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2.道路 (PDF形式, 231.79KB)
Ⅱ.道 路 基準の適用対象 道路法に基づく道路などを基準の適用対象とします。ただし、以下に該当する場合、 基準に適合した整備が不可能な項目については、適用を除外できるものとします。 ・本基準に適合しない狭い歩道が設置されている既設道路において、今後、拡幅整 備をすることが困難な箇所 ・道路のこう配や沿道宅地との高低差等の事情により、本基準に適合した整備が困 難な箇所 ※道路上において工事を実施する場合、又は沿道の工事において道路使用をする場合 にも、本基準に基づき、高齢者や障害者などに対する配慮をしてください。 ※サイン類、視覚障害者誘導用ブロックについての基本事項は「V.情報・案内」を 参照してください。 103 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−1 歩道と車道の分離 整備の基本的考え方 (1)歩道と車道は、分離し、歩行者の安全を確保する。 (2)歩道と車道を分離する方法は、道路の諸条件を考慮し、選択する。 ①対象道路 ◎原則として幅員 8.0m以上の道路。ただし、車両がほとんど走行しないか、または、わず かな走行で、かつその走行速度が遅い道路などにおいて、他に安全対策が施されている 場合を除く。 ②分離の方法 ◎分離の方法は、マウントアップ、セミフラットまたは、フラット方式とし、これにより 難い場合は、他の方法による。なお、分離方法の決定にあたっては、附属物の整備を含 め以下の点を総合的に考慮する。 ・歩行者の安全対策 ・路面排水の処理対策 ・民地の高さ、道路の横断・縦断勾配 ・沿道の土地利用状況 ◎歩道等には、車道等(車道及び車道に接続する路肩がある場合の当該路肩をいう。)に接 続して縁石を設けるものとする。 ◎縁石を設置する場合に、その高さは 15 ㎝を標準とする。ただし、柵、植樹帯又は並木が 連続している等、歩行者の安全な通行が確保されている場合は、必要に応じ5㎝まで低 くすることができる。 ③その他 ◎歩道通行の安全性を確保するために、周囲の状況や歩道幅員に応じ、歩車道境界には防 護柵、植樹帯や並木を設置する。 104 A−1 歩道と車道の分離 105 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−2 歩道の幅員と勾配 整備の基本的考え方 (1)高齢者や障害者などが安心して通行できるよう、歩道の有効幅員は可能な限り広く 確保する。 (2)車いす使用者などの安全な通行のために、歩道の勾配(車両乗入れ部を除く)は、 可能な限り緩やかにする。 ①幅員 ◎車いす使用者同士が安心してすれちがえるように、原則として歩道の有効幅員は、2.0m 以上とする。 ○現状 2m未満の歩道については、順次、拡幅を図ることが望ましい。 ◎車いす使用者が通行できるように 1.0m以上の平たん部を連続して確保する。 ○歩道の有効幅員は、当該道路の高齢者、障害者などの交通の状況を考慮して定めること が望ましい。 ②勾配 ◎歩道の縦断勾配は、5%以下とする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむ を得ない場合においては、8%以下とすることができる。 ◎歩道(車両乗入れ部を除く)の横断勾配は、1%以下とするものとする。ただし、地形の 状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、2%以下とすることができ る。 ③設計上の配慮 ◎電柱、標識柱、街路灯、信号柱などの設置にあたっては、有効幅員を狭めないよう十分 配慮するとともに整理統合などにより、有効幅員をできる限り広くする。なお、幅員の 広い歩道の中央部に道路附属物を設置する場合には、視覚障害者に配慮する。 ○車両の乗り上げや不法占用物件により、有効幅員が狭められないようボラード(車止め) の設置、PRシートの敷設などにより配慮することが望ましい。 ○防護柵のボルトの突起、巻き込み部のエッジ及び支柱などが、通行者に危険を与えない よう配慮することが望ましい。 ○植樹帯、植桝の設置にあたっては、視覚障害者の直線歩行を妨げないよう配慮すること が望ましい。 ◎路面排水施設(雨水桝等)は、歩行者等の動線上に設置しない。なお、やむなく雨水桝 等を設置する場合は、細目のグレーチングを使用し、車いすのキャスターや杖の先端等 が落ち込まない構造を設けること。 106 A−2 歩道の幅員と勾配 歩道への乗り上げ駐車、自転車の放置はやめてください 歩道の幅は、車いすや杖を使う方も安全に通行できるよう配慮して整備していま す。歩道への乗り上げ駐車や放置自転車があると、通りづらくなったり、歩道から おりて車道を通らなければいけなくなってしまい、大変危険です。 平成12年度実施の身体障害者実態調査では、 「外出するときに、他の市民に理解 してほしいこと」として、最も多く選ばれた回答が「歩道に自動車を停めたり、自 転車を放置したりしないでほしい」というものでした。 107 108 A−3 横断歩道等 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−3 横断歩道等 整備の基本的考え方 横断歩道の整備にあたっては、歩行者の安全性などを考慮した場所に設置し、視覚障害 者の利用状況に配慮して、音響式信号機等をあわせて設置する。 ①横断歩道の整備 ○横断歩道は、歩行者の安全性・便利性などを考慮し、道路構造上安全な場所を選定し設 置することが望ましい。 ○視覚障害者の利用度が高い横断歩道には、安全に横断することができるように、横断歩 道内に視覚障害者誘導用ブロックを設置することが望ましい。ただしこの場合、歩道上 の誘導用ブロックとは識別できるような配慮をしなければならない。 ②音響式信号機 ○信号機が設置されている交差点の横断歩道で付近に視覚障害者の施設がある場合や、自 動車交通量が多いなど、視覚障害者の横断を支援するため特に必要と認められる場合は、 音響式信号機を設置することが望ましい。 ○設置にあたっては、視覚障害者の通行動線を確保するため、視覚障害者誘導用ブロック を設置することが望ましい。 ○視覚障害者の横断量を考慮するとともに、付近住民の理解と協力のもとに設置すること が望ましい。 ●横断歩道内の視覚障害者 誘導用ブロック 109 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−4 立体横断施設 整備の基本的考え方 横断歩道橋や地下横断歩道などの立体横断施設を設置する場合は、高齢者や障害者など が利用しやすい構造とする。 ①昇降方式 ◎利用者の状況により、階段、斜路付階段、斜路とする。この場合の勾配はそれぞれ 50% (1/2) 、25%(1/4)、12%(約 1/8)を超えてはならない。 ○常時、横断歩行者数が多い場所では、高齢者や障害者などの利用を考慮して、エレベー ターなどの昇降施設の併設も検討することが望ましい。 ②幅員 ◎横断歩道橋の最小幅員は、別表 1 の通りとする。 ◎地下横断歩道の最小幅員は、別表 2 の通りとする。 ◎立体横断施設設置後の歩道の残存幅員は、原則として 2.0m以上とする。 ③手すり ◎階段、斜路、踊り場、および通路部には手すりを設ける。 ○階段等以外の部分にも必要に応じて手すりを設けることが望ましい。 ○端部および要所には、現在位置などを点字で表示することが望ましい。 ③その他 ◎夜間に安心して利用できるように照明を設ける。 ◎地下横断歩道の出入口などには、必要に応じ行先などを明記した案内板を設置する。視 覚障害者の利用の多い場合は、点字案内板を設置する。 ○横断歩道橋の階段裏側に視覚障害者が衝突しないよう、柵などを設けることが望ましい。 110 A−4 立体横断施設 別表 1 横断歩道橋の最小幅員 別表 2 地下横断歩道の最小幅員 (単位:m) 昇降方式 通 路 の 最 階段等の最小幅員 小幅員 規定値 縮小値 (単位:m) 昇降方式 通 路 の 最 階段等の最小幅員 小幅員 規定値 縮小値 階 段 1.5 1.5 1.2 階 段 2.5 2.5 1.7 斜 路 2.0 2.0 1.7 斜 路 3.0 3.0 2.2 2.0 2.1 1.8 3.0 3.1 2.3 斜路付階段 斜路付階段 (注)既設の立体横断施設の階段を改造して斜路または斜路付階段とする場合の通路の最小 幅員は、横断者が少ない場合その他やむを得ない場合において 1.5m以上とする。 111 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−5 段差部の処理 整備の基本的考え方 (1) 歩行者の通行動線上における歩車道境界の段差は解消するが、視覚障害者が歩車道 境界を把握できる方法を確保する。 (2)交差点の横断歩道に向けての切り下げは、自動車に対する歩行者の安全、路面の排 水などを考慮のうえ、高齢者や障害者などが安全かつ快適に通行できるような構造 とする。 ①切り下げ勾配 ◎切り下げによって生じる勾配は 5%(1/20)以下とする。ただし、地形の状況その他の 特別の理由によりやむを得ない場合においては 8%(約 1/12)以下とすることができる。 ②勾配の方向 ◎切り下げによって生じる勾配の方向は、歩行者の通行動線の方向と一致させる。 ③切り下げ部の段差 ◎歩道等と車道との段差は、Eブロック(すりつけ用ブロック)により段差をなくす。 ④排水桝 ◎歩車道境界には、水が溜まらないように、街渠桝の設置位置、周辺の勾配に配慮する。 ⑤水平部分 ○信号待ちなどのため、切り下げた部分で車いす使用者が停止できるよう、可能な限り水 平区間を設けることが望ましい。 ⑥幅員が狭い歩道 ◎幅員が狭い歩道では、歩道の全幅を切り下げる。 ⑦ハンプ ○本線の歩道を横切る交通量の少ない支道との交差部においては、周辺の状況を考慮しつ つ支道を歩道部と同程度の高さに盛り上げることにより、歩道の平たん性を連続して保 つことが望ましい。 112 A−5 段差部の処理 113 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−6 車両乗り入れ部 整備の基本的考え方 車両乗り入れ部は、歩行者の通行のしやすさを考慮し、路面が連続して平たんとなるよ うな構造とする。 ①植樹帯のない歩道 ◎植樹帯のない歩道では、歩道の平たん部を 1.0m以上確保する。(切り下げ部分の勾配は 15%以下) ②植樹帯のある歩道 ◎植樹帯の幅で切り下げる。(勾配は 15%以下) ◎乗り入れ部両脇に植樹帯を設ける場合は、乗り入れ部から 1.5mひかえ、植込みの高さは 0.7m以下とする。 114 A−7 歩道舗装 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−7 歩道舗装 整備の基本的考え方 歩道舗装は、高齢者や障害者などの転倒を防ぐため、平たん性、滑りにくさ、水はけの よさの視点から材料を選択し、施工する。 ①平たん性 ◎舗装の施工にあたっては、凹凸や段差が生じないよう平たん性の確保に十分配慮する。 ②滑りにくさ ◎舗装材の選択にあたっては、雨天時の路面の滑りにくさ、視覚障害者誘導用ブロックと の識別のしやすさに留意する。 ◎磁器タイルのような、湿潤状態になると滑りやすい材料を使うときは、表面が粗面なも のを選ぶ。 ◎急勾配の道路は、施工および構造を考慮して材料を選ぶ。 ③水はけのよさ ◎水溜りができると、歩きにくいだけでなく、歩行や車いすの通行の障害になるので、平 たん性を確保し、透水性のある材料を使用する。 ④その他 ◎歩道に占用しているマンホール等のふたについても、平たん性の確保とともに、歩行性 の良い材料を使用する。 ◎根上がりによって歩道の平坦性が損なわれないよう配慮する。 人、優先の道路(コミュニティ道路) まちなかで、自動車が通るところがジグザグになっている道路を見かけたことは ありませんか。これは、コミュニティ道路といって歩行者が安全で快適に通行でき るように、人を優先に考えられた道路です。車道をジグザグにさせることは、運転 者に通りにくい道路だと思わせ、沿道に関係の無い通過交通をできるだけ排除し、 速度を低下させるねらいがあります。 歩道の路面は、高齢者・障害者など誰もが安心して通行できるよう、すべて平た んでカラー舗装となっています。街路灯や歩道の乗り上げ駐車を防ぐ車止めも景観 に配慮したデザインで、地域のひとびとの日常生活に親しみをもたれる空間を目指 しています。 115 Ⅱ.道路 A.歩行者空間の確保 A−8 ベンチ等 整備の基本的考え方 高齢者や障害者などが歩行中に、休憩や交流ができるような施設として、必要に応じて、 道路上にベンチ等を設ける。 ①設置箇所 ◎ベンチ等を設置する箇所の要件は、以下のとおりとする。 ・一般歩行者等の通行と、一般交通に支障とならない箇所に設置する。 ・福祉施設や病院等の周辺および、公共交通機関との経路において、高齢者や障害者な どの休憩または交流等ができる空間を確保する必要がある箇所。 ・歩行者等が散歩等のときに、休憩施設や交流施設を必要とする箇所。 ②歩道幅員 ◎原則として、歩道有効幅員 3.5m以上の場合に設置できる。ただし、コミュニティ道路等 の路上施設幅を必要としない箇所に設置する場合は 3.0m以上とする。 ◎自転車歩行者道は、有効幅員 4.5m以上の場合に設置できる。 ◎歩道の有効幅員は、2.0m以上とする。 ◎自転車歩行者道の有効幅員は、3.0m以上とする。 ③ベンチ ○腰掛面の高さは、40∼45 ㎝程度とし、必要に応じて手すり兼用のひじ掛けを設けること が望ましい。 ○ひじを掛ける面は平らで、腰掛け面からの高さは 25 ㎝程度が望ましい。 ○一人用の両ひじ掛けを設けた場合の幅は 60 ㎝程度が望ましい。 ○ベンチを見つけやすいように、路面や周囲との色対比に配慮することが望ましい。 ④その他 ○長い路線にベンチ等を設置する場合の間隔は、500∼600mとするのが望ましい。 ◎ベンチ等は、堅固に固定する。 116 A−8 ベンチ等 ●ベンチ 117 118