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トルコ ドイツ 日本

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トルコ ドイツ 日本
シンポジウムを終えて
● 参加者アンケート
4%
ヤマザキマリ
銭湯
6%
32%
多文化
12%
27%
ドイツ
17%
17%
留学生の受け入れ
国際協力
外国料理
29%
異文化体験
18%
79%
外国人との交流
とても良かった 良かった
まったく興味がもてなかった
第 2 部 シンポジウム
4.0
公益性
だれもが参加しやすいテーマとゲストを選
定したことにより、さまざまな職種や年齢層
の市民に参加していただき、広く社会一般の
利益に資する事業となった。
4.3
事業趣旨の
達成度
当初設定した目標である「幅広い年齢層の新
規来館者」を獲得し、
多文化共生についての理
解を深めてもらうことができ、達成度は高
かったといえる。獲得した新規来館者を今後
の事業運営にどうつなげていくかが課題。
4.1
kokoka 京都市国際交流会館
来館経験
2%
14%
35%
記念事業として実施したため、協会の予算と
しては最大規模であるが、民間の助成金から
総事業費の75%を獲得できたことで、当初の
計画どおり財源内で執行でき、また定員を超
える申し込みがあり、相応な効果があった。
多文化共生
プログラムの感想
1%
コスト対効果
と事業規模
外国語
53%
2%
4.4
海外旅行
37%
44%
1%
広報の方法と
わかりやすさ
チラシ配布およびホームページに加え、市民
しんぶんや一般紙への掲載、SNS の活用、地
下鉄駅における宣伝など、幅広い層に対応し
た広報を実施。テーマに関連する業界の協力
や、PV の試写会の開催も、広報手段として
一定の効果が得られた。
ボランティア
18%
27%
37%
第 1 部 ヤマザキマリさん講演会
企画内容の
妥当性
銭湯を切り口に、より多くの市民の興味関
心を惹きつけ、多文化共生の担い手層の拡
大をめざして企画。アンケート結果からも、 4.0
事業趣旨である多文化共生の大切さへの理
解に十分つながったことがうかがえる。
海外移住
35%
1%
ふりかえり
留学
13%
24%
古代ローマ
NPO
12%
29%
参加無料
国際結婚
50%
あまり興味がもてなかった
無回答
41%
ある
57%
ない
評価
1~5
項目
チャリティ
5%
45%
トルコ
姉妹都市交流
5%
67%
テルマエ・ロマエ
その他
5%
申し込みの決めてとなったキーワードはなんですか(複数回答可)
その他
● 主催者による事業評価
興味のあるテーマや分野はなんですか(複数回答可)
kokoka
京都市国際交流会館
25周年記念
シンポジウム
報告書
Soaking in Hot Springs: Considering Multicultural
Society in Turkey, Germany and Japan
2014 年
今回のシンポジウムは、人気漫画家であるヤマザキマリさんを迎
え、
ふだん、
「多文化共生」になじみの薄い方にも興味をもってもらい、
そして多文化共生社会の実現のために行動する人が増えてほしいと願
い実施しました。アンケートを分析した結果、参加された方は、50
歳代以上の方が半数を占めるも、20歳代~40歳代の合計も半数ちか
くあり、若い世代を含む幅広い層の支持を得ることができました。
「ヤマザキマリ」さんや、
「テルマエ・ロマエ」
、
「銭湯」といったキー
ワードが決めてとなって参加された方も、興味がある分野をきくと、
「外国語」や「海外旅行」を抑えて、
「多文化共生」を「外国人との交流」
に続いて2番目に挙げているのは、うれしい発見でした。
半数弱の方がいままでkokoka京都市国際交流会館に来られたこ
9 13
月
日(土)
午後1 時 ~3時
kokoka京都市国際交流会館イベントホール
ンティア事業をはじめ当協会のさまざまな事業に参加してもらうこと
で、考え、行動することへつなげていくことができるため、単発のイ
ベントではありましたが、将来的に継続的な効果が得られるものと
期待しています。
今回、定員に達し、残念ながら参加できなかった方はもちろん、
それ以外の方がたにも知っていただくよう講演録を作成し、多文化
共生社会の担い手層のさらなる拡大をめざしていきます。
とがないにもかかわらず、足を運んでくださいました。当協会が推
進する多文化共生に向けた取り組みを社会に拡げていくには、今回
のイベントのように違った角度で新しい層の参加者を呼び込み、そ
して、一過性に終わるのではなく、それらの人びとが具体的に行動
を起こすきっかけづくりを提供していく必要があります。幸い、ボラ
講演録は、ホームページでご覧いただけます http://www.kcif.or.jp/HP/jigyo/tabunka/jp/25/
●「20 歳の誓い・10 年プラン」の
● 25周年を記念し、平和をテーマとした
概要 多彩なゲストを迎え、
「多文化共生」という大きなテーマに
ついて、
「銭湯」を切り口に、トルコ・ドイツ・日本の三国
の現状を比較し、よりよい多文化共生のかたちを探ります。
ふりかえりを実施しました!
プロモーション・ビデオを作成しました!
す。
えま
を迎
ort
30 年
Rep 年報
ual
設立 、
Ann 3 年度
年
年に
019 がる5
201
2
ちは つな
。
私た の年に で
ち
した
節目 な気持 しま
だ
新た を踏み
一歩
kokoka
ボランティアおよび
地域住民との連携強化
25歳の節目に、立ちどまり、ふりかえりました。歩いてきた道のりを自信に変えて、
新たな5年に進むべき道を、しっかりと見さだめるために……。
左の2つの視点にもとづいて、協会に足りないもの、力点を
おくべき課題も見えてきました。
京都市国際交流協会
「20歳の誓い・10年プラン」
に掲げた目
標について、職員一人ひとりが、この5年間の活動とともにふ
りかえりました。その作業から、二つの重要な視点が浮かび
あがりました。
企業の協賛や寄付による増収
5年後の達成目標
●ホームページの多言語コンテンツの充
実や更新を重ねることで、アクセス数
の増加をはかります。
3
推進とともに、資金獲得につながる新
規事業の開拓に取り組みます。
●マスコミとの協力関係を築き、情報発
● 職員のコスト意識の向上に努めます。
●市民の来館機会を増やしてkokoka
することにより、公益性の高い協会
の事業を推進します。
信力を向上します。
● ボランティア活動育成事業
●
kokoka防災訓練および区民体育祭
● 市内日本語教室
利用者の年齢層を拡大
IN KYOTO(外国人のためのく
らしと文化の情報誌)
の発行
kokoka Facebook・
● LIFE
●
●コンプライアンスへの取り組みを重視
留学生向けFacebookの運営
● ジョブフェア
● ハウスナビ事業
(協働事業)
● 会議室・ホールの貸し出し
● 年間報告書の制作
(kokoka Annual Report)
こうした問題意識にもとづいて、重視すべき9つの項目を
ピックアップし、それぞれの事業の目的、達成度や成果、課題
や今後5年間の目標などを検証しました。
「トルコ・ドイツ・日本 銭湯から考える多文化共生」
(次ページ以降で、詳しく紹介します)
事業参加者数などの経年変化
業
プ事オープンデイの参加者数と市民ボランティア参加者数
アッ
」
行政通訳相談の利用件数
(件)
14,000
13,000
13
305
9,700
9,600
265
251
231
(人)
600
300
500
200
96
100
189
288
協会
交流
2008
2009
2010
2011
2012
402
25
332
300
2007
福祉
国民健康保険
166
住宅
その他
税金
住民登録
介護保険
市バス・地下鉄
上下水道
防災・救急
ごみ など
61
ジョブフェアの参加企業数と参加者数
52
44
411
122
196
95
82
2009
2010
2011
2012
0
438
7,000
2013年度
教室アンケート
(対象67名)
6,491
その他
情報収集
基礎を学ぶ
試験の練習
4,349
友達を
つくる
4,000
不満
すこし不満
ふつう
会話を
したい
満足
とても満足
文法を学ぶ
日本語クラスに来る目的
満足度
0
2013(年)
就職ガイダンス&ジョブフェア 就職ガイダンス&ジョブフェア(年度卒業生)
2006
2007
2008
2009
2010
2011
5
2012
2013(年)
20
ボランティア活動に関心はあっても、
最初の一歩を踏み出せずにいる人た
ちがいます。kokokaボランティア、
地域住民ともさまざまに連携できる
しくみを整えます。協会の存在感を
高め、活動への理解を深めてもらう
ことで、地域社会からの参画者を増
やし、組織力を強化します。
3
年報閲覧アドレス
20
協会の活動内容や存在意義をより多
くの市民に理解していただき、活動を
支援していただけるよう、行政や企
業への働きかけを強化します。ホーム
ページを拡充し広報活動の充実をはか
ります。
● 各種研修やミーティングの機会を利
用し、職員の意識改革、認識を強化。
● 企業への出前講座などを実施し、協
●
会の存在意義を積極的に発信。
kokokaオープンデイなどをとおし
て、企業協賛金を獲得。
● 留学生のための就職支援事業など、
企業とのコラボ事業を積極的に推進。
● 貸施設HPのリニューアルにより、施
6,571
6,084
5,236
5,000
ど、新しい広報手段を開拓。
親しみやすくて利便性の高いコンテ
ンツを作成。
● 留 学 生 情 報サイト、留 学 生 向 け
Facebookなどの活用により、情報
発信力を向上。
加、区民体育祭への外国籍市民の積
極的参加などをとおして、
「顔・存在
の見える」
関係づくりに努めた。
6,890
6,233
6,000
4,743
200
どに、
kokokaのイベント案内を送付。
● FacebookなどのSNSを活用するな
● 協会ホームページをリニューアルし、
20
歳の誓い 」
の目標
204
2008
291
● 外国人が多く利用するゲストハウスな
「
216
2007
13
144
キャリアガイダンス&ジョブフェア
600
400
13
147
5
歳の誓い 」
の目標
351
回のオリエンテーションを実施。
ボラ
ンティア活動の具体的な内容とその
社会的な意義の紹介のほか、活動現
場の見学を盛り込み、ボランティアに
参加する
「きっかけづくり」
を創出。
「
162
●ボランティア希望者を対象に、
年に4
● kokoka防災訓練への地域住民の参
歳の誓い 」
の目標
493
378
5
2013(年)
2012
「
512
35
10
2011
2010
(人)
950
800
35
20
(人)
1,000
46
40
30
2009
日本語クラス受講者数と受講理由
(社)
50
2008
15:00 終了
教育・就学
191
79
94
103
55
20
69
2013(年)
参加者数
際
市国
京都
参加企業数
法人
財団
公益
2007
al Report 20
nnu
13
婚姻・出産
192
401
400
0
2006
aA
保健・医療
年間の成果
204
160
77
649
年間の成果
9,300
8,500
8,500
k
ko
776
731
700
市民ボランティア参加者数
参加者数
●
800
11,000
13,000
年間の成果
い・
10,000
の誓
実績
20 歳 えり
か
●「
事業 9,500
ふり
実施
の
年度
9,000
20 13
● 20
ko
ク
TS
ン
EN
(人)
ピッ
プラ15,000
NT
CO
年度
10 年
13: 00~ 開演
オープニング 25周年記念プロモーション・ビデオ上映
ご挨拶
京都市国際交流会館館長 山内 清
京都市副市長 藤田 裕之
13 : 20 ~ 第1部 ヤマザキマリさん講演会(40分)
14 : 00 ~ 休憩
14 :10 ~ 第2部 シンポジウム(50分)
5年後の達成目標
●企業との協賛・コラボ事業のさらなる
場を京都市全域へと拡大します。
ファンの開拓につなげ、市民によるサ
ポーター制度を創設します。
スケジュール
ご報告「20歳の誓い・10年プラン」中間見直し
資金力の強化
ア活動の分野を開拓します。
を拡大します。
ボランティアのさらなる活動の機会創出
2 . 外国籍市民に思いをはせることができる市民の醸成
外国籍市民を
〈支援が必要な社会的弱者〉
ととらえずに、
〈地
域社会を担う一員〉
として市民に認識してもらうための事業
の強化や、
外国人自らの能力を発揮できる環境を整えるなど、
ともに地域づくりに携わることができる環境やしくみをつ
くっていきたいと考えています。
広報力の強化
関連事業
成
」作
ラン
年
20 周 10 年プ
ka
・
koko の誓い
歳
「20
把握します。
● kokokaにとどまることなく、活動の
●外国籍市民と地域住民との交流機会
事業主体である京都市国際交流協会の存在感
2
関連事業
年!
25 周
5年後の達成目標
●ボランティアの社会的なニーズを予測
・
●地域の住民が参加しやすいボランティ
事業内容や目的を理解してもらうための工夫
「国際交流」
や「多文化共生」
は、
〈かぎられた対象〉
にとって
の特別なものではなく、
〈すべての市民〉
にかかわりのあるも
のであることを認識できる社会を築くことが必要です。
そのためには、誰もが参加できるように、事業の裾野を拡
げたり、kokoka京都市国際交流会館が市民にとって親しみや
すい場所としてアピールし、協会組織の強化をはかることが
不可欠です。
関連事業
ka
koko
組織の強化 にかかわる 3 つの重点課題
1
「20歳の誓い・10 年プラン」のふりかえり
1. 誰にでも親しまれるkokokaに
設の特徴や利点をアピールし、施設
利用者へのサービス向上をはかるこ
とで、自主財源を増加。
協会の活動を支える人材と資金の確
保は喫緊の課題です。職員一人ひとり
が当事者意識と経営感覚をもって寄
付金や助成金の獲得に努めます。協会
の公共性と企業の社会的責任
(CSR)
と
の連携・強化をはかることで協賛支援
につなげます。
4
http://www.kcif.or.jp/HP/kyokai/nenpo/jp/2013.html
公益財団法人 京都市国際交流協会
銭湯から考える多文化共生
無回答
まとめ
http://youtu.be/NK5XC1lZUxU 「kokoka」で検索!
トルコ ●ドイツ●日本
〒606-8536 京都市左京区粟田口鳥居町2番地の1 TEL.075-752-3010(代表)FAX.075-752-3510 http://www.kcif.or.jp/
国際交流基金 助成事業
当協会は「世界文化自由都市宣言」を具現化するため
1989年に設立以来、多文化共生社会の構築を目的に国際交
流、異文化理解などのさまざまな事業を実施してまいりま
した。おかげさまで本年の3月には来館者数600万人を達成
し、活動の拠点であるkokoka京都市国際交流会館とともに
25周年を迎えることとなりました。
本事業は25周年記念事業としてより幅広い層の市民の
みなさまに興味をもっていただくため、銭湯をテーマと
講演会から抜粋
京
都の思い出でいちばん強烈だったの
は、私の姑の友だちを含む約11名の平
均年齢65歳のイタリア人女性のツアーを引率
したこと。イタリア人の強烈なおばちゃんた
ちはすさまじかった……。まあ、それも、な
にか楽しかった。もう二度としませんが。
(笑)
ちまたのうわさによると、いまの若い子た
ちは「海外旅行にエネルギーを費やしたくな
い」そうですね。海外旅行に行くと、こと
ばが通じなかったり、異文化に入っていけな
かったり、食事があわないなど、いろいろな
場面で自分の弱さに気づかされる。
「自分の
弱さと直面しないといけなくなることに対す
るエネルギー」だと思うのですが、それを
拒絶する傾向が強くなってきているのではな
いでしょうか。
それを考えると、かつてのバブルの前の時
代やバブル期の日本というのは、みんなむこ
うみずで、
「どっかでなんとかなるわ」と思え
シンポジウムから抜粋
異質なものや異文化を受け入れることな
ど、自分が「そうであれ」と教育されてきた
以外のものを認めることは、とても勇気もい
るし、すごくエネルギーのいることです。最
近の人には、そういうことを避けて通ろうと
している傾向を感じます。これまで知らな
かったものも、新しい情報として自分が求め
シンポジウムから抜粋
ト
ルコには、トルコ風呂「ハマム」があり
ます。ハマムというのはもともとローマ
帝国の浴場からきたもので、大人気になりま
した。その理由の一つは、イスラムの教えに
ある「清潔は信仰の半分」という考え方です。
ハマムはいわば「文化センター」のような場
所でした。たとえば、かつてのトルコでは恋
愛結婚は少なかったそうで、だいたいが見合
い結婚でした。年ごろの息子のいるお母さん
たちはみんなハマムに行って、お嫁さんを探
しました。
外国人として、なんとなく「壁」があると
感じるときはいろいろとあります。たとえば、
私もできれば日本の国籍は欲しい。日本で
もっと自由に活動できるからです。しかし、
日本は二重国籍を認めていない国ですので、
ていた時期だと思うのです。いまはみな、
「つ
ぶしがきかない」という精神性のなかで生き
ている……。いくらでもつぶしはきくとは思
うのですが、みずからどんどん視野を閉ざし
てしまっているように思います。海外交流ど
ころか、日本のなかですら閉ざしている。自
分の家の、自分の部屋の一角くらいにまで、
狭まっている気がします。
銭湯は裸の付き合いで、どこのだれかわ
からない。ヒエラルキーもない。
「自分はこ
うなのだ」と意図的にアプローチする必要
がないから、へんな制約がとれて、みんな
解放感に浸れるのではないでしょうか。
でも、はたして現在の日本で、
『テルマエ・
ロマエ』みたいに古代ローマ人が突然に湯
船からバッと現れたら、はたして、
「おまえさ
ん……」と声をかける老人がいるかどうか、
私にはわかりません。
「うぇ、気持ちわりぃ」
とあわてて立ち去るか、黙っているか、また
は見てみぬふりをするか……。
した漫画『テルマエ・ロマエ』でよく知られるヤマザキ
マリさんを講師にお迎えしました。
今回のシンポジウムが、より多くの市民のみなさまにとっ
て多文化共生社会について考え、行動するきっかけとなるこ
とを願い、第1部では、長年にわたる異文化交流の実体験に
ついてお話しいただき、第2部のシンポジウムではトルコ、
ドイツからパネリストの方がたを加え、日本も含めた各国の
多文化共生の現状を紹介していただきました。
シンポジウムから抜粋
ヤマザキマリさん
漫画家
1967年東京都出身 イタリア・パドヴァ在住
シリーズ累計900万部を販売し、映画化され、
海外でも話題をよんだ『テルマエ・ロマエ』の
著者。エジプト、シリア、ポルトガルなど豊
富な海外生活の経験をもつ。
マルクス・ヴェルンハルトさん
ゲーテ・インスティトゥート・
ヴィラ鴨川 館長
ドイツを中心にヨーロッパと東アジアの多文
化社会を比較。温泉が点在するドイツの出身。
ミュンヘン大学では中国文学、日本文学、ド
イツ文学を専攻。専門は比較文学。ゲーテ・
インスティトゥートのミュンヘン本部、東京、
北京、台北、京都の館長職を歴任。
ているタイプのものであれば積極的に受け入
れるようですが、そうでないものは排除する。
そういった傾向をとても強く感じることが多
くあります。古代ローマがなぜ、あそこまで
大きくなれたかというと、いろいろな失敗を
して、紆余曲折がありながらも、最終的には
「異質なものを受け入れていく」という体制
をとったからではないでしょうか。
私が日本国籍をとって帰化するには、トルコ
の国籍をなくさないといけないのです。外国
人としては、自分の生まれた国の国籍を失う
ことは、とてもむずかしいことです。なにか
を得るために、なにかが失われてしまいます。
日本も将来的には、二重国籍を考えても
いいと思います。世界の国ぐにではどんどん
進んでいます。ドイツでは今年から、ハーフ
の子どもも二重国籍の取得が可能になりまし
た。トルコではむかしから可能ですし、さら
にトルコの政府は「できるのなら、二重国籍
を取ってください」とすすめています。
トルコは歴史的にいろいろな問題を経験し
て、けっきょく政府は、多文化共生は大事で
あることを理解した。将来の日本の発展のた
めにも、
「海外の文化」と「外国人」は大事な
ものです。
ⓒヤマザキマリ/
KADOKAWA エンターブレイン刊
異は、かならずしも悪いわけではありま
なる文化のあいだで誤解があること
せん。人事部が私を東京に転任させたのも、
「この人は中国語を話せるので、東京がいい
のではないか」と。
(笑)
ドイツの温泉は、日本とちがって温度が
低いですから、療養的な目的以外に、温泉
にいって、日本のように楽しく熱いお湯に浸
かることは、ドイツではまずありません。い
ちばん普及しているのは、西洋式のサウナ
です。
みなさんにとってすこし衝撃的なニュー
スかもしれませんが、ドイツでは、男女混
浴はすごく普及しています。
日本と他の国との比較について言いたいの
は、日本人としてそれほど自虐的でいる必要
はないということです。日本には、とてもつ
よい伝統、文化があります。
もし、日本は外国人にとって生きづらいと
ころがあるとすれば、それはあくまでも「言
語の壁」
だと私は言いたいです。外国人には、
もうすこし日本語の勉強をしてほしい。同時
シンポジウムから抜粋
国
際交流会館もそうなのですが、仮に政
府間のいろいろな問題があったっとし
ても、
「市民一人ひとり、大衆レベルではま
たちがうんだ」
、
「ちがうことができるんだ」
といった思いをもつべきです。お互いに直接
に顔を知っている相手であれば、中国の◯
オヌル・アルパルスランさん
柴田重徳
(聞き手)
大阪大学大学院情報科学研究科
情報ネットワーク学専攻
特任研究員 博士(工学)
公益財団法人京都市国際交流協会
評議員/前京都市国際交流会館館長/
元京都市文化市民局長
情報化社会における多文化共生について分析。
ハマム(トルコ風呂)で知られるトルコの出身。
親日家で日本文化にも造詣が深く、とくに日本の
漫画をトルコに紹介することに熱心であり、日本
とトルコ双方の最近の事情にもつうじている。
京都市において長年、国際交流関係の責任者
を務めてきた経験をいかし、このシンポジウ
ムの進行役を担う。
に日本人にも、もうすこし英語力を高めてほ
しい。つまり、これは実質的な問題ですね。
私の目でみる日本は、まったく閉鎖的ではな
いし、日本人のみなさんは外国人にやさしい。
もちろん、
そうでない人もいますが……。
(笑)
もう一つは、日本は外国人には見えない
ルールだらけだということです。
ドイツはだいぶ変わりました。70年代か
ら、地理的に言うと、
「南下」
してきました。
つまり、ラテン化してきた。個人がのびのび
できる空間があることは、社会のなかではす
ごく大切だと思います。日本のような経済大
国、発達した国は、もうすこし自分に、そう
いう自由を許したらどうでしょうか。
ドイツの社会は平等で、そのルールがほ
んとうに必要か、そのルールのあり方や社会
のあり方がよく議論されます。おなじ社会で
生きている人たちどうしで議論して、ルール
を変えていくのです。
日本にはなにが欠けているかというと、も
しかしたら、そうしたルールに対して、勇気
をもって変える意志ではないでしょうか。
◯さん、韓国の◯◯さん、トルコの◯◯◯
さんというような関係を結ぶことによって、
国と国のいろいろな問題も、ある部分は乗
り越えられる、そういう側面があると考え
ます。それが、市民レベルでの交流を深め、
多文化共生社会を追求する意義ではないで
しょうか。
Fly UP