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沼津市屋外広告物適正化計画

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沼津市屋外広告物適正化計画
沼津市屋外広告物適正化計画
平成25年10月
沼津市
目
序章 屋外広告物適正化計画の目的
次
............................................................ 1
1.計画の背景と目的 ............................................................................................................................... 1
2.適正化計画の位置づけ ...................................................................................................................... 1
3.適正化計画の構成 ............................................................................................................................... 1
第1章 屋外広告物の概要
................................................................................ 2
1.屋外広告物の定義 ............................................................................................................................... 2
2.屋外広告物の分類 ............................................................................................................................... 2
3.屋外広告物規制の概要 ...................................................................................................................... 3
第2章 屋外広告物の適正化に向けた課題
第3章 屋外広告物適正化の目標
第4章 目標実現のための方策
.............................................. 4
................................................................. 6
...................................................................... 7
1.良好な景観形成のための指針 ....................................................................................................... 8
(1)共通指針
(2)デザイン指針
(3)色彩指針
2.現行基準の適正化 ............................................................................................................................... 15
(1)規制地域の見直し
(2)個別基準の見直し
3.地区独自の基準が可能な仕組みづくり .................................................................................... 17
(1)広告物重点地区制度
(2)景観形成型広告整備地区
4.推進体制の強化 .................................................................................................................................... 18
(1)違反に対する措置と罰則
(2)屋外広告物の実態把握
(3)違反広告物の除却対策
(4)景観を阻害する屋外広告物の撤去・集約化の促進
序章
屋外広告物適正化計画の目的
1.計画の背景と目的
本市では、これまで静岡県屋外広告物条例(以下「県条例」という。)に基づき、屋外広告
物に関する許可事務等を行ってきましたが、沼津市景観計画の方針を踏まえて、地域の特徴を
活かした市独自の条例を制定し、屋外広告物行政に取り組むこととします。
また、富士山が世界文化遺産へ登録され、富士山の景観保全に向けた取り組みがますます重
要になっています。
沼津市屋外広告物適正化計画(以下「適正化計画」という。)は、このような状況に適切に
対処し、沼津の美しい景観づくりに資するため、屋外広告物のあり方を明示するとともに、そ
の適正化に向けた実効性のある計画として定めるものです。
2.適正化計画の位置づけ
適正化計画は、沼津市景観計画に即して定められる計画で「沼津市屋外広告物条例」を定め
る際の根拠になるとともに、広告主、屋外広告業者等に対するガイドラインにもなるものです。
屋外広告物法
沼津市
景観条例
景観法
連
携
【景観計画との関係】
第6条 景観法第8条第1項の景観計画に
広告物の表示及び掲出物件の設置に関す
る行為の制限に関する事項が定められた
場合においては、当該景観計画を策定し
た景観行政団体(同法第7条第1項の景
観行政団体をいう。以下同じ)の前3条
の規定に基づく条例は、当該景観計画に
即して定めるものとする。
【許可基準等】
沼津市景観基本構想
沼津市景観計画
計画の中で「屋外広告物
の表示及び掲出する物
件の設置に関する事項」
を定めています。
【景観行政団体である市町村の特例】
第 28 条 都道府県は、地方自治法第 252
条の 17 の 2 の規定によるもののほか、第
3条から第5条まで、第7条又は第8条
の規定に基づく条例の制定又は改廃に関
する事務の全部又は一部を、条例で定め
るところにより、景観行政団体である市
町村(いずれも指定都市及び中核市を除
く。)が処理することとすることができ
る。この場合においては、都道府県知事
は、あらかじめ、当該市町村の長に協議
しなければならない。
沼津市屋外広告物条例
即
す
る
沼津市屋外広告物
適正化計画
即
す
る
・広告物等の表示等の禁止
(第3条)
・広告物の表示等の制限
(第4条)
・広告物の表示の方法等の基
準(第5条)
【違反に対する措置等】
・違反に対する措置(第7条)
・除却した広告物等の保管、
売却又は廃棄(第8条)
※条項は全て屋外広告物法による
根拠
現行基準の適正化
ガイドライン
《適正化計画の位置づけ》
3.適正化計画の構成
本書では、第1章で現在適用されている屋外広告物の概要を整理した上で、第2章で現状
の掲出状況等をもとに屋外広告物行政の課題を挙げています。その課題と景観計画の方針を
踏まえて、第3章で屋外広告物適正化の基本方針を定め、第4章ではその実現のための方策
を示しています。
-1-
第1章
屋外広告物の概要
1.屋外広告物の定義
屋外広告物法において規制の対象とされる「屋外広告物」とは、次の4つの要件をすべて満
たしているものをいいます。
(屋外広告物法第2条第1項)
① 常時又は一定の期間継続して表示されるものであること
② 屋外で表示されるものであること
③ 公衆に表示されるものであること
④ 看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に
掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものであること
2.屋外広告物の分類
屋外広告物は、設置主体・設置目的、設置方法により以下のように分類されます。
設置主体・設置目的による分類
設置方法による分類
常時掲出
自家広告物
独立して掲出されるもの
自己の氏名、名称、店名、
① 広告塔
② 広告板
商標又は事業内容を自己の
住所、事業所、営業所又は
屋
外
広
告
物
作業所に表示、設置するも
建物に固定し掲出されるもの
の
③ 屋上広告
④ 壁面広告
⑤ 壁面突出広告
案内広告物
広告物に、矢印や案内図
などを掲載し、誘導を図る
もの
屋
外
広
告
物
管理広告物
工作物に固定し掲出されるもの
⑥
⑦
⑧
⑨
塀広告
アーケード添加広告
電柱、街灯柱広告
消火栓標識柱広告
その他
自己の管理する土地や物
⑩ 車体利用広告(バス広告含む)
件を管理するために表示す
るもの
一定期間掲出
一般広告物
⑪ はり紙・はり札・立看板
⑫ アドバルーン
⑬ 広告幕及び広告網
⑭ のぼり
上記以外の広告物
《屋外広告物のイメージ(設置方法による分類)
》
-2-
3.屋外広告物規制の概要
県条例による屋外広告物規制の概要は以下のとおりです。
屋外広告物法
静岡県屋外広告物条例
地域規制
禁止区域(第3条)
・第1種特別規制地域
・第2種特別規制地域
物的規制
許可区域(第5条)
・第1種普通規制地域
・第2種普通規制地域
禁止物件
(第4条)
禁止広告物
(第8条)
適用除外制度(第6条)
許可制度(第9条)
《屋外広告物規制の概要》
■規制地域区分による許可申請が必要な範囲
地域規制
物的規制
自家広告物
案内広告物
(一の住所又は事業者、
営業所若しくは作業所当
たりの表示面積)
(道標、
案内図板等)
管理広告物
一般広告物
第1種特別規制地域
第2種特別規制地域
5 ㎡を超える場合
許可申請が必要
全て許可申請
必要
許可申請不要
(5 ㎡以内に限定)
掲出不可
第1種普通規制地域
10 ㎡を超える場合
許可申請が必要
全て許可申請
必要
許可申請不要
(5 ㎡以内に限定)
全て許可申請
必要
第2種普通規制地域
20 ㎡を超える場合
許可申請が必要
全て許可申請
必要
許可申請不要
(5 ㎡以内に限定)
全て許可申請
必要
規制地域区分
また、県条例以外でも、屋外広告物に関して次のような規制があります。
都市計画法の
地区計画に
よる規制
地区計画とは、住民の身近な生活環境の維持、向上を図るため、地区レベ
ルでまちづくりの方針を検討し、地区を単位として、道路、公園などの施設
の配置や建築物の建て方などについて、地区の特性に応じてきめ細かく定め
るまちづくり計画です。この計画の中で、屋外広告物の形態意匠等の制限を
行うことが可能です。
沼津市では、沼津駅北第一地区計画において現況県条例への上乗せ基準を
定めています。
自然公園法に
よる規制
同法に基づいて指定された特別地域や普通地域において、屋外広告物を掲
出する場合は、法に基づく独自基準が適用されます。特別地域は国の「許可」
が必要で、普通地域は国への「届出」が必要となります。
沼津市では、静浦から戸田地区にかけての駿河湾沿岸部一帯と、県道船原
西浦高原線沿いに富士箱根伊豆国立公園が指定されており、特別地域内の区
域内行為に対して許可基準が定められています。
-3-
第2章
屋外広告物の適正化に向けた課題
屋外広告物の掲出状況等について、以下の項目で現状分析を行いました。
・沼津市の屋外広告物の目指す方向と現状評価
・規制地域別の現状
現状分析項目
・広告物の地色に使用される色彩の現状
・未申請広告物と違反広告物の現状
・市民意向の把握
この分析結果を踏まえ、屋外広告物の適正化に向けた課題をまとめると次のとおりです。
沼津市の屋外広告物の目指す方向に配慮し、周辺景観に馴染まない広告物の掲出をでき
る限り抑えることが必要です。
周囲に良好な自然景観が広がるところに大きくて派手な色彩の広告物が掲出
されたり、まちなかでは周辺の広告物や建物などの高さ、大きさに対して必要以
上に過大とみられる広告物が掲出されたりしています。
このような周辺景観に馴染まない大きさや色彩の広告物の掲出をできる限り
抑え、地域ごとの景観の目指すべき方向に誘導していくための取り組みが求めら
れます。
富士山への眺望の確保や、中心商業地での賑わいや美観の創出等、地区の特性に応じた
独自のルールづくりが望まれます。
現在運用されている県条例の基準は県内一律であるため、八間道路(国道 414
号)のように富士山への眺望の良い道路や、市の顔として重要な沼津駅周辺のよ
うに景観の配慮が特に重要な地区でも、一律な基準で運用されています。
このため、市全体の基準とは別に、地区レベルで独自のルールが定められる仕
組みが求められます。
案内図板、一般広告物について掲出の適正化を図ることが必要です。
本市においては、未申請違反を除くと、案内図板の面積や高さの基準違反や一
般広告禁止区域での一般広告物掲出違反が多いため、基準の明確化及び周知によ
り違反物件を減少させることが課題となります。
特に、案内図板については、案内機能を超えた過大な広告もあることから、表
示内容等も含めて厳格な運用が求められます。
-4-
屋外広告物の安全確保に向けて未申請広告物を減らしていくことが必要です。
実態調査の結果では、許可申請が必要と考えられる屋外広告物の内、許可申請
のない屋外広告物が少なくありません。このことは、県条例で定めている管理者
設置義務が履行されていないことになり、安全面で重要な課題です。
こうしたことから、運用の仕方や監視体制等について改善を行うなど、適正な
景観誘導や安全対策のために未申請広告物への対策を進めることが必要です。
屋外広告物の適正化に市民の参加を促進していくことが必要です。
市民アンケート調査より、現状として屋外広告物の景観に対する影響について
の関心はあまり高くありませんが、沼津市の美しい景観を保全・創出していくた
めには市民の参加と協力が不可欠です。
このため、広告主、屋外広告業者等のみならず、広く市民全般に対しても屋外
広告物条例の周知徹底を図るとともに、地区レベルでの基準づくりや、違反に対
する監視活動等に市民の積極的な参加を図るなどの取り組みが必要です。
-5-
第3章
屋外広告物適正化の目標
屋外広告物適正化の目標は、屋外広告物法の目的や前章の課題を踏まえつつ、沼津市景観
計画の「水と緑とまち並みの美しい沼津を創る」を基本目標に、その実現に資するとともに
安全確保の課題も踏まえ「地域景観と調和した安全な屋外広告物の創出」とし、以下の4つ
の基本方針を設定します。
【屋外広告物法の目的】
【屋外広告物の適正化に向けた課題】
・良好な景観の形成
・周辺景観に馴染まない広告物の掲出の抑制
・風致の維持
・地区の特性に応じた独自のルールづくり
・公衆に対する危害の防止
・案内図板、一般広告物の掲出の適正化
・安全確保に向けた未申請広告物の削減
・市民参加の促進
【沼津市景観計画】
【屋外広告物適正化の目標】
基本目標
【基本方針1】
水と緑とまち並みの
美しい沼津を創る
景観形成の方針
〔1〕緑ゆたかな山地・丘陵
地等の景観保全
〔2〕うるおいのある水辺地
の景観保全・修景
〔3〕美しいまち並み景観の
形成
景観計画の
目標実現に
資する
屋外広告物
〔4〕快適で魅力ある都市施
設景観の形成
-6-
地
域
景
観
と
調
和
し
た
安
全
な
屋
外
広
告
物
の
創
出
自然、歴史風土、まち並み
など地域特性との調和
【基本方針2】
市街地景観の質の向上
【基本方針3】
賑わいづくりへの貢献
【基本方針4】
協力とルールを守る
体制の強化
第4章
目標実現のための方策
目標実現のための方策は、次の4つに区分して定めます。
●共通指針
○デザイン指針
良好な景観形成のための指針
○色彩指針
「良好な景観形成のための指針」は、屋外広告業者等に示すことで良好な景観の形成
を誘導するためのもので、
「共通指針」「デザイン指針」「色彩指針」を示します。
共通指針は全ての屋外広告物に共通する基本的な指針で景観面と安全面から配慮を求
めるものです。デザイン指針は景観面から周辺との調和に配慮するためのガイドラインで、
色彩指針は景観計画との整合を図るものです。
●地域規制の見直し
現行基準の適正化
●市の条例に定める個別基準
「現行基準の適正化」については、県条例を継承することを基本としながら、地域規
制に関する必要な見直しを行うとともに、屋外広告物の掲出状況を踏まえて市の条例に定
める個別基準を設定します。
●広告物重点地区制度
地区独自の基準が可能な仕組みづくり
○候補地区ごとの方針
「良好な景観形成のための指針」は強制力のあるものでないため、地域からの発意を
基本に「地区独自の基準が可能な仕組み」として「広告物重点地区制度」を創設します。
屋外広告物の目指す方向実現のためには、地域の景観形成の方向と一体的に屋外広告
物の独自基準を制定することが理想であり、この仕組みは今後予定される景観計画の景観
形成重点地区候補地での景観づくりを検討する際に適用されることが想定されます。
なお、本適正化計画ではその候補地区を選定し、その中でも特に優先的に検討が必要
と考えられる地区について、屋外広告物の方針の案を示します。
○広告主・屋外広告業者等、市民への
普及啓発
推進体制の強化
●○違反広告物対策等の推進
違反広告物や未申請広告物に対してルールが守られる仕組みとして「推進体制の強化」
に関する事項を示します。
注) ●:条例に記載する事項
○:条例以外の取り組み等(今後、条例化を検討するものを含む)
-7-
1.良好な景観形成のための指針
(1)共通指針
良好な景観形成のために配慮すべき事項を「共通指針」として示します。
なお、“安全”は良好な景観の前提ともなる要素であり、安全確保のための配慮事項につ
いてもここで示します。
具体的な内容については、現在適用されている県条例(第 10 条)の共通基準に、本市の
景観計画で定められている「屋外広告物の表示及び掲出する物件の設置に関する事項」を新
たに加えることで定めます。
項
目
指針(条例への記載内容)
備
考
・著しく汚染し、退色し、又は塗料のはく離したものでな
いこと。
・電飾設備を有するものにあっては、昼間においても美観
県条例
を損なわないものであること。
・裏面、側面及び脚部は、美観を損なわないものであるこ
と。
良好な景観の
形成及び
風致の維持
・周辺のまち並みや自然景観と調和するとともに、地域特
性を活かした意匠等とすること。
・設置する数は必要最小限に留め、位置や配置などを工夫
すること。
・表示面積はできる限り小さくすること。
景観計画
・広告塔や野立て看板等は、支柱部分等の形態などに配慮
し、高さはできる限り低くする。
・彩度の低い色を使用し、使用する色数を減らし、配色を
工夫すること。
・蛍光塗料は保安上必要なものを除き使用しないものであ
ること。
・構造は、地震、風雨等により破損し、落下し、又は倒壊
する恐れがないものであること。
・交通の妨害となるような位置に表示し、又は設置しない
ものであること。
公衆に対する
危害の防止
・信号機・道路標識その他公共の用に供する工作物の効用
県条例
を妨げるようなものでないこと。
・東名高速道路、新東名高速道路(いずれもトンネルの区
間を除く。
)から 200m以内の特別規制地域の区域にあっ
ては、点滅及び回転するもの並びに交通標識等と混同し
やすいものでないこと。
・反射素材は保安上必要な場合を除き、使用しないもので
景観計画
あること。
-8-
(2)デザイン指針
デザイン指針は、広告種別ごとのガイドラインとなるもので、景観計画や屋外広告物の
目標に誘導するための指針として、次の考え方に基づき設定します。
●前述の“共通指針”をもとに、広告種別でより具体化します。
●景観特性による地域区分と屋外広告物条例の規制地域との関係を踏まえ、規制地域によ
り屋外広告物の規模等に階層性を持たせることを基本とし、実態調査に基づく掲出状況
を勘案しつつ、具体的なデザイン指針を定めます。
広 告 塔
・八間道路(国道 414 号)のように富士山への眺望が期待できる場所では、高さを出来るだけ抑
え、山並み景観を確保するよう努めましょう。
広告塔の高さを抑えることで富士山への眺望が改善します(八間道路)
〔注:右の写真は、高さと色彩、電線・電柱を修正しています〕
・道路空間とのバランスや他の広告塔との調和に配慮し、1面
の表示面積は第1種普通規制地域では 25 ㎡以内、特別規制地
域では 20 ㎡以内とするよう努めましょう。
・特別規制地域では、自然環境や高速道路等からの眺望に配慮
して出来る限り落ち着いた意匠としましょう。
・建物本体とのデザインの統一による調和や、山地、丘陵地や
海辺など自然系の地域では、材料に自然素材を使うなど周辺
環境との調和に配慮しましょう。
広告塔の色彩やデザインが建築
物本体と統一され、良好な景観を
形成している例(市内)
広 告 板
・道路空間とのバランスや他の広告等と
の調和に配慮し、1面の表示面積は第
1種普通規制地域 25 ㎡以内、第2種特
別規制地域 20 ㎡以内、第1種特別規制
地域 15 ㎡以内とするよう努めましょ
う。
必要以上に大きな広告物は歩行者に圧迫感を与えかねません。
・特別規制地域では、自然環境や高速道路等からの眺望に配慮して出来る限り落ち着いた意匠等
としましょう。
-9-
屋上広告
・富士山などの山並み景観の保全に配慮して、極力屋上
広告の設置を避け壁面広告などで表示しましょう。設
置する場合は、建物1棟につき1個を原則とし、富士
山への眺望や山の稜線の保全に努めましょう。
・建物の高さやまち並み(スカイライン)との調和を考
慮し、特別規制地域では高さを6m以下にするよう努
屋上広告の高さを抑えること
で、富士山眺望や山の稜線の
保全が図られます
めましょう。
・建築物とのバランスに配慮し、表示面積は壁面面積の
1/5以下とするよう努めましょう。
・表示内容は、マークや名称等シンプルな表現としまし
ょう。
・特別規制地域では、自然環境や高速道路等からの眺望
に配慮して出来る限り落ち着いた意匠としましょう。
壁面広告
・中層部(3階)以上に屋外広告物を表示する場合は、地色は派手な色彩は避け景観計画の色彩
基準の範囲内に収まるように努めましょう。
・建築物とのバランスやまち並みの景観に配慮し、1面の表示面積は出来るだけ小さくなるよう
努めましょう。
・建築物の意匠と一体的なデザインに配慮しましょう。
・小規模な建築物でも広告物の表示面積は、まち並み景観に
配慮し壁面の1/5以下となるよう努めましょう。
建築物の意匠と一体的
にデザインされた壁面
広告は、建築物の質の
向上に寄与します
(沼津駅北口)
建物デザインとの統一や、低層部への
屋外広告物の集中など賑わいと良好な
景観が統一された例(沼津駅南口)
壁面広告の量を
減らしたり、地
色の色彩を抑え
たりすること
で、煩雑さが軽
減されます
(広告の量を減らした場合)
-10-
壁面突出広告
・建物の両端どちらか1列に揃えて設置しましょう。
・複数設置する場合には、大きさ、設置位置、地色を
統一しましょう。
・位置や出幅は、近隣の壁面突出広告との統一感に配
慮しましょう。
・1面の表示面積は、まち並みとの調和に配慮し、第
1種普通規制地域 15 ㎡以内、特別規制地域 10 ㎡以
内に抑えるよう努めましょう。
バラバラに掲出された煩雑な壁面突出広告
も、設置位置、出幅、地色を統一するとイメ
ージが変わります
電柱・街灯等広告
・公共的役割を考慮し、表示内容・デザイン等に配慮しましょう。
・地色は派手な色を避け白色又は淡い色を用いるなど、まち並みとの調和に配慮しましょう。
・同一のものを連続して設置しないようにしましょう。
はり紙、はり札、立看板その他
・工作物への掲出は避け、掲示板等を利用しましょう。
・窓面への掲出は、内側からのはり紙も含めて設置しないよう努めましょう。
広告幕
・設置期間は、イベント時など必要な期間内としまし
ょう。
・懸垂幕は、建物本体のデザインを損なわないよう、
窓面などをまたがない壁面に掲出しましょう。
・広告幕を道路等の公共空間に設置する場合には、設
置する団体等が責任を持ち、季節感やまち並みに配
慮したデザインとしましょう。
懸垂幕は、窓面をまたがない壁面を
利用し、地色も壁面の色と統一する
ことで建物景観と一体化します
-11-
のぼり
・設置期間は、イベント時など必要な期間としましょう。
・道路空間とのバランスや他の広告等との調和に配慮した数、
位置、大きさにしましょう。
のぼり旗は賑わいの演出には重要ですが、右の写真のように過剰な掲
出などにより道路空間とのバランスを欠くと、歩行者に圧迫感や心理
的な不安感などを与えるとともに、道路景観を害する要素となります。
案内図板
・案内図板は、案内が必要な場所のみに設置し、空地や交差点部等に
むやみに設置しないようにしましょう。
・案内図板の表示内容は、誘導案内表示中心として出来るだけシンプ
ルな表現に努めましょう。
案内図板は必要最小限で
わかりやすく
-12-
(3)色彩指針
本市の景観計画では、変更命令基準として色彩基準が定められています。
このように、建物や工作物の色彩基準が定められているのに対し、屋外広告物の色彩が規
制対象外では景観誘導の効果が半減されてしまいます。このため、屋外広告物においても景
観計画の色彩基準と整合が図られるようガイドラインを設定します。
■沼津市景観計画における色彩基準(変更命令基準)
注)工作物についても同様の基準が定められている
1)屋外広告物の地色と表示色の考え方
屋外広告物の色彩は、地色(ベースカラー)と表示色(アクセントカラー)に分けて考
えます。地色は周囲の景観やまち並みにできるだけ調和するものとしますが、表示色につ
いては特に定めません。
2)屋外広告物の色彩指針
・地色は、周囲との調和を考慮して派手な原色は避け、できる限り彩度を低く抑えて
沼津市景観計画の変更命令基準内に収まるよう配慮しましょう。
・使用する色数を減らし配色に工夫しましょう。
地色に派手な原色を使うことは
避けましょう
-13-
使用する色数は少なく、配色のバランス
も工夫しましょう
【本指針の運用について】
・景観計画の届出対象物件(高さ
15m、又は延べ床面積 1,000 ㎡を
超える建築物等)と一体の広告物
(壁面広告、屋上広告等)に対して
は、地色を景観計画の色彩基準に
適合させるよう、個別に配慮を求
めます。
・ただし、商業活動の賑わい演出と
いう屋外広告物の役割を配慮し
て、7m以下(2階程度の高さま
で)については賑わい演出の観点
より適用除外とします。
・案内図板については、県全体の統一に配慮して平成 25 年 10 月 1 日から施行の特別
規制地域における県の色彩基準に準じることとします。
■屋外広告物の色彩指針
適用範囲
壁面広告、屋上広告等の
地色(1/2以上)※1
案内図板の地色 ※2
色相
0.1R~10R
0.1YR~5Y
上記以外
全て
明度
規制なし
3以上
彩度
4以下
6以下
2以下
8以下
備考
7m以下は適用除外
写真、イラストを使用
する場合は、表示面積
の3分の1以下であ
り、かつ、写真及びイ
ラスト上に、文字、地
図及び矢印を表示し
てはならない。
※1: 景観計画の届出対象建築物に設置する広告物に限る
※2: 特別規制地域に限る
地色の色彩を
抑えること
で、富士山の
眺望が改善さ
れます
〔注:右の写真は、高さと色彩、電線・電柱を修正しています〕
-14-
2.現行基準の適正化
(1)規制地域の見直し
屋外広告物条例による規制地域は、先に示したとおり、景観特性による地域区分との関
係を踏まえても、特に大きな見直しを行う必要性は低いと考えられます。
ただし、千本松原周辺や八間道路(国道 414 号)沿道、沼津駅周辺など、特定の地区に
おいては、規制地域とは別に、地区レベルで独自の基準を設けるなどの取り組みが必要に
なります。
これらのことから、規制地域については現行を踏襲することを基本とし、地域の実情に
合った見直しを行うこととします。
■規制地域の見直し方針図
無指定地域を第1種
普通規制地域に指定
国道1号沿道における
第2種特別規制地域の拡大
東海道本線沿線における
第2種特別規制地域の拡大
-15-
(2)個別基準の見直し
市の条例等に定める個別基準は、規制地域の種別に応じて、屋外広告物の高さや表示面積
をできる限り抑えることを基本とし、以下のように設定します。
なお、県全体の統一に配慮して県条例の基準に準ずることとします。
■個別基準の見直し方針
・第1種普通規制地域の屋上広告物の高さを 15mから 10m以下に基準を強化
・その他の基準については県条例を継承
種
別
広
告
塔
広
告
板
屋
上
広
告
壁
面
広
告
壁
面
突
出
広
告
第1種特別規制地域
その他の地域
10m以下
15m以下
市基準
(条例)
(同左)
(同左)
1面の
面積
すべての地域
30 ㎡以内
(同左)
高さ
すべての地域
5m以下
(同左)
1面の
面積
すべての地域
30 ㎡以内
(同左)
5m以下(※1)
10m以下(※1)
(同左)
(同左)
10m以下
(同左)
項目
高さ
高さ
1面の
面積
1面の
面積
出幅
1面の
面積
高さ
案
内
図
板
1面の
面積
規制地域
第1種特別規制地域
第2種特別規制地域
第1種普通規制地域
第2種普通規制地域
県基準
15m以下(※1)
すべての地域
制限なし
(同左)
特別規制地域
第1種普通規制地域
(※2)
(※3)
(同左)
第2種普通規制地域
壁面面積 1/5 以内
(※4)
(同左)
すべての地域
1.5m以下
(同左)
特別規制地域
第1種普通規制地域
20 ㎡以内
(同左)
第2種普通規制地域
制限なし
(同左)
5m以下
(同左)
広告塔、広告板と
同じ
3㎡以内(※5)
5㎡以内(※6)
(同左)
広告塔、広告板と
同じ
(同左)
特別規制地域
第1種普通規制地域〔a*<100m(用
途地域を除く)
〕
第1種普通規制地域
第2種普通規制地域
特別規制地域
第1種普通規制地域〔a*<100m(用
途地域を除く)
〕
第1種普通規制地域
第2種普通規制地域
(同左)
(同左)
※1:高さは建物の高さの 2/3 以下
※2:300 ㎡未満は壁面面積 1/5 以内、300 ㎡以上は壁面面積 1/10 以内
※3:壁面面積が 1/5<15 ㎡の場合は 15 ㎡以内、壁面面積が 1/10<60 ㎡の場合は 60 ㎡以内
※4:壁面面積が 1/5<15 ㎡の場合は 15 ㎡以内
※5:5者以上協同で表示の場合は、1面 10 ㎡以内(1者当たりは2㎡以内)
※6:5者以上協同で表示の場合は、1面 15 ㎡以内(1者当たりは3㎡以内)
*aは、市長が指定する道路又は鉄道からの距離
-16-
3.地区独自の基準が可能な仕組みづくり
地域規制の見直し方針でも述べたように、一律の地域規制になじまない地区については別
途独自基準が可能な仕組みとして「広告物重点地区制度」を創設します。
(1)広告物重点地区制度
本市で定める広告物重点地区制度は、地域特性に合わせた規制誘導が可能な「景観形成
型広告整備地区」とします。
(2)景観形成型広告整備地区
景観計画で景観形成重点地区候補地と位置づけられた地区は、今後地域の景観形成につ
いて検討する際に、屋外広告物も検討の対象となることが想定されるため、すべての地区
が「景観形成型広告整備地区」の候補地となり、さらに、地域規制の見直しで示したとお
り千本松原が接する県道富士清水線沿道地区も候補地として挙げられます。
このうち、優先的に検討が必要と考えられる「景観形成型広告整備地区」としては、地
域規制の見直しで示した「沼津駅周辺地区」
、
「八間道路(国道414号)沿道地区」のほ
か、既に景観計画で景観形成重点地区に指定されている「白隠のみち地区」や現在検討が
進められている「沼津港周辺地区」が挙げられます。
■優先的に検討が必要な景観形成型広告整備地区
白隠のみち地区
沼津駅周辺地区
八間道路(国道 414 号)沿道地区
沼津港周辺地区
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4.推進体制の強化
屋外広告物の適正化に向けた推進体制の強化策として、広告主・屋外広告業者等、市民へ
の普及啓発活動の推進とともに、違反広告物対策等の推進を図ります。
このうち違反広告物対策等について、主に次のとおり推進します。
(1)違反に対する措置と罰則
設置者の義務の明確化により、違反広告物掲出の未然防止に努めますが、それでも掲出
される違反広告物に対しては、設置者や管理者に対して是正措置を講じます。
また、措置命令に応じない場合には、屋外広告物法に基づく罰則規定を定めて厳格に対
処します。
その内容は以下のとおりです。
■違反広告物への対応
項
目
概
要
条例の規定又は許可等の条件に違反した広告物又は掲出物件に対
措置命令
して、表示又は設置の停止などを命令します。
措置命令に従わなかった場合には、行政代執行による直接除却や罰
罰則等
金を科すなど、厳格に対処します。
①措置命令
措置命令の対象や内容は以下のとおりです。
地域規制
屋外広告物を表示する者、若しくは掲出物件を設置する
者又はその管理者を対象として措置命令を発します。ま
た、屋外広告物業者や屋外広告物業者に委託する広告主
についても対象とします。
禁止区域、許可区域等の規制に対する違反
物的規制
禁止物件、禁止広告物の規定違反
措置命令の対象者
違反の
対象と
なるもの
管理等義務
表示又は
設置の停止
除却
措置命令
の内容
簡易除却
その他の措置
管理義務、管理者設置義務、許可表示、除却義務、届出
義務に対する違反
・ 違反の対象となるものの表示又は設置行為の停止
・ 同工事等についても停止
・ 違反対象物の除却
・ 5日以上の期限を定めて命令の履行
違反対象物のうち、簡易広告物(はり紙、はり札、立看
板、のぼり等)については、沼津市自ら又は委任した者
等が除却
良好な景観・風致の維持向上、公衆に対する危害を防止
するために必要な措置命令(改修、移転、修繕、許可の
取り消し等)
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②罰則等
措置命令に従わない時は、罰則等の規定を定めて、直接又は間接的に違反広告物に
対応します。
違反広告物への直接的な対応(代執行による除却)
除却命令に従わなかった場合、義務を負う者に代わって、沼津市自ら又は委任した
者等が代執行により、除却の措置を講じます。
違反広告物への間接的な対応(罰金)
特定の違反行為に対しては、罰金を科し設置者に対して義務の履行を促すものとし、
以下に該当するものを対象とします。
・ 措置命令に違反したとき
・ 地域規制や物的規制に違反して屋外広告物等を表示又は掲出した
とき
・ 管理等義務(管理義務、管理者設置義務、許可表示、除却義務、届出
義務)に違反して屋外広告物等を表示又は掲出したとき
・ 市長への報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、
又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
法人の業務等に関して違反行為を行った場合には、行為者を罰するほか、その法人
等についても罰金刑に科することとします。
(2)屋外広告物の実態把握
条例内容を厳格に運用するためには、実態把握が重要な課題です。このため以下のよう
な施策を展開することで条例の適切な運用に努めます。
項
目
概
要
行政による計画的で定期的な実態調査の他に、現在沼津インターぐ
屋外広告物の
るめ街道振興会が定期的に実施している「ぐるめ街道沿い公共施設へ
実態把握
の違法看板等のパトロール」の例にみられるような市民の協力による
実態把握に努めます。
屋外広告物の実態調査の結果や許可申請の情報等をデータベース
屋外広告物
情報のデータ
ベース化
化することで屋外広告物の分布状況の把握に努めます。
また、その情報から許可申請の有無や違反広告物の状況などを適時
確認し、屋外広告業者等に適切な措置命令を行うことで、違反広告物
等の発生防止を図ります。
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(3)違反広告物の除却対策
道路上に設置されている電柱や街路樹等に繰り返し掲出されるはり紙、はり札、立て看
板等の違反広告物については、屋外広告物法で簡易除却が認められており、簡易除却の権
限をボランティア等に委嘱することも認められています。
また、このような活動は、市民の違反広告に対する意識の向上に役立つと考えられるた
め、今後は地域協議会や自治会など地域団体に対して参加を呼びかける等、行政と市民・
地域が一体となった除却活動の実施体制の構築を目指します。
(4)景観を阻害する屋外広告物の撤去・集約化の促進
景観に優れている地域やビューポイントでは、屋外広告物の設置数や情報量を必要最小
限にすることが、景観向上のためには求められます。
このため、地域住民や屋外広告物設置者等と連携して、デザインが統一された案内図板
等既存広告物の集約化に努めます。
【案内図板の集約化の例(富士宮市朝霧地区)】
富士山世界文化遺産登録に向けた取り組みの一環として、 富士宮市朝霧地区では景観を
向上させるため、地元自治会・事業者、NPO、国土交通省、静岡県、富士宮市の6者が
協働し、地権者等の理解を得て案内図板の集約化の取り組みを行っています。
施工前
施工後
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《沼津市屋外広告物条例施行後の規制図》
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