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9月号 - 昭和大学

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9月号 - 昭和大学
昭和大学歯学部だより
2012.9号
通算106号
通算74号
2012.9.30発行
発行責任者:歯学部長 宮﨑 隆,編集責任者:広報委員長 井上 富雄
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8 TEL: 03-3784-8000
ホームページ: http://www.showa-u.ac.jp
取り組むことにしました.本学の将来さらには日本の
歯学教育の将来に重要な取り組みですので,関係者
のご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます.
文科省の「大学間連携共同教育推進
事業」に本学からの取り組みが採択さ
れました
歯学部長 宮崎 隆
根羽村(無歯科医村)での歯科保健
.
活動
スペシャルニーズ口腔医学講座
7号の巻頭言で,歯科疾病
構造の変化と高齢化の進行に
対応した歯学教育のさらなる
推進が必要であることを訴えま
した.実は,文部科学省の「大
学間連携共同教育推進事業」
に,兼ねてから交流のある北
海道医療大学,岩手医科大学
と一緒にそれぞれの地元歯科
医師会と連携して,「ITを活用した超高齢社会の到来
に対応できる歯科医師の要請」という取り組みを申請
していましたが,幸いなことに採択され,今年度から
平成28年度まで,5年間取り組むことになりました.
この取り組みの概要は以下のようになります.
本取り組みは超高齢社会の到来に対応して全身と
関連づけて口腔を診ることができ,基礎疾患を有する
患者の歯科治療を安全に行える歯科医師を養成する
ために,連携体制をとってきた 3 大学と地域医療を担
当する地元歯科医師会が協働して,新しい教育に取
り組むものです.すなわち,ITを活用した歯学教育プ
ログラムを構築して,今後の歯科医師の資質として必
要な1)臨床推論能力,2)コミュニケーション能力,お
よび3)自己評価能力を養成するものです.これらの
臨床能力を総合的に身につけるために,まず基礎的
な力を E-learning で身につけ,臨床推論能力とコミュ
ニケーション能力を仮想患者教育システムで養成し,
さらに,技能を含めてヒューマノイド患者ロボットで訓
練し,さらに臨床における自己評価能力を電子ポート
フォリオで養成します.ITを活用するので,いつでも多
施設で教育とその結果を共用することができ,ステー
クホルダーである歯科医師会からも歯学教育に対し
て具体的な提言を頂戴することができます.
本取り組みが,文科省の事業として採択されたこと
は,本学が進めてきた教育改革の方向性が認められ
たことになり,非常に意義深いものがあります.9月
の教授総会で本取り組みに歯学部の総力をあげて
取り組むことを決定し,片岡教育推進室長のもとに教
育プログラム検討委員会を発足させ,仮想患者シス
テム委員会,e-learninng 委員会,電子ポートフォリ
オ委員会,患者ロボット委員会等で具体的な作業に
口腔衛生学部門 向井 美惠
私が学生クラブの顧問を務めております昭和大学
歯科医療研究会は,毎年夏休み(今年は7月27,28,
29日)を利用して無歯科医村に多くのOB(歯科医)
とともに健診と保健指導の活動をしています.場所は
長野県下伊那郡根羽村です.総人口1,094人,43
3世帯(24年4月現在)の小さな村です.飯田市から
車(直通バスはありません)で1時間余の山間の村で
す.主産業は林業です.昭和大学歯科医療研究会が
3代目のフィールドとして根羽村の住民の皆さんの歯
科検診や保健指導,老人施設の利用者さんの健診
指導に行き始めて5年になりました.子どもから高齢
者まで村の皆さん,役場の皆さんとも大変親しくなっ
ています.最初は当時の村長さんの娘さんが歯科衛
生士であったことがきっかけで根羽村での活動が始
まりました.村に歯科医師がいないので村役場からも
子どもから高齢者まで幅広い年代の歯科保健指導を
期待されています.
今年の活動内容は,22名の学生に多忙な中を1
期生の吉田OB会長を始め14名のOBが根羽村に
駆けつけてくださり,学生と一緒に歯科健診と保健指
導を行いました.また,学生が主体となって村の皆さ
んへの「お口の健康講話と健口体操の指導」に加え
て私の誤嚥窒息の予防の講話も加わりました.健診
会場の周りには手作りポスターやパンフレット類も置
かれて村の人たちと義歯の手入れ法,う蝕の予防,
味わう食べ方,口腔乾燥への対処法,口の機能向上
法,などを通して種々の村の生活や楽しかった昔話
などに話が弾みました.流しそうめんのもてなしなど
もあり,楽しすぎる3日間を村長さんも加わって堪能
することができました.村の皆さんに感謝です.
1
第 10 回アジア予防歯科学会(モンゴル)
に参加して
歯周病学講座
山本 松男
9月14日から16日,モンゴル国首都ウランバート
ルで開催されたアジア予防歯科学会に,宮崎学部長
と私,そしてモンゴルから歯周病学講座に留学に来
ている Mandkhai Ulziisaikhan 先生と参加してきました.
今回は,本学歯学部と協定を結んでいるモンゴル健
康科学大学歯学部の Amarsaikhan 学部長がアジア予
防歯科学会理事長・大会長であることから,我々はシ
ンポジスト及び座長という立場で参加の機会を得るこ
とになりました.
モンゴルは人口270
万,国土は日本の4倍
で,1992年に資本主
義制へ移行し,さらに恵
まれた地下資源にくわ
えてここ数年油田が発
見されたことにより,経
済は急速に成長しています.あまりにも急速で社会
制度の整備が追いつかないという印象を受けたほど
です.数年前に極寒の環境で生き残るために生じた
「マンホールチルドレン」というような社会的な問題は
今は無くなったそうですが,格差社会になりつつある
ことを実感しました.社会構造の変化により食生活や
砂糖消費の増加等を背景に,子どもを中心に齲蝕の
発生が極めて高くなってしまったとのことです.しかし,
予防の概念や啓発・教育の機会が未発達なことや歯
科医療では保険制度がないことなどから,歯科関係
者は危機感を募らせていました.モンゴル健康大学
では日本で学位を取られた先生が多く,学術大会前
日には 1st Japanese Alumni Meeting in Celebration of
20th Anniversary of Mongolian-Japanese Diplomatic
Relationship,いわゆるモンゴル歯科医師日本同窓会
が開催されました.ここでは,2009年に口腔衛生学
向井教授のところに摂食嚥下治療を学びに来ていた
Mashbaljir Soyolmaa 先生(現病院長)にもお会いでき,
昭和大学の貢献を実感しました.モンゴルで初めて
の国際学会開催であったとのことですが,大変エネル
ギッシュで大きな可能性を秘めた国であると感じまし
た.引き続き,国際交流を通してその発展に協力をし
ていければと思います.
4学部合同オープンキャンパス
入試常任委員 山田 庄司
7月24日(火)に4学部合同オープンキャンパスが
開催されました.医学部・歯学部・薬学部の3学部は
旗の台キャンパスで,保健医療学部は横浜キャンパ
スで行われ,4学部合計で184名の参加者が集まり
2
ました.旗の台キャンパスでは,4号館を中心に3学
部共通の講演3演題
と各学部独自の催し
が同時進行で10:00
から2時間の午前の
部と13:00から2時
間の午後の部に分け
て行われました.各学
部は,それぞれ工夫を凝らした体験実習,教員との
個別相談,在校生とのフリートーク,DVDの上映など
を行い,参加した受験希望者は同伴の父兄と共に,
興味のある催しを熱心に見てまわっていました.この
あと歯学部独自のオープンキャンパスが,歯科病院
(洗足キャンパス)で8月4日(土),25日(土)の2回,
旗の台キャンパスで9月9日(日),11月25日(日)の2
回行われる予定です.
歯学部オープンキャンパス
入試常任委員 長谷川 篤司
8月4日(土)と25日(土)の両日に歯学部オープン
キャンパスが歯科病院で開催されました.いずれの
日も好天に恵まれましたが,大変暑い午後にもかか
わらず4日,25日両日とも昨年に比べて約7割増の受
験希望者と,これらの数に加えて同伴家族に参加い
ただきました.特に4日は同伴家族も多く,補助席で
も対応できずに立見をお願いする場面もありました.
全体説明会は入
学支援課の進行
で宮崎歯学部長
の挨拶の後,入
試常任委員会山
本教授からまず,
歯学部教育の特
色,富士吉田で
の学生生活,卒後の進路などについての説明があり,
次いで平成25年度歯学部入学試験の概要,試験の
傾向と対策などについて説明がありました(後半部分
は25日のみ井上富教授が担当).この後,4グルー
プに分かれ,歯科病院の施設見学として4日は小児
歯科外来(井上美教授),インプラント科外来(佐藤大
助教),バーチャルペーシェント紹介(歯科補綴学:菅
沼准教授)を,25日は美容歯科外来(玉崗助教),顎
関節症科外来(船登准教授),患者ロボット紹介(矯
正歯科:栗原助教)を見学しました.加えて,本年度
から体験実習「口腔内診査(4日)とレジン充填(25
日)」を実施しました.伊佐津講師(総合診療歯科学)
が参加者全員に体験課題の実習を指導して,その成
果物を帰宅後に各個人の暫間電子ポートフォリオサ
イトで確認できるように企画し,参加者に本学歯学部
の新しい臨床技能教育のシステムを体験してもらうよ
うに試みました.
2012 FDI Annual World Congress に
参加しました
「先端歯学スクール2012」で本学
大学院生が優秀賞を受賞しました
口腔生化学講座 上條 竜太郎
口腔生化学講座 上條 竜太郎
9月13日,14日の両日,神奈川県三浦市で「先端
歯学スクール2012」が開催されました.国立大学歯
学部を中
心に結成さ
れた先端
歯学国際
教育研究
ネットワー
クの主催に
よる「先端
歯学スクー
ル」は,各大学から選ばれた大学院生が一堂に会し,
研究発表・ディスカッションを中心として交流を深め,
将来の歯学研究を担う人材を養成することを趣旨とし
ています.今回は全国の国公立大学と本学を含む私
立大学3校の計10校から1名ずつ選ばれた大学院
生による研究発表が行われました.研究発表では発
表内容はもちろんのこと,発表後のディスカッションが
重視され,活発な質疑応答が行われました.今年は
本スクールに本学から秋山智人先生(大学院歯学研
究科4年生・歯科補綴学専攻)が参加し,見事「優秀
賞」を受賞しました.その結果秋山先生は,来年2月
にトロント大学歯学部で開催されるResearch Dayに派
遣され,研究発表を行うことが決定しました.
本年8月に香港で国際歯科連盟(FDI World Dental
Federation)の年次世界歯科会議(FDI Annual World
Dental Congress)が開催されました.FDI は,スイスの
ジュネーヴに本部を持つ歯科医師会組織の連盟で
1900年の設立,現在は130以上の国,地域から1
90以上の組織が参加しており,少なくとも合計百万
人の歯科医師を代表しています.その主目的は全世
界の歯科医師の情報交換促進で,複数の学術雑誌
の刊行,年次総会開催をはじめ,様々な活動を展開
しています.本年度,日本歯科医師会からは大久保
満男会長をはじめとする代表団(写真)が派遣され,
今回私はその一員として出席致しました.
本会議では歯学関連の様々なシンポジウム,一般
演題の発表が行われる一方,選挙権を持つ各国歯
科医師会代表団による総会,個別会議,レセプション
が多数開催され,世界各国で歯科界が直面する諸問
題や将
来像が
熱心に
討議さ
れまし
た.
日 本
歯科医
師会も複数の個別会議,総会に出席すると共に
“Japan Night“というレセプションを開催し,活発な国
際交流を展開しました.
私にとっては,世界中の歯科関係者と直に接する
初めての経験で,各国の歯科事情に触れる非常に貴
重な機会となりました.
アメリカ生化学・分子生物学会で発
表しました
大学院4年(歯周病学専攻)野瀬 冬樹
昭和大学歯科病院臨床研修歯科医
採用試験が実施されました
歯学教育研修センター 長谷川 篤司
平成25年度臨床研修歯科医採用試験が9月8日
(土)に実施されました.歯科病院では4プログラム合
計100名を募集していますが,全国23校から296
名(新卒238名,既卒58名)が受験し,うち本学出身
者は117名(新卒98名,既卒19名)でした.
試験は旗の台校舎5号館(面接試験)と4号館(筆
記試験)で実施され,約3時間の試験時間でしたが皆,
粛々と試験に臨みました.この結果は臨時研修管理
委員会,歯学部教授会を経て,マッチング協会に登
録され,10月16日にマッチング結果として同協会か
ら発表されます.
3
平成24年9月4日から10日まで,The American
Society for Biochemistry and Molecular Biology (AS
BMB)と International Conference on Bioscience of
Lipids (ICBL),The Canadian Lipoprotein Conference
(CLC)の合同大会にて学会発表を行うため,カナダ
のバンフを
訪れました.
バンフの町
は,世界遺
産にも登録
されている
カナディア
ンロッキー
山脈自然
公園群を構成するバンフ国立公園内にあり,美しい
自然と雄大な山々に取り囲まれた,風景全てが絵は
がきのように美しい山岳リゾート地です.このような環
境の中で行われたこの学会はASBMBの分会で脂
質に特化した内容であり,世界各地から脂質生化学
を専門とした研究者が集まり,それを研究テーマとし
ている私にとって脂質の生体における重要性と奥深
さをより感じさせられるものでした.
本学会への参加人数は300人程度と規模としては
小さいものの,盛んな発表と討論により大変活気の
ある学会となりました.また,少人数ゆえの参加者と
の交流も得られ,最終日に行われたBBQパーティで
はさらに親交を深める事が出来ました.このバンフで
の学会発表は多くの先生方に大変お世話になりとて
も充実した経験となりました.このような貴重な機会を
与えて下さった薬学部生体分子薬学講座生物化学
部門教授・板部洋之先生,歯学部歯周病学講座教
授・山本松男先生,また,私の研究をサポートして下
さる全ての先生方に心から感謝申し上げます.
受 賞
広報委員長 井上 富雄
・第 24 回歯科基礎医学会賞
鈴木 大(口腔生化学講座)
受賞課題名:「低分子量 G タンパク質 Rac1 の四肢・
骨格形成における機能解析」
・第 54 回歯科基礎医学会優秀ポスター発表賞
(生化学分野) 森澤 絵里(歯科補綴学講座)
・先端歯学スクール 2012 優秀賞
秋山智人(歯科補綴学講座)
行事予定
広報委員長 井上 富雄
10月 2日(火):大学院秋季入学式
10月 5日(金)~7日(日):旗が岡祭・いぶき祭
10月16日(火):解剖慰霊祭
10月20日(土):父兄会秋季部会
10月24日(水):D3ツベルクリン反応検査
10月27日(土):昭和大学公開講座
10月30日(火):歯科医師臨床研修マッチング発表
11月 3日(土):歯・薬・保 推薦入試・
歯・編入学Ⅰ期入試
11月15日(木):創立記念日
11月25日(日):歯学部進学説明会
JCCサマープログラムに参加して
歯学部2年 石田 亜里紗
この夏,私はJCCサマープログラムに参加し,ニュ
ーヨーク州ジェームスタウンに三週間滞在しました.
平日は毎日授業で,
午後は病院,老人ホ
ーム,施設などに行
く日もありました.ア
メリカに行って日本と
一番違いを感じたの
は食生活です.病院
に入院する患者様の
ほとんどが糖尿病だ
と聞き,日本では当
たり前に食べていた
食事が健康的であり,
それが長寿に結びついているのだと実感しました.一
泊二日のナイアガラの滝観光では,初めて見る自然
の壮大さに圧倒されました.様々な体験があった中で
最も印象に残っている体験は,ホームステイです.ホ
ストファミリーは毎日様々なイベントを考えてくれて,
放課後はロデオを見に行ったり,湖でボートに乗せて
もらったり,休日には家にあるプールに入り,庭でBB
Qをしたりしました.家には小さな子供が来て毎日が
にぎやかで,ある休日にはバイオリニストを招いてい
ただき,彼女の演奏を聞き一緒に食事をしました.ジ
ェームスタウンは見渡す限り自然に溢れ,人々は親
切で,素敵な町でした.このような環境の中でネイティ
ブな英語およびアメリカの医療について学べたことは
私の人生においてとても貴重な体験となりました.
素晴らしいホストファミリーをはじめ,計画を立てて
くれた国際交流センター,そしてこの留学に行かせて
くれた両親には感謝の気持ちでいっぱいです.
認定医・専門医などの取得
広報委員長 井上 富雄
・日本歯科麻酔学会認定医 取得
野中睦美, 片岡華恵, 今野 歩, 新谷紘子,
松村麻里, 本橋 研, 志賀勇昭, 幸塚裕也,
後藤聡子, 田淵陽子
(全身管理歯科学講座歯科麻酔科学部門)
・日本歯周病学会認定医 取得
矢野亜希子 (歯周病学講座)
診療統計(平成24年 8月分)
医事係長 村田 久子
患者数
外来患者 20,175
入院患者
582
編集後記
前月1日 前年1日
平均
平均
747. 8 799. 8 725. 5
18. 8
16. 5
19. 1
1日平均
歯周病学講座 滝口 尚
夏の猛暑,酷暑はいつのことやらと,急に秋の色も
深みを増してまいりました.近所の花壇にはコスモス
が彩始め,皆様も小さな秋を探してみてはいかがでし
ょうか.末筆ではございますが,お忙しい中,原稿を
執筆して頂いた皆様には心より感謝申し上げます.
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