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技 術 資 料 - パルテム技術協会

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技 術 資 料 - パルテム技術協会
中大口径管更生工法
パルテム・フロ-リング工法
PALTEM Flow-Ring 工法
技 術 資 料
- 農業用水編 -
パルテム技術協会
まえがき
昭和24年の土地改良法制定以来50年以上が経過し、これまでに整備された、農業用
水利施設の維持管理・更新の必要性はますます高まりつつあります。
農業用用排水施設は、耐用年数の経過などによる更新が求められているものも多数あり
ますが、農村の都市化・混住化にともない、更新事業には経済性のみならず、環境との調
和を考慮した取り組みが強く求められております。
当協会は、非開削で導水管・用水管などの中大口径パイプラインを修繕・更新するパル
テム・フローリング工法の普及に努めております。本工法は、特殊な機械などを使用せず
施工できる、既設管の補強が可能である、曲がりも連続して施工できる、騒音・振動・大
気汚染など環境に与える負荷が少ない、矩形や馬蹄形などの異形断面でも施工できるなど
の数々の優れた特長を有しております。
今後とも皆様方のご意見を賜り、改良を重ねながら、本工法が農業用用排水パイプライ
ンの維持管理・更新の一助に貢献していければと考えております。
平成 18 年 9 月
パルテム技術協会
目
次
ページ
1.工法の概要
………………………………………………………………… 1
2.工法の特長
………………………………………………………………… 2
3.工法の標準適用範囲
……………………………………………………… 3
4.更生管の基本仕様
………………………………………………………… 4
5.使用材料
5-1 鋼製リング …………………………………………………………………… 7
5-2 表面部材、かん合部材および接合部材
………………………………… 9
5-3 充填材
…………………………………………………………………… 10
6.標準機械設備
……………………………………………………………… 11
7.施工
7-1 標準施工工程
……………………………………………………………… 12
7-2 標準施工手順
……………………………………………………………… 13
8.表面部材およびかん合部材の基本性能
8-1 基本物性
………………………………………………………………… 20
8-2 耐薬品性
………………………………………………………………… 21
8-3 耐摩耗性
………………………………………………………………… 22
8-4 高圧洗浄耐久試験
………………………………………………………… 23
9.施工管の強度
9-1 破壊させた鉄筋コンクリート管に対する外圧強度
………………… 24
9-2 減肉させた鉄筋コンクリート管に対する外圧強度
………………… 26
9-3 減肉させた非円形管に対する外圧強度
……………………………… 28
10.水密性試験
……………………………………………………………………… 36
11.流下性能試験
……………………………………………………………… 37
12.一体化に関する性能試験
12-1 充填材の接着強さの確認試験
……………………………………… 38
12-2 既設管と更生材の界面における歪み挙動の確認試験
………………… 39
12-3 鉄筋コンクリート板と更生材の複合体曲げ試験
…………………… 40
13.施工性の確認試験
13-1 直線部の施工性確認
………………………………………………… 44
13-2 継手部の施工性確認
………………………………………………… 46
13-3 モルタル注入の施工性確認
……………………………………………… 52
13-4 高さ調整の施工性確認
…………………………………………………… 56
14.施工実施例
14-1 曲がり管路の施工事例
…………………………………………………… 60
14-2 門形断面の施工事例
……………………………………………………… 61
15.設計手法
…………………………………………………………………………… 63
1.工法の概要
フローリング工法は、既設管内で組み立てた鋼製リングに高密度ポリエチレン製のか
ん合部材と表面部材とを管軸方向に組み付け、既設管と表面部材との間に充填材を充填
する事により、既設管を更生する工法である。更生管は、既設管と更生材が一体になっ
た複合管となる。
更生管の構造図を図 1-1、断面図を図 1-2 に示す。
鋼製リング
表面部材
既設管
かん合部材
充填材
図 1-1 更生管の構造図
既設管
充填材
鋼製リング
かん合部材
止水ゴム
表面部材
図 1-2 更生管の断面図
1
2.工法の特長
フローリング工法は、鋼製リングと管長方向に長い高密度ポリエチレン材料を組み合
わせるという新しい発想に基づいて開発された工法であり、従来の工法にない次のよう
な特長がある。
(1) 鋼製のリングを使用しているため、既設管の流下性能を満足させながら、破壊や
腐食によって減肉した鉄筋コンクリート管を新管と同等以上の強度に復元でき
る。
(2) 既設管の埋設条件や損傷状態にあわせて、更生管の強度を変えることができる。
(3) 円形、馬蹄形、矩形などのあらゆる断面形状の管に施工できる。
(4) 連続した屈曲管の施工ができる。
(5) 管の頂部、側部のみを補強し、管底高さを上げない門形施工ができる。
(6) 更生管の管底の勾配調整が可能である。
(7)
施工に特殊な機械設備や技能を必要としない。
(8)
施工の中断が可能で、緊急時に作業者が短時間で管内から退避できる。
(9)
分水工の形状や寸法に制限されることなく施工が可能である。
(10) 通水しながら施工することができる。
(11) 環境に優しいポリエチレン樹脂を使用している。
(12) 充填材は工場生産されているため、品質が安定しているとともに、現場練りに
伴う環境問題がない。
円形断面
矩形断面
写真 2-1 更生断面形状
2
馬蹄形門形断面
3.工法の標準適用範囲
フローリング工法の標準適用範囲を表 3-1 に示す。
表 3-1 標準適用範囲
項 目
管
種
既設管の口径
施工延長
既設管の断面形状
施工時流水条件
標 準 適 用 範 囲
摘 要
鉄筋コンクリート管
無筋コンクリート管、石積みなど
適用可能
800mm~3000mm
3000mm 以上も可能
~100m
最大実績 250m(1200mm)
円形、馬蹄形、矩形、卵形など 開水路、門形なども可能
管内径の 15%の水深以下であ 人が安全に作業できる水深以下
れば施工可能
管の継ぎ手の段差
20mm 以下
管の継ぎ手の開き
200mm 以下
20mm 以上の場合は事前処理
曲率半径
12m以上
最小実績 0.9m(1500mm)
屈曲角度
12 度以下
最大実績 90 度(1100mm)
勾配調整
調整高さ 20mm 以下
流量検討により 20mm 以上可能
3
4.更生管の基本仕様
フローリング工法は、
強度低下した既設管の強度と流下能力を向上することができる。
フローリング工法で施工した円形更生管の基本仕様を表 4-1 に示す。
表 4-1 円形更生管の基本仕様
項
目
標準更生管
仕上がり内径
基 本 仕 様
既設管内径(mm)
更生管仕上がり内径(mm)
800
726
900
816
1000
910
1100
1000
1200
1350
1500
1650
1800
2000
2200
2400
2600
2800
3000
1100
1250
1400
1500
1650
1850
2030
2230
2420
2620
2810
耐荷能力
破壊および減肉させた鉄筋コンクリート管を更生した管は、新管の
破壊荷重規格値と実測値を上回る強度を有している。
耐薬品性
表面部材は、下水道用硬質塩化ビニル管と比べて優れた耐薬品性を
有している。(JSWAS K-1)
耐摩耗性
表面部材は、下水道用硬質塩化ビニル管と比べて優れた耐摩耗性を
有している。(JIS K7204)
水密性
表面部材は、0.3MPa の内水圧、外水圧に対して水密性を有している。
一体化性能
「管更生の手引き(案)」に記載されている一体化の確認試験によ
って、既設管と更生材が一体化していることを確認している。
水理特性
1.ヘーゼン・ウイリアムス公式による水理計算
農林水産省土地改良事業計画設計基準に従い、ヘーゼン・ウイリ
アムス公式を用いて、既設管の流量係数Cを130、更生管の流量
係数を150として摩擦損失水頭を計算する。
表 4-2 に示すように、
更生管の摩擦損失水頭は、既設管よりも小さいことがわかる。
2.マニング公式による水理計算
マニング公式を用いて、既設管の粗度係数nを0.015、更生
管の粗度係数を0.012として流量を計算し比較する。
表 4-3 に示すように、更生管の仕上がり内径を調整することによ
って、既設管と同等以上の流量を確保することができる。
4
表 4-2
ヘーゼン・ウイリアムス公式による水理計算
既設管内径(mm)
更生管内径(mm)
摩擦損失係数
f
摩擦損失水頭
hf(m)
800
726
900
816
1000
910
1100
1000
1200
1100
1350
1250
1500
1400
1650
1500
1800
1650
2000
1850
2200
2030
2400
2230
2600
2420
2800
2620
3000
2810
0.0156
0.0122
0.0151
0.0118
0.0148
0.0116
0.0146
0.0114
0.0144
0.0112
0.0141
0.0110
0.0138
0.0107
0.0132
0.0103
0.0130
0.0101
0.0128
0.0099
0.0126
0.0098
0.0124
0.0096
0.0122
0.0095
0.0121
0.0094
0.0119
0.0093
3.228
2.774
3.420
2.942
3.024
2.591
2.706
2.321
2.445
2.076
2.131
1.789
1.884
1.567
2.548
2.186
2.302
1.956
2.036
1.711
1.822
1.535
1.646
1.376
1.499
1.251
1.375
1.140
1.268
1.051
1.85
0.167
損失水頭比率
更生管/既設管
0.86
0.86
0.86
0.86
0.85
0.84
0.83
0.86
0.85
0.84
0.84
0.84
0.83
0.83
0.83
0.148
摩擦損失係数:f=133.7/C
・D
・V
2
摩擦損失水頭:hf=f・L・V /2gD
C:流量係数(既設管130、更生管150)
D:管の内径(m)
L:管路の長さ(m) 1000mで計算
g:重力の加速度(9.8m/s2)
V:平均流速(m/s)下表
管内径D(mm)
800 以下
800 超~1500 以下
1500 超~3000 以下
平均流速V(m/s)
1.8
2.0
2.5
5
表 4-3
マニング公式による水理計算
既設管内径
更生管内径
(mm)
流速
V
(m/s)
流量
Q
3
(m /min)
800
736
900
828
1000
920
1100
1020
1200
1110
1350
1250
1500
1400
1650
1520
1800
1660
2000
1850
2200
2030
2400
2230
2600
2420
2800
2620
3000
2810
0.721
0.853
0.780
0.922
0.837
0.989
0.892
1.060
0.945
1.121
1.022
1.214
1.096
1.309
1.168
1.383
1.238
1.466
1.328
1.576
1.415
1.677
1.500
1.785
1.582
1.885
1.662
1.988
1.740
2.082
0.362
0.363
0.496
0.497
0.657
0.658
0.847
0.866
1.069
1.085
1.463
1.489
1.937
2.015
2.498
2.509
3.150
3.173
4.172
4.236
5.380
5.427
6.785
6.972
8.399
8.670
10.234
10.715
12.301
12.915
流速(m/s) :V=R2/3・I1/2/n
流量(m3/min):Q=A・V
R:径深(m) D/4
I:勾配 1/1000
n:粗度係数(既設管0.015、更生管0.012)
A:断面積(m2) πD2/4
D:管の内径(m)
6
流量比率
更生管
既設管
1.00
1.00
1.00
1.02
1.02
1.02
1.04
1.00
1.01
1.02
1.01
1.03
1.03
1.05
1.05
5.使用材料
5-1 鋼製リング
既設管の形状に応じて、鋼製リングは、かん合部材が取り付けできるように所定の間
隔で複数の溝が切断加工されている。
鋼製リングは、分水工などの開口部から搬入できる大きさに分割されており、管の長
さ方向に一定の間隔(標準 250mm)にボルトとナットで締結する。
分水工などの開口部から搬入するために、鋼製リングを連結した状態を写真 5-1-1 に
示す。円形鋼製リングの標準寸法を表 5-1-1 に示す。
幅W1
板厚T1
材質:SS400(JIS G 3101)
図 5-1-1 鋼製リング形状図
表 5-1-1
既設管渠内径(mm)
800
900
1000
1100~1500
1650~2000
2200
2400
2600
2800
3000
鋼製リングの標準寸法
標準幅 W1(mm)
標準板厚 T1(mm)
9
11
13
15
40
45
45
50
50
55
6
6
6
6
6
6
6
6
6
6
標準間隔
25cm
写真 5-1-1 連結した鋼製リング(φ1500)
7
矩形と門形の鋼製リングの外形図を図 5-1-2 と図 5-1-3 に,矩形の鋼製リングの
写真を写真 5-1-2 にそれぞれ示す。
図 5-1-2 矩形鋼製リングの形状図
図 5-1-3 門形鋼製リングの形状図
写真 5-1-2 矩形鋼製リング
矩形と門形の鋼製リングの寸法と取付間隔は、設計計算により決定する。
8
5-2
表面 部材、かん合部材および接合部材
表面部材は図 5-2-1 に示す断面形状の高密度ポリエチレン製部材であり、管軸方向に
配列する。両端は、かん合部材とのかん合および充填材との結合を確実にするためにフ
ック状の構造となっている。表面部材の外観を写真 5-2-1 に示す。
かん合部材は図 5-2-2 に示す断面形状の高密度ポリエチレン製部材であり、表面部材
のフックによって確実にかん合される。かん合部材には、写真 5-2-2 に示すように止水
ゴムが取り付けられている。表面部材とかん合部材の組立図を図 5-2-3 に示す。
表面部材とかん合部材は口径や断面形状にかかわらず標準長さが 5mであり、管長方
向に接合するためにステンレス製の表面接合部材とかん合接合部材を使用する。
材質:高密度ポリエチレン樹脂
18.5
4
61
図 5-2-1 表面部材断面図
写真 5-2-1 表面部材
材質:高密度ポリエチレン樹脂
36.5
18
止水ゴム
図 5-2-2 かん合部材断面図
写真 5-2-2 かん合部材
接合部材の材質:SUS304(JIS G 4305)
接合部材の板厚:1mm
表面接合部材
かん合接合部材
表面部材
かん合部材
図 5-2-3 組立図
写真 5-2-3 接合部材
9
5-3 充填材
フローリング工法に使用する充填材は、高炉セメントB種、石灰石砕砂、混和剤、水
を配合した高流動モルタルであり、高強度が期待できる。また、専用工場で製造され、
ミキサー車で配送される充填材は、充分な品質管理がおこなわれる。
フローリングモルタルの特長は、流動性に優れ、複雑な形状の部材の隅々まで充填で
きる特性がある。また、水中分離抵抗性、無収縮、ノンブリージング性に優れている。
フローリングモルタルの配合を表 5-3-1 に、フローリングモルタルの特性を
表 5-3-2 に示す。標準の充填材としてフローリングモルタル(1 号)を使用する。
1 号を省略してフローリングモルタルと記載した場合は、1 号を示すものと
する。
表 5-3-1
フローリングモルタルの配合
重量(kg/m3)
材 料
フローリングモルタル(1号)
フローリングモルタル2号
380.0
648.0
1049.0
51.6
6.8
12.5
2147.9
370.0
776.0
921.0
58.7
8.0
12.5
2146.2
水
セメント
細骨材
混和剤A
混和剤B
混和剤C
合
計
セメント:高炉セメントB種
細骨材 :石灰石砕砂
混和剤A :石膏系収縮低減材
混和剤B :減水剤+消泡剤+増粘剤
混和剤C :アクリル系エマルション
表 5-3-2 フローリングモルタルの特性
項 目
特性値
1号:24 N/mm2 以上
2号:40 N/mm2 以上
300±30 mm
圧縮強度(28 日)
フロー値(φ5×10 ㎝)
注:上記の圧縮強度は、温度 20℃で封かん養生した場合の規格値を示す。
10
6.標準機械設備
フローリング工法に使用する標準機械設備を表 6-1 に示す。
表 6-1
工種
製管工
裏込充填工
標準機械設備一覧表
機械名
規格
クレーン付トラック 132kw(179ps) 4t
4~4.5t
トラック
15KVA 17.0kw(19.5ps)
発動発電機
1
1
1
クレーン付トラック 132kw(179ps) 4t
15KVA 17.0kw(19.5ps)
発動発電機
1
1
給水車
充填ポンプ
充填ミキサー
電磁流量計
トラックミキサー
管口仕上工
台数
154kw(210ps) 4t
70/min 8.0kw
200一槽 6.0kw
60/min
2.9MPa(30kg/cm2)
1
1
1
4.4~4.5m3 213kw(290ps)
1
クレーン付トラック 132kw(179ps) 4t
15KVA 17.0kw(19.5PS)
発動発電器
1
1
1
管渠内清掃工
強力吸引車
高圧洗浄車
257kw(350ps) 10t
154kw(210ps) 4t
1
1
管渠内調査工
ライトバン
56kw(76ps) 1500cc
1
注:モルタル充填距離が 150mを越える場合は、充填ポンプ、充填ミキサーを
各 1 台追加計上する。
表 6-2 標準使用工具一覧表
工種
使用工具
製管工:
鋼製リング組立工
電動インパクトレンチ
スパナ
製管工:
高密度ポリエチレン部材組立工
プラスチックハンマー
11
7.施工
7-1 標準施工工程
フローリング工法の標準施工フローを図 7-1 に示す。
(必要に応じて)
準備工
現場状況調査
管内清掃工
強力吸引車清掃工
管内調査工
損傷箇所、障害物有無の確認
(必要に応じて)
管内形状精査
吸排気口の仮配管 施工前処理工
(吸排気口の処理工)
障害物除去
目地止水処理工
水替工
製管工
鋼製リング組立工
勾配調整工
かん合部材・表面部材組付
裏込充填工
本管口処理
(必要に応じて)
吸排気口仕上工
裏込充填
管口仕上工
本管管口仕上げ
施工後管内調査工
管内調査
片付工
図 7-1 標準施工フロー
12
7-2 標準施工手順
(1)準備工
工事に必要な作業占有場所を確保し、管内の換気ならびに照明設備を設置する。
① 製管時の標準占用作業場所
地上における製管時の作業機械等の標準占用作業場所を図 7-2-1 に示す。
クレーン付トラック
トラック
下流側分水工
上流側分水工
図 7-2-1 製管時の標準占用作業場所
② モルタル注入時の標準占用作業場所
地上におけるモルタル注入時の作業機械等の標準占用作業場所を図 7-2-2 に
示す。
クレーン付トラック
給水車
トラックミキサー
下流側分水工
上流側分水工
図 7-2-2 モルタル注入時の標準占用作業場所
水深が規定値(管内径の 15%)以下であれば製管が可能であるが、作業性を確保する
ために水替工を実施することがある。また、水深が規定値以下であっても流速が早い場
合は、水替工を実施する必要がある。
(2)管内清掃工
高圧洗浄車の高圧水によって管壁や管内に堆積している土砂などを洗い流し、管内調
査工ができる程度に清掃する。
13
(3)管内調査工
管内を清掃した後に、目視で管内の状況を調査する。鋼製リングの形状と寸法を決め
るために、所定の間隔で管の寸法を測定し記録する。特に管が損傷し変形している箇所
については、入念に寸法を実測する。
(4)施工前管内処理工
製管工に支障となるような突起物、取付管の突出し、
堆積したモルタル等を除去する。
ジョイントなどで漏水が有る場合は、モルタルが管の外部へ流出する恐れが有るので、
止水処理をする。
(5)吸排気口仮配管
吸排気口がある場合は、事前に吸排気口に塩ビ管等の仮配管を接続する。
吸排気口
既設管
仮配管
図 7-2-3 吸排気口仮配管
(6)製管工
①鋼製リング組立工
分割された鋼製リングを分水工などの開口部から管内に運搬し、ボルト結合により鋼
製リングを組み立てる。組立作業は、汎用工具を使用して行うことができ、特殊な施工
設備を必要としない。
鋼製リングの組立後、各鋼製リングの頂部及び両側部に位置調整金具を取り付ける。
位置調整金具を使用して既設管と鋼製リングをアンカーボルトで固定することも可能で
ある。
組み立て作業終了後にボルト、ナットのゆるみがないことを確認する。
14
位置調整金具
鋼製リング
位置調整金具
図 7-2-4 鋼製リング組立工縦断面図
位置調整金具
位置調整金具
図 7-2-5 円形鋼製リング組立工横断面図
15
②勾配の調整
位置調整金具を使用して高低差をつけることによって、管勾配の調整が可能である。
勾配調整をする場合は、必ずアンカーで固定することが必要である。勾配調整の要領図
を図 7-2-6 に示す。
位置調整金具
20
位置調整金具
20
位置調整金具
図 7-2-6 勾配調整要領図
③屈曲部の施工
鋼製リングを図 7-2-7 に示すように角度をつけて組み立てることによって、管の屈曲
部の施工が可能である。
図 7-2-7 屈曲部鋼製リング組立平面図(φ1500mm 実績)
16
④表面部材、かん合部材組付工および吸排気口の処理工
鋼製リングの組立完了後、かん合部材を分水工などの開口部から搬入し、鋼製リング
の溝に組付ける。その後、表面部材を搬入して、かん合部材とかん合させ、更生形状に
仕上げる。
吸排気口部分は、仮配管を取り付け、鋼製リングと表面部材を組み立てる。その後、
仮配管と表面部材との隙間に間詰め材をつめて、充填材の流出を防止する。
組立作業は、汎用工具を使用して行い、特殊な施工設備を必要としない。
図 7-2-8
表面部材、かん合部材
組付工の縦断面図
吸排気口
鋼製リング
間詰め材
仮配管
図 7-2-9
吸排気口の管口処理
かん合部材
表面部材
図 7-2-10 表面部材、かん合部材組付工の横断面図
17
既設管
表面部材
(7)裏込充填工
表面部材のかん合完了後、部材端部を切り揃えて、更生管の端部を速硬性モルタル等
で端部処理を行う。充填口は表面部材に直接穴を開けてネジ加工を行い、フローリング
モルタルの充填状況を確認した後、下流側から 5mから 10mの間隔で取り付ける。充填
材の充填は、充填ポンプを使用して数日に分けて行い、1 日当たりの充填高さは 50cm 以
下とする。円形標準更生管の許容充填高さを表 7-2-1 に示す。
速硬性モルタル
充填口
充填ホース
図 7-2-11 裏込充填工の縦断面図
表 7-2-1 許容充填高さ(更生仕上面を基準)
充填高さ
既設管口径
(mm)
(mm)
1 回目
2 回目
3 回目以降
800
55
220
500
900
60
230
500
1000
60
240
500
1100
65
250
500
1200
65
250
500
1350
70
250
500
1500
70
250
500
1650
90
375
500
1800
95
375
500
2000
95
375
500
2200
100
400
500
2400
105
405
500
2600
110
425
500
2800
115
430
500
3000
120
450
500
* アンカーで固定することにより、1、2回目の充填高さを上げることも可能である。
18
(8)管口仕上工
つま型枠の撤去後に、管口仕上材(速硬性モルタル等)を使用して更生本管口の仕上
を行う。
管口仕上材
図 7-2-12 管口仕上工
(9)吸排気口仕上工
吸排気口部分は、充填材の硬化後に仮配管突出し部の切断又は仮配管の撤去を行い、
管口仕上材(速硬性モルタル等)を使用して吸排気口を仕上る。
吸排気口
既設管
充填材
仮配管
表面部材
管口仕上材
図 7-2-13 吸排気口仕上工
(10)施工後管内調査工
施工終了し、清掃した後に目視で施工後の状況を調査確認する。更生管の仕
上がり寸法を測定し記録する。
19
8.表面部材およびかん合部材の基本性能
8-1 基本物性
表面部材およびかん合部材には、下水道用ポリエチレン管(JSWAS K-14)と同じ樹
脂材料を使用している。
表面部材及びかん合部材に使用される高密度ポリエチレン樹脂の基本物性を表 8-1 に
示す。
表 8-1 高密度ポリエチレン樹脂の基本物性
項
目
曲げ強さ(オルゼン)
曲げ弾性率
アイゾット衝撃値
引っ張り衝撃値
デュロメーター硬さ
ビカット軟化点
融点(DSC法)
定歪み(ESCR)
引っ張り強さ
物性値
単 位
740
1130
25
200
67
126
130
>1000
25
MPa
MPa
kj/m2
kj/m2
HD
℃
℃
hrs
MPa
適用規格
JIS
JIS
JIS
ASTM
JIS
JIS
JIS
JIS
JIS
K
K
K
D
K
K
K
K
K
7106
7202
7110
1822
6760
6760
6760
6760
6760
(物性値は代表測定値を示す。)
20
8-2 耐薬品性
(1)試験方法
試験方法は JSWAS K-1(下水道用硬質塩化ビニル管)に準拠した浸せき試験
により、表面部材の耐薬品性を確認する。試験状況を写真 8-2 に示す。
試験条件:
① 試験片寸法:4mm×40mm×40mm
② 溶液温度 :60±2℃
③ 浸せき時間:5 時間
(2)試験結果
(財)化学物質評価研究機構で実施した試験結果を表 8-2 に示す。各溶液と
も質量変化度が±0.2mg/㎝ 2 以内であり、各溶液に対して優れた耐薬品性を有
していることを確認した。
表 8-2 耐薬品性試験結果
試 験 液
水
10%塩化ナトリウム水溶液
30%硫酸
40%硝酸
40%水酸化ナトリウム水溶液
質量変化度
( mg/cm2 )
JSWAS K-1 規格値
( mg/cm2 )
+0.008
+0.033
+0.038
+0.018
+0.091
±0.2 mg/cm2 以内
写真 8-2 耐薬品性試験状況
21
8-3
耐摩 耗性
(1) 試験方法
摩耗性試験は、JIS K 7204 の摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験に準拠し、
試験片を表面部材と硬質塩化ビニル管とし、それぞれの摩耗量を比較すること
により確認する。試験状況を写真 8-3 に示す。
試験条件:
① 摩耗輪
: H-18
② 荷 重
: 9.8 N
③ 回転速度 : 60 min-1
④ 試験回数 : 1,000 回
(2) 試験結果
(財)化学物質評価研究機構で実施した試験結果を表 8-3 に示す。表
面部材は硬質塩化ビニル管と比べて摩耗量が少なく、優れた耐摩耗性
を有していることを確認した。
表 8-3
耐摩耗性試験結果
供試体
表面部材
(g)
硬質塩化ビニル管
(g)
1
0.0602
0.1917
2
3
平均
0.0121
0.0840
0.0521
0.1589
0.2470
0.1992
写真 8-3 耐摩耗性試験状況
22
8-4
高圧 洗浄耐久性
(1)試験方法
図 8-4 に示すように高圧洗浄機により、20MPa(204kgf/cm2)の圧力で 1 分間更
生管表面の洗浄を行い、異常の有無を確認する。
図 8-4 高圧洗浄試験
(2)試験結果
写真 8-4 に示すように 20MPa(204kgf/cm2)の圧力で 1 分間洗浄を行った。更
生管の表面部材に高圧洗浄による異常は見られなかった。
写真 8-4 高圧洗浄試験状況
23
9.パルテム・フローリング更生管の外圧強度
9-1 破壊させた鉄筋コンクリート管に対する外圧強度
(1)試験方法
φ800 mm (B形 1 種)から φ2000mm(C形 1 種)の鉄筋コンクリート管を
JIS A 5303 の外圧試験の方法により破壊させ、その破壊させた管にパルテム・
フローリング工法を施工する。更生した管に JIS A 5303 の外圧試験の方法に
より再び破壊し、その破壊荷重を測定し、新管の破壊荷重規格値および実測値
と比較することにより確認する。使用した鉄筋コンクリート管以下に示す。
φ800mm 、φ1000mm、φ1200mm(B形 1 種,L=2.43m)
φ1500mm、φ1650mm、φ1800mm、φ2000mm(C形 1 種,L=2.36m)
(2)試験結果
破壊させた鉄筋コンクリート管を更生した更生管の外圧試験の結果を表 9-1
に示す。試験状況を写真 9-1-1~9-1-4 に示す。φ800mm、φ1650mm、φ1800mm、
φ2000mm については、(財)日本建築総合試験所で試験を実施した。
破壊させた鉄筋コンクリート管に対する更生管の外圧試験状況
写真 9-1-1 φ800 破壊更生管
写真 9-1-2 φ800 破壊更生管外圧試験
写真 9-1-3 φ2000 破壊更生管
写真 9-1-4 φ2000 破壊更生管外圧試験
24
表 9-1 破壊させた鉄筋コンクリート管に対する外圧試験の結果
新管
内径
mm
800
更生管
内径
mm
726
破壊荷重 (KN/m)
新管破壊
荷重 JIS
規格値①
新管破壊荷重
測定値②
88.1
85.6
84.0
85.9
53.0
平均
1000
910
61.9
平均
1200
1100
71.7
平均
1500
1400
91.3
平均
1650
1500
102
1800
1650
111
2000
1850
118
114.0
106.0
119.0
113.0
194.0
190.9
更生管破壊荷重
測定値③
平均
平均
192.4
184.1
184.9
平均
184.5
平均
144.0
157.0
153.0
平均
151.0
151.0
160.0
157.0
平均
156.0
153.4
141.5
139.8
平均 144.9
向上率
101.2
90.1
97.9
96.4
138.0
158.0
159.0
152.0
219.7
202.5
211.1
189.2
224.5
③/①
③/②
1.8
1.1
2.5
1.3
2.9
1.1
2.2
1.1
1.8
1.2
1.6
1.1
1.6
1.3
206.9
168.0
229.0
162.0
平均
186.0
187.0
165.0
177.0
平均
176.0
183.1
197.5
189.4
平均 190.0
破壊荷重は、荷重載荷時の最大測定値とする。
破壊させた鉄筋コンクリート管を更生した管に JIS A 5303 の外圧試験に準じて鉛直
荷重を載荷して、更生管の破壊荷重が鉄筋コンクリート管の規格値と実測値を上回る耐
荷能力を有することを確認した。
25
9-2 減肉させた鉄筋コンクリート管に対する外圧強度
(1)試験方法
φ 800 mm (B形 1 種)の鉄筋コンクリート管の厚みを 30%減肉させた
鉄筋コンクリート管および φ2000mm(C形 1 種)の鉄筋コンクリート管
を内 面から内鉄筋まで減肉させた鉄筋コンクリート管を更生する。更生
され た管を JIS A 5303 の外圧試験の方法により載荷して、その破壊荷
重を求める。
(2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した減肉させた鉄筋コンクリート管を更生し
た管の外圧試験の結果を表 9-2 に示す。試験状況を写真 9-2-1~9-2-4 に示す。
表 9-2 減肉させた鉄筋コンクリート管に対する更生管の外圧試験の結果
管種
管内径
mm
肉厚
mm
新 管
減肉管
更生管
800
845
726
66
43
103
新 管
減肉管
更生管
2000
2045
1850
145
123
220
新管破壊
荷重 JIS
規格値①
破壊荷重 (KN/m)
減肉管
更生管
破壊荷重
破壊荷重
測定値②
測定値③
53.0
118
向上率
③/①
③/②
49.8
99.2
91.4
93.4
平均 94.7
1.8
1.9
104.2
203.0
242.8
212.3
平均 219.4
1.9
2.1
破壊荷重は、荷重載荷時の最大測定値とする。
減肉させた鉄筋コンクリート管に本技術を施工した管に、JIS A 5303 の外圧試験に準
じて鉛直荷重を載荷して、破壊荷重が鉄筋コンクリート管の規格値を上回る耐荷能力を
有することを確認した。
26
減肉させた鉄筋コンクリート管に対する更生管の外圧試験状況
写真 9-2-1φ800 減肉更生管
写真 9-2-2 φ800 減肉更生管外圧試験
写真 9-2-3 φ2000 減肉更生管
写真 9-2-4 φ2000 減肉更生管外圧試験
27
9-3 減肉させた非円形管に対する外圧強度
1)試験方法
非円形管の耐荷能力に関しては、劣化状態を再現し減肉させた矩形
の鉄筋コンクリート管に本技術を施工し外圧試験を行い、実験値が新
管の規格値ならびに構造計算により算出した設計値と比較すること
により確認する。
外圧試験は、鉄筋コンクリート製プレキャストボックスカルバート道路埋設
指針「ボックスカルバートの外圧試験」に準じて行い、破壊荷重を測定する。
①減肉管の寸法確認
既設管の劣化状態を想定した減肉管として、次の呼び径 1500 の矩形の鉄筋
コンクリート管を試験体とする。
・25 mm 減肉管:内側鉄筋を有し頂版部、側壁部、底版部の厚みを 25 mm 減肉さ
せた矩形鉄筋コンクリート管
・40 mm 減肉管:頂版部と側壁部の内側鉄筋を除外し厚みを 40 mm 減肉(底版部
の厚みを 30 mm 減肉)させた矩形鉄筋コンクリート管
減肉管の寸法測定結果を表 9-3-1、減肉管の断面図を図 9-3-1 に示す。
表 9-3-1 1500mm 矩形減肉管の寸法測定結果
測定項目
規格管
寸法(mm)
25mm 減肉管
実測値(mm)
40mm 減肉管
実測値(mm)
内側高さ
内側幅
頂版厚み
底版厚み
右側壁厚み
左側壁厚み
1500
1500
160
160
140
140
1550
1550
135
135
116
115
1572
1580
120
130
100
100
左側壁厚み
内側幅
右側壁厚み
頂版厚み
内側高さ
底版厚み
図 9-3-1 矩形減肉管の断面図
28
②鋼製リングの組み立て
矩形鉄筋コンクリート管の頂版部、側壁部、底版部について全面更生する試
験体と、底版部を除いた頂版部と側壁部の3面を門形更生する試験体を製作す
る。
25 mm 減肉の全面更生管の鋼製リング組立図を図 9-3-2 に示す。
25 mm 減肉の門形更生管の鋼製リング組立図を図 9-3-3 に示す。
図 9-3-2 25 mm 減肉全面更生管の鋼製リング組立図
図 9-3-3 25 mm 減肉門形更生管の鋼製リング組立図
29
40 mm 減肉の全面更生管の鋼製リング組立図を図 9-3-4 に示す。
40 mm 減肉の門形更生管の鋼製リング組立図を図 9-3-5 に示す。
図 9-3-4 40 mm 減肉全面更生管の鋼製リング組立図
図 9-3-5 40 mm 減肉門形更生管の鋼製リング組立図
30
鋼製リングの寸法測定結果を表 9-3-2 に示す。
表 9-3-2 鋼製リングの寸法測定結果
測定項目
鋼製リング幅
鋼製リング厚み
鋼製リング間隔
25 mm 減肉 寸法実測値(mm)
40 mm 減肉 寸法実測値(mm)
全面更生
門形更生
全面更生
門形更生
20
6
250
20
6
250
30
6
125
30
6
125
鋼製リングの組立状況を写真 9-3-1~写真 9-3-4 に示す。
写真 9-3-1 25 mm 減肉全面更生管
の鋼製リング組立状況
写真 9-3-2 25 mm 減肉門形更生管
の鋼製リング組立状況
写真 9-3-3 40 mm 減肉全面更生管
の鋼製リング組立状況
写真 9-3-4 40 mm 減肉門形更生管
の鋼製リング組立状況
31
③かん合部材,表面部材の組み付け
かん合部材と表面部材を鋼製リングに組み付ける。かん合部材、表面部材の
組付け状況を写真 9-3-5~写真 9-3-8 に示す。
写真 9-3-5 25 mm 減肉全面更生管
の表面部材組付け状況
写真 9-3-6 25 mm 減肉門形更生管
の表面部材組付け状況
写真 9-3-7 40 mm 減肉全面更生管
の表面部材組付け状況
写真 9-3-8 40 mm 減肉門形更生管
の表面部材組付け状況
32
④モルタル注入
更生管と減肉管の間にモルタル(1号)を注入する。モルタルの配合を表
5-3-1 に示す。モルタル注入状況を写真 9-3-9~写真 9-3-13 に示す。
写真 9-3-9 フロー値の測定( 310 mm × 310 mm)
写真 9-3-10 25 mm 減肉全面更生管
のモルタル注入状況
写真 9-3-11 25 mm 減肉門形更生管
のモルタル注入状況
写真 9-3-12 40 mm 減肉全面更生管
のモルタル注入状況
写真 9-3-13 40 mm 減肉門形更生管
のモルタル注入状況
33
⑤外圧試験
減肉させた矩形の鉄筋コンクリート管に本技術を施工した更生管の破壊
荷重を、ボックスカルバートの外圧試験に準じて測定する。
外圧試験状況を写真 9-3-14~写真 9-3-17 に示す。
写真 9-3-14 25 mm 減肉全面更生管
の外圧試験状況
写真 9-3-15 25 mm 減肉門形更生管
の外圧試験状況
写真 9-3-16 40 mm 減肉全面更生管
の外圧試験状況
写真 9-3-17 40 mm 減肉門形更生管
の外圧試験状況
34
2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した減肉させた矩形の鉄筋コンクリー
ト管に対する外圧試験の結果を表 9-3-3 に示す。
表 9-3-3 減肉させた矩形の鉄筋コンクリート管に対する外圧試験の結果
管内寸法
元管
(更生管)
mm
管種
規格管
25
mm
減
肉
管
40
mm
減
肉
管
幅 1500
高さ 1500
厚み:側壁 140
頂版・底版 160
全
面
更
生
幅 1550
高さ 1550
(幅 1400)
(高さ 1400)
門
形
更
生
幅 1550
高さ 1550
(幅 1400)
(高さ 1475)
全
面
更
生
幅 1580
高さ 1570
(幅 1400)
(高さ 1400)
門
形
更
生
幅 1580
高さ 1570
(幅 1400)
(高さ 1480)
破壊荷重
測定値
kN/m
392
破壊荷重
規格値
(設計値)
kN/m
荷重比
測定値
規格値
規格値
②÷①
測定値
設計値
393
431
②
405
492
①
2.5
-
④÷①
④÷③
3.1
2.2
⑥÷①
⑥÷⑤
3.0
2.2
⑧÷①
⑧÷⑦
2.1
1.7
⑩÷①
⑩÷⑨
1.9
1.6
164
設計値
515
516
④
508
487
③
232
設計値
503
504
⑥
498
336
⑤
230
設計値
382
319
⑧
346
348
⑦
203
設計値
306
304
⑩
319
⑨
200
破壊荷重の設計値は、終局曲げモーメントの算定方法およびボックスカルバートの
応力計算方法を用いて(財)日本建築総合試験所が算出した。
規格値は、プレキャストボックスカルバート設計・施工マニュアル(鉄筋コンクリ
ート製・プレキャストコンクリート製)による。
35
10.水密性試験
水密性に関する試験は、(社)日本下水道協会発行「管更生の手引き(案)」の複合管
の水密性試験に準じて行い、更生管のかん合部が内外の水圧に対して水密性を有してい
ることを確認した。
(1)試験方法
試験は JSWAS K-2 に準拠して行い、試験装置を使ってかん合部に内水圧および
外水圧 0.3MPa を加え、3 分間保持した状態で漏水の有無を確認する。試験体は接
合部のあるものを含めて 4 通りとする。
試験装置を図 10-1 および図 10-2 に示す。
図 10-1 内水圧試験装置
図 10-2 外水圧試験装置
(2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した試験結果を表 10-1 に示す。外水圧 0.3MPa
を加え、3 分間保持した状態で漏水のないことを確認した。また、3ヶ月経過後
も漏れが無いことを確認した。
表 10-1
水密性試験結果
試験項目
接合部の有無
漏水の有無
内水圧
無し
有り
無し
無し
外水圧
無し
有り
無し
無し
写真 10-1 水密性試験
36
11.流下性能試験
(1)試験 方法
図 11-1 に示す幅 700 mm、長さ 20 mの可変勾配水路の流速係数試験
装置に流した水の流速、水位、水路勾配を計測し流 速係数を 算出す る。
6
表面 部材
表面 部材
図 11-1 流速係数試験装置
(2)試験 結果
(財)災害 科学研究所で実施した試験から算出した結果を表 11-1 に示す 。
表 11-1
流速係数測定試験の結果
試験項目
算出結果
確認結果
流速係数
平均流速係数C
159.4
(粗度係数 n=0.00842)
表面部材の流速係数は、プラ
スチック系管材と同等の
150 以 上 で あ る こ と を 確 認
した。
流速係数は、3m間隔に設定された測定断面における測定値を用いて、水頭差
から損出水頭を計算し、実測された平均流速を用いて摩擦係数と流速係数Cを算
出した。結果、プラスチック系管材と同等の流速係数を有すると認められた。
37
12.一体化に関する性能試験
既 設 管と更生材の一体化に関する試験 は、(社)日本下水道協会発行「管
更 生 の 手引き(案)」の一体化を確認するための充填材の接着強さを確認す
る試験(タイプ 1)と既設管と更生材の界面における歪み挙動を確認する試
験(タイプ 2)を実施した。
12-1
充填材の接着強さの確認試験(タイプ 1)
(1)試験方法
JIS A 1171-2000(ポリマーセメントモルタルの試験方法)に準拠して試
験体を作成し、JIS A 6203-2000(セメント混和用ポリマーディスパージョ
ンおよび再乳化形粉末樹脂)の接着強さ試験により、一体化を確認する。
試験状況を写真 12-1 に示す。
写真 12-1 一体化確認試験状況(タイプ 1)
(2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した試験結果を表 12-1 に示す。破断位
置はすべて試料層内(充填材)であり、界面での付着切れは発生していな
い。これにより充填材と基盤モルタルの付着強度は充分に保持され一体化
していることを確認した。
表 12-1 一体化確認試験結果(タイプ 1)
供試体番号
接着強さ
(N/mm2)
破断位置
1
2
3
平均
1.69
1.31
1.81
1.60
試料層内
試料層内
試料層内
-
38
12-2
既設管と更生材の界面における歪み挙動の確認試験(タイプ 2)
(1)試験方法
更生した鉄筋コンクリート管にひずみゲージを既設管、更生管、既設管と
更生管の界面部に貼り付け、JIS A 5303 に準じて外圧試験をおこない、それ
ぞれの荷重-ひずみ曲線図を示すことによって、既設管と更生管の一体化を確
認する。
(2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した試験結果を図 12-2 に示す。荷重-ひ
ずみ曲線図より、界面部の既設管と充填材が同じ挙動を示していることを確
認した。
45
40
35
ひずみゲージ1
ひずみゲージ2
30
ひずみゲージ3
荷重(kN)
ひずみゲージ4
25
20
15
10
5
0
-300
-100
100
300
500
ひずみ(μ)
700
900
1100
図 12-2 荷重-ひずみ曲線
充填材の接着強さの確認試験(タイプ 1)および既設管と更生材の界面に
おける歪み挙動の確認試験(タイプ 2)の試験結果より既設管と更生管の一
体化を確認した。
39
12-3 鉄筋コンクリート板と更生材の複合体曲げ試験
(1)試験方法
本技術を用いて施工した鉄筋コンクリート板と更生材の複合体に、ひずみ
ゲージを鉄筋コンクリート板、更生材、鉄筋コンクリート板と更生材の界面
部に貼付し、曲げ試験をおこない、それぞれの荷重-ひずみ曲線図を示すこ
とによって、鉄筋コンクリート板と更生材の一体化を確認する。
①試験体の寸法測定
試験体(鉄筋コンクリート板と更生材の複合体)の寸法測定結果を表
12-3 に示す。
表 12-3 試験体の寸法測定結果
長さ実測値
(mm)
幅実測値
(mm)
高さ実測値
(mm)
430
80
120
②試験体の製作
試験体(鉄筋コンクリート板と更生材の複合体)6本の製作状況を写真
12-3-1~12-3-3 に示す。鉄筋コンクリート板とかん合・表面部材の間にモ
ルタル(1 号)を注入する。使用したモルタルの配合表を表 5-3-1 に示す。
写真 12-3-1 フロー値の測定( 295 mm × 295 mm)
40
写真 12-3-2 試験体の製作状況(モルタル注入)
写真 12-3-3 試験体の製作完了状況
③曲げ試験
曲げ試験の概要図を図 12-3-1、試験状況を写真 12-3-4 に示す。
荷重
正荷重載荷試験
荷重
負荷重載荷試験
図 12-3-1 曲げ試験概要図
41
写真 12-3-4 鉄筋コンクリート板と更生材の複合体曲げ試験状況
(2)試験結果
(財)日本建築総合試験所で実施した複合体曲げ試験の界面状況を写真
12-3-5、写真 12-3-6、荷重-ひずみ曲線図を図 12-3-2、図 12-3-3 に示す。
写真 12-3-5 複合体の界面状況(負荷重載荷試験後)
写真 12-3-6 複合体の界面状況(正荷重載荷試験後)
42
20
18
16
荷重(kN)
14
12
10
8
6
G 12a
G 34a
G 56a
G 78a
4
2
0
-500
-400
-300
-200
-100
0
100
ひずみ(μ)
200
300
400
500
図 12-3-2 荷重-ひずみ曲線図(負荷重載荷試験)
4
荷重(kN)
3
2
G 12a
G 34a
G 56a
G 78a
1
0
-60
-40
-20
0
ひ ず み (μ )
20
40
60
図 12-3-3 荷重-ひずみ曲線図(正荷重載荷試験)
鉄筋コンクリート板と更生材の複合体を用いて曲げ試験を行い、既設管と更
生材の界面におけるひずみの挙動が、既設管と連続 している ことを 確認した 。
43
13.施工性の確認試験
(1) 試験方法
図 13-1 に示すような両端に人孔を設けた試験配管(口径φ2000mm×長さ 50m)
を使用し、水深約 30cm の水を流した状態で更生作業を行い、流水下での施工性
とモルタルの充填状況を確認した。
図 13-1 施工性の確認試験
(2) 試験結果
流水下で鋼製リングの組立、ポリエチレン部材の組み付け、モルタル充填ま
での一連の作業ができることを確認した。また、試験配管の上部を取り外しモ
ルタルの充填状況を確認した結果、管頂部まで隙間なくモルタルが充填されて
いることを確認した。
写真 13-1-1~13-1-8 まで施工性試験の状況を示す。
写真 13-1-1 施工性の確認試験用配管
44
写真 13-1-2 鋼製リング搬入作業
写真 13-1-3 鋼製リングの組立作業
写真 13-1-4 表面部材のかん合状況
写真 13-1-5 モルタル充填用の型枠
写真 13-1-6 モルタル充填の状況
写真 13-1-7 更生管内の仕上状況
写真 13-1-8 管頂部モルタル充填の完了状況
45
13-2 継手部の施工性確認
(1)円形鉄筋コンクリート管の継手部の施工性
①試験方法
図 13-2-1 に示すように呼び径 1500 の円形鉄筋コンクリート管を接続した
模擬配管において、鋼製リングの組立、かん合部材および表面部材の組み付
けをおこない、特別な製管装置を用いることなく、段差、屈曲、隙間の継手
部の施工ができることを確認する。
平面図
側面図
図 13-2-1 円形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験の配管図(単位 mm)
写真 13-2-1 円形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験配管
②試験結果
円形の鉄筋コンクリート管内にて、鋼製リングの組み立て、かん合部材およ
び表面部材の組み付け、までの作業を行うことにより、特別な製管装置を用い
ることなく、段差、屈曲、隙間の継手部の施工が可能であることを確認した。
試験結果を表 13-2-1 に示す。
46
表 13-2-1 円形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験結果
継手状態
設定値
実測値
施工の可否
段差
20 mm
20 mm
可
屈曲
曲率半径 12.4 m
(屈曲角 12 度)
曲率半径 12.7 m
(屈曲角 11.75 度)
可
200 mm
200 mm
可
隙間
写真 13-2-2~写真 13-2-6 に立会試験での確認状況を示す。
写真 13-2-2 1500mm円形鉄筋コンクリート管 鋼製リング組立完了状況
写真 13-2-3 1500mm円形鉄筋コンクリート管 かん合部材組立状況
47
写真 13-2-4 1500mm円形鉄筋コンクリート管 かん合部材組立完了状況
写真 13-2-5 1500mm円形鉄筋コンクリート管 表面部材組立状況
写真 13-2-6 1500mm円形鉄筋コンクリート管 表面部材組立完了状況
48
(2)矩形鉄筋コンクリート管の継手部の施工性
①試験方法
図 13-2-2 に示すように呼び径 1500 の矩形鉄筋コンクリート管を接続した
模擬配管において、鋼製リングの組立、かん合部材および表面部材の組み付
けをおこない、特別な製管装置を用いることなく、段差、屈曲、隙間の継手
部の施工ができることを確認する。
平面図
側面図
図 13-2-2 矩形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験の配管図(単位 mm)
写真 13-2-7 矩形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験配管
49
②試験結果
矩形の鉄筋コンクリート管内にて、鋼製リングの組み立て、かん合部材およ
び表面部材の組み付け、までの作業を行うことにより、特別な製管装置を用い
ることなく、段差、屈曲、隙間の継手部の施工が可能であることを確認した。
試験結果を表 13-2-2 に示す。
表 13-2-2 矩形鉄筋コンクリート管継手部の施工性試験結果
継手状態
設定値
実測値
施工の可否
段差
20 mm
20 mm
可
屈曲
曲率半径 10.4 m
(屈曲角 12 度)
曲率半径 10.1 m
(屈曲角 12.33 度)
可
200 mm
220 mm
可
隙間
写真 13-2-8~写真 13-2-12 に立会試験での確認状況を示す。
写真 13-2-8 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 鋼製リング組立完了状況
写真 13-2-9 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 かん合部材組立状況
50
写真 13-2-10 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 かん合部材組立完了状況
写真 13-2-11 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 表面部材組立状況
写真 13-2-12 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 表面部材組立完了状況
51
13-3 モルタル注入の施工性確認
(1)円形鉄筋コンクリート管のモルタル注入の施工性
①試験方法
図 13-3-1 に示すように呼び径 1500 の円形の鉄筋コンクリート管を3本
接続した模擬配管において、5m の長さに鋼製リングの組立、かん合部材お
よび表面部材の組み付け、
褄型枠の設置およびモルタルの注入をおこない施
工性および仕上がり状況を確認する。
図 13-3-1 円形鉄筋コンクリート管の施工性試験の概略図(単位 mm)
②試験結果
円形の鉄筋コンクリート管内にて、鋼製リングの組み立て、かん合部材およ
び表面部材の組み付け、褄型枠の設置、モルタルの注入までの作業を行うこと
により、
特別な製管装置を用いることなく、施工が可能であることを確認した。
写真 13-3-1~写真 13-3-3 に立会試験での確認状況を示す。
52
写真 13-3-1 フロー値の測定( 304 mm × 303 mm)
写真 13-3-2 1500mm円形鉄筋コンクリート管 モルタル注入状況
写真 13-3-3 1500mm円形鉄筋コンクリート管 更生完了
53
(2)矩形鉄筋コンクリート管のモルタル注入の施工性
①試験方法
図 13-3-2 に示すように呼び径 1500 の矩形の鉄筋コンクリート管1本を使
用した模擬配管において、鋼製リングの組立、かん合部材および表面部材の
組み付け、褄型枠の設置およびモルタルの注入を数回に分けておこない、頂
版部の注入および仕上がり状況を確認する。
図 13-3-2 矩形鉄筋コンクリート管の施工性試験の概略図(単位 mm)
②試験結果
矩形の鉄筋コンクリート管内にて、鋼製リングの組み立て、かん合部材お
よび表面部材の組み付け、褄型枠の設置、モルタルの注入までの作業を行う
ことにより、特別な製管装置を用いることなく、施工が可能であることを確
認した。
写真 13-3-4~写真 13-3-6 に立会試験での確認状況を示す。
54
写真 13-3-4 フロー値の測定( 295 mm × 295 mm)
写真 13-3-5 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 モルタル注入状況
写真 13-3-6 1500mm矩形鉄筋コンクリート管 更生完了
55
13-4
高 さ調整の施工性確認
(1)円形鉄筋コンクリート管の高さ調整
①試験方法
水平に設置した円形の鉄筋コンクリート管に高低差をつけながら、鋼製リ
ングの組立、かん合部材および表面部材の組付けをおこない、組みあがった
表面部材の高低差を計測することにより確認する。図 13-4-1 に高さ調整試験
の概略図を示す。
図 13-4-1 円形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験の概略図(単位 mm)
②試験結果
円形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験結果を表 13-4-1 に示す。高さ調整
試験状況を写真 13-4-1~写真 13-4-3 に示す。
表 13-4-1 円形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験結果
測定点
高低差実測値(mm)
目標値(mm)
鉄筋コンクリート管の高低差:A
0
-
更生管の高低差:B
19
-
高さ調整量:B-A
19
20
56
写真 13-4-1 円形鉄筋コンクリート管の高さ調整状況(勾配の調整)
写真 13-4-2 鋼製リング高低差確認(実測値 19mm)
写真 13-4-3 更生管の高低差確認(実測値 19mm)
57
(2)矩形鉄筋コンクリート管の高さ調整
①試験方法
矩形の鉄筋コンクリート管に高低差をつけながら、鋼製リングの組立、かん
合部材および表面部材の組付けをおこない、組みあがった表面部材の高低差を
計測することにより確認する。図 13-4-2 に高さ調整試験の概略図を示す。
図 13-4-2 矩形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験の概略図(単位 mm)
②試験結果
矩形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験結果を表 13-4-2 に示す。高さ調整
試験状況を写真 13-4-4~写真 13-4-6 に示す。
表 13-4-2 矩形鉄筋コンクリート管の高さ調整試験結果
測定項目
高低差実測値(mm)
目標値(mm)
鉄筋コンクリート管の高低差:A
18
-
更生管の高低差:B
41
-
高さ調整量:B-A
23
20
58
写真 13-4-4 矩形鉄筋コンクリート管の長さ測定状況
写真 13-4-5 鋼製リング高低差確認(実測値 23mm)
写真 13-4-6 更生管の高低差確認(実測値 23mm)
59
14.施工実施例
14-1 曲がり管路の施工事例
工事概要
用
途:農業用水
施工時期:平成 13 年 3 月~4 月
既設管径:円形φ1500mm
施工延長: 80m
線
形: 45 度屈曲鋼管 2 個所、6 度、12 度屈曲部各 1 個所
本工事は上記のような屈曲管多く存在する現場であり、直線部のヒューム管
は健全であったが、曲がり部の鋼管は劣化が進み、屈曲部も連続で施工するこ
と が 望 ま れた。 パルテム・フローリング工法は、表面部材を管長方向に配す
る構造になっているため、屈曲部の内外周差を吸収することができ、全ての屈
曲部を連続で施工することができた。屈曲部の施工状態を写真 14-1-1~14-1-3
に示す。
また、鋼製リングが充填材充填時の支保の役割を果たすため、更生管の仕上
がりは非常 に精度の高い出来形を示している。10m間隔で測点を規定し、出来
形寸法を確 認した結果を表 14-1 に示す。
写真 14-1-1
鋼製リングの組立状況
写真 14-1-3
屈曲部の施工状況
写真 14-1-2
60
表面部材の組立状況
表 14-1
14-2
出来形寸法表(設計寸法φ1400mm)
測点
縦寸法
(mm)
差
(mm)
横寸法
(mm)
差
(mm)
1
2
1399
1400
-1
0
1396
1399
-4
-1
3
1395
-5
1398
-2
4
5
6
7
平均
1397
1392
1385
1397
1395
-3
-8
-15
-3
-5
1401
1401
1407
1400
1400
+1
+1
+7
0
0
門形断面の施工事例
工事概要
用
途:農業用水
施工時期:平成 13 年 1 月~3 月
既設管径:馬蹄形
(h= 1300mm、w=1250mm)
施工延長: 92m
線
形:直線
既設管種:石積み馬蹄形トンネル
本工事の既設管は石積み馬蹄形トンネルである。土圧によって管頂部レンガ
が崩落しかけており、早急な管頂部の補強が必要であった。また、管底を更生
することで水位が上がる事を懸念していた。
このため、底版部の更生をしない門形施工を行った。また、充填材充填時の
鋼製リングの変形を防止するため、鋼製リングをアンカーで既設管に固定した 。
更生管の 横断面図を図 14-2-1 に示す。また、既設管の状況と施工状況を写
真 14-2-1~14-2-5 に示す。
61
図 14-2-1
写真 14-2-2
更生管の横断面図
写真 14-2-1
鋼製リングの組立状況
写真 14-2-4
写真 14-2-3
更生後管口状況
写真 14-2-5
62
既設管内の状況
表面部材の組立状況
更生後管内状況
15.設計手法
既設管の劣化状態から強度検討の必要性の有無を決定する。強度設計が必要
な場合は既設管の強度をもとに、既設管の強度検討を実施する。この時の計算
方法としては、RC断面計算を採用しており、コンクリート標準示方書に基づ
く限界状態設計法もしくは許容応力度法のどちらかによる。
既設管の強度が不足している場合は、既設管との複合管とするか更生管単独
とするかを決定し、既設管の強度検討と同様な流れで強度検討を実施する。設
定した更生断面が強度的に不足する場合は、更生断面の変更を行い、強度的に
十分となるまで繰り返し検討をする。設計の流れを図 15-1 に示す。
既設管内調査
既設管の強度の調査
設計条件の設定
設計強度、作用荷重
更生断面の設定
単独、複合の選定
更生管強度の評価
許容応力度法
RC断面計算
コンクリート標準示方書
材料の作用応力算出
限界状態設計法
RC断面計算
コンクリート標準示方書
許容応力度の決定
各安全係数の決定
作用内力
強度照査
NO
YES
断面耐力の算出
安全照査
YES
NO
更生断面の決定
図 15-1
設計の流れ
63
パルテム・フローリング工法
技 術 資 料 -農業用水編-
2006年 9月 初版発行
2009年 9月 増刷
編集・発行 パルテム技術協会
〒103-0022
東京都中央区日本橋室町四丁目3番16号
柳屋太洋ビル8階
TEL. 03-3242-2155
FAX. 03-3242-2160
本書は無断で転載及び再配布を禁じます。
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