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人と接するロボットのための位置・力制御技術
人と接するロボットのための位置・力制御技術 九州大学 工学研究院 准教授 菊植 亮 位置制御されるロボットは,動作中に人に接触したり人に押しのけられたりした場合やその直後に, 振動やオーバーシュートなどの危険な挙動を示すことがあります.本発表では,通常動作時の正確で 速応性の高い制御と,異常発生時の穏やかで安全な挙動とを両立する位置制御技術を紹介します. この技術は,安全で操作性の高い遠隔操作や,安定した力制御などへも応用可能です. 従来の位置制御則: PID制御 非常にシンプルで成熟した技術 ⇒ 実用的 ロボットの動特性・関節摩擦・その他外乱を,力ずくで 押さえ込む ⇒ 実用的 接触・外乱・停電などによって位置誤差が大きくなった 直後,振動・オーバーシュートなどが発生 ⇒ 人がいる環境で危険! 新しい位置制御則:PSMC (プロクシベースト・スライディングモード制御) 応用例:マスタスレーブ方式での遠隔操作 操作者の指令に 正確に追従 関節トルクと手先 速度に制限 急激な動作をしな いので安全 人間の動作との親和性 PSMCによる弱い 力のアシストで, 位置決め・軌道 追従作業の精度 と効率がアップ PID制御と同等の正確さ 力制御にも応用可能 =局所的には素早く応答 PSMCの位置制 (動特性を力ずくで押さえ 御ループを内部 込める) に持つ力制御 広域的にはゆっくりと応答 トルク飽和時も (安全) 滑らかに挙動 = トルク飽和時の穏やか な応答特性(高い安全性) を実現 その他の要素技術 ゲイン調整にはPID制御の ノウハウが生かせる 位相遅れが小さいノイズ除去フィルタ 摩擦をキャンセルする制御技術 摩擦・接触を含むシミュレーション技術 ◆ 発表論文◆ [1] Kikuuwe, et al.:“Proxy-Based Sliding Mode Control: A Safer Extension of PID Position Control,” IEEE Trans. Robotics, 2010. [2] Kikuuwe et al.:“A Guideline for Low-Force Robotic Guidance for Enhancing Human Performance of Positioning and Trajectory Tracking: It Should Be Stiff and Appropriately Slow,” IEEE Trans. Systems, Man, & Cybernetics, Part A: Systems and Humans, 2008. ≪問合せ先≫ 九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門 Phone: 092-802-3174 准教授 菊植 亮 Email: [email protected]