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幽霊屋敷のインテリアとゴシック
建築・都市の思想 第2回 2012.10.22 加藤耕一 ホーンテッド・マンション 幽霊屋敷のインテリアとゴシック 1.はじめに ゴシック・リヴァイヴァルと「文化としてのゴシック」 2.ゴシック論から幽霊屋敷研究へ ホーンテッド・マンションの紹介 3.幽霊屋敷のデザインとその背景 建築・インテリア・雰囲気 a文学的背景 さまざまな仕掛け・トリック a技術的背景 a key wordは「ゴシック」と「19世紀」 3.1 幽霊屋敷の文学的背景 18世紀末∼19世紀の中世に対する憧れ = Gothic Revivalと幽霊物語(ゴシック・ストーリー)の誕生 ① 詩の世界:墓地派(Graveyard School) ロバート・ブレア『墓』(1743) エドワード・ヤング『夜想』(1742-45) トーマス・グレイ『墓畔の哀歌』(1751) 廃墟と化したツタの絡まる教会堂 その裏手に広がる墓地 夜になると薄気味悪い声で鳴き出すフクロウ ② 物語の世界:ゴシック小説の誕生 H.ウォルポール『オトラントの城』(1764) W.T.ベックフォード『ヴァテック』(1786) A.ラドクリフ『ユードルフォの 』(1794) M.G.ルイス『修道士』(1796) 怪奇小説・ファンタジー物語の元祖 古城、地下牢、修道院などが舞台となる フランケンシュタイン、吸血鬼なども 3.2 幽霊屋敷の技術的背景 幽霊・恐怖を売り物にした興行のはじまり ファンタスマゴリー/ファンタスマゴリア エティエンヌ・ガスパール・ロベールソン(パリ、1798-) ポール・ド・フィリップスタル(ロンドン、1801-) 蝋人形館 マダム・タッソー(ロンドン、1802-) ディゾルヴィング・ヴューズ 王立科学技術会館(ロンドン、19世紀半ば) ペッパーズ・ゴースト 王立科学技術会館【H.ダークスとJ.H.ペッパー】(ロンドン、1862-) 4.イメージのの中の幽霊屋敷と、そのインテリア モノが れるロマンティックなインテリアと幽霊屋敷 19世紀的インテリア: ヴィクトリア朝時代 (1837-1901) のインテリア イギリス・アメリカ ルイ・フィリップ(1830-48)、第2帝政時代(1852-70)のインテリア フランス 産業革命以降の発展: 大量生産・大量消費によって引き起こされたモノの氾濫 万国博覧会に象徴されるありとあらゆる物を蒐集し陳列するという行為 裕福なブルジョワジーの出現とそのインテリア空間 過去の様々な様式の復興と世界のデザインの流入 混乱と調和が奇妙なバランスをとった濃密な室内空間の誕生 何故ヴィクトリア朝時代のモノが れるインテリア空間が幽霊屋敷に相応しいのか? 裕福なブルジョワジーたちがつくりだした室内空間 居住者の痕跡がインテリアに刻まれてゆく 主人が不在の時でも、この部屋の主人の存在感が れ出す 生きた人間の痕跡を探る小説 =探偵小説 すでに死んだ人間の痕跡を探る小説 =幽霊小説 5.おわりに 現代のホラーと幽霊屋敷 ∼ 古き良き幽霊屋敷の終焉? 幽霊屋敷とはなんだったのか かつて恐怖は家の外にあった 外の恐怖から身を守り、堅く閉ざされた扉の内側で居心地の良いインテリアをつくり出した19世紀の「家」 その居心地の良い空間が反転して(heimlichとunheimlich)、恐怖を醸し出すようになったのが「幽霊屋敷」だっ たといえる 古き良き幽霊屋敷 長い年月、外の世界と断絶した室内に熟成したアトモスフェア 積年の埃と澱んだ空気がかつての主の痕跡とともに封じ込められていた空間 現代のジャパン・ホラーにおける「家」 現代の「家」は、さまざまなメディアによって外部に開かれている 携帯電話とインターネットが「家」とそこに住む「私人」を露出させており、そこにheimlichな空間など望むべ くもない W. ターナー「ティンターン・アベイ」 ファンタスマゴリーの光景 A. キルヒャー「幻灯機」 ファンタスマゴリーの光景 A. キルヒャー「幻灯機」 ファンタスマゴリーの光景 ディゾルヴィング・ ヴューズ ペッパーズ・ゴースト の光景 ペッパーズ・ゴースト の仕組み1 ペッパーズ・ゴースト ペッパーズ・ゴー の仕組み2 ストの光景