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医療観察法病棟でのPSWの仕事
医療観察法病棟でのPSWの仕事 ~PSWが心がけていること~ 平成27年6月3日 独立行政法人 国立病院機構 榊原病院 福澤 咲子 1 話の流れ 1.医療観察法について 2.事例 3.事例の中で心がけたこと 4. PSWとして大切に思うこと 2 3.事例の中で心がけたこと 急性期…病状安定 ① 薬物療法開始 ② スタッフとの関係づくり、安心・安全な治療環境の提供 ③ 治療プログラム実施 経過 ・薬物療法と、スタッフとの信頼関係構築が進むにつれ、妄想等が軽減し 病状が安定してきた。 ・対象者の生活歴や知的能力に合ったプログラムの提供により、意欲や 自己効力感が向上してきた。 対象者のエンパワメントを引き出すには、対象者に合った 課題を見つけること。 3 対象者のエンパワメントを引き出すには、対象者に合った 課題を見つけること。 その具体例として… ・図書委員として、図書の管理やPCでの貸し出し簿づくりに参加。 ・「ブログがしたい」という対象者の希望は叶えられないが、その代替え として、壁新聞制作のリーダーに任命。 4 3.事例の中で心がけたこと 回復期・社会復帰期…再多害行為防止・社会復帰 ① 再犯防止へのアプローチ:医師と臨床心理士が、対象行為の振返りと 内省の深化を図り、看護師、作業療法士、精神保健福祉士は、側面的 支援を行う。(アタッカーとレシーバー) 経過 ・アタッカー役とレシーバー役がうまく機能したことで、対象者が「対象 行為と病気との関係」への理解を徐々に深めていった。 対象者の思いの受けとめや感情の緩和に努めながら、 状況を咀嚼し補足説明すること。 5 対象者の思いの受けとめや感情の緩和に努めながら、 状況を咀嚼し補足説明すること。 その具体例として… 臨床心理士(アタッカー)との面接で対象行為について振り返りを行った後の対象者とPSW(レシーバー)との 面接場面 対象者: 「あ~、あいつ本当ムカつく。」 P S W : 「そうでしたか。ムカついたんですね。そういえば、昨日お母さんが面会に来られてましたね。」 対象者: 「うん。カップラーメンとかいろいろ持ってきてくれた。」 P S W : 「どんなカップラーメンでした?あぁ、この前好きって言われてた銘柄のですね。」 対象者: 表情が和らぎ、好きなカップラーメンの話をされる。 P S W : 「気分の切り替えが上手くなりましたね。A心理士が、そういう話を出されたのは、あなたが退院に 向けての準備段階にステップアップされたからですね。」 対象者: 「そうなんかな。」と、落ち着いた口調で話す。 6 回復期・社会復帰期…再多害行為防止・社会復帰 ② 社会復帰に向け、早期に退院後の居住地を選定する。 ③ 実母と同居ができない現実に対し、対象者の直面化を図る。 経過 ・障害年金や精神保健福祉手帳などの福祉サービスについて、具体的に 情報提供したことにより、生活・経済面に対する対象者の不安が軽減した。 ・施設のパンフレット等の資料提供や見学などで、施設に対するイメージ化 が図れ、「実母と同居」以外の選択肢を受け入れることができてきた。 具体的な提案が不安を軽減する。 7 回復期・社会復帰期…再多害行為防止・社会復帰 ④ 家族支援 経過 ・家族心理教室、疾患教育、各種会議に参加したことで、実母は、「相談できる ところがあるとわかり、少し安心した。」と話された。 ・「同居はできないが、今後はできる範囲で経済的支援等、協力していきたい。」 との意向であった。 家族には、「できること」をお願いすることで協力を 得る。 8 回復期・社会復帰期…再多害行為防止・社会復帰 ⑤ 社会復帰調整官を通じて早期から地域調整を行い、退院調整を進める。 経過 ・受け入れに際して、施設や地域から発生した疑問や課題に対して迅速に フィードバックを行い、不安軽減に努めたことで受け入れが決定した。 ・施設定着を図るためのロールプレイを行い、対象者の自信につなげた。 対象者、地域共に1つでもお得感のある提案をする。 <お得感の例> 対象者:食事が提供してもらえる。 施 設:施設だけで対象者を支援するのではなく、社会復帰調整官や各関係 機関のサポートを受けられる。 9 4.PSWが大切に思うこと 個人プレーではなく、常にチームの一員としての 自分の役割を意識する。 多角的な視点が、 支援の幅の広がり へ 情報の共有により、 抱え込みの危険を 防ぐ 互いの専門性発揮 と尊重により、信 頼関係の構築 10 4.PSWが大切に思うこと チーム内で すぐコミュニケーションが取れる環境、 関係作り。 個々の気付き能力 とチームによる 迅速な対応力に より、問題解決へ 雑談の中での ひらめきが支援の 糸口に 11 4.PSWが大切に思うこと スタッフが心身共に健康であることで、 対象者に、より良い治療を提供できる。 愚痴の受けとめ 合いから、建設的 な意見交換へ 辛さは1/6、達成 感は6倍以上 時間外での楽しさ の共有 12 ありがとうございました。 13