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職住集合体 - 渋谷東二丁目第二アパート建替計画 -
Hosei University Repository 法政大学大学院デザイン工学研究科紀要 Vol.3(2014 年 3 月) 法政大学 職住集合体 - 渋谷東二丁目第二アパート建替計画 COLLECTION OF LIVING AND JOB A REBUILDING PROJECT : SECOND APARTMENT SHIBUYA-HIGASHI 2-CHOME 図師和晃 Kazuaki ZUSHI 主査 渡辺真理 副査 赤松佳珠子 法政大学大学院デザイン工学研究科建築学専攻修士課程 In residential facilities and business facilities the just-completed in the individual, it is not able to respond to a variety of demand.Therefore, using the rule that adds meaning to the flow line space to share, we propose the job and living space corresponding to the multi-use space as + α of the individual in this plan. Key Words : housing, office, share, various demand 1.背景 いる。また周辺地域のマンションや中小オフィスビル 産業革命以後、人口の都市集中などから合理性を重 には SOHO ワーカーや 10 名以下の小規模なベンチャー 視し個で完結・均質化といった住居施設・業務施設が 企業が数多く入居している。 多く建てられてきたが、多様な住まい方・働き方が一 般化してきた今日では、それらの施設では需要形態に 対応できていないのが現状である。特に東京都心では 高地価などにより必要最低限以外の空間を確保するこ とは困難であり、空間の利用方法が制限されてしまっ ている。それは面積に余裕のない単身者の住居や小規 模のオフィスでより顕著にあらわれている。 図 1 敷地写真 図 2 敷地現状 そこで共有する動線空間に意味を付加していくこと で、個の空間+αとして多用途に対応する職住空間を (2)渋谷東二丁目第二アパート 提案していく。本計画では目的が決められた内部の機 計 画 敷 地 に 建 つ 既 存 建 物 は 1969 年 に 建 設 さ れ、14 能的空間を部屋空間、それらをつなぐ無目的・多目的 階建て管理戸数 338 戸を有する都営住宅である。1 階 な動線空間を接続空間と定義づけます。 部分は都営バス車庫を兼ねたピロティになっており、 ラーメン構造 1 スパン毎にバス 2 台、住戸 2 戸を配置 2.計画敷地 していることから均質で没個性的なプランになってい (1) 計画敷地概要 る。 各 住 戸 ユ ニ ッ ト は 34 ㎡、2DK と 均 質 な が ら 単 身 計画敷地は渋谷・恵比寿・代官山の駅からほぼ等距 者から 5 人家族までが生活を送っている。(図 2) 離に位置し、 恵まれた立地ながら渋谷川・明治通り・ JR 山 手 線 な ど 都 市 イ ン フ ラ に よ っ て、 周 囲 か ら 切 り (3)都営バス 離された都市のヴォイドとして存在している。(図 1) 都営バスの利用者は減少傾向にあるが、渋谷営業所 渋谷区の人口は約 214,000 人(平成 25 年 9 月時点)で、 では赤坂や六本木といった都内随一の繁華街・オフィ 年齢別分布を見ると全国に比べ 20 代~ 30 代の割合が ス街などを経由するため今後も一定の需要が望まれ 非 常 に 多 く、 平 均 世 帯 人 数 も 1.65 人 と 若 者 の 単 身 住 る。またマイカー依存が落ち着いたことや、高齢者増 まいが特に多い地域の一つとなっている。 加に伴い、コミュニティバスやデマンドバスといった 渋谷周辺から恵比寿北部はビットバレーと呼ばれ、情 都営バスよりも小規模で、利用者を特定するような交 報産業やサービス業を中心とした産業が多く存在して 通インフラの導入が必要だと考える。 Hosei University Repository (3)内部計画 3.設計 (1)設計概要 ク ラ ス タ ー 理 論 よ り 20 ~ 30 戸 で 1 つ の コ ミ ュ ニ 敷地:東京都渋谷区東 2 丁目 25 ティを形成する。1 コミュニティごとに共有のリビン 敷地面積:8900 ㎡ グ・キッチン・トイレを配置するとともに 5,6 台の車 規模:地上 14 階、S 造 をカーシェアすることで関係をつくる。 建築面積:3545.5 ㎡ (Max 5340 ㎡ /60% ) 共有部である接続空間は、時間帯により使われ方が異 延床面積:30944.6 ㎡ (Max 35600 ㎡ /400% ) な る。 昼 間 は オ フ ィ ス ワ ー ク や 打 ち 合 わ せ を 行 う 場 プログラム:住戸×オフィス(300 ユニット) が、夜間には住人の交流の場へと変化する。 高齢者施設(デイケア)、保育施設 交通インフラ 部屋空間 都営バス、コミュニティバス、 カーシェアリング 外部空間 カーシェア 接続空間 リビング・キッチン・トイレ (2)全体計画 現状のプログラムである都営バス営業所の機能を残 図 5 構成ダイアグラム しつつ、コミュニティバスやカーシェアリングを導入 することで都市交通の拠点となる。また電気自動車を 導入することにより、騒音や排気といったネガティブ + αの機能を持たせた接続空間に対し、 部屋空間との の要素を取り除くことができ、自動車と生活空間をよ 関係性を考える。入れ子の構成を用い、垂れ壁や腰壁 り密接にすることが可能となり、コミュニティを形成 による仮想境界面を組み合わせることで部屋空間と接 する一つの要素に成り得る。 続空間の境界を曖昧にし、両空間の中間領域を機能に またバスが占有していた地上レベルは、昼間は広場空 合わせ設けることで個で完結しない多様な住まい方を 間として人々に開放されるとともに、コミュニティバ つくり出す。そのような境界部には生活の特徴が滲み スが運行することで自由に行き来できる場が上階まで 出てくることで関係が生まれる場所となる。 拡大することが可能となる。 public private public private semi private 図 6 入れ子構成によるグラデーション化 図 3 交通インフラとの共存 図 7 仮想境界面によるグラデーション化 図 4 シーン:インフラとの共存 図 8 シーン:部屋空間の境界 Hosei University Repository 図 9 GL+13500,GL+17000 平面図 図 10 断面図 謝辞:この修士設計をまとめるにあたってご指導くだ 参考文献 さった渡邉眞理教授、副査の永瀬克己教授、赤松佳珠 1) 岸本章弘 :NEW WORKSCAPE 仕事を変えるオフィスの 子准教授、坂本一成先生に深く感謝いたします。 デザイン , 弘文堂 ,2011 また、設計の過程で協力してくださった同期生・後輩 2) 渡 辺 真 理 , 木 下 庸 子 : 集 合 住 宅 を ユ ニ ッ ト か ら 考 の皆様に感謝と御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせ える , 新建築社 ,2006 ていただきます。 3) 山本理顕 : 地域社会圏主義 ,LIXIL 出版 ,2012