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Title 環境インピーダンス制御型単電子トランジスタ
Title Author(s) Citation Issue Date 環境インピーダンス制御型単電子トランジスタ 若家, 冨士男; 蒲生, 健次 大阪大学低温センターだより. 106 P.1-P.7 1999-04 Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/11094/9485 DOI Rights Osaka University 研 究 ノー ト 環 境 イ ン ピ ー ダ ン ス 制 御 型 単 電 子 トラ ン ジ ス タ 1は じめ に 微 小 トソ ネ ル 接 合 に お い て 、 電 子 一 つ が トンネ ル す る と きの チ ャ ー ジ ン グ エ ネ ル ギ ー の た め に 、 トン ネ ル が 禁 止 され る 現 象 は ク ー ロ ソ プ ロ ッケ ー ドと呼 ば れ 、 近 年 注 目 を 集 め て い る[1コ 。 ク ー ロ ン プ ロ ッケ ー ドを利 用 し て 電 子 を 一 つ ず つ 伝 導 させ る単 電 子 ト ラ ソ ジ ス タ や 、 単 電 子 メ モ リー な ど は 、 現 在 の 半 導 体 集 積 回 路 の 集 積 度 が 更 に 向 上 して い っ た 時 の 、 究 極 の 微 細 デ バ イ ス と して も期 待 さ れ て い る 。 ク ー ロ ソ プ ロ ッ ケ ー ドは 環 境 イ ン ピ ー ダ ン ス と呼 ば れ る外 部 イ ン ピ ー ダ ン ス の 影 響 を強 く受 け る陰]'[3]。 我 々 は 、 そ の こ と を 利 用 して 単 電 子 トラ ン ジ ス タの 特 性 を 制 御 で き る 事 を数 値 計 算 と実 験 で 示 した の で 、 本 稿 で は そ れ らの 結 果 を 簡 単 に紹 介 す る 。 セ ク シ ョ ン3と4で す る が 、 そ の 前 に 、 セ ク シ ョソ2で そ れ ぞ れ 数 値 計 算 結 果 と実 験 結 果 を 紹 介 ク ー ロ ン プ ロ ッケ ー ドと環 境 イ ソ ピー ダ ン ス に つ い て 、 非 常 に 簡 単 な 説 明 を 行 って み た 。 この 分 野 に 詳 し い 方 は この セ ク シ ョ ソ を 読 み 飛 ば して い た だ け る と幸 い で あ る。 2微 小 トン ネ ル 接 合 に お け る ク ー ロ ン プ ロ ッ ケ ー ド 図1(a)に トソ ネ ル 接 合 の 模 式 図 を 示 す 。 ま ず は 、 微 小 で な い トソネ ル 接 合 に つ い て 考 え る。 トン ネ ル 接 合 とは 、 非 常 に薄 い絶 縁 体 を 金 属 か ま た は 半 導 体 の よ う な導 電 的 な部 分 で サ ソ ドイ ッチ に し た構 造 を して い る 。 も し、 絶 縁 体 が 厚 い た め に 電 子 が トソ ネ ル す る こ とが で き な け れ ば 、 こ の 構 造 は 単 な る平 行 平 板 コ ソ デ ン サ で あ り、 そ の キ ャパ シ タ ン ス は εS/4(ε,S,4は 間 距 離)と そ れぞれ 誘 電率 、電 極 の面積 、電 極 な る は ず で あ る。 い ま 、 絶 縁 体 が 非 常 に 薄 い た め に 、 電 極 間 を 電 子 が トン ネ ル で き る よ う な 場 合 を 考 え る と 、 こ の 構 造 は電 極 間 に電 流 の もれ が あ る コ ソ デ ソサ とい う こ と に な る。 正 確 な議 論 で は 、 トソ ネ ル 接 合 の 電 流 一 電 圧(1一 の 特 性 は 非 線 形 と な る が 、 バ イ ァ ス 電 圧 が 小 さい 時 に は ほ ぼ 線 形 と み な す 事 が で き る。 す な わ ち 、 トン ネ ル 接 合 の1-y特 性 は 図1(c)の よ うに な る の で あ る。 こ の1一 γ特 性 の 傾 き が トンネ ル 抵 抗 島 で あ る。 トン ネ ル キ ャ パ シ タ ン スα が 大 き い と き に は 、 トンネ ル 接 合 の1一 レ特 性 は 上 述 の よ う に な る の だ が 、 以 下 に述 べ る よ う に 、Orが 小 さ くな っ て く る と 、 ク ー ロ ン プ ロ ッ ケ ー ドの た め に1-y特 つ ま り、 微 小 トン ネ ル 接 合 は もは や 図1(b)の ネ ル 接 合 を 表 現 す るた め に 、 図2(a)の 性 が 変 化 す る。 等 価 回 路 で は 正 確 に は表 現 で き な い の で あ る 。 微 小 トン よ うな 記 号 が よ く使 わ れ る。 一1一 金属 あるいは半導体 絶縁体 ' RT /汐.題/ / '=v/時 v EF CT TF (b) (a) 図1ト (c) ン ネ ル 接 合 の(a)摸 式 図 と エ ネ ル ギ ー ダ イ ヤ グ ラ ム 、(b)等 価 回 路 、(c)電 流 電 圧 特 性 +Q-Q さ て 、 微 小 トン ネ ル 接 合 に 電 圧 を か け て 、 電 荷9 が た ま っ て い る と す る 。 この 時 の 様 子 を 表 した の が 、 図2(b)の 上 側 で あ る。 この 時 、 接 合 に か か って い る 電 圧 はy=9/Crで 瓦=92/(2CT)で あ り、 接 合 の 静 電 エ ネ ル ギ ー は あ る 。 こ の 状 態 か ら電 子(電 子 の 電 荷 を 一6と す る)が ひ と つ 電 極 間 を トン ネ ル した と す る と 、 電 極 の 電 荷 は 図2(b)の モ +Q-e-Q+e 下 側 の 図 の よ うな 状 (b) (a) あ る。 した が っ て 、 トン ネ ル の 前 後 での エネ ル ギーの変 化 は 電 子 が ひ とっ トンネル す る と CT 態 に な る。 こ の 時 の 接 合 の 静 電 エ ネ ル ギ ー は 最= (Q-6)2/(2CT)で o 図2(a)微 小 トソ ネ ル 接 合 を 表 す た め の 記 号 (b)ク ー ロ ソ ブ ッ ケ ー ドを 説 明 す る た め の ・E≡易+舌(号 一9)一2碁 と な る。 最 後 の 式 の 変 形 でQ=OTγ 図 。 微 小 トソ ネ ル 接 合 を 電 子 一 つ が トソ ネ 丁一〃(1) ル す る前 後 の 電 荷 の 様 子 を 表 して い る。 の 関 係 を 使 っ た 。 こ こ で 現 れ た62/(2(の と 呼 び 、 ま た 、 こ こ で 導 い た △Eが △E>0の ロ ッ ケ ー ドで あ る。 す な わ ち 、 式(1)よ を チ ャー ジ ソ グ エ ネ ル ギ ー 時 に は そ の トソ ネ ル が 禁 止 さ れ る と い うの が クー ロ ソ プ りy<θ/(2CT)で は 、 トン ネ ル が 禁 止 さ れ る の で あ る。 以 上 が 、 よ くあ る ク ー ロ ソ プ ロ ッ ケ ー ドの 解 説 で あ る。 この 解 説 を そ の ま ま 信 用 す る と 図3(a)の うな 回 路 の ∫一y特 性 は 図4の が 含 ま れ て お り、 図3(a)の よ う に な る は ず で あ る。 し か し実 際 に は 、 上 述 の 説 明 に は 不 正 確 な 部 分 ∫一y特 性 は 図4の よ うに は な ら な い の で あ る。 上 の 解 説 で 抜 け 落 ち て い た の が 環 境 イ ソ ピー ダ ン スの 効 果 で あ る。 で は 、 上 の 解 説 で ど の 部 分 が 不 正 確 だ っ た の だ ろ う か?ひ に は 、 図2(b)の よ トソ ネ ル 前 後 の 電 荷 の 様 子 の 部 分 で あ る 。 図3(a)の とつ よ う に定 電 圧 で バ イ ア ス さ れ て い る と 、 電 子 が トソ ネ ル して も、 電 源 か ら電 荷 が 供 給 さ れ る の で 、 電 極 の 電 荷 はQか らQ一 θに は な ら な い の で あ る。 ま た も う ひ と つ は 、 電 極 電 荷(2は 平 均 値 の 回 り に揺 ら ぎ を持 っ て お り、 そ の 揺 ら ぎ の 大 ぎ さ が θよ り も大 き く な る と 式(1)を 導 い た時 の議 論 は 意 味 が 無 くな るの で あ る。 以 上 の 理 由で 、 一2一 図3(a)の 回 路 で は 、 微 小 トンネ ル 接 合 で あ る に も か か わ らず 、 ク ー ロ ソ プ ロ ッケ ー ドが効 か な く な り・ 、 そ の ∫一7特 性 は 、 微 小 で な い トソ ネ ル 接 合 の 時 と 同 じ に な り、 や は り図1(c)の よ うにな るので あ る。 RR → ' → ' CT CT V ) b I ( V (a) 図3(a)微 Renv 小 トン ネ ル 接 合 に 電 圧 源 を つ な い だ 回 路 。(b)微 小 トンネ ル 接 合 に 高 環 境 イ ソ ピ ー ダ ソ ス 下 で電圧 源 に つな いだ 回路。 そ れ で は 、 ク ー ロ ソ プ ロ ッ ケ ー ドを実 際 に 観 測 す る に は ど うす れ ば い い の で あ ろ う か?図3(b)の よ うに、抵 抗瓦。 。を入 れ て 、 高 イ ソ ピ ー ダ ン ス 環 境 に す れ ば よ い 。 直 感 的 に は 、 こ の1ヒ 。n.の ため に、電 源 か ら の 電 荷 の補 充 が 遅 くな り、 トン ネ ル 前 後 の 電 極 電 荷 の 議 論 が 図2(b)の 図4の よ うに な るの で あ る。 も う一 度 繰 り返 す と、(単 一 の)微 よ う に な り、1一 γ特 性 が 小 トン ネ ル 接 合 で は 、 高 環 境 イ ン ピー ダ ソ スで な い と 、 ク ー ロ ソ プ ロ ッケ ー ドは起 き な い の で あ る 。 32重 トン ネ ル 接 合 に お け る環 境 イ ン ピ ー ダ ン ス の 効 果 の 数 値 計 算 前節 で は、単一の微 小 トンネル接合 について述 べたが、実 際に クー ロンプ ロ ッケー ドを利用 した デバ イス は、 ほ とん どの場 合2重(ま た は そ れ 以 上)の トン ネ ル 接 合 に な って い る。2重 ' トン ネ ル 接 合 で は 、 低 環 境 イ ソ ピ ー ダ ソ ス で も クー ロ ソ プ ロ ッ ケ ー ドが 起 こ る か ら で あ る。 しか し、 以 下 に 述 べ る よ うに 、2重 トン ネ ル 接 合 の 場 合 で も 、 環 境 イ ン ピー ダ ソ ス が デ バ イ ス の 伝 導 特 性 に 大 き な 影 響 を与 え る こ と に 変 わ りは な い 。 こ の節 で は 、2重 \v e1(2CT) トンネ ル 接 合 の 伝 導 特 性 に 、 環 境 イ ソ ピ ー ダ ソ ス が 与 え る影 響 に つ い て 数 値 計 算 を も と に 議 論 す る。 図4微 単 電 子 トソネ ル に お け る環 境 イ ン ピー ダ ン ス の 効 果 に つ い て の理 論 的 な 研 究 は 文 献(2)や(3)が 小 トソネル接 合 の電流 一 電 圧特 性 有 名 で あ る。 これ らの 文 献 で は 、 単 一 トン ネ ル 接 合 を 扱 っ て い る。2重 ト ソ ネ ル 接 合 に お い て 環 境 イ ン ピー ダ ン ス の 効 果 を 自 己 無 撞 着 な理 論 で 扱 っ た の は 文 献(4)で あ る。 本 稿 で の 理 論 計 算 も基 本 的 に は こ の 文 献 の 方 法 に 従 っ て い る。 しか し、 この 文 献 で は イ ン ダ ク タ ン ス の み か 一3一 ら構 成 さ れ て い る環 境 イ ン ピー ダ ンス を 仮 定 して お り、 実 験 とは 比 較 しに くい。 そ こ で 、 我 々 は任 意 の 環 境 イ ン ピー ダ ソ ス を 扱 え る よ う に理 論 を 拡 張 した[5コ ・[ε コ 。 図5は 抵 抗1覧.、 キ ャパ シ タ ン スC㎝.、 イ ソ ダ ク タ ソ スL。。.から な る環 境 イ ソ ピ」 ダ ソ ス が接 続 され た2重 る 。2つ 藷[、 トソ ネ ル 接 合 の 模 式 図 で あ の トソ ネ ル 障 壁 に 囲 ま れ た 部 分 は ア イ ラ ン ドと 呼 ば れ 、 ア イ ラ ソ ドの 電 荷 は σ= 岬) ' → 番 目の トソ ネ ル 接 合 の トソ ネ ル 抵 抗 と キ ャパ 幡 ラ C1 α 一9、で あ る 。 図 中 の 」 贈。とGは そ れ ぞ れ 、' シ タ ン ス で あ る 。 ま た 、Qは %犀 +Ql/' 一Q~+ Leηv 目 の トソ ネ Ceηy ル 接 合 に 蓄 え ら れ て い る電 荷 で あ る。 Reηv 一 般 に 環 境 イ ン ピー ダ ソ ス が 高 くな る と 電 v 荷 の 揺 ら ぎ が 抑 え られ る こ と が 知 ら れ て い る。 従 って 、単 一 トソ ネル 接 合 で は、 環 境 イ ン ピー ダ ソ ス が 小 さ い 時 に は 電 荷 の 揺 ら ぎ が 大 きす 図5任 意 の環 境 イ ソ ピ ー ダ ソ ス を も った2重 トソ ネ ル接 合 の 摸 式 図 ぎ て ク ー ロ ン ブ 自 ッケ ー ドは 起 こ ら な い 。 し か し、2重 トン ネ ル 接 合 で は 、 ア イ ラ ン ドは 高 抵 抗 の トソ ネ ル 障 壁 に 囲 ま れ て い る の で 、 ア イ ラ ソ ドの 電 荷 σ=Q2-Q、 の 揺 ら ぎ は 環 境 イ ソ ピー ダ ン ス が 低 くて も、 十 分 小 さ くで き る 。 従 っ て 、2重 トソ ネ ル 接 合 で は 、環 境 イ ソ ピー ダ ン ス が 低 い 時 に も ク ー.ロン プ ロ ッケ ー ドが起 こ り得 る。 し か し、 環 境 イ ソ ピー ダ ソ ス がQ、や α の 揺 ら ぎ の大 き さ を 規 定 し て い る こ と に 変 わ りは 無 く、 以 下 に 述 べ る よ う に 、 こ の 回 路 の 電 流 電 圧 特 性 は 環 境 イ ソ ピ.一ダ ソ ス に依 存 す る の で あ る 。 まず 、 図5の 回 路 を 流 れ る電 流1を 理 論 的 に 計 算 した 結 果 に つ い て 紹 介 す る。 電 荷Qの 揺 ら ぎ は イ ソ ダ ク タ ン スム 。 。の つ くる磁 束 に 対 応 す る変 数 ψ`との 交 換 関 係[◎,ψ`〕=i充 で 、i≡ を 使 っ て 導 入 され る[4コ 。 ここ 》=了 で あ る。 計 算 の 詳 細 は 文 献 〔 鯛 に譲 る こ と に して 、 数 値 計 算 の 結 果 を 図6に 示 す 。 こ こ で は 、 簡 単 の た め 、C㎝。=0と (た だ しCΣ≡Cユ十C2)は C、/C,=10、 し た 。 温 度 に つ い て は 、 σ/鳶BT=25を ア イ ラ ソ ドの チ ャ ー ジ ン グ エ ネ ル ギ ー で あ る 。 トソ ネ ル 接 合 の パ ラ メー タ は 、 砕)/1~、=1000,R望)/凡=10を .を 十 分 低 い と 仮 定 し 仮 定 して い る。 こ こ で 、 σ≡62/(2CΣ) ⑦ ω 乙/a=1,軌 仮 定 した 。 この 図 で は イ ン ダ ク テ ィ ブ な環 境 イ ソ ピ ー ダ ソ スZ,㎝ ≡1海,C『1≡ …Cr1+Cr1,瓦 ミ θ2/(2C))、 鳥,を 変 化 させ た 時 の 様 子 を プ ロ ッ トし て い る 。 と い うの は 、 実 験 で は 可 変 イ ン ダ ク タ ソ ス を 実 現 す る の は 可 変 抵 抗 を実 現 す る よ り もは る か に 難 しい か ら で あ る。 図 中 で 〈… 〉 。 は 変 数 πに よ る ト レー ス(平 均)を 表 し、 ω疋≡1/ (κ),RΣ ≡… 碑)十 砕 〉 で あ る。 図6で 電 圧 γが 小 さい 間 は 電 流 が 全 く流 れ て い な い 領 域 が あ る こ と が わ ヵ・る 。 これ は クー ロ ン プ ロ ッ ケ ー ドの た め で あ り、 この 領 域 を ク ー ロ ソ ギ ャ ップ と 呼 ん で い る。 ク ー ロ ン ギ ャ ップ の 外 側 で は 、 電 流 が 流 れ て い るが 、 ア イ ラ ソ ドの 平 均 電 荷 の 数 が ひ とつ ず つ変 化 す る の に と も な い 、 電 流 レ ベ ル も 階 段 状 に変 化 して い る様 子 が わ か る 。 これ を ク ー ロ ン ス テ ア ケ ー ス と 呼 ん で い る。 図6の 計 算 結果 を見 ると環境 イ ン ピー ダ ソスが低 い時 一4一 ⑦ ωR凪 が 大 き い 時)に は クー ロ ソギ ャ ップ が小 さ く、 環 境 イ ン ピ ー ダ ン ス を 大 き くす る と 、 ク ー ロ ソ ギ ャ ップ が 大 き くな って い る こ と が わ か る。 こ の こ と か ら、2重 トン ネ ル接 合 の 場 合 で も環 境 イ ン ピ ー ダ ソ ス が 電 荷 の 揺 ら ぎを 通 し て 伝 導 特 性 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る こ と が 分 か る。 こ の 現 象 を逆 に利 用 す れ ば 、 単 電 子 デ バ イ ス の 伝 導 特 性 を 環 境 イ ン ピー ダ ン ス を 変 調 す る こ と に よ っ て 制 御 で き る こ と に な る。 た と え ば 、 図6(b)で 定 した ま ま 、 環 境 イ ン ピー ダ ン ス を 変 化 さ せ る と 、 この デ バ イ ス はONとOFFの が わ か る 。 現 在 最 も広 く研 究 さ れ て い るC-SETと バイ アス電 圧 を固 間 を ス イ ッチ す る こ と 呼 ば れ る単 電 子 トラ ン ジ ス タ は ア イ ラ ン ドに キ ャ パ シ タ ソ スC、を介 して ゲ ー ト電 圧 を 印 加 す る こ と に よ っ て 伝 導 特 性 を 制 御 して い る。 環 境 イ ン ピ ー ダ ソ ス に よ っ て 制 御 す れ ばC、は 必 要 な くな る た め 、 ア イ ラ ソ ドの トー ダ ル キ ャパ シ タ ソ ス を 小 さ くす る こ と が 可 能 と な り、C-SETよ り も高 温 で 動 作 す る こ と が 期 待 で き る。 0 1 熱 10 5 ( 8 囚に、 Φミ 5 (b) 々 な 環 境 イ ソ ピ ー ダ ン ス に 対 す る(a)ア 果 。 こ こ で は 、C㎝.=0,苑 4環 O 5 Vγ(e1CΣ) (a) 図6様 00 1 01 00 0 0 Oi 01 狛 建 ぴ^Φサ v 5 W(e1CΣ) イ ラ ン ド電 荷 お よ び 。(b)電 ωL/E。=1,σ/々BT=25,G/C2=10,1~T/凡=10を 流 の電 圧依 存 性 の計 算結 仮 定 した 。 境 イ ン ピ ー ダ ン ス 制 御 型 単 電 子 トラ ン ジ ス タ の 作 製 お よ び 伝 導 特 性 単 電 子 デ バ イ ス の 実 験 は 、 ほ と ん ど の 場 合 、 低 イ ソ ピ ー ダ ン ス環 境 で 行 な わ れ て い る。 そ の 原 因 は 、 配 線 の 浮 遊 容 量 の た め に 、 普 通 に 実 験 す る と 、 低 イ ン ピー ダ ン ス に な っ て し ま うた め で あ る。 高 環 境 イ 講 饗畿 麟 翻 趨磯 ン ピー ダ ソ ス の 実 験 結 果 を 報 告 して'いる文 献 は 数 え る ほ ど しか な い[7]一[9]。 我 々 は 、 ゲ ー トで 制 御 で き る 購購覇 鋤 可 変 環 境 イ ン ピー ダ ソ ス を 作 製 し、 伝 導 特 性 を 評 価 した[1。]。 この 節 で は そ の 結 果 を 紹 介 す る。 実 際 に環 境 イ ン ピー ダ ソ ス を 変 調 す る こ と に よ り単 電 子 デ バ イ ス の 伝 導 特 性 を 制 御 で き る こ と を確 認 す る た め に 、 図7に 示 す試 料 を作製 し た 。 単 電 子 デ バ イ ス で はaFの 容 量 を 問 題 に し て い る の で 、 実 際 の試 料 を 作 製 す る 時 に は 、 理 嬉ま 鹸縛 ソに ぼ こ 岬 一 一・ 論 計 算 で 無 視 して い た 試 料 の 各 部 分 の 自 己 容 量 や 浮 遊 容 量 が 問 題 に な る 。 ア イ ラ ン ドが 大 き い 羨、1灘1 時 に は 、 そ の 自 己 容 量 が 大 き くな り、 ク ー ロ ソ 蜘麟繭 プ ロ ッケ ー ドが 起 こ ら な く な る。 ま た 、 高 イ ン 図7試 ピ ー ダ ンス の 部 分 が ア イ ラ ン ドか ら離 れ た位 置 一 ll議 1μm』 ・訟 義灘 帰 照 、.糧 ・・嚇 喋 ム`♂ 畿 製 羅 蟻1、 メマ ぐ 轡終 ㌣ 「一 らが ず1㌔'パ ぎヒへ コ コ い 掌 お マ 」. ゼ ド 讐紫1 作 した 可 変 環 境 イ ン ピ ー ダ ン ス を も つ 単 電 子 デバ イス の電子 顕微 鏡写 真 一5一 7・ に存 在 して も、.その 間 の配 線 の 浮 遊 容 量 の た あ に クー ロ ソ プ ロ ッ ケ ー ドに と って の 環 境 イ ソ ピー ダ ソ ス は 低 くな って しま う。 従 って 、 トソ ネ ル キ.ヤパ シ タ ン ス を小 さ くす れ ば い い だ け で は な く、 ア イ ラ ソ ド ' の 大 き さ を小 さ く し、 ま た 、 環 境 イ ソ ピ ー ダ ン ス を ア イ ラ ソ ドの 近 く に作 製 す る こ と も重 要 で あ る 。 図7で 面 に2次 黒 く写 っ て い る 部 分 はGaAs/AIGaAsヘ 元 電 子 ガ ス(2DEG)が テ ロ基 板 の 表 面 で あ る。 表 面 か ら80nm下 存 在 す る。2DEGの の ヘ テ ロ界 濃 度 と移 動 度 は そ れ ぞ れ 、4.1×1011㎝ 一2およ び1」 ×105(㎡/Vsで あ っ た 。 写 真 で 白 く写 って い る 部 分 は 電 子 ビー ム リ ソ グ ラ フ ィ ー と リ フ トオ フ を用 い て 基 板 の 上 に 作 製 さ れ たAuPdの 微 小 シ ョ ッ トキ ー ゲ 」 ト電 極 で あ る。 これ ら の シ ョ ッ トキ ー 電 極 に 負 の バ イ ア ス を 印 加 す る こ と に よ りそ の 直 下 の2DEGが 空 乏 化 す る 。 さ ら に 負 の バ イ ア ス を 強 くす る と空 乏 領 域 は シ ョ ッ トキ ー 電 極 の 周 辺 に 広 が る。 そ の 結 果 、 適 当 な バ イ ア ス条 件 で 、 写 真 の 中 央 に 写 っ て い る直 .径 舘0.4μ皿程 度 の 部 分 が ア イ ラ ソ ドと な りそ の 左 右 の 部 分 と トン ネ ル 接 合 を介 して 接 続 され る。 写 真 に 写 っ て い る4つ の 大 き な シ ョ ッ トキ ー 電 極 は 、 環 境 イ ン ピー ダ ン ス を 変 調 す るた め の もの で あ る。.この 部 分 の 負 の バ イ ア ス を 変 化 さ せ る こ と に よ り環 境 イ ソ ピー ダ ソ ス が 変 化 す る 。 この 試 料 を 希 釈 冷 凍 機 で 約30mK程 度 ま で 冷 却 して 伝 導 特 性 を 測 定 した 結 果 が 図8(b)で あ る 。 図8 (a)に は 測 定 系 の 模 式 図 を 示 した 。.ク「 ロ ソ ギ ャ ップ と ク ー ロ ソ ス テ ア ケ 「 ス が 明 確 に 観 測 さ れ て い る 。 臨.が0に 近 い 時(た と え ば 、 臨.=一 〇.5V)に は 、&.=0と ま た 、y諭 を 小 さ く して い くと(1覧 。を 大 き く して くと)、 な:って い て 、 ク ー ロ ン ギ ャ ッ プ が 小 さい 。 ク ー ロ ン ギ ャ ップ が 大 き くな って い る こ と が わ か る 。 こ れ は 、 図6(b)の 計 算 結 果 で 示 さ れ て い る傾 向 と一 致 して い る 。 我 々 は 、R,。。の と こ ろ で の 電 圧 降 下 や 臨.を 印 加 して い る シ ョ ッ トキ ー 電 極 と ア イ ラ ン ドの 容 量 性 の 結 合 な ど の 、 見 か け 上 ク 「 ロ ソ ギ ャ ッ プ の 大 き さ を 変 化 さ せ る か も し れ な い 様 々 な要 因 に つ い て も詳 細 に検 討 を 加 え た 結 果 、 観 測 さ れ た ク ー ロ ンギ ャ ップ の 増 大 は 環 境 イ ン ピー ダ ン ス 変 調 の 効 果 で あ る こ と を確 信 して い る 。 80 60 脆vレ1 宛 脆nv を~40 ε 蓄20 ξ ・ 一20 霧 脳 騰A ・40 一2-1012 Vbltage(mV) (a) 図8(a)測 15pAず 定 系 の 摸 式 図 。(b)様 (b) 々な環 境 イシ ピー ダ ンスに対 す る電流 電圧 特 性 の実 験 結果 。 電流 は つ オ フ セ ッ トして あ る。 硫 と%は そ れ ぞ れ 一 〇,621Vお よ び 一 〇.662Vに 固 定 され て い る。 一6一 5お わ りに ク ー ロ ン プ ロ ッ ケ ー ドと環 境 イ ソ ピー ダ ン ス に つ い て 、 直 感 的 な(回 路 的 な)解 説 を 行 っ た あ と、 数 値 計 算 と実 験 結 果 の 紹 介 を した 。 環 境 イ ン ピー ダ ン ス を 変 調 す る こ と に よ り、 微 小 トン ネ ル 接 合 の 電 荷 ゆ ら ぎ を制 御 で き 、 そ の 結 果 デ バ イ ス の 伝 導 特 性 も制 御 で き る こ と を示 した 。 単 電 子 デ バ イ ス の この 新 しい 制 御 法 は 、 ア イ ラ ソ ドの.トー タ ル.キャパ シ タ ソ ス を 小 さ くで き、 デ バ イ ス の 高 温 動 作 に有 利 で あ る。 ま た 、 多 様 な 単 電 子 デ バ イ ス の 開 発 は 、 回 路 設 計 の 自 由 度 を 増 大 さ せ 、 単 電 子 エ レ ク ト ロニ ク ス の発 展 に 寄 与 す る と期 待 で き る 。 謝辞 本 稿 で紹介 した仕事 は 、奈 良女子 大学 理 学部物 理科 学 科 の岩渕 修一 先生 との共 同研究 の成 果 です。 岩 渕先 生 に は、研究 の様 々 な段階 で ご協 力 いただ いて お り、 こ こに感謝 の意 を表 します。 本稿 で紹 介 した 実験 結果 の一 部 は、 元蒲生 研 の学生 で あ りま した吉 岡史 善氏(現 シ ャー プ)が 行 った もの です。 希 釈冷 凍機 を使 った測定 系 の立 ち上 げ時 には 、 日本 電気 基礎 研究 所 の阪 本利 司氏 に、様 々な ことを教 えて い ただ き ま した。 また、本 学理 学部 の 邑瀬和 生先 生 と、 邑瀬研 の鷹 岡 貞夫 先生 、音賢 一先 生 に も 日 頃 か ら測 定系 に つい てい ろい ろ教 えて いた だい てお ります。 この場 を借 りて謝 意 を表 します。 参 考 [1]例 文 献 え ば 、H.GrabertandM.H.Devoret(eds),醜 ㎎1召G肋 PlenumPress,1992. [2]M.H,Devoret,D.EsteveandH,Grabert:Phys.Rev.Lett.64(1990)1824. [3]G.一L.IngoldandH.Grabert:EurophysicsLett.14(1991)371. [4]H.Higurashi,S.IwabuchiandY.Nagaoka:Phys.Rev.B51(1995)2387. [5〕F.Wakaya,S.Iwabuchi,H.Higurashi,Y.NagaokaandK.Gamo:Appl.Phys.Lett, 74(1999)135. [6コF.Wakaya,S.Iwabuchi,H.Higurashi,Y.NagaokaandKenjiGamo:SolidStateElectronics42 .(1998)1401. [7〕A.N.Cleland,J.M.SchmidtandJohnClarke:Phys.Rev.B45(1991)2950. [8]D.Popovi6,C.J.B.Ford,J。M.HongandA,B.Fowler:PhysRevB48(1993) 12349. [9]Y.Shi皿azu,S.IkehataandS.Kobayashi:J.Phys.Soc.五)n.64(1995)2738, [10]F.Wakaya,F.Yoshioka,S.Iwabuchi,H.Higurashi,Y.Nagaoka,andK.Gamo, SemiconductorScienceandTechnology,13(1998)A107, 一7一 ㎎ 診7初 膨 」ゴ ㎎,NewYork: