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炭素-金属磁性複合材料の合成と磁気特性評価

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炭素-金属磁性複合材料の合成と磁気特性評価
平成24年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
炭素-金属磁性複合材料の合成と磁気特性評価
東海大学大学院
工学研究科
田代 亮
東海大学工学部
今村 俊裕(学生)
、本城 貴充、久慈 俊郎
1. はじめに
我々は以前よりボールミリング法(BM 法)を用いて機能性材料の合成を行ってきた。しかしながら、BM
法は処理条件によって、試料内にボールミルの容器やボールから金属粉が混入してしまう問題があった。そ
こで、本研究では出発原料に炭素粉末のみを用いて容器やボールから混入する金属粉を積極的に利用すると
いうアイディアの下、ナノ炭素-金属磁性複合材料を合成し、磁気特性評価ならびに電波吸収特性評価をす
ることを目的とした。以前、我々は容器やボールに準安定オーステナイト鋼SUS304、高透磁率電磁材
であるMES3F、マルテンサイト系ステンレスであるSUS440Cを用いて炭素-金属磁性複合材料を
合成した結果ついて報告を行っている。以前の実験での磁気特性評価の結果、得られた試料は保磁力が小さ
く軟磁性体の挙動を示した。また、一番高い飽和磁化が得られた試料の合成条件は容器にMES3F、ボー
ルにSUS440を用いた実験でミリング処理を60h行った試料であり、磁場2.0MAm-1の範囲内で
磁化約91Am2kg-1だった。今回は、高透磁率電磁材であるMES3Fの容器とボールを用いて実験を行
った結果について報告する。
2.実験方法
炭素‐鉄基磁性複合材料を得るために、炭素粉末(純度3N、粒径28~100mesh、株式会社レアメ
タリック製)を準備した。炭素粉末を高透磁率材(MES3F、直径12.5mm)製の円柱型のボールと
の重量比が(1/80)となるように秤量を行い、同じくMES3F(内容積100cm3)製の容器に粉末
とボールを入れ封をした。容器内をロータリーポンプで10分間の真空排気を行った後、アルゴンガス(純
度5N)を導入しアルゴンガス雰囲気とした。BM処理は、振動型ボールミル装置(スーパーミスニ8号、
日新技研株式会社製)を用いて振動数11.4Hzのもと0~60hの条件で処理を行った。処理中は容器
の温度上昇を防ぐため、容器の周囲の水冷を行った。また、処理後の試料の取り扱いは酸化の影響を極力低
減させる目的で、アルゴン雰囲気中のグローブボックス内にて行った。合成した炭素‐鉄基磁性複合材料の
構造評価にはX線解析装置(XRD)、組成分析、マッピングには電子線マイクロアナライザ(EPMA)磁
気特性は振動試料型磁力計(VSM)を使用した。
80
3. 実験結果
し回収量が増加する傾向にあることが確認できた。また、
処理時間が長くなるにつれ回収量も増加する傾向にあ
ることから容器やボールからの不純物の混入量が増加
すると推察することが出来る。図1に過去の実験結果と
の磁気ヒステリシス曲線の比較を示した。(処理時間5
Magnetization (Am2kg-1)
ミリング処理を行った試料は、炭素粉末の仕込み量に対
40
20
0
-20
-40
h:試料とボールの重量比1:80)得られた試料はい
-60
ずれも保磁力が小さく軟磁性体の挙動を示した。容器及
-80
びボールの材質を変更し、他の条件を揃えて試料を合成
した結果、その飽和磁化の値が高くなることが確認でき
た。
Pot&Ball MES3F
1:80 5h
Pot:MES3F
Ball:SUS440 1:80 5h
60
-2
-1
0
1
Applied magnetic feild (MAm-1)
図1 磁気ヒステリシス曲線の比較
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