...

壬生の花田植(北広島町) - 中国経済産業局

by user

on
Category: Documents
32

views

Report

Comments

Transcript

壬生の花田植(北広島町) - 中国経済産業局
地域パートナーHOT 情報
〔広島県〕
「壬生の花田植(北広島町)」
~無形文化遺産~
石田 稔(総務課 係長)
[email protected]
TEL 082-224-5615
皆様ご存じのとおり、中国地域には厳島神社(広島県廿日市市)
、原爆ドーム(広島市)
、
石見銀山(島根県大田市)の3つの世界遺産が登録されていますが、3つの「無形文化遺
産」はご存じでしょうか。
中国地域には石州半紙(島根県浜田市)
、壬生の花田植(広島県北広島町)
、佐陀神能(島
根県松江市)の3つが登録されています。今号ではその中で広島県北広島町の「壬生の花
田植」を御紹介いたします。
【無形文化遺産】
2003 年に「無形文化遺産の保護に関する条約」
(無形文化遺産保護条約)が国連教育科
学文化機関(ユネスコ)総会において採択され、2006 年に発効。無形文化遺産は有形の世
界遺産とは違い、芸能(民族音楽・ダンス・劇など)、伝承、社会的慣習、儀式、祭礼、
伝統工芸技術、文化空間などが対象となります。
【壬生の花田植】
広島県北広島町の伝統行事「壬生の花田
植」が今年、6月3日に開催されました。
昨年11月にユネスコの無形文化遺産に
登録後、初の披露とあって、過去最高の
15,000 人(昨年は 7,000 人)が訪れ壬生の
田園絵巻を堪能しました。
花田植は「早乙女」と呼ばれる着飾った
女性たちが、歌いながら苗を植え、その年
の稲作の無事と豊作を祈願する農耕行事で
す。起源は江戸時代中期までさかのぼると
され、中国山地の各地で行われてきました。
旬レポ中国地域 2012 年 7 月号
1
■花田植の誕生
中国地方一帯では太鼓をたたき、笛を鳴らして田植歌を歌いながら大勢で田植をする民
俗行事が残されており、「囃し田」、「田囃し」などと呼ばれ、その歴史は江戸時代中期に
さかのぼるといわれています。
田植作業を行いながら、そのまま稲作の平穏と豊穣を祈って「田の神」を祭る稲作儀礼
であり、同時に苦しい田植え作業に従事する者の慰安や、当時の農村における数少ない娯
楽としての要素を持つ一大行事でした。
この囃し田に参加する牛には豪華な花鞍を更に造花で飾り、太鼓や笛の音にあわせて、
着飾った早乙女達が苗を植える。この様子があまりにも華やかであるところから花田植と
呼ぶようになったといわれています。
■田植歌
田植歌は四万八声もあるといわれ、大き
く朝歌・昼歌・晩歌にわかれています。1
日のうちに同じ歌を2回出すのは大変恥ず
かしいこととされ、もしも同じ歌が出たら、
サンバイさん(花田植全体の指揮をとる責
任者)だけ残して、外の者は田からあがっ
て帰ってしまっても良いという決まりまで
あったといわれています。
■飾り牛
花田植における主役は早乙女と囃し方で
すが、もう一つの主役飾り牛の存在はこの
催しを支える重要な要素です。
牛による代掻き(しろかき)の掻き方に
は決まりがあり、
「鶴の巣ごもり」や「天の
三ツ星」など複雑な掻き方もあるそうです。
多くの牛を従えるオモウジ(先頭の牛)と
なるのは大変名誉なこととされています。
晴雨にかかわらずミノを着けるのは神様を
迎えるためです。
旬レポ中国地域 2012 年 7 月号
2
■サンバイ
サンバイ(三拝)は花田植全体の指揮を
とる責任者で田の神様ともいわれる役柄で
す。作業の進行状況や早乙女さん(苗を植
える女性)のくたびれ方などを考えながら
緩急をつけて田植歌を歌い出します。
手に持つササラは煤竹(すすだけ)を割
ったもので陰陽・男女をあらわしています。
■早乙女
田植歌を歌い、苗を植える女性のことを
早乙女といいます。
田の神様に関係するものにつく「サ」と
いう言葉がついていることから見ても、作
業として田植をするだけでなく、神に関わ
る特別な役目を持っていたものと考えられ
ます。サンバイの音頭に合わせて田植歌を
歌いながら田圃に早苗を植える花田植にお
ける主役の一人です。
■囃し
囃しは大太鼓・小太鼓・手打鉦・笛があ
ります。サンバイの擦るササラ(割竹)に
あわせて、時にはバチを宙に投げ上げたり、
上体を前後左右にくねらせたりしながら、
にぎやかに囃していきます。
早乙女より囃しの人数の方が多くなるこ
ともしばしばです。
旬レポ中国地域 2012 年 7 月号
3
【芸北民俗芸能保存伝承館】
「花田植」、「芸北神楽」、「花笠踊り」な
ど、芸北地域の民俗芸能と稲作の暮らしを
紹介する資料館です。
実物の資料と解説パネルに模型や映像を
加え、
「芸北の染織用具及び草木染めコレク
ション」、「燈火用具」など、有形の民俗文
化財も展示しています。
「壬生の花田植」は年に1回のイベント
ですが、資料館はユネスコ無形文化遺産登
録を記念して、2012 年 11 月末まで無料開館
していますので、是非お立ち寄りください。
[開館時間] 午前 9 時~午後 4 時 30 分
[休館日] 月曜日(祝祭日と重なる時はその翌日)年末・年始
[入館料] 大人 300 円(200 円)
[所在地] 〒731-1595
高校生 100 円(50 円)
中学生以下無料
広島県山県郡北広島町有田 1234
[連絡先] 050-5812-5088
050-5812-1864
(伝承館)
(教育委員会生涯学習課文化係)
[交通アクセス] 高速道路利用
中国自動車道千代田 IC 下車
高速バス利用
広島駅・広島バスセンター~千代田 IC 下車
路線バス利用
千代田(道の駅舞ロード IC 千代田)下車
[駐車場] あり
◆北広島町観光情報サイト
http://www.kitahiro.jp/special/mibu_hanadaue/mibu_hanataue.html
◆北広島町HP
http://www.town.kitahiroshima.lg.jp/syougaigakusyu/bunka_3.jsp
経済産業省 中国経済産業局 広報誌
旬レポ中国地域 2012 年 7 月号
Copyright 2012 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry.
4
Fly UP