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JP 2014-98011 A 2014.5.29 (57)【要約】 【課題】角膜表面やコンタクト

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JP 2014-98011 A 2014.5.29 (57)【要約】 【課題】角膜表面やコンタクト
JP 2014-98011 A 2014.5.29
(57)【要約】
【課題】角膜表面やコンタクトレンズの濡れを改善する粘膜適用組成物を提供する。
【解決手段】カルボキシメチルセルロースナトリウムとともにテルペノイドを含有するこ
とを特徴とする粘膜適用組成物は、角膜表面やコンタクトレンズ表面の濡れを改善するこ
とにより、濡れを持続させるとともにコンタクトレンズの使用感を向上させる。また、ド
ライアイなどの粘膜乾燥症状の予防効果、乾燥に起因する各種疾患の予防又は改善効果に
優れている。
【選択図】なし
(2)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチルセルロースナトリウムと、テルペノイドを含有する粘膜適用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びテルペノイドを含有することに
よって眼やコンタクトレンズの濡れが改善した粘膜適用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
10
常に涙液で湿っている角膜上にコンタクトレンズを的確かつ安全に装着し長時間の装用
を快適にするためには、コンタクトレンズの素材が親水性で表面が濡れ易い性質であるこ
とが望ましい。しかしながら、ハードコンタクトレンズおよび酸素透過性ハードコンタク
トレンズは、それぞれ、疎水性のポリメチルメタクリレートおよびポリシロキサニルメタ
クリレートを基本素材としているために、本質的に濡れ難い。また、ソフトコンタクトレ
ンズの場合には、含水率が高く親水性の素材を用いているために濡れ易い一方でタンパク
質や脂質等の吸着が著しく、コンタクトレンズの使用に伴ってこれらの物質が付着し蓄積
するにつれてソフトコンタクトレンズ表面の濡れ性が悪化する。このように、どのような
タイプのコンタクトレンズにも、素材の性質や付着物に起因してコンタクトレンズ表面の
濡れ性が悪化し、装着時および装用中の眼組織の障害を招くという課題がある。この課題
20
を解決するには、コンタクトレンズの素材にかかわらず十分な水濡れ効果を有する組成物
の適用、さらにはその水濡れが持続する組成物の適用が望ましい。
【0003】
また、ドライアイすなわち涙液の質的又は量的な異常によって引き起こされた角結膜上
皮障害が、コンタクトレンズ非装用者、装用者にかかわらず問題となっている。特にコン
タクトレンズ装用者では、重篤な角膜上皮障害を引き起こしやすい。そのため、ドライア
イの治療のために、眼の角膜表面が濡れ易い状態にあり、潤いを保持できる状態とするこ
とが重要である。
【0004】
既にコンタクトレンズへの蓄積等の悪影響が無く眼科的に安全な界面活性剤として、ポ
30
リオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレン置換エチレンジアミンが知られており、その洗浄および湿潤効果を利用したコ
ンタクトレンズ洗浄剤が開示されている(特許文献1:特開平4−313721号公報)
。また、テルペノイドを有効成分として含有しているソフトコンタクトレンズの水濡れ増
強方法及びその眼科用組成物が知られている(特許文献2:特開平11−130667号
公報)。さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと粘稠化剤を含有
して20度での粘度を1cps以上8cps以下であることを特徴とする粘度を調節した眼科用
組成物において、眼表面の水濡れをよくする効果に優れ、コンタクトレンズに持続的な水
濡れ効果を奏することが知られている(特許文献3:WO97/28827号公報)。
【0005】
40
ところで、眼粘膜や鼻粘膜、口腔内粘膜等に適用される粘膜適用組成物においては、成
分の生物学的利用能を高めるために、粘膜への組成物の滞留性を向上する必要がある。そ
こで、カルボキシメチルセルロースナトリウムといった粘稠化剤を配合して、滞留性を向
上させる製剤設計が行われている。また粘稠化剤は、外的環境に曝されて乾きやすい角膜
表面やコンタクトレンズ表面に対しての湿潤剤としても用いられることがあり、例えば、
保水作用があるカルボキシメチルセルロースナトリウムに、ドライアイに代表される眼粘
膜の乾燥に起因する角膜上皮細胞障害を治療する効果があることがわかっている(特許文
献2:特願2004−233874号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
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【0006】
そこで本発明は、角膜表面やコンタクトレンズの濡れが改善されて眼やコンタクトレン
ズの潤いを保つことができ、ひいてはドライアイに代表される乾燥により生じうる角結膜
障害の予防及び治療効果に優れた粘膜適用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、課題解決のために鋭意検討の結果、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウムとともにテルペノイドを含有することによって、目やコンタクトレンズの濡れを改善
することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
10
本発明者は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
すなわち、本発明は、下記(1)∼(13)に掲げる粘膜適用組成物である。
(1)カルボキシメチルセルロースナトリウムと、テルペノイドを含有する粘膜適用組成
物、
(2)濡れ改善用である(1)に記載の粘膜適用組成物、
(3)ドライアイの予防又は改善用である(1)又は(2)に記載の粘膜適用組成物、
(4)コンタクトレンズ用である(1)乃至(3)のいずれかに記載の粘膜適用組成物、
(5)点鼻剤、点眼薬、眼軟膏薬、コンタクトレンズ装着液、洗眼薬又はコンタクトレン
ズケア用剤である(1)乃至(4)のいずれかに記載の粘膜適用組成物、
(6)20℃での粘度が1.5mPa・s以上300mPa・s以下である(1)乃至(
20
5)に記載の粘膜適用組成物、
(7)カルボキシメチルセルロースナトリウムの25℃、2%(w/v)水溶液の粘度が
20mPa・s∼8000mPa・sである(1)乃至(6)に記載の粘膜適用組成物、
(8)カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度が0.6∼1.0である(
1)乃至(7)に記載の粘膜適用組成物、
(9)テルペノイドが、メントール、カンフル、ボルネオール又はゲラニオールから選択
される少なくとも一種である(1)乃至(8)に記載の粘膜適用組成物、
(10)さらに、非イオン性界面活性剤を0.001∼5%(w/v)で含有する(1)
乃至(9)に記載の粘膜適用組成物、
(11)非イオン性界面活性剤が、ポロクサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンソ
30
ルビタン脂肪酸エステル類又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類から選ばれる少なくと
も一種以上である(10)に記載の粘膜適用組成物、
(12)さらに、エチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩を0.0001∼1%(w/
v)含有する(1)乃至(11)に記載の粘膜適用組成物、
(13)さらに、無機塩類又は/及び緩衝剤を含有する(1)乃至(12)に記載の粘膜
適用組成物、
さらに、本発明は、下記(14)に掲げる方法である:
(14)カルボキシメチルセルロースナトリウム及びテルペノイドを組成物中に配合する
ことにより、コンタクトレンズの濡れを改善する方法。
なお、本明細書において単に%と記した場合は、%(w/v)を意味するものとする。
40
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘膜適用組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウムとともにテルペノ
イドを含有することによってコンタクトレンズ表面や角膜表面の濡れを改善することがで
きる。すなわち、カルボキシメチルセルロースの優れた保水作用ともあいまって、濡れを
持続させ潤いを保つことができる。また、本発明の組成物は使用感に優れ、ドライアイ、
ドライノーズ、ドライマウスなどの粘膜が乾燥状態を呈する疾患や症状の予防や改善に優
れた効果を有する粘膜適用組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
50
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【図1】試験例において用いた円すい一平板形回転粘度計による測定の方法を示す図であ
る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の粘膜適用組成物に用いるカルボキシメチルセルロースナトリウムは、公知の高
分子化合物である。カルボキシメチルセルロースナトリウムは、当業者が通常粘膜適用組
成物に用いるものを制限なく用いることができるが、好ましくは25℃、2%水溶液の粘
度が20mPa・s∼8000mPa・sのものが用いられ、より好ましくは20mPa
・s∼6000mPa・s、特に好ましくは20mPa・s∼3000mPa・sのもの
が用いられる。また、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、通常0
10
.1∼3.0の範囲であればよいが、本発明の粘膜適用組成物には、好ましくは0.6∼
1.0、より好ましくは0.6∼0.9、特に好ましくは0.7∼0.9である。
【0012】
カルボキシメチルセルロースナトリウムは市販のものを利用することができ、例えば第
一工業製薬株式会社から販売されているセロゲン(登録商標)シリーズPR−S(25℃
、2%水溶液の粘度が20mPa・s∼40mPa・s、エーテル化度0.70∼0.85)、P
−715A(25℃、2%水溶液の粘度が80mPa・s∼140mPa・s、エーテル
化度0.60∼0.70)、F−SC(25℃、2%水溶液の粘度が300mPa・s∼400m
Pa・s、エーテル化度0.70∼0.85)、AGガムM(25℃、2%水溶液の粘度が900
mPa・s∼1500mPa・s、エーテル化度0.70∼0.85)、P−815C(25℃、
20
1%水溶液の粘度が1000mPa・s∼2000mPa・s、エーテル化度0.70∼0.85
)等、ダイセル化学工業株式会社から販売されているCMCダイセルシリーズ、日本製紙
ケミカル株式会社から販売されているサンローズFシリーズ等が利用できる。
【0013】
本発明において粘膜適用組成物中のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量は
、好ましくは0.001∼10%、より好ましくは0.005∼5%、特に好ましくは0
.01∼3%程度である。
【0014】
本発明の粘膜適用組成物に用いるテルペノイドとしては、メントール、ボルネオール、
カンフル、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のモノテ
30
ルペン、ファルネソール、ネロリドールなどのセスキテルペン、フィトール、センブレン
などのジテルペンなどが挙げられ、これらのテルペノイドの1種又は2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。中でもメントール、ボルネオール、ゲラニオール又はカンフルから選
択される少なくとも1種のテルペノイドが好ましい。これらのテルペノイドは、d体、l
体、dl体のいずれでもよく、また、これらのテルペノイドを含有した精油(ペパーミント
油やユーカリ油、ベルガモット油やローズ油など)としても配合することができる。
【0015】
本発明に用いるテルペノイドの粘膜適用組成物への含有量は、種類や剤形などによって
異なるので一概に規定できないが、通常、粘膜適用組成物中の濃度として、0.0001
∼10%、好ましくは0.0005∼5%、より好ましくは0.001∼3%、さらに好
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ましくは0.001∼1%、特に好ましくは0.005∼1%程度で用いることができる
。また、テルペノイドは、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部に対して、好
ましくは0.001∼10重量部、より好ましくは0.01∼5重量部、さらに好ましく
は0.02∼3重量部、特に好ましくは0.05∼2重量部程度で用いることができる。
【0016】
本発明の粘膜適用組成物には、緩衝剤を配合するとより好ましい。本発明に用いる緩衝
剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、
HEPES緩衝剤、MOPS緩衝剤などが挙げられる。より具体的には、ホウ酸、ホウ酸
ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウムなど 、リン酸、リン酸水素ナ
トリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸、炭酸水素ナトリウム
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、炭酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸、酢酸ナト
リウム、HEPES、MOPSなどの化合物や、これらの群から選ばれる2種以上の化合
物の組み合わせ等が挙げられる。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸
緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤またはリン酸緩
衝剤である。
特に好ましい緩衝剤はより具体的には、ホウ酸緩衝剤としてはホウ酸、ホウ酸アルカリ
金属塩,ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩、ホウ酸とホウ酸塩との組み合わせが
挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、リン酸アルカリ金属塩,リン酸アルカリ土
類金属塩などのリン酸塩、リン酸とリン酸塩との組み合わせが挙げられる。
【0017】
10
本発明の粘膜適用組成物において緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などによって異なる
ので一概に規定できないが、緩衝剤として用いる化合物の総量として、通常0.001∼
5%、好ましくは0.001∼3%、より好ましくは0.005∼1.5%程度で用いら
れる。またコンタクトレンズ洗浄剤においては、通常0.001∼15%、好ましくは0
.001∼10%、より好ましくは0.001∼7%程度で用いられる。緩衝剤によって
、組成物のpHを、pH4.0∼10.0、好ましくは5.0∼9.0、特に好ましくは5.
5∼8.5に調整するとよい。
【0018】
本発明の粘膜適用組成物には無機塩類を配合するとより好ましい。無機塩類としては、
塩化カリウム又は/及び塩化ナトリウムが挙げられる。
20
【0019】
本発明の粘膜適用組成物において無機塩類の含有量は、無機塩類の種類などによって異
なるので一概に規定できないが、通常0.001∼5%、好ましくは0.001∼1%、
より好ましくは0.005∼0.5%程度で用いられる。
【0020】
本発明の粘膜適用組成物には、非イオン性界面活性剤を配合するとより好ましい。本発
明に用いる非イオン性界面活性剤としては、通常当業者が粘膜適用組成物に利用しうるも
のを用いることができ、例えばポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオ
キシプロピレン(以下、POPともいう。)ブロックコポリマー (例えば、ポロクサマー
407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 など) ;ポロキサミンなどのエチレンジアミ
30
ンのPOE-POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(
ポリソルベート20) ,モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) ,PO
Eソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60),POEソルビタントリステアレー
ト(ポリソルベート65) などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE硬化ヒマシ
油5 ,POE硬化ヒマシ油10 ,POE硬化ヒマシ油20 ,POE硬化ヒマシ油40 ,PO
E硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60 ,POE硬化ヒマシ油100などのPOE硬化ヒ
マシ油類;POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)P
OP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフ
ェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類などが挙げられる。なお、括弧
内の数字は付加モル数を示す。
40
【0021】
なかでも好ましくは、ポロクサマー、ポロキサミン、POEソルビタン脂肪酸エステル
類又はPOE硬化ヒマシ油類から選ばれる非イオン性界面活性剤であり、特に好ましくは
、ポロクサマー、ポロキサミン、ポリソルベート80、POE硬化ヒマシ油60である。
【0022】
本発明の粘膜適用組成物において非イオン性界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類
などによって異なるので一概に規定できないが、通常0.001∼5%、好ましくは0.
001∼1%、より好ましくは0.005∼0.5%程度で用いられる。
【0023】
本発明の粘膜適用組成物にはエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩を配合するとよ
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り好ましい。かかるエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩としては、例えば、エデト
酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエ
チレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン
三酢酸(HEDTA)などが例示できる。これらは、1種又は2種以上配合でき、薬理学
的に又は生理学的に許容される塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等)とし
て使用してもよい。なかでも好ましくは、エチレンジアミン四酢酸またはその塩であり、
例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二
水和物(以下、エデト酸ナトリウムともいう。)である。
【0024】
本発明の粘膜適用組成物中におけるエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩の含有量
10
は分子量や種類などによって異なるので一概に規定できないが、好ましくは0.0001
∼1%、より好ましくは0.0005∼0.5%、特に好ましくは0.001∼0.3%
程度である。
【0025】
本発明の粘膜適用組成物は、発明の効果を利用するものであればその使用用途は特定さ
れず、医薬品、医薬部外品、雑品等の各種分野において、眼科用組成物、耳鼻科用組成物
、口腔用組成物、咽頭用組成物等、粘膜に適用される組成物に利用することができる。例
えば、眼科用組成物としては、点眼薬(剤)(コンタクトレンズを装用中にも使用するこ
とができる点眼剤を含む、また、点眼薬ともいう。)、洗眼薬(剤)(コンタクトレンズ
を装用中にも使用することができる洗眼剤を含む、また、洗眼剤ともいう。)、眼軟膏剤
20
、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(洗浄液、保存液、殺菌液、マル
チパーパスソリューションなど)、耳鼻科用組成物としては、点鼻剤、鼻洗浄液、口腔用
組成物としては、口腔用剤、口腔内洗浄剤などが挙げられる。好ましくは、点鼻剤、点眼
薬、眼軟膏薬、コンタクトレンズ装着液、洗眼薬又はコンタクトレンズケア用剤であり、
特に好ましくは、点鼻剤、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液に有用である。また
、コンタクトレンズの水濡れを改善するとの観点から、コンタクトレンズ用である点眼薬
や洗顔薬、コンタクトレンズケア用剤、コンタクトレンズ装着液にさらに有用である。
なお、本明細書中でコンタクトレンズとは、ハード、ソフト、酸素透過型ハード、カラ
ーなどのあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する。
【0026】
30
本発明の粘膜適用組成物はコンタクトレンズ用に用いるのが好適である。コンタクトレ
ンズのなかでも特に、ソフトコンタクトレンズ用に用いるのが好適である。ソフトコンタ
クトレンズは一般にハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズよりも
、涙液の蒸発量の増加や浸透圧勾配の変化でレンズの含水性に変化をきたし、脱水を引き
起こす。そのため、レンズの水濡れが低下しない場合においても目が乾き易くドライアイ
を誘発しやすいとされている。さらに本発明の組成物は、濡れが持続するだけでなく使用
感に優れる。
【0027】
本発明の粘膜適用組成物は、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み
合わせて含有するのに適している。粘膜適用組成物に通常用いられる充血除去成分、眼調
40
節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分
、ビタミン類、アミノ酸、局所麻酔成分、ステロイド成分などが例示できる。具体的には
、以下に挙げる成分が例示できる。
【0028】
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピ
ネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナ
ファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、
硝酸ナファゾリンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラ
ーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アト
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ロピンなど。
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシ
ロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン
、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ジクロフェナクナトリ
ウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、アンレキサノ
クス、イブジラスト、トラニラスト、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸レボカバスチン、フ
マル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウム、マレイン酸ク
ロルフェニラミンなど。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、
10
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン
、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アスコルビン酸、
酢酸トコフェロールなど。
アミノ酸:例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、アスパラギン酸カリウム、
アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、グルタミン酸、グ
ルタミン酸ナトリウムなど。
局所麻酔薬成分:例えば、クロロブタノール、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン
、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香
酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩
酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなど。
20
ステロイド成分:例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プ
レドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロキシメステロン(hydroxymesterone)、カ
プロン酸ヒドロコルチゾン、カプロン酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ヒドロコ
ルチゾン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾンメタスルホベンゾエートナトリウム、デ
キサメタゾン硫酸ナトリウム、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、トリアムシノロンアセ
トニド、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム
、メチルプレドニゾロンなど。
【0029】
また、本発明の粘膜適用組成物には、発明の効果を損なわない範囲でその用途や形態に
応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して
30
含有させてもよい。それらの成分または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調
製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類
、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調整剤、等張化剤、安定剤などの各種添
加剤を挙げることができる。
【0030】
以下に本発明の粘膜適用組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定
されない。
増粘剤:例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルアルコール(完
全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸
、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチ
40
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
カルボキシエチルセルロースまたはこれらの薬理学的に許容される塩など。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリンなど。
多糖類:例えば、コンドロイチン硫酸 、コンドロイチン多硫酸エステル、ヒアルロン
酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラト硫酸またはそれらの塩など。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
界面活性剤:例えば、上記した非イオン性界面活性剤以外にも、アルキルジアミノエチ
ルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には
、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤など。なお、括
弧内の数字は付加モル数を示す。
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防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸
ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロ
ルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナト
リウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プ
ロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベン
ジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニドなど)
、グローキル(ローディア社製 商品名)など。
pH調整剤:例えば、塩酸、ホウ酸、イプシロン−アミノカプロン酸、酢酸、水酸化ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノ
エタノールアミンなど。
10
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化
マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、
チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
安定剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒド
スルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタ
ノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなど。
【0031】
本発明の粘膜適用組成物の粘度は、濡れの改善、使用感、ドライアイなどの疾患の予防
又は改善効果等に多大な影響を与えることから粘度を設定することが重要となる。眼科用
20
組成物では20℃における粘度が1.5mPa・s以上に保持して設計することが好まし
く、1.5∼300mPa・s、好ましくは、2∼200mPa・s、特に好ましくは4
∼100mPa・s、更に好ましくは4∼80mPa・s程度に設計することができる。
眼科用組成物についてより具体的には、点眼薬であれば1.5∼200mPa・s程度、
より好ましくは1.5∼100mPa・s程度、洗眼薬であれば1.5∼70mPa・s
程度、コンタクトレンズ装着液であれば1.5∼200mPa・s程度、コンタクトレン
ズ用剤であれば1.5∼50mPa・s程度に設計するのがより好ましい。鼻科用組成物
では20℃における粘度が2mPa・s以上に保持して設計することが好ましく、通常2
∼10万mPa・s、好ましくは、50∼1万mPa・s、特に好ましくは100∼50
00mPa・s程度に設計することができる。
30
【0032】
本発明の粘膜適用組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧に調整し
て用いる。浸透圧は、100∼1200mOsm、好ましくは100∼600mOsm、
特に好ましくは150∼400mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通
常、0.4∼4.1、好ましくは0.3∼2.1、特に好ましくは0.5∼1.4程度で
ある。
【0033】
本発明の粘膜適用組成物は、必要に応じて、生体に適用可能な範囲内のpHに調整して
用いる。pHは、通常、pH4.0∼10.0、好ましくは5.0∼9.0、特に好ましく
は5.5∼8.5である。pHの調整は、前記緩衝剤、pH調整剤などを用いて行うこと
40
ができる。
【0034】
本発明の粘膜適用組成物は、公知の方法により製造でき、必要により、ろ過滅菌処理工
程や、容器への充填工程等を加えることができる。
【0035】
また、本発明は、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びテルペノイドを組成物中
に配合することにより、角膜表面やコンタクトレンズの濡れを改善する方法をも包含する
。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウムやテルペノイドについては、本発明の粘
膜適用組成物に関する前述の記載に従う。
【実施例】
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【0036】
以下に、試験例及び実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実
施例によって限定されるものではない。
粘度の測定方法
粘度測定方法は円すい一平板形回転粘度計を用いる方法(第十四改正日本薬局法に記載
の、一般試験法、45.粘度測定法、第2法回転粘度計法、「(3)円すい−平板形回転粘度計
」の項に記載の方法)に従った。具体的には、市販の円すい−平板形回転粘度計と適宜選
択されたロータとを用いて測定した。
粘度の測定においては、市販の粘度計、例えば、E型粘度計[トキメック(TOKIM
EC)製、東機産業(日本)から販売]、シンクローレクトリックPC 型(ブルックフィ
10
ールド、米)、フェランティシャーリー(フェランティ、英)、ロートビスコR (ハーケ、独
)、IGK ハイシャーレオメーター(石田技研、日本)、島津レオメーターR (島津製作所
、日本)、ワイセンベルグレオゴニオメーター(サンガモ、英)、メカニカルスペクトロメ
ーター(レオメトリックス、米)等を利用できる。そして、これらの市販の粘度計とロータ
ーを適宜選択し、披検試料測定毎にJIS Z8809により規定されている石油系の炭化水素油
(ニュートン流体)を校正用標準液として適宜調整することにより、20℃における粘度
を測定することができる。
【0037】
具体的には、円すいと平円板との間の角度αの隙間に試料を入れ、円すい又は平円板を
一定の角速度ω若しくはトルクTで回転させ、定常状態に達したときの平円板又は円すい
20
が受けるトルク若しくは角速度を測定し、試料の粘度ηを次式により算出することによっ
て粘度を測定した。
η =100×(3α/2πR3)・(T /ω)
η :試料の粘度(mPa ・s)(Pa ・s =103 mPa・s )
α :平円板と円すいがなす角度(rad)
π :円周率
R :円すいの半径(cm)
T :平円板又は円すい面に作用するトルク(10−7N・m)
ω :角速度(rad/s)
【0038】
30
本試験における各比較例、各実施例の粘度は、E型粘度計の1種であるTVE−20L形
粘度計コーンプレートタイプ(トキメック(TOKIMEC)製、東機産業(日本))を用
いて、以下の測定条件の下で測定を行った。
測定条件:
TVE−20L形粘度計コーンプレートタイプに付属の標準コーンロータ(図1における円す
い1に相当)(平円板と円すいがなす角度=1°34'、半径(R)=2.4cm)をフルスケー
ル・トルク673.7×10-7 Nm のスプリングを介してモータで回転させる。測定時、粘度計
は回転軸が水平面に対して垂直になるように設置する。
被検試料1mlをコーンロータの所定の位置(平円板)に載置し、温度が20.0℃になるま
で放置する。次いで、装置を被検試料の粘度に応じた回転数で回転させ、表示された粘度
40
を読み取る。高精度の測定結果を得るために、被検試料測定前に、JIS Z 8809 により規
定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流体)を校正用標準液として用い、測定値
が標準液の粘度に一致するように調整する。なお、TVE-20L形粘度計コーンプレートタ
イプ以外の市販の機種を用い、上記と同様にコーンロータを選択して実施し、適宜校正す
ることにより、同等の結果を得ることもできる。
本明細書の試験例及び実施例における測定条件は以下のとおりである。
使用ローター:標準ローター(1°34′、R=2.4cm)
回転数 :試験例1試験溶液1,2,4,5,7,9について20rpm 、試験
例1試験溶液3,6,8について100rpmとした。試験例2試験試料1∼3について
100rpm、試験例2試験試料4及び5について10rpmとした。実施例1,3∼5
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,7∼8について100rpm、実施例6について5rpm、実施例2及び9について5
0rpmとした。
測定時間 :3分後の粘度を測定値とした。
【0039】
試験例1 コンタクトレンズ濡れ持続試験
試験溶液として表1に示す処方に従った溶液を調整した。具体的には、試験溶液4の調
製方法を示す。ポリソルベート80を0.05g、ビーカーに量り取り、さらにl−メン
トールを0.02g量り入れ、攪拌溶解し精製水を適量加えて50mLとした(以下、メ
ントール液)。さらに、0.40gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名「
セロゲン AGガムM」)第一工業株式会社)、精製水を30mL添加して攪拌溶解した
10
。ここに、メントール液50mLを加えて、さらに精製水を適量加えて全体を100mL
とした。他の試験溶液も試験溶液4にならった。
各試験溶液をシャーレに入れ、一昼夜生理食塩水に浸漬した酸素透過性ハードコンタク
トレンズ(ボシュロムジャパン株式会社 商品名「ボシュロムEX−O2」)を各試験溶
液中に浸漬した。次に、試験溶液を吸い取り、コンタクトレンズの頂点部から半径の半分
までを空気中に露出させた。その後コンタクトレンズの露出部を実体顕微鏡で観察しなが
ら、レンズ表面が乾燥するまでの時間を測定した(n=6)。結果は、表1に示す。
【0040】
【表1】
20
30
【0041】
試験の結果、テルペノイドは、液とコンタクトレンズとの接触角を小さくして濡れ性を
増強することが知られている(特開平11−130667号公報参照)が、濡れの持続に
ついて増強効果は認められず、反って濡れ持続時間を短縮する場合もあった。また、保水
作用が知られているカルボキシメチルセルロースナトリウムでも、濡れの持続時間は十分
とはいえず、カルボキシメチルセルロースナトリウムに非イオン性界面活性剤を組み合わ
せても濡れの相乗的な増強効果は認められなかった。一方、カルボキシメチルセルロース
ナトリウムとテルペノイドを組み合わせると、濡れが相乗的に持続することが確認され、
40
本発明の組成物が優れた濡れ改善効果を奏することが示された。
【0042】
試験例2 摩擦感試験
表2の処方に従い試験試料を調整した。また、試験に用いるため含水率38%のポリメタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、pHEMA)ゲルを作製し、2cm×5cmの長方形ブ
ロックを切り出して生理食塩水に2日間浸漬した。浸漬したpHEMAゲルを生理食塩水
から取り出して軽く水を拭き取ってから、試料台に固定したシャーレ上に置き速やかにM
IU値を5回測定して平均値を求めた(これを基礎値とする)。次に、同様に浸漬してお
いたpHEMAゲルを取り出して軽く水をふき取った後、1mLの試験試料を滴下して5回
連続してMIU値を測定した。減少率を、(pHEMAゲルのMIU基礎値−各試験試料
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滴下pHEMAゲルのMIU値)÷pHEMAゲルのMIU基礎値として算出し、各試験
試料につき3枚のPHEMAゲルにて各5回ずつ測定を行い、MIU減少率の平均を算出
した。MIU値が減少するほど、pHEMAゲル表面が滑りやすくなったことを示してい
る。
なお、MIU値の測定には、摩擦感テスターKES-SE(カトーテック株式会社)を用いた
。摩擦感テスターの測定条件、感度H(20g/v)、荷重50(gf)、SPEED 10mm/secとして
、PHEMAゲルを交換する都度、摩擦子をエタノールでクリーニングして行った。
【0043】
【表2】
10
20
【0044】
試験の結果、カルボキシメチルセルロースを含有する組成物にさらにメントールを含有
することによって、pHEMAゲル上における摩擦を低減させる効果を奏することが確認
された。また、この効果は低粘度の組成物においても高粘度の組成物においても確認され
た。pHEMAゲルはコンタクトレンズに汎用される素材でありかかるゲル上での摩擦低
減は、本発明が、コンタクトレンズと眼瞼結膜との間、コンタクトレンズと角膜表面の間
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又は眼瞼結膜と角膜表面との間に生じる摩擦を低減させることにより、瞬きの感覚を軽く
したりコンタクトレンズにより眼に与える刺激のリスクを軽減して、使用感を向上させる
効果を有することを示すものである。また、コンタクトレンズ装着時に使用すると、コン
タクトレンズ装着時の異物感などの不快感を格段に低下することを示すものである。
【0045】
実施例
表中の各実施例1∼9は、単位をg/100mlとして記載するものとする。また、表中、
「点眼薬」とあるのは点眼薬(剤)、「洗眼薬」とあるのは洗眼薬(剤)、「人工点」と
あるのは人工涙液型点眼薬(剤)、「装着液」とあるのは、コンタクトレンズ装着液、「C
L用剤」とあるのはコンタクトレンズケア用剤をそれぞれ意味するものとする。これらの
各実施例において、濡れが改善され使用感が向上していた。
【0046】
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【表3】
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【0047】
(13)
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【表4】
10
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【0048】
(14)
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【表5】
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【0049】
(15)
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【表6】
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【0050】
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(16)
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【表7】
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(17)
【図1】
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