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ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化
東海大学紀要工学部 Vol.56,No1,2016,pp.95-100 東海大学紀要工学部 Vol. , No. , 20 , pp. - ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 太田 高裕 *1 大津 浩太郎 *2 平賀 大記 *2 Measurement and Functional Approximation of Coverage Distribution in Shot Peening by Takahiro OHTA *1 , Koutaro OHTSU*2 and Daiki HIRAGA *2 (Received on Mar. 24, 2016 and accepted on Jul. 7, 2016 ) Abstract Shot peening is widely applied in the automotive and aerospace industries in order to improve fatigue strength of metal components by compressive residual stress. In the case of large components, the peening process is generally performed by moving peening equipment following a trajectory on the component using a robot. Surface coverage is a major parameter of shot peening and has a large effect on the uniformity of this process. In order to make up robot program of shot peening for large components, this study aims at obtaining functional approximation of coverage distribution in the shot stream. Coverage distribution is measured using pressure measurement film and image luminance analysis in the small region. Coverage distributions under several standoff distance conditions between a nozzle and film approximate Gaussian distribution functions and cosine functions. Calculated coverage distributions of two-pass shot peening by Gaussian distribution function are good agreement with experimental results. Nozzle tilt angle is small effects on coverage distributions, but rebounded shots interfere shot stream located near the center under the large tilt angle conditions. Keywords: Shot peening, Coverage, Gaussian distribution function 1.まえがき ショットピーニングは鋼球やガラスビーズを金属表面 に打ち付けることで,金属表面に圧縮残留応力を導入す る技術である.簡便に疲労強度を向上することができる ため,自動車産業や航空機産業で幅広く採用されている. また,強度向上だけでなく,航空機の主翼外板のショッ トピーン成形や,潤滑性向上などの目的でも使用されて いる 1-3).ショットピーニングの適用範囲の拡大とともに 複雑形状の部品に適用されるが,ノズルと材料の間の傾 斜角,ショットの跳ね返りの干渉,施工範囲でのショッ ト衝突密度の分布など複雑な事象が発生しており,部品 全面での均一なショットピーニングの条件を決定するこ とは難しい.大型部品においてロボットでノズルを走査 して施工を行う場合,適正にノズルを走査するとピーニ ング強度(アルメンストリップという薄板のアークハイ トを指標とする)はほぼ一定となるが,間隔が広いとピ ーニング強度が低下する領域が発生し,間隔を狭くする とピーニング強度が高くなる領域が発生し,余分に施工 することになる.現状は最低のピーニング強度が得られ るように複数の位置にアルメンストリップを設置して, 作業者の経験と試行錯誤で施工条件を決定しているため, *1 *2 工学部動力機械工学科准教授 工学部動力機械工学科学部生 施工時間が増加し,余分なエネルギーとコストを消費し ている.ピーニング強度に影響を与る物理的因子の一つ にカバレージがある.カバレージとは,加工面全体の面 積に対して,ショットの当たった面積を比率であらわし た値である 4) .ショットピーン成形においてカバレージ の分布に注目して行った研究として,圧痕の個数から分 布を求めた Kopp らの研究や飛翔中のショットを観察し た Gaŕipy らの研究があるが,単純な板を対象としている 1,3) .ショットのランダムな衝突に注目して有限要素解析 を行った Bagherifard らの研究もあるが,板を対象とした 単純なモデルである 5) .また,Nguyen らは CFD を利用 して,タービンブレードなどの単純な形状におけるカバ レージ分布を解析結果を報告している 6) .しかし,これ らの研究ではノズルと材料の間の傾斜角とショットの跳 ね返りの干渉の問題点は検討されていない.以上のよう に,複雑な部品に対して,ノズルと材料の間の傾斜角や ショットの跳ね返りの干渉が施工範囲でのカバレージ分 布に及ぼす影響の学術的な検討はほとんどされていない のが現状である. 本研究では,複雑形状部品に対するショットピーニン グにおいて,部品全体に均一なカバレージを与える施工 条件決定方法を提案する第1ステップとして,吸引式の サンドブラスト装置を用いて,カバレージ分布と施工条 件(ノズル,スタンドオフ距離,ノズルと材料の間の傾 ― 1 − ― − 95 ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 斜角,重ね施工)の関係を調査し,ショット噴流中のカ バレージ分布の関数化を行った.カバレージ分布の計測 に当たって,感圧紙を用いた簡易な計測方法を提案した. カバレージ分布の関数化を行うことによって,施工条件 を簡便に決定することができる.さらに,決定した関数 をロボットのオフラインティーチングシステムに組み込 むことにより,広く展開することが可能になる 7) .この ような取り組みは世界的にも行われておらず,今後の航 空機,自動車産業などにおけるショットピーニング施工 の効率化や省エネルギー化に大きく貢献できる. Nozzle Pitch Xo Nozzle x L(x) Nozzle Stand off distan ce Lo Stand off distan ce Lo x’ Angle θ x 2. 実験方法 Fig. 2 本研究で使用した実験設備は,吸引式のサンドブラス ト装置(株式会社イリイ製 TR-135SB)である.使用し た シ ョ ッ ト は , 粒度 60 の ガ ラ ス ビ ー ズ ( 不 二 製 作 所 FGB 粒径 212~300μm)である.用いたノズルの穴径 は Φ4mm と Φ7mm である.ノズルの前にシャッターを用 意し,シャッターを置いたまま噴射を開始,圧力が安定 したタイミングでシャッターを外し 1s 間感圧紙にショ ットを投射し,再びシャッターを用いて遮断した.感圧 紙は富士フィルム製 PRESCALE 超高圧型 HHS であり, 計測可能な面圧は 130~300MPa である.実験設備を Fig. 1 に示す. カバレージの計測には画像解析ソフトを用いた.ピーニ ングを行った感圧紙をスキャナーで読み込み,光度を基 準にカバレージの計測を行った.光度の最小値は 0,最 大値は 255 である.数値が低いほど黒に近く,0 をカバ レージ 100%とした.ピーニングパターンの中心を通る ように 5mm×5mm のマスを感圧紙内に描き,マス内の 平均光度 A を計測し,式(1)に代入してカバレージを 算出した. ܥ ൌ ͳͲͲ ൈ ሺͳ െ ܣȀʹͷͷሻ 1 2 3 4 5 7 8 9 10 11 12 13 14 Table 1 Experimental conditions. Nozzle Pressure Lo / mm Xo diameter / MPa / mm / mm 4 0.3 100 None 110 120 130 140 110 7 0.25 100 120 150 100 30 40 None θ / deg 0 20 40 0 30 3.実験結果と考察 (1) 本研究では,ノズルと感圧紙のスタンドオフ距離 Lo の 影響試験,重ね施工時のノズルピッチ Xo の影響試験, 傾斜角 θ の影響試験,を行った.Fig. 2 に試験のパラメ ータを模式的に示す.実施した試験条件を Table 1 に示す. Fig. 1 Case Schematic illustration of experimental parameters. 3.1 カバレージ分布へのスタンドオフ距離の影響 ノズルと感圧紙のスタンドオフ距離 Lo を変化させて 試験を行った.代表的なケースとして Case2 の感圧紙の 計測結果を Fig. 3 に示す.ショットの衝突により感圧紙 が発色し,衝突パターンが計測されている.ショットの 衝突は中央部に集中している状況がわかる.中央部では 色が濃く,カバレージが高く,周辺では色が薄く,カバ レージが低い.ノズル穴径が Φ4mm のノズルを用いて, 空気圧 0.3MPa でスタンドオフ距離 Lo を変化させた場合 (Case1~5)のカバレージの計測結果を Fig. 4 に示す. スタンドオフ距離 Lo が変化してもピーニングを受ける 範囲はほとんど変化がない.ノズル中央部付近にはカバ レージが一定の領域が存在している.Lo=110mm 以上で はスタンドオフ距離とともにカバレージのピークは減少 する. Fig. 5 にはノズル穴径が Φ7mm のノズルを用いて,空 気圧 0.25MPa でスタンドオフ距離 Lo を変化させた場合 (Case11~13)のカバレージの計測結果を示す.ノズル穴 径が大きく,圧力も低いため,初期ショット速度は Fig. 4 Appearance of experimental equipment. ― 2 ― − 96 − 太田高裕・大津浩太郎・平賀大記 Coverage / % に比べて遅い条件である.Fig. 4 の結果と比較して,ピ ークのカバレージが低く,スタンドオフ距離 Lo の影響 が明確である.また,Fig. 4 において中央部付近にみら れたカバレージの均一な領域は見られない.しかし,ピ ーニングを受けた領域はスタンドオフ距離 Lo の影響を 受けず,ほぼ一定である. Fig. 6 にはノズルから出た後のショットの速度分布の 模式図を示す 8) .ノズルを出た直後はほぼ均一な速度で ある.噴流の拡散とともに,周辺部は速度が減少してい くが,中央部は均一な速度分布が保持されている領域が ある.この領域が Fig. 4 に示したカバレージ分布の領域 で,中央部付近にカバレージが均一の範囲が確認される. さらにスタンドオフ距離 Lo が長くなると,噴流の拡散 が大きくなり,中央部の流速も低下し,均一な速度分布 の領域がなくなる.この領域が流速の遅いφ7mm ノズル で計測した Fig. 5 に示したカバレージ分布の領域で,中 央部付近からなだらかにカバレージは減少する.この傾 向は圧縮性流体下での粒子速度を計算した南部らの結果 と一致する 8) .今回用いた感圧紙の計測できる圧力の範 囲は 130~300MPa である.ショット速度がある値以下に 減速されると,感圧紙に計測可能な圧力を与えることが できない.Fig. 6 に示した破線は感圧紙で計測できる限 界の速度を模式的に示したものである.噴流が拡散する とショット速度が低下するため,結果として感圧紙で計 測できる範囲は変化が少なかったと考えられる. 浩太郎 平賀 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Fig. 4 Coverage / % 太田 高裕 大津 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 �� = �� � �� � ������⁄� �� -60 -40 -20 0 20 Distance from Center / mm 40 60 Effect of standoff distance on coverage distributions using Φ4mm nozzle (Case1~Case5). 100mm 120mm 150mm -60 -40 -20 0 20 Distance from center / mm 40 60 Effect of standoff distance on coverage distributions using Φ7mm nozzle (Case11~Case13). Fig. 6 Schematic illustration of shots velocity distribution. (2) (3) ここで,�� と�� はカバレージのピークを表す定数,σ と R はピーニングの影響範囲を示す定数である.いずれの定 数もスタンドオフ距離 Lo,圧力など施工条件で変化する. Fig. 3 100mm 110mm 120mm 130mm 140mm Fig. 5 3.2 カバレージ分布の関数化 カバレージ分布は Fig. 4 と Fig. 5 に示すように釣鐘状 の分布となっている.この形状を関数化するため,次の 2 つの関数の適用を検討した.ガウス分布を式(2)に,Cos 関数を式(3)に示す.いずれの関数も 2 つの変数で釣鐘状 の分布を表現可能である. �� � �� ⁄��� � � ����� � � ⁄�� � � 大紀 Pressure measurement result of Case2. x はノズル中心からの距離である. 代表的なケースとして Case2 と Case12 に対して,ガウ ス分布および Cos 関数で係数をフィッティングした結果 を Fig. 7 に示す.いずれのケースもカバレージ分布の形 状をガウス分布,Cos 関数共に概略一致する.細かく見 ると,Case2 では中心部分では計測値ではカバレージ分 布がほぼ一定の領域があるが,ガウス分布,Cos 関数共 に均一領域は関数の特性から表現できない.しかし,誤 差は小さいため,実用上は問題ないと判断した.一方, Case12 のようにビーズが十分に広がった条件では,ガウ ス分布,Cos 関数共によく一致する.本研究の試験条件 では中心から離れた位置でのカバレージ分布はガウス分 布が Cos 関数に比べて,計測結果に近いため,ガウス分 布を採用した. ― 3 ― − 97 − ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 Coverrage / % ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Measurement Gauss Cos -60 -40 Pressure:0.3MPa Lo:110mm -20 0 20 Distance from center / mm 40 60 Fig. 9 Coverrage / % (a) Case2 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Fig. 7 Pressure :0.25MPa Lo:120mm Case1~Case5 および Case11~Case13 の関数へのフィテ ィングした場合の定数,ܽ と σ を Fig. 8 に示す.ܽ は 100mm から 150mm の範囲で減少する.一方,σ は 100mm から 150mm の範囲ではほどんど変化がない.この傾向 は Fig. 4 と Fig. 5 に示したカバレージ計測結果と一致す る. Measurement Gauss Cos -60 -40 -20 0 20 40 Distance from center / mm 60 (b) Case12 Comparison of coverage distribution between measurement and fitting functions. 25 20 σ 15 10 Nozzle:φ4mm 5 0 Nozzle:φ7mm 0 50 100 150 Standoff distance / mm (a) 200 ai 3.3 重ね施工時のノズルピッチの影響 ノズルを用いたショットピーニングでは広い面に施工 する場合,ピッチ Xo を変えて重ね施工を行う場合が多 い.そこで,ノズルを固定して,感圧紙を移動させるこ とで重ね施工を実験を行った.試験の模式図と試験パラ メータを Fig. 2 に示した. φ4mm のノズルを用いて,Xo を 30mm で重ね施工を 実施した場合(Case9)の感圧紙の計測結果を Fig. 9 に示 す. 2 回の施工のピッチ Xo が狭いと図に示すように施 工の隙間がなく均一化なカバレージが得られる. Fig. 10 には Xo が 30mm と 40mm の場合のカバレージ 分布を示す.ノズル中心は 1 回目が-15mm と-20mm, 2 回目が+15mm と+20mm である.Fig. 9 に示したように Xo=30mm では 2 回のノズル中心間(-15~+15mm)の 間ではほぼカバレージが均一になっている.一方, Xo=40mm では 2 回のノズルの間(0mm 付近)にカバレ ージの低い領域が発生した.重ね施工におけるカバレー ジ分布を予測するため,式(2)に示したガウス分布を適用 した.2 回のピーニングにおける重なり部のカバレージ の計算式として,式(4)を導入した. 300 ܥሺ௫ᇱሻ ൌ ͳ െ ൫ͳ െ ܥଵሺ௫ᇱሻ ൯ ൈ ൫ͳ െ ܥଶሺ௫ᇱሻ ൯ 250 200 ai 150 100 Nozzle:φ4mm 50 0 Fig. 8 Pressure measurement result of Case11. Nozzle:φ7mm 0 50 100 150 Standoff distance / mm 200 (b) σ Relation between standoff distance and constant in Eq. (2). (4) ここで,C 1(x') は 1 回目のピーニングで計算される位置 x' でのカバレージ,C2(x') は 1 回目のピーニングで計算され る位置 x'でのカバレージを示している.x'は x±0.5Xo で ある. 式(2)と式(4)を用いて計算したカバレージ分布を Fig. 10 に示す.式(2)と式(4)を用いることで,Xo=30mm では -15~+15mm の範囲でカバレージがほぼ均一になり, Xo=40mm では 0mm 付近にカバレージの低い領域が発生 することを計算可能であることを確認した.Fig. 11 には φ7mm のノズルで Xo=30mm の場合のカバレージの計測 値と式(2)と式(4)を用いた計算結果の比較を示すが,ノズ ルが異なっても両者は一致する.このように簡便な式で ― 4 ― − 98 − 太田高裕・大津浩太郎・平賀大記 太田 高裕 大津 浩太郎 平賀 大紀 重ね施工後のカバレージ分布を表現できることは,施工 ピッチ Xo 設定のために有効である. Coverrage / % 3.4 カバレージ分布への傾斜角の影響 Fig. 2 に示したように板を傾斜させた場合のカバレージ 分布を調査した.計測結果を Fig. 12 に示す.横軸の-側 がノズルに近い側,+側がノズルに遠い側になるように 傾斜させている.θ=20 度では傾斜によるカバレージ分布 の変化は明確ではない.一方,θ=40 度ではピーク付近で カバレージは右下がりに減少しており,左右対称となっ ていない. 傾斜した板にピーニングする場合にスタンドオフ距離 が場所により変化する.そこで,位置 x のスタンドオフ 距離����= �+ ��� �で計算した(Fig. 2 参照). 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 �� � �������� ⁄��� � � ����� � � ��������� � � Gauss(Xo=30mm) Gauss(Xo=40mm) -60 -40 -20 0 20 40 Distance from center / mm 80 Effect of nozzle pitch on coverage distributions using Φ4mm nozzle (Case9 and Case10). Measurement Coverrage / % Gauss 4.まとめ -80 Fig. 11 -60 -40 -20 0 20 Distance from center / mm 40 60 80 Comparison of coverage distribution between measurement and Gauss function (Case14). θ=0deg(Gauss) θ=20deg θ=20deg(Gauss) θ=40deg θ=40deg(Gauss) 100 90 80 Coverage / % 60 (2)' 式(2)'において,������� ,σ(L(x))を Fig. 8 の実線で実験結 果を外挿して,計算を行った.計算結果を Fig. 12 に示す. 計算結果において,傾斜の影響は少なく,θ=0 度とほと んど差がない結果となった.一方,実験で確認された中 央部付近のカバレージの低下は Fig. 13 に模式的に示す 跳ね返ったショットとの干渉であると考えられる.θ=20 度では影響が少ないため,カバレージ予測には適用可能 である.θ が大きくなると,式(2)'では跳ね返ったショッ トの影響は考慮できないため,今後 CFD などを活用した 数値解析により検証する必要がある. Xo=40mm -80 interfere in shot stream. Lo=110mm において,θ=40 度では x=-40mm で L(x)=76mm, x=+40mm では L(x)=143mm と大きくスタンドオフ距離 L(x)が変化する.傾斜した板でのカバレージ分布を予測 するため,式(2)おける定数,�� ,σ を L(x)の関数として 取り扱う. Xo=30mm Fig. 10 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Fig. 13 Schematic illustration of 70 吸引式のサンドブラスト装置を用いて,カバレージ分 布と施工条件(スタンドオフ距離,傾斜角,重ね施工) の関係を調査し,カバレージの関数化を行った.得られ た結果を以下にまとめる. (1)カバレージ分布は感圧紙を用い,光度評価を行う ことで簡便に計測できることを確認した. (2)スタンドオフ距離 Lo=100~150mm において,シ ョットピーニングにおけるカバレージ分布は以下の関数 で模擬できることを確認した. �� � �� ⁄��� � � ����� � � ⁄�� � � 60 50 40 �� = �� � �� � ������⁄��� 30 20 10 0 -60 Fig. 12 -40 -20 0 20 Distance from center / mm 40 Comparison of coverage distribution between measurement and Gauss function. 60 ここで,�� と�� はカバレージのピークを表す定数,σ と R はピーニングの影響範囲を示す定数,x はノズル中 心からの距離である. (3)決定した関数を用いて,ノズルピッチを変化させ た2回の重ね施工後のカバレージ分布を表現できること を確認した. ― 5 ― − 99 − ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 ショットピーニングにおけるカバレージ分布の計測と関数化 4) 飯田喜介,当舎勝次:ショットピーニングのエリアカ (4)傾斜した板への施工に対して,式(2)のガウス分布 の定数ܽ と σ をスタンドオフ距離の関数とすることで, カバレージ分布を表現できることを確認した.但し,傾 斜角 θ が大きい場合は,板に衝突後に跳ね返ったショッ トの影響で,ノズル中央部付近のカバレージが減少する 事象が発生しており,式(2)では表現が難しいことを確認 した.今後 CFD などを活用した数値解析により検証する 必要がある. 5) Bagherifard, S., Glelichi, R., Guagliano, M. : On the shot 参考文献 6) Nguyen, V. B., Poh, H. J., Zhang, Y. W. : Predicting shot バレージについて-噴射加工の研究(第 1 報)-, 精密機械 peening surface coverage and its assessment by means of finite element simulation Proc. Int. Conf. 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