASAと欧州宇宙機関(ESA)の協力のもと、
ESAの実験装置を使用した日本のライフサイエンス実験が実施されます。
このふたつの研究課題は平成16年に実施された第5回国際公募において、大型の植物栽培の可能な、欧州宇
宙機関(ESA)のISS植物実験装置(European Modular Cultivation System: EMCS)を利用する研究提案とし
て日本の研究者から応募され、国際・国内評価の結果、選定されたものです。
STS-123ミッション概要
63
8. JAXAオープンラボ共同研究の実証
-船内被服実験-
船内被服実験
JAXAは2004年6月から「宇宙オープンラボ制度」を実施しています。
「宇宙オープンラボ制度」は、“宇宙への参加を容易にする仕組み”を
実現する施策のひとつで、現在25件の共同研究が進行しています。
その中のひとつ、多屋淑子(日本女子大学)をリーダーとする「近未
来宇宙暮らしユニット」が開発した宇宙船内用日常服(船内被服)が、
今回のSTS-123ミッションに搭載され被験されることとなりました。ミッ
ション中、土井宇宙飛行士がこれらを試着して着心地を確認します。
同グループでは、保温・吸湿・吸水・速乾・抗菌・防臭・消臭・制電・防
汚・皮膚への低刺激性(肌触りの良さ)を付与した着心地の良い宇宙
仕様素材、ならびに、難燃性、ソフト性に優れた面ファスナーなど、宇
宙船内での安全性要求を満たす素材の開発に取り組んでいます。
STS-123ミッション概要
64
9. 「きぼう」の教育・文化利用
宇宙連詩
平成18年度に編纂した宇宙連詩を収録したDVDディスクを、「きぼう」船内保管室に収納
して軌道上に打上げ、保管する。ミッション中、土井宇宙飛行士が、宇宙連詩DVDディスク
を取り出し、船内で記念撮影する。(打上・保管を証明する写真)です。
今回、打上げ・保管する宇宙連詩DVDディスクには、平成18年度にJAXAが編纂した宇宙連詩と全ての応募作品
(大岡信さんの監修のもと、山崎宇宙飛行士、谷川俊太郎などの文化人、詩人からの寄稿と、一般からの公募作選
定を組み合わせて編纂)と、連携先の地域プラネタリウム(山梨県立科学館、福島市子供の夢を育む施設「こむこむ」、
京都府加茂町プラネタリウム)が編纂した地域の宇宙連詩が収録されています。
「宇宙と生命」を学ぶ教育ミッション
サンプルリターンミッション-Life in the universe-
サンプル(アサガオ、ミヤコグサの種子、ミジンコ休眠卵等)を「きぼう」船内保管室
に保管(約半年間を予定)した後、地上に回収し、健全性を確認したサンプルを、希
望する学校・科学館等に配布し、理科教育に利用していただくものです。
STS-123ミッション概要
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Backup Charts
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ISSの組立要素
「きぼう」日本実験棟の構成要素
「きぼう」の打上げスケジュール
「きぼう」の運用全体図
ISSからスペースシャトルへの電力供給装置(SSPTS)
スペースシャトルの安全対策
略語集
STS-123ミッション概要
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ISSの組立要素
(2007年1月発表)
STS-123ミッション概要
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「きぼう」の構成要素
「きぼう」は次の5つの要素から
構成されます。
1)船内実験室
2)船外実験プラットフォーム
3)船内保管室
4)船外パレット
5)ロボットアーム
„ 船内実験室は、実際に宇宙飛行士が滞在し、実験および「きぼう」全体のコントロールを行う与圧モジュー
ルです。
„ 船外実験プラットフォームは、ISS船外の宇宙曝露環境を利用して、科学観測、地球観測、通信、理工学実
験および材料実験などを実施することができる多目的実験スペースで、ISS船外に設置されます。
„ 船内保管室は、打上げ時には実験ラックなどを運ぶためのコンテナとして使用され、軌道上では主に保管
庫として使用される与圧モジュールです。
„ 船外パレットは、船外実験装置や船外実験プラットフォームのシステム機器などを搭載するISS船外に設置
される保管スペースです。
„ 「きぼう」のロボットアームは、「きぼう」での実験、保全作業支援に使用する宇宙での実用ロボットです。
STS-123ミッション概要
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「きぼう」の打上げスケジュール
平成19年度
土井隆雄
STS-120
(10A)
STS-122 STS-123
(1E)
(1J/A)
3月11日以降
船内保管室
平成20年度
星出彰彦
STS-124
(1J)
5月25日以降
若田光一
STS-126
(ULF2)
船内実験室、ロボットアーム
STS-119
(15A)
12月4日以降
STS-127
(2J/A)
船外実験プラットフォーム
船外パレット
※打上げ日は予定です
STS-123ミッション概要
69
「きぼう」の打上げスケジュール(続き)
「きぼう」の構成要素の打上げ順番
ー 船内保管室が第1便で運ばれる理由 ー
「きぼう」日本実験棟の中心的モジュールである船内実験室には、「きぼう」の
運用に必要なシステム(電気、データ通信、熱制御、環境制御など)や実験装
置が搭載されます。宇宙飛行士による「きぼう」の運用(実験を含む)も、船内
実験室から行われます。
船内実験室がISSに運ばれ、軌道上で設置、起動、初期運用が実施される際
は、運用に必要なシステムラックや実験ラックがすべて船内実験室に設置され
ている必要があります。しかしスペースシャトルの搭載重量制限から、船内実
験室にすべてのシステムラック・実験ラックを搭載して打上げることはできませ
ん。そのため、運びきれないラックを、先に船内保管室に搭載して軌道上に運
んでおくことになりました。
STS-123ミッション概要
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「きぼう」の運用全体図
NASAデータ追跡衛星
日本データ中継技術衛星
ISS/「きぼう」
宇宙ステーション補給機
ホワイトサンズ地上局
(ニューメキシコ州)
種子島宇宙センター
DRTS地上局
筑波宇宙センター
運用管制システム
ケネディー宇宙センター
(フロリダ州)
システム運用
計画立案
MCC-H
保全補給
運用ネットワーク
ジョンソン宇宙センター
(テキサス州)
運用管制室
実験運用
運用訓練
運用技術支援
POIC
※イメージ
ユーザ運用エリア
国内利用者
宇宙ステーション総合推進センター(SSIPC)
マーシャル宇宙飛行センター
(アラバマ州)
0
STS-123ミッション概要
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ISSからスペースシャトルへの電力供給装置
(SSPTS)
ISS/シャトル電力供給装置(Station-Shuttle Power Transfer System: SSPTS)
“スピッツ” は、スペースシャトルがISSにドッキングしている間、ISSの太陽電池パ
ネル(Solar Array Wing: SAW)で発電した電力をスペースシャトル側に供給するた
めの装置です。
従来は、シャトルの燃料電池として使う酸素と水素の
量に制限があったため、8日間しかISSにドッキング
できませんでしたが、ISSから最大8kWの電力供給
を受けることにより、 ドッキング期間を3~4日間延長
カーゴベイの下に新たに装備された2基の電力供給
し、最大12日間まで延ばせるようになりました。これ
ユニット(Power Transfer Unit: PTU)
により、組立作業や、ISSでの実験運用を強化できる
ようになりました。
SSPTSの電力系統概要
SSPTSはSTS-118ミッション(2007年8月)でスペー
スシャトル「エンデバー号」に初装備されました。
SSPTSは、STS-122ミッションを除くと、今後すべて
のISSフライトで使用されます。
STS-123ミッション概要
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スペースシャトルの安全対策
断熱材の落下防止対策
• 外部燃料タンク(ET)のPAL(Protuberance Airload)ランプの除去
→STS-121ミッション(2006年7月)から実施
液体酸素タンク
PALランプ
液体水素タンクPALランプ
ice/frostランプ
(全部で34個)
→改良中
PALランプ除去後
※液体酸素供給配管のブラケットの改良は2008年4月のSTS-124の打上げを目標に開発が行われてい
ます。断熱材を必要としない熱伝導性の低いチタン製のものと交換予定。
STS-123ミッション概要
73
スペースシャトルの安全対策
打上げ・上昇時の状態監視
レーダ、地上追尾カメラにより打上げ・上昇時の様子を観測。
SRBカメラ
固体ロケットブースタ
(SRB)回収船に搭載さ
れたレーダ
ET取付け
カメラ
SRB取付け
カメラ(計6台)
長距離用
追尾カメラ
SRBカメラ
オービタ搭載カメラで
分離後のETを撮影
クルーが手持ちカメラ
で分離後のETを撮影
機体に搭載した、外部燃料タンク(ET)カメラ、
固体ロケットブースタ(SRB)カメラによって撮影。
STS-123ミッション概要
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スペースシャトルの安全対策
OBBSを使用したRCCの損傷点検
ロボットアーム
OBSS
OBSS
スペースシャトルのロボットアーム
OBSS
OBSS
STS-123ミッション概要
センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)
は、軌道上でスペースシャトルの強化
炭素複合材(Reinforced Carbon
Carbon: RCC)パネルの破損の有無を
点検したり、損傷箇所を詳しく検査する
ために開発されました。
スペースシャトル「コロンビア号」の事故
を受けて、NASAは以後の全てのス
ペースシャトルにロボットアームの搭載
を義務づけることになりましたが、ス
ペースシャトルのロボットアーム
(SRMS)だけでは届く範囲が一部に限
られます。このため、新たにOBSSが開
発されました。OBSSはSRMSを基に
開発されましたが、関節はないため曲
げることは出来ません。
75
スペースシャトルの安全対策
センサ付き検査用延長ブーム
(OBSS)
OBSSの仕様
項目
全長
50フィート(約15m)
重量
全重量: 835ポンド(約379Kg)
ブームとセンサ: 480ポンド(約218Kg)
関節
無し
セ テレビカメラ
ン
レーザセンサ
サ
ITVC(Integrated TV Camera)
ITVC
検査時間
ロボットアーム
で把持するグラプ
ル・フィクスチャ
LDRI(Laser Dynamic Range Imager)
LCS(Laser Camera System)
デジタルカメラ IDC(Integrated Sensor Inspection System Digital
Camera)
LCS
ロボットアーム
で把持するグラッ
プル・フィクスチャ
仕様
翼前縁のRCC及びノーズキャップの検査に約7時
間(移動速度4m/min)
LDRI
STS-121ミッションから
LCSにデジタルカメラ1台
を追加。翼前縁の検査時
には高解像度で撮影を行
います。
先端のセンサ部
OBSSの主要構成
スペースシャトルに搭載作業中のOBSS
STS-123ミッション概要
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スペースシャトルの安全対策
OBSS搭載レーザの主要緒元
レーザ能力
(1) LDRI (Laser Dynamic Range Imager)
雲台(Pan/Tilt Unit)上に設置
(2) LCS (Laser Camera System)
レーザ 分解能 最大測定距離
LDRI
6.2mm
2.3m
LCS
6.2mm
3.3m
(雲台)
STS-121ミッションで取得された画像(右側の拡大部)
ROIは、「気になる部分」という意味。全体の写真は地上で撮影したもの
STS-123ミッション概要
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スペースシャトルの安全対策
ランデブ・ピッチ・マヌーバ
ISSからのスペースシャトルの熱防護システム
の撮影
約120m
(400フィート)
ISS
ISSの飛行方向
約180m
(600フィート)
ランデブ・ピッチ・マヌーバ(STS-114ミッション)
地球
撮影箇所
STS-123ミッション概要
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略語集
ACBM
Active Common Berthing Mechanism
アクティブ側共通結合機構(CBM)
AL
Airlock
エアロック
ARIES
Astronaut Related IVA and Equipment Support
アリーズ(「きぼう」管制チーム)
ASI
Agenzia Spaziale Italiana
イタリア宇宙機関
CANSEI
Control and Network Systems, Electrical Power and ICS
Communication Officer
カンセイ(「きぼう」管制チーム)
CAPE
Canister for All Payload Ejections
ペイロード放出キャニスター
CBM
Common Berthing Mechanism
共通結合機構
CSA
Canadian Space Agency
カナダ宇宙庁
CIPAA
Cure In Place Ablator Applicator
タイル補修材充填装置
CLPA
Camera Light Pan/Tilt Unit Assembly
カメラ/照明/雲台装置
DCSU
Direct Current Switching Unit
直流切替ユニット
DDCU
DC-DC Converter Unit
直流変圧器
DMS1RACK
Data Management System Rack 1
情報管制ラック1
DTO
Development Test Objective
開発試験対象
EF
External Facility (JEM)
「きぼう」船外実験プラットフォーム
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
ELM-PS
Experiment Logistics Module-Pressurized Section
「きぼう」船内保管室
ELM-ES
Experiment Logistics Module-Exposed Section
「きぼう」船外パレット
EMU
Extravehicular Mobility Unit
船外活動ユニット(米国の宇宙服)
EPS1RACK
Electrical Power System Rack 1
電力ラック1
ESA
European Space Agency
欧州宇宙機関
ESP-2
External Stowage Platform-2
船外保管プラットフォーム
ET
External Tank
外部燃料タンク
EV
Extravehicular
船外クルー
EVA
Extravehicular Activity
船外活動
FD
Flight Day X
飛行X日目
FLAT
Fluid and Thermal Officer
フラット(「きぼう」管制チーム)
HR
Hand Rail
ハンドレール
HTV
H-II Transfer Vehicle
宇宙ステーション補給機
ICE/FROST LAMP
Ice Frost Lamp
アイス・フロスト・ランプ
IDC
Intergrated Sensor Inspection System Digital Camera
OBSSのデジタルカメラ
ICS
Inter-Orbit Communication System
衛星間通信システム
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
ISPR
International Standard Payload Rack
国際標準ペイロードラック
ISS
International Space Station
国際宇宙ステーション
ISS EXPEDITION
International Space Statioin Expedition
ISS長期滞在
ITVC
Intergrated TV Camera
OBSS先端のTVカメラ
JAXA
Japan Aerospace Exploration Agency
宇宙航空研究開発機構
J-COM
JAXA Communicator
J-コム(「きぼう」管制チーム)
JEM
Japanese Experiment Module
「きぼう」日本実験棟
JEM PAYLOADS
JEM Payload Officer
ジェムペイローズ(「きぼう」管制チーム)
JEMRMS
Japanese Experiment Module Remote Manipulator System
「きぼう」のロボットアーム
JEMRMS Rack
JEM Remote Manipulator System Rack
「きぼう」のロボットアーム制御ラック
JFCT
JAXA Flight Contol Team
「きぼう」管制チーム
J-FLIGHT
JAXA Flight Director
J-フライト(「きぼう」管制チーム)
J-PLAN
JAXA Planner
J-プラン(「きぼう」管制チーム)
JRSR
JEM Replaceable Stowage Rack
保管ラック
JSC
NASA Johnson Space Center
NASAジョンソン宇宙センター
KCS
NASA Kennedy Space Center
NASAケネディ宇宙センター
KIBOTT
Kibo Robotics Team
キボット(「きぼう」管制チーム)
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
LCS
Laser Camera System
OBSS先端のレーザーセンサ
LDRI
Laser Dynamic Range Imager
OBSS先端のレーザーセンサ
LEE
Latching End Effector
ラッチング・エンド・エフェクタ
LTA
Launch to Activation
打上げから起動までの間
LWAPA
Lightweight Adapter Plate Assembly
軽量取付け台(MISSE-6用)
MLI
Multi Layer Insulation
多層断熱剤
MLM
Multipurpose Laboratory Module
(ロシア)多目的研究モジュール
MPLM
Multi-Purpose Logistics Module
多目的補給モジュール
MS
Mission Specialist
搭乗運用技術者
MSS
Mobile Servicing System
モービル・サービシング・システム
MSG
Microgravity Science Glovebox
微小重力研究グローブボックス
MISSE-6
Materials ISS Experiment-6
材料曝露実験装置6
MT
Mobile Transporter
モービル・トランスポーター
NASA
National Aeronautics and Space Administration
アメリカ航空宇宙局
NOSE CAP
Nose Cap
ノーズキャップ(オービタ前方のRCC部分)
OBSS
Obiter Boom Sensor System
センサ付き検査用延長ブーム
ODS
Orbiter Docking System
オービタ・ドッキング・システム
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
ORU
Orbital Replacement Unit
曝露軌道上交換ユニット
OTCM
Orbital Replacment Unit/Tool Changeout Mechanism
軌道上工具取替え機構
OTP
ORU Temporary Platform
軌道上交換ユニット仮置き場所
PALランプ
Protuberance Airload Lamp
外部燃料タンク(ET)突起部の空力負荷ランプ
PAO
Public Affair Office
広報(広報イベント)
PAYLOAD BAY
Payload Bay
スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)
PCBM
Passive Common Berthing Mechanism
パッシブ側共通結合機構(CBM)
PDGF
Power and Data Grapple Fixture
電力・通信インタフェース付グラプル・フィクスチャ
PM
Pressurized Module (JEM)
「きぼう」船内実験室
PMA2
Pressurized Mating Adapter-2
与圧結合アダプター2
PTU
Power Transfer Unit
(シャトルのSSPTS用)電力分配装置
PTU
Pan/Tilt Unit
(カメラの)雲台
RCC
Reinforced Carbon-Carbon
強化炭素複合材
RIGEX
Rigidizable Inflatable Get-Away-Special Experiment
膨張硬化構造物実験装置
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
RM
Research Module
(ロシア)研究モジュール
ROI
Region Of Interest
関心領域(気になる部分)
RPCM
Remote Power Controller Module
電力遮断装置
RPM
Rendezvous Pitch Maneuver
ランデブー・ピッチ・マヌーバ
SAW
Solar Array Wing
太陽電池パドル
SENIN
System Element Investigation and Integration Officer
センニン(「きぼう」管制チーム)
SLA
Super Lightweight Ablator
超軽量アブレータ
SLF
Shuttle Landing Facility
スペースシャトル着陸施設
SLP-D1
Spacelab Pallet-Deployable1
取外し可能型スペースラブパレット1
SPDA
Secondary Power Distribution Assemblies
二次電力分配装置
SPDM
Special Purpose Dexterous Manipulator
デクスター
SRB
Solid Rocket Booster
固体ロケットブースター
SRMS
Shuttle Remote Manipulator System
シャトルのロボットアーム
SSPTS
Station-to-Shuttle Power Transfer System
「スピッツ」(電力供給装置)
SSRMS
Space Station Remote Manipulator System
ISSのロボットアーム(SSRMS)
STA-54
STA-54
アブレータ(溶融材)
STS-123ミッション概要
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略語集(続き)
THA
Tool Holder Assembly
(デクスターの)工具取付け場所
TKSC
Tsukuba Space Center
筑波宇宙センター
TSUKUBA GC
Tsukuba Ground Controller
ツクバジーシー(「きぼう」管制チーム)
TPS
Thermal Protection System
熱防護システム
T-RAD
Tile Repair Ablator Dispenser
タイル修理用耐熱材充填装置
TRK
Tile Repair Kit
タイル修復キット
WLE
Wing Leading Edge
翼前縁(オービタの翼のRCC部分)
WS RACK
Work Station Rack
ワークステーションラック
STS-123ミッション概要
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Fly UP