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入賞・入選作品集 - 川崎市市民ミュージアム

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入賞・入選作品集 - 川崎市市民ミュージアム
入賞・入選作品集
主催 川崎市、かわさき市美術展運営委員会
後援 川崎市教育委員会
協賛 川崎信用金庫、セレサ川崎農業協同組合(50 音順)
‒1‒
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市 長 賞
最優秀賞
【 工芸 】
はなのいろは…
福田 典子
このたび素晴らしい賞を頂きましたことに心よりの感謝を申し上げます。作品の題名「はなのいろは・・・」は、
小野小町の和歌「はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに」の一部を
いただきました。この歌には「時のうつろいの早さ」への思いが感じ取れます。私も近年、折に触れ実感すること
が多くなりました。歌を通して感じた諸々の思いを、七宝の作品で表現したいと思いました。
‒1‒
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特 選
「(略)何が起こるかわからな
い け れ ど 踏 み 込 む こ と だ( 略 )
うっそうと茂るシダの葉をかき
分けて前に進めシダの葉の裏に
びっしりと並んでいるおびただ
しい数の胞子に感動する余裕さ
えもち おまえたちの生命の源
は何なのかをさがして欲しい」
。
詩集『平面の森』に収められた「森
への入り口」という自作の詩の一
部です。ここから作品のイメー
ジ が 生 ま れ ま し た。 森 と 文 様、
とりわけ「唐草」に魅せられて
創作の可能性を探っています。
【平面】
森の音(木霊)
松田 洋子
制作テーマは、自ら砂漠に籠もり苦行に耐えな
がらも希望の光を求めて祈る一人の修行士 Paulus
のイメージである。細部は、身体を削ぎ穿ちむ
しろその残った削跡・隙間がテーマの意味を語
るような表現とした。背景に巻付く僅かな皮膚
は風に渦巻き、両足は既に岩砂と化した。頭部
は、強い意志が逆毛立つ髪となり、穿ち落ちた
頬のみとなった。突き出した眼球は、しかし遥
か遠くに希望の光を見つけているのである。
は、
部を
こと
【 彫刻・立体造形 】
Paulus の希望
田平 徹
‒2‒
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特 選
【書】
杜甫七言律詩六首
仲島 秀峰
以前、テレビで横山大観の数十 m もある生々流転という画巻を見て圧巻された。それを思い出し、今回は数 m
の巻子で杜甫の七言律詩六首 336 文字を題材とし、張猛龍/九成宮を基に上條信山先生が確立された信山流をベー
スに、各種古典 ( 王羲之、米芾、傅山 ) の筆法を織り込み、各墨継ぎ毎に墨色の変化を微妙に変え、それを淡々
と繰り返した。生々流転なる表現に少しでも近づければと思い制作したつもりだが、当然のことながら、まだま
だの道のりである。
格子から覗く子供たちのわくわくした澄
んだ瞳。まわしたコマがふわりと宙を舞い、
大きな手の中に着地した瞬間。もう目が離
せませんでした。美しいもので溢れている
この世界。これからもファインダー越しに、
情熱を持って沢山切り取っていきたいと思
います。この度は素晴らしい賞をありがと
うございました。今日もカメラ片手にまだ
見ぬ景色の中へ。
【 写 真 】
お正月
東 栄子
‒3‒
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ヤ
眼鏡
首の
苦労
ヤング大賞
数m
ベー
淡々
だま
た澄
舞い、
が離
いる
しに、
と思
がと
まだ
【 中高生 】
僕のおばあちゃん
永井 武志
ヤング大賞をもらってうれしいです。セーターの模様を描くのが難しかったです。本物みたいですごいです。
眼鏡も立体的に描けました。背景も立体的です。耳のところも立体的です。影もすごいです。ほくろが細かいです。
首のしわも細かいです。目も立体的です。髪の毛も上手に描けてます。鼻も立体的です。顔のしわもかなり細かいです。
苦労したのはセーターです。セーターに自信があります。
‒4‒
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入 賞(市長賞)
最優秀賞
工芸
はなのいろは…
福田 典子
森の音(木霊)
Paulus の希望
杜甫七言律詩六首
お正月
松田 洋子
田平 徹
仲島 秀峰
東 栄子
僕のおばあちゃん
永井 武志
平面
彫刻・立体造形
工芸
書
PLATINUM FISH
One of my space
玉蟲
杜甫詩 春夜喜雨
玉生 由香
岡本 恵
松尾 雅子
城島 紅秋
写真
中高生
帝都の静寂に
夢列車
今に見てろ
ゴミラ
独り
ぬくもり
特 選
平面
彫刻・立体造形
書
写真
ヤング大賞
優
奨
秀
励
賞
賞
平面
彫刻・立体造形
工芸
書
写真
西谷 敏也
川崎市立野川中学校 9 組
杉本 菜々子
北野一平、平野旭、阿部優海
萩 山登
三浦 桃花
たまがわ
CROSS
ヴァイオリンのある静物
ストリートミュージシャン 2016
化石の森
森の王者
瓦礫のフローラ
ファイティングマン
Resurrection(復活)
光の帝国
風―Ⅲ
草想食色
記憶の崩壊
東照公遺訓
ある者小野道風の
祭の世話人衆
瞼の人
彩の風景
あの時の光
大内 みえ
亀ヶ谷 豊
西 益子
藤田 久美子
齋藤 政義
小林 房雄
磯野 悦郎
土田 匠実
芳賀 徹
碓井 義忠
古家 郁子
外戸 大輔
堀野 匡義
田辺 翠香
木下 清華
酒井 昭夫
原田 茂雄
鳴海 廣治
石原 浩次
‒5‒
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子
入 選
平 面
子
徹
峰
子
志
彫刻・立体造形
顕
数ある可能性の一つ
みすえるさきに
薔薇の君
憩い
lunatic mare
この道はいつか来た道
樹空風陰
釣人たち
美の起源に触れて
緑、そこに真帆が仔犬と散歩
太古よ何処へ ・・・
光る川
パラダイスへ
蟠龍図
アクエリアス
ヴァンスの陽光
無防備
幼なきもの
カステルノーダリーの眺望
ミッドナイト
爽風
岩礁
落葉帰根
美女と鬣
三味線宇宙
天城峠
金剛院
白い風
蠢く街
俺と孫とのファンタジー(百鬼夜行)
野菜パーティ
宮川 美都子
伊藤 由香
西本 さなみ
千葉 純子
後藤 惠美子
青天目 愛弓
野口 明
村田 眞一
佐藤 道夫
宇田 さよ
白石 武市
青木 和江
森田 隆
山本 隆一
松尾 剛明
岡本 優
加藤 たえ子
藤井 繁
直井 登子
菊地 三枝子
和田 晴美
秋山 紀
平川 二三男
髙松 昭
黒沢 進士
和完
塚原 春夫
飯田 眞
鈴木 弘子
田嶋 正枝
安田 文夫
今井 美佐子
フリーダム
隠れん坊
砂田 紘子
新井 佳子
絆
穏やか
染付椿文大鉢
栗原 豊子
中村 洋子
若尾 昇
徹
工 芸
次
‒6‒
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審
入 選
総
工 芸
書
陶芸作品 都市伝説
妄想(2)
衣器
泉
チタの教会
パーテーション バラ苑
象嵌壺
BODY & SOUL
山本 英雄
八重森 千賀
家才子 雅樹
山﨑 雄央
小川 和男
菅原 行男
矢部 尚花
渡邉 和子
蘇東坡詩
曼殊院本古今集 全臨
甲骨文 臨書
大室 景石
青木 瑛華
角田 爽玉
「美
化と
現在
造形
さ
べる
優秀
霊)
」
結果
福
して
松
が功
平
写 真
中 高 生
さわやか笑顔で溌剌パレード
波・砂・人
正月遊び
明日も晴れる
オーイ 空よ
星達に想い寄せる海蛍
葺替え作業
静寂
冬を想う
風想
磯釣り
光の存在(2016)
まなざし
島の家族
大野 長悛
三竹 基弘
安達 善次郎
小島 満男
辻村 一男
牧山 俊雄
中村 智一
渡辺 忠
山下 泰雄
木所 栄一
植木 清吉
鈴木 元彦
岡田 幸雄
野村 美都
地球
DO NOT OPEN
あせり
闇の中で
肉焼きのお兄さん
挑戦
着物 - 日本四季 ティラノサウルス不切正方形一枚折
あたたかな音色
睡余
未来に走る
小野 名津子
日野 和博
三國 ひなた
坂田 夏海
田村 開智
長岡 英進
山崎 来
安井 亮暢
岡本 結生子
井上 ひかり
松島 毬衣
今
技術
考委
残念
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方が
※ 各項目の作品名・作家名の順番は、応募受付順です。
‒7‒
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。
審査講評
総 評 藤嶋 俊會(審査委員長、美術評論家)
「美術」という言葉はそもそも日本にはなかった概念で、日本の近代化に伴って成立してきた経緯がある。近代
化とは西洋化を意味し、その過程で美術の部門にヒエラルキーが生じた。しかし日本では昔から「工」という言葉に、
現在使われている美術の領域はもとよりもっと広く人間の手業が含まれていた。つまり平面(絵画)・彫刻・立体
造形、工芸、書、写真という美術の区分には複雑な歴史が刻まれているのである。
さて、最優秀賞を決める選考委員会は、例年と同様各部門から特選の作品を選んで、審査委員が推薦の弁を述
べる。一通り済んだところで各人 2 票の付箋を自分が推す作品に付す。その集計を見て最多の票を得た作品を最
優秀賞に決めるのである。今回は投票の結果、工芸の福田典子「はなのいろは…」と平面の松田洋子「森の音(木
霊)」との差がわずか 1 票だった。再度推薦の弁を行い、挙手で決選投票を行った。その結果も 1 票差であったが、
結果を尊重して福田典子の作品を最優秀賞として決めた。
福田の作品(七宝)は、工芸的というよりも絵画とデザインの要素が融合した省略の美学とでもいった味を出
しているところが評価された。絵画とは異なる表現の領域である。
松田の作品(油彩)は、唐草文様を背景だけでなく、人物の衣装にも取り込んで画面全体にはびこらせた迫力
が功を奏している。文様の平面性と人物と大木の遠近感が画面に充実感を与えている。
平面部門 原 健(東京造形大学名誉教授)
今回は若干の増加がありましたが、全体的にいくらか大作が少ない応募でした。しかし以前より、テーマや趣向・
技術などバラエティーにとんでおり、審査は楽しくも慎重な比較と検討をいたしました。平面部門は、6 人の選
考委員によって、挙手による入選と選外を決め、その後、付箋による投票を繰り返して各受賞作品を選出しました。
残念に思われますのは、小品ながら高いクオリティーや技術など優秀な作品が多くありましたが、このようなコ
ンクールでは、ある程度のサイズや独自の視点やインパクトある作品がもとめられます。特選となった松田洋子「森
の音(木霊)
」は、シンメトリカルな空間のなかに、確かな表現と造形により重奏する世界を表出し、色彩ではと
くにグリーンによる階調が散華のように美しい。優秀賞の玉生由香「PLATINUM FISH」は表現手法の多様さに
よる生命的な躍動と拡散する世界は新鮮であるが、色調へのこだわりが求められます。その他、亀ヶ谷豊「CROSS」
の繊細で大胆な空間も爽やかですし、芳賀徹「Resurrection(復活)
」の洗練された表現技術と構成による主題、
磯野悦郎「瓦礫のフローラ」の版画によるモノタイプ作品など新鮮で新たな表現世界などが上位受賞の候補とし
て検討されました。
彫刻・立体造形部門 藤嶋 俊會(美術評論家)
平面(絵画)は余程重くて持ち運びができないかぎり、他の場所に移動することが簡単で、そこで正面から絵
を見ることが可能である。それに対して彫刻・立体造形は、多くの場合、作家自身が搬入時に設置した状態から
別の場所に移動することは困難である。軽いものなら可能ではあるが、その点彫刻・立体造形は一種のハンディ
を抱えていることになる。したがって搬入時においても、たとえ仮設置とはいえできるだけ良好な状態で(周囲
の空間をとる)設置することを考える必要がある。さて、今年の作品はどうであろうか。この部門はどうしても
数で勝負するというわけにはゆかず、その代わり作品の立体的かつ空間的な迫力を期待することになる。常連の
出品者がいて、そこに新人の出品者が加わって賑やかになれば、展覧会としてはまずまずである。
今回新しい表現を見せたのが奨励賞を受賞した碓井義忠「光の帝国」である。見る主体が動くと見ている対象
が動く視覚のトリッキーな仕掛けに、何度も試してみる面白さがあった。視覚は本来絵画の領域なのだが、作品
が立体的であることからこの部門に納まった。特選はこのところ連続して出品している田平徹の「Paulus の希望」
である。オブジェ性を強調しながら、パウロ(Paulus)の視点から世界を見ようとしている。今の世の中、希望
を持つことはナンセンスなのかもしれないが、それでも希望はあるという表現の形なのだろうか。問いを発する
オブジェ彫刻である。優秀賞の岡本恵「One of my space」は編んだシルクをえんじ色に染めて強靭な布彫刻に仕
上げたものである。ファイバーワークとしてゆったりした空間と強い繊維の量的な絡まりが特徴である。入選の
2 点、砂田紘子「フリーダム」と新井佳子「隠れん坊」はいずれもやきものだが、工芸的な作と立体的な作の双
方が並んだ。いずれも 70 代の元気な高齢者であるところにこの美術展開催の意義があると思う。
‒8‒
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工芸部門 春山 文典(金工作家・横浜美術大学学長)
工芸部門の応募点数は 35 点と昨年よりも増加した。入選は 16 点(内入賞は 5 点)となった。素材、技法別で
は陶作品が 7 点、他はガラス、七宝作品が各 2 点ずつ、金工、革、刺繍、キルト、紙が各 1 点ずつとなり、例年
どおり陶作品が最多数となった。最優秀賞「はなのいろは…」は七宝の壁面作品で、人物、植物をデフォルメし、
モノクローム調で画面構成した優れた表現。優秀賞「玉蟲」刺繍作品、色糸を効果的に用いて、緻密な技法であ
りながら、大胆な構成による表現。3 点の奨励賞は「風−Ⅲ」陶作品、線刻による抽象的な模様が美しい緑色に
映えている。同「草想食色」金工作品、異なる金属素材を用いて、それぞれの特性を生かし、素材色を効果的に
表現している。同「記憶の崩壊」陶作品、大小二つの家屋の組み合わせによる造形、赤色を効果的に配したオブジェ
作品。他入選作品のなかには惜しくも賞を逃した作品も数点あったが、それらは物理的スケール感、オリジナル性、
技法の未熟等であり、次回に期待しよう。それぞれの特性を生かし、素材色を効果的に表現している。
書部門 古谷 稔(書美術評論家)
審査
書部門では、漢字、かな、漢字かな交じり書など、さまざまな応募作品 13 点の中から 7 点が選ばれた。書の作品は、
基本的には書の伝統に守られてきた書法、すなわち書の古典を平素からよく学習し、それが創作へと繋がること
となる。しかしながら、一方では会場によく溶け合った新鮮な雰囲気も求められる。すなわち、書にはすぐれた
技法とともに高い芸術性が大切である。これらを修得し、実践することはたいへん難しいことであり、一歩一歩、
工夫を重ねて前進する以外に道はない。
本年の受賞作を通覧すると、まず特選の仲島秀峰「杜甫七言律詩六首」は数メートルに及ぶ長巻に、細字の行
書で一貫して書き進めた労作である。行間を広くとり、墨の濃淡により変化をもたらすなど、自らの手法でまと
めている。優秀賞の城島紅秋の行草の三行書「杜甫詩 春夜喜雨」は筆の働きを駆使した力強い作品である。た
とえば文字の大小の変化など、全体のバランスに工夫があると一段と落ち着きを増すと思われる。奨励賞の木下
清華「ある者小野道風の」は、漢字とかなを交えた和様の書で、豊かな趣を蔵した優品である。各行に推進力と
リズム感に留意されると精彩を増すであろう。同じく奨励賞の田辺翠香「東照公遺訓」は読みやすく五行によく
まとめている。これに古典の筆意が加わると味わいが出るに違いない。入選作では、大室景石の楷書は独自の風
格があり、臨書作品として青木瑛華のかな、および角田爽玉の甲骨文もそれぞれ目に止まった。
写真部門 小池 汪(写真家)
昨年よりわずかに応募者数は減少、しかし作品の技術水準は上がった。応募量は風景、人物、その他がほぼ等
しい割合、川崎を題材にした作品が特に多かったわけではない。カメラは川崎の丘陵と海岸部、町へ向けられ応
募者の視野の広がりを感じることができた。広がりは評価できるのだが対象への追求、作品としてのさらなる強
さを求めたい。これらを例示するためにいくつかの作品を取り上げる。特選「お正月」は日本民家園と思われる
雰囲気で子どもを明るく健康的にとらえ秀逸。日本民家園を対象にしたほかの作品はどうか。「正月遊び」、シャッ
ターを切るとき民家前で催しを楽しむ人々がしっかり見え、とらえられているか、
「葺替え作業」、屋根を葺く人々
の一生懸命さがファインダーの中に見え、とらえられているか。それらをキーポイントに再確認を勧めたい。こ
れらはカメラを構え、写真をつくる時のすべてに言えること。風景も同じ。夜空、紅葉、桜など花へカメラをむ
けたその時がよく伝わってこない作品は残念ながら選外となってしまった。向上した技術を駆使して伝える内容
を持つ作品は誰もが必ず作れる。人物であっても年中行事であってもそこで起こっていることは最高賞を獲得で
きる内容がある。優秀賞「帝都の静寂に」は、ヨーロッパの街角の雰囲気を持っていて、見慣れた風景を洒落た
描写でつくりあげた。いい対象は何処にでもある。市美展入賞作や名作とされる写真を鑑賞する勉強をしながら、
しっかり見ていればいい対象は見えてくるのだ。奨励賞「彩の風景」、超広角レンズで四季をとらえ 1 枚のパネル
に仕上げた作品。この作品はイメージを重ねており秀逸。奨励賞「あの時の光」
、夜の街で月に向かって真っすぐ
に伸びる強い光線を主題にした作品。この風景を見た時、作品のように見えていなかったのかもしれない。風景
の中にこのイメージが見えていたのなら卓抜な眼を評価。見た対象へ自分のイメージを重ねることができるとい
うことは素晴らしいことだ。毎回のことだが中学・高校生の作品は率直かつ明快であり、今回の3作品も対象に迫っ
ていた。たこ焼きやさん、手品をする人、それぞれの一生懸命さがとらえられていた。一致して優秀賞に推した
のは「独り」
。学校内のうす暗い中で膝立ちする女子生徒をとらえたモノクロ作品。撮影した生徒、撮影された生
徒はそれぞれに何を考えているのか。アウトフォーカスで省略された背景の中、しっかりピントが合った生徒の
こちらを見る目は何かを問いかけているように思えた。
‒9‒
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運営
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平面
工芸
書部
写真
第
第
第
第
第
第
第
第
第
第
第
第
第
第
別で
例年
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第 49 回かわさき市美術展 入賞・入選作品展
会期:平成 28 年 3 月 5 日(土)∼ 20 日(日)
会場:川崎市市民ミュージアム 企画展示室 1 第 49 回かわさき市美術展運営委員
運営委員
大矢 紀
北村 由雄
登尾日出男
宗澤 文良
渡辺 奈々
川崎市市民ミュージアム館長
川崎市市民ミュージアム副館長
川崎市市民ミュージアム教育普及担当課長
(公財)川崎市生涯学習財団川崎市市民ミュージアム学芸室長
第 49 回かわさき市美術展審査委員
審査委員長
藤嶋 俊會
平面部門、彫刻・立体造形部門
小河 朋司
原 健
四方 幸子
藤嶋 俊會
工芸部門
唐澤 昌宏
春山 文典
書部門
豊口 和士
古谷 稔
写真部門
伊奈 英次
小池 汪
杉下 城司
山縣 壽夫
英 伸三
(50 音順、敬称略)
年度別かわさき市美術展応募及び入賞・入選状況
回数・年度
応募者数
応募作品数
第 36 回(平成 14 年)
第 37 回(平成 15 年)
第 38 回(平成 16 年)
第 39 回(平成 17 年)
第 40 回(平成 18 年)
第 41 回(平成 19 年)
第 42 回(平成 20 年)
第 43 回(平成 21 年)
第 44 回(平成 22 年)
第 45 回(平成 23 年)
第 46 回(平成 24 年)
第 47 回(平成 25 年)
第 48 回(平成 26 年)
第 49 回(平成 27 年)
324
334
297
223
287
274
274
309
264
279
214
271
197
216
430
458
405
315
384
432
455
498
421
279
214
271
197
216
入賞・入選者数 入賞・入選作品数
208
210
210
183
206
216
187
205
174
87
89
112
93
108
184
229
229
213
233
249
248
247
204
87
89
112
93
108
入賞者数
32
30
30
30
33
33
34
42
45
32
32
37
37
35
第 49 回 かわさき市美術展 入賞・入選作品集
主 催
後 援
協 賛
編集・発行
発 行 日
印 刷
川崎市、かわさき市美術展運営委員会
川崎市教育委員会
川崎信用金庫、セレサ川崎農業協同組合(50 音順)
かわさき市美術展運営委員会
〒 211-0052 川崎市中原区等々力 1-2
川崎市市民ミュージアム
TEL 044-754-4500 FAX 044-754-4533
平成 28 年(2016 年)3 月 5 日
日本プロセス株式会社 TEL 044-812-2511
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