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外国人労働者の人権と自由権規約百規約
特集1 はじめに 起きている。 本に対する戦争責任への謝罪と戦後補償を求めるうねりが 日本の敗戦後四六年を経た今日、アジアの人びとから、日 「従軍慰安婦」問題、日本の戦争責任を肩代わりさせられ たとも言える「B・C級戦犯」問題、在韓被爆者問題等、 犠牲者補償がなされてはいない。朝鮮の女性を中心とする 「国際化社会」を考える場合には、日本がアジアの人び とに一一、○○○万人以上の人的犠牲を強いた侵略戦争の痛 苦な反省と、戦争責任・戦後補償を真蟄に果たしつくすこ とが前提である。しかしながら、旧日本軍に徴兵q徴用さ れ戦死傷を負った在日韓国・朝鮮人には、未だ一銭の戦争 てのODA(政府開発援助)」等々・ いる。「国際貢献としてのPKO活動」「国際経済援助とし ら「国際化」や「国際貢献」という言葉が声高に叫ばれて 丹羽雅・雄 外国人労働者の人権と自由権規約百規約) IIIIlI 絢 瑚生きた国際社会の中で、日本社会が果たすべき役割は何 くか・ 約 蝋四、一岫仇加牌錺議掴鮴Ⅲ螢欺鴫蝋埴燗馴姉 明していろ。このうちアジア地域から入国した総数は一一一六 蠣万四、一一一七一一一人で、前年比では二○・八パーセントの増加 初であった。また、日本人の海外への出国総数は、一九九○ 棚年度では一、○九九万七、四一一一一人で、前年比一一一一・八パ 人-セントの増加である。以上の数字からも明らかなよう 胴に、現代社会は、「モノ」、「カネ」のみでなく、「ヒト」 1の国際的移動も顕著である。昨今、日本政府や経済界等か 』■旧■■■0△■■IcI?0.011Ⅱ このような曰本社会をめぐる現状の中で「国際化社会」 を考える場合に、今一度、日本国憲法で唱われた次の文言 を深く心に刻む必要があろう。 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を 地上から永遠に除去しようと努めている国際社会におい て名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の 国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生 存する権利を有することを確認する」(日本国憲法前文) 日本は、この憲法規範と人権の国際的保障の歴史的すう 勢の中で、国際人権規約A規約、B規約を批准した。国際 人権規約B規約の前文では、「人類社会のすべての構成員 の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めること 対して、人権を守り差別のない社会を保障しているのであ ろうか。 という)との関連で考察することにする。 以下、在日韓国・朝鮮人の人権問題は別稿にゆずり、特 にアジア地域から滞曰する外国人労働者の人権状況を、市 民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」 一、滞日外国人労働者の現状とその背景 1実態 外国人労働者に関する実態調査は、主として摘発に関す 者の日本社会における地位を端的に示していろ。以下入国 管理局(以下入管局と略す)の摘発統計を参考にしてその る統計によらざるをえない。このこと自体が、外国人労働 実態を考えてみる。 が世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであ る」と宣言され、国際社会における基本原則が、個人の尊 厳・基本的人権の尊重と内外人平等であることを明らかに 法務省入管局によって、資格外活動及び資格外活動がら していろ。 みの超過残留者(以下「超過残留者等」という)として摘 発された一九九○年度の総数は、二万九、八八四名であり、 一九八九年度と比較すれば七九;九パーセントの増加であ った。国籍別では、バングラデシュ(五、九二五名)が初 しかしながら、曰本国憲法や国際人権規約が規定する基 本的人権の尊重と内外人平等原則は、はたして日本社会に おいて実現されているのであろうか⑲在日韓国6朝鮮人や めて一位となり、以下韓国(五、五三四名)、マレーシア 台湾人llいわゆる旧植民地出身者に対して、日本社会は いかなる対応をしているのであろうか。またアジア地域等 境が破壊され、公害を輸出されたり、生態系自体も破壊さ ば、第三世界は、農産物や鉱産物等の第一次製品を安く輸 出し、高い工業製品を輸入せざるをえない経済構造であっ たこと、特に第一次産品の価格操作や市場が日本企業を含 む多国籍企業によって独占されていたことが掲げられる。 また、曰本企業を含む多国籍企業の進出によって、自然環 戦前の曰本を含む「先進諸国」の植民地支配と、戦後にお ける「先進諸国」の「第三世界」に対する社会的、経済 的、政治的関係から作り出されたと言える。概括的に言え ・八、中国六一一一・八、パキスタン六○・一、タイ一二・○、 フィリピン一一一一一一・四である。かかる経済格差は、主として い背景としてまず掲げられなければならないのは、南北問 題に帰因する経済格差である。一九八八年度の一人当たり のGNP格差は、曰本と比較して、バングラデシュ一一一三 外国人労働者が生活のため職を求めて来曰せざるをえな 2背景 働者の労働・生活実態もほぼ同様のものと恩われ盃 統計を基に外国人労働者(超過残留者等)の実態を明らか にしたが、一一○万人を超えると言われる滞曰する外国人労 人身売買、売春の強要、暴行、賃金不払、ピンハネ、監禁 等の人権侵害事例が数多く報告されている。以上は、摘発 から生活と職を求めて滞曰する外国人労働者とその家族に (四、四六五名)、フィリピン(一一一、八八六名)、タイ(一、 四五○名)、中国二、一四一一名)と続き、島根県と宮崎 県を除く四五都道府県において、五八ケ国の外国人労働者 が摘発されている。従来は、東南アジア地域が主であった が、一九九○年度では、西南アジア地域だけではなく、一 四ヶ国のアフリカ地域も含まれている。このうち、男性の 摘発者は、二万四、一七六名で全体の八○・一パーセント に及んでいろ。 法務省入管局によって判明した夕彼ら、彼女らの稼働内 容は、男性の場合、工員が七、六一一○名で男性全体の四五 二一パーセント、建設作業員が六、七七四名で男性全体の 四○・一一パーセントである。白木の青年層がつきたがらな いいわゆる「一一一K(きつい、きたない、きけん)」労働に 従事し、人手不足に悩む中小企業を支えている。女性の場 合は、ホステスが一一、六○二名で女性全体の五五・六パー セント、工員が六一四名で一一一一・一パーセントであり、近 時、店員、ベビーシッター等の職種の多様化を示してい る。年齢層は、一一○歳以上一一一五歳未満が全体の七一・一一パ ーセントであり、青年層が中心である。 稼働の契機は、リクルーター等の斡旋業者が関与してい る場合が多く、六八パーセントに及んでいる。 特に暴力団がらみの仲介業者が関与している場合には、 「~、 2 3外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) れたりした地域が数多く存在する。、 これらによって、第一次産業である農業や漁業が疲弊 し、小作人を中心とする農民は、職を求めて都市に流入す るが、就職口がなく、多数の人びとが失業状態となってい ること、彼ら。彼女らは、生活のため、止むなく海外に出 また、曰本の性風俗産業は、アジアの女性達を欲してお り、日本男性の性搾取の対象ともなっている。 一一、自由権規約(B規約)と外国人労働者 を前提にして、以下自由権規約からみた外国人労働者の具 以上の、日本における外国人労働者の実態とその背景論 体的な人権状況を逐条的に述べることにする。 稼ぎに行かざるをえなくなっていることがある。また、ア ジア諸国では、政府自体が外貨獲得のため、「海外出稼ぎ 害を受けている。低賃金、賃金不払い⑩中間搾取、労災 の人びとに対する差別意識も相俟って、数かずの人権侵 的在留資格を有しないことや、日本社会におけるアジア H第七条(非人道的、品位を傷つける取扱いの禁止) アジア地域から滞日する外国人労働者の多くは、合法 1個人の尊厳 労働者輸出政策」をとっていることも海外出稼ぎ労働者を 生み出す要因となっている。 更に、第三世界共通の問題として、日本を含む「先進諸 国」からの「借款」問題がある。フィリピンの例をとれば、 フィリピン政府の「借款」はすでに、二一一○○億ドルで、利 ある。このように、経済格差の主要因は、曰本を含むP先 子のみで毎年三四億ドルを支払わなければならない現状で 進諸国」の「第三世界」に対する社会、経済、政治構造 事故の隠蔽、長時間労働等の劣悪な労働条件下で働かさ れている人びとが多い。とりわけ、アジア女性の場合に 告されている。例えば、ある韓国人学生の場合、彼は日 り、f監禁、暴行などの被害を受けている事例が数多く報 は、人身売買によって来日させられ、売春を強要された (南北問題)にあるといわなければならない。日本の経済 的「豊かさ」は、アジア地域の経済的「貧しさ」の上に成 り立っているといっても過言ではない。 次に、日本社会において、人手不足に悩む中小企業を中 た。ところが、同じ飯場の日本人労働者によって、態度 本にいる実母を頼って来曰し、三重県の飯場で働いてい 心として、外国人労働者に対する雇用需要が存在すること である。今や日本の下請産業にとっては、外国人労働者は 本の労働法令等にも違反する人権侵害がある以上、彼ら ・彼女らの人権を保障することが最大の課題である。 ざるをえないのが実態である。自由権規約に違反し、日 「不法就労」の発覚によって強制退去や、刑事罰(超過 残留では一一一年以下の懲役若しくは禁固又は三○万円以下 の罰金)を受けるのを恐れて、ほとんどが泣き寝入りせ 日本の労働基準法や最低賃金法、労災保険法等の労働 諸法令は、「合法」「不法」を問わず、外国人労働者にも 適用されろ。また刑法、売春防止法等も存在する。しか し、彼らC彼女らは、「合法」在留資格がないことから、 府は、滞日アジア女性に対する具体的な救済措置を執ら ずにこれを放置し、ひたすら「不法就労者」として「強 制退去」を繰り返しているにすぎない。 確立を検討すること、の決議を行った。しかし、曰本政 国は、これらの搾取防止のための国家機関ないし制度の の搾取防止のため密接に協力すること③すべての加盟 障をすべきこと②受け入れ国と女性の母国は、これら 隷的状態における搾取を受けぬよう女性を守るための保 同部会は、①出稼ぎ女性の受け入れ国は、売春ないし奴 連人権小委員会現代奴隷制作業部会に報告されていろ。 この「ラパーン事佳は、一九八八年八月に開かれた国 の暴行を加え脅迫し続けた人権侵害事例である。 無くてはならない存在になっていろ。 が悪い(言葉がよく通じない)という理由で集団暴行を受 け、緊急入院させられた。加害者との交渉の過程で彼の 「給料明細書」を見ると、内容不明な項目によって多額 のピシハネがなされていた。また、あるタイ女性のケー スでは、リクルーターによって来曰させられ、暴力団が らみの事務所二階アパートに閉じ込められて、六ヶ月間 売春を強要されていた。彼女らは、六ケ月の間に一度だ け、雪を見に外へ連れ出してもらったのみで、あとは一一 階部屋に閉じ込められて監禁状態であった。この様なケ ースの場合、逃亡を防止するためパスポートを経営者が 保管している場合が多い。彼女らには給料は全く支払わ れていなかった。 これら外国人労働者に対する人権侵害事例は、明らか に非人道的、品位を傷つける取扱いであり、本条に違反 することは明らかである。更に女子差別撤廃条約や、人 身売買禁止条約にも違反する。: ロ第八条(奴隷及び強制労働の禁止) 名古屋市南区のスナック「ラパーン」で発生した、フ ィリピン女性に対する監禁、暴力等事件は、現代奴隷労 働・強制労働を端的に示している。スナックの経営者ら が、女性達を「座敷牢」の中に監禁し、売春を強要する のみでなく、売春をいやがる女性に対しては、殴る蹴る iIl1 4 5外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) 6 7外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) をしなければならないものではない。しかし、他の犯罪 由に逮捕・勾留する「別件逮捕」が数多く報告されてい (大麻、放火等)を取調べるために「不法残留罪」を理 第九条(身体の自由と安全) ような取扱いは、明らかに「懇意的な逮捕」といえるも る(浦和地裁一九八九年一○月一二曰判決参照)。この 2外国人と刑事手続 同条二項は、「逮捕される者は、逮捕の時にその理由 更に同条三項は、被拘禁者に対して、「妥当な期間内 のである。 を告げられるものとし、自己に対する被疑事実を速やか に告げられる」と定められていろ。自由権規約における 刑事手続に関連する規定(第九条、第一○条、第一四条、 住所が判らないとき」(刑事訴訟法)を容易に適して保 に……釈放される権利」を保障する。しかし、曰本の保 釈を許可しない場合が多い。同条は、逃亡のおそれ、公 釈運用は、外国人労働者の場合に、「被告人の氏名又は 外国人の場合、日本語を理解しない人びとも数多い。 判廷への不出頭のおそれを類型化したものであるが、外 適用されろ。 ところが、日本の刑事司法の実状は、逮捕状や勾留状、 国人労働者であることから直ちに「逃亡のおそれ」を類 第一五条)はいずれも、国籍を問わず「すべての者」に 起訴状、公判手続、判決内容等について、被疑者・被告 どの程度の期間曰本に住所を定め生活をしているの 推することは不当である。 か、身柄引受人はどのような人物か等を適正に評価して 人が理解できる言語による翻訳文が添付されてはいな れても読むことができず、その逮捕理由を知ることがで 保釈の可否を決めるべきである。 い。外国人のほとんどが、日本語による逮捕状等を示さ きないpこのような実状は、外国人の被疑者・被告人に しい。 同条三項㈹は、「裁判所において使用される言語を理 口第一四条(公正な裁判) 対して、刑事手続の全過程を知る権利を保障しないに等 同条一項は、「何人も、窓意的に逮捕され又は抑留さ 訳の援助を受けること」を規定する。外国人被疑者・被 解すること又は話すことができない場合には、無料で通 告人の場合、捜査・公判の全過程において、自らの防禦 れない」と規定する。ところが、「不法残留罪」は、そ ・勾留の法律上の要件があっても、必ずしも身柄の拘束 の法定刑等からみて、いわゆる重大犯罪と言えずへ逮捕 る。自由権規約は、この趣旨を受けて、「無料で通訳の 橇が保障されるためには、通訳人の援助が不可欠であ をえない事実が報告されている(外国人の量刑問題研究 量刑(判決内容)においても、不平等取扱いといわざる ■ⅡⅡ■■■■■Ⅱ■▼no△屯1。「心I己口・旧■刀7△や助ロー▲句凸凸孔切ⅡⅢ旬■ヨ■■■■▼八○quqIⅡ■■可剋q11℃0口F0nH辺勺I剤Q-EqI『ご■Ⅵ■・弓。■・’4■▲HPdlqt■●■T0U0D1d’0;・0|『‐00山泗■■■1冊9.J‐ごI0NIJ0.01‐1,-10-1.屯‐口。。I‐・・」Ii4 援助を受けろ」権利を保障していろ。しかしながら、曰 から同八七年一○月までの間に、東京地裁において窃取 会)。同会が調査したところによると、」九八四年一月 関する判決内容をみると、外国人被告人計九九名、日本 回数二回以下、窃取金額五○万円未満の窃盗被告事件に 本の刑事司法の実状は、取調警察官が通訳人も兼ねてい たり、:検察官の取調べについても、同一の捜査官通訳人 は、日本人被告人の二倍以上に及んでいる。 (実刑率四一一一・二%)であった。外国人被告人の実刑率 のは外国人八八名(実刑率八八・九%)、日本人九六名 人計二一一一一名のうち、各判決において実刑判決となった が配置されたりしていろ。また、公判段階においても、 適正な法定通訳人の数が少ないこともあって、未だ、公 平で能力のある通訳人による適正な通訳を受ける権利が 保障されているとは言えない実態である。 外国人被告人に対しては重い刑罰を課すというのは極 に侵害しているのは言うまでもない。 めて不当であり、「公正な裁判を受ける権利」を明らか ドイツ人の被疑者で英語は日常会話程度であるのに、 英語の通訳がなされ、英語による読み聞けも十分になさ れずに日本語で調書が作成され、供述内容も誤っている 自国領事館・大使館との通報や信書の発受を始め、家族 有の尊厳を尊重して、取り扱われ」なければならない。 外国人被拘禁者の処遇原則は、「人道的かつ人間の固 口第一○条(自由を奪われた者の待遇) 例などが報告されていろ。 すべての者は、刑事手続において平等に取扱われ、適 しかし、不当な起訴や不当な量刑等の不平等取扱いも多 は、職員が理解できるかぎり許可するとしており、職員 正な手続に従って、公平な裁判を受ける権利を有する。 い。アジア系の外国人の場合、前科・前歴もなく、三、○ が理解できない言語の場合には、面会が許可されないと いう不当な取扱いとなる。 ならない。しかし、行刑当局は、家族との外国語の使用 や知人との面会や信書の発受も十分に保障されなければ ろというように、日本人の場合なら起訴猶予相当事案に ○○円の口紅を万引きし、店を出たところで逮捕され、 被害品も還付されているにもかかわらず、逮捕・勾留の 後、起訴され、懲役一○月、執行猶予三年の判決を受け もかかわらず、容易に起訴される場合も数多い。また、 また、外国人の被拘禁者の処遇については、被拘禁者 よる刑罰も存在する(入管法)。パスポートの取り上げ を取り上げられている。その実態は、逃亡防止であるこ は、外国人労働者に対する明らかな人権侵害であろう。 とが多い。パスポートも常時携帯義務があり、不所持に で、外国人被疑者が、御飯と梅干しの朝食が喉を通ら の言語・宗教・食事・習慣その他文化上の違いを配慮し ず、「パンとコーヒーがほしい」と頼んだが取り合って ないことから、彼らは入管局や警察官による摘発におび ロアジア系外国人労働者の多くが、合法就労ピザを有し 設備がなく手がしもやけで出血するという例も報告され からないという不安も頭から離れません」「今でも夜は す。曰曜曰もアパートの中でじっとしています」これ 絶対、外出しません。警察官の職務質問が怖いからで え、不安の日々を送っている。「いつ入管に捕まるかわ る現状と課題を明らかにするため、一九九一年二月八 は、パキスタンのカラチ大学で経済学を専攻したが、就 職ロがなく止むなく曰本に働きに来ているA・アハマド 曰本に在留する外国人は、上陸した曰から九○曰以内 は確かに豊かです。しかし、私たちアジア人への差別は さんの言葉である。彼はまた、次のように言う。「曰本 に外国人登録申請をしなければならない(外国人登録 の顔を見ただけで取り合ってくれないし、電車の中でも すごい。アパートを借りようと思っても、不動産屋は私 らを返したようになる」と。現在、大阪地方裁判所にお 私の横に座る人は少ない。これが欧米人だったら手のひ いて、民族名を明らかにしたことによって、マンション この証明書を常に携帯しなければならず、違反すれば刑 由権規約一一一条一項の移動の自由の制限となり、同条項 氏の「入居差別」裁判が争われている。在日韓国・朝鮮 の入居を拒否された在曰韓国人(特別永住者)、襄建一 また公超過残留者の場合、多くの人びとが、雇用主や 人に対してすら、アパート等の入居拒否による住居権侵 する入居差別は、ますます増加している。 害は後を絶たない。外国人労働者や留学生、就学生に対 曰同条二項の出国の自由は、一時的な出国をも含むもの で、外国人にも適用されると解される。また、同条四項 は、「自国に戻る権利」を規定する。との「自国』とは、 国籍国のみならず定住国をも含むと解釈されるのが正当 である。ところで入管法は、再入国の許可制度を設け、 在日韓国・朝鮮人(特別永住者)に対しても適用対象と していろ。法務省の見解は、許可行為は広範な自由裁量 行為であるとする。〃在曰〃の人びとに対して、》再入国 許可制度を適用することは、その歴史性と生活実態から 。》》 みて不省であろうp超過残留外国人の場合、「出国の自 由」は強制退去と重なり合う。たとえ、日本社会におい て家族を有し生活基盤を作ろうとも、滞在の期間の長短 を問わず、再入国許可は出ない。強制退去でも、一年後 売の入国は許容されるのが法の建前ではある。しかし、一 である。 年後の再来日の場合ですらブラックリストに登録されろ などによって、「ピザ」発給は困難をきわめるのが実状 4第一三条(外国人の追放) 外国人に対する強制退去に関して、ザ現在大阪地方裁判所 基盤を根こそぎ奪うだけではなく、一リちゃんの教育を受 弁護団の主張は、①ヨランダさんは、一○年にわたって 日本で生活をし、②マリちゃんは、日本人の父親を持ち、 日本で生まれ育ち、曰本の幼稚園、公立小学校に入学して いる9③強制退去は、ヨランダ・マリ母娘の日本での生活 令書発布処分取消訴訟が提起された。 訴訟、Aとヨランダとの離婚等身分関係の調整がなされ た。ところが、大阪入管局は、ヨランダ・マリ母娘に対し て、超過残留者として強制退去令書を発布して来た。直ち に弁護団が結成され、強制執行停止仮処分申立と強制退去 も心変わりして他の女性と結婚してしまった。その後、B によるマリの認知、マリとAとの間の親子関係不存在確認 マリちゃんを出産。その後、ヨランダさんはBと共に、A との離婚を申し入れたが、協議が難行した。その内に、B 発給を受けられず、短期ピザにて再来日した。大阪にて、 曰本人男性Bと知り合い、妊娠。出産準備のためいったん フィリピンに帰国したが、Aの妨害によって配偶者ピザの た。ところが、Aの暴力に耐えかね、大阪に来る。そこで において、強制退去令書発布処分取消訴訟が争われていろ (フィリピン母娘、ヨランダ・マリ事件)。ヨランダさん は、一九八一年八月にフィリピンから興行ピザで来日し、 徳島市内で働いていたが、日本人男性Aと知り合い結婚し リクルーター等によって、紛失防止と称してパスポート に違反すると言わざるをえない。 罰の制裁がある。このような外国人登録法の規定は、自 法汚そして、外国人登録証明書の交付を受けた後は、 3第一二条(居住、移動、出国の自由) 手続を保障するための各種方策を提一一言した。 (3) 日、シンポジウムを開催し、外国人に対して適正な刑事 ている。大阪弁護士会は、「外国人と刑事手続」に関す もらえなかったとか、暖国出身者に対して、冬期に暖房 た取扱いがなされなければならない。しかし、代用監獄 1 8 9外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) 10 11外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) 現在、裁判所に対して「公正な裁判を求める署名」が一 である。 万五、○○○名分を超えて提出された。小学校の教職員や 立小学校に入学した)念日本との密着の度合いが強い。I 厳、幸福追求権を侵害し、非人道的取扱いであり憲法・国 保護者、居住地の住民を中心に、ヨランダ・マリを地域社 ける権利を奪い、「子どもの最善の利益」に反し、父親と 際人権法に違反する等である。国側は、一貫して、「入管 会に迎え入れ、共に生きる社会が着実に礎かれている。 義兄弟との家族離散を生み出す、④強制退去は、個人の尊 めのものではない」「マリは幼児・学童であり、母親に養 「何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対し 尊重) 5第一七条(プライバシー、家庭、住居、名誉等の 行政は日本国と曰本国民のためのものであり、外国人のた 育されるべきである。母が退去事由にあたる以上、子供も 退去されるべきである」と主張する。曰本の入管行政が、 て窓意的に若しくは不法に干渉されない」。外国人労働者 国益中心主義で、「広範な裁量」の名のもとに、ほぼ一律 に超過残留者を追放するならば、かかる国家行為は、自由 とその家族に対しても本条項が当然に適用される。 ところが近時、大阪。ミナミで働く外国人の間で「偽装 ない。入管行政においても、国際人権規範がその判断基準 の重要な要素とならなければならない。一九九○年一二月 権規約を始めとする国際人権法に違反すると言わざるをえ 二五日、大阪地裁は、ヨランダ・マリ母娘に対して、一審 問カード」を作成し、「パスポートを見せてくれ」等の街 頭職務質問やマンションなどの巡回訪問を始めた(九一年 結婚」が発覚したことで、大阪府警は、外国人向けの「質 いわく、①ヨランダさん母娘が本人の希望に反して曰本で 二月八曰朝日朝刊)。外登証やパスポートを所持してい 判決までは強制退去しないとする執行停止決定を出した。 の生活を奪われ、居住の自由にかかわる回復不可能な損害 シーを明らかに侵害する。「偽装結婚」の場合も、その内 を受ける、.②マリにも実父の曰本人男性と会うことが困難 容は千差万別である。あっせん業者の金もうけのために、 る。警察による過度の取締りは、外国人労働者のプライバ 中で在留期間を超えたのは、出産を間近に控え、父親の曰 ない場合、住居まで同行して、事実上の捜索を行う例もあ 本人男性と結婚する見込みがあった、④マリは日本語しか 「不安定な在留資格」という弱みに付け込まれたアジアの となる、③ヨランダは最初は合法的に日本に来ており、途 話せず、小学校に入学する予定で二九九一年四月から公 本の法律や生活情報を知らないために権利救済を受けられ 外国人労働者を多く受け入れているドイツ・フランスに おいても、近時、外国人労働者排斥運動が極右グループに にある。 近時、建設現場で、日本人労働者からフィリピン労働者 に対して、「ピン公」と言う差別的言辞が投げかけられ ろ。また、大学施設内の壁に、「外国人労働者は日本から 出て行け」という差別落書も発見されていろ。日本社会の アジアの人びとに対する排外的差別意識は、未だ根強く存 在する。外国人労働者問題の重要な課題の一つは、かかる 日本社会の排外意識を変革し稲アジアの人びとと、異なる 文化を尊重し合いながら、共に生きる社会をいかに礎くか 7第一一○条(戦争宣伝及び憎悪の唱導の禁止) ク」を、一八言語で作成準備中である。 ない場合が多い。曰本政府や、地方自治体は、外国人の人 権保障のために、彼ら。彼女らの理解できる言語によって、 「外国人人権ハンドブック」を作成し、これら情報を周知 する必要がある。しかし、曰本の行政当局は、日本の法制 度や、医療、住居等の生活情報を適正に、彼らに提供して はいない。このような状況の中で、大阪弁護士会は、人権 》侵害を防止し、権利保障のための「外国人人権ハンドブッ 女性達も多い。彼ら.彼女らのプライバシーを含む人権尊 重の視点こそ必要である。 また、マスコミによる「外国人労働者の犯罪報道」にも 問題は多い。外国人労働者の増加に伴い、外国人労働者の 犯罪も増加する傾向はある。しかし、曰本人の犯罪と比較 して決して多発しているわけではない。増してや、外国人 犯罪が凶悪犯罪化しているわけではない(前記の一一’八 「外国人と刑事シンポ」の際、大阪地裁の聞き取りにおい ても同趣旨の回答であっ堕・ しかし、マスコミの多くは、外国人の犯罪の場合に、見 出しを大きく、かつ衝撃的に記載することで、あたかも 「治安悪化」を強調するような論調も多い。先に引用し た、A・アハマドさんは次のように言う。「日本政府は私 たちのような外国人が増えると、犯罪が増えろと言います が、これは差別意識の裏返しです。家族のために、その家 族と別れ、日本へ来ている私たちに、どうして犯罪なんか 起こせるでしょうか」と。 6第一九条(意見及び表現の自由) 現代社会において、表現の自由を実質的に保障するため には、「知る権利」が重要である。外国人労働者の多く が、賃金不払いや売春強要等の人権侵害を受けながら、曰 みという契約で来曰した。ところが、「研修」とは名ばか 七人は、現地において、月八万五千円の手当で、休祝曰休 1カンパニーから派遣された「研修生」である。彼女達二 ト、フランスは一九八五年で一六五万八千人で全体の六・ りで、誰民間コンピューター情報会社のオペレーターとし 現地リクルーターによってフィリピンに設立されたペーパ 六パーセントI労働省職安局編『今後における外国人労 て、休日なしの一二時間労働を残業手当なしで二ヶ月間強 よって起こされている。(西ドイツは一九八六年で外国人 働者受入れの方向』参照。ちなみに、日本における合法外 要された。更に、契約に反して手当は月額六万三千円。重 労働の末、三人が頸腕症にかかった。「研修生は労働者で トにすぎない)。 差別は人間に対する冒涜である。国連加盟国一六六ヶ国 法、労働基準法、労働組合法、労災保険法等は、合法「不 も、労働者としての労働基本権は保障されない。最低賃金 法」を問わず、労働者であれば外国人にも適用がある。し はない」という入管法の下では、実態が労働者であろうと 政府は、国際的責務として、人種差別撤廃条約を早期に批 中、既に一三○ケ国が批准している人種差別撤廃条約を日 准し、差別防止に向けた国内立法措置を講じるべきであ かし、「研修生」には、これら労働諸法令は適用されない。 彼女らは、使用者側の「研修生」という名の「安上がり労 結社の自由と労働組合を結成し、これに加入する権利が保 :合法、「不法」を問わず、すべての外国人労働者には、 の権利を獲得して彼女達は帰国した。しかし、フィリピン 彼女達は立ち上がったのである。団体交渉の末、一定程度 ば、資格外活動として強制退去の恐れがあった。しかし、 した。実態として労働者であり、労働者の権利を要求すれ 働者」扱いに耐えかねた末、九人が日本の労働組合に加入 障される。しかし、現実は、「不法就労」であることから、 では未だ彼女達の職場はない。彼女達は、曰本企業と日本 の法制度に対して、怒りを現した。しかし、同時に、彼女 できない人びとが多い。しかし、近時、勇気を出して権利 達を支え共に闘った曰本の仲間に対して深い信頼を寄せ 彼ら・彼女らの配偶者が死亡したり、離婚に至った場合、 近時、日本人と国際結婚をする外国人も多い。しかし、 る。 マリ母娘の事例の場合、彼女らが強制退去させられるなら ば、娘マリにとって、実父(日本人)と義兄弟との家族合 流の権利が奪われる。またマリの実父から扶養される権利 も侵害される。母娘の日本での生活基盤も根こそぎ奪われ 第一三条(外国人の追放)で述べたように、ヨランダ・ 国による保護を受ける権利を有する」 「家族は、社会の自然かつ基礎的単位であり、社会及び 9第一一三、一一四条(婚姻の自由と児童の権利) 問題は差別なく同等に保障されるべきものであろう。 ば排外的入管行政になりかねない。外国人労働者受け入れ ら、アジアの人びとは締め出し、曰系人は「血のつなが り」という理由で受け入れるという入管行政は、ともすれ のであろうか。曰系人労働者のほとんどは、一一世、三世で あり、国籍もブラジルやペルー等の外国籍であり、文化も 言葉も異なる人びとである。同じ「単純労働」でありなが た入管行政にまで「単一民族国家」幻想を持ち込んでいる た。アジア系外国人は「不安」な存在なのであろうか。ま いっても、日本人の子孫だ、という安心感がある」と述べ ■■Ⅳ田■〃、1■jn両■■■■、■■■皿月凹旧■■ⅢⅡⅡ■。▽い●▽|■■■■■Ⅳ■u旬刊冊凸一Ⅱ呵月ヤーJ房Lqワ05J〃1日■■RI0-J0l。Ⅱd1q□610■ 恥フィリピン女性である彼女達は、日本企業とフィリピン 曰系人労働者の受け入れにあたって、自民党外国人労働 者問題特別委員会委員長は次のような発言をしていろ。 「日系人は、同じ血がつながった民族だから、締め出すの は忍びない」と。また入管局幹部は、「外国人を入れろと においても、初年度の研修が、実務研修(労働)を伴う以 上、労働者に準じた権利が保障されるべきであろう。 を付与して就労を認める政策が検討されている。この場合 一九九○年六月一日の入管法の一部改正は、「単純労働 者」の締め出し政策を再確認した。しかし、曰本政府は、 人手不足に悩む中小企業の要請もあって、第一に、研修生 枠を緩和し多数受け入れる、第一だ、日系人労働者を「定 住者」として受け入れろ(現在、南米から約一五万人の日 系一一世、一一一世が来日していろ)、という政策をとっていろ。 しかし、「研修生」の受け入れは、一歩誤れば「最も安 上がりの労働者」の受け入れになりかねない。「研修生」 の人権を守るガイドラインの策定が急務である。また、研 修実態が労働である以上は、労働諸法令の適用ないし準用 がなされるべきであろう。一九九一年一○月、労】働省等の 四省の指導の下で財団法人「国際研修協力機構」が設立さ れた。右機構の指導に基づいて研修を行う企業と研修生に は、一年は「研修ピザ」、残りの一年は「特定活動ビザ」 た。 獲得のため立ち上がった例がある。 強制退去や刑事罰を恐れて、使用者に対して、権利を行使 8:第二二条(結社の自由、団結権) る。Li 本政府は未だ批准していない。自由権規約を批准した日本 国人労働者は在日韓国・朝鮮人を含んでも○・七パーセン 雇用者数一五九万一千人で労働人ロ全体の七・七パーセン nHI■■■皿Ⅱ!■■■HIDII■IIIIIIl,’’’11 12 13外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) 14 15外国人労働者の人権と自由権規約(B規約) 配偶者ピザはそれによって終了する。入管当局はや引き続 き安定した「定住者」等のビザを付与することなく、不安 定な短期ピザに切替える例も数多い。これでは、日本で長 年礎きあげた社会生活関係が奪われる恐れがある。「定住 者ピザ」等の安定的ビザが与えられるべきであろう。ま た、超過残留者と日本人との間や、超過残留者どうしの内 縁関係も多く存在する。彼ら.彼女らに子どもが生まれた 場合、子ども達の法的地位が問題となる。そして就学の権 利も問題となる。親の在留資格がどうであれ、子ども達の 権利は最大限尊重されなければならない。自由権規約の完 全実施と共に、子どもの権利条約の早期批准が要請され ろ。 Ⅶ第二五条(参政権) していない。 日本で生まれ育った在日韓国・朝鮮人に対して、日本の 法制度は国籍条項を設け、彼らに地方自治体参政権を保障 れろ。参政権保障は、国際的な流れでもある。 また、日本政府は地方公務員への就任権すら、一般事務 職について門戸を閉ざしている。在曰を始めとする定住外 国人に対して、公務就任権を含む地方参政権の保障が急が 「単一民族国家」論は幻想である。曰本社会には、アイ ヌ民族、在日韓国。朝鮮人、独自の文化を有する沖縄の人 びと、そして一一○万を超えるアジア諸国から滞日する外国 組織化は重要な課題である。 そして、民族教育を含む、文化的アイデンティティを保 障する具体的施策が実施されなければならない。日本語を 学ぶ識字学級の設立、母語と出身国の文化等を学ぶ施設の なければならない。 ず、彼ら・彼女らの基本的人権と文化的独自性は尊重され 外国人労働者とその家族の在留資格が合法か否かを問わ は、真の自由と民主主義は存在しない。 少数者(マィノリティ)の人権が保障されない社会に 加第二七条(少数者の権利) か。「 の者に「社会保険その他の社会保障」を平等に受ける権利 を保障する。日本社会は、人間として最少限度保障されな ければならない生存権すら奪おうとしているのであろう 条は、「生命の維持と回復しがたい健康被害の防止のため に緊急に必要とされる医療を受ける権利」を、不正規労働 者にも保障している。また、社会権規約第九条は、すべて の移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」第二八 ’ Ⅲ第一一六条(法の下の平等) の回答であった。 社会権規約(A規約)に関する事項について差別的取扱 いがあった場合は、本条にも違反する。外国人労働者に関 する問題で緊急に解決されるべき課題に、生活保護l緊 急医療扶助の問題がある。京都府八幡市に住んでいたフィ リピン女性ブレンダ・ガルシアさんは、くも膜下出血で倒 れて緊急入院した。医療費約一一一三○万円。彼女は超過残留 者で、社会保険に加入しておらず、入院費を支払う蓄えも なかった。彼女を支援する人びとが、同市福祉事務所に生 活保護の申請をしたところ、「厚生省から定住者以外の外 国人に生活保護の適用をしないよう行政指導を受けた」と しかし、一九五四年、厚生省は、「生活に困窮する外国 人の生活保護について」(同年五月八曰社発三八一一号社会 局長通知)とする基本通達を出しており、右通達は非定住 外国人にも生活保護の適用を認めており、この通達は現在 も有効である。そして、地方自治体においても、右通達に 従って、定住、非定住の区別なく、生活に困窮する外国人 に生活保護I医療扶助を適用して来た所もある.緊急医 療扶助は、人間の生存にとって必要最少限度の保障であ る。一九九○年三一月に国連において採択された「すべて に生活をしている。「国際化社会」はすでに地域社会の中 人労働者の存在。私達は諺異なる文化を有する人びとと共 から、「内なる国際化」として着実に始まっている。 三、差別なく、共に生きる社会を求めて 外国人労働者の多くは、家族のいる慣れ親しんだ自国で 働くことを望んでいる。生活苦から止むをえず職を求めて 来日しているのである。自由権規約第一条は、民族自決権 を規定する。すべての人民は、「経済的、社会的及び文化 的発展の権利」を有する。 外国人労働者問題の長期的課題は、彼ら・彼女らが、自 国において政治的・経済的に自決し自立できる環境を創出 することである。 そ問題とすべきである。 曰本社会も責任の一端を負う「南北問題」の是正が必要 である。日本政府は、ODA(政府開発援助)によって、 経済「援助」をしていろという。しかし、ODAの実態こ ODA贈与比率二九八九年度)をみれば、有償が五五 パーセントであり(利息つき)、開発援助委員会加盟国一 八ヶ国中最下位にすぎない。また、大規模プロジェクト中 心で、日本企業の利益にはなるが、地元住民や先住民への