事例3 プレスと油圧技術

特集
環境時代の油圧技術最新トレンド
事例 3―
プレスと油圧技術
川崎油工 川本 晴一＊
＊かわもと せいいち：技術部 部長
その「油圧プレス」は，多くの場合，「機械プレ
プレス機械における油圧技術の役割
周知の通り，プレス機械には大きく分けて「機
ス」と同様に生産性を追求されるため，大出力で
高速化が求められる。また，当然のことながら油
圧プレス用の油圧装置は高圧・大容量となってし
まう。
械プレス」と「液圧プレス」がある。
まず，「機械プレス」とは電動モータによる回
しかしながら，比較的小型のポンプで大きな力
転運動を，機械的機構によりスライドの直線運動
を発揮でき，出力や速度の制御が容易な「油圧プ
に変えて，金型を介し素材を成形するプレスであ
レス」は，動力伝達媒体が液体なので遠隔操作が
る。一方，「液圧プレス」
，ほとんどが「油圧プレ
可能であり，コンパクトなので設置場所の自由度
ス」だが，油圧ポンプで作った高圧の流体を配管
が大きい等の特徴を有している。それらの特徴を
やパイプを通じて，シリンダ（油圧機器ではアク
生かながら，生産性と環境性を向上させるため，
チュエータと呼ぶ）に送り出し，いわゆるパスカ
さらに高速で高精度な加圧シリンダの速度・位
ルの原理を応用して大きな力を発揮し，金型を介
置・圧力制御を行い，省エネや省資源により環境
し素材を成形するプレスが「油圧プレス」である。
に配慮したプレスをバックアップする「油圧技
それらプレスには油圧装置が多く使われてるが，
その中で，
「油圧プレス」は，一番多く油圧装置
が使われ，さまざまな油圧技術が用いられている。
術」が求められている。
その例として現在，東京都墨田区で建設中の東
京スカイツリー（図 1）
。この電波塔を形作る鉄
15000トン造管プレス
東京スカイツリー
図 1 油圧プレス参考例 1
第 54 巻 第 12 号（2010 年 12 月号）
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