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2013-2014 Annual Report 抜粋抄訳

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2013-2014 Annual Report 抜粋抄訳
FIDIC 年次報告 2013-2014 年
FIDIC Annual Report 2013-2014
FIDIC 年次報告 2013-2014 年 抜粋
訳責:AJCE 国際活動委員会 CB 分科会
脚注:この抄訳は若手メンバーの翻訳を分科会で監修したものです
FIDIC では毎年秋に開催される年次大会で年次報告を公表しており、2014 年 9 月に開催された FIDIC リ
オ大会では『FIDIC Annual Report 2013-2014』が公表されました。以下は、報告書の抜粋抄訳です。
1.
会長挨拶 Integrity Massage from the President
コンサルティング・エンジニア連盟(FIDIC)は今年で 101 年目を迎えた。世界はこれまで以上に早い勢
いで変化しており、我々の業界におけるビジネス環境の変化も同様である。FIDIC はその情勢をただ傍観し
てきたのではなく、冷静に向き合ってきた。世界的な経済危機による影響が長く継続したにも関わらず、
FIDIC は世界における基本的なインフラへのこれまで同様の強い要望や、コンサルタントと契約者間の公平
で合理的な契約条件の必要性を目の当たりにしてきた。更なる革新、高品質、より持続可能な解決策、不正
の根絶等といった社会の要望に照らし合わせると、意思決定のより早い段階において、最も適切なコンサル
タントの選定に一層の注意を払う必要性があることは明らかである。事業が開始される前に、より深く考え
ることが重要といえる。
このような背景の下、FIDIC はより効率的な開発、そして、投資家の投資価値向上といった公約を果たす
ため、調達の改革を支援・奨励してきた。とりわけ、多くの政府機関が手本とする国際金融機関(IFIs)と
積極的に連携してきた。また、FIDIC の契約を国際的な標準(国際金融機関との新たな許諾契約に向けた交
渉につながる標準)
として利用することに重点を置くだけでなく、
公正と持続性についても重要視している。
FIDIC の新しい刊行物である『FIDIC 公正管理システム(FIDIC Integrity Management System FIMS)』や世
界銀行の支援により発行した『代理人契約約款(Representative Agreement)』、『プロジェクト持続性管理
システム(Project Sustainability Management system PSM)』は、最適な調達の実践において非常に好評を得
ている。国際金融機関との連携は多くの国における調達活動にも影響を与えるであろう。
契約委員会(Contracts Committee CC)では、10 年以上にわたり蓄積された経験に基づき、1999 年版の一
連の契約約款の改定に取り組んでいる。改定版では、標準化を進めるため、国際トンネル協会(ITA)や国
際浚渫協会(IDAC)との協定締結もなされている。一方、コントラクターを通してコンサルタントが雇用さ
れるような異なる契約モデルも増加してきた。この点において FIDIC は、『発注者-コンサルタント間の標準
契約条件書 FIDIC White Book』に基づいた新たな契約モデルを策定することで国際コントラクター協会連
盟(CICA)と合意しており、コンサルティング企業との契約の際にはこの White Book が国際コントラクタ
ー協会連盟(CICA)の会員に推奨される予定となっている。この戦略的な合意は我々コンサルタント業界の
ビジネス状況を改善してくれるであろう。
FIDIC の原則や目的への整合性と堅持を確実にするため、戦略的な課題に関する理事会へのアドバイザー
として、歴代会長審議会(Past President’s Council PPC)が活動を再開した。また、コンサルタント業界に
おける革新的で重要な役割を果たしたものに対して、『FIDIC Annual Award(FIDIC 年次表彰)』を創設し
た。本表彰対象者は PPC のメンバーにより選定される。初となる本年の対象者の選定では極めて率直な議
論が展開された。理事会として、その成果を検証し、ある時点で最終案を公表することになろう。
FIDIC の顧客と信頼関係を築き、地域の自発性を支援するため、FIDIC は地域の発展や FIDIC の地域グル
ープに対し多くの支援をしてきた。アジア太平洋地域会員協会連合(ASPAC)大会がインドネシアで開催さ
れ、アフリカ地域会員協会連合(GAMA)大会がモザンビークで開催された。両大会とも、変化する市場や
ビジネスチャンスの急激な増加についての知識獲得に興味をもつ多くの国々が参加した。ASPAC 議長 Hoig
Kang 氏(韓国)と前 GAMA 議長 Arthur Park 氏(南アフリカ)には、これまで活発に活動してきた委員会
をリード頂いたことに深く感謝申し上げたい。
私たちは新 GAMA 議長 George Sitali 氏(ザンビア)とともに素晴らしい仕事を続けていくことを楽しみ
1
FIDIC 年次報告 2013-2014 年
にしている。中南米アメリカコンサルティング・エンジニア協会連合(FEPAC)との連携は Reyes Juarez
氏(メキシコ)のおかげで、ヨーロッパコンサルティング・エンジニア協会連合(EFCA)との連携は Jan
Bosschem 氏(ベルギー)のおかげでより綿密に強化されてきた。FIDIC と EFCA はバルセロナで調印され
た新たな協定に基づいて、協調した取り組みを更に進めてきた。EFCA の新会長 Flemming Pedersen 氏(デ
ンマーク)は FIDIC 理事会の元メンバーであるが、彼はさらなる発展に向けて、現実的で効果的な展望を示
してくるであろう。
この 1 年、広く普及したソーシャルメディアを通し、あるいは、連携する機関との積極的な提携、そして、
クライアントへのアドバイス・各種資料・訓練を提供するウェブサイトを洗練させることから、FIDIC はコ
ンサルティングエンジニア産業の注目度を高めてきた。ウェビナーと呼ばれる Web 上のセミナーや e-ラー
ニング、電子書籍の出版にも取り組んでいる。90 以上のトレーニングコースを開催し、2700 人以上が参加
した。若手専門職グループ(Young Professional groups)は Selena Wilson 氏(カナダ)のリーダーシップ
のもと、世界的に、そして地域的にも拡大し、その価値を大きく向上させ、FIDIC の活動や地域会議に多数
参画した。FIDIC 会員数は更に増加し、現在 100 ヶ国以上のコンサルティングエンジニアを代表している。
FIDIC はまた、
加盟国の新たな状況や要求に対し対応していかなければならない。
それゆえ、
理事会はFIDIC
規定の改正や会員の会費算出システムの改定に取り組んできた。FIDIC の専務理事の厳格な管理により、前
年度はバランスのとれた決算となった。2014 年度も引き続き良好な決算となるであろう。
貴重な時間を費やして FIDIC 活動を支援し、専門知識を提供くださる全ての人々に感謝申し上げたい。ま
た、適正な運営をしてくれた事務局にも深く感謝したい。ともに働くことで私たちは輝く未来へ向かうこと
ができる。コンサルティングエンジニア産業の役割は、私たちの生活の質を高めることであり、この役割に
誇りを感じる次第である。
FIDIC 会長 Pablo Bueno
2.
会計報告 Treasurer’s Report
2012 年度
2012 年度(2013 年 12 月まで)の決算は、期初計画 2,000 スイスフランに対し 49,540 スイスフランの営
業黒字という結果となった。
収益については、研修部門を中心に改善し、書籍販売も底堅く推移している。結果として準備資金は 49,540
スイスフランから 1,879,751 スイスフランへと増加した。
現金資産については前年度と同様、
複数通貨で構成された安全・堅実な信託預金がほとんどを占めている。
2013 年度、2014 年度
2014 年度の半ば時点で、収益の推移はここ数年に比べ低調な動きとなっているが、これはいくつかの会員
協会において地域経済活動が見直されたため若干の落ち込みとなったことを示したものある。
2015 年度予算は、会費収入の減少が営利部門の収益増加を相殺し、FIDIC の活動はやや控えめになると見
込んでいる。
なお FIDIC 理事会では、これ以上の会費変更をしないことを推奨しているが、現状モデルの不公平さに対
処するためのモデル改訂方法を提案する。最後に 2015 年度の算計は若干の黒字予測であることを付記した
い。
FIDIC 財務担当理事 Alain Bentejac
3.
専務理事報告 Managing Director’s Report
地域戦略の展開
FIDIC メンバーによる要望や、高まるニーズへの解決策のひとつが人的資源である。予算の制約により、
FIDIC 職員の増員は制限されるが、事務局は無償で FIDIC 活動に参加・支援頂ける委員と連携して、高い成
果を上げるため尽力している。例えば、FIDIC 委員会への委嘱内容を改善することで、より効率的な活動が
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FIDIC 年次報告 2013-2014 年
可能となった。
FIDIC 理事会は、総合的なトレーニングや人材育成の重要性を認識し、能力開発委員会(Capacity Building
Committee CBC)を刷新することになった。
FIDIC 理事会メンバー各位に担当委員会が委嘱され、各委員会活動に対して、理事会からより綿密で強力
な支援が可能となった。
FIDIC 書籍販売は外部委託され、FIDIC 書籍の電子化も進んでいる。このように FIDIC 事務局は職員の作
業効率をより高めることで、FIDIC 全体の活動を支援・促進している。FIDIC は、地域戦略を推進し、認定
講師を FIDIC の国際的基盤拡大のため関係機関に派遣することで、国際機関や関連団体とより緊密な関係を
築けるよう努力してきた。我々の活動にはまだ解決すべき課題がたくさんある。FIDIC は、多くの人的資源
と経験を共有し、業界の声を集約してコンサルティングエンジニアを支援するため、引き続きネットワーク
を強化し、生活の質の向上に努めてゆく。
FIDIC 専務理事・事務局長 Enrico Vink,
4.
理事会に関する話題:理事会 News from the Executive:FIDIC Executive Committee
今年の FIDIC 理事会は、2013 年 9 月にスペインのバルセロナ、2014 年 2 月にモロッコのラバト、同年 5
月にスウェーデンのストックホルムにて開催された。
また、
同会議では政府関係者との会談が同時に行われ、
調達関連の課題、コンサルタント業界の世界的傾向、及び地域産業の発展と経済発展を支える地域産業の役
割について率直な議論が行われた。
2013 年の理事改選は 3 名で、バルセロナで行われた FIDIC100 周年大会の総会にて、Moancef Ziani 氏(モ
ロッコ)
、Kiran Kapila 氏(インド)
、William Howard 氏(アメリカ合衆国)が理事に選出された。また、会
長に Pablo Bueno 氏(スペイン)
、副会長に Jae-Wan Lee 氏(韓国)が選出された。
5.
世界規模の協会活動:会員委員会 Global Representation:Membership Committee
FIDIC 会員委員会 Membership Committee
FIDIC は多くの国からの入会に関する問い合わせに対応している。東ヨーロッパや中東地域の国々が
FIDIC に関心をよせており、近い将来、これらの国々が FIDIC 会員になるこが期待される。
ブリュッセル MDB 会議 Brussels MDB Conference
FIDIC はブリュッセルでの多国間協力銀行(MDB)の会合において、国際開発金融機関(IFI)の立場から
みたインフラ開発を議論する専門家会議を開催した。そこでは、インフラ開発における成功の鍵について仔
細な議論が行われた一方で、現在、100 ヶ国を超える国々での調達に大きく反映されている FIDIC の契約約
款の活用に対する支援を継続することが確認された。
国際商業会議所 ICC
FIDIC は国際商業会議所(ICC)との親密な連携を促進している。最近の協議では、特に紛争裁定委員会
(Dispute Adjudication Board)で使われる ICC 用語と FIDIC 用語のすり合わせが議題となっている。
6.
国際的なイベントとコミュニケーション Global Event and Communication
FIDIC 新たな 100 年へ バルセロナ大会 New FIDIC Century Welcomed in Barcelona
2013 年 9 月、FIDIC バルセロナ大会が開催され、97 ヶ国から 1,200 名が参加した。ガラパーティでは素
晴らしい花火が打ち上げられ、盛大に FIDIC100 周年を祝った。FIDIC100 周年記念賞では、この 100 年間
に産業進展に貢献し、また、生活の質の向上に貢献した 45 のインフラプロジェクトが表彰された。また、
久保田豊氏や Ove Arup 卿のような偉大な先駆者も表彰された。
地域活動 Regional Activities
アフリカ地域会員協会連合(GAMA)2014 会議がモザンビークのマプトで、3 月 23 日~26 日に開かれ、
20 か国から約 250 名が参加した。
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FIDIC 年次報告 2013-2014 年
同じ 3 月には、アジア太平洋地域会員協会連合(ASPAC)2014 会議がインドネシアのバリで開かれ、イ
ランやウズベキスタンを含むアジア太平洋地域から約 300 人が参加した。
FIDIC は、2014 年に開催される FIDIC リオデジャネイロ大会に照準を合わせ、中南米アメリカコンサルテ
ィング・エンジニア協会連合(FEPAC)との緊密な関係を続け、10 月に開催された FEPAC 年次大会を支援
した。
ヨーロッパコンサルティング・エンジニア協会連合(EFCA)に関しては、FIDIC はバルセロナ大会で、新た
な協定を締結した。
また、バルセロナ大会では国連環境計画(UNEP)と歴史的な合意に達し、持続可能性に関わる覚書(MOU)
に調印した。これにより、持続可能な都市に関する研修を共同開催するなどの連携が開始される。
7.
公正:公正管理委員会 Integrity:Integrity Management Committee
カナダコンサルティングエンジニア協会(ACEC)は、FIDIC の公正管理システムを全会員企業に導入し、
実施するという大胆な一歩を踏み出した。これは、経済、社会及び環境、そして世界的な公共施設に重要な
役割を果たしているコンサルティング企業にとっての責務であるとの認識によるものである。
8.
品質:業務委員会 Quality:Business Practice Committee
質の高いコンサルタント選定の重要性
コンサルタント企業は、顧客を満足させ、基準に合致した健全な技術を提供する必要があり、そのサービ
スについては、自ら説明し、価格を決定し、そしてサービスを実施する必要がある。そのため、FIDIC の業
務委員会(BPC)は、
「QBS マーケティングガイドライン」にある QBS(Quality Based Selection )の宣伝や普
及についての考え方やツールを取りまとめた2つの有益な「QBS ガイド」と「コンサルタント選定ガイド」
を作成した。
顧客の選定も重要
一方で、顧客が品質に基づくコンサルタント選定の重要性を理解することも重要であり、BPC では品質に
基づく選定をしている顧客の表彰についてもドラフト段階ではあるが、方法開発の支援をしている。
災害マネジメントに関する新実務ガイド
自然災害に襲われたた場合、災害マネジメントガイドを用意し、専門家が関与できるよう備えることが重
要である。同ガイドは災害発生時にサービスを提供するコンサルタントの業務遂行の枠組みを提供するもの
で、2014 年に公表される予定である。
品質確保の一環としての業務範囲の定義
コンサルタントがプロジェクトの業務仕様を明確にする有効なツールを『The Definition of Scope and
Services』として紹介する。これは、経験や知識に乏しいクライアントが、潜在するリスクや契約に関わる
事項等に不案内で、プロジェクトの成果を審査できないようなケースにおいて特に有効なツールである。
9.
持続性:持続的可能な開発に関する委員会 Sustainability:Sustainable Development Committee
FIDIC バルセロナ大会で、持続可能なインフラ整備に関する下記の 3 つのガイドラインおよびツールを
『The Sustainability Pack』として公表した。
① Project Sustainability Management - Application Manual PSM II :持続可能なプロジェクトを実現する
ために考慮すべき事項をリストアップしたもので、視点や対応について示されている
② Rethink Cities:都市の再考:FIDIC とヨーロッパコンサルティング・エンジニア協会連合(EFCA)との
共著で、持続可能性に関する重要性が増しているのは都市であると指摘する。同著では、事例を通し
て都市機能の相互関係を考慮した際の効果を示しており、システマティックなアプローチ方法を提唱
している。
③ Project Sustainability Logbook:プロジェクトの持続可能な開発に対して、特定のプロジェクトに対し
てその課題、目的を定義する方法やモニタリングする方法を表形式で提供している。都市を構成する
ビルやインフラ施設をはじめ、公共交通や水道などの都市機能にも対応している。
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FIDIC 年次報告 2013-2014 年
10.
契約約款及びガイド:契約委員会 Contracts & Guides:Contracts Committee
FIDIC 契約約款 1999 判の改訂作業が進んでいる。まず、2014 年に Yellow Book がレビューされ、2015
年には Red Book と Silver Book がレビューされる予定である。また、国際開発金融機関版の改定について、
金融機関との協議を開始した。
11. ヨーロッパにおける賠償責任の状況:リスクと責任に関する委員会 Liability Environment in Europe:
Risk & Liability Committee & Standards
ヨーロッパコンサルティング・エンジニア協会連合(EFCA) の支援を受けて、EU 加盟国における現在の
市場状況について調査を行った。調査報告書では、同市場における賠償や保険の問題についての最新の動向
を示している。
12. 能力開発:能力開発委員会 Capacity Building:Capacity Building Committee
FIDIC 若手専門職(Young Professional YP)の協力により、FIDIC の新たなサービスの一つとして、2013
年に 2 つの新たなオンライン・セミナーが開講した。このプログラムは、2014 年中にいくつかのオンライ
ン・セミナーが追加され、拡充される予定である。
13. 若手専門職:若手専門職フォーラム Young Professionals:Young Professionals Forum
今年は若手専門職の活動が活発な年であった。アフリカとアジア地域で若手専門職グループが発足し、欧
州においては若手専門職グループがより緊密な協調活動を行った。これらの活動により 3000 人を超える将
来の CE 産業界のリーダーによる大きなネットワークが形成された。
14. 国際インフラ会議 International Infrastructure Conference
コンサルティング・エンジニアの使命は、世界を持続的に変革する事であり、また以下のような方法によ
り、人々の生活の質を向上させる事である。
・最先端技術の活用
・革新的な解決策の提供
・知的インフラとスマートリビングの実現
ドバイ 2015 に参加を!インフラ及び工業セクターの国際的リーダーとのネットワークを作り、直接情報
を手に入れよう。中東で初めて開催される FIDIC 国際インフラ会議にぜひ参加を!
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