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(宇都宮大学との連携事業)(PDF:2324KB)

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(宇都宮大学との連携事業)(PDF:2324KB)
電気自動車カーシェアリング実証事業報告書
平成 25 年
9月
宇都宮大学
目 次
本編
第 1 章 実証実験の背景と目的…………………………………………………………… 1
第 2 章 大学内電気自動車共同利用実証実験
2.1 実証実験概要………………………………………………………………………………… 2
2.2 予約システム………………………………………………………………………………… 2
2.3 運行状況……………………………………………………………………………………… 5
第 3 章 走行特性に関するモニタリング
3.1 走行距離……………………………………………………………………………………… 8
3.2 利用時間………………………………………………………………………………………10
3.3 使用電力………………………………………………………………………………………11
第 4 章 GPS ロガーを用いた走行ルートの解析
4.1 用いたツールについて………………………………………………………………………13
4.2 走行ルートの分析結果………………………………………………………………………14
第 5 章 大学を対象としたカーシェアリングの利用可能性の調査
5.1 アンケート調査の目的………………………………………………………………………17
5.2 調査概要………………………………………………………………………………………17
5.3 調査結果………………………………………………………………………………………17
第 6 章 おわりに
6.1 走行特性に関するモニタリングについて…………………………………………………33
6.2 GPS ロガーを用いた走行ルートの解析について…………………………………………33
6.3 大学を対象としたカーシェアリングの利用可能性の調査について……………………33
6.4 今後の課題……………………………………………………………………………………34
資料
附属資料
アンケート調査用紙
第1章
実証実験の背景と目的
エネルギー制約の高まり、地球温暖化対策の観点から、エネルギー効率や CO2排出量に
優れた性能を持つ電気自動車(以下 EV)は今日、世界中で注目されている。我が国におい
ても EV・PHV の本格普及に向け、車両導入、充電インフラの整備、普及啓発等に加え、先
導性・モデル性のある事業に取り組む都道府県を、経済産業省が「EV・PHV タウン」とし
て選定し、その普及モデルの全国展開を図っている。栃木県は 2010 年 12 月に「EV・PHV
タウン」に選定され、2011 年 5 月には、県の構想に基づき 2013 年度までに実施する予定
の取り組み方針・内容を「栃木県 EV・PHV タウン推進アクションプラン」としてまとめ
た。
EV は環境負荷が少ない自動車である一方、従来のガソリン車に比べて 1 回の充電での航
続距離が短い、充電に時間を要する、車両価格が高いといった短所を持つことから、その普
及はまだ初期段階にあるというのが現状である。このような EV の有効な活用方法の一つ
としてカーシェアリングが考えられる。レンタカーシステムと比較し、1 回の利用における
走行距離、利用時間が短いカーシェアリングは EV の短所を補うことができる可能性があ
ると同時に、1 台の EV を複数人でシェアすることにより、高価である EV の購入費用の負
担を軽減することができる。しかし、EV の走行特性や充電インフラについては現時点で課
題も多く、ガソリン車と同等な活用が可能であるのか、充電インフラの配置は適切であるの
かなど不明瞭な点が多い。また、大学におけるカーシェアリングの実現可能性については、
自転車利用者から車利用者へ転換期でもある大学生の交通需要や利用意識を把握すること
が重要である。
そこで本実証実験では、大学での EV カーシェアリングの実施を通し、EV の走行特性や
利用者意識を把握し、カーシェアリングの普及可能性を探ることを目的とする。
1
第2章
大学内電気自動車共同利用実証実験
2.1 実証実験概要
・実験期間:2013 年 1 月 16 日~2013 年 8 月 31 日
・実施場所:宇都宮大学
峰キャンパス・陽東キャンパス
・実験規模:電気自動車 2 台(ホンダ・フィット EV)
、車両ステーション 2 ヵ所
・車両ステーション配置:○宇都宮大学陽東キャンパス(車両 A)
○宇都宮大学峰キャンパス(車両 B)
・利用者属性:宇都宮大学職員及び学生
・運営方法: ○宇都宮大学陽東キャンパス
基本利用可能時間 9:00~17:15。また 1 回の利用につき 5 時間以内の
利用時間制限を設けた。但し事前申請によって基本時間外の利用及び 5
時間以上の利用予約も可能。インターネットで予約を行う。
*1 月 16 日~6 月 18 日までは都市計画研究室内でカーシェアリング
を実施
○宇都宮大学峰キャンパス
基本利用可能時間 8:30~17:15。平日は教職員を対象に、土曜日、日曜
日は学生を対象にカーシェアリングを行った。
2.2 予約システム
陽東キャンパスを拠点とした実証実験においては 1 月~5 月の期間、EV の走行性能や走
行特性の把握を目的に都市計画研究室(学生及び教職員 15 名)を対象にカーシェアリング
を実施した。この段階においては利用予約の管理手段として、Google カレンダーを使用し
た。利用者は EV 利用予約専用の Google カレンダーにログインし、使用したい時間に予定
を入力するという形である。
しかし、6 月以降は工学部の教職員を対象に広くカーシェアリングを実施するために、車
両管理上必要な情報の収集や、簡便な予約方法、また運営上必要な制約を設ける必要が出た。
そこで 6 月以降のカーシェアリングにおいては、EV カーシェアリングの予約フォームを設
置し、これを用いてカーシェアリングの運営管理を行った。以下でその予約システムについ
て説明する。
(1) 予約フォーム
予約フォームの作成は Google Chrome のアプリ「Get the Paper」を使用し、作成した予
約フォームは都市計画研究室ホームページに設置した。作成した予約フォームを図 1-1 に
示す。予約フォームにて利用者は必要事項を入力し、利用予約をする。この予約は自動で上
2
述した Google カレンダーに入力され、管理者と利用者に確認メールが届く仕組みとなって
いる(図 1-2)
。確認メールの内容は図 1-3 のとおりである。また予約フォームはスマート
フォンにも対応しており、携帯電話からの予約も可能である。(図 1-4)
図 1-1 予約フォーム
図 1-2 利用予約受付の流れ
3
図 1-3 確認メール内容
図 1-4 スマートフォン専用予約フォーム
4
(2) 利用制約
カーシェアリングを行う上では、EV の短所である航続距離と充電時間を考慮する必要が
ある。毎日一定の航続距離を提供するためには充電時間を確保する必要があり、また前の予
約者の利用状況により、次の予約者が利用できなくなることを防ぐ必要があった。
そこで工学部の教職員全体にカーシェアリングの規模を拡大する段階においては利用制
約を設けた。それまでの走行距離と使用電力のデータを基に、1 回の利用時間を 5 時間まで
とし、予約フォームで自動受付可能な時間に制限を設けることにした。5 時間以上の利用を
希望する予約は予約フォームではなく、電話にて別途受付し、カーシェアリング全体の利用
に影響がでない範囲で許可するようにした。また、毎日 8 時間の充電時間を確保するため、
利用可能時間を 9:00~00:00(鍵の貸出の都合上、最終的に 9:00~17:15)までとし、
前日の利用状況に関わらず、毎日満充電の状態から最初の利用を行えるようにした。
2.3 運行状況
(1) 出動回数
1 月~8 月の実証実験期間における EV の出動回数は、2 台合わせて 429 回であった。そ
れぞれの電気自動車の出動回数と、教職員、学生の内訳を表 1-1 に示す。
表 1-1 電気自動車出動回数
教職員
陽東キャンパス(車両A)
峰キャンパス(車両B)
60
179
学生
その他
169
20
全体
1
0
230
199
峰キャンパスにおいては平日は教職員を対象に、休日は学生を対象に貸し出していたため、
教職員の利用回数が多い状況となった。また、貸出においては学生は教職員に対して事前登
録等手続きが多かったことも、利用回数が少なくなった原因と考えられる。陽東キャンパス
においては 1 月~5 月にかけて都市計画研究室を対象にカーシェアリングを行ったため、学
生の利用が多い状況となった。しかし、都市計画研究室と工学部全体の教職員に規模を拡大
した以降の利用状況においては教職員の利用が 31 回、学生の利用が 26 回と職員の利用が
多い結果となっている。
(2) 利用率
実証実験期間中の EV の利用状況について利用率を示した。利用率は、1 時間単位で時間
を区切り、1 時間の内 30 分以上 EV が出動している場合、利用していると判断することと
した。図 1-5 は車両 A の利用率を、図 1-6 は車両 B の利用率をそれぞれ示している。
5
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0時~1時
1時~2時
2時~3時
3時~4時
4時~5時
5時~6時
6時~7時
7時~8時
8時~9時
9時~10時
10時~11時
11時~12時
12時~13時
13時~14時
14時~15時
15時~16時
16時~17時
17時~18時
18時~19時
19時~20時
20時~21時
21時~22時
22時~23時
23時~24時
0%
図 1-5 車両 A の利用率(陽東キャンパス)
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0時~1時
1時~2時
2時~3時
3時~4時
4時~5時
5時~6時
6時~7時
7時~8時
8時~9時
9時~10時
10時~11時
11時~12時
12時~13時
13時~14時
14時~15時
15時~16時
16時~17時
17時~18時
18時~19時
19時~20時
20時~21時
21時~22時
22時~23時
23時~24時
0%
図 1-6 車両 B の利用率(峰キャンパス)
車両 A においては 6 月までの間利用時間に制限を設けなかったが、車両 B においては利用
時間を 8 時 30 分~17 時 15 分としたため、上記のような利用率となっている。グラフを見
ると、車両 A においては 13 時~17 時にかけて利用率が高く、車両 B においても 13 時~
14 時の利用率が高い。また、両車両とも利用率が最も高い時間帯においてでも 30%程度し
か利用されていないという状況となった。
6
(3) 目的地
車両 A の利用において、都市計画研究室内でカーシェアリングを行っていた 1 月~5 月
の間の 180 回の利用について目的地の選択状況を図 1-7 に示す。
金融機関等
3%
公共施設
6%
その他
13%
商業施設
25%
役所
13%
駅
21%
飲食店
19%
図 1-7 目的地
目的地としては商業施設が 25%と最も高く、次ぐ駅や飲食店も同程度の割合を示した。ま
た、これらの利用の中で、事前に予定した計画的な利用は 93 回であり、利用直前に予約を
行った突発的な利用は 87 回であった。
7
第3章
走行特性に関するモニタリング
EV はガソリン車と比較し、航続距離が短く、充電に時間を要することが短所として挙げ
られる。EV を用いてカーシェアリングを行う上では、これらの特性を考慮して、システム
を運営しなければならない。そこで、実証実験においては、利用者の 1 回の出動における走
行距離や利用時間を記録し、カーシェアリングにおける EV の乗車実態がどのようになっ
ているのか調査した。
3.1 走行距離
記録した車両 A と車両 B の 1 回の出動における走行距離について、信頼度 95%における
区間推定を行った。車両 A の平均走行距離は 15.28km、車両 B の平均走行距離は 15.22km
であった。また、両車両のデータを合わせた平均走行距離は 15.26km だった。区間推定の
結果は表 3-1 のとおりである。また、実証実験における、車両 A と車両 B 及び 2 台の合計
の走行距離の分布を図 3-1、図 3-2、図 3-3 に示す。
表 3-1 走行距離の区間推定
変 数
n
下限値
平 均
上限値
信頼度
車両A
車両B
車両A・B
走行距離 走行距離 走行距離
230
176
406
11.95
11.81
12.86
15.28
15.22
15.26
18.62
18.63
17.65
95%
95%
95%
140
1.0
100
0.8
80
0.6
60
0.4
40
0.2
20
0
0.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
210
220
230
240
250
260
270
度数
120
km
図 3-1 走行距離のヒストグラム(車両 A)
8
140
1.0
度数
120
100
0.8
80
0.6
60
0.4
40
0.2
20
0
0.0
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130
km
図 3-2 走行距離のヒストグラム(車両 B)
300
1.0
250
0.8
0.6
150
100
0.4
50
0.2
0
0.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
210
220
230
240
250
260
270
度数
200
km
図 3-3 走行距離のヒストグラム(車両 A・B)
累積相対度数は下限値 10km で車両 A において 0.830、車両 B において 0.807 と 20km 以
下の利用が全体の 80%以上を占めた。車両 A と B の区間推定の結果も非常に近い数値を示
しており、カーシェアリングの利用は 10km~20km の利用が多いことがわかる。
また、1 時間あたりの走行距離についても区間推定を行った。結果を表 3-2 に示す。2 台
の走行距離データを合わせると、信頼区間は信頼度 95%において 8.41km~9.80km であ
り、利用時間 1 時間における走行距離は 10km 程度になると考えられる。
9
表 3-2 走行距離/h の区間推定
変 数
n
下限値
平 均
上限値
信頼度
車両A
車両B
車両A・B
走行距離/h 走行距離/h 走行距離/h
230
176
406
9.46
6.53
8.41
10.52
7.25
9.11
11.59
7.97
9.80
95%
95%
95%
3.2 利用時間
走行距離と同様に、1 回の出動における利用時間についても区間推定を行った。平均利用
時間は車両 A において 1.86h、車両 B において 2.19h、全体で 2.00h だった。区間推定の
結果は表 3-2 のとおりである。また、車両 A と車両 B 及び 2 台のデータの合計の利用時間
の分布を図 3-4、図 3-5、図 3-6 に示す。
表 3-2 利用時間の区間推定
変 数
n
下限値
平 均
上限値
信頼度
車両A
車両B
車両A・B
利用時間 利用時間 利用時間
230
176
406
1.57
1.87
1.79
1.86
2.19
2.00
2.14
2.52
2.22
95%
95%
95%
60
1.0
50
0.8
0.6
30
20
0.4
10
0.2
0
0.0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
14
14.5
15
15.5
度数
40
時間(h)
図 3-4 利用時間のヒストグラム(車両 A)
10
60
1.0
50
0.8
0.6
30
20
0.4
10
0.2
0
0.0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
度数
40
時間(h)
図 3-5 利用時間のヒストグラム(車両 B)
120
1.0
100
0.8
0.6
60
40
0.4
20
0.2
0
0.0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
12.5
13
13.5
14
14.5
15
15.5
度数
80
時間(h)
図 3-6 利用時間のヒストグラム(車両 A・B)
車両 A、車両 B ともに 30 分から 1 時間以内の利用が最も多い。また、3 時間以内の利用が
車両 A においては 82%、車両 B においては 74%、全体では 79%を占めた。
3.3 使用電力
3 月 22 日~6 月 18 日の間、走行距離、利用時間に加えて、1 回の利用における使用電力
と回生電力を調査した。これは EV のイグニッションスイッチを切る際に、メーターに表示
される数値を記録したものである。メーターに表示される使用電力及び回生電力の値は「km
相当」と表示され、この値は、各電力を距離に換算したものである。記録された数値はいず
れも使用電力を抑える走行モードである ECO モードで走行したときの値である。
図 3-7 に走行距離ごとの回生電力と使用電力の関係を示す。それぞれの値に近似曲線を
11
引くと、回生電力の決定係数は 0.7539、使用電力の決定係数は 0.8877 であった。次に、使
用電力に対する回生電力の割合を市内の利用と市外へ出る利用で比較するために、走行距
離ごとに回生電力と使用電力の関係を割合で示した。走行距離が 50km 以内の利用はいず
れも宇都宮市内の走行であり、51 ㎞以上の走行は宇都宮市外へ出た利用である。また、サ
ンプル数が多い市内の利用においては走行距離ごとに分けて求めた。結果を図 3-8 に示す。
図 3-8 より、市内での走行において、特に 20km 以内では一走行距離に占める回生電力
の割合は 66%~92%を示すが、51km 以上の利用においては回生電力の割合は 26%となるこ
とがわかる。これは、短距離走行では低速走行となり、減速の機会が多くなることから回生
電力を得られやすいためであると考えられる。
以上のことから、EV をより安心して使用できる環境としては、短距離走行の利用が多い
市内の利用が適していると考えられる。
250
200
電
力 150
R² = 0.8877
(km
回生電力
)
相 100
当
使用電力
R² = 0.7539
50
0
0
50
100
150
200
250
300
走行距離(km)
n=107
図 3-7 回生電力と使用電力の関係
1km-5km
92%
6km-10km
87%
(km)
走
行 11km-20km
距
離
66%
21km-30km
31km-50km
市外
59%
32%
26%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
n=107
使用電力に対する回生電力の割合(%)
図 3-8 使用電力に対する回生電力の割合
12
第4章
GPS ロガーを用いた走行ルートの解析
4.1 用いたツールについて
陽東キャンパスを拠点とした EV カーシェアリングにおいては、走行ルートの記録を行
うために、車両に GPS ロガーを搭載した。GPS ロガーとは、GPS(全地球測位システム)
受信による位置情報を用いて人や車が移動したルートを記録することができる機器のこと
である。付属ソフトウェア「Photo Tagger」を使用し、記録したデータを軌跡として Google
Earth・Google Map に表示することができ、走行中の速度や高度表示を行うことや、ルー
ト上で撮影した写真を同期させ Google Earth 形式で保存することも可能である。今回使用
した GPS ロガーを図 4-1 に示す。縦 7cm、横 4cm 程度のコンパクトなタイプである。
図 4-1 GPS ロガーと走行軌跡表示例
13
4.2 走行ルートの分析結果
GPS ロガーで記録した全走行ルートを図 4-2 に示す。宇都宮市内における利用を赤いラ
インで、市外を含めた利用を青いラインで表示している。
走行ルートは那須塩原市や高崎市、小山市方面の長距離の利用がいくつかあるが、ほとん
どの利用が市内に集中していた。
図 4-2 走行ルート
宇都宮市内の走行ルート
市外へ出た走行ルート
赤いラインで示した市内の利用を拡大した地図を図 4-3 に示す。市内の走行ルートは宇
都宮駅を中心に半径 4km 圏内程度に集中していることがわかる。この範囲に収まらない利
用で複数回あったのはインターパークを目的地とした利用だけであった。第 3 章における
走行距離の分析で、20km 以内の利用が 80%以上であったことを示したが、大学を対象と
したカーシェアリングでは短距離かつ限られたエリア内の利用が大半を占めており、EV の
適用可能性は高いと言える。
次に利用が多いエリアにおける充電施設の位置を図 4-4 に示す。図を見ると宇都宮駅周
辺には充電施設が点在しており、走行ルート周辺に充電施設が設置されていることがわか
る。走行ルートの大半を占めた宇都宮駅周辺の利用においては、充電施設の整備が進んでい
ると言える。
14
図 4-3 宇都宮市内の走行ルート
図 4-4 宇都宮市内の走行ルートと充電施設
15
充電施設
市内における短距離の利用と異なり、市外へ出る長距離の利用においては航続距離が問
題となる。また、移動の途中で充電することを想定すると普通充電施設よりも急速充電施設
の需要が大きい。宇都宮市外へ出た走行ルートと、走行ルート上にある栃木県の市町に設置
されている急速充電施設の位置を図 4-5 に示す。
図を見ると各市町に設置されている急速充電施設が走行ルートに点在していることが分
かる。急速充電施設は主要幹線道路付近に設置されていることが多く、長距離利用を想定し
た整備は進んでいると言える。しかし、高速道路の SA への設置は進んでいなく、山間部な
どへの整備も不十分である可能性もある。様々な利用を想定した整備が求められる。
図 4-5
走行ルートと急速充電施設の位置
16
急速充電施設
第5章
大学を対象としたカーシェアリングの利用可能性の調査
5.1 アンケート調査の目的
現在、EV は普及の初期段階にあり、実際に EV の利用経験がある人は少ない。大学を対
象とした EV カーシェアリングの実現可能性を評価する上では、大学職員や学生が EV の性
能や、利便性に対してどのような意識を持つか把握する必要がある。そこで本アンケートは
EV カーシェアリング利用者を対象に、ガソリン車と比較した EV の性能や充電インフラに
関して利用者の意識を調査することを目的として実施した。
5.2 調査概要
・対象:峰キャンパスにおける大学内カーシェアリング利用者(大学職員、学生)
・期間:2013 年 1 月~2013 年 8 月
・項目:巻末資料に添付
・回収数:79
5.3 調査結果
① 回答者の属性
回答者の男女構成比、年齢分布、自家用車の所有状況、利用実績を図 5-1、図 5-2、図 53、図 5-4 に示す。回答者は男性が 71 名、女性が 8 名で、男性が 90%を占めた。年齢構成
比を見ると 30 代以上が 51 名で全体の 64%であり、学生よりも職員の利用が多かったこと
がわかる。自家用車は回答者の 82%が所有していた。利用実績は 70%の回答者が初めてと
回答した一方、9 回目と回答した人もおり、繰り返し利用した人がいたことがわかる。
女性
10%
男性
90%
n=79
図 5-1 男女構成比
17
60代以上
1%
50代
28%
20代以下
36%
40代
15%
30代
20%
n=79
図 5-2 年齢構成比
60
50
56
40
30
20
10
0
14
2
7
0
0
0
図 5-3 自家用車の保有状況
4回目
4%
6回目 5回目
1%
0%
7回目 9回目
3%
1%
3回目
5%
2回目
16%
初めて
70%
n=79
図 5-4 利用実績
18
0
② EV の利用について
(1) 乗り心地について
EV の乗り心地に対する回答結果を図 5-5 に示す。乗り心地に関しては「とても良い」
もしくは「良い」と回答した人が合わせて 88%であり、高評価が多かった。回答の理由
としては静かであることや振動が少ないことを上げる人が多かった。
あまり良
くない
3%
悪い
0%
普通
9%
とても良
い
51%
良い
37%
n=78
図 5-5 乗り心地について
(2) 操作性について
EV の操作性に対する回答結果を図 5-6 に示す。操作性に対する回答は 80%の人が
「とても良い」もしくは「良い」と回答しており、乗り心地同様高評価が多かった。ま
た低評価の回答をした人はいなかった
悪い
0%
あまり良
くない
0%
普通
20%
とても良
い
42%
良い
38%
n=79
図 5-6 操作性について
19
(3) ガソリン車と比較した加速性について
ガソリン車と比較した加速性に対する回答を図 5-7 に示す。加速性に対する回答は
「とても良い」もしくは「良い」と回答した人が合わせて 64%だった。高評価の回答の
理由としては加速の静かさや SPORT モードの加速性能を評価する意見が多かった。一
方低評価の理由として走り出しが遅いという正反対の意見があったが、これは ECO モ
ードに対する意見であると思われる。
悪い
0%
あまり良く
ない
8%
普通
28%
とても良い
40%
良い
24%
n=78
図 5-7 ガソリン車と比較した加速性について
(4) ガソリン車と比較した安全感覚について
ガソリン車と比較した安全感覚に対する回答を図 5-8 に示す。安全感覚に対する回答
は「とても良い」もしくは「良い」と回答した人が 33%に留まり、EV の性能に関する
他の項目に比べて高評価が少なかった。回答の理由としては静か過ぎるため歩行者に認
知されているか不安だったという意見がほとんどであった。
あまり良く
ない
4%
悪い
1%
とても
良い
13%
良い
20%
普通
62%
n=76
図 5-8 ガソリン車と比較した安全感覚について
20
(5) バッテリー残量について
バッテリー残量に対する不安感について回答を得た。また、不安だったと回答した人
には不安を感じた場面についても回答を得た。それぞれの結果を図 5-9、図 5-10 に示
す。バッテリー残量については「とても不安だった」もしくは「少し不安だった」と回
答した人が 32%であった一方、
「不安はなかった」と回答した人も 27%おり、評価が分
かれた。不安を感じなかった人は理由として短距離の利用であったことを挙げ、不安を
感じた人は充電スポットが少ないこと、メーターに表示される RANGE と実際の走行
可能距離が一致しているのか不安だったこと、短距離の利用ではなかったことを挙げて
いる。
とても不安
だった
6%
不安はな
かった
27%
少し不安
26%
あまり不安
ではなかっ
た
27%
どちらとも
いえない
14%
n=78
図 5-9 バッテリー残量について
3
上り坂にさしかかったとき
6
エアコンをつけたとき
予想以上に走行可能距離が減ってい
たとき
12
3
その他
0
2
4
6
8
10
図 5-10 バッテリー残量に不安を感じた場面
21
12
14
③ 充電インフラについて
(1) EV や充電器の利用状況について
EV 及び充電器の利用経験についての回答を図 5-11、図 5-12 に示す。EV については
80%の人が「乗ったことがない」と回答し、充電器については 81%が「利用したことが
ない」と回答した。EV に乗ったことがあると回答した人も、乗車経験がある車両とし
て全員が本実証実験で使用したフィット EV を挙げており(車両名未記入を除く)、本
実証実験以外での EV 利用経験はほとんどの人がないことがわかる。
乗ったこ
とがある
20%
乗ったこと
がない
80%
n=76
図 5-11 EV の利用経験について
普通充電・
急速充電
3%
普通充電
12%
急速充電
4%
利用したこ
とがない
81%
n=74
図 5-12 充電器の利用経験について
(2) カーシェアリング実証事業での外部充電状況
EV の利用において外部充電の有無について回答を得た。充電したと回答した人には
「充電場所はわかりやすかったか」、
「充電器は使いやすかったか」、
「充電するまでに待
ったか」についても回答を得た。また、充電しなかったと回答した人には充電しなかっ
22
た理由についても回答を得た。回答結果を図 5-13、表 5-1、表 5-2、表 5-3、表 5-4 に示
す。充電の有無に関しては 96%の人が充電しなかったと回答した。理由としてはほと
んどの人が「充電しなくても走行できそうだったから」と回答している。
充電した
4%
充電しな
かった
96%
n=75
図 5-13 充電の有無について
表 5-1
表 5-2
・充電場所はわかりやすかったですか
回答
回答数
わかりやすかった
2
わかりにくかった
2
・充電設備は使いやすかったですか
回答
回答数
使いやすかった
3
使いづらかった
1
表 5-3
表 5-4
・充電しなかった理由は何ですか
回答
回答数
充電しなくても走行できそうだった
走行コースに充電器が設置してなかった
・充電するまで待ちましたか
回答
回答数
待たなかった
3
待った
1
充電器の設置場所がわからなかった
充電の操作が難しそうだった
使用中だった
その他
61
1
2
0
0
1
充電場所がわかりにくかった理由として「調べるのが大変」
「看板などがなくわかり難かっ
た」充電設備が使いづらかった理由として「毎回許可を取らなければならないのは大変」と
いう意見があった。
23
(3) 充電器設置と設置場所に対するニーズ
1) 宇都宮市内の充電器設置場所について
宇都宮市内の充電器設置場所に望ましいと思う場所についての回答を得た。この項目
は複数回答方式とし、急速充電器、普通充電器それぞれについて分けて回答を得た。結果
を図 5-14、図 5-15 に示す。急速充電器に関してはガソリンスタンド、コンビニエンスス
トアに需要が多いことがわかる。急速充電器は急いでいるときの充電が前提のため、設置
数の多さや、設置場所のわかりやすさ、発見しやすさが求められていると考えられる。普
通充電器に関しては公共施設に回答が集中した。アンケートの回答者は大学の教職員が
多かったため、会議等により長時間停車する際の充電を想定した回答だと思われる。全体
の回答数として急速充電器については 337 の回答を得た一方、普通充電器に関しては 138
の回答しか得られておらず、普通充電器よりも急速充電器へのニーズが大きいことが分
かる。
47
公共施設(県庁・役場など)
教育施設(学校・博物館など)
民間の駐車場
駅
飲食店
病院
スーパーマーケット
コンビニエンスストア
ガソリンスタンド
自動車ディーラー
その他
26
22
16
21
23
40
50
56
31
5
0
10
20
30
40
50
60
図 5-14 急速充電器設置場所に望ましいと思う場所
46
公共施設(県庁・役場など)
教育施設(学校・博物館など)
民間の駐車場
駅
飲食店
病院
スーパーマーケット
コンビニエンスストア
ガソリンスタンド
自動車ディーラー
その他
10
6
2
8
5
11
18
17
9
6
0
10
20
30
40
図 5-15 普通充電器設置場所に望ましいと思う場所
24
50
2) 1 回の充電にかかる時間について
1 回の充電にかかる時間についてどのくらいが望ましいと思うかについて回答を得た。
急速充電器に対する回答を図 5-16、普通充電器に対する回答を図 5-17 に示す。急速充
電に対する回答は 10 分と回答した人が最も多く 35%を占めた。普通充電に対する回答
は急速充電に比べ長い時間を選択する人が多く 30 分と回答した人が 32%と最多であっ
た。
20分
4%
25分
0%
30分
12%
5分
32%
15分
17%
10分
35%
n=77
図 5-16 1 回の充電にかかる望ましい時間(急速充電)
その他
1%
60分
21%
5分
12%
30分
32%
10分
12%
15分
12%
25分
0%
20分
10%
n=75
図 5-17 1 回の充電にかかる望ましい時間(普通充電)
3) 宇都宮市内の充電環境について
宇都宮市内に設置する充電器として望ましいと思われるものについて回答を得た。結
果を図 5-18 に示す。
「急速充電のみでよい」と回答した人が 40%であり、理由として普
通充電は時間がかかりすぎるという意見が大半であった。また「両方必要」と回答した
人が 57%と最多数であり、理由としては、短い時間で充電が可能である急速充電器の
利用は有料とし、充電に時間がかかる普通充電器の利用は無料にするなど利用料金によ
る差別化を望む意見が多かった。
25
どちらも
必要ない
0%
急速充電だ
けでよい
40%
どちらも必
要
57%
普通充電だ
けでよい
3%
n=73
図 5-18 宇都宮市内の充電環境について
4) 充電が切れそうになったときの対応について
充電が切れそうになった場合の対応として望む方法について回答を得た。結果を図 519 に示す。87%が「充電応援車による現地での充電」と回答した。
充電器設置
場所までの
レッカー移
動
9%
その他
4%
充電応援車
による現地
充電
87%
n=79
図 5-19 充電が切れそうになったときの対応について
5) 充電器の利用料金と支払い方法について
急速充電器と普通充電器の 1 回の利用において適当だと思う料金とその課金方法、支
払い方法について望ましいと思うものについて回答を得た。結果を図 5-20、図 5-21、
図 5-22、図 5-23 に示す。急速充電器は 500 円と回答した人が最も多く 35%だった。普
通充電器については 300 円と回答した人が最も多く 30%だった。また、課金方法につ
いては「利用時間に応じて課金」と回答した人が 52%、
「1 回ごとに課金」と答えた人
が 41%と約半数ずつを占めた。決済方法に関しても回答が分散しており、料金の支払
い方法については様々なニーズが存在する結果となった。
26
1000円
6%
100円未満
9%
有料では利
用しない
8%
100円
13%
700円
3%
500円
35%
300円
26%
n=77
図 5-20 1 回あたりの充電器の利用料金に望ましい金額(急速充電器)
100円未満
11%
有料では利
用しない
16%
1000円
1%
700円
0%
100円
25%
500円
17%
300円
30%
n=73
図 5-21 1 回あたりの充電器の利用料金に望ましい金額(普通充電器)
定額
4%
その他
3%
利用時間に
応じて課金
52%
1回ごとに課
金
41%
n=78
図 5-22 利用料金の課金方法について
27
その他
1%
クレジット
カード
29%
利用時毎に
現金決済
35%
電子マネー
決済
20%
専用プリペ
イドカード
15%
n=133
図 5-23 利用料金の支払い方法について
6) 充電器の満空情報について
充電器の満空情報の提供についての回答を図 5-24 に示す。充電器の満空情報に関し
ては「ある程度の情報は知りたいが、無料に限る」が全体の 80%を占めた。充電器設置
場所のわかりやすい情報提供と合わせて、満空情報の提供をする必要があると考えられ
る。
特に必要とし
ない
1%
その他
1%
料金を払って
も必要なとき
に適切な情報
提供を求む
18%
ある程度情報
は欲しいが無
料に限る
80%
n=78
図 5-24 充電器の満空情報について
④ 都市部での EV 活用等について
(1) 今回のカーシェアリング実証事業について
EV カーシェアリング全体への評価や、今後の利用意思、EV の購入意思について回
答を得た。結果を図 5-25、図 5-26、図 5-27 に示す。
「今回参加した実証事業はいかがでしたか」という項目に関しては全体の 91%が「と
ても良い」
「良い」と回答しており、低評価は 0 であった。高評価の理由としては EV の
28
性能を高く評価する意見が多く、EV カーシェアリングを通し、EV 自体の認知を広め
ると同時に、普及啓発に繋がると考えることができる。
「今後カーシェアリングやレンタカーで EV を利用する機会があった場合、積極的に
利用したいと思いますか」という項目に関しては、「積極的に利用したい」という回答
が 70%であり、
「EV しか乗ることができないのなら利用したい」
「利用したくない」を
大きく上回った。理由としてガソリン代の削減、環境への配慮が挙げられたが、一方で
航続距離への不安や充電器の少なさを挙げる意見もあり、今後の利便性の向上が求めら
れる。
「今後、車両を購入する場面で、EV は選択肢の一つとして加えたいと思いますか」
という項目に関しては 54%が「選択肢に加わらない」と回答した。購入意思に関する意
見としては車両価格が高いこと、航続距離の短さ、充電器の少なさを指摘するものが多
く、
短距離の利用を想定した EV カーシェアリングでは積極的な利用意思が目立ったが、
購入するには障害が大きいと感じる回答者が多い結果となった。
あまり良く
ない
0%
普通
9%
良い
37%
悪
い
0%
とても良い
54%
n=76
図 5-25 実証事業に対する評価
EVしか乗る
ことができ
ないなら利
用する
30%
利用し
たくな
い
0%
積極的に利
用したい
70%
n=76
図 5-26 EV 利用に関する意思
29
選択肢に加
えたい
46%
選択肢に加
わらない
54%
n=76
図 5-27 EV 購入意思について
(2) 都市部での EV の活用等について
都市部で EV の普及のために必要だと思うこと及び広く EV を普及させるための取り
組みやサービスの面で必要だと思うことについて回答を得た。(複数回答方式)それぞ
れを図 5-28、図 5-29 に示す。いずれの項目においても航続距離の向上や充電時間の短
縮、充電器の設置数向上等 EV の短所を補う取り組みを必要だと考える回答者が多かっ
た。
65
充電器設置場所の充実
34
充電器設置場所のわかりやすさ
47
充電時間の短縮
12
充電器の操作のしやすさ
17
充電マップの整備
11
カーシェアリング拠点の整備
特定地域でのカーシェアリング拠点の整備
0
有料駐車場利用料金の割合
0
優先駐車スペースの設置
0
6
優遇区域の設置
2
その他
0
10
20
30
40
50
図 5-28 都市部で EV を普及させるために必要だと感じること
30
60
70
20
地球温暖化対策への効果のPR
乗り心地や性能のPR
1回の満充電で走行可能な距離の向上
充電器設置場所の充実
充電時間の短縮
充電器の操作のしやすさ
充電マップの整備
ガソリン車と同程度の価格
減税
補助金
多様な種類のEVの販売
商業施設などでの優遇
その他
15
55
43
45
7
10
41
20
19
12
6
2
0
20
40
60
図 5-29 EV を普及させるために取り組みやサービスの面で必要だと感じること
⑤ 自由回答
アンケート調査の最後の項目に自由解答欄を設けた内容を一覧で示す。
・静かなため、歩行者への注意に気をつかう
・航続距離の延伸が一番と思われる。
・未来を感じた。
・自分で快適に運転したいと思う人を増やす。大都市部では電車移動の方が便利なこと
が多く、それほど必要性を感じない。自動車会社が若者向けに研修会などをやり、楽
しさを味あわせたら良い。
・充電プラグを差し込んだ際に、充電が正常に行われているのかわからない。
「充電中」
であるというのが分かった方が良い。
・良い体験ができて、良い事案だと思う。
・高速道路でもバッテリー残量を気にすることなく走行できるようにしてほしい。今回
のEV(フィット)のエンジンをかけた際の音がうるさい。走行距離の長距離化(古
充電で 200km)
。エアコン等の使用でも。走行中の自動充電機能。スポーツ、ノーマ
ル、エコモードの違いがわかって楽しかった(急加速時)。走行中、エンジン始動時の
音が静かすぎてこわい。
・とても便利ではあるので、できればずっと続けてほしい
・EV車普及のため、低価格化や施設の充実などがもっと進むと良いと思う。静かすぎ
るが故の危険性についても解決策があると良い。
・貴重な体験ができました。ありがとうございました。
31
・EV が欲しくなった
・EV また借りたい
・加速いいね~!!何度も言うけど、充電場所が…
・充電スポットでの対応車種が整っていなかった。道の駅で充電しようとしたが、ホン
ダ車に対応していなかった。全車種対応の充電スポットを整備すべき。
32
第6章
おわりに
6.1 EV の走行特性に関するモニタリングについて
走行距離、利用時間の分析の結果、EV 利用の 80%以上が 20km 以内の短距離利用であ
り、利用時間も 2 時間程度が多いことが分かった。また、3 月 22 日から 6 月 18 日に掛け
て行った使用電力に関する調査では、20km 以内の走行において、使用電力に対して
66%~92%の回生電力が生じるという結果も得た。EV の短所は、航続距離の短いことや充
電時間が必要であることだが、宇都宮市内に限定し ECO モード走行(使用電力を抑える走
行)による日中の短距離利用という条件であれば、航続距離、充電時間の心配なく EV カー
シェアリングが出来る可能性は大きいと考える。本実証実験においても、短距離、短時間の
利用が多く EV の短所といわれるこれらの点は影響が生じない場合がほとんどであった。
以上のことから、カーシェアリングにおける EV の適用性は高く、また、大学における交
通需要も EV カーシェアリングに適していると考える。
6.2 GPS ロガーを用いた走行ルートの解析について
GPS ロガーによる走行ルートの分析の結果、EV の利用は前述の通り短距離の利用がほ
とんどであり、その走行範囲も宇都宮駅を中心とした半径 4km 圏内の限定的なエリアに集
中していたことが分かった。
短距離かつ利用エリアが限定的であることから、EV の短所である航続距離の不安は生じ
難いと考えられる。また、走行ルートが集中していたエリアには充電器も整備されつつあり、
都市部における EV カーシェアリングの適用性は高いと考える。
長距離利用時は、充電切れの心配があり移動途中に充電する必要がある。長距離利用であ
る宇都宮市外へ出た走行ルートを見ると、主要幹線道路を走行する場合が多く、こちらは急
速充電器が整備されつつある。しかし、より長距離・高速走行において使用される高速道路
上への急速充電器の整備は進んでいない。
EV における高速走行・長距離利用時の需要に対応するためには、主要幹線道路沿いに急
速充電器を更に整備すると同時に、まだ整備が進んでいない高速道路への急速充電器の設
置が望まれる。
6.3 大学を対象としたカーシェアリングの利用可能性について
実証実験期間中、EV の利用は陽東キャンパス(車両 A)で 230 回、峰キャンパス(車両
B)で 199 回であった。利用率はいずれもピーク時間帯で 30%程度である。
車両 B は、学生の利用が少なかったが、これは利用手続きに時間がかかる運営方法が原
因であったと考える。車両 A は、実験初期段階には、特定研究室の学生が簡単に利用可能
33
であったことから学生の利用が非常に多かった。このことから学生のカーシェアリングに
対する潜在的な需要は大きく、運営方法の見直しによって利用回数、利用率は増加すると考
える。教職員の利用は車両 A、車両 B ともに多かった。これらの利用は多くが両キャンパ
ス間の移動や市内の移動などである。また学外会議での利用も多かったが、長距離であって
も出先で充電時間を確保できる可能性が高い。これらのことから、大学の教職員に対する
EV の需要や活用性は大きいと考える。
アンケート調査の結果、EV の加速性や操作性、今回の実証実験に対する評価は非常に高
く、EV を魅力的に感じる人が多いことが分かった。EV の普及初期段階においては認知度
の高さを上げ、実際に EV を体験して貰うことが重要であるが、これらの機会を創り出す上
でも EV カーシェアリングは有効であると考える。
調査では充電器の少なさを指摘する意見が多かったが、同時に充電器の発見し難さを指
摘する意見も多かった。インターネット等で適切な情報提供をすると同時に、看板などで大
きく充電器の存在を PR することが必要であると考える。実際、走行ルートのデータを見る
と、利用が多かった宇都宮駅周辺には充電器が点在しており、多くの利用において充電器の
少なさは問題となっていない。適切な情報提供を行うことで利用者の意識改善に繋がる可
能性は大きいと考える。
6.4 今後の課題
実証実験による走行特性や走行ルートのデータから、EV カーシェアリングは大学におけ
る交通需要に適しており、また都市部における適用性が高いことがわかった。利用者意識調
査においても EV の性能を高く評価する意見が多く、魅力のある乗り物として EV は認識さ
れていると考えられる。
一方、航続距離の短さや充電器の少なさに対する不安感から、EV の短所を利用や購入の
大きな障壁と捉えている人は非常に多い。しかし、走行特性や走行ルートを分析すると、EV
は短距離・短時間の利用がほとんどであり、不安要素である充電器も整備されつつある。
人々の利用や購入の意識改善のためには、EV の性能を PR すると同時に、充電器にわかり
やすい看板を設置することや、現在の充電器の整備状況など大きく情報提供することが必
要であると考える。
また、EV カーシェアリングにおいては、1 台の車両の適切な共有人数の把握や EV の特
性を考慮した予約システムが必要となる。今後は、これらの検討を行いたい。
34
電気自動車カーシェアリング実証事業アンケート
この度は、電気自動車カーシェアリング実証事業にご参加いただきまして、誠にありがとうございま
す。
この事業は、環境に優しい電気自動車(以下「EV」)を都市部でご使用いただき、EVの走行特性
や充電器の利用状況などについてのデータや「ご意見・ご要望」を収集・分析し、今後の都市部でのE
Vの普及につなげることを目的に実施しています。
つきましては、以下のアンケートにご協力くださるようお願いします。
国立大学法人宇都宮大学
1
ご回答いただく方
該当するものを選択(○印)してください。
(1)性別
①男
(2)年代
①20代以下
(3)自家用車
①所有していない
(4)利用実績
2
②女
②30代
③40代
②ディーゼル
④50代
③ガソリン
⑤60代以上
④ハイブリッド ⑤電気
⑥プラグインハイブリッド
⑦クリーンディーゼル ⑧その他(
①初めて
③(
②2回目
)
)回目
車両の利用について
該当するものを選択(○印)してください。また、その理由をお書きください。
(1)乗り心地はいかがでしたか?
①とても良い
②良い
③普通
(理由:
④あまり良くない
(2)操作性はいかがでしたか?
①とても良い
②良い
③普通
(理由:
④あまり良くない
⑤悪い
)
⑤悪い
)
(3)ガソリン車と比べて加速性はいかがでしたか?
①とても良い
②良い
③普通
④あまり良くない
(理由:
⑤悪い
(4)ガソリン車と比べて走行中の安全感覚はいかがでしたか?
①とても良い
②良い
③普通
④あまり良くない
(理由:
⑤悪い
(5)バッテリーの残量に不安がありましたか?
①とても不安だった
②少し不安
③どちらともいえない
⑤不安はなかった
(理由:
-1-
)
)
④あまり不安でなかった
)
(6)上記で、①又は②を選択された方におたずねします。どんな場面で不安を感じましたか?
(複数選択可)。
①上り坂にさしかかったとき
②暖房を付けたとき
③予想以上に走行可能距離が減っていったとき
④その他(具体的に:
)
3
充電インフラについて
該当するものを選択(○印)してください。
(1)EVや充電器の利用状況などについて
1)以前に、EVに乗られたことがありますか?
①乗ったことがある(車両:
②乗ったことがない
)
2)以前に、充電器を利用されたことがありますか?
①普通充電器・急速充電器を両方利用したことがある
②普通充電器(*100V や 200V の充電器です。)を利用したことがある
③急速充電器を利用したことがある
④利用したことがない
(2)カーシェアリング実証事業での外部充電状況
1)外部で充電されましたか?
①充電した( → 2)へ)
②充電しなかった( → 3)へ)
2)充電された方におたずねします。
・充電場所はわかりやすかったですか?
①わかりやすかった
②わかりづらかった(理由:
)
・使いやすかったですか?
①使いやすかった
②使いづらかった(理由:
・充電するまでに待ちましたか?
①待たなかった
②待った(
分くらい。
)
台待ち)
3)充電されなかった方におたずねします。充電されなかった理由を教えて下さい(複数選択可)。
①充電しなくても走行できそうだった
②走行コースに充電器が設置してなかった
③充電器の設置場所がわからなかった
④充電の操作が難しそうだった
⑤使用中だった
⑥その他(具体的に:
)
(3)充電器設置と設置場所等に対するニーズ
1)宇都宮市内の急速充電器の設置場所について、望ましいと思われる場所を教えて下さい。
(複数選択可)
①公共施設(県庁・役場など) ②教育施設(学校・博物館など) ③民間の駐車場
④駅
⑤飲食店
⑥病院
⑦スーパーマーケット
⑧コンビニエンスストア
⑨ガソリンスタンド ⑩自動車ディーラー
⑪その他(具体的に:
)
2)宇都宮市内の普通充電器の設置場所について、望ましいと思われる場所を教えて下さい。
(複数選択可)
①公共施設(県庁・役場など) ②教育施設(学校・博物館など) ③民間の駐車場
④駅
⑤飲食店
⑥病院
⑦スーパーマーケット
⑧コンビニエンスストア
⑨ガソリンスタンド ⑩自動車ディーラー
⑪その他(具体的に:
)
-2-
3)1回の充電にかかる時間について、どのくらいが望ましいと思いますか?急速充電器、普通充電
器それぞれの場合で教えて下さい。
・急速充電器:
①5分 ②10分 ③15分 ④20分 ⑤25分 ⑥30分
・普通充電器
①5分 ②10分 ③15分 ④20分 ⑤25分 ⑥30分 ⑦1時間
⑧その他(具体的に:
)
4)宇都宮市内の充電環境について、どれが望ましいと思われますか?理由も合わせて教えて下さい。
①急速充電器だけでよい(理由:
)
②普通充電器だけでよい(理由:
)
③どちらも必要(理由:
)
④どちらも必要ない(理由:
)
5)電欠(充電量がゼロ)しそうになったときの対応に関するご要望について、教えて下さい。
(複数回答可)
①充電応援車による現地での充電
②充電器設置場所までレッカー移動
③その他(具体的に:
)
6)1回当たりの充電器の利用料金について、急速充電器、普通充電器それぞれ適当と思うものを教
えて下さい。
・急速充電器:
①100円未満 ②100円 ③300円 ④500円 ⑤700円 ⑥1,000円
⑦無料(有料では利用しない)
・普通充電器
①100円未満 ②100円 ③300円 ④500円 ⑤700円 ⑥1,000円
⑦無料(有料では利用しない)
7)充電器の利用料金の望ましい支払い方法について、教えて下さい。(複数選択可)
・課金の利用単位について
①1回ごとに課金 ②利用時間に応じて課金
③回数や時間に関係なく一定額
④その他(具体的に:
・現金カード利用など、決済方法について
①利用時ごとに現金決済 ②専用プリペイドカードによる決済
③スイカやパスモなど電子マネーでの決済 ④クレジットカードによる決済
⑤その他(具体的に:
)
)
8)充電器の満空情報(使用中なのか空いているのか)の提供についてのお考えを教えて下さい。
①料金を払っても、必要なときに適切な情報提供を望む
②ある程度の情報は得たいが、無料に限る
③満空情報は、特に必要としない
④その他(具体的に:
)
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4
都市部でのEVの活用等について
該当するものを選択(○印)してください。
(1)今回のカーシェアリング実証事業について
1)今回参加いただいた実証事業は、いかがでしたか? また、その理由をお書きください。
①とても良い
②良い
③普通
④あまり良くない
⑤悪い
(理由:
)
2)今後、カーシェアリングやレンタカーでEVを利用することができる機会があった場合、積極的
に利用したいと思いますか? また、その理由をお書きください。
①積極的に利用したい
②EVしか乗ることができないなら利用する ③利用したくない
(理由:
)
3)今後、車両を購入する場面で、EVは選択肢の1つとして加えたいと思いますか?また、その理
由をお書きください。
①選択肢に加えたい
②選択肢に加わらない
(理由:
)
(2)都市部でのEVの活用等について
1)航続距離が短いという特性を持つEVが活躍できるフィールドの1つとして都市部が考えられま
すが、都市部でEVを普及させるためには、何が必要だと思いますか?(複数選択可)
①充電器設置場所の充実
②充電器設置場所のわかりやすさ
③充電時間の短縮
④充電器の操作のしやすさ ⑤充電マップの整備 ⑥カーシェアリング(一般会員用)拠点の整備
⑦特定地域でのカーシェアリング(マンション専用、商店街専用等)拠点の整備
⑧有料駐車場利用料金の割引
⑨優先駐車スペースの設置
⑩優遇区域の設置(EVのみ乗り入れることができる道路や地域)
⑪その他
2)今後、EVが普及するためには、どのような取組やサービスが必要だと思いますか?
(複数選択可)
①地球温暖化対策への効果の PR ②乗り心地や性能の PR ③1回の満充電で走行可能な距離
の向上 ④充電器の設置場所の充実 ⑤充電時間の短縮 ⑥充電器の操作のしやすさ
⑦充電マップの整備 ⑧ガソリン車と同程度の価格 ⑨減税 ⑩補助金 ⑪普通自動車だけで
なく、軽トラ・ミニバン・RV など多様な種類の EV の販売 ⑫商業施設などでの優待
⑬その他
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自由回答
カーシェアリング事業のこと、EVのこと、何でも自由にご記入ください。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
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