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皆で育むこどもの楽しい生活 生活、遊びが訓練
皆で育むこどもの楽しい生活 生活、遊びが訓練 長崎県立こども医療福祉センター 山口和正 天才の育て方=障がい児の子育て 数年前、ある雑誌に「自分のこどもを天才にする方法―天才の育て方」という記事が ありました。その内容は障がい児の療育にそっくりでした。一言で言えば、「適切な刺 激を適切な時期に」、日常生活の中に必要な刺激はあふれている。こどもの特性を見抜 き、こどもの興味を引き出しながら、楽しく子育てをすること。好奇心を育てていくこ とが肝要である云々。リハビリで一番大事なことはやる気を引き出すこと、動機付け motivation と言われています。その子にとっての遂行課題は難しすぎても易しすぎて も興味・やる気を持続させるのは困難です。「適切な刺激を適切な時期に」は、常に療 育の場で考え、実践を試みているところです。 「訓練しましょう」は「訓練室に通うこと」? 麻痺があったり、発達に遅れ・偏りがあると「訓練しましょう」ということが多いで すが、訓練=訓練室に通う事 ではありません。こどもは家庭・遊びの中で育ちます。 訓練や訓練室で育つわけではありません。こどもの遊びが発達に結びつきながら、楽し くうまくやれるように手助けし、支援していくのが療育です。発達を促し、麻痺を軽く する或いは生きにくさを少しでも軽減するために訓練はあります。訓練のためにと、楽 しい子育てや遊び、保育の時間が犠牲にされることがないよう、家庭生活に無理が来な いよう一緒に対策を検討していきましょう。 診察・訓練は関係者と共に情報を共有しながら 数少ない、短い診察・訓練時間であればこそ、ご家族(及び、あるいはその子をよく 知るスタッフ)の参加の下に学校や家庭でどの様な状態か、どうする事がその子にとっ ての楽しい生活、より良い人生へとつながるかを検討しながら一緒にこどもをみていく ことが大事になります。診察・訓練は、家庭や学校で快適に生活を送るための対策探し の場です。訓練室ではできるけど、普段の生活ではしていない動作は身に付きません。 一日24時間、一年365日を考えると、訓練室でする訓練の時間はほんのわずかです。 他の圧倒的な時間は家庭、学校など地域社会・生活の場の中にあります。そこでどう過 ごすかが、発達を促し、動きや体を作っていく上での一番大きな要素です。訓練の時間 だからといって、訓練士にこどもを任せる、預けると言うことではなく、家庭や地域の 中でどう育てるか、介護者に負担が少ない形でケアしていくためにはどうすればいいか などを検討する場としてご家族も共に参加し、訓練をご活用下さい。