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静岡実験動物研究会 平成 28 年度大会プログラム

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静岡実験動物研究会 平成 28 年度大会プログラム
静岡実験動物研究会
平成28年度大会プログラム
<第46回総会>
<第44回研究発表会>
平成28年10月7日(金)
第46回総会13:00〜
特別講演
13:30〜
第44回研究発表会15:00〜
懇親会17:30〜
会場:静岡市産学交流センターB・nest(ビネスト)
〒420-0857静岡県静岡市葵区御幸町3番地の21
ペガサート6階・7階 TEL:054-275-1655
大会担当幹事:静岡大学理学部
【会 場】
静岡市産学交流センター B・nest(ビネスト)
ペガサート 6 階・7 階(セノバ西横)
〒420-0857 静岡県静岡市葵区御幸町
3 番地の 21 ペガサート 6 階・7 階
TEL:054-275-1655
URL:http://www.b-nest.jp/default.html
【受 付】
受付開始 : 12:30~受付場所 : B・nest(ビネスト)
6F入口
参加者全員、受付をすませ名札をお受け取り着
用ください。
参加費 : 2,000 円(懇親会無料)
参加費は当日受付にてお支払い下さい。演者の
先生は無料です。
【懇親会】
開始時刻
: 17:30〜
場所
: クーポール会館
懇親会出欠について : 受付時に懇親会出欠の確認をさせていただきます。
1
静岡実験動物研究会 平成28年度大会プログラム
開始時刻 No.
講演タイトル
演者
所属
座長
事業報告・会計報告・事業計画・予算他
総会
13:00
特別講演
13:30
休憩
企業展示
研究発表
15:00
1
マウス精巣性テラトーマ形成の新規原因遺伝子の探索
宮嵜 岳大
15:15
2
世戸 孝樹
15:30
3
薬剤誘発性大腸炎モデルを用いたtranilastの
大腸炎症抑制作用および体内動態評価
神経障害性疼痛時に発生する皮膚血流障害のメカニズム
の解明
企業展示
マウスの発生工学とテラトーマ研究40年
休憩
15:45
16:00
4
16:15
5
協和発酵キリン株式会社東京リサーチパーク
動物実験施設における省エネルギー活動
16:30
6
マーシャルビーグルのソシアライゼーションプログラム
野口 基子 元 静岡大学理学部教授
石田 裕丈
静岡大学
創造科学技術大学院 バイオサイエンス専攻
大石 巧
ボゾ
静岡県立大学薬学部
リサーチ
薬物動態学分野
センター
静岡県立大学大学院
薬食生命科学総合学府
薬理学教室
自転/公転ミキサーを用いた投与液調製法-低回転条件- 倉谷 沙綾
2
徳元 俊伸
静岡大学
興和株式会社 富士研究所
奥村 浩
安藤 博司 協和発酵キリン株式会社 協和発酵
キリン
東京リサーチパーク
株式会社
安倍 宏明 マーシャル・バイオリソー
シス・ジャパン(株)
< 特別講演 >
マウスの発生工学とテラトーマ研究40年
野口 基子
元 静岡大学理学部教授
昨年の早春、L.C.Stevens 博士(米国、元 The Jackson Lab)が95歳の天寿を
全うされました。現在使われている ECC(胚性癌細胞)、ES(胚性幹細胞)更
に iPS(人工多能性幹細胞)への流れは先生が樹立された精巣性テラトーマ高
発系 129/Sv 系マウス(1951)とそこに発症したテラトーマから始まっています。
大層シャイな方でご自分のご功績を云々されずにリタイア後はお好きな自然
とお酒を楽しまれてお過ごしでした。ご冥福をお祈り申し上げます。私にマウ
スのテラトーマ研究の糸口をお与え下さり、マウス研究の神髄をお教え下さっ
たことに感謝申し上げます。
私が「テラトーマ(奇形腫)」という言葉を初めて知ったのは、Developmental
Biology(1974))に掲載された先生の論文でした。この世にこんな奇妙な卵巣の
腫瘍(卵巣性テラトーマ)が有り、しかもマウスで先天性の多発系統ができた
のだ!と晴天の霹靂でした。これだ!とチャンスをいただき、国立遺伝学研究
所でバクテリアの研究をしていた故野口武彦(41歳で他界)と共に 1975-1976
年の約1年間 Stevens 先生の研究室へ留学致しました。研究所は日本では馴染
みが薄く、日本人の研究者は私たちの10年前にお一人,その十年前にお一人
といった具合でした。メイン州の大西洋に浮かぶ島(北海道の名寄市の緯度)
の人口1、000人程の小さな町の、国立公園の自然に囲まれた海沿いの静か
な避暑地にあり、この立地の意味がマウスファーストのクリーンな飼育環境と
取り扱いの実態にあることを知りました。また「実験動物、SPF 動物としての
マウス」の存在と新しい系統の開発や樹立の様子を知りました。様々な研究分
野の研究者間で自由な交流のもとに研究が行われており、その背景には、パー
トの飼育関係者全てに遺伝学のコースを受講させ、日常的な作業の中で、新し
い変異を見つけていく姿勢を養っているなど目から鱗の驚くことばかりでし
た。私立の小さな研究所で財源はマウスを世界中に販売した収入と寄付や助成
金でしたから、外部への PR 活動も活発に行われ、科学研究は世間に説明責任
のあるものですとのことでした。夏には国内外から学生を受け入れ研究の経験
をさせており,その中からノーベル賞受賞者が出たりしていました。研究をサ
ポートするシステムや土台が広く深くしっかりとしていて,例えば,論文とし
て公表される部分はほんの一部分であると言う研究のあり方の余裕の実態を
知りました。
歴史的な一面にも出会え、先生が長年マウスの腹腔に継代移植していた ECC
の幹細胞と正常胚から正常なキメラマウスを Dr.Mints 等(1975 年)が作り出し,
雄なのでテリートムと名付けたとの手紙を見せてくださいました。胚性の癌細
3
胞は正常な胚の環境におくと正常に分化するのだという事実とキメラマウス
と言う証明法の存在に圧倒されました。論文として発表されると世界中に衝撃
が走り、その後 DNA の取り扱いの進展と共にたちまち冒頭に述べた新しい研
究の大きな流れが始まった訳です。
先生は毎日マウスの切片標本を忍耐強く観察され、ECC の起源の細胞が始源
生殖細胞であることは既に示されていましたが、「自分は既に峠を越えている
ので、テラトーマ高発系マウスを日本に持ち帰り研究してよい。」ということ
で、宝の山に入った気分で実験動物を用いる研究に何が大事かを学ばせていた
だき、私達のライフワークの方向は決まりました。
帰国後、飼育環境を整えることと研究費の確保が大問題でした。研究費獲得
のため若手の研究者達と「発生工学」という新しい呼び名の研究分野を立ち上
げ、次第に認知されて様々な研究費に支えられました。クリーンな実験動物飼
育施設を理学部に建てていただけ真に感謝しております。
私達はテラトーマ形成の仕組みを明らかにする目的で、高発系マウスの沢山
の個体を扱えることを活かして、変異遺伝子の交配導入による関連系統の樹立
を進め、発生工学的手法を工夫し、キメラマウス、胎仔の再構成精巣、再構成
卵巣、卵巣移植、胎仔生殖巣器官培養、組織培養、始源生殖細胞の培養等の方
法や装置の先駆けをしてきました。時代の流れで DNA 解析も用いて、ter(後に
Ter)遺伝子のマッピングや、ett1 等テラトーマ形成遺伝子の発見に至り、日本
動物学会の Zoological Science Award(2001)を受賞でき、学生達のマウス
に取り組む毎日の努力が報われ嬉しく思っております。多くの皆様のご協力ご
支援に感謝申し上げます。
4
【研究発表会】 演題1
マウス精巣性テラトーマ形成の新規原因遺伝子の探索
宮嵜 岳大 1, 髙林 秀次 2, 加藤 秀樹 2, 野口 基子 1, 徳元 俊伸 1
1
静岡大学創造科学技術大学院, 2 浜松医科大学 医学部付属 動物実験施設
129/Sv-Ter/+ 系統のマウスは自発的精巣性テラトーマ(spontaneous testicular teratoma; STT)
を形成することが知られている。テラトーマとは始原生殖細胞起源の腫瘍の事で、この系統
では 3 胚葉性の様々な組織を形成する。2005 年にテラトーマの原因遺伝子として考えられて
いた Ter 遺伝子が 18 番染色体の DND microRNA-mediated repression inhibitor 1 (Dnd1)と同定さ
れた(Youngren et al. 2005)。しかし、Dnd1Ter 変異を交配導入した他の系統(B6-Ter, LT-Ter)のマ
ウスではテラトーマは形成されず、生殖細胞欠損が起こり不稔になるだけであった(Noguchi
et al. 1996)。このことから、テラトーマ形成には他の遺伝子も関与している事が分かった。実
際に Dnd1Ter 変異を持たず自発的に精巣性テラトーマを形成しない 129 系統でも 12.5 日胚の
胎仔精巣を成体精巣に移植することによってテラトーマ(実験的精巣性テラトーマ)形成を誘
発できることが報告されている(Stevens, 1964)。
当研究室ではこの実験的精巣性テラトーマ(experimental testicular teratoma; ETT)に注目し研
究を行っている。この ETT 形成の原因遺伝子が存在する領域 experimental testicular teratoma 1
(ett1)を 18 番染色体の 66.3〜67.4Mb と同定し(Miyazaki et al. Mamm Genome, 2014)、その中の
候補遺伝子 Melanocortin 4 receptor (Mc4r)にミスセンス変異を発見したことは昨年の本研究会
ですでに報告済みである。
本年度はさらにゲノム全体のマッピング解析を進め、3 番染色体と 7 番染色体に新たな候
補領域 ett2, ett3 を同定した。ett2, ett3 候補領域は ett1 領域とは違い、この領域が他系統(LTXBJ)
に組換わった時に ETT の形成を促進する。
また、テラトーマ形成系統である 129/Sv-Ter 系統とテラトーマ非形成系統である LTXBJ
系統のエクソーム解析を行い、それぞれの候補領域に 129 系統特異的な変異を見つけた。
さらに、テラトーマ形成の原因遺伝子であると考えられていた Dnd1Ter 変異と ett1 領域を持
つ LT-Ter/ett1 二重変異体を作出し、自発的にテラトーマを形成するかどうか調べた。その結
果、生殖細胞の欠損が起きるのみでテラトーマの形成は見られなかった。このことから自発
的精巣性テラトーマを形成するには ett2, ett3 領域が 129 系統の遺伝的背景である必要性が示
唆された。つまり、テラトーマ形成には Dnd1, ett1, ett2 と ett3 の 4 遺伝子の変異が必要であ
ると考えられる。
今後は CRSPR/Cas9 システムを用い、ssDNA による相同組換えにより同じ変異を野生型系
統に導入したトランスジェニックマウスを作出し、テラトーマ形成に関わる原因遺伝子の同
定を進める。原因遺伝子の同定により、自発的精巣性テラトーマの形成機構の解明を目指す。
5
【研究発表会】 演題2
薬剤誘発性大腸炎モデルを用いた tranilast の
大腸炎症抑制作用および体内動態評価
世戸孝樹,加藤滉基,塚田遼太,兼子裕規,鈴木寛貴,佐藤秀行,尾上誠良
(静岡県立大学 薬学部 薬物動態学分野)
【目的】Tranilast (TL) はケミカルメディエーターの遊離抑制および増殖因子の産生抑制作用を有
するため,TL は炎症性腸疾患 (inflammatory bowel disease; IBD) 治療への応用が期待できる.本
研究では 2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid (TNBS) 結腸内注入により作製した大腸炎モデルラット
を用いて各種バイオマーカー解析による TL の大腸炎症抑制作用ならびに大腸炎症下での TL
の体内動態を評価し,TL の有用性について精査した.
【方法】2 日間絶食後,ラットに TNBS 溶液を単回結腸内注入し,大腸炎モデルを作製した.TL
(1–10 mg/kg) を大腸炎症惹起 2 日前から 9 日間 1 日 2 回反復経口投与した.TNBS (40 mg/kg)
直腸内注入 7 日後に大腸を摘出し,結腸組織の hematoxylin-eosin および peroxidase 染色による
組織学的観察ならびに結腸中の myeloperoxidase (MPO) 活性の測定により摘出大腸の炎症評価を
行った.さらに大腸炎モデルに TL (10 mg/kg) 経口投与時の血清中 TL 濃度をモニタリングし,
大腸炎症による TL の体内動態の変化について評価した.
【結果・考察】大腸炎モデルを作製するための TNBS の投与量を決定すべくラットに TNBS (40,
50 および 100 mg/kg) 溶液を結腸内注入した.TNBS (50 および 100 mg/kg) 投与群において 3
日以内に約半数のラットが死亡したが,TNBS (40 mg/kg) 投与群では大腸摘出日まで死亡例を認
めなかった.TNBS (40 mg/kg) 結腸内注入 7 日後に結腸の粘膜組織の破壊ならびに粘膜下組織お
よび筋層の肥厚を確認し,TNBS 非投与群の約 3 倍と粘膜下組織の有意な肥厚を認めた.さらに
TNBS 投与群では結腸組織中で顕著に炎症性細胞が浸潤し,TNBS 非投与群と比し炎症性細胞数
は約 5 倍有意に増加し,また好中球性炎症の指標である MPO 活性は約 2 倍有意に上昇した.
したがって,TNBS (40 mg/kg) を本研究における大腸炎惹起の投与量として設定した.TL (1–10
mg/kg) 反復経口投与群では TNBS 投与に起因する結腸組織像が用量依存的に改善し,TL (10
mg/kg) 反復経口投与群で正常結腸に近い組織像を示した.さらに TNBS 投与に起因する炎症性
細胞の結腸組織への浸潤を用量依存的に抑制し,TL (10 mg/kg) 反復経口投与群で炎症性細胞数の
増加を約 60% 抑制し,MPO 活性の上昇を約 90% 有意に抑制したことから,TL 反復経口投与
による大腸炎症抑制作用を示唆した.TL (10 mg/kg) を単回経口投与した際,TNBS 投与群におけ
る TL の最高血清中濃度,消失半減期および AUC0–inf といった薬物動態学的パラメーターは
TNBS 非投与群と比して有意な差を示さなかった.一方で TL 経口投与後 6 時間以降の血清中
TL 濃度が高値となる傾向を示したが,TNBS 投与に起因する結腸の炎症性変化が TL 経口投与
時の TL の全身曝露に与える影響はあまり大きくないと考える. 以上より,TL は現在も患者が
増加し続ける IBD に対する新たな治療薬候補としての応用が期待でき,より良い IBD 治療法の
提供のために TL の有用性向上を指向した製剤検討を進めている.
6
【研究発表会】 演題3
神経障害性疼痛時に発生する皮膚血流障害のメカニズムの解明
石田裕丈、古川琢麻、齊藤真也、石川智久
(静岡県大・薬)
【目的】神経障害性疼痛は難治性の慢性疼痛疾患であり、有効な治療が確立されていない。その
理由として、病態発生のメカニズムが明らかとなっていないことが挙げられる。神経障害性疼痛
において疼痛ケ所と同領域で皮膚血流障害が発生することが報告されている。しかし、この
血流障害は疼痛との因果関係はおろか、その発生機序すらも明らかとなっていない。そこで、
本研究では絞扼性坐骨神経損傷モデルラットの摘出足底動脈を用いて、血管収縮応答性の亢
進機序を解析した。
【方法】7 週齢の Wistar 系雄性ラットの坐骨神経をブレイドシルクで絞扼した。手術 4 週間
後にレーザードップラー血流計を用いて皮膚血流量を測定した。また、足底動脈を摘出し、
等尺性収縮、real-time PCR 法にて mRNA 量を測定した。
【結果・考察】正常足側に比べて術足側では足底部中央付近での皮膚血流量が減少していた。摘
出足底動脈のアゴニスト反応性を確認したところ、ノルアドレナリン(NAd)と U44619 の濃度反
応曲線(CRC)の pD2 は正常足側に比べて術足側では低濃度側にシフトした。電位依存性 Ca2+
チャネル阻害薬 nifedipine または Rho kinase 阻害薬 H-1152 を作用させたところ NAd の CRC
は依然として術足側では低濃度側にシフトしていた。次に Ca2+ ionophore である A23187、お
よび nifedipine、2-APB 存在下で Ca2+の累積投与を行った。正常足側、術足側どちらも収縮は
生じたが、その CRC の最大反応は術足側で有意に増強されていた。次に、Na+-Ca2+ exchanger
(NCX)阻害薬 KB-R7943 を作用させたところ正常足側の NAd の CRC が左方シフトし、術足側
の pD2 と有意な差が見られなくなった。NCX の mRNA を測定したところ正常足側と術足の間
で有意な差は見られなかった。細胞内の Na+動態を制御するチャネルやトランスポーターを
阻害する Amilorideを作用させたところ、正常足、術足側どちらの NAd の CRC も右方シフ
トし pD2 に有意な差は見らなくなった。術足側において細胞外からの Na+流入によって NCX
を介した Ca2+排出が低下していた。そのことで、術足側ではアゴニストに対する収縮応答性
が亢進した結果、血流障害が発生していることが示唆された。
7
【研究発表会】 演題4
自転/公転ミキサーを用いた投与液調製法-低回転条件-
倉谷沙綾,吉村 陽子,川島 理沙,山口 則和,天野 幸紀,
奥村 睦男
興和株式会社 富士研究所
[目的]
昨年の本研究会で、自転・公転真空ミキサーを用いることにより、薬物調製の自動化が可能であ
ると判断され毒性試験に適用できる可能性について報告した。しかしながら、調製後の液温上昇
によると考えられる状態悪化が認められるなど問題点も散見された。そこで、今回は液温上昇に
よる状態悪化を抑制する目的で、低回転数とし粒子径及び状態に及ぼす影響について検討した。
[方法]
調製法:モデル薬物としてインドメタシン(IND)を選択し、秤量後、自転/公転ミキサー(ARV-310、
㈱シンキー)専用容器に入れジルコニアボール(1mm)と0.5%MCを加え混合し懸濁液とした。
回転条件:高回転 自転1000rpm、公転2000rpm
低回転 自転 500rpm、公転1000rpm
測定項目:粒子径(粒度分布計(レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置)
液の状態変化
[結果]
① 低回転で調製した調製液は、高回転に比べ液温の上昇は抑えられた。
② 粒子径は何れの条件においても、同定度(10μm以下)であった。
③ 低回転条件での調製時間は、高回転に比べ延長した。
[結論]
自転/公転ミキサーを用いた投与液調製を行う場合、機器の回転数が液温を上昇させ、調製液の状
態に影響を及ぼすことが明らかとなったが、低回転とすることで抑制される可能性が示唆された。
本調製法を毒性試験に適用する場合、予め化合物の物性等を十分把握する必要があると思われる。
8
【研究発表会】 演題5
協和発酵キリン株式会社東京リサーチパーク動物実験施設に
おける省エネルギー活動
安藤 博司 1)國 麗子 1)、大澤 英之 2)、池田 健一 2)、尾崎 寿一 3)、奥村 浩 1)
協和発酵キリン株式会社 東京リサーチパーク 施設管理グループ 1)、キリンエンジニアリン
グ株式会社 2)、株式会社ジェー・エー・シー3)
【背景】昨今の ECO 活動への関心の高まりから、これまで聖域化されていた研究施設におい
ても様々な省エネルギー施策が計画・実践されつつある。中でも動物実験施設は、実験環境
の維持に莫大なエネルギーを必要とするため、設備の仕様と利用実態に合わせた適切なエネ
ルギーマネジメントが求められている。動物実験施設において省エネルギー施策を計画する
場合、最もエネルギーを消費している空調仕様を最適化すること、特に換気風量の適正化は、
効果的な対策の一つである。一方で換気風量の削減は、様々な環境項目(温度、湿度、臭気、
清浄度等)への影響が懸念されることから、削減の影響を慎重に見極めながら実施する必要
がある。以上の背景より我々は、当動物実験施設(協和発酵キリン株式会社 東京リサーチ
パーク)での適切なエネルギー消費を実現するため、必要な実験環境に配慮しつつ、可能な
範囲での換気風量削減に着手した。
【方法】実施に先立ち、必要な換気風量を熱搬送等の観点から理論的に試算した結果、現行
の換気回数(約 20 回)が過剰である事が明らかとなった。そこで一部エリアを活用して模擬
試験を実施し、削減可能な換気風量を検証した。その結果、最大△50%削減した場合でも、飼
育室および実験室の温度、湿度、臭気、清浄度に大きな変化が認められなかったことから、
施設全体での換気風量△50%削減を決断した。
【結果】風量削減は、特別な設備改造を伴わない風量調整のみで概ね達成できた。消費電力
については、計画通り大幅な削減が確認できている。一方で施設内の温度、湿度、臭気、清
浄度については、削減前後で大きな変化は認められず、必要な実験環境が十分維持できてい
る。削減実施後、実験従事者からの苦情も頂戴していないことから、利用者へ負担をかける
ことなく、エネルギー消費の削減が実現できた。
【考察】動物実験施設は、その特殊性から安易に仕様を変更する事が難しく、時々変化する
利用実態に合わせて運用を見直す事も大変な労力を必要とする。一方でこれらの事実は、運
用に携わる我々が知恵を絞ることで様々な改善を提言・実行していける余地があることも意
味している。今回我々は実施にあたり、設計図面の確認、設備の能力・利用状況の把握、検
討すべき環境項目の抽出・測定、動物福祉への配慮、AAALAC 対応等、多角的に検討し、慎重
に作業を進めた。本実施事例の要点を報告させていただくことで、設備や環境の異なる他施
設の皆さんの施設運用の参考としていただければ幸いである。
9
【研究発表会】 演題6
マーシャルビーグルのソシアライゼーション プログラム
安倍 宏明
マーシャル・バイオリソーシス・ジャパン株式会社
当社は 1939 年に米国ニューヨーク州にてフェレットの生産を開始した会社となり、ビーグルの
生産は 1962 年より、中国・北京では 2002 年より生産している。
ソシアライゼーション、社会順化はビーグルが社会を有する若齢の時期に実施する必要があり、
生産する施設のプログラムが重要となってくる。
昨今、動物福祉の高まり、環境エンリッチメントを付与していく状況から考えると、その重要
性はますます高まっていると考えられる。
ソシアライゼーションプログラムは犬同士、人を介して行う方法があり、その方法及び正の関
連付けにより実際、どのようなビーグルとなることが期待できるかについて紹介したい。
器材企業展示出展企業様(五十音順)
株式会社アニメック
株式会社ボゾリサーチセンター
日本クレア株式会社
日本チャールス・リバー株式会社
テクニプラスト・ジャパン株式会社
10
<静岡実験動物研究会入会案内>
「静岡実験動物研究会会則」をご熟読の上、入会申込書ご記入いただきまして事務局宛に E-mail、
Fax またはご郵送にてお送りください。折り返し払込込取扱票をお送りいたしますので、年会費
の払い込みをお願いいたします。
● 入会申込先
〒412-8513 静岡県御殿場市駒門 1-135
㈱中外医科学研究所内
静岡実験動物研究会事務局 伊藤宛
Tel:0550-87-8327 fax:0550-87-5219
E-mail:[email protected]
●年会費
Ø 正会員 1,500 円
静岡実験動物研究会会長殿
静岡実験動物研究会入会申込書
静岡実験動物研究会に入会したく、申し込みます。
フリガナ
氏 名
所属機関
部署名
住 所
〒
電話番号
ファックス番号
eメールアドレス
@
受取可
ニューズレターのメール配信
事務局記載
申請受理日
払込用紙発送
11
受取不可
名簿登録
会費払込確認
<静岡実験動物研究会会則>
第1条
第2条
第 3 条 第 4 条 第 5 条 第 6 条 第7条
第8条
第 9 条
第 10 条
第 11 条
第 12 条
本会は静岡実験動物研究会と称する。
本会は実験動物に直接関係のある業務に携わるものが、互いに実験動物・動物実験に
ついての知識向上を図り、併せてこの領域の進展に寄与することを目的とする。
本会は前条の目的を達成するために、次の事業を行う。
1.講演会、研修会
2.研究発表会
3.会報の発行
4.その他必要と認める事業
本会の事務局は、静岡県内におく。
1.事務局は庶務・研修会・会報の3つに分けておくことができる
2.事務局の担当者の任期は 4 カ年とする。
本会の会員は、次のとおりとする。
1.正会員は、実験動物に直接関係のある業務に従事し、本会の目的に賛同し、入
会申込書を提出した個人。
2.賛助会員は、本会の目的に賛同して、会長の承認を経て、入会申込書を提出し
た団体。
3.特別会員、名誉会員をおくことができる。
年会費は会員 1,500 円とし、賛助会員の年間費は 50,000 円とする。いずれも会計年度
当初に納入する。
退会しようとするものは、その旨を本会に通知する。ただし、当該当年度の会費を納
入するべきものとする。
本会に次の役員をおく
1.会長 1 名、会を代表し、会務を統括する。任期は 2 カ年とし、幹事が正会員、中
より候補者を選出し、総会の承認を得るものとする。
2.副会長 2 名、会長の会務を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代行す
る。任期は2カ年とし、幹事が正会員中より候補者を選出し、総会の承認を得る
ものとする。
3.幹事若干名、会務を分担処理する。任期は 2 カ年とし、正会員の互選により選出
する。
4.監事 2 名、会計を監査する。任期は 2 カ年とし、幹事が正会員中より候補者を選
出し、総会の承認を得るものとする。
5.顧問若干名、会長の諮問に応じ、本会の目的達成に必要な助言を与える。任期
は 2 カ年とし、会長がこれを委託する。
6.名誉会長をおくことができる。
総会は毎年一回開催し、本会の運営につき協議する。
会計年度は総会から次年度の総会までとする。
会則の変更は総会の承認を得るものとする。
本会則は昭和 46 年 10 月 30 日より施行、昭和 56 年 11 月 27 日一部改正、昭和 62
年 12 月 4 日一部改正、平成 2 年 12 月 7 日一部改正、平成 10 年 12 月 4 日一部改正、
平成 21 年 10 月 16 日一部改正する。
12
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