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地球環境力学分野 共同研究成果報告

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地球環境力学分野 共同研究成果報告
平成 22年度
地球環境力学分野
共同研究成果報告
2
2特 1- 1
メソおよび雲解像スケールの大気境界層モデ、リングと観測的研究
熊本県立大学環境共生学部
張代洲
目的:
大気境界層における物質(水蒸気・降水も含む)循環過程のモデリングとそれに関連した
拡散・沈着過程のパラメタリゼーションに向けた数値実験および観測を行う.
目的の 1つは,天草半島における気象および大気汚染物質の大気境界層構造を係留気球
E
S計算やパラメタリゼーション
で観測して,大気境界層内や自由対流圏の拡散と沈着の L
の基礎となるデータ収集をすることである.天草半島は,大陸からの影響が早い段階で到
達する場所で,地理的にも応用力学研究所に近く,密接に連携した研究が進められる.
また,海洋中規模擾乱が海洋大気境界層に与える影響について明らかにすることも重要
な目的である.応用力学研究所の渦解像同化 S
S
Tを用いるので,本研究所との共同研究が
必要である.
研究方法:
海洋中規模擾乱が海洋大気境界層に与える影響の研究は,応用力学研究所の日本海海洋
データ同化システムから得られた渦解像 S
S
Tを用いて,名古屋大学で開発された雲解像モ
R
e
S
Sによる数値計算を行う.海況が大気混合層におよぼす影響に着目した解析を行
デ、ル C
フ.
天草半島の係留気球観測で得られるデータを収集・解析し,境界層および自由対流圏の
気象状況の変化とそれに伴う各高度の浮遊粒子の粒径分布や性状について調べ,モデノレへ
の応用や検証に用いる.
結果:
名古屋大学で開発された雲解像気象モデ、ル C
R
e
S
S(
T
s
u
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7
) を用いて, 日本海域について 3k
m水平解像度の格子を設定
0
0
5年 1
2月 2
1ー 3
0日について数値実験をおこなった.初期値と境界値は気象庁 R
S
M
し
, 2
を用いた.海面温度は,九大応力研海洋モデルに対馬海峡 A
D
C
P流量や衛星データ (
S
S
H,S
S
T
)
を結合した高解像度(1/
1
20) データ同化 S
S
T(実験 R
)と気象庁の最適内挿 S
S
T
(実験 J
)の 2
つを用いて比較実験をおこなった.
2
0
0
5年 1
2月 21-30日)の地上風は北西の強い季節風が卓越し,日本海寒帯気
期間平均 (
回収束帯も明瞭に再現された.冷水舌では北西からの冷水塊の侵入に伴い水蒸気蒸発量が
小さく,大和堆上の暖水塊域では水蒸気蒸発量が多くなる.日本海沿岸域では,積算降水
量が 1
00mmを越える地域が見られ,場所による降水量の違いも大きい.このように海洋中
規模擾乱が,水蒸気や熱の地表面 f
l
u
xの分布の濃淡を生み出し,ローカルな降水にも影響
が生じる.
SSTの違いが風や降水に与える影響を調べるために実験 R と実験
Jを比較すると"日本
列島と朝鮮半島沿岸域では実験 Rの水温が低く,北部ロシア沿岸域では高い.この SST差
の分布に対応して,実験 R と Jの地表面熱ブラックス差も同様な分布が得られる.高 SST
2ほど大きくなる.実験 Rと Jの海上風差の分布もおおむ
域で熱ブラックスが 20-60Wm
-
.1ー 0
.
5m S-l程度の風速増加域となる.
ね SST差の分布に対応し,高 SST域が O
実験 Rと Jの積算降水量差は,筋状雲に対応して筋状の分布となる.沿岸域の低 SSTに
対応して実験 Rで降水量は 30mmほど低い.観測との比較では,日本海側(秋田から島根)
M
e
D
A
S積算降水量の R
M
S誤差は,実験 Jで 6
9
.
4mm,実験 Rで 6
4
.
6m
mとなり,実験 R
のA
の方が 7
覧ほど小さくなる.
次に海洋中規模擾乱に対する大気境界層の応答を調べた.大和堆の北の暖水域では,渦
STanomalyは,熱・水蒸気フラックスを介して,乱流
解像海洋データ同化で生じる正の S
混合,風速,温位,水蒸気量,雲水量,雪水量を増大させる.他方,朝鮮半島の東沿岸の
STanomalyが,乱流混合,風速,温位,水蒸気量,雲水量,雪水量を
冷水域では,負の S
減らす.佐渡沖の冷水舌では,乱流混合と風速は局所的な SSTの影響を素早く受けるが,
温度や水蒸気・雲水量は北西季節風の移流を介して上流側の SSTanomalyの影響が大きい.
このように,海洋中規模擾乱は,それよりも小さなスケーノレの降水分布にも影響を与え,
ローカルな気象システムへの影響も無視できない.つまり,海洋中規模擾乱は,数百 km
を超えるスケールの気象現象のみならず,メソ
Pや γスケールの気象現象においても重要
であることが示唆される.
天草半島の係留気球観測のモデルへの応用や検証に関しては,データ整理等を行い,モ
デル化に向けた検討を行っている.
学会発表:
山本勝,大東忠保,坪木和久,広瀬直毅,
す影響,
日本海データ同化が北西太平洋域の気象に及ぼ
第3
3回極域気水圏シンポジウム立川
(20 10年 12月 1日,講演予稿集
M0019, 2ページ)
研究組織:
張代洲
サブテーマ代表者・観測
熊本県立大学環境共生学部
大東忠保名古屋大学水循環研究センター
研究協力者・気象モデリング
坪木和久名古屋大学水循環研究センタ一
研究協力者・気象モデリング
広瀬直毅
九州大学応用力学研究所
山本勝
九州大学応用力学研究所
研究協力者・海洋モデリング
所内世話人・気象モデ、ルング
-2-
2
2特 1- 2
大気化学・エアロゾル気候モデルの開発と検証
名古屋大学大学院環境学研究科須藤健悟
目的
本研究課題では、大気化学モデノレ C
H
A
S
E
Rとエアロゾノレモデル S
P
R
I
N
T
A
R
Sの結合により、大気化学・エア
ロゾル結合気候モデルの開発を行い、シミュレーション結果の妥当性について詳しく検証する。特に、これ
までモデルでの扱いが不十分であった、大気化学過程と関連の深いエアロゾルの表現、およびエアロゾルの
微物直面程の表現方法の改良について、新たな計算スキームの導入を検討・実施する。シミュレーション結
P
R
I
N
T
A
R
Sモデル
果については、九州大学・応用力学研究所・大気環境モデリンググループで扱われている S
や領域スケール大気質モデル側AQなどによるシミュレーションの評価方法に準じた検証を行い、大気汚染物
¥質分布やエアロゾル濃度・光学パラメータについて、各種観測データを用いて詳細に評価する。これにより、
大知目成・大気汚染の気候への影響の理解・評価における不確定性の低減を図り、気候変動予測の精轍化お
よび精度向上に貢献する。
2 研究方法
H
A
S
E
R と九州大学・応用力学研究所で開発されているエア
名古屋大学で開発されている大気化学モデル C
P
R
I
N
T
A
R
Sを結合し、気候モデル中での大気化学過程とエアロゾノ吋晶程の同時計算を可能にす
ロゾルモデル S
る。この際、大気化学と関連の深い髄姐・硝酸塩や有機エアロゾノレの生成については、個別の化学即志ス
P
R
I
N
T
A
R
Sで不十分と思われるエアロゾノレの内部混合キ粒径分布
キームを追加・導入し表現する。また現状 S
こついても、改良作業を進める。昭2年度では、人為起源有機炭素エア
の表現方法などの微物醐句取り扱い l
ロゾルの計算の導入など、本モデルの有機エアロゾル計算過程のさらなる精轍北を行い、診断実験による詳
S
O
A
) の変動について感度実験を実施し、各要因について定
細な評価を行った。また、二次有機エアロゾノレ (
量的な検討を行った。以下に化学・エアロゾル結合モデルの概略と、本年度に行った研究の作業方法・手順
について記述する。
(1)化学モデルとエアロゾルモデ〉レの結合
C
H
A
S
E
Rモデルおよび S
P
R
I
N
T
A
R
Sモデルは、ともに東大・気候センター (
C
C
S
R
)、国立環境研究所 (
N
I
E
S
)、
配/
R
I
G
C
:r
日町田C
) で開発されている αSR/NIES/FR(
沼C
およ U鴇洋研究開発機構・地球環境変動領域り雌ST
気候モデル仰I
R
O
C
) を土台としている。 C
H
A
S
E
Rモデルでは、化学即芯に加え、大規模移流輸送、積雲対流
m
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i
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n
、雷による N
O
x生成、湿.M:I乾性沈着が考慮され、光化学過
による鉛直輸送、人為・自然起源地表 e
O
s
N
O
x
H
O
x
叩---aJと非メタン炭制俸制阻C
s
)の酸化反応、およひ不
程では対流圏光化学の基本サイクル (
S
E
Rモデノレで計算されたオゾンや各オゾン前駆気体の分布は各観測値と整合
均一反応が考慮されている。団A
S
u
d
oe
ta
1
.,2
0
0
2
,
2
0
0
7
)。一方、
的であり、オゾン生成・消滅過程の表現の妥当性が確認されている (
S
P
R
I
N
1
・
皿S では硫酸塩 (
S
O
l
)、黒色炭素・有機炭素(配・ O
C
)、土壌ダスト、海塩の各種エアロゾルの全球
H
A
S
E
Rと
分布をシミュレートし、これらの大気放射、雲・降水過程への影響を計算する。本研究では、 C
S
P
R
I
N
T
A
R
Sの両モデルを結合し、エアロゾルとオゾン化学の同時計算を可能にした。
(
2
) 有機エアロゾノレ計算の精轍化
S
O
A
) の生成計算を導入し、回2年度では特
上述の化学・エアロゾル結合モデルに、二次有機エアロゾル (
O
C
s・化学反応の種類の拡大を実施し、人為起源
に計算スキームの全面的な改良や、前駆体として考慮する V
の有機エアロゾルの考慮も行えるようにした。本研究では S
O
Aの生成モデリングに 2
p
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tm
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1(
O
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.
, 1996) を採用した。
(
3
) 二次有機エアロゾル (
S
O
A
) 変動要因の評価
O
C
sエミッションの増
本研究では、二次有機エアロゾノレの過去から現在までの変動に関して、1)人為起源 V
) 大気化学場 (
V
O
C
s の酸化剤の分布)の変動、 3
) 一次有機エアロゾノレ(問I
A
) エミッションの変化、
加
、 2
) 土地利用変化による植物起源 V
O
C
sエミッションの変動の各影響を、感度実験によりそれぞれ分
および 4
-3
離・検言寸する。
3 結果・考察
(1)エアロゾルシミュレーションの診断実験と評価
上述したエアロゾ、ル・化学気候モデ、ルを用いた診断実験を行い、本研究で着目するエアロゾル関連光学ノ号
ラメータ仏OTや消散係数)などを対象に評価を行った。 AOTについて、 MODISによる衛星観測とモデ、ノレ計算を
比較したところ、東アジア(主に中国)、南アジア(主にインド・パング、ラディシュ)ともに、モデ、ノレ計算は
衛星観測に対して若干の不整合(バイアス)を有すると考えられるが、両領域ともに 0.5以上の相関係数を
.
7
7
)、基本的な再現性は高いといえる。また、アジア域の夏季では、 SOA計算の
示しており(東アジアでは 0
精織化の効果も確認されたが、衛星観測との比較結果を大幅に改良するものではなかった。しかしながら、
本研究の SOA計算には依然として過小評価傾向が確認、されており、 SOA計算の更なる不確定性削減の上で、
改めて評価することが必要である。
(
2
) SOAの変動要因の評価
本研究では、精般化された SOA計算スキームの詳細な評価を行い、人為起源 VOCsが植物起源 SOAへ及ぼ
V
O
C
s酸化剤の変動)、 POA
す影響も議論じた。ここでは、その他の SOA変動要因として、大気化学場の変動 (
の変動、および土地利用変化のそれぞれに着目し、感度実験の結果を概説する。結果によると、各変動要因
による SOA生成量の変動幅は南半球より北半球で大きいことがわかり、全球規模では POA変動の影響が大き
いが、大気化学場の変動及び土地利用変化による VOCsエミッションの変動についても同程度の影響がある可
能性が示された。 3種類全ての要素を加味した変動においては、北半球では人為起源物質のエミッションが
増加する一方で土地利用変化による植物起源 VOCsエミッションの減少が SOA生成量の増加を抑制したために、
総合すると南半球の方が SOA生成量の増加が多くなった。また加えて、人為起源 VOCsの反応についても考慮
した実験ケース(現患の大気を最も再現していると考えられる)と産業革命以前の変動要素を全て考慮した
実験(過去の大気を最も再現していると考えられる)の SOA生成量を比較すると、全球の SOA生成量は産業
革命以前から現代にかけて 10.6Tgy
r
-1増加しており、現在の SOA生成量は産業革命以前の約1.7倍に増加
1の増加で、人為起源 V
したと見積もられた。半球ごとに見ると北半球で 4.2Tgy
r
-1、南半球で 6.4Tgy
r
OCs
の増加を考慮してもやはり南半球の方が生成量の増加が大きいという結果を得た。
4 研究成果報告
学会発表
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3
) 須藤健悟、 P
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r、伊藤昭彦、化学気候モデ〉レを用いた 1
9
7
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2
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0
8
年のメタン変動要因の解明、大気化
学討論会、首都大学東京、八王子、 2
0
1
0
年1
1月 1
8日
。
(
4
) 荻原由紀恵、須藤健悟、全球化学輸送モデ、ルによる二次有機エアロゾ、ノレのモデ、リング、大気化学討論会、首
都大学東京、八王子、 2010
年1
1月1
8日
。
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,Japan,27thMay
,2
0
1
0
.
(7)須藤倖│吾、"全球メタン濃度の過去再現シミュレーション:気候変動の影響"、日本気象学会2
0
1
0
年度春季大
会、国立オリンヒoツク記念青少年総合センター、 2
0
1
0
年5月2
5日
。
4
2
2特 1- 3
東アジア域の NO
x 排出と日本域への窒素栄養塩負荷に関する研究
大阪府立大学大学院工学研究科坂東博
【はじめに]
近年の中国における経済発展に伴い、中国国内から排出される窒素酸化物量が増大し、日本国内を含む
アジア大陸縁辺地域ではパックグラウンドレベノレの反応性総窒素化合物別Oy) の濃度増大が今後問題
となってくる可能性がある。また、中国一日本聞は海であり、中国から飛来してくる NO
y の海への沈
着により、日本沿岸への窒素栄養塩降下量が増大することが考えられる。それによって、日本沿岸にお
ける海洋の窒素循環にも影響を及ぼす可能性が懸念される。
このような状況下、研究代表者および研究協力者ら(高見昭憲、清水厚、竹中規訓、定永靖宗、弓場
彬江)は沖縄県辺戸岬にある、「独立行政法人国立環境研究所
大気・エアロゾ、ル観測ステーション
(CHAAMS)J(
北緯 2
6
.
8
6 東経 1
2
8.
25,海抜 60m) において N O
0
3
(
g
)
) および粒子
y,ガス状硝酸(HN
0
0
3
(P))濃度の定点通年観測を行なっている。辺戸岬はローカノレな窒素酸化物の大きい発生源
状硝酸(N0
が少ないリモートサイトであり、パックグラウンドレベルの NO
y 濃度を測定するのに適している。
一方、九州大学応用力学研究所(所内世話人:鵜野伊津志)においては RAMS/CMAQ化学物質輸送モ
デルにより、東アジア地域での汚染物質濃度などが計算されている。本研究では、このモデ、ルを利用し
て、日本周辺域における窒素化合物の沈着量を見積もることが最終目標である。これまで、 N O
HN0
(
g
),
y,
3
N03-(P),硫酸塩 (SO/-(p)),アンモニウム塩(N
H/(p)),アンモニア(N
H
3
(
g
)
) 濃度についてモデ、ノレと観
C
g
) の沈着速度について議論するため、主に観測の面から NO
測との相互比較を行なった一方、 HN03
y,
HN03(g),N 03
(
p
)の日内変動について着目した解析を行ってきた。/しかしながら、これまでは主に
HN03
(
g
) についての議論であり、窒素栄養塩降下量という視点ではガスだけでは不十分で全硝酸(1N =
一(
HN03(g)+N03
p
)
) について対象範囲を広げる必要がある。
平 成 22 年度では空間的な視点から1Nの沈着についてのアプローチを試みた。具体的には、研究代
表者および研究協力者らは沖縄辺戸岬のほかに、五島列島福江島にある、「大学・研究機関共同利用
福
江島大気観測施設」において同様な観測を行なっているので、辺戸岬と福江島のデータ双方を活用した
解析を行なった。本報告書ではその結果について述べる。
【観測について】
NO
,1Nの濃度測定には百l
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n社製 N O
odel42C-TLもしくは Mode142iTLを大阪府立
y
x計 M
008年 3 月から、五島列島福江
大学で改良した NO
y,1N計を用いた。これらの観測は沖縄辺戸岬では 2
島では同年 1
1 月から継続して行なっている。本研究では 2
009年に着目し、解析を行なった。
【解析方法、結果および考察}
双方の観測データを用いて大陸からの大気の輸送過程における窒素酸化物の反応進行について調べた。
具体的 i
こは、後方流跡線解析を用いて福江島を経由し、辺戸岬に到達した気塊を選別し、福江島一辺戸
紳聞の輸送時間と NO
、
y,1Nとの濃度変動を比較した。流跡線については、 1 日あたり日本時間で 3 時
9時 1
5時
、 2
1 時の 4 本計算した。なお、ここでは北緯 3
2
.
7
50土 0
.
50,東経
1
2
8
.
6
80士0
.
50,内のグリ
ッドを通過した流跡線を福江島経由の気塊と定義した。解析対象期間中において福江島を経由して、辺
戸岬へ到達した気塊の本数は 9
7本で、あったが、大きく蛇行した、もしくは旋回した流跡線については
解析対象外とした。
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1
.
0-
1
.
4-
a
)
・
)
:
.
,
,
.
.
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図.福江島一辺戸岬間の輸送時間と a
)N O
b
)TN
,および c
)TN
/N
Oy 比の辺戸岬/福江島比との
y,
関係。直線は回帰直線を示す。
図に福江島一辺戸岬間の輸送時間と N O
,および TN
/NOy 比の辺戸師/福江島比との関係を示す。
y,TN
NO
y についてはすべての点で辺戸岬/福江島の濃度比が l を下回っている。 TN についてはすべての
点ではないが、多くの場合辺戸抑/福江島の濃度比が 1以下となった。 TN
/N
Oy 比については、辺戸岬
/福江島比が l を超す場合が多い。一方、輸送時聞との関係性を見てみると、全体的にパラっきは大
きいが、 N O
y については輸送時間に対して辺戸岬/福江島比が減少している傾向が見られた。これは輸
送中における沈着、希釈による濃度減少を反映していると考えられる。 TN についてははっきりとした
輸送時間に対する依存性は見られなかった。 TN も輪送中沈着、希釈すると考えられるが、輸送中に生
成する過程も存在するため、輸送過程における濃度上昇、下降のバランスが釣り合っている可能性が考
えられる。これについては今後データを蓄積していく必要があると考えられる。 TN
/NOy 比については
輸送時間に対して辺戸岬/福江島比が上昇している傾向が見られたが、これは輸送中に N0
2 など他の
窒素酸化物から TN の生成が進んでいることを反映していると考えられる。
今回の解析では定性的に東シナ海上で N O
y が沈着もしくが希釈されている、 TN は沈着・希釈だけ
ではなく、生成も起こっていることが考えられたが、今後、 RAMS!CMAQ化学物質輸送モデ、ルによる
解析や沈着の影響が無視できる COデータ等を用いて同様な解析を行い、窒素酸化物の沈着に関する解
明を目指す。
【論文目録】
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9
2
349239,
2
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1
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.
【学会発表など】
他 6件
計 4
5件
-6-
2
2特 1- 4
WRF/Chem次世代大気化学園気象結合モデルを用いたアジア域の越境大気汚染の研究
海洋研究開発機構地球環境変動領域
山地一代
【はじめに】
近年の東アジアの経済発展・人口増加は目覚ましく、その結果、エネルギー消費量が増大し、それに
伴って大気汚染物質等の排出量も増加している事が懸念されている。一方、中国北京でのオリンピック
効果や引き続いて起こった世界的金融危機と言った社会経済的影響による、ローカル的な環境対策効果
や一時的なエネルギー消費増大の鈍化の影響を受け、一時的に大気汚染物質濃度の増加傾向が鈍化した
報告もある。特に、 S02に関しては、 2006年以降、中国では湿式排煙脱硫装置の普及により排出量も
減少し、その結果、夏期の AODの減少と言った効果が出ていると言う報告もある。しかしながら、東
アジア地域における大気汚染物質の濃度は高い値で推移しており、我が固における越境大気汚染問題へ
の関心は依然として高い。
この様な広域的な大気汚染を定量的に評価するためには、高分解能の領域大気物質輸送モデルとアジ
ア地域のエミッション・インベントリを用いて、アジアスケールでの大気物質濃度を精度良く再現し、
長期間シミュレーションを可能とするシステムが有用である。本研究では、応用力学研究所において構
築された、アジア域の領域化学物質輸送モデルシステム (RAMS/CMAQ) を基礎として、新たに、気象
モデル (WRF)と結合させた、アジア域大気化学・気象結合モデルシステム (WRF/Chem、WRF/CMAQ)
を構築し、長期大気物質輸送シミュレーションを実施する。
【方法】
領域化学物質輸送モデルとしては、 Models-3/CommunityM
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4
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y(CMAQ)Ver
および、 WRF-chemV
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3
.
1
.
1を採用した。計算対象領域は、図 1に示してお
り、水平方向に 80km格子で 98x78、鉛直方向に 38層(最上部約 50hPa)
である。気象場の計算に際しては、初期値等は、 NCEPF
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) を利用した。 CMAQの化学・エ
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アロゾルスキームは、 StatewideA
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9
9
・
99) と、特に二次有機エアロゾルモジュールが強化された、 AER05
(SAPRC
を利用した。 WRF-chemでは、二種類の化学スキーム (RADM2と SAPRC-99) 図 1 計算領域
を採用し、化学プロセスの遣いによって生じる濃度差の検証を行なった。
モデルへの入力データは、 ChemicalAGCMf
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fatmosphericenvironmentandr
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(CHASER)の日平均値(側面境界濃度)、 REAS(人為起源)・ RETRO(
/
¥イオマス・バーニング)・ GEIA
(土壌 NOx)・MEGAN (
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c
) (排出量)を用いた。
【結果と考察】
長崎県福江島における 03~ NOy
、COの観測とモデル (CMAQv4.7と旧パージョンの v4.4)の濃度
変動を図 2に示す。同じモデルフレームを利用しているにもかかわらず、計算条件を変えることで出力
濃度が大きく左右されることが判明した。 03に関しては、例えば、 CMAQv4.7は
、 5庁
、 13-14、22に
03濃度が下がるタイミングや濃度レベルを比較的良く再現できる様ようになった。一方、 5
1
旬
、 25に
見られるように、 03濃度の再現性が従来のもの (CMAQv4.4)より悪くなるケースもあった。 NOyに
、 CMAQv4.4と比較して、予測精度が非常に良くなっている。例えば、 5
/
6
・
9
関しては、 CMAQv4.7は
の観測された NOyの濃度変動について、 CMAQv4.4は変動を再現できなかったが、 CMAQv4.7では濃
、 CMAQv4.4が
度レベルと変動パターンを非常に良〈再現できている。 COに関しては、 CMAQv4.7は
捉えられなかった変動パターンを表すことに成功している時もあるが、モデルによる過小評価傾向が増
す結果となった。大気物質濃度の変動パターンの改善は、気象モデルと気象・化学モデルインターフェイ
スの変更とモデルの鉛直層増加の影響が大きいと思われる。本講演においては、 CMAQv4.7 を用いた、
・
99、二種類の化学ス
広域的大気汚染の解析結果も紹介する。 WRF-chemに関しては、 RADM2・SAPRC
キームの比較を行ない、 SAPRC-99の 03と CO濃度が高くなり易い事が判明した(図 3)。
-7-
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【研究成果報告】
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山地一代ら、「領域物質輸送モデルを用いた長崎県福江島における大気汚染解 J、日本気象学会 2
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年度秋季大会、 2
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0
山地一代ら、「東アジア地域における広域大気汚染の発生源寄与解析 J
、第 5
1 回大気環境学会年会、
2
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0
.
9
-8-
2
2特 1- 5
衛星観測による大気汚染物質の時空間分布の解析
海洋研究開発機構地球環境変動領域
入江仁士
【はじめに】
東アジアでは急速なエネルギー需要の増大に起因して大気汚染が深刻化している。このような背景の
下、近年、エアロゾルだけでなくガス成分(オゾンなど)も含む各種大気汚染物質の観測が地球規模で
行われている。衛星観測は広域大気汚染の実態を把握する上で極めて有効であるが、衛星の寿命のため、
長期にわたった傾向を明らかにするには、複数の衛星観測を組み合わせる必要がある。また、気候変動
の研究でも重要な役割を果たしてきたエアロゾル衛星データと大気汚染ガスデータとの新たな複合的
利用は、今後のコベネフィットへの議論に資するポテンシャルを持つ。しかしながら、各種衛星データ
は十分に品質管理されているとは言い難く、複合的利用に向けた障壁となっている。
本研究では、受動型衛星観測 (OMI,GOME-2,MODIS等)のオゾンやエアロゾル(それらの前駆気体含
む)のデータを複合的に解析する。衛星データ導出の誤差解析や地上観測による比較検証を加えて、東
アジア域における大気汚染物質の時空間分布を定量的に明らかにする。特に、誤差解析等をもとに過
去・現在の衛星データを結合し、最近 10年程度における実大気中濃度の長期傾向を様々な空間スケー
ルで定量化する。
【方法】
エアロゾルについては、 NASAの T
e
r
r
a衛星および Aqua衛星に搭載された MODISセンサーのエア
ロゾル光学的厚さ (AOD)のデータを解析した。 2000年から 2010年までの 1
1年間について、 AODのト
レンド解析を中国華北平原 (30.0-40.0N,110.0
・1
2
3
.
0
E
)を中心!こ、他の領域(例えば韓国 (
3
4
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N,
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5
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)
) についても実施した。海上のデータについては有効半径のデータもあわせて解析した。
N02については、衛星センサー OMI(OzoneM
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)のデータに加え、今後長期観測を
継続する見通しのとある GOME-2および、既に長期の観測継続中の SCIAMACHYのデータも解析した。
オランダの KNMIが開発したアルゴリズムで導出された対流圏 N02カラム濃度データを利用した。 I
r
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ee
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l(2009)の MAX-DOAS観測データを使って検証した衛星データを本研究で用いた。
a.
さらに、これらの結果については、応用力学研究所において構築された、アジア域の領域化学物質輸
送モデルシステム (RAMS/CMAQ) 等のモヂル結果もあわせて解析した。
【結果と考察】
中国華北平原ではここ 1
1年間、 AODが年平均値で 0
.
5
0
.
6と常に高い値で推移していたことが分か
)。韓国上空においては 2006年以降、減少する傾向が見られた(図 1)。同時期には、中国に
った(図 1
おいて脱硫装置が普及して S02排出量が減少したと考えられており、その影響によって AODが減少し
たと仮説を立てた。これを裏付けるには、人為起源 AODを区別して解析する必要がある。そのため、
本研究では粒径の情報が利用可能な海上の MODISAODデータを、有効半径が 1μm以下のケースにつ
いて解析したところ、前述の結果と同様に 2006年以降に減少する傾向が確認された(図 1
)。比較的人
為起源の寄与が大きい季節について解析しでも同様の結果を得ることができた。
N0
,GOM巴 2
)を用
2については、まず中国華北平原域について複数の衛星データ (OMI,SCIAMACHY
いた N02のトレンド解析を行った。すると、 2010年まで有意に増加していることが分かった(図 2
)。
韓国では増加していないことが分かつた。全ての衛星データについて、月平均値を同じ雲スクリーニン
グ基準で作成したところ、異なる衛星データのあいだに有意な違いがあることが分かった(図 2)。
SCIAMACHYと GOME
・2は観測時刻および空間分解能が似ているが、それらの N0
2値のあいだの差は
)。また、中国華北平原域では地方時 1
3
:
4
5頃の観測値 (OMI)は 1
0
:
0
0
比較的小さいことが分かつた(図 2
頃の観測値(SCIMAMACHYや GOME之)
1こ比べて小さいことが分かつた。 CMAQモデルも同様の傾向が
.
5
1
.
0のあい
あることが分かつた。 13:45と 10:00の N02力ラムの比をとると、モデル・衛星ともに 0
だで推移していることが分かつた。(図 3
) その比をモデルと衛星のあいだで差をとると、平均で 0
.
0
3
と小さいことが分かり、 10:00から 13:45までのあいだの N02の相対的な変動がモデルで良く再現でき
ていることが示唆された。
-9
2
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図 2 中国華北平原における対流園 N0
2力ラム濃度の衛星データ。
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.
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ー→一 CMAQ(13
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0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2
0
1
1
図 3 中国華北平原における、地方時 1
3
:
4
5と 1
0
:
0
0の対流圏 N02カラム濃度の比の時系列。衛星ヂ
ータ(赤)と CMAQモデル(黒)の値が示されている。
【研究成果報告】
入江仁士、人工衛星による対流圏 N0
2・エアロゾルの観測ー東アジアにおけるトレンド解析に着目して
0
1
0年 9月(
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d
)
一、地球化学会、埼玉県熊谷市、 2
(鵜野先生のグループの成果のリストも加える?)
よ
句E
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2
2特 1- 6
ライダー計測と黄砂輸送モデルを統合した黄砂の発生・輸送過程の研究
国立環境研究所
原由香里
目的
地上観測点は疎らであるため,今日まで数値モデルを用いなければエアロゾル濃度の 3 次元的な分布を得るのは不可
能であったが, 2006年 4月に打ち上げられた衛星搭載ライダー CALIOPにより,観測に基づいたダストの輸送構造につ
ta
l
.,2
0
0
9
)
. 一方,国立環境研究所(以下 NIES)では, 2001年以降,東アジア
いての 3次元的解析が可能となった (Unoe
域の大気環境の連続的モニタリングを目的とし,地上ライダーネットワークを構築してきた. 2000年以前は体系的・連
続的かっ定量的な黄砂観測データはほとんどなく, NIESライダーネットワークによる長期観測データはエアロゾルの地
域的な季節変動や年々変動をとらえるのに非常に重要である.本研究では, CALIPSOデ}タと地上ライダーデータに基
づき,今日まで十分に明らかにされていなかった黄砂の 3次元的な季節変動や長期変動を示す.
衛星・地上ライダーデータの概要
本研究では, 2007年 1月から 2010年 6月までの北京,ソウル,辺戸,松江,富山,札幌の NIESライダーデータに
ernaldのインパージョン法 (
F
e
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n
a
l
de
ta
,
.
l 1
9
8
4
)
ついて解析を行った. NIES地上ライダーデータについては,後方 F
により 532μmにおけるエアロゾル後方散乱係数と消散係数を導出し(ライダー比は 5
0
s
r
),偏光解消度を用いて球形・非
imizue
ta
,
.
l2
0
0
4
)
.CALIOPデータについてはLevel1BV
e
r
.
2
.
0
1の減衰補正なし後方散乱係数
球形成分を分離した(Sh
ernaldのインパージョン法官e
r
n
a
l
d,1
9
8
4
)によりエアロゾルの後方散乱係数を求めた.ライダー比は 5
0
s
rを
から前方 F
用いた
Leve12V
e
r
.
2
.
0
1の CADデータは雲マスキングに使用した. CALIOPの解析期間は 2007年 1月から 2008年
1
2月であり,解析に使用した CALIOPの総パスは 9124である.
結果と考察
0E
図 1に北京 U16.37
,3
9
.
9
7oN)における NIESライダーと CALIOPによる 0.3km(
下段)と 3・
6km高度(上段)における
ダスト光学的厚さの時系列を示す.CALIOPデータについては CADにより識別された雲を含まないプロファイノレから水
平 2度解像度,鉛直 120mの各格子点におけるダスト消散係数のメジアンを月毎に算出し, NIESライダー地点における
ALIOPによるマンスリーメジアンは 2007年と 2008年のみのプロット).図 1から, CALIOP
光学的厚さを算出した(C
とNIES地上ライダーのダスト A
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sCAOT) の定性的な季節変動はよく整合していることがわかる.
このことから, CALIOPデータによって,十分に黄砂の季節変動や年変動が捉えられる可能性が示唆される.北京にお
ける黄砂の季節変動の特徴をまとめると, 1
2月くらし、から顕著なイベントが発現しはじめ 3月から 5月に強いダストイ
ベントのピークを迎え,夏季に収束するというサイクルを示している.風下域では北京のダスト変動と必ずしも対応して
いるわけではなく,その時々の気象条件に応じた輸送経路・高度の影響がみられる.例えば, 2009年春季の辺戸におけ
るダスト消散係数の濃度は例年に比べ低い.続いて,各地点におけるダストの年々変動を明らかにするため,図 2 に各
年のダスト AOTのヒストグラムを示す.発生源に近い北京における結果から, 2010年は高濃度ダストの頻度が高い年
6kmの高い高度で高濃度
であったことがわかる.また, 2010年のダストイベントの特徴として,どの地点においても 3・
(
a
)に CALIOP による高度
頻度がわずかに増加していたことがダストの長距離輸送という観点から大変興味深い.図 3
0・
6kmにおける 2カ月平均ダスト AOTの水平分布を示す.春季仏.:la
r
c
h
A
p
r
i
l,May-June)においてはタクラマカン砂漠
からゴピ砂漠,そして風下域の北緯 30-40度のゾーンで帯状の高 AOTが見られ,東アジア大陸から太平洋上へダスト
が流出している様子が顕著にみられる.また,パキスタンから北インドにかけて非常に高濃度のダストが MJ期にみられ,
タクラマカン・ゴピに加え重要なソースの一つであることがわかる.タクラマカン砂漠においては冬季を除いてダスト濃
度が平均的に高い.タクラマカン砂漠は周囲を 4000m級の山岳に固まれた特殊な地形をしていることから,ダストが滞
留しやすいと考えられ,さらに夏季については Harae
tal
.(
2
0
0
8
)で示したようにダストの舞い上がり機構が総観規模の
擾乱に伴う春季や秋季のものと異なると考えられる.
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研究成果報告
原由香里,地上/衛星搭載ライダーにより示された東アジア域における非球形エアロゾル分布の季節変動,
日本気象学会,京都府京都市, 2010年 1
1月.
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2特 1- 7
大気エアロゾルと雲の光学的特性が気候影響に関する研究
富山大学大学院理工学研究部(理学)
青木一真
1.はじめに
自然起源や人為起源が発生源となる大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の気候影響の
解明が急がれている (
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7
)。特に、急激な経済発展しているアジア域から輸送される
越境大気汚染や黄砂粒子が深刻な問題となっている。エアロゾ〉レは、太陽放射や赤外放射を
散乱・吸収することにより地球の大気放射収支に変調を及ぼす。また、それら微粒子が雲の
凝結核や氷晶核になることにより雲の微物理的特性を変化させる。 2003年から応用力学研究
所において、スカイラジオメーターを用いたエアロゾ、ル光学的特性の継続観測を行っている。
本研究は、得られた観測データにより、東アジア域のエアロゾル気候影響の現状を評価する
ことを目的とする。観測データを用いてエアロゾル気候影響を評価する際には、応用力学研
究所大気変動力学分野で開発・改良されているエアロゾル気候モデ、ノレSPRINTARSを使用する。
また、同様の測定を行っている長崎大学や福江島と連携して、本研究を進めている。
2. 観測・解析概要
太陽の直達光と周辺光の角度分布を自動測定出来るスカイラジオメーター(プリード社製、
http://skyrad.sci.u-toyama.ac.jp/) は、晴天時の日中に連続観測を行っている。この観測
データから解析されたエアロゾノレの光学的厚さ・オングストローム指数(エアロゾ、ル粒径の
指標)・一次散乱アルベド(放射吸収のパラメータ)を用いて、気候変動の指標である放射強
制力を求める。また、これらのデータを地上検証として用いて SPRINTARSを改良し、東アジア
全体の広域的な放射強制力のさらなる精度向上を目指している。
3. 結果及び、考察
九州北部地方での観測データは、東アジア域のエアロゾルの特徴を掴むには非常に重要で
ある。 F
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は
、 2008年8月から 2010
年1
1月までの福岡県春日市(九州大学応用力学研究所)
のエアロソ、ノレの光学的厚さとオングストローム指数の月平均値を示している。
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エアロゾノレの光学的厚さは春に最大で、秋から冬にかけて最小になる傾向、オングストロー
ム指数は、春に最小、夏に最大となる傾向であった。概ね、他の日本海沿岸域の同様の観測
結果と比べて季節変動が似た傾向にあった。しかしながら、春に最大であるエアロゾルの光
学的厚さは、黄砂粒子や越境大気汚染の影響によるものだが、最近の日本海沿岸域の観測も
同様であるが、初夏から夏にかけて、オングストロ}ム指数が大きい、すなわち微小粒子の
影響によって、春より光学的厚さが高い状態が見られる。これは、越境大気汚染の影響と思
われ、現在、詳細な研究をすすめているところである。今後も継続して観測を行い、 SPRINTARS
や衛星観測等と比較しながら、越境大気汚染やローカノレな影響評価を行い気候影響の解明に
つなげたい。
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4. 研究成果
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5. 研究組織
代表者
青木一真
(富山大学大学院理工学研究部)
協力者
竹村俊彦
(九州大学応用力学研究所、所内世話人)
河本和明
(長崎大学環境科学部)
1
4-
2
2AO-1
日向灘における表層流動場の変動特性
宮崎県水産試験場
渡慶次力
1.研究の目的
日向灘の海況変動は,沖合を北東方向へ流れる黒潮変動の影響を強く受けているといわれている。例
えば,都井岬沖の黒潮が接岸すると,陸棚斜面上の湧昇により,日向灘北部を含む豊後水道で低温化す
。一方,土佐湾陸棚斜面上では,黒潮接岸時に 200m付近の水温躍層の上昇と周期した
る(兼田ら, 2002)
南西流が強化される(K
urodae
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.,
2008)
。既往研究より,日向灘の流動場も黒潮変動の影響を受けて変
動していると考えられるが,観測資料に基づいた知見は少ない。そこで,本研究では,日向灘の表層流
動場の構造及び変動特性を観測資料を解析して整理するとともに,黒潮変動との関係について考察した。
2
. 材料と解析方法
使用したデータは, 2000年 1月 "
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9年 12月まで月初めに実施された沿岸定線観測の ADCP(日本
m.50m.100m層で 3分毎に計測された流向・
無線社 JLN-616)で計測された流向・流速記録を用いた。lO
流速記録を, CTD観測地点聞で空間平均(図 1の四角枠)した時系列データを解析した。
流速変動と密度場の関係を調べるため,沿岸定線観測の CTD(JFEアドパンテック社製 ASTD-1ω で
計測した水温・塩分値を使用した。また,日向灘の流動変動と黒潮変動との関係解明のため,日向灘南
東沖(図 1の K)の北東流速値を黒潮変動の指標とした。
3
. 結果
3
.
1 時間平均場
解析期間で時間平均した 100m層の流速ベグトノレを図 1に示す。南部は安定した北東流が卓越し,沖
合域で約 50cm/sと速く,沿岸域で遅い。一方,北部では南西流が卓越し,沿岸域で安定度が高く,沖
合域で不安定な遅い流速構造となっていた。
本研究では,海岸線と平行な北東成分(北から時計回りに 3
0度回転した成分)に注目して解析した。
3
.
2 変動特性
10m層と 100層の流速変動を比較すると,全観測点で高い正相関があり,南部沖合域と北部沿岸域
は上下層の流速差が小さく,北部沖合域と南部沿岸域では上層が下層より速い構造となっていた。
各観測点における表層流速と季節躍層下の水温との相関係数は,広い範囲で正相関がみられた。そこ
で
, ADCP記録と各 S
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.の東西観測点の水温・塩分鉛直プロファイルを用いて,海底付近を無流面と仮
定した地衡流速の南北成分を比較した。その結果,北西沿岸域を除く広い範囲で正相関となり,日向灘
表層流動場は一部を除いて地衡流的で、あった。
3
.
3 黒潮変動との関係
南部沖合 K 点と各測点の 50m北東流速の相関係数の空間分布(図 2
)は,南部で正領域,北部で負領域
となった。すなわち,日向灘の表層流動場は, K点の北東流速が速くなると,南部で北東流,北部で南
西流となり,黒瀬変動の影響を受けていることが示唆された。
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. K 地点(図1)と各地点の 50m北東流速の相関係数の空間分布.ハッチ領
図2
域は 10%の有意領域.
132
図1. 10年平均流速ベクトノレ(IOOm層)
・
:CTD観測点
安
定度が高くなるにつれ,濃いハッチとなる.
4
. 今後の展開
日向灘北部では黒潮前線波動がしばしば観測されているが, 1ヶ月の観測頻度である沿岸定線データ
では,数日
十数日の時間スケールを持つ黒潮前線波動の時空間変動を捉えることができない。黒潮流
速と北部の北東流速との負の棺関係数は,黒潮前線波動の発達の程度によって流速場が異なる観測記録
を長期間用いて算出しているため,低くなったのかもしれない。今後は,浮魚礁プイで観測している毎
時の流向・流速データも併せて解析し,黒潮変動や黒潮前線波動と日向灘の表層流動場との関係解明を
目指したい。
5
. 成果報告
渡慶次力(宮崎水試)・柳哲雄(九大・応力研):日向灘における表層流動場の変動特性 .
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1
0年度日本海
洋学会春季大会.
渡慶次力(宮崎水試)・柳哲雄(九大・応力研):日向灘における表層流動場の変動特性 .
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0年度九州沖
縄地区合同シンポジウム.
6
. 研究組織
研究代表者
宮崎県水産試験場
所内世話人
九州大学応用力学研究所教授
主任技師
渡慶次力
柳哲雄
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2
2AO-2
対馬海峡近海の海面流速場の季節・経年変動に関する研究
名古屋大学地球水循環研究センター森本昭彦
1.研究の目的
対馬暖流は東シナ海から日本海へ大量の物質を輸送している。我々は 2005年から、対馬海峡を通過
する栄養塩量を見積もるための船舶観測を実施してきた。その観測から、栄養塩輸送量の経年変化は極
めて大きく、それは対馬海峡底層に流入する水塊が年によって異なること、そして栄養塩輸送量の変化
は東シナ海上の風の変化と関連していることを明らかにした。このように東シナ海から日本海への物質
輸送量は経年的に変化し、その結果日本海内部での栄養塩環境も変化すると考えられる。対馬海峡を通
過した物質は対馬暖流により移流・拡散される。どのように物質が輸送されるのか理解するためには、
対馬暖流の流路変動を知る必要があるが、対馬暖流の流路については未だ議論が続いている。
本研究では、人工衛星海面高度計データと漂流ブイデータから計算される平均海面流速場と海面高度
計から計算される流速変動場を使い、日本海南西部の海面流速場の季節・経年変化を明らかにすること
を目的とした。
2. 参 加 者
森本昭彦
(名古屋大学地球水循環研究センター)
高橋大介
(名古屋大学地球水循環研究センター)
伊藤雅
(名古屋大学大学院環境学研究科)
柳哲雄
(九州大学応用力学研究所)
3. 研究成果の概要
3-1. 日本海南西部の平均海面流速場
日本海の潮汐・潮流は弱いことが知られているが、
40N
日本海南西部の潮流は対馬暖流と同程度の流速を持
39N
つ。それゆえ、船舶による海洋観測では潮流成分を除
去することが難しく、対馬暖流を捉えることは難しい。
38N
本研究では、時空間に高い分解能を持ち、対馬暖流の
37N
(m)
流路変動を調べることが可能となるデータセットを
作成した。本研究で使用したのは、海面流速の時間変
36N
動成分が観測可能な人工衛星海面高度計のデータと
35N
勾
表層漂流ブイのデータである。海面高度計は 1992年
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.
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以来現在もなお連続的に観測を行っており、このデー
34N
タを使うことで船舶観測にない時空間分解能で海面
33N
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128E 129E .
130E 131E 132E 133E 134E 135E
流速を調べることが可能となる。ただし、対馬暖流
図1.日本海南西部の平均流速場(ベクトル)
の流路変動を調べるためには使用する海面高度計
と平均海面高度場(色)。
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唱
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円
データ期間の平均海面流速分布が必要である。そこで、公開されている漂流ブイデータと、日本海区水
産研究所から提供して頂いた漂流プイデー夕、および海面高度計データを使い、 UchidaandImawaki
(
2
0
0
3
)と同様な方法により、日本海南西海域の平均海面流速を計算した。
計算された平均海面流速を見ると、対馬海峡東水道から流入し日本列島に沿って流れる対馬暖流第一
分枝、対馬海峡西水道から流入し北緯 3
5
.
5度付近で西向きに流れる第二分枝、朝鮮半島に沿って北緯
38度付近まで北上する第三分枝がみられる。また、隠岐の北には北東方向に流れる強い流れが見られる
(図1)。対馬暖流の流路については様々な説があるが、平均海面流速からはいわゆる三分枝説を支持
する結果となった。
3 -2. 日本海南西部の対馬暖流の流路
図 1の平均海面流速場に、海面高度計から
39N
計算した 1992年 .
.
.
.
.
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0
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戸、/ノノ--"ノ/-
\~'-I'I ノノ
面流速時間変動場を足し合わせ、絶対流速場
の連続データを作成した。また、岸近くでは
グリッド化による平滑化のため対馬暖流の
流路を特定しにくいため、海面高度計の軌道
に直交する流速についても、 31 と同様な方
圃
法で平均流速を求め、それに海面高度計デー
タを合成することで絶対流速を計算した。こ
れら 2つのデータセットからそれぞれの月平
均海面流速を計算し、 15c
m
/
s以上の流れが
ある場合を対馬暖流の流軸と定義し、対馬暖
流流路の季節変化を調べた。
グリッドデータおよび軌道直交データか
ら見た日本海南西部の対馬暖流流路の模式
図を図 2に示す。日本海南西海域の対馬暖流
129E
130E
131E
132E
133E
134E
は、平均流速場でみられたように基本的には
三分枝となっている。ただし、北緯 3
5
.
5度
図2
. 日本海南西部の対馬暖流の流路
付近から陸棚縁に沿って流れる第二分枝は
8月にのみ現れた。また、東経 131度より東の陸棚上には 2つの流軸がみられたが、沖側の流軸は第二
分枝が存在しない月にも現れていることから、第一分枝が見島付近で分岐している可能性が示された。
隠岐から北東方向に流れる流れはほとんどの月で見られたが、隠岐を迂囲する流れは 7月のみ現れた。
本研究では、長年議論が続く日本海南西部での対馬暖流の流路を長期間の観測データに基づき始めて
示すことができた。このことは大きな成果であるが、今回使用したデータとは別に 7日毎の絶対海面流
速場のデータセットも作成していることから、今後、この時空間に高い分解能をもっデータを使用し、
平均的な像だけでなく対馬暖流の時空間変動特性を解明していきたい。
よ
句E
00
2
2AO-3
水中ビークル運用のための装備に関する研究
長崎大学・水産学部
1.はじめに
吉村浩
化するので、注意を要する。
近年、海洋観測・調査用の海中ピークノレは、専
・生物付着は破断荷重劣化の大きな要因とはならな
し
、
。
用の母船を必要とする大型の物から、専用の母船
を必要としない小型のものまで数多く作られ、実
-索にアイ加工した場合、破断箇所は索の中央では
用的な段階へと入りつつある。特に、技術者の支
なく、アイ加工時に差しこんだ索の先端付近で切
援を必要とせず、海洋物理の研究者が比較的容易
断することが多い。アイ加工部は索径が太くなる
に海洋観測に使用できる、中、小型のビークルは、
ので、強度が高いと考えるのは間違いである。
専用母船、すなわち専用の母船に装備された投
-索にアイ加工する場合は通常 3、 4回程度の入れ
入・回収装置を持たないため、作業がいっそう困
込みでよいが、滑りやすい材質の場合はは 7、 8
難なものとなる。長崎大学、長崎丸は応用力学研
回程度に増やす必要がある。
究所と共同で長年海洋観測を行っており、応用力
・合成繊維素の伸びは製造法・材質によって大きく
学研究所所有の海中ビークノレ運用の実績を持つ。
異なるため、荷重による大きな伸びが許されない
そこで本研究では、ピークルを損傷することなく、
場合はダイニーマ等の伸びにくい索を使用すべき
波浪中で、安全にピークノレを運用するために必要
である。
な装備について調査・研究を行う。多様な形状の
-荷重を除いた時伸びが戻らないという感覚を合成
ピークルに対応可な装備は、海洋観測・調査に大
繊維素に持つユーザーが多いが、使用前に初期テ
きく貢献するものと考えられる。本年度は、ピー
ンションをかけ、状態を安定させてから使用する
クル投入・回収作業に適した索についての調査、
とそのようなことはない。
母船に必要とされる機器についての調査を実施し、
資料を収集したので報告する。
2
. ピークル投入・回収作業に適した索についての
調査
2. 1 東京製織繊維ロ}プにおける調査
東京製綱繊維ロープではビークルの投入・回収時
に使用される合成繊維索についての調査を行った。
合成繊維索はピークノレ投入・回収時直接海中ピーク
ルにつながれ、ビークルの船体運動による動揺をコ
ントロールするのに重要な役割を果たし、切断・想
定に反する伸びは事故につながる。製造工程を視察
し、合成繊維素の一種であるダイニ}マロープの切
断試験に参加した結果、以下の情報を得ることがで
きた。
-索に繰り返し引っ張り荷重をかけると、繊維が摩
擦等によって劣化し、疲労破断することがあるの
で、注意を要する
0
・破断荷重は静荷重、瞬間的な衝撃荷重がかかって
も同じ荷重である。
F
i
g
.
l ダイニーマロープの破断試験
-索は溶接・溶断時の火の粉、塗料により強度が劣
よ
句E
ハHU
2
. 2 東京製綱堺工場における調査
3
. 母船に必要とされる機器についでの調査
3
. 1 マロールにおける調査
東京製綱堺工場では船上ウインチに使用される
ことが多い、ワイヤについての調査を行った。製造
ピークルの投入・回収時は高度な操船が要求され
工程を視察し、ワイヤの切断試験に参加した結果、
るので、操船用機器についての調査を行い、以下の
以下の情報を得ることができた。
情報を得た
.小型船舶の遠踊操縦用コントローラーには油圧回
0
・ワイヤのかしめ加工と入れ込みワイヤ加工では強
路が使用されている。
度が異なり、かしめ加工が 95%、入れ込み加工が
-油量を調整することで、操縦感覚を変更すること
70%の強度である。
ができる。
・小型船舶の遠隔操縦用コントローラーはクレーン
-並行撚りと交差撚りの違いは内心と外装のワイヤ
の撚り回数が異なることである。
の遠隔操作等、他の機器への応用も可能で、、ビー
・ストランドが多いと接触する面が多くなり縦振動
クル投入・回収現場近くでの機器操作は作業の効
等が少なくなる。
率と安全性を大きく向上するはずである。
・ワイヤが切れる場合は金属疲労が多いので、注意
を要する
-小型船舶の遠隔操縦用コントローラーは 800 トン
0
クラスの船にも適用可能で、ビ}クル投入・回収
・ワイヤを使用中に撚り線が切れる原因は金属疲労
が多いが、荷重の 70----80%でも切れることがある
・キンクはワイヤの強度にあまり関係しないが、キ
0
作業を目視しながらの操船を可能にし、作業効率
と安全性の向上が期待できる。
ンク部で金属疲労を起こしやすくなるため切れる
可能性が高く。
・ワイヤ破断試験の場合、合成繊維索と異なり、端
末加工部分ではなく、ほぼ中央で破断する。
F
i
g
.
4 船舶の各種遠隔操縦用機器
F
i
g
.
2 製造工程視察
F
i
g
.
5 遠隔操縦用機器製造工程視察
4. 研究組織
・研究代表者
吉村浩(長崎大学水産学部教授)
.研究協力者
青島隆、青島隆(長崎大学水産学部准教授)
木下宰、内田淳(長崎大学水産学部助教)
中村昌彦(九州大学応用力学研究所准教授、所
内世話人)
F
i
g
.
3 ワイヤ破断試験
稲田勝(九州大学応用力学研究所
-20-
技術職員)
2
2AO-4
海洋大循環の力学、とくに中深層循環に及ぼす海岸・海底地形の影響に関する研究
北海道大学大学院地球環境科学研究院水田元太
1
. 目的
海洋の中深層の循環は大気による熱塩強制や、中規模擾渦・ロスピー波の非線型作用により形成され、
海岸・海底地形に強く影響される。本研究では理論、観測、数値計算の各分野の研究者が集まり、それ
ぞれの研究結果を持ち寄り、知見をまとめ、中深層循環に対する大局的な理解を得ることを自的とする。
2
. 手法
2010年 1
1月に九州大学応用力学研究所にて研究会を聞き、以下の話題が提供された。各話題につい
て十分な時間を取って発表が行われ、研究者間で活発に議論を行うことにより有効に研究が進められた。
(
l
) r
深層重力流と外洋循環の相互作用 J.
.
.
..
.
.
.木田新一郎 (
J
E
A
M
S
T
E
C地球シミュレータセンター)
(
2
)r
海洋モデ、ノレを用いた歴史実験に見られる南大洋深層循環の変動 J.平原幹俊(気象研海洋研究部)
(
3
)
(
4
)
r
南極底層水の形成に関する最近の知見 J........蓮沼啓一 (海洋総合研究所)
r
沿岸側プール域を伴って海底斜面から離れる亜熱帯西岸境界流:黒潮直進路への示唆J.
.西垣肇
(大分大学教育福祉科学部)
(
5
)
r
東向ジェットとその擾乱に対する海嶺の影響J........水田元太(北大学地球環境)
(
6
) r
海洋モデ、ルにおけるロスピー波の伝播-p
r
e
l
i
m
i
n
a
r
yr
e
s
u
lt
J ..中野英之(気象研海洋研究部)
(
7
) r
P
r
a
n
d
t
l
8
a
t
c
h
e
l
o
r の定理と渦位一様化 J........増田章(九大応力研)
(
8
) r
沿岸のが海洋循環研究勺こおけるパラダイムの変遷について J........磯辺篤彦(愛媛大 C
M
E
S
)
3
. 結果と識論
3
)では南極深層・底層水の形成過程と数十年規模変動について議論がなされた。 (
4
)~ (
6
)
話題(1)~ (
では西岸境界流による中規模擾乱と深層の循環について、これに関連し (
7
)では P
r
a
n
d
l
e
8
a
c
h
e
l
o
rの定
8
)では科学におけるパラダイムの視点から考察がされた。
理について議論がされ、 (
(1)陸棚上の窪みや縁辺海に溜まった高密度水が大洋へ輸送されるしくみには、大きく分けて上流の高
密度水の分布の条件で決まるもの (
h
y
d
r
a
u
l
i
cc
o
n
t
r
o
l
)と、下流の大洋の条件で決まるものの 2種類が
r
u
d
e数が大きいため上流側のしくみが支配的である
知られている。先行研究では、北大西洋の場合は F
と指摘されているが、新たに行った数値実験から南大洋の場合は下流側が影響することが示された。特
に大洋上の風によるエクマン流の収束によって s
h
e
l
fb
r
e
a
kの等密度面が下降し、高密度水の出口の周
囲の水が低密度化すると、高密度水の流出が増えることが示された。
(
2
) 全球海洋モデノレに 1
9
4
8
2
0
0
6年の大気強制を繰り返し与え続ける実験を行ったところ、 W
e
d
d
e
l海に
分散の極大が存在するとしづ結果が得られた。この変動は外力と同じ周期を持ち、全球子午面循環に影
響する。変動のサイクノレは (
a
)南極深層・底層に正の浮力偏差が蓄積し、 (
b
)浮力偏差がある程度以上に
達したときに上下混合が活発化するとともに、潜熱ポリニヤが発生して浮力偏差が解消される、という
Ei
唱
qL
2段階をとる。浮力の蓄積には移流による南極深層水の高温高塩化が寄与する。
(
3
) 南極底層水の形成過程に関するこれまでの観測研究のレピ、ューを行った。南極底層水は幾っか異な
る水塊が混合したものと考えられているがその形成過程は十分には明らかにはされていない。歴史的観
測データによれば南大洋の深層には北大西洋を起源とする高温高塩分の水塊が存在し、周極流によって
移流される過程で徐々に底層へ向かつて広がる。一方、南極大陸沿岸で形成される低温低塩な水塊も底
層水形成に寄与する。最新の係留観測によると、南極沿岸の主な底層水の起源には従来いわれていたウ
エツデ、ノレ海とロス海以外に、ケープダンレー沖のポリニヤが重要で、あることが示唆される。
(
4
) 3層の満解像モデルを用いて理想化された設定において、西岸に沿った斜面が亜熱帯循環における
西岸境界流の流路に与える影響を調べた。西岸境界流は、海底が平坦な場合には岸に沿って流れ、海底
斜面が存在する場合は離岸して沖を通る流路を取った。またモデ、ノレの最下層では中規模擾乱による渦位
の一様化が見られた。このとき海底斜面上で最下層の渦位が一様になるためには、 1層目の流れが海底
斜面の影響を感じて沖寄りの流路を取らなければならないことが示された。
(
5
) 黒潮、湾流の続流はロスピー波の発生源として知られている。理想化された設定で数値実験を行い、
続流が直進する場合、海嶺によって蛇行する場合の 2つについて続流とロスピー波の関係を調べた。ロ
スピー波は、続流が直進する場合は続流の流軸に対し南北対称に伝わるが、蛇行する場合は対称性が崩
れ、続流流軸を横切って伝播する。流軸を横切って伝わる擾乱は最近の深層係留観測でも指摘されてい
る。このときロスピ一波による渦位の収束は蛇行を維持する傾向がある。
(
6
) ロスビー波は海洋中の数 1
0日から数年スケーノレの擾乱の卓越する成分で、あることが知られている。
始めにロスピ一波に関する最近の研究のレピュ}を行った。衛星梅面高度計により測られたの擾乱の伝!
播速度には背景流と海底地形の影響が重要であると指摘されている。一方、擾乱の中でも孤立渦の動き
に着目すると、禍の非線型性の影響も示唆される。次に、高解像度数値シミュレーションの結果を解析
したところ、擾乱の位相速度は中緯度以外では背景流と海底地形の影響だけでは十分に説明される様に
見えないこと、低緯度では孤立渦の移動速度との差が大きいことが示された。
(
7
) 移流拡散方程式の Prandle-8achelorの定理は、海洋の渦位一様化理論の元となる定理として知ら
れている。これは閉じた流線 φに沿って渦度 Cが保存する場合 Cニf(φ)の縮退を解くために弱し、拡散を
考慮するものであるが、問題点もある。特に、流れのよどみ点の扱いに暖昧性があり、拡散係数が空間
非一様な場合に拡張がなされていない。偏微分方程式の解の最大原理を元に問題を再構築すると、
Prandle-8achelorの定理はその特殊な場合に相当し、定理の問題点も解消されることが示された。
(
8
) 科学の発展における「パラダイム j について、最新の沿岸海洋研究を例に考察がなされた。沿岸海
洋研究には 3つのパラダイムの変遷があり、第 1のパラダイムでは海域別に個別の流れ場の記述が行わ
れ、第 2のパラダイムでは海域に依らない普遍的概念として密度流、潮汐などの物理素過程の研究がな
された。しかし、単一の物理素過程では現象の本質を捉え難いことから、最近では第 3のパラダイムと
して、河口域、成層域といった「物理素領域j とでも呼ぶべき概念が提唱されつつある。
qL
白
つ
2
2AO-5
海産ベントス浮遊幼生の輸送過程に関する数値シミュレーション
長崎大学水産学部玉置昭夫
-目的
多くの海産底生無脊椎動物(ベントス)は生活史初期の分散体として浮遊幼生を放出する。ヱスチャリに棲
む+脚甲殻類では、内部陸棚水域に幼生が急速に輸送され、幾つかのゾエア期をそこで過ごし、ポストラーパ
1)水塊の分布構造、
が成体の生息地に逆輸送されるタイプが典型的にみられる。これらの水平輪送経路は、 (
(
2
) 水流の水平面鉛直構造、 (
3
) 幼生の浮遊期間、 (
4
) 幼生の日周・潮汐性の鉛直移動様式により決定される。
2
)と (
4
) については明らかになっているが、 (
1
)と (
3
) についての情報はほとんど得
これまでの研究により、 (
られていない。西九州・天草下島の北西端にある富岡湾の砂質干潟には地下深い巣穴に棲むハルマンスナモ
グリが高密度で生息しており、メタ個体群全体の 70%の個体数を占めていると推定されている。幼生の主成育
1)本種幼生の齢期の進
場所は富岡湾の北 北西方向の水深 6ふー70mの天草灘である。本共同研究では、 (
2
)橘湾の水塊構造と幼生の主成育場所の特性を明らか
行に伴う浮遊期間を室内飼育実験で明らかにする、 (
3
) 以上のすべての知見を踏まえ、幼生輸送に関する数値シミュレーションを実行し、全齢期を通じて
にする、 (
富岡湾に近い内部陸棚水域に幼生が保持され、干潟への回帰を果たす過程を示すことを目的とした。
-調査方法と解析方法
(
1
) 野外におけるハルマンスナモグリ幼生の浮遊期間を推定するため、繁殖期(主に 7-8月)における生,息水
0
2
20Cfこ設定し、食物はゾエア I
深 (2ι-50m)の水温 (
1
9
2
30C)に合わせて室内飼育実験を行った。水温は 2
型ワムシ、ゾエア I
I
I
V期に s
型ワムシとアルテミアを
期にキートセロス(珪藻)と S型ワムシ、ゾエア 1期に s
飽食レベルで与え、毎日 10-20個体の幼生を採取し、齢期の推移を記録した。
(
2
) ハルマンスナモグリ幼生が生育する橘湾から天草灘にかけての水域の水塊構造を調べるため、 7月下旬、
長蝿大学水産学部の練習船「鶴洋丸」に搭載された CTD により、水域全体に配置した 56 地点で得られた水
温・塩分の鉛直分布データの解析を行った。
(
3
) 有明海の湾口部側 1
/
3の水域から橘湾を経て天草灘に至る海域を対象とし、その海岸線に沿って散在す
る砂質干潟のハルマンスナモグリ局所個体群の聞の連結構造を調べるため、潮流計算および粒子追跡モデ
ルを以下の手順にしたがって作成した。 S
t
e
p1
. 塚本・柳 (
2
0
0
2
)の水平二次元モデルを用いて潮汐潮流計算
を行う。 S
t
e
p2
.上記計算結果に基づき、水平二次元の粒子追跡モデルを作成する。 S
t
e
p3
.P
r
i
n
c
e
t
o
nOcean
M
o
d
e
l(POM)を用いて三次元の潮汐潮流計算を行う。 S
t
e
p4
.三次元潮汐潮流の結果をもとに水平二次元粒
子追跡モデルを三次元に拡張する。 S
t
e
p5
.三次元粒子追跡モデルに幼生の平均生患水深、日周・潮汐鉛直
移動様式,各齢期の経過期簡を組み込む。
-結果
(
1
) 幼生の発育期間:放卵雌個体からの幼生の放出は大瀬時の夜間、満潮から下げ潮にかけての 3時間内に
起こった。飼曹実験中、毎日の総個体数に占める各齢期の割合は順調に推移した。隣り合う齢期の 5
0%推移
-V期の各経過日数は 5、5、3
.
5、5、1
0日間と決定された(ゾエア V期の後にはポ
点の経日変化より、ゾエア I
ストラーバ期が来る)。
(
2
) 水柱における水温・塩分・密度の鉛直分布構造に基づき、橘湾は以下の 5つの水域に分けられた。 (
a
)強
混合水域:有明海と橘湾の聞に位置する早崎瀬戸から北西方向に幅 4
.
5km、長さ 1
8kmにわたって延びる水
深 50-100mの水域。強い潮流により密度は鉛直的に均一化されていた。その側方の地点には有明海由来の
高温・低塩分・低密度の表層水と東シナ海(=外海)由来の低温・高塩分・高密度の底層水の貫入がみられ、
b
) 橘湾の北東部に位置する、湾奥部成層化水
密度の鉛直プロファイルに傾斜が生じているところがあった。 (
域:水深 30-40mの平坦部であり、弱い潮流が卓越している。水深 1
0mを境に覇著に密度成層していた。 (
c
)
橘湾の北西部に位置する、中混合水域:水深は 40-50mで、中程度の潮流が車越している。水深 40mまで密
d
) 橘湾の西部から南西部(天草灘)にかけて位置
度は均一化されており、底層には外海水が貫入していた。 (
円
三u
qL
する、内部陸棚水域:水深は 60-80mで、潮流は弱い。水深 20m辺りに水温と塩分の躍層があって密度成層
しているか、表層から緩やかに混合しているかのいずれかであった。どちらの場合でも、水深 40m より深い底
e
) 天草下島周辺の
層には外海水が貫入していた。クロロフィル aの極大層は水深 20-40m に位置していた。 (
水深 30mまでの沿岸水域:水深が浅いため、水柱はよく混合していた。以上の 5水域のうち、幼生の主生息場
d
) である。
所は水域 (
(
3
) 幼生輸送の数値シミュレーションに関しては、現在 Step2までが完了しており、 Step3で使用する POMの
実行に必要な環境データ(水温圃塩分・風速)を取得し、計算領域全体(有明海湾口部 天草灘)への補間プロ
グラムを作成中である。また、三次元粒子追跡モデルの作成にも取りかかっている。
-考察
ハルマンスナモグリ幼生が全齢期を通して生育する場所は内部陸棚水域である水域 (
d
) のみであった。水
a
)と (
c
) は強 中混合域であり、幼生が安定的に一定水深に定位できないため、生育に不適であると考
域 (
b
)と (
e
)
えられる。また、ゾエア期幼生の平均生息水深は 36-44 m であるため、これよりも水深が浅い水域 (
も生育に不適であると考えられる。水域 (
d
) の水柱は、水深 22-24m を境に上部混合層と下部混合層に成
l2
0
1
0
)
.クロロフィル a極大層には幼
層化しており,クロロフィル a極大層もこの水深で観測された (Tamakieta.
生の食物である微小動植物プランクトンが高密度で生息していると考えられる。 25時間の残差流では,東方成
5m を境に上部混合層が北(=沖)向き,下部混合層が南(=富岡
分が水柱全体で東向き,北方成分が水深 2
7%以上の幼生が水深 20-60 m 層に存在しており,潜在的に 1日間で
湾)向きを示していた.昼夜を通して 8
1
.
3 km 富岡湾に向かって輸送(岸向輸送)されうると見積もられた.日没後の上げ潮時に,全ゾエア期の幼生
こ3時間で 1
.
4km向岸輸送されうると克積もられた(選択的潮汐輸送).以上
が共通して急速に上昇し潜在的 l
d
) に最終のゾエ
のような仕組みにより、富岡湾干潟から放出された幼生は、 10-20km北 北西にある水域 (
ア期(ゾエア V 期)まで保持され、それに引き続くポストラーパが干潟に回帰すると推測された。また、ゾエア期
2
10C)では、大潮時の強い下げ潮流に乗って急速に干潟から当該水域ま
幼生の平均生息水深における水温 (
で運ばれた幼生は、ニつ後の大潮時における強い上げ潮流によって干潟まで逆輸送されることが示唆された。
u
j
i
i
eeta
.
l(
2
0
0
6
)によって与えられた結果がある。
ハルマンスナモグリ幼生の輸送シミュレーションについては、 F
しかし、幼生の鉛直移動パタンに関する前提には 3つの大きな誤りがあることが判明した。すなわち、①低水温
の下部混合層に対応した幼生の発育期間を組み込んでいなかったこと、②ゾエア期幼生の鉛直移動パタンに
齢期の進行に伴う変化を取り入れていなかったこと、③潮汐に同調した昇降を取り入れていなかったこと、であ
る本年度の共同研究ではまず、①が特定された。また、幼生の輸送モデルを動かす幾つかの Stepが達成さ
l
れた。今後は、ゾエア幼生の各齢期の経過回数を 3-4 日間から 4-5 日間に延ばすとともに、 Tamaki et a.
(
2
0
1
0
)
で見出された鉛直移動パタンを取り入れた幼生輸送の数値シミュレーションを実行する予定である。
引用文献:
F
u
j
i
i
e,
W
.,T
.Yanagi,
T
.andA
.Tamaki(
2
0
0
6
)Numericalsimulationforl
a
r
v
a
lconnectionnetworko
ftheghost
i
h
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n
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t
r
y
p
a
e
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r
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r
t
i
d
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ls
a
n
d
f
l
a
t
si
nTachibana BayandAriakeSound,
shrimpN
westernKyushu,Japan.LaMer4
4
(
1
)
:6
7
8
4
.
I担坐~ニ, S
.Mandal,
Y
.Agata,
.
1Aoki,T
.Suzuki,H
.Kanehara,
T Aoshima,
Y
.Fukuda,H
.TsukamotoandT
.
ヱ 担 盟i
(
2
0
1
0
)Complexv
e
r
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i
c
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r
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i
o
nQ
fl
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r
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aharmand
,i i
ni
n
n
e
r
s
h
e
l
fwaterso
fwesternKyushu,Japan.E
s
t
u
a
r
i
n
e,CoastalandShelfScience8
6
(
1
)
:1
2
5
1
3
6
.
圃
-研究組織
研究代表者:玉置昭夫、長崎大学水産学部・教授
研究協力者:中野善、長崎大学大学院生産科学研究科・博士後期課程 1年
竹内清治、長崎大学大学院生産科学研究科・博士前期課程 2年
所内世話人:柳哲雄
A斗 A
qL
2
2AO-6
定期旅客船による山口県沖合海域の表層水温観測
山口県水産研究センター渡辺俊輝
目的
山口県水産研究センターでは漁況予報を年 2回程度行っているが、現場の漁業者からは、
より短い期間での予報の実施が要望されている。その実施のためには、本県沖合の短期的
な海況変動のメカニズムを把握することが重要であると位置づけ、山口県萩市とその沖合
の見島を就航する定期旅客船を利用した表層水温のモニタリングを実施している。
本研究では、①萩と見島を結ぶ定期旅客船に水温収録装置を取付けて、航路上での水温
モニタリングを行うこと、また得られたデータの解析によって、②当海域における短期的
な水温変動やそのメカニズムを明らかにすることを目的とする。なお、本研究は、日本海
の海洋研究に総括的に取り組み、かっ山口県沿岸の定置網を利用した海況モニタリングの
実績のある応用力学研究所千手智晴准教授に参加して頂き、共同で実施したものである。
表層水温モニタリングの概要
観測海域および定期旅客船「おにょうず (
2
5
8 トン)J の航路を図 1に示す。設置されて
いる水温計は、古野電気干場~ T
I-20(
分解能 0.010C、
測
定
精
度
:
:
:
I
:
:
:O.20C)である。水温の測
定間隔は 2
"
'
'
3秒に 1回で、航海中のすべての水温・位置情報を記録するように収録装置を
調整している。旅客船の 1日あたりの運行回数は、季節によって 2
"
'
'
4回と異なるが、取得
データから緯度 1分ごとに日平均水温を算出したものを、角事析用のデータセットとして蓄
積している。なお、水温計は機関冷却水の取込口に設置されており、喫水を考慮すると海
面下約 3
"
'
'
却の水温を計測していることになる。
前年に引き続き、収録装置の
不具合による欠測が生じた。
130。
1
3
1
.
1
3
2
.
2010年 1
"
'
'
1
1月 (
3
3
4日間)の
期間で、1/1
"
'
'
1
8
(
1
8日
間
)
, 5/14 35.
"
'
'
2
8(
1
5日
間
)
,7
/
5
"
'
'
8
/
5(
3
2日
M
i
s
h
i
m
e
間)の 65日間のデータが欠測と
¥
なった。これに,船検受検のた
めの欠測期間 (
11
/
4
"
'
2
4(
2
1日
間))を加えると、総計で 8
6日
間ものデータを欠いたことにな
る。今後もこのような状態が継
続すれば、収録装置全体の見直
34
しも考慮せざるを得ない。
図 1 海域函.矢印が旅客船の航路を示す.
Fhu
qL
結果
qJ つ乙勺4 つι
02842085
420
,
2
0
1
0年の水温変動
2
0
1
0年 1
"
'1
1月の水温の緯度
1
一時間断面を図 2に示す。冬季 (
3
4
.
7
3月)には、 3
4
.
50 N付近以南
1
JM
勺
J
長
0年以上、萩沖
センターでは、 4
a斗
水温になった。山口県水産研究
ζ 1 1ιt, 旬 。 旬
ほぼ海域全体で 290C以上の高
フ﹄弓
た。また、 8月中旬 9月上旬に、
凶凸コト一﹂戸︿﹂
に水温フロントが形成されてい
北北西 1
5マイル付近のポイン
トで、水温のモニターを行ってい
3
4
.
4
¥
l
o
v
Jan Feb Mar Apr l
V
la
y Jun J
u
l Aug Sep Oct !
るが、 2
0
1
0年 8月下旬 9月上
2
0
1
0
図 22
0
1
0年における水温の緯度一時間断面図.
旬の各旬平均水温が観測史上の
最高値を記録した。
期間中、総じて 3
4
.
50 N以南の
FREQUAI¥ICY(cpd)
海域では等温線の閉じた領域が多
く、空間的に変動も複雑で、あった。
F
T法によるスベクトノレ
前年に F
解析で水温変動の周期性を調べた
5目
、 7
9日
、 1
6日
ところ、 3
付近の周期帯にエネルギーピーク
ベクトルの時間変動を調べるため
MOD叫
がみられた。そこで、これらのス
0
0
6年 1
2月 2
0
0
8年 7月 (
2
0
に
、2
ヶ月)の資料を用いて、航路上の中
央 (
3
4
.
5
80 N
)でのダイナミック
スベクトルを求めた。計算に用い
るセグメントは、大潮・小潮の数
ヶ月)毎とし、それらを 1
0日ずつ
1
2月および 2
0
0
8年 5月以降の期
間で高いことがわかった(図的 o
目
2
.
0
1
.
5
1
.
0
0
.
5
0
.
0
0
.
5
1
.
0
1
.
5
2
.
0
2
.
5
3
.
。
∞
(
0
.
4
0
c
p
d
)よりも長周期帯のエネ
ノレギーは、 2
0
0
7年 5
7月
、 1
0
-
NCC
.5 日
ずらして計算を行った。 2
25
﹂
包
﹁dpwU豆岱﹁﹀君主一旦
2
8 日(約 4
が同じになるように 1
明
。 U玄白﹃﹀噌﹁豆町凶一司﹂ Zコ﹂豆︾立但的。勺 G2ZO︿
過 去(
2
0
0
7
"
"2
0
0
8年)の水温変動
3
.
0
図 3 ダイナミックスペクト jレ図
pnv
ワ
ム
2
2AO-7
定期旅客船を利用した能畳半島輪島沖での対馬暖涜モニタリング
石川県水産総合センタ一
大慶則之
目的
能登半島東岸では、台風などの気象擾乱の後、沿岸の流れが突然速くなる「急潮現象 Jにより、し
ばしば定置網漁具が大きな被害を被っている。「急潮現象Jは、南西風に伴うエクマン輸送により陸岸
に堆積された沖合暖水の、沿岸捕捉波あるいは沿岸密度流としての伝播と、沖合域での慣性振動が沿
岸域に波及して生じる慣性周期帯の流速変動が重なった現象と理解されている。しかし、能登半島東
岸での現場観測では、気象擾乱との関連性がみられない強流もかなり高い頻度で観測されている。
能登半島周辺は半島沿岸を北上する対馬暖流の影響下にあるが、富山湾には夏季を中心に対馬暖流
沿岸分枝流から分派した流れが表層に流れ込むことが知られている。上述の強流の発生要因として、
対馬暖流水の流れ込みが深く関わる可能性が推察される。そこで、本研究では、対馬暖流水の富山湾
への流れ込みと、能登半島東岸での強流発生とのかかわりを明らかにするとともに、対馬暖流水の流
入をモニタリングする手法を開発することを目的とする。
観灘および観測資料
0
k
mに位置する
能登半島西岸の輪島と、輪島沖約 5
2 トン)で表層
紬倉島を結ぶ定期船ニューへぐら(10
水温の連続観測を実施した。水温データの取得方法
39'00
・
伊
首
38'30
・
とデータセットの作成方法は、前報(平成 2
1年度研
究成果報告書)に述べたとおりである。
本報告では、
観測を開始した 2
0
0
9年 1
0月から 2
0
1
0年 1
2月まで、
約 1年間の表層水温データを用いて水温変動の特徴
を整理した。さらに、水温変動に及ぼす気象要素(舶
倉島の風、輪島の気温)の影響、水温変動と能登半
・
38'00
37'30
・
島東岸沖 (
S
t
a
.1)の流速変動の関連、水温変動と紬倉
島及び輪島の水位変動との関連について検討した。
へぐら航路と観測点の位置を図 lに示した。流速デ
ータは、 S
t
a
.1で 1
0
m層にメモリ一式電磁流速計
L-.l幽」ー」ー」ー」
6
0附 n
(
A
C
M
8
M
)を係留して、 1
0分間隔で連続観測されたデ
ータを用いた。舶倉島の風データは海上保安庁、輪
島の気温データは気象庁、輪島の潮位データは国土
地理院、舶倉島の潮位データは九州大学応用力学研
究所の観測データを使用した。
36'00
・
136'00
・ 136'30・ 136'00' 136'30・
唱37'00' 137'30・
世38'00・
図 1 調査海域図
℃
結果と考察
表層水温の変動
解析期間の日平均水温の変動を図 2に示した。
最高値 (
3
0
.lOC
) は 9月 2日に、最低値 (
9
.9
"
C
)
は
3月 1
1日に認められ、 2
0
1
0年 1
0
"
"
'1
1月は 2
0
0
9
年の同期と比べて水温が高めに推移していること
がわかる。日平均水温から、 3
1日移動平均を除い
て求めた日偏差の緯度一時間ダイアグラムを図 3
-27-
矢印はニューへぐらの航路を示す
1912ω.
1
'
C
に示した。日偏差の変動には、舶倉島側では輪島側と比べて負の偏差が大きく現れる一方、輪島側で
は紬倉島側と比較して正の偏差が大きく現れる傾向が認められた。この傾向が顕著となった 2010年 4
~8 月には、輪島側と紬倉島側で正負の偏差域がほぼ交互に出現する様子がみられた。図 4 には、 2010
年 2~12 月のデータから、輪島側 (37 0 2
7
' )と紬倉島側 (
3
70 5
0
' )における日偏差の変動の卓越周期
9
.
1 目、紬倉島側では 1
5
.
3日に認
を調べた結果を示した。スベクトル密度のピークは、輪島側では 1
められた。
1
0
'
'
l
f
Z
l
水温値盛
1
0
'
i
魁
一---37・5町水遭銅盤
¥ 1¥• ;
,
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骨
日
ー
ミ
ム
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,
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.
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1
旦3
1
9
.
1.
ε
、
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1
0
.
'
10.~ 寸
1
0
.
'
IUL
し巴
SEP
口EC
か
のV
こ
図 3 輪島一紬倉島聞の表面水温日偏差の緯度・時間ダイアグラム
紬倉島の風及び能畳半島東岸沖の流速変動との関連
3
7 2
7
'
へぐら航路上の南北 2地点 (
n
由紬倉島
0
20
及び 3
7 5
0
' )の表層水温偏差の差の変
0
動を、輪島一軸倉島聞の水位偏差の差、紬
矧
頃
倉島の風及び係留観測点 (
S
t
a
.1)の流れ
図 4 表面水温日偏差のスベクトノレ分析結果
NES
W
。
r
s
叫向;
-20~
の変動と対比して図 5に示した。紬倉島
の風は能登半島沿岸でのヱクマン輸送に
1
0
.
'
周波数 (cpd)
JAH
蝋
甘
苦
3
A NA~ !
.
!川中川戸町市叩い
t
a
.1の
深く関与する北東一南西成分、 S
←
一
一
「
・ 80~
流れは卓越流向成分の南北成分で示した。
風、流れ、水位の変動を比較すると、北
東風に対して輪島の水位の相対的低下と
北向きの流れの発生、南西風に対して輪
島の水位の相対的上昇と南向きの流れの
発生が対応する様子がうかがわれる。こ
れらと、水温偏差の差の時系列変動を比
較すると、図 5に点線で示すように、輪
!::;j14~~w
i
戸
島の水位の相対的 k昇に対応して輪島の
水温偏差が相対的に上昇するケースが数
例認められる。これらは、南西風に起因
t
a
.
lの流れ、輪島・鮪倉島の水位差と航路上
図 5 紬倉島の風、 S
南北 2地点の水温差の時系列変動
したエクマン輸送に起因すると考えられ
る。能登半島先端から舶倉島近傍を通過する観測線では、調査船による定期的な ADCP観測が行われ流
況データが蓄積されている。今後は、これらの ADCP観測データから、能登半島
舶倉島聞の流れの構
造や流量の変動を整理して、表層水温にみられる周期変動の発生機構を検討し、対馬暖流水の勢力指
標となる現象の抽出を試みたい。
ワ
ム
。
。
2
2AO-8
対馬海峡東水道における海洋環境変動
水産大学校海洋生産管理学科滝川哲太郎
1.目的
対馬海峡は東シナ海と日本海をつなぐ唯一の水路であり,対馬暖流は,東シナ海から対馬海峡を経て
日本海に流入する.特に,夏季の対馬海峡には,中国大陸の長江起源の.淡水が多量に流入する(例えば,
Senjyue
ta
l
.,2
0
1
0
)
. 本研究では,対馬海峡の中でも日本本土に近い東水道を通過する海水特性と時間
変動を把握するために,東水道を横断する 3観測点において,水温・塩分の連続測定を実施した.また,
今年度の観測結果の一例として,局地的な風と水温・塩分変動との関係について報告する.
2
.観測
対馬海峡東水道をほぼ東西に横断する 3観測点(美津島,沖ノ島,蓋井島)に水温・塩分計を設置し,
1時間間隔で表層の水温と塩分を測定した(図1).美津島と蓋井島の水温・塩分計は,ピストン式ワイ
パーで電気伝導度センサーを測定毎に自動清掃できる JFEアドパンテック社製の Compact-CTWまた
e
a
B
i
r
d社製の水温・塩分計 SBE37
・
SM(
生物付着防止ア
は INFINITY-CTWを使用し,沖ノ島には, S
タッチメント付)を設置した.各測点における観測期間は以下の通りである.
美津島 2
0
1
0
/
0
5
/
2
514:00~ 2
0
1
0
/
1
1
1
1
01
3
:
0
0
Compact-CTW
沖ノ島 2
0
1
0
/
0
6
/
1
6
SBE37
・
SM
蓋井島 2
0
1
0
/
0
4
/
1
61
1
:
0
0~ 2
0
1
0
/
1
1
/
1
8
1
0
:
0
0
INFINITY-CTW
観測期間は東シナ海から移流されてくる大陸起源の低塩分水を捉えることを念頭に,夏季を中心に実施
した.蓋井島と美津島については漁業用定置網に,沖ノ島については海底からブイを立ち上げ,それぞ
れ 4~5m 深に計測機器を設置した.沖ノ島では, 2
011年 2月現在も計測中である.また,蓋井島の
水温・塩分計の回収時に,ピストン式ワイパーが停止しており,伝導度センサーの内外部に多くの生物
が付着していた.
3
.結果と考察
美津島・蓋井島で得られた水温・塩分の時系列を図 2に示す. 6月 26日以降,蓋井島の塩分は正常
な値を示さなかった.この頃から,ピストン式ワイパ}が停止していたことが考えられる.美津島の水
温と塩分の計測は成功し,春から夏にかけて水温上昇,塩分低下を示した.美津島・蓋井島ともに, 8
月中旬に,一旦,水温が低下した. 2測点の水温極大は 8月の上旬と下旬に観測され,それらの毎時水
温は,美津島で 2
9
.
2
80C(8月 8 日
)
と 2
9
.
2
00C(8月 22日),蓋井島で 28.
4
80C(8月 3日)と 29.
4
00C(8月
22日)を示した美津島では, 7月 1
3日に急激な塩分低下が観測された(毎時の塩分極小値:2
6
.
6
0
)
.ま
た,美津島の塩分変動は,水温変動と相反し, 8月下旬に極小となり, 8月 27日に毎時データで極小塩
分3
0
.
3
2を記録した.
美津島では, 7月 1
1日と 8月 1
1日に,顕著な水温低下と塩分上昇が観測された(図 3
)
. 7月の塩分上
昇の前に, - E
,塩分が急激に低下していた. 8月 1
1日には,台風 4号が対馬海峡を通過しており(図
4
),美津島では, 10m8. 1 以上の南~西南西風が 1 日以上吹き続けていた(図的 • 7月 1
1日には,低気
圧が対馬海峡を通過し,台風通過時(
8月日日)と比べ風速は小さいが, 1
0m 8.1程度の南南西
南西風
ハ同 d
qL
が連吹していた.美津島の位置する対馬の海岸線を左手に見て,岸に平行な南西風が連吹することによ
って,沖向きエクマン輸送が生じる.このエクマン流を補償するために,下層から低温・高塩分水が上
昇したことが考えられる.
129
1
3
1
130
国圃値
.闘闘剛町
湖周剛・町
え
圃嗣順
圃圃鳳
3~
白
石
"
e
R
3
1 ;
.
.
r
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ミ
2
9
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千
.
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3
4
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や~
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'Ir;,....,....
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叶
行
j
ド;;
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日
川
:
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〆
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)
1
.
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'
t・"‘戸
y'、~
6
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剖 圃
L_
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.
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3
1
ぷ
5
3
也......
.
3'
,
.
,
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r
S
a
図2
:美津島(上段),蓋井島(下段)における水温.
1
3
0
.
2010年).
塩分の時系列(包
1
1
1
'
食
図1
:美津島,沖ノ島,蓋井島の位置(
0
)
.等値線
は海底地形を表す(等値線間隔:50m).
ぷ
ど
府も
議
会
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0.
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F
句
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図a:美津島の水温・塩分(上段)と風(下段)の時系
図4
:2010年 7月 1
1日と 8月 1
1日の天気図(気象
列.気象庁発表のアメダスの風データを使用した.
庁)
4
.研究組織
研究代表者
水産大学校
滝川!哲太郎
所内世話人
九州大学応用力学研究所
千手智晴
研究協力者
福間県水産海洋技術センター
松井繁明
υ
円、
n
u
2
2AO-9
海洋環境モニタリングのためのグライダー型海中ロボットの研究開発
大阪府立大学・大学院工学研究科有馬正和
口研究目的
本研究の目的は,海洋環境のモニタリングを行うためのグライダー型海中ロボットの自律
制御シスラムを確立することである。研究代表者らは,広範囲の海洋環境モニタリングや
海洋探査に利用するための水中グライダーの実用化を目指して,高い運動性能を発揮する
ニとのできる「主翼独立制御型水中グライダー Jの実験機 ALEXを開発した。 ALEXには,
水中での静止や後退,垂直降下,スパイラル回転をしながらの浮主/潜降,主翼による
翼動推進などの高い運動性能のあることが実証されている。
中深層における海洋環境をモニタリング
するために開発を進めているグライダー型
海中ロボット
SOARER(
F
i
g
.I)には実海域
での高度な自律性が求められるので,その
自律制御システムを確立するためには,深海
水槽における多岐に亘る基礎データの
収集・解析が必要不可欠である。研究代表者
らの所属する大阪府立大学の船舶試験水槽
.5m) は
,
(長さ×幅×深さ:70mX3mX1
水中グライダーの性能評価を行うには幅と
F
i
g
.
l 主翼独立制御型水中グライダー
SOARER
水深が不十分であり,九州大学・応用力学
研究所の深海機器力学実験水槽(長さ×幅
×深さ:65mX5mX7m) を使用させていただくことが本研究の進展に最も有効であると
判断した。同研究所・海洋大気力学部門・海洋流体工学分野は,海中ピークルの運動制御
に関する研究において優れた実績があり,水中グライダーの研究をされている九州大学
大学院工学研究院・山口悟准教授との情報交換によって,本研究の飛躍的な進展が図れる
と考えたことも共同利用研究の目的のひとつである。
本年度は,
SOARER用に新しく開発した制御
基板の妥当性・有効性を検証するために,
九州工業大学で研究開発された自律型水中
ロボット
Da
巧r
a
B
i
r
d(
F
i
g
.
2
) の水槽試験を
行い,制御アルゴリズムの検討を行う。この
D
a
r
y
a
B
i
r
dは
, 5機の水中スラスターと重心
移動機構を備え,水中を自在に運動すること
F
i
g
.
2 自律型水中ロボット D
a
r
y
a
B
i
r
d
ができるようになっている。
Ei
唱
円台U
口実験方法
1
. DaryaBird の動作確認をした後,深海機器力学実験水槽において,翼車式流速計の
校正を行う。流速計の深度が約 30cmになるように DaryaBirdを曳引台車に固定して,
一定速度で曳航する。曳引速度を系統的に変化させて,翼車式流速計を校正する。
2. 水中グライダーの運動を想定した潜入と浮上を繰り返し,そのときの加速度,深度,
前進速度(対水速度)を計測する。潜入・浮上角を系統的に変化させて実験を行う。
3
. さらに,水槽側面の観測窓から DaryaBirdの潜航の様子をビデオカメラに録画して,
機体姿勢角や潜入・浮上角などを観測する。
口実験結果
実 施 日 : 平 成 23年 3 月 25 日(金) '
"
'
"
'
3
0 日(水)
参加者:有馬正和(大阪府立大学),石井和男,竹光考昭,石川謙太,福田一貴,
馬場正延(以上,九州工業大学)
実験内容
DaryaBirdの動作確認をして翼車式流速計の校正を行うときに浸水が発生した。
分解して原因を調べたところ,耐圧容器の締め付け部が破損していることが判明した。
修復を試みたが,耐圧性能を確保することができず,日程の関係で実験遂行を断念した。
しかし,九州大学応用力学研究所および大阪府立大学で開発を進めている水中グライダー
について意見交換を行い,貴重なアドバイスをいただくことができた。
口研究成果報告
M.
Ar
ima,K
.I
s
h
i
i,A.A.F
.N
a
s
s
i
r
e
i
:ConceptDesigno
fanOcean-GoingUnderwater
r
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c
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fTechno-Ocean201
O
,
G
l
i
d
e
rwithIndependentlyC
o
n
t
r
o
l
l
a
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. (印刷中)
口研究組織(教員のみ)
氏名
所
属
役割・担当分野
職名
大阪府立大学・
代表者・総括,システム計画
准教授
大学院工学研究科
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九州工業大学・
石井和男
准教授
水中ロボットの自律制御
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生命体工学研究科
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九州大学・応用力学研究所
准教授
所内世話人
中村昌彦
有馬正和
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2AO-l0
若狭湾の海洋モニタリングにむけた基礎研究
福井県立大学海洋生物資源学部兼田淳史
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【研究の目的】
3側
の
る若狭湾は、地域の水産業にとって重要な海域であ
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ズワイガニ、イカ、プリなどの好漁場が形成され
る。その海洋環境は、最近になって大型クラゲの漂
着や、漁獲される魚種に変化が生じるなど、今まで建問
には見られなかった現象が発生するようになった。
これらの現象は水産業に大きな影響を与えること
3側
もあり、海洋の環境やそのモニタリングに対する関
心は高まりつつある。本研究の目的は、若狭湾の海
3伊国 τ τ τ 1 - i
詑
洋環境を左右する現象を見いだし、今後の海洋モニ
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タリングに生かすことである。
函 1 若狭湾および周辺海域:等値線は水深を示して
いる。越前海岸に面した臨巣では、水温・塩分計を設
置した。一方で、若狭湾奥から沖合にかけての定線
観測(図中の直線)のデータを収集・解析した。
この研究を進めるには、水産業と関連の深い“地
域"の環境だけでなく、クラゲ問題や温暖化などに
関連する“広域"の環境にも目を向ける必要がある。
そこで、白本海研究を先駆的に展開している九州大学応用力学研究所(所内世話人:千手智晴准教授)
および当海域で観測を実施している福井県水産試験場(担当:瀬戸久武氏)と連携して研究を進めた。
前年度までの研究では若狭湾で実施されていた水温連続観測データを解析した。今年度は知見の少ない
塩分に着目して観測およびデータの解析を行った。
【観測および解析データ]
水温・塩分の連続観測は、 2
010年 4月 四 日 か ら 1
1月 25日まで越前海岸に面する鷹巣(図1)で実
施した。福井県水試の調査船「若潮丸 j を用いて定置網近傍に観測用プイを投入し、ブイ直下の海面下
10mに水温・塩分計を設置して 1時間ごとに計測を行った。一方で、若狭湾からその沖合における観測
データを収集した。福井県水産試験場は若狭湾からその沖合にかけての観測線(図 1の直線)で定期的
に CTDを用いて海面から海底までの水温と塩分を計測し、その観測データは紙媒体やデジタノレデータ
に保存している。本研究では 1986 年から 2010 年までに実施された基準層 (Om~300m 層の計 12 層)
上
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のデータを整理し、月ごとの平均的な断面構造の
30
変化について調べた。
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、 7月から 8月上旬までに約 2
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ら次第に高くなり 8月末に最高水温を迎えた後、
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図 2には、 2
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一時的な急低下を伴いながら次第に低下した。塩分
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して最高水温の約 30"Cまで到達し、 9月中旬以降は、
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担
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50
の時間変化をみると、 4月から 6月末にかけて短い
時間スケーノレの変動はあるものの 34程度で推移し
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た。しかし、 7月から 8月上旬までに急激に 32程度 :
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まで低下し、 9月上旬まで 32 -3
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日
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。 9月中旬に更に一時的な低塩分化が生じ、その
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∞分
3塩
後は再び 32.5 程度でまで戻った後、緩やかに高塩
0
分化した。
図 3には、若狭湾から沖合にかけて(図 1の直線)
50
の 6、8、 10月の 1986-2010年の平均水温、塩分
く
〉
1
。
日
の断面図を示している。 6月の海面付近の平均水温、
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平均塩分は、それぞれ 1
80C、34程度である。水温
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は水平、鉛直方向に差があるものの、塩分の差は小
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さい。 8月になると表層は高温・低塩分水で覆われ
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成層は一段と強くなり、そのとき表層の平均水温、
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3
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3
3
.0程度になる。 1
0月
平均塩分は 26-270C、3
頃になると、表層付近は混合され、海面下 50m付近
図 3 若狭湾奥から沖合にかけて(図 1)
の 6月(左)、 8
月(中央)、 10月(右)の平均水温、平均塩分の断面図
の水温、塩分の差は小さくなり、それぞれの値は
1
80C、 33.25程度となる。
2010年の時系列(図 2)と平均的な季節変化(図 3) を比較すると、 2010年 8月は平年より低塩分の
傾向があるものの、全体的には水温、塩分ともに一般的な季節変動をしていたといえる。ここで、 2010
年の時系列で確認された(1) 6-8月にかけての低塩分化、 (
2
)9月中旬の低塩分化、 (
3
)1
0月頃の高塩
分化について、それぞれ考察を行う。(1)6-8月にかけての低塩分化は、他の年にも発生しているのだ
ろうか。平均水温、平均塩分の断面図(図 3) の 6月から 8月の変化に着目すると、上層では高温化と
2
0
0
8
)が対
ともに低塩分化しており、との季節に例年発生している現象と推察される。最近、千手ほか (
馬海峡の水温、塩分変動を調べた結果や、本研究の広域の塩分分布の解析の結果(図省略)から、この
低塩分化は福井県周辺における淡水供給だけではなく、中国大陸付近の河川│水が希釈された海水が海水
の本海域へ到達したことによって生じたと推察される。また、低塩分化後、同程度の塩分濃度がしばら
く維持されたことから、本海域への高温・低塩分水の流入は本海域の成層期の海況を左右する現象と考
2
)の 9月中旬の一時的な低塩分化は、 9月 81
3噴に台風 9号が通過したこ
えてよさそうである。また、 (
とに伴う一時的な低塩分化であると考えられた。そして、 (
3
)の 9月以降の緩やかな低温・高塩分化は、
図 3の 8月から 1
0月にかけての変化から、秋季の冷却に伴う表層水と下層水の混合や淡水供給量が夏
季より減少することが要因となって引き起こされると考えられた。
一連の解析を通して、若狭湾の環境を左右する現象に関する新たな知見を得ることができた。今後の
若狭湾の漁海況調査およびその体制の整備作業で有効に生かしたいと考えている。最後に、観測にご協
力頂いた福井県水産試験場の調査船「若潮丸J
、鷹巣定置組合の皆様に厚くお礼申し上げる。
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海洋窒素循環に関する研究
自然科学系先端融合研究環
内海域環境教育研究センター
林
神戸大学
美鶴
1. 目的
海洋の基礎生産にとって重要な栄養塩として窒素やリンが挙げられる o これらの物質は海洋中で、
プランクトンなどの有機態や、イオン(硝酸やリン酸など)で無機態として存在する。さらに窒素は
リンと異なり、気体としても存在する。これまで海水中の窒素循環過程において、気体としての窒素
は十分に評価されてこなかった。しかし気体の中には地球温暖化ガスの一種である一酸化二窒素が含
まれており、例えば淀川河口の海水中一酸化二窒素濃度は、海底堆積物中の脱窒に加え、海水中での
硝化により生成されて、外洋深層と同程度で高濃度であり、これが直接大気に放出されていることが
明らかになっている。沿岸海域の面積は小さいため、地球温暖化の議論において沿岸海域からの温暖
化ガス放出は十分に議論されて来なかった。しかしより精度の高い温暖化予測を行うためには、沿岸
海域での温暖化ガスの挙動を正しく把握する必要がある。
本研究では、大気・海水一酸化二窒素濃度を海洋で測定し、海洋中の循環過程と大気との交換量を
明らかにする o
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測定結果
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観測は、神戸大学海事科学部所属練習船「深江丸」
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lに各観測で得られた大気・海水中 N2
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度の統計量を示す。各項目の標準偏差から、大気中
濃度はいずれの観測でも変化が小さく時空間的に
安定している一方、海水中濃度は変動幅が大きかった。特に 6月の大阪湾内では海水中濃度が 224.
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'
525.
2ppbと大きく変動した。 Fig.2に 2010年 8月に観測した大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸の海水中 N2
0濃
度と塩分の相関図を示す。図中に大阪湾での近似直線とその式及び相関係数を示した。大阪湾では塩分
の変化に対して海水中濃度は負の相関を示すが、その他の海域では相闘が見られない。このような関係
性は過去に行った観測でも確認されている。大阪湾奥部は淀川等の河川水流入の影響を強く受けている
ため、湾奥ほど低塩分低である。塩分は生化学的に変化しない保存物質であるため、塩分の変化に対し
て海水中 N20濃度が一意に変化するということは、 N20濃度が水平的な海水の混合に影響を強く受けて
いることを示唆している。
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. 研究成果報告
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・林美鶴、阪本健太郎、大屋充生、野崎伸夫、長谷
川雅俊、岩谷先哲、山本茂広:深江キャンパスにお
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ける一酸化二窒素濃度と一般気象要素の常時観測、
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神戸大学大学院海事科学研究科紀要第 7号
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変動、 2010年度 R本海洋学会秋季大会、北海道、
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内海と四国南岸における大気・海洋聞の N20 の交
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換に関する研究、 2010年度目本海洋学会秋季大会、
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. 海水中 N20濃度と塩分の相関
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2010年度日本海洋学会春季大会、東京、 2010.
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-大屋充生、阪本健太郎、林美鶴、山下栄次:沿岸域における大気・海水中 N20 濃度の時空間変動、
2009年度海洋気象学会第 2回例会、神戸、 2010ユ
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5. 研究組織
代表者:林美鶴
所属:神戸大学自然科学系先端融合研究環内海域環境教育研究センタ一
役職:准教授
担当:観測
分担者:山下英次
所属:岡山理科大学技術科学研究所
役職:教授
担当:観測
分担者:柳哲雄
所属:九州大学応用力学研究所
役職:教授
担当:観測結果評価
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2AO-12
流体工学的手法による絶滅遊泳性腿虫類の生体復元
東北大学学術資源研究公開センター
西弘嗣
背景および目的
遊泳性の動物のなかには,ペンギン類のように浮力を利用して水中を“滑空"するものがいる.これら
動物のグライダ」としての力学的性質を評価することで,それらの行動の選択肢を特定したり,生態の
違いを明確にしたりすることが可能となる.中生代(約 2億 5100万 "
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6
5
5
0万年前)の海洋には,非常
に多様な形態の腿虫類が生息していたことが知られ,その中には水中グライダーとして運動していたと
予想される動物もいる.このような生物の多様性は,水中を移動する機械の様々なデザインが試されて
いたものとも解釈できる.本研究では,絶滅した遊泳性腿虫類の一例として長頚竜類を対象とし,その
流体力学的な性質を模型実験により評価した.
方法
長頚竜類の体型を模したソリッドモデ、ルを静水中で曳航し,それに作用する流体力を測定した.曳航
体の設計にあたり,まず長頚竜類の体型に関する網羅的な調査を行い,端的な形態である 2種を選んだ.
模型の形状は,回転体の胴体に二対の水平翼を備えるものとし,それぞれの生物種の骨格の寸法に基づ
き決定した.一方は,胴体の翼より前方部分が長く突出する形状で全長 2.1mとし,もう一方の胴体は
短く1.7mとした.翼はいずれも翼型 NACA0020で,前翼の翼幅は 0.8mとした(図1).
曳航試験には深海機器力学実験水槽を利用し,抵抗試験,
トリム角変更試験,翼の迎角変更試験,ヒ
ープとピッチに関する強制動揺試験を行った.模型に内蔵した分力計により, 3自由度の縦運動に関す
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るダンピング力および付加質量力を測定じた.一連の実験において R
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.
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3
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.
1
0とした.
に強制動揺試験における S
結果および考察
ここでは胴体の長い模型の挙動についてまとめる.まず,前方投影面積による抗力係数は約 0
.
1
9
0で
ある.揚力は主に翼に生じ,それぞれの重心からの距離の違いのため,ピッチモ」メントは後翼の迎角
が前翼の角の 2
.
9
2倍程度でゼロとなる.失速角は前後の翼とも::1:10程度であり,全機の最大揚抗比は
0
3.
4
2である.また,縦運動の擾乱に対しては安定である.
機体軸の方向に滑空する場合を想定すると,水中滑空時のトリム角は,翼の失速角による制限により
潜行時には 1
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0,浮上時には 1
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"
"
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9
0 となる.流体力が速度の自乗に比例することから,滑空速度
0
0
s
,
は浮力と重力の差に従属する.例えば浮力を 5 %程度変えられるものとすると,トリム角 90度で 2.4m/
).
それより浅い角度ではより小さい速度となる(図 2
長頚竜類は肺呼吸をする動物であるが,その食性や病理学的研究から潜水して泥底をさらう行動をと
っていたと考えられる.潜水時間の制約からは,トリム角を 90度とすれば最速で潜水・浮上できるが,
水平方向の移動を行う場合には,その速さや方位がその速度は自身の体型により制約されることとなる.
円台U
i
円
今後の研究においては,体型と行動の選択肢がどのように対応するかについて,さらなる研究が望ま
れる.
研究組織
西弘嗣
(研究代表者,東北大学学術資源研究公開センター)
中村昌彦
(所内世話人,九州大学応用力学研究所)
望月直
(研究協力者,東北大学大学院理学研究科)
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図 1:曳航体の平面図.上:時d
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図 2:滑空速度と潜行または浮上に要する時間.速度は
としたモデル;下:B
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i闘を参考としたモデ
トリム角 α (実線)と浮力の栢対変化(破線)に依存す
ル(本年度設計・制作) .
m) での値.
る.両軸とも元スケール(全長 8.
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2
2AO 1
3
化学的トレーザーを用いた北部東シナ海の水塊構造解析
富山大学大学院理工学研究部張勤
目的
東シナ海は広大な大陸棚を持つ縁辺海であり,沿岸海洋における物質循環のメカニズム・動態や入為
起源物質による縁辺海の海洋環境への影響など「沿岸一外洋間Jの相互作用に関する研究の格好なフィ
ーノレドである。しかし,東シナ海への栄養塩の供給は,黒潮水・長江希釈水などの沿岸水・南シナ海起
源水など大変複雑な系からなっており,時空間的に栄養塩供給の動態を正確に把握するためには,水塊
を特徴づけることが可能な酸素同位体組成や希土類元素(隠E) 濃度等のマルチプル化学的トレーサー
が有用である。これちの化学的トレーサーは敏感に水塊区分ができる反面,短時間・広範囲調査による
議論への展開には不向きであり,係留系等で得られるような時系列を捉える観測への応用が難しい。そ
こで昨年度より,従来の塩分・水温・栄養塩等のルーチン的分析と,酸素同位体組成やREE
濃度の計測
に加え,漂流プイ観測の結果と組み合わせ,より詳細な水塊解析とその変動の解明を目的とする本共同
研究を開始した。その結果,化学海洋学・物理海洋学の両面から理解を深めることができ,季節変化と
鉛直流の詳細など更なる研究課題も見出されており,今年度引き続き九州大学応用力学研究所と共同で
調査研究を行った。
研究の方法
a
)
.化学的トレーサーを用いて東シナ海と黄海の境界面における詳細な水塊解析とその変動を把握し,
東シナ海の環境を支配する栄養塩の供給動態を精査し, b
)
.表層堆積物・間隙水試料と同時に懸濁粒子
の採取も試み,海底起源栄養塩と海水中栄養塩分布との関連を明らかにした。
結果及び考察
試料採取地点は下記に示している。紫三角は 1
9
9
6年,黒丸は 2
0
0
4年,青枠で囲った測線は 2
0
0
8年
,
赤い四角は 2
0
0
9年にそれぞれ観測・採取したものである。図 2は海水試料の塩分一水温ダイヤグラム
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図1.試料採取地点位置図
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畢
1
2
円台U
ハ同U
を示し, 1996年と 2008年の海水試料は左下側にプロットされ,明らかに低水温・低塩分・低酸素の水
塊の特徴を示している。また,これら海水の pH
と DO・硝酸濃度の鉛直分布は(図 3
),水深 20
25
'
"
'
'
3
0
mあたりで pH・溶存酸素濃度ともに低くな
s
る一方,硝酸が最大値を示した。更に,高い N/P
比,高い希土類元素濃度と負の酸素同位体比な
20
どの化学特性を持つことや,長江河口域と東シ
ナ海沿岸域の海底地形の特徴に合わせて,これ
らの水塊は沿岸域の長江旧河道河口付近の海底
15~
~
から移流してきた,陸水成分の混入があった海
3
.
5
底湧水の可能性が示唆された。
東シナ海北東部陸棚に広く分布する低酸素水
10
29
3
30
31
32
33
34
35
がしばしば観測され,海底からの地下水との関
連が指摘されるのは本研究がはじめてである。
図2
. 塩分/水温/溶存酸素(カラー)と水塊構造
2
3
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図3
. 低水温・低塩分・低酸素海水の DO・pH・硝酸の鉛直分布図
これらの結果は,従来報告された長江旧河道や古海洋地質学に関する報文からも支持される。今後,
異なる栄養塩類の供給源やそれらの輸送状況の観点から,これら低酸素海水の時空間的分布と動態をモ
ニタリングしていきたい。
成果報告
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Workshop,
張勤,角皆潤,化学的トレーサから見た東シナ海陸棚域の栄養塩供給状況 I
I
:大気からの栄養塩の寄与;
柏麗麗,張勤,松野健,化学的トレーサから見た東シナ海陸棚域の栄養塩供給状況 1:海底湧水による栄養
塩の寄与状況,名古屋大学地球水循環研究センター共同研究集会, 6月,名古屋
Zhang
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-40-
2
2AO-14
海中ピークノレおよびその曳航体に働く流体力に関する研究
独立行政法人海洋研究開発機構海洋工学センター
先端技術研究プログラム
百留忠洋
津隆雄
研究目的:
海中において無人機を機敏に動作させるためには、機体の流体抵抗や構造を考慮した基
盤技術が必要になる。また、流体抵抗を少なくした機体形状にすることにより、動力源や
推進システムのコンパクト化や無人機の高機動性にもつながり、最終的には機体システム
全体の軽量化を実現できる可能性がある。そこで機体に働く流体力や曳航体、アクチュエ
ーターが発生する流体力を試作模型による水槽試験で計測し、機体設計にフィードパック
する。
方法:
.3m、幅約1.3m、高さ約1.0m、空中重量約 1
0
0
k
g
海底調査用ソナーを搭載した長さ約 2
の中性浮力曳航体(図1)を曳航台車により曳航し、曳航体の姿勢をそれに搭載した姿勢
計測装置で計測した。曳航速度は.0
.
5、1.0、1.5
k
tの三速度とし、それぞれの速度におい
て波浪をした場合と無い場合を計測した。その結果1.5
k
tの曳航速度において、曳航体の
yawと p
i
t
c
hに振動(図 2
) が確認された。この振動は波浪の有無にかかわらず発生し、
i
t
c
hの周期が異なっていることなどから、曳航体に加わる流体力を外力、曳
また yawと p
航索の牽引力を復元力とした自励振動と推測された。そこで垂直翼を大型化するとともに
水平翼を追加したととろ、振動振幅を大幅に抑制させることに成功し、実海域試験におけ
る曳航体の安定性を十分に確保することができた。
図 2 取得姿勢データ例
図 l 中性浮力曳航体
成果報告:
日本船舶海洋工学会
平成 2
3年春期講演会
タイトル:中性浮力曳航体の水槽および実海域における曳航実験
-4
1
2
2AO-15
環境調査用多機能海中ロボットに関する研究
佐世保工業高等専門学校電気電子工学科長嶋豊
1. 目 的
を用いて伝送した。操縦者は映像とセンサデータを見
地球温暖化の影響により海洋環境の悪化が進み、閉
ながらコントロールできるように、新たに制御基板を
鎖性海域では夏期に貧酸素海域が発生して、赤潮や青
設計・製作した。本研究では当初押ボタン式簡易コン
潮が多発している。更に藻場が消滅して磯焼けも深刻
トローラを試作したが、ボタンの接触不良等信頼性
さを増してきた。そこで、本研究では、これまで海中
に問題があったので、パソコンのキーボードを用い
の映像や、水温、電気伝導度、 p H,クロロフィル等
た多機能型コントローラを開発し、速度制御等のき
の様々な環境データ測定が個別に行われていた点を改
めの細かい操縦が出来るようになった。
善し、作業効率の向上を図るために、多機能な海中ロ
表 l 主要諸元
ボットの開発をめざした。具体的には以下の内容につ
直径
│州mm]
I
2
2
0
[
m
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n
]
空中質量
│叫凶
全長
いて研究に取組んだ。
(
1
)2スラスタ型水中ロボット傾斜機構を小型、高速動
作できるように改善し、航行評価実験を行う。
最大潜航深度
(
2
)環境調査制御基板を設計・製作し、機能評価実験を
行う。
(
3
)海中ロボット用字幕化基板を設計・製作し、性能評
価実験を行う。
(4)操縦者支援用ロボット簡易地図作成システムを作
成し、性能評価実験を行う。
(
5
) パリベックプロペラ型水中ロボットに傾斜機構を
図 1 外観写真
取付け、ヒープ動作の改善と評価実験を行う。
ロボットシステム開発後、本校大型無響水槽や貴学
深海機器力学実験水槽及び大村湾や水中洞窟である岩
戸洞にて評価実験を行ったので報告する。
2. 環 境 調 査 用 小 型 海 中 口 ポ ッ ト シ ス テ ム 構 成
環境調査での映像撮影及び環境データ収集を目的と
図 2 システム構成図
したため、僅体は透明アクリル製で、設計・製作した。
更に、海底付近の航行時には底質を巻上げてしまうと
調査が中断されるために、本ロボットでは 2個の水中
3. 実験結果及び考察
スラスタと重心移動機構を組み合わせることで 3次元
(1)ロボット傾斜機構の改善と性能評価
の航行ができるように工夫した。主要諸元を表 1に示
スラスタを極限まで削減したために、重心移動機構
し、その外観写真を図 1に示す。カメラは前、後、下
が必要となったが、ラダーチェーンスプロケット式
の 3箇所に取付け、電子コンパス、深度センサ、音響
からステッピングモータ直結式ボーノレネジと錘から構
ソナーを搭載した。特に、進路方位、ロボット傾斜角、
成することで、ロボットを前後方向にスムーズに傾斜
深度データは、新たに開発した字幕化基板に取込み、
0度の水
させることが可能となった。水槽実験後、約 5
映像上にスーパーインポーズできるようにして、調査
中洞窟内での航行が実現した。ピッチ角が 47度を示し
の効率化を図った。本ロボットは基本的には遠隔操縦
て航行している実験写真を図 3に示す。赤色線は視界
型として図 2のようなシステムを構成した。制御系、
の悪い洞窟内での操縦支援をするために使用している
データ系及び映像系信号を 3チャンネル同軸ケーブル
シートレーザが写っているものであるロ
'U
A斗 A
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これによりオベレ}タがより直感的に操縦を行えるよ
うになった。
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一
、
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細 川
図 3 水中洞窟内での航行写真
"
"
乏
トポットの糊料簡易幽を作成│
(
2
)環境調査制御基板の設計・製作と性能評価
毘護霊了
環境調査時には海中のあらゆる方向の映像が必要と
なるために、 5チャンネノレ映像入力と切換回路、 2個の
l 平日必居輝君手砦罰法
l
水中スラスタ及び環境調査用モータを制御できる 3チ
ャンネルのモータ駆動制御及び重心移動用ステッピン
図 6 操縦者支援用簡易地図作成システム
グモータ駆動回路を組込んだ。センサデータは PSoCマ
(
5
) パリベックプロペラ型ロボットビープ動作改善
イコンを用いて方位、ピッチ角、ローノレ角、温度、深
本研究で開発した重心移動機構をパリベックプロペ
度、ソナーデータを抽出して信号伝送できる基板を新
ラ型水中ロボットの潜航、浮上動作を改善するために
規に開発して、水槽実験、実海域実験及び水中洞窟実
取り付けたが、重心移動機構のストローク不足とロボ
験を行い良好な結果が得られたロ図 4に本研究で製作
ット長や重量の関係から、わずかの傾斜しか得られず
した制御基板及び字幕化基板を示す。
に、動作改善には至らなかった。
(
3
)字幕化基板の設計・製作と性能評価
4. 結 論
環境調査を行う場合、航行中のロボットの進路方位、
本年度は映像撮影のみならず、多機能な環境調査が
ピッチ角やロー/レ角、時刻、深度、及び環境データを
操縦額面上に字幕化する基板を設計・製作した。水中
可能となる海中ロボットシステムの開発に取組んだ。
洞窟でのセンサデータ字幕表示例を図 5に示す。
その結果、 2個の水中スラスタと重心移動機構により 3
次元航行が可能な海中ロボットを開発でき底質を巻上
げないことが判った。今後の課題のとして、重心移動
によるチルト機構のストロークを長くして、潜航・浮
上性能の改善、ソナーによる洞窟内壁形状計測システ
ムの試作、ロボット潜航軌跡を高精度グラフィック表
図 4 制御基板及び字幕化基板
示するソフトの改善等が挙げられる。
最後に,本研究を推進するにあたり、九州大学応用
力学研究所中村昌彦准教授には有益なご助言やご指導
を頂きました、更に、水槽実験では稲田勝技術職員に
たいへんお世話になりました深く感謝いたします。
図 5 センサデータ字幕表示例
5
. 研究組織
(4)操縦者支援用ロボット簡易地図作成システム
・研究代表者.長嶋豊,佐世保高専電気電子工学科教授
.研究協力者:下尾治正,同校電気電子工学科助教
遠隔操縦をする場合は、ロボットの姿勢や航行進路
などがイメージできると緊張を強いられるオベレータ
-同上:山口卓哉,佐世保高専専攻科 2年
にとって負担軽減になる。本研究ではそうした問題を
・向上:山口拓朗,佐世保高専専攻科 1年
解決する手段として、画像上でリアルタイムにデータ
・向上:浅田優紀,佐世保高専電気電子工学科 5年
を確認できるだけでなく、ロボットの軌跡や、調査対
.向上:川田駿血,佐世保高専電気電子工学科 5年
象の全体的な構造を簡易的に作成する目的で、図 6に
.所内世話人:中村昌彦,九州大学応力研准教授
示す操縦者支援用簡易地図作成システムを開発した。
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2
2AO-16
フェリーニューカメリアを利用した対馬海峡のクロロフィル変動に関する研究 N
o
.
2
名古屋大学地球水循環研究センター
石坂丞二
目的
対馬海峡は東シナ海と日本海をつなぐ海峡であり、最近東シナ海の環境変化に伴って、
赤潮やエチゼンクラゲなどの問題がすでに起こっており、また長江に三峡ダムが建設され
るなど、今後の環境変化も予想される。九州大学応用力学研究所では、博多と釜山聞を運
航するフェリーニューカメリアで流速、水温・塩分、クロロフィル蛍光などのモニタリン
グ、を行なっており、すでに数年分のデータが蓄積されている。この中でもクロロフィル蛍
光は、生物海洋学的なデータであり、東シナ海の環境変化の指標になる可能性がある。そ
こで、本研究では、フェリーニューカメリアで取得されたクロロフィノレ蛍光データに関し
て、その変動要因について明らかにする。特に今年度は 2
0
0
6年 7月の台風によるイベント
と考えられるクロロフィルの増加に着目した。
方法
博多・釜山間の定期フェリー「ニューかめりあ」、長崎大学、韓国海洋データセンタ (
K
O
D
C
)
による 2
0
0
6年 7月の水温、塩分、クロロフィル蛍光、クロロフィノレ a濃度の東シナ海及び
対馬海峡の現場データを用いた。また、人工衛星A
Q
U
A(
M
O
D
I
S
) の2
0
0
6
年 7月の水温、クロ
ロフィノレaの衛星画像や現場データと比較した。人工衛星のクロロフィノレaはフェリーで観
測されたクロロフィノレa濃度で、校正した。
結果・考察
2
0
0
6
年 7月のフェリーデータによると、 7月中旬から下旬にかけてクロロフィルaが高く、
水温が低く、塩分の高い水塊が観測されていた。低水温、高塩分であることから 8月に見
られる長江希釈水の影響とは異なると考えられた。このイベントに先立つた 7月日一 1
5日の
A
Q
U
A(
M
O
D
I
S
)の水温とクロロフィノレaの衛星画像によると、済州島の南西から南にかけて、
低水温の水塊が見られ、クロロフィノレaはその周辺で高かった。特にクロロフィルaでは、
済州島の南東と対馬の西側にクロロフィノレaの高い水塊が観測されていた。対馬海流を考え
ると、これらの水塊は 7月 1
8日と 2
5日にフェリーで観測された高クロロフィノレ、低水温の
水塊と対応すると考えられた。済州島南の低水温・高クロロフィノレの水塊は、西海区水産
研究所陽光丸でも観測されていた。この時の水温構造は、この場所の水温が東側と比較し
て90mの海底から全体的に低くなっていたことがわかった。 7月9日から 10日にかけて、済
州島周辺では台風E
W
I
N
I
A
Rが北上し、ここで台風による湧昇、混合によって低水温となって
いることが、済州島大学校のIl J
uM
o
o
n
博士によって明らかとなっている。さらに、 M
o
o
n
博士のモデ、/レによると、この低水温水塊は対馬海流によって、対馬海峡に流入しているこ
4
4-
とが明らかとなった。以上のように、済州島周辺を通過した台風によって、黄海低層冷水
が湧昇あるいは混合し、表層に栄養塩が供給されて植物プランクトンが増殖し、この低水
温・高クロロフィノレの水塊が、対馬海峡まで輸送されたことを示唆している。今後は、こ
の台風の通過によって、植物プランクトンが増加するた、け充分な時間があったのか、栄養
塩の供給量は十分だったのか、増加した植物プランクトンが高濃度のまま対馬海峡に到達
することが可能なのかなど、明らかにしなければならない。
研究成果報告
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研究組織
別紙参照
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2AO-17
マニピュレータを有する自律型水中ロボットによる物体把持に関する研究
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九州工業大学大学院生命体工学研究科 K戸l
概要
海洋における科学調査や水中構造物の建設・管理,汚染物質の流出防止,サルベージ作業の補助等,水中
機器に対する期待は非常に大きい.特に自律型水中ロボット (AUV) に着目すると,複数の AUVを用いた
広範囲観測調査網への展開や海中からの不審者侵入の監視等,様々な活躍の場が存在する.上記の需要を満
たすには,ロボット本体の開発のみならず水中作業を行うためのマニピュレータ開発が重要となる.
水中マニピュレータを用いた作業として,水中生物のサンプリングや水中構造物の建材の運搬やパルプの
開閉,遭難者の確保,水中ステーションへのドッキング等が考えられる.本研究は,水中マニピュレータの
開発及びロボットへの搭載と水中物体把持への水中ロボットの適用可能性を検証することを目的とする.
研究背景
海洋における科学調査や水中構造物の建設・管理、海難事故における人命救出・汚染物質の流出防止、サ
ルベージ作業の補助等、水中機器・水中ロポットに対する期待は非常に大きい。科学的な見地からも、巨大
なバイオマスを有しながら未発見の生物種であったアーキア発見にみられるような新たな生物/遺伝子の発
見や原始地球環境の解明等、海洋のメカニズムの解明できれば地球物理学・生物学への寄与が非常に大きい。
また,日本は海に固まれており,海運・漁業・マヲンレジャーなどの分野にわたり多種多様な活動が行われ
ている.そのため,ひとたび衝突や転覆などの船舶事故,遊泳中の漂流や岸壁からの海中転落などが発生す
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0件発生しており,平成 2
0年の死者・行
れば,かけがいのない命が失われる.海難事故は毎年約 1
4
4
1人にも達する [
1
]
.
方不明者は 1
その環境情報プロープである水中ロボットの開発は、日本では東京大学生産技術海中工学研究センターや
JAMSTEC等の限られた研究機関において精力的に研究開発が進められているが、北米や欧州に比べ少なく
,
圧倒的に研究の裾野が小さい。自律型水中ロボット (AUV) の開発により、科学的な調査活動に加え、複数
の AUVを用いた広範囲観測調査網の構築や海中からの不審者侵入の監視等、様々な活躍の場が期待される。
2D4は、インド洋沖やグアム沖において海底火山からのプルームの
東大生研・浦らによって開発された r
撮影に成功している。 Woodshole海洋研究所の ABEは中央海嶺の地場測定等に成功しており、 AUVの有効
性を示した。これらは海洋科学に大きく貢献しているが、大水深に潜航できるが規模が大きく手軽に運用で
きるロボットではない。マニピュレータを AUV実機に搭載した研究例は Yuhや滞らごく少数であり、マニ
ピュレータの自由度も少ない。シミュレーションによる研究でも、動特性や軌道制御を論じたものが大多数
であり、マニピュレータを用いた具体的なミッションは今後の課題となっている。
著者らは、これまで研究者が手軽に使用できる小型軽量の水中ロボットの実現を目指して、水中ロボット
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1
)[
2
]及び水中マニピュレータ [
3
]を開発してきた。また、水中ロボットへのマニピュレー
タ搭載や動特性の変化、環境変化に適応可能な制御システムを提案してきた。
本研究では、これらを発展させ、実海域において水中作業が可能な水中マニピュレータの開発及び自律型
ロボットへの搭載に関して報告する。ここでは水中作業として、図 2のコンセプトに示したように海浜域の水
難事故を想定し、水中マニピュレ}タはある程度大きな物体(長さ 1 m程度)の把持が可能な機構とする。
水中ロポット及びマニピュレータ
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dは(i)2人による揚収が可能、
図 1の D
ω高い保守性や管理性、(出)カメラ映像による広い視
覚範囲の確保、の 3つのコンセプトに基づき開発したす水中ロボットである。マニピュレータの作業は器用
-4
6
さを追求する指先把持と、把握の頑丈さを追求する包み込み把握に分類することができる。指先把持とは指
先のみで対象物に接触する方法である。これに対して包み込み把握とは手のひら全体で対象物に接触する方
法で、関節個々にかかる負荷が減ることにより、アクチュエータへの負担が軽減する。救助用マニピュレー
タが把持する対象は人であるため、対象を傷つけずに安全に把持しなければならない。したがって把持力を
制御できる必要があり、加えて一部分に過剰な把持力がかからないことが必要である。また、水中で作業す
る機械はアクチュエータ数に比例して水密箇所が増大するため、複雑化する。そのためアクチュエータ数は
少ない方が望ましい。把持力を制御するにはアクチュエータのトルク制御を行うなどして把持圧力を適当に
調整する方法が考えられる。また、一部分に過剰な把持力をかけないためには対象に与える把持力を分散さ
せる必要があり、ハンド部に弾性体をつけ、材質的な柔らかさに頼る方法が考えられる。対象に対して均等
に力を分散させるには対象の形状に合わせて変化し、全体で均等な力によって把持する必要がある。
開発したマニピュレータのモデルを F
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.
3,試作機を Fig.4に示す.マニピュレータはモータ・ベルト・プ
ーリからなり、モータに画定されたベルトはプーリに順々に巻かれ、最後にアーム先端に固定されている。
根元のモータが回転してベルトを巻き取ると、モータとアーム先端聞のベルトの距離が短くなり、アームが
動作する。特徴として,
(j)物体の形状に合わせて把持が可能、白)マニピュレータを伸長させた状態で均一
な把持力を実現、(iii)2つのアクチュエータで 9関節のアームを 3つ駆動可能、等が挙げられる。
おわりに
本研究では、水難救助を想定し、マニピュレータを有する自律型水中ロボットを開発した。現在,水中ロ
ボットへマニピュレータを搭載し,制御実験をすすめている。
参考文献
[
1
]平成 20年海難の現況と対策について,海上保安庁ホ}ムページ
2]YuE
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o9、 2007
[
3
]石塚誠、石井和男:マニピュレータを搭載した水中ロボットの開発一動作シミュレーションとモジュール構造設計に基
づく水中マニピュレータの開発・設計一、日本船舶海洋工学会論文集、
V
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o 35-43、 2007
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2AO-18
地形上を伝播する非線形内部波の挙動の数値解析的研究
研究代表者鹿児島大学大学院理工学研究科
柿沼太郎
研究の目的
辻・及川らは, 2層流休における弱非線形・弱分散モデ、ノl
ノを用いて孤立波の 2次元相互作用
の数値解析を行ない,初期の孤立波の振幅の 4倍を超えるような新しい波の生成が起こり得る
ことを示した.しかしながら,波の非線形性・分散性が共に強い内部波に対しでもそのような
結果が得られるかどうかは,不明である.更に,底面地形が空間的に変化している場合の内部
波の非線形挙動に関しては,未解明な点が多い.そこで,柿沼が導出した変分法による方程式
系に基づく数値モデルを適用し,内部波の非線形性・分散性を十分に考慮して,底面地形の影
響を受けながら伝播する内部波の 1次元,または, 2次元的挙動を数値解析的に研究する.強
非線形数値モデルのベースを開発してきた柿沼・中山グ、ノレーフ。と辻・及川グループ。とが協力し
て,この問題の解明にあたろうとするのが,本共同研究の目的である.
過去の共同研究において,まず,平成 1
9年度に,計算手法の検討及び l次元波動を対象とし
た数値モデノレの開発を行なった.次に,平成 20年度に,平面 2次元問題を対象とした数値モデ
ルを開発した.そして,平成 21"
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2
2年度において,孤立波解を初期条件として数値モデルに導
入し,潜堤や斜面上を伝播する内部波の数値解析を行なう.
研究の方法
e
e
fや bump等を含む地形上を進行する内部波を対象とし,次の各事項を目的
具体的には, r
として研究を進める.
(1)初期値に解析解を用いることができない有限振幅波に対して,柿沼の方法に沿った初期デ
ータの与え方を確立する.
(
2
) 柿沼の方法では,鉛直分布関数を適切に選択する必要があるが,各地形特性に応じて精度
よく効率的に計算を進められるような分布関数を見出す.
(
3
) 各種底面地形と,内部波の挙動との関係について,数値解析を通して調べる.その際に,
内部波の伝播に伴う界面波形と流速の変化を追跡し,内部波の非線形性及び分散性に依存
する伝播特性を明らかにする.
(
4
) 条件によっては,完全な E
u
l
e
r方程式の代わりに,高次の非線形項を取り入れた簡単化した
方程式を用いて議論できる可能性がある.この理論的アプローチも試みる.
これらの各段階において,数値解析や理論式に関する仕事を分担し,計画の遂行にあたる.
全メンバが直接会う機会を持ち,議論を行なう.
主要な成果
本研究の主要な結論は,次の通りである.
(1)速度ポテンシャルの鉛直分布を鉛直座標 zのべき,すなわち, 1,
z及び dの,重み付き級数
で表わす.このとき ,Z2までのべき級数を用いれば, 3次オーダの内部孤立波解を初期条件
として与え,数値解析により孤立波の安定した伝播を再現できる.
-4
8
(
2
) 上・下層の層厚比が大きく,波め非線形性が強い場合,孤立波の振幅が下層厚の 5 % 程 度
であれば,上・下層の密度差が大きい場合でも, 3 次オーダの孤立波解は,良好な解であ
る.しかしながら,振幅が下層厚さの 30%程度であると, 3次オーダの孤立波解は,初期
条件としての適用性に問題がある.他方,上・下層の層厚比が大きく,波の非線形性が弱
い場合,振幅が下層厚の 5 % 程度であれば, 3次オーダの孤立波解は,良好な解である.
(
3
) 3次オーダの孤立波解は, KdV理論解と比較して,尖りが抑えられることが確認された.
(
4
) 界面が c
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lを横切るような初期条件を与えた場合,波の後方より高周波の内部波
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l以下に落ち着く.
が発生し,その後,振幅が c
(
5
) 固定水平板で挟まれた 2層流体と,自由水面を有する 2層流体とを対象として,表面波,
または,内部波の計算結果と実験結果を比較した.相対的に深い水域を伝播する分散的な
内部波に対しても,本数値モデ、ルによる水面変動並びに界面変動の再現性が高かった.
(
6
) 斜面上を進行する内部波では,内部波の谷が c
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lに達した後,分裂波が発生し,波
高が増大する.流速が急激な変化を示す地点が存在し,この地点が,数値モデ、ルの精度に
応じて示される内部波の砕波点と考えられる.なお,内部進行波の砕波限界には,線形理
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zの不安定との関係性が見られなかった.
論による K
(7)内部波が鉛直壁に衝突する場合,相対波高が大きい条件では,内部波が最大振幅を示した
後,界面の法線方向における界面の移動速度と水粒子の速度成分との不一致,すなわち,
界面における運動学的境界条件の破綻が生じ,内部重複波の砕波が発生する.
(
8
) 平面 2次元の現象を対象とした数値モデルにおいて, 3次オーダの内部孤立波解を初期条
t
e
mの発生を確認した.
件として与える場合の手法及び境界条件を改良し, s
なお,及川により記述された 3次オ}ダの内部孤立波解には,大振幅の内部孤立波のみなら
ず,台形に近い界面形の内部波も含まれている可能性がある.今後,これらの内部波に関して,
より詳細な解の検討が必要である.また,その結果を平面 2次元の数値解析に応用し,内部波
の干渉による振幅の増大や,新たな内部波の発生等の検討を行ないたい.
研究成果報告
2
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1
0
)
: 潜堤上における非線形内部波の伝播特性,非線形波動現
柿沼太郎・山下啓・中山恵介 (
象の数理と応用,京都大学数理解析研究所講究録, pp.206・2
11
.
2
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)
: 内部ソリトン波の 3次オーダ解に
中山恵介・柿沼太郎・及川正行・辻英一・丸谷靖幸 (
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No.1
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よる再現性の検討,土木学会論文集 B2 (海岸工学) ,Vol
山下啓・柿沼太郎・中山恵介・及川正行・辻英一・西川学 (
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)
: 深水域や砕波点近傍にお
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No.1
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ける非線形内部波の挙動,土木学会論文集 B2 (海岸工学) ,Vol
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組織
研究代表者 柿沼太郎(鹿児島大学大学院理工学研究科)
研究協力者 中山恵介(北見工業大学社会環境工学科)
研究協力者 及川正行(福岡工業大学知能機械工学科)
所内世話人辻英一(九州大学応用力学研究所)
-49-
2
2AO-19
海洋乱流の観測および、モデリング研究
東京大学大学院理学系研究科教授
日比谷紀之
地球温暖化や海洋酸性化など、環境変化に果たす海洋の役割は大きい。その役割を正しく
評価し、今後を精度よく予測するために、海洋モデ、ルや大気海洋結合モデ、ルの高精度化が取
り組まれている。しかし、十分な予測信頼性を得るには至っていなし、。海面境界過程や混合
過程にかかわる海洋乱流現象が十分に解明されていないことが、その原因の一つである。
本研究課題では、海洋乱流の観測やモデリングなどじ携わる研究者が集い、互いの知識や
疑問点を共有し、海洋乱流現象の理解を深めるとともに、今後の研究の展開を模索すること
を主眼として、 8月 20 日から 22 日にかけて、久住研修所で研究会を開催した。プログラム
の詳細は最後に掲載するとおりである。講演内容は海洋大循環に寄与する海洋深層での乱流
混合から、沿岸域での水質改善をもたらす乱流混合まで、幅広い分野にわたった。
最初のセッションでは、海洋深層大循環に寄与する乱流混合に関する話題提供が 2件なさ
れた。現状の深層大循環を維持するのに必要とされる鉛直拡散係数が観測されないという問
題は、海洋学の大問題の一つで、ある。これに関して日比谷は、内部波の不安定共鳴により、
深層での乱流混合や鉛直拡散係数には緯度依存性があること、従来の見積もりは過小評価す
る傾向があること、拡散係数が高い海域で観測を行い、より正確な見積もりを行ったこと、
などが報告された。また新たに見積もられた鉛直拡散係数の値は、最新の潮汐モデ、ルによる
シミュレーションとも整合的であることが、丹羽により紹介された。しかし、そのような高
精度評価を行っても、従来予想されている拡散係数よりは小さい。日比谷や丹羽は、深層大
循環のエネルギーバランスを再考すれば、必要とされる拡散係数は観測される値と同程度で
済むことを指摘した。
次のセッションでは、乱流混合の観測に関する話題提供が 5件、乱流の統計理論に関する
話題提供が 1件なされた。安田は千島列島海域における乱流混合の観測とその影響について
報告し、クリル海峡で、の強い潮流に伴う鉛直混合が海水の渦位変化を引き起こし、北太平洋
の海洋循環強度を変化させうることを示した。特に、月の公転軌道の変動に伴う 18.6年周
期の潮汐変動が、北太平洋の水塊に見られる約 20年周期の変動と関連している可能性が高
いことを指摘した。北出は、南極周辺の大陸棚で重くなった海水が大陸棚上を沈降する際に
発生する乱流混合の観測を行い、その発生要因とそれが沈降する海水と周囲の海水との混合
にどの程度寄与するかについて報告した。勝又は、オーストラリア北西陸棚縁辺域での観測
結果を紹介し、大きな内部潮汐波が観測されたこと、その内部波に伴う乱流混合が周辺の水
質構造を変化させる可能性があることを指摘し、現在その観測について取り組んでいる旨の
報告がなされた。吉川は、東シナ海陸棚上に設置された流速計データから、海底エクマン境
界層における渦粘性係数や渦拡散係数の鉛直構造を評価する取り組みについて紹介した。ま
た堤は、有明海における海底境界層で詳細な観測を行い、潮汐や密度構造と海底境界層での
乱流混合に関する評価と、それらが貧酸素水塊の発生・消滅にどのように関連しているのか
について考察した。伊賀ほ二次元乱流に着目し、その混合の程度とエントロピーの関連を議
論した。
最後のセッションでは、乱流混合のモデリングに関する話題提供が 3件なされた。まず大
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気境界層における最新のモデリング事情について新野から話題提供がなされ、海洋でも広く
使われている乱流モデルを改良し大気大循環モテ、ルに適用することで、大きな改善がなされ
た旨の報告がなされた。古市は、幾つかの乱流混合モデ、ルを海洋表層に適用し、ラージエデ
ィシミュレーション模型と比較することでそのパフォーマンスについて調べた結果を報告
した。和方は、大陸棚上の乱流混合のラージエディシミュレーションに関する取り組みを紹
介し、地球自転軸の傾きが乱流混合に影響を及ぼしうるという興味深い結果を示した。
以上の話題提供とその後に行われた活発な質疑応答や議論を踏まえて、(1)海洋中の乱
流混合現象は海洋大循環など広範囲な現象に影響を及ぼすことの再確認、(2) 海洋循環や
海洋構造の高精度予測のためには既存のパラメタリゼーションの検証・改良が必要であるこ
と、(3)そのためにも現場の観測データが特に必要であること、などが確認され、今後の
研究の方向性を考える上で、非常に有意義で、あった。海洋乱流のコミュニティーを形成・維持
するためにも、このような集会は有効であり、来年度も継続して進めることも確認された。
一一一一一一一一一一一一一一一一一 プログラム 一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一
置セッション 1 (
8月 20日 1
6
:
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0-1
8
:
0
0
)
乱流混合の理論と観測
ーグローパルな観点からー
1
6
:
0
0 -1
7
:
0
0深海乱流に関する理論的・観測的研究
日比谷紀之(東大院・理)
1
7
:
0
0 -1
8
:
0
0 グローバルな内部潮汐波エネルギーの見積もり
丹羽淑博(東大院・理)
8月 2
1日 1
0
:
0
0-1
7
:
0
0
)
圃セッション 11 (
乱流混合の理論・観測
-現場観測を中心に1
0:
00 - 1
1
:00 千島列島海域での潮汐混合と海洋長期変動におけるその役割について
安田一郎(東大大気海洋研)
1
1:
0
0 -1
2
:00南極陸棚縁辺域における乱流観測の結果から
北出裕二郎(東京海洋大)
1
3
:
0
0 -1
4
:
0
0オーストラリア北西陸棚縁辺域での内部潮汐波の観測
勝又勝郎(海洋研究開発機構)
1
4
:
0
0 -1
5
:
0
0東シナ海陸棚縁辺域における海底境界層の観測
吉川裕(九大応力研)
1
5
:
0
0 -1
6
:
0
0 ジェットからできる渦列の統計理論的解析
伊賀啓太(東大大気海洋研)
1
6
:
0
0 -17:00有明海海底境界層における乱流運動エネルギー生成率の推定
堤英輔(九大総理工)
8月 2
2日 9:00- 1
2
:
0
0
)
・セッション 11 1 (
乱流混合の理論・観測
ーモデリングを中心に9:00 -1
0
:
0
0 大気境界層の乱流モデリング、の問題点について
新野宏(東大大気海洋研)
1
0:
00 -1
1
:00海洋表層混合層の乱流モデリング
古市尚基(東大院・理)
1
1
:
0
0 -12:00海底境界層の LargeEddySimulation
和方吉信(九大応力研)
11ム
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2AO-S1
沿岸海域の物質循環と環境保全
広島大学大学院生物圏科学研究科
橋本俊砲
1. 目的
瀬戸内海をはじめとする沿岸海域は豊富な水産資源に恵まれた海域であり,この水産資
源の持続的生産を実現することは重要な課題である.水産資源の持続的生産のためには,
水産生物の生育環境とともに植物プランクトンの光合成からはじまる低次生産構造を定量
的に把握することが重用である.このような観点から,本研究集会では,低次生産構造の
定量的把握,低次生産を支える栄養塩供給機構の解明,低次生産における干潟の役割とい
った物質循環過程に関して,物理・生物・化学といった様々な分野の研究者により研究発表
と討論を行うことを目的としている.さらに,生態系モデル,大気中のガス濃度測定,地
下水解析といった最先端の研究を行っている研究者の協力を得て,瀬戸内海を中心とした
沿岸海域の低次生態系をめぐる物質循環と環境保全に関する現状の問題点や今後の課題に
ついて総合的に議論を行うことを目的とした.
2. 研 究 集 会 の 概 要
日時 2 0 1 0年 1 2月 14 日 (火) 1 3 00'"'-'15 日 (水) 1 2 0 0
場 所 : 九 州 大 学 応 用 力 学 研 究 所 西 棟 6階 多 目 的 研 究 交 流 室 W 6 0 1
発 表 者 : 林 美鶴(神戸大学海事科学研究科)
大屋充生(神戸大学海事科学研究科)
阪本健太郎(神戸大学海事科学研究科)
山下栄次(岡山理科大学技術研)
藤 井 直 紀 ( 愛 媛 大 CMES)
郭 新 宇 ( 愛 媛 大 CMES)
驚 藤 光 代 ( 愛 媛 大 CMES)
演田建一郎(北九州市立大学アクア研究センター)
徳永貴久(西海区水産研究所)
鬼塚剛(中央水研)
小野寺真一(広島大学大学院総合科学研究科)
石井大輔(九大応力研)
谷本照己(産業総合研究所)
帰山秀樹(西海区水産研究所)
児玉真史(中央水研)
一見和彦(香川大学農学部)
山口一岩(香川大学農学部)
小森田智大(熊本県立大学環境共生学部)
吉 江 直 樹 ( 愛 媛 大 CMES)
発 表 プ ロ グ ラ ム を 資 料 1に掲載した.
3. 研 究 成 果
発 表 会 の 様 子 ( 写 真 ) を 資 料 2に , 要 旨 の 一 部 を 資 料 3に 掲 載 し た . 研 究 集 会 で は , 関
係 者 を 含 め て 約 50名 の 参 加 が あ り , 今 後 の 沿 岸 海 域 の 低 次 生 産 を め ぐ る 物 質 循 環 と 環 境
保全についての問題点や課題について活発な議論がなされた.
白
つFhd
資料 1.研究集会プログラム
日時 :2010年 12月 14日(火) 13:00......2010年 12月 15日〈水) 12 :0 0
場所:九州大学応用力学研究所西棟 6階 多目的研究交流室 W601
第 1日 2010年 12月 14日(火)
01.淀川河口における植物プランクトン濃度の短周期変動
1
3
:
0
0-1
3
:
2
0
林美鶴(神戸大)・樽谷賢治(瀬戸内海区水研)・オ胡桃子(神戸大)
0
2
. 沿岸域における N20の大気・海洋間 F
l
u
x
1
3
:
2
0-1
3
:
4
0
大屋充生・阪本健太郎・林美鶴(神戸大)・山下栄次(岡山理科大)
0
3
. 沿岸域における大気・海水中 N20濃度の時空間変動
1
3
:
4
0-1
4
:
0
0
阪本健太郎・大屋充生・林美鶴・山下栄次(岡理大)
0
4
. 瀬戸内海・四国南岸における C(h濃度の変動
1
4
:
0
0-1
4
:
2
0
山下栄次・江園真幸・渡辺真士(岡山理科大学技術研)
0
5
. 瀬戸内海の遡及的データを用いたクラゲ類発生の解明
1
4
:
2
0-1
4
:
4
0
藤井直紀(愛媛大 C
肥s
)
0
6
.I
n
f
l
u
e
n
四 o
fc
r
o
s
s
s
h
e
l
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a
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t
r
i
e
n
t
sa
n
dp
h
y
t
o
p
l
a
r
まt
o
n
1
4
:
5
0-1
5
:1
0
ノ
i
nt
h
eE
a
s
tC
h
i
n
aS
e
a
:amodels
t
u
d
y
郭 新 宇 ( 愛 媛 大 幅S
) ・趣亮(中国海洋大学海洋環境学部)
0
7
. 燈灘南西部の成層期における地下水寄与の推定
1
5
:
1
0-1
5
:
3
0
驚藤光代・郭新字(愛媛大仰E
S
) 他 3名
0
8
. 洞海湾における栄養塩濃度の減少と懸濁粒子の C
:
N
:
P比の変化
1
5
:
3
0-1
5
:
5
0
演田建一郎・上田直子(北九州市立大学アクア研究センター)他 3名
0
9
. 有明海湾奥西部海域における酸素消費の現地実験
1
5
:
5
0-1
6
:
1
0
徳永貴久・木元克員Ij (西海区水産研究所)
1
0
. 八代海における C
h
a
t
t
o
n
e
l
l
aa
n
t
i
q
u
a赤潮の時空間変動
16:10-16:30
鬼塚剛・青木一弘・清水学(中央水研)他 7名
1
1.巨大不潟における地下水湧出及び栄養塩流出特性ー愛媛県加茂川河口干潟の伊ト 1
6
:
3
0-1
6
:
5
0
小野寺真一(広島大)・脊藤光代(溺愛大)他 3名
1
2
. 博多湾奥部における長期連続観測
0
9
:
1
0-0
9
:
3
0
石井大輔・柳哲雄・丸林賢次(九大応力研)他 3名
L
第 2日 2010月 12月 15日(水)
1
3
. 沿岸域物質循環回復のための里海創生実験
0
9
:
3
0-0
9
:
5
0
谷本照己(産業技術総合研究所)
1
4
. カキ礁を形成するカキ類の殻開閉リズムと干出ー売財リズムの関係
0
9
:5
0-1
0
:1
0
帰山秀樹・鈴木健吾・徳永貴久・木元克則・小谷祐一(西海区水産研究所)
1
5
. 安定同位体比からみた和白干潟におけるマクロベントスの生息環境
1
0
:
1
0-1
0
:
3
0
児玉真史(中央水研)・山崎明香・池田宜弘・山田真知子(福女大人環)
1
6
. 河口干潟の物質収支
1
0
:
4
0-1
1
:
0
0
一見和彦(香川大学農学部)
1
7
. 東剖瀬戸内海の表層堆積物における生物起源珪素の分布
1
1
:
0
0-1
1
:
2
0
山口一岩(香川大農)・三好慶典(愛媛大院理工)他 4名
1
8
. 伊予灘の栄養塩動態(物質循環)について
1
1:
2
0-1
1
:4
0
小森田智大(熊本県立大学環境共生学部)
1
9
. 西剖瀬戸内海における植物プランクトン群集構造の時空間変化
1
1:
4
0-1
2
:0
0
吉江直樹・藤井直紀・郭新宇(愛媛大畑S
) ・I
J森田智大(熊本県立大)
円
三U
Fhu
資料
2
. 研究集会の様子
第 1日
2010年 12月 14日(火)
職鞠勘九
川斗 A
Fhd
淀川河口における植物プランクトン濃度の短周期変動
林美鶴・木村桃子(神戸大)
樽谷賢治(瀬戸内海区水研)
の変化と一致している。また、栄養塩の窒素 (
N
)、リン (p)、
珪素 (
S
i
)比と、栄養塩濃度と半飽和定数の関係を調べた。 NIP
比から、期間中は常に P律速であり、 S
iIP比から 7月 2 日
i律速となっていた。また、
までは P律速、 7月 5日以降は S
期間中 N は半飽和定数に比べ充分にあったが、渦鞭毛層に
対して P は期間を通じて不足しており、珪藻に対しては 7
月 5日までは Pが不足、それ以降は S
iが不足していた。こ
れらのことから、渦鞭毛濠類は期間を通じて Pに律速され、
i律
珪藻は 7月 5日までは P律速であったのが、それ以降 S
速に変化したと考えたれる。以上のことから、この聞に起
こった赤潮種構成比率の変化は、律速栄養塩の変化と水温
上昇に影響されていることが示唆される。
大阪湾奥部では、 1
9
9
0年代に赤潮種構成比率の変動が見
られ、有毒種を組む渦鞭毛藻類に有利な物理・栄養塩環境
では割合が高くなる場合があ与た。この様な年々変動に対
し、短期的にも赤潮種構成は変化している。大阪湾で出現
する赤潮種の調査は大阪府の水産技術センターが実施して
, 2週間程度の間隔であるため、その間の推移や
いるが、 1
種の変化原因については不明な点が多い。そこで、 2004年 6
月 29 日 ~7 月 14 日の 16 日間、淀川河口域で海洋観測を実
施した。観測場所を右図に示す。 B 地点の水深約1.6mにク
ロロテックを係留し、 1
0分間隔でデータを得た。またほぼ 2
日おきに A,
B,
C地点でクロロテックによる鉛直分布観測と、
Om
,7m及び海底上 2mでの採水を行い、 c
h
l
.
a濃度、植物プ
ランクトン種別細胞密度、形態別窒素・リン・珪素濃度な
どの分析を行った。観測海域の水深は 1
1 ~ 16mである。
下図にクロロフィル濃度の水深一時間断面図、及びこの
間優先していた 3種類の珪藻類(塗りつぶし)と 2種類の渦
鞭毛藻類(白抜)の細胞密度の時間変化を示す。クロロフィ
ノレ濃度の変化は、昼夜変動に加え日中のピーク値の変化も
h
a
l
a
s
s
i
o
s
i
r
as
p
p
.が優占
捉えられた。また、全体に珪藻類の T
するものの、他の 2種は徐々に減少し、逆に渦鞭毛藻類が
増加する傾向があり、赤潮種構成比率の変動が見られた。
クロロフィル濃度と水中光量の関係は、昼夜変動は概ね
一致するものの、ピーク値の変化は逆位相の傾向がある。
これは植物プランクトンの増殖により光が吸収されたため
だと考えられる。日射量のピーク値とクロロフィノレ濃度の
関係は見いだせなかった。水温もクロロフィル濃度と同じ
昼夜変動があるが、観測後半向けて平均的に高くなった。
クロロフィル濃度と水温の相関では、 7 月 4 日を境に水温
に伴う嬬殖の増加傾向が異なっていた。これは赤潮種構成
大阪湾
図観測場所
σ
E}ZHa
。
曲
。
u
~105
柿
C
~103
。
,
-.d
p
ι2
1
0
6
/
2
8
〈ご二L 二>-<ごこ:一二三~-~ーで~でささき
図
,
r
7
/
8
7
/
3
7
/
1
3
クロロフィノレ濃度の水深一時間断面図(上)と優占種の細胞密度の時間変化(下)
Fhu
Fhd
沿岸域における N20の大気・海洋間 F
l
u
x
*大屋充生・阪本健太郎(神戸大学大学院海事科学研究科)
林美鶴(神戸大学自然科学系先端融合研究環内海域環境教育研究センター)
山下栄次(岡山理科大学技術科学研究所)
4
. 結果
1
. はじめに
現在、地球環境について議論され,最近では, COP15
全観測で得られたデータは領海法施行令の海域区分
でも各国の二酸化炭素削減の問題が世界中で注目を浴
に従い,瀬戸内海、四国沿岸域に整理し、月毎にまとめ,
びた.しかし,温室効果ガスは二酸化炭素しか大きく
2/
(1)式を用いてそれぞれの海域での Flux(nmollm
d
a
y
)
:
N20は,二酸化炭素に比べ大気
取り挙げられていない .
大気交換量を求めた.
=
中濃度は低いが,大気寿命が長く, 100年間の温暖化係
Flux 240k
N
2
0
wLN
2
0
.
)
w(
(
1
)
数は二酸化炭素の約 300倍と言われている.また,最も
kw(
c
m
l
h
o
u
r
)
: :ガス移送速度, L(mole/cm3/atm):溶解
影響のあるオゾン層破壊物質である .
N20の排出源で
係数, N
20w(moll,c):海水中
は,海洋が全体の約 22%を占め, 2番目に大きいが,日
気中
本では,観測事例がほとんどないのが現状である.
年 3月,図 2に 2009年 9月の各海域の
N20濃度, N20
p
p
b
):大
a(
N20濃度.LN20aは溶解度となる.図 1に 2009
N20の単位面
積当たりの Fluxを示す.
本研究では、日本における海洋での排出量を求め,海
N20が地球温暖化にどれくらい寄与するのかを明
3月の観測では,大気から海洋へ N20が放出されて
らかにすることを目的とし、瀬戸内海・四国沿岸海域を
いる傾向が見られ,一方, 9月の観測では,海洋から大
中心とした現場観測を行った.
気へ N20が放出されている傾向が見られた.
洋中
2
. 測定方法
3
5
"
官官'純
3
4
"
m・
2
唱
w
書唱'持
使用機器にTh
ermoE
l
e
c
t
r
o
n社製非分散型赤外線式
相関法分析器 MODEL46C
,S-ONE社製ガス混合器及
び平衡器, PC
,標準ガスを用いた.
大気中
N20濃度は,大気をポンプで吸引し,乾燥剤
を通して,分析器に流し測定する。海水中
N20濃度は,
一定量の海水に既知濃度のキャリアガスをパブ、リング
図 1 2009年 3月のFl
ux
し海水とキャリアガスとの間でガス交換をさせ、ガス交
換後の出力値とキャリアガスとの差が極大となるピー
ぉ-
官事前H
制.
O
'
O
"M
3
3
"
町
宮I
"
M
縫・
宮
司I
"
M
3
1
"
智事'陣
ク値を検出し,これを数種類のキャリアガスで、行って
検量線を用いて決定する.
3
. 観測
観測は,神戸大学海事科学部所属練習船「深江丸Jの
研究航海で、行った .2009年 3月の観測海域は神戸大学
海事科学部(神戸港深江)を出発し,大阪湾,瀬戸内海
を通り,四国南岸を通り海事科学部に戻るノレートであ
る.途中,別府港に帰港した .2009年 9月の観測海域は、
図 2 2009年 9月の Flux
海事科学部を出発し, 3月とは逆ノレートである.また,
途中,鹿児島港に寄港した.
PHU
Fhd
沿岸域における大気・海水中 N
2
0濃度の時空間変動
O 阪本健太郎 1
(1神戸大・院海事)
大屋充生 l
林美鶴 2
山下栄次 3
e
岡理大・技科研)
。神戸大・内海域セ)
3
. 結果・考察
1
. はじめに
N
2
0 (一酸化二窒素)とは,地球温暖化を防止するた
T
a
b
l
e
.1に,各観測で得られた大気・海水中 N20濃
めの国際的な枠組みである京都議定書内で,削減対象に
度の統計量を示す.各項目の標準偏差に着目すると,大
挙げられている温室効果ガスのひとつである.大気中
気中濃度はいずれの観測でも変化量が少なく,時間的に
N
2
0濃度は C
0
2の約1/1000と微量だが,大気寿命が 114
も空間的にも安定している.一方,海水中濃度は,比較
年と長く, 1
0
0年間の地球温暖化指数は C
0
2の約 300倍
的安定している大気中濃度に比べ,その変動幅が非常に
である.一方,海水中の N
2
0は,外洋では中・底層に蓄
大きいと分かる.その中でも,特に 6月の大阪湾内では
積されているが,外洋に比べ浅い沿岸梅域では,底眉付
海水中濃度が 2
2
4
.4
"
'
5
2
5
.2ppbと大きく変動している.
近で生成された N
2
0がダイレクトに大気に拡散される
. N
2
0濃 度 測 定 結 果
T
a
b
l
e
.1
大気中N20
海水中N20
2
0
1
0
/
6
2
0
1
0
/
8
2
0
1
0
/
6
2
0
1
0
/
8
と考えられる.このように,沿岸海域の N
2
0は地球温暖
桐Jb)
化問題を考える上で無視できない存在であり,やがて
A鴨 .
C
0
2のように排出量削減などの対策を講じる必要がでて
S
.
D
.
くるであろう.その時に,沿岸海域の N
2
0濃度データや,
Max.
1
6
.
0
3
3
3
.
9
2
7
0
.
3
5
1
高値目.
海水中,海水一大気間の挙動など基礎的知見が必要とな
Count
る.本研究では,海水・大気中の N
2
0濃度変動を明らか
306.
5
5
8
.
0
5
2
9
.
0
2
4
2
.
6
6
1
2
9
3
.
2
3.
2
2
9
7
.
1
2
8
8
.
2
1
1
251
.9
23.
4
3
0
7
.
0
199.
3
48
Fig.2に 2010年 8月に観測した,大阪湾,播磨灘,
にすることを目的にし, 2008年から瀬戸内海・四国沿
備讃瀬戸での海水中 N
2
0濃度と塩分の相関図を示す.図
岸海域を中心とした現場観測を毎年行っている.
中に大阪湾での塩分との近似車線とその式,相関係数を
2
. 観測
示している.大阪湾では,塩分の変化に対して梅水中濃
観測は、神戸大学海事科学部所属練習船「深江丸j に
度は負の相闘を示すが,その他の海域では相関が見られ
乗船し行った. Fig.1に 2010年 6月と 8月の航路図を
ない.このような関係性は過去に行った, 2009年の 3
示す.青い丸プロットが 6月の海水濃度ま測定したプロ
月・ 6月
, 2010年 3月観測でも確認されている.大阪湾
ットで,赤い三角プロットが 8月の観測点を表している.
の湾奥部は,淀川等の河川水流入の影響を強く受けてい
2010年 6月の観測は神戸大学海事科学部(神戸港深江)
るため,湾奥に近づくほど塩分低くなり,湾外に向かう
を出発後,大阪湾を西進,池田湾で錨泊した.その後,
ほど塩分が高くなる傾向にある.塩分は生化学的に変化
松山港に寄港し,転進して高松港に寄港,再び海事科学
しない保存性成分であるため,塩分の変化に対して海水
部に戻るルートであった.観測期間は, 2010年 6月 1
5
濃度が変化するということは,濃度が水平的な海水の混
日
,
.
,
.
,1
83
1である.一方, 2010年 8月 25日
,
.
,
.
,27日にか
合に影響を強く受けている示唆している.
けての観測は,深江を出港後西進し,池田湾で錨i
白,備
350
讃瀬戸の西端周辺で折り返し高松に寄港し,再び深江に
戻ってきた.
戸旬、
i
S
.300
=
、
"
"
匂
封
建W
H
W
C
H
Z
輔~O'蝿
1
3
:
1
"IA
鴻
r調軍
縮~'IÆ
l3r割隠
拍車F健
aO00
5
0
&'a
圃幽昏叫制覇﹄富山w
制・掴貰
・
十
UOIO
/
sO
s
獅 B符 1
1 2010/8路 間 州 噛 i
i
+201
0
,
地 B悶 n
5
e
t
o
1
5
0
絡f 調
罰E
2
5
.
0
F
i
g
.1
. 2010年 6月
, 8月 観 測 点
F
i
g
.
2
.
2
7
.
0
2
9
.
0
.0
31
s
a
l
i
n
i
t
y[
p
s
腿
]
3
3
.
0
海水中 N
2
0濃度と塩分の相関
Fhd
ヴd
瀬戸内海・四国南岸における CO2濃度の変動
*山下栄次・江園真幸・渡辺真士(岡山理科大学技術研)
3
. pC02とPC02の測定結果と考察
1.はじめに
表 1と2に,春季と夏季の各海域における pC02,
神戸大学海事科学部所属練習船「深江丸研究
PC02,.
L
!pco2の平均値を示した.
航海」に乗船し,瀬戸内海及び西国南岸の海水
中二酸化炭素分圧 (pC02,μatm)と大気中二酸
春季は ,pC02 が,四国南岸で最大を示し,大
化炭素分圧 (PC02,μatm)を測定した.それぞれ
坂湾が最小を示した.最小と最大の差(以下 R
の海域における春季・夏季の pC02,PCOZ'.
L
!p
)は, 98.8μatmであった. PC02は
と記す.
,
.
L
!pcozの =pCOz- PC02)の水平分布の
CO2(
紀伊水道が最大を示し,播磨灘が最小を示し,R
概要を報告する.
は
, 20.6μatmで、あった .RはpCOzが PCOzよ
り
2
. 方法
大きい ..
L
!pC02 は,全ての海域において負の値
を示し,全ての海域において、海水が CO2を吸収し
研究航海は,春季及び夏季に行われ,航路は,
大阪湾,紀伊水道,四国南岸,豊後水道,瀬戸
ていた.
夏季は,pCOzが,燐灘・備後灘・備讃瀬戸で
)
頭か,又はその逆である.
内海,大阪湾の1
, 177.8
最大を示し,大坂湾が最小を示した .Rは
測定期聞は 1
9
9
4年 3月から 2
0
0
5年 9月の間
μatmで、あった. PCOzは,播磨灘が最大を示し,
で,春季 8匝,夏季7回計 1
5回測定を行った.
測定項目は, pCOZ(μatm),PCOZ(μatm),
, 17.3μatmで、あっ
四国南岸が最小を示し,R は
である.測定問隠は, pCOZが 1
5分毎, PCOZが l
RはpC02が PC02より大きい..
L
!
pco2は,大
た.
分毎である .PCOZは 1
5分平均値を求め pCOZと
阪湾,紀伊水道,四国南岸において負の値を示
比較した.船位は深江丸によって測定されたデー
し,海水が COzを吸収していた.伊予灘・広島灘・
タを用いた.
安芸灘,燈灘・備後灘・備讃瀬戸,播磨灘ではA
pC02は,正の値を示し,春季と異なり海水が CO2
また,pC02の測定には O
h
t
a
k
ie
ta
l
.
(
19
9
4
)によ
り開発された岡山式自動測定パブ、リング、式海水中
を放出していた.
pC02は春季<夏季で,PC02は春季>夏季で
二酸化炭素計(S-ONECo.
IN
C
.
)の改良型を用い
た.
あった.
海域区分は,図 Hこ示すように 7区分して解析
l
l
l
p
0
0
2
.P002
.L
!P002
平均値
表 1 春季航海の海域 l
した.
大阪湾
紀伊水道
四国南岸
伊予灘・広島灘・安芸灘
豊後水道
燈灘・備後灘・備讃瀬戸
矯磨灘
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図 1 海域区分
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瀬戸内海の遡及的データを用いたクラゲ類発生の解明
藤井直紀・兼田敦史・馬込伸哉・武岡英隆
(愛媛大沿岸セ) ・ (福井県大生物資源) ・ (三洋テクノマリン) ・ (愛媛大沿岸セ)
キーワード:瀬戸内海・ミズクラゲ・大量発生概念図・遡及的研究
1. はじめに
するようになったと記している。
近年,本邦沿岸域ではクラゲ類が大量発生・大量出
以上のことから, 1970年以降の瀬戸内海の変遷を調
現することにより,多大な被害が発生している。その
べることにより,クラゲ類発生のメカニズムを解明す
ためクラゲ類大量発生の事前予測が求められている
る手がかりになる可能性がある。
が,未だその手法は開発されていない。そこで本研究
3. 概念図の作成
では,クラゲ類大量発生予測手法開発の前段階である
「クラゲ類大量発生概念図」作成を試みた。
クラゲ類大量発生の原因については,未だ研究が進
行中であるが,上 (
2
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) は「クラゲスパイラノレ」と
2. 横戸内海におけるクラゲ類出現傾向
いう概念を提唱している。それらは即ち,①プランク
沿岸域において最も被害があるのがミズクラゲであ
トン食性魚類の減少により餌が余ったためにクラゲが
り,瀬戸内海や駿河湾,東京湾のような本邦の代表的
増えた,②冬季水温の上昇により越冬ミズクラゲが増
な内湾域で発生している(上・上回, 2004) ,また,
えた,③富栄養化により小型動物プランクトンが増加
ミズクラゲは集群し,一箇所に大量に出現する場合が
しクラゲの餌が増えた,④ポリプが付着可能な人工護
あること(安田, 2003) ,それに加えて大量発生は毎
岸や浮き桟橋が増えた,という 4項目であり,それら
年継続していることなどが特徴として挙げられる(上
が単独或いは複合的に生じることによってクラゲが増
・2004) 。したがって,本研究ではミズクラゲを対象
えたと説明している。しかしクラゲスパイラノレ」
とする。
の説明は漠然的であり,これによってクラゲ類の大量
瀬戸内海は,ミズクラゲによる漁業被害が実際にあ
発生を予測することは不可能である。また,最近,ク
る海域である。しかし,ミズクラゲが何故増えたのか,
ラゲ類の研究が進み,新たに明らかになった事象もあ
それを理解するための定量的なミズクラゲ資源量調査
る
。
は行われていない。そこで上・上回 (
2
0
0
4
) は,瀬戸
そこで,クラゲスパイラノレ理論をさらに詳細にし,
内海周辺の漁業関係者を対象としたアンケートによ
最近の研究を踏まえた概念図を作成した。それを下記
り,定量的ではないにせよ,漠然的ではあるが何らか
に示す。
の傾向を示そうと試みた。その結果, 1980年代初めか
本発表では,瀬戸内海の環境変遷を踏まえてク
ら 2000年代初めまでの約 20年間におけるクラゲ類の
ラゲ大量発生概念図 J の有効性を示す。
発生傾向を推定した。瀬戸内海全域でみる
と 1990年代初め以降にミズクラゲの増加
傾向が顕著であったと予想された。また,
その中でも豊後水道東部海域に位置する宇
和海周辺におけるミズクラゲ発生傾向が最
も顕著であることがわかってきた。
また,永井 (
2
0
0
5
) は,瀬戸内海集水域
圏内府県水産試験場の漁海況情報の記載を
整理し,クラゲ類の発生傾向を調査してい
る。この報告によれば,クラゲ類は 1980
年代に周防灘・豊後水道や紀伊水道の「瀬
戸内海入口付近」において発生が確認され,
さらに 1
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0年代には瀬戸内海全域で発生
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r
e
n
ts
e
a
s
o
n
a
lv
a
r
i
a
t
i
o
n丘omt
h
o
s
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o
l
u
m
e,DINa
n
dD
I
P
.S
i
l
i
c
a
t
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i
s
p
l
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y
e
daminimumi
nM
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nw
i
t
hDINa
n
dDIP
,
h
o
w
e
v
e
r也 e
r
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a
食e
ri
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n
c
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i
c
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l
l
y
.B
e
f
o
r
eNovemberwhens
i
l
i
c
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t
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e
a
c
h
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si
t
smaximum
明
,
o
b
s
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k
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i
oo
n
s
h
o
r
ef
l
u
xo
fs
i
1
i
c
a
t
e
.
-60-
燈灘南西部の成層期における地下水寄与の推定
0斎藤光代 *1 .郭新字 *1 ・小野寺真一 "2.清水裕太 *2・徳増実 *3
(
*
1
: 愛媛大・ CMES,勺:広島大・院・総合,勺:西条市)
キーワード:燈灘・成層期・地下水寄与・ラドン
1
.はじめに
(
2
2
2
Rn)
3
.地下水流出エリア
図 2に,観測領域の海底直上部における海水中
近年,国内外において海域への栄養塩供給としての地下水
2
2
2
Rn濃度
の重要性が指摘されている.しかしながら,瀬戸内海に対す
の分布(黒塗りは陸域)を示す
る地下水流出の影響は,これまで幾つかの観測事例はあるも
高濃度を示すが,海水中にはほとんど含まれないことから,
のの十分に明らかにされておらず,特に,海岸線よりも沖仮!J
海水中で比較的高濃度を示す領域では,地下水が流出してい
の海底部から流出すると考えられている深層(被圧)地下水
ると考えることができる.図 2の結果から,全体的に観測領
については,これまで評価されていない.
域の南西部において 222Rn濃度が高い傾向を示したことから,
そこで本研究では,燈灘の南西部の海域を対象とし,現地
2
2
2
Rnは地下水中では非常に
深層地下水の流出域で、あることが示唆される.同様の傾向は,
観測結果に基づき,海底部における地下水流出エリアおよび
2009年 9月の成層期においても確認された.
海水に対する地下水寄与量の推定を行うことを目的とする.
2
.対象地域およて防法
燈灘は,瀬戸内海のほぼ中心に位置する準閉鎖型の海域で
,南北方向に約 30km
,
あり,灘の大きさは東西方向に約 50km
平均水深は約 2
0mである.燈灘の南西部には,日本有数の豊
富な地下水量を誇る愛媛県西条市が面しており,さらに,燈
図 2 観測領域における海底直上部の海水中 222Rn濃度分布
灘に対しては大規模な一級河川の流入が無いことから,地下
水流出の影響が比較的大きい海域であることが予測される.
4
.地下水寄与量の推定
2010 年 7 月 21・23 日に,燈灘南西部の水深約1O~2伽n の領
海水の塩分と
域(図1)で 1
5地点を設定し,海面表層および海底直上部の
二掠度でのラドン
2
2
2
Rn濃度との関係から,海底直上部の海水
は,観測領域外から流入する海水と地下水との混合によって
)濃度測定,クロロテックによる水
(
2
2
2
Rn
形成されている可能性が高いことが明らかになった.また,
温,塩分,クロロフィルの鉛直測定およて胸水試料の採取を
観測期間は成層期であり,水深約 5mに躍層が形成されてい
I
I水も採取
行った.また,観測領域沿岸部の地下水およ間可}
たことから,海底部から流出した地下水成分は,鉛直混合の
した.各試料水は,実験室において栄養塩濃度およひ酸素安
影響を受けずに躍層よりも深い部分に保存されている可能性
I
8
d
0) の測定を行った.
定同位体比 (
が高いと考えられる.したがって,観測領域の水深 5m~海底
までを一つのボックスと仮定した収支計算により,海底から
流出する地下水量の推定を行った.ただし,水深 5mよりも
浅い部分との鉛直方向での交換および河川水の深層ボックス
への流入は無いものと仮定した.その結果,年間降水量の約
1%
が深層地下水として海底から流出していると推定された.
また,この結果は 2009年 9月と比較すると小さかったこと
から,地下水流出量が季節変化している可能性が考えられる.
*本研究は,回2年度愛媛県西条市受託研究(代表:郭新宅の支援
により行われた.
図 1 調査対象地域
Ei
唱
phu
洞海湾における栄養塩濃度の減少と懸濁粒子の C
:
N
:
P比の変化
0漬田建一郎・上田直子(北九大・アクア研) ・山田真知子(福女大)
多国邦尚(香川大農) ・門谷茂(北大院環境)
1.はじめに
唱8
00
[
]1995-1998
1600
1400
島 1200
9
9
7年に全窒素・全リンの環境基準が
洞海湾は 1
適用され,排出量削減により栄養塩濃度が大幅に
園初日6-20ω
=
t
o
o
o
低下した.栄養塩濃度の低下は植物プランクトン
Z
800
C 600
の増殖に影響を及ぼすため,内部生産される粒子
400
200
。
状物質の生化学的特性は変化する.そこで,植物
プランクトンの増殖が活発な夏季の懸濁粒子の
1 2 3
4
5
6
7
S
t
a
t
i
o
n
図 1 各調査地点における環境基準達成前後
のD
I
N
/
D
I
P平均値の比較
C
:
N
:
P比の変化について環境基準達成前(19951
9
9
8年)と達成後 (
2
0
0
6
2
0
0
9年)で比較検討し
た結果,いくつかの知見が得られたので、報告する.
100
2. 方法
D
.
.
調査は環境基準達成前の 1
9
9
5年 8月
・1
9
9
6年 8
ロ1
9
9
5-1
9
9
8
圃
80
2
0
0
6-2
0
0
9
Eeo
z
040
a
月・ 1
9
9
7年 8月・ 1
9
9
8年 8月の 4回と、環境基準
達成後の 2006年 7月
, 2007年 8月
, 2008年 9月
,
20
2009年 8月の 4回実施した.湾内 7箇所の調査定
-N+NO3+NO
z
N),
点で海水を採取し、 DIN(NHt
0
1 2 3 4 5 6 7
Station
DIP
(
P
04
,
・P
),C
h
l
α,POC,PON
,PPについて分析
した.本研究では表層海水の値について検討した.
図 2 各調査地点における環境基準達成前後
のP
O
N
/
P
P平均値の比較
DIP濃度の異なる海水中の P
P含量の変化実験は,
2
0
1
0年 7月に洞海湾で採取した懸濁粒子を対照
環境基準達成前の PONIPP平均値がレッドフィ
(
D
I
P無調整), 1!
J
M
, 4凶 fの 3段階に DIP濃度
ールド比(
1
6
)より低いことや,湾内の DIP濃度と
を設定した海水に収容 (2L容ビーカー)しで恒温
PP含量の分布が類似していたことから, DIP濃度
槽内 (
2
3
'C,暗黒下)で実施した.実験は 7
2時間
の高い海水中では懸濁粒子に無機態リンの吸着が
行い, 24時間おきに懸濁粒子の PP含量と DIP濃
生じていると予想された.そこで, DIP濃度の異
度を測定した.
なる海水中の PP含量の変化について実験を行っ
3. 結果および考察
た結果, DIP濃度の高い実験区の実験終了時の PP
含量(1!JM区 ;
4.
5
4mgg
¥4!JM区 ;
9.
48mgg
l
)は
環境基準達成前の D
INIDIP(平均値)は 20-1288
3
8
2
) であ
(
1
2
5
),環境基準達成後は1.4-2292 (
開始時の値ο.21mgg-l) より約 2~4 倍高くなって
った(図 1). PONIPP (平均値)は環境基準達成
いた.環境基準達成前の DIP濃度の平均値は 2
.
2
1
前は 2.3-17.2 (
8
.
5
) の範囲であったが,達成後
μ Mで達成後の 0
.
396μMより約 5
.
7倍高い濃度で
は 10.6-123(
2
6
) と全体的に高くなっていた(図
あった.そのため,環境基準達成前の低い PONIPP
2).また,図 1 ・2 を比較すると湾口から湾央
は,懸濁粒子への無機態リンの吸着が要因のーっ
として考えられた.一方,環境基準達成後は DIP
(
S
t
n
.
1
4
) と湾奥 (
S
也 5
7
) では D
INIDIPの変化
が PONIPPに反映される仕組みが異なると考えら
濃度は低下し,湾口部の植物プランクトンはリン
れた.環境基準達成前後で懸濁粒子の PON含量に
制限下で増殖するため PONIPPは高くなったと考
変化はないため, PP含量,海水中の DIP濃度に注
えられた.
目して親生物元素比の変化要因について検討した.
phu
っ'u
有明海湾奥西部海域における酸素消費の現地実験
0徳永貴久・木元克則(西水研)
旦旦金巨
ここで, OC
酸素消費量, OC
ホルムアルデヒドを入
T
o
t
a
l:
F
o
r:
均:塩化水銀を入れた場合の酸
れた場合の酸素消費量, OC
有明海奥部では,夏季の小潮に干潟縁辺部を中心として
著しい貧酸素水塊が形成されることが明らかとなっている.
素消費量である.
有明海における酸素消費過程については、懸濁物による酸
実験は海底面から 20cmで約 3時間程度行った.実験終
2
0
0
3
))、懸濁物の質と酸素消費ポ
素消費の重要性(阿部ら (
了後に DOセンサーで DO濃度を計測した.初期濃度と実験
テンシャルとの関係(児玉ら (2009))、堆積物の再懸濁時の
終了後の DO濃度との差および培養時聞から単位体積当た
化学的酸素消費ポテンンヤノレの重要 性(徳永ら, 2010)が明
りの酸素消費速度 (m
g0
!
U
,也 y
)を算出した.
2
らかにしているものの、現地での化学的酸素消費の計測に
主要な結論
d
ついてほとんど検討されていない。本研究は、現地実験によ
(
1
) 海底表層 lcm層内の Ehは,:iEの値を示しているも
って化学的酸素消費の重要性を明らかにすることを目的に
のの, 8月 1日の全酸素消費速度は 2.00m
g0
!U
day
2
する。
を超える高い値を示した.生物学的酸素消費(有機
実験概要および解析方法
物の分解や植物プランクトンの呼吸)はほとんど寄与
有明海湾奥西部海域に位置しているT14において 2010
しておらず,還元物質の酸化に伴う化学的酸素消費
年 8月上旬 下旬の小潮時に底層水の酸素消費の現地実
が全酸素消費のほとんどを閉めていた.特に硫化水
験を 3 回行った(図-1).実験では全酸素消費および化学
素の寄与が大きいことから,海域の酸素消費過程を
的酸素消費の 2種類の実験を行った.さらに化学的酸素消
考える場合,還元物質を中心とした底泥ー海水間の
F
e
(
I
I
)
,
費については硫化水素による酸素消費およびその他 (
物質輸送過程を考慮する必要があることが示され
Mn(I
I
)
)に分画した.北原式採水器用いて底層水を採取し,
た.
採取された底層水をシリコンチューブを用いてフランピン
(
2
) 直上水の DO濃度が著しく低下していない場合 (
8月
(
1
0
加11.)に入れ, DOセンサー (WTW社製 UD-I
)
で DO濃
1
8 日)でも化学的酸素消費の寄与率は 16%
程度を
度(初期値)を計測した.生物学的酸素消費を抑制するため
示した.その理由として底泥再懸濁の層厚やその酸
に中性ホルマリンを 3mL添加した (Wang,1890)。また,生物
化還元状態の影響が示唆された.
(
3
) 有明海湾奥西部海域では, 2時 0
2
!
U
'
也 y を超える高
学的酸素消費および硫化水素による酸素消費を抑制するた
mL添却した.生物学的酸素消費
めに飽和塩化水銀(回を 3
い DO低下速度が報告されており(岡村ら (2010)),
量,硫化水素による酸素消費量は以下の式により算出した.
徳永ら (
2
0
0
9
)が行った室内実験結果や上記(1)
"
'
(
3
)
生物学的酸素消費量=O
Cy
a
凶 -OC
F
o
r
H2Sの酸化に伴う酸素消費量 =OC
F
町 一
OC
Hg
Fe
(ll)+油開の酸化に伴う酸素消費量 =OC
Hg
(
I
)
から,急激な DO濃度の低下に対して生物学的酸素
(
2
)
消費のみならず化学的酸素消費も重要な役割を果
(
3
)
たしていることが示唆された.
表
一1 実験時の底質および実験結果酸素消費速度は負値が減少を表す
331Z
初期 00濃度
海底表層 1cm層内の Eh(mV
)
海底表層 1cm層内の pH
全酸素消費速度 (mg02
/L
/day)
化学的酸素消費 (mg02
/L
/day)
生物学的酸素消費 (
r
噌 Oz
/
L
/day)
H
2
S酸素消費速度 (mg
O
z
/
L
/
d
a
y
)
Fe(II)+Mn(lI)酸素消費速度(mgOz
/
L
/
d
a
y
)
事寓路島
3
3
紋F
化学的酸素消費の割合(%)
図1 実験地点
8月1日 8月1
8日 8月3
1日
4
.
3
3
5
.
3
5
5
.
6
5
8
6
5
2
1
3
41
7
.印
7.
7
.
6
4
2
.
9
6
1
.
35
0
.
6
5
2
.
9
4
0
.
2
1
0
.
0
4
1
.
1
4
0
.
6
2
0
.
0
1
.
3
0 ー0
.
1
5
2
.
5
4 ー0
0
.
1
9
0
.
4
0
0
.
5
1
9
9
.
6
1
5
.
9
5
.
7
u
円ぺ
phu
八代海における C
h
a
t
t
o
n
e
l
l
aa
n
t
i
q
u
a赤潮の時空間変動
0鬼 塚 両J
I1.青木一弘 l・清水学 1・松山幸彦 2・木元克則 2 松 尾 斉 3・来代勇樹 3
西 広 海 4 ・田原義雄 4・棲田清成 5
3東町漁協 4鹿児島水技セ
5熊本水研セ
h
a
t
t
o
n
e
l
l
aa
n
t
i
q
u
a・赤潮・低塩分水
キーワード:八代海・ C
1中央水研
2西水研
【はじめに】
九州南西部に位置する八代海は、我が国の代表
的な閉鎖性梅域の一つで、南部を中心にブリ・タ
イ等の魚類養殖が盛んに行われている。近年、八
代海では有害藻類による赤潮が頻発しており、養
殖魚の繁死による漁業被害も報告されている。特
0
0
8年以降 3年連続でラフィド藻 C
h
a
t
t
o
n
e
l
l
a
に
、2
仰の赤潮が大規模に発生し、 2
0
1
0年の被害
a
n
t
i
q
額は 50億円以上といわれている。八代海におけ
る本種赤潮の発生機構解明ならびに今後の被害
軽減対策のためにも、本種赤潮の出現特性を把握
する必要があるが、これまでのところ赤瀬の短期
'
1 週間スケール)とその要因につい
動態(数日 "
ては明らかにされていない。
八代海では、鹿児島県の東町漁協を中心に漁業
者自らが高頻度のモニタリングによって赤潮分
布をいち早く把握しており、その情報はインター
ネットを通じて公開されている。本講演では、こ
の高頻度モニタリング結果及び熊本県・鹿児島県
の謂査結果からみえてきた八代海における C
仰 向ω 赤潮の時空間変動特性について報告する。
【解析資料】
赤潮発生状況については、熊本県・鹿児島県に
よって準リアルタイムで公開されている C
an
向 ω 細胞密度 (
c
e
l
1
s
/
m
l)を用いた。公開され
ているデータには、両県で実施されたものだけで
なく、天草市や東町漁協・北さつま漁協によって
行われたモニタリングの結果も収録されている。
海況情報については、東町漁協が独自に実施した
調査や水産庁委託事業として熊本県・鹿児島県が
それぞれ実施した調査のデータを用いた。また、
気象情報については気象庁アメダスデー夕、河川
流量データについては国土交通省九州地方整備
局八代河川国道事務所が公開しているリアルタ
イム河川情報のうち、球磨川の流量速報値を用い
た
。
【結果と考察1
2
0
1
0年は 6月 3日に八代海中部海域で初めて確
e
l
1
s
/
m
lが確認
認され、八代海西部の橋浦湾で 14c
された 6月 25 日に、熊本県で赤潮警報が発令さ
れた。 6月末には八代海中部の御所浦島周辺や西
0
0cel
1
s
/
m
l以上に達し、 7
部の楠浦湾で細胞密度 1
月上旬には八代海ほぼ全域で数十 数千 c
e
l
1
s
/
m
l
の赤潮が形成された。 7月中旬には南部の細胞密
度は一旦低下するものの、 7月下旬に再び増加に
転じ、この際に多くの養殖魚の繁死を引き起こし
た。その後、 7月末から 8月初めに細抱密度は急
激に減少し、八代海全域で赤潮は消滅した。今年
の特徴としては、過去の発生年に比べて発生時期
が早く、細胞密度の高い状態が広範囲で長期間続
いたことが挙げられる。
八代海南部における細胞密度増加は表層の低
塩分化とほぼ伺時もしくはその直後に発生して
いた。河川流量や八代海中部での塩分の時間変動
から、この低塩分水は八代海北部に位置する球磨
)1からの出水によるものと考えられた。南部で低
塩分化と細胞密度増加が同期していた要因とし
ては、淡水流入に伴う密度流による中北部からの
赤潮水塊の移入、もしくは河川由来の栄養塩流
入・成層構造の形成等によるその場での増殖環境
の好転が考えられる。しかし、塩分低下と細胞密
7月上旬)、低塩分水
度増加に位相差がないこと (
はむしろ貧栄養であることの 2点から、八代海中
北部で形成された高密度水塊が南部へ直接運ば
れてきた可能性が高い。
0日以降に
他の注目すべき特徴としては、 7月 2
n
t
i
q
u
a高密度層の深化が挙げられる。
みられた仁 a
赤潮末期の 7月 23 日ごろに南部海域の複数の観
0
0c
e
l
l
s
/
m
l以上の細胞
測点で、 20m深において 1
密度が検出された。この高密度層の深化の原因は
n
t
i
q
u
a赤潮対策として実
わかっていないが、C. a
施されている生賛沈下でも場所によっては被害
を防げなかったことを示唆している。
-64-
巨大干潟における地下水湧出及び栄養塩流出特性
-愛媛県加茂川河口干潟の例一
0小野寺真一‘ 1・驚藤光代*2・大西晃輝事 1・清水裕太・ 1・徳増実勺
(
*
1
: 広島大,勺:愛媛大・ CMES,η:西条市)
キーワード:巨大河口干潟・地下水・栄養塩・ラドン
(
2
2
2
Rn)
1
.はじめに
瀬戸内海の持続的な保全のためには、障域から流出する栄
養塩を定量化するとともに、特に、あいまいで、あった地下水
'
8
0
商
,
,
.
官
の役割を明らかにすることは重要である。特に、干潟は地下
水流出域とされる一方で海水の再循環の割合も多く、その分
F
.
S
布には多様な要因が絡み合う。本研究では、
F
.
窃
2
2
2
Rn等の何種類
~1
;
.
.
側
'3
かのトレーサーを使用し、大型干潟における地下水流出の分
開
7
1
J
布特性について評価することを目的とする。
60
50
40
2
.対象地域および方法
。
対象とした干潟は、中四国最高峰の石鎚山を水源とし北流
図 1 干潟間隙水中の 222Rn濃度分布
する加茂川河口域に形成された大型干潟である。干潮時には
埋立ての進んだ現海岸線から、約 1kmも干上がる。図 1中の
4
.干潟間隙水の起源
A1~G1が護岸堤防沿い、 A1~Al1 が加茂川沿いである。
間隙水の起源としては、海水の他に、陸域地下水、河川水、
干潟では、約 1
0
伽n間隔にメッシュを切り(図1)、深度 1m
表流水(排水)などが考えられる。図 2に電気伝導度 (
E
C
)
の間隙水を 2010年 7月 24日に採水し、ラドン FRn)濃度、
と 222Rn濃度の関係を示す。図中には、沖合の海水 (
S
) と浅
栄養塩濃度および塩分の分析を行った。また、 Al、A6には
R
) との混合線
層地下水(Gs)、深層地下水(Gd)、河川水 (
2010年 7月に、 ClOには 2
0
1
0年 8月に、 A1、C1、Elには
をそれぞれ示す。干潟のほとんどの間隙水は、海水と地下水
2010年 9月に水圧計を設置し、地下水の水圧を計測した。 Cl
O
との混合であり、また、淡水成分が多い湧出量の割合が多い
では、 8月下旬に海水中の 222Rn濃度の時間変化をとらえた。
場所では、浅層地下水成分が多く、淡水割合の低い場所では、
深層由来になる傾向があることが明らかになった。
3
.地下水湧出域の空間分布
干潟における
2
2
2
Rn濃度分布を図
2
0
0
1に示す。加茂川沿いの
•
Al~All 、及び中央の C1~C4が顕著に低く、一方加茂川か
1
4
0
ら離れた E~G ライン全体、及び沖合のc9、D7.5で高い。水
:
:
J
" ..~^
圧については、 E1>Al>Clという順位となっており、特に、
-100
a6800
Elでは、常時水圧が高く、地下水の定常的な湧出が示唆され
た。ただし、電気伝導度の分布は、 E1で 50%、A1で 95%、
40
C1で 60%の海水が混合している傾向をそれぞれ示す。すな
2
0
也
・
・
.S.R
i
崎
•
•
、
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‘‘、・‘
、
o
である。また、 ClOでモニターした海水中の胎1濃度の変動
司
静
句
臥
.民
.
・
.
'
暗 ~圃‘
情旬、_.
。
わち、いずれも、海水の再循環成分を含んでいることが特徴
d
4
静
1
0
2Q3040
~O
EC (
n
i
s
l
,
悶
稲
}
図 2 EC (電気伝導度)と
から、地下水は干潮時により湧出している傾向を示した。
2
2
2
Rn濃度との関係
*本研究は科研 A (ω 年~11 年、代表:福岡正人)、西条市受託研究
費、ニッセイ財団(代表:穿藤光代)の一部である。
Fhu
phu
博多湾奥部における長期連続観測
0石 井 大 輔
相H 哲 雄
1
山田 真 知 子
1
池田 宣弘
(1: 九 州 大 学 応 用 力 学 研 究 所
1
上 原 蓮華
2
2:福 間 女 子 大 学 人 間 環 境 学 部 )
I Wまま鷲
はじめに
丸林賢次
1
3
0':
!
4
官
1
30"披露
今もなお、人工島建設など人為的環境改
変が加えられている博多湾は富栄養化海域
であるが、 1993年 か ら 水 処 理 セ ン タ ー 放 流
水中のリン削減が試みられた結果、同湾東
部海域(湾奥部)における海水中のリン濃
度 は 著 し く 低 下 し 、 2001年 度 か ら は 環 境 基
準をクリアするまで水質は浄化・改善され
た。しかし、同湾奥部では依然として赤潮
や貧酸素水塊といった水質機能障害が頻発
し、これらが浮遊生態系にだけでなく隣接
する和白干潟におけるマクロベントスの生
存など底生生態系にも悪影響を与えている
ことが既往研究において指摘されている。
現状の回復が進展しない理由は、現地観
測 の 頻 度 が 年 に 数 回 も し く は 月 に 1回 程 度
と圧倒的に少ないことから、水質・底質や
E
知第 1
2
官
1
鱒・ 3
紋罷
E
買P調 官
海洋生物における物理・化学・生物過程の
F
i
g
.
1
博
多
湾
に
お
け
る
定
点
調査地点(・) と湾奥部
時間変動(例えば、数日から数週間スケー
の 櫓 固 定 観 測 点 ( ・ : Sta.K)
/レで変動する貧酸素水塊の発生・維持・消
滅過程など)を正確に把握できていないことにある。よって、博多湾における空間的な広域特性
に加え、時間スケールの短い様々な諸現象を捉えて同湾における水質環境の現況とその特性を理
解するために、 1週 間 に 一 度 の 広 域 定 点 調 査 お よ び 湾 奥 部 の 一 定 点 に お け る 諸 量 の 連 続 モ ニ タ リ ン
グ調査を長期間にわたって実施し既述の課題に取り組むことを目指した。
観測概要
護主
mg
制岬却品開掛軸
赤潮発生や底棲生物の死滅を招き海底環境を悪化させる貧酸素水塊の変動特性ならびに物理化
Fig.1) に 櫓
学 生 物 過 程 と の 関 連 性 を 明 確 に す る た め に 、 2009年 夏 季 に お い て 同 湾 奥 部 の Sta.K(
型 観 測j塔 を 含 め た 連 続 計 測 シ ス テ ム の 導 入 を 検 討 し 新 規 構 築 を 試 み た 。 同 湾 奥 部 の 海 底 は 泥 質 で
あるため、観測櫓を構成する単管が時間経過に伴って自然沈下しないよう、支持地盤面(海底下
2・
3m) ま で ジ ェ ッ ト ノ ズ ル ポ ン プ で 撹 枠 し な が ら 櫓 用 単 管 を 打 ち 込 み 敷 設 し た 。 海 底 直 上 0.5m
層 の 諸 特 性 を 連 続 計 測 で き る よ う 専 用 の 測 器 固 定 冶 具 を 製 作 し 、 溶 存 酸 素 ( DO) 計 ・ 水 温 塩 分 計 ・
Chl
.a
l濁 度 計 ・ 光 量 子 計 ・ 電 磁 流 速 計
S
i
g
.l)。表層 0.5m層 に は
を 搭 載 し た (F
電磁流速計、海上には三杯式風向風速
計 ( 平 均 高 4m) を 搭 載 し 、 約 3 ヵ月
間 (2009.06・
2009.09) に わ た っ て 30
)
;
l
分 間 隔 で 連 続 計 測 を 実 施 し た 。 な お DO
:
l
O
2
"
1
計はワイパ}稼働型であったが、ガル
霊
場
パニ膜の経時劣化に伴うデ}タ品質低
~'IOO
下を防ぐため、 3 週 間 前 後 で 校 正 済 み
:
:
;
鞠
代 替 機 と 交 換 と す る 運 用 形 態 を 取 っ た 。 #量 制
輔
幸 い に も 、 本 観 測 期 間 中 は 7月 下 旬
喜鋪
C
; 0
の記録的豪雨を除けば台風等の異常気
象 に 遭 遇 す る こ と な く 、 数 日 か ら 1週
間ごとの精力的な測器清掃により測器
センサ一部への生物付着の影響を極力
朝
0
0
1
1
蹄
2
1
排除しながら長期間における良質な観
F
i
g
.
2
湾
奥
部
S
t
a
.
K
に
お
け
る
海
底直上 O
.5m層 の 各 諸 量
測データを取得することに成功した。
T
/
S
/
σ
t
.
C
h1
.a
/濁度・ 00/
(
上
段
か
ら
、
光
量
子
.
Fig.2に 、 連 続 観 部 デ ー タ の 一 例 を 示 す 。
A σt) と 気 象 デ ー タ の 経 時 変 動 (2009.07)
き
;
-66-
拘
沿岸域物質循環回復のための塁海創生実験
谷本照己
(産業技術総合研究所)
キ
ワ
ド:物質循環、淡場、里海、三津口湾
え際に生物が多数生息する濠場の自然の形態を模倣
1.沿岸域における物質循環
し、務場に適度な入手を加えて生物生産と生物多様
沿岸域の適正な水質・底質環境および生物生産の
維持は、流入負荷の管理と物質の水域内での円滑な
性の高い藻場を目指した里海創生実験を行った。
循環の上に成り立っと考えられる。かつて、瀬戸内
2010 年 1月、三津口湾においてアマモを刈り取り、
海沿岸域のどこにも見られた藻場には多様な生物が
アマモ場内にいくつかの形状の裸地を作成した(図
生息し、沿岸域の物質循環に重要な役割を担ってい
1)。このことは、密生するアマモ場内に入手により
た。陸域より流入し藻場にトラップされた有機物質
アマモの生え際を増やしたことを意味する。
は底生生物により分解を受け、栄養物質は海草・藻
類や葉樹の付着微締藻類の成長に利用される。海藻
3. 実 験 の 効 果 検 証
アマモを刈り取ったことによる生物生息効果を検
類の内、食用となる海藻は水産物として収穫され、
海 草 の ア マ モ は 化 学 肥 料 が 普 及 す る 以 前 の 1950 年
証するため、 2010年 6月と 9月、アマモを刈り取っ
代までは刈り取って農地の有機肥料として利用され
た試験区、民辺の藻場内およびアマモ生え際におい
ていた。また、藻場は魚介類の産卵場、解イヒした幼
て、ダイパーによる魚介類とメガロベントスの目視
稚子魚の摂餌、育成場として利用され、食物連鎖と
観察を行った。その結果、作成した裸地(試験区)
いう循環を通して成長した魚介類は人間や烏などに
内では周辺の藻場内より多数の生物が生息している
捕獲され、陸域へ運ばれる。藻場は陸域から沿岸域
ことが確認された。また、水中ビデオカメラを藻場
に入った物質が再び陸域へと循環する太いパイプの
内(カメラ①)、生え際(カメラ②)、アマモを刈り
1っとして重要な役割を果たしていたと考えられる。
取った試験区内(カメラ③)および試験区の入り口
瀬戸内海では、高度経済成長期における水質汚濁
(カメラ④)に設置し(図 1(
b
)
)、 魚 類 の 出 現 数 を
に加えて、埋め立てなどにより多くの藻場が消失し
計測した。藻場内に設けた裸地では藻場内の数倍の
た。近年、瀬戸内海の水質にある程度の改善が見ら
魚類が出現し、試験区入り口では多数の魚類が出現
れるものの、依然として湾奥部の水質悪化や生物生
している様子が認められた。
産 が 向 上 し な い 要 閣 の 1っ と し て 、 藻 場 の 回 復 が 遅
4. おわりに
れ物質循環のパイプが細くなっていることが挙げら
れ る 。 そ の た め 、 藻 場 造 成 も 重 要 な 課 題 の 1つであ
適度にアマモを刈り取ることにより、務場内の海
るが、現存する藻場について、魚介類が産卵、摂餌
底まで光が到達するようになり新たなアマモの伸張
場として利用しやすい形態を明らかにし、適度な入
や姐の藻類の生育により藻場全体が活性化、魚介類
手を加えて藻場を生物生産の場、里海として積趨的
などの多くの生物が生息、刈り取ったアマモを陸上
に 利 用 す る こ と も 改 善 方 策 の 1っと考えられる。
の農地の肥料として利用、などの毘海効果により沿
岸域の物質循環の促進に繋がると考える
O
2. 皇 海 創 生 実 験
藻場における;魚介類の利用の仕方を埋解するため、
(
a
)
藻場外
三津口湾のアマモ場を対象に、藻場内とアマモの生
えていない場所およびアマモの生え捺における魚介
)
(し口
臼
))0 そ の 結
類 な ど 生 物 の 生 息 調 査 を 行 っ た ( 図 1(
果、魚介類はアマモの無い場所や藻場の中よりアマ
刈り取った
モの生え際に数多く生息していることがわかった。
試験匹
また、アマモ築上付着動物や底生生物の調査によれ
ば、生物の種類数、個体数共に藻場内よりアマモの
生え際において大きい結果が得られた。そこで、生
6
7
図 1.里 海 創 生 実 験 と 効 果 の 検 証
カキ礁を形成するカキ類の殻開閉リズムと干出ー冠水リズムの関係、
。帰山秀樹・鈴木健吾・徳永貴久・木元克則・小谷祐一(西海区水産研究所)
【はじめに]
カキ礁は採菌、地蒔を繰り返すことにより
主に泥干潟上に形成され、カキ類が鉛直方向
へ積み重なり成長することにより、その構造
が維持される。カキ礁はカキ類の高いろ水能
力に伴う水質浄化機能およびベントスへの
多様な生息空間の供給という二つの機能を
有した環境であると考えられている。本研究
は、有明海湾奥部のカキ礁の機能を評価する
一環として、カキ礁を形成するカキ類の生理
学的特性を明らかにすることを目的とした。
本発表では干出-冠水リズムに着目し、現場
海域における殻体運動のモニタリングなら
びに室内実験による殻の開閉と酸素消費速
度の関係について報告する。なお、有明海の
カキ礁には 3種のカキ (
C
r
a
s
s
o
s
t
r
e
ag
i
g
a
s
,C
.
a
r
i
a
k
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n
s
i
s
,C
.s
i
k
a
m
e
a
)が出現すると考えられ
ているものの、C.g
i
g
a
sと仁 s
i
k
a
m
e
aは外部
形態からの種判別が困難であるため本研究
ではc.g恕a
s
/
包i
kameaとした。
【材料および方法】
現場観測は有明海湾奥部西部のカキ礁に
おいて 2
0
1
0年 6月(c.gig
ω
,'
/
s
i
k
a
m
e
a
)および 7
月(c.a
r
i
a
k
e
n
s
i
s
)に実施した。各月の小潮時に
ホール素子を装着したカキ類 8個体をカキ礁
に設置し、殻体運動を約 2週間連続的に測定
した。回収した個体の殻を用いキャリプレー
ションを行い電圧値は開殻距離に換算した。
また、カキを設置した近傍に深度計もしくは
多項目水質計を設置し水深データ等を収集
した。
実験室では暗条件、無給餌状態で、砂ろ過
海水かけ流し (
2
4 時間冠水)および 1 日に
2
.
5 回干出を経験する条件におけるカキの殻
体運動を測定した。さらにホール素子を装着
したカキ類を用い酸素消費速度の測定を行
った。実験はろ過海水を満たした 2L容セパ
ラブ、ルフラスコにカキ類 1個体を収容し行い、
DOセンサーで溶存酸素濃度の経時変化をモ
ニターした。
【結果および考察】
現場観測の結果、カキ礁のカキ類は冠水時
は殻を開いた状態、干出時は殻を閉じた状態
であった。C.a
r
i
a
k
e
n
s
i
sはC.g
i
g
a
s
/
s
i
k
a
m
e
aに
比べ地盤高の低い場所に生息しており、両者
の経験する干出時間は異なる。そのため、閉
殻持続時間も異なった。すなわち、仁
g
i
g
a
s
/
s
i
k
a
m
e
aの 24時間積算閉殻持続時間は
9
.
0
土0
.
8 時間/日で調査期間を通しほぼ一定で
あったのに対し、仁 α
r
i
a
k
e
n
s
i
s は小潮時の
2
.
0
土0
.4時間/日から大潮時の 1
2
.
1土0
.
2時間/日
の間で変動した。
砂ろ過海水かけ流しの条件下におけるカ
キ類の殻体運動は現場海域で見られた干出
ー冠水に伴う閉殻-開殻の周期性が認めら
れず、閉殻持続時聞が 24時間以上を記録す
る個体、あるいは数時間おきに開殻と閉殻を
繰り返すノミターン等が観察された。一方、干
出ー冠水周期を与えた水槽で飼育した仁
a
r
i
a
k
e
n
s
i
s は概ね現場海域で観察された殻の
開閉パターンと同様の挙動を示したものの、
C
.g
i
g
ω々
i
k
a
m
e
a は冠水時においても関殻状
態を持続する個体が認められた。酸素消費実
験には砂ろ過海水かけ流しの条件で馴致さ
せた個体を用いたが、開殻時はほぼ一定の速
度で溶存酸素濃度が低下した。閉殻時も溶存
酸素濃度の低下が認められるものの、その減
少率は開殻時に比べ極めて低く、カキ類の呼
吸によるものではなく、殻の表面のバクテリ
ア等による酸素の消費であると考えられた。
以上より、干出-冠水を周期的に経験する
カキ礁のカキ類は連続的に閉殻-開殻を繰
り返しており、閉殻時のカキ類は呼吸を行わ
ない、すなわち物質循環には寄与しないこと
が示唆される。これは生態系モデ、ルやボ、ツク
スモデル等におけるカキ類のパラメータを
考える上で、カキ類の干出経験時間を考慮す
る必要があることを表している。
phu
o
o
安定同位体比からみた和白干潟におけるマクロベントスの生息環境
児玉真史(中央水研)・山崎明香・池田宜弘・山田真知子(福女大人環)
次いで、軟体動物,底生微細藻類の順で,植物プランクトン
や懸濁物質として存在する割合は小さかった.軟体動物は
年聞を通じて 8割以上がウミニナ類で占められていた.ア
オサを中心とした大型海藻は季節変動がきわめて大きく,
年間の大部分は全く存在しないが,最繁茂期の 1
0月には
SOMの現存量を上回っている.この時期には軟体動物(ウ
ミニナ類)およびヨコエビ類の顕著な増加, SOM,底生
微細藻類の減少がみとめられ,一時的に和白干潟および周
辺海域に重大な影響を及ぼしていることが確認された.
3)博多湾奥部の堆積物環境
国 - 2に 2009年 8月および 1
0月に採集した博多湾奥人
3C
工島周辺の堆積物の炭素安定同位体 (
o1
) と有機炭素含
量 C (m
g
/
g
) の関係を示した.多々良川河口付近の S
t
n
.
9
のみ他の定点と傾向が異なり,有機物含量は多いが, o13C
が低く,陸起源河川由来の有機物が多く堆積しているもの
と推察される.一方,その他の定点では有機物含量に大き
1
3C値は和白干潟上の POMや SOMに近
な違いは無く, o
加.
5
) において
い値となっている.和白干潟前面海域 (
S
も同様で,アオサの値とは大きく異なっていることから,
酸素消費の主体となる有機物の起源はアオサではなく植
物プランクトン等であり,ここでの貧酸素水塊の著しい発
達には,閉鎖度の高さなど別の要因が寄与しているものと
推察された.
+
射
20
言むが
E
505
1
句
1
.はじめに
福岡市の博多湾東奥部に位置する和白干潟は,大都市を
背後に控え,下水処理場から多量の排水が、流入する一方で,
前面に人工島が建設され極度に閉鎖性の高い場所に位置
していることから,湾内でも富栄養な環境におかれている.
また,和白干潟前面海域は夏季の博多湾において観測され
る貧酸素化がもっとも著しい梅域となっている.さらに,
秋季を中心にアオサ類が大量に繁茂し,和白干潟上に生息
するマクロベントスの生息環境や周辺環境に重大な影響
を及ぼしているものと推察される.今後,このような必ず
しも好ましくない極端な生態系や環境の変動を改善する
ためには,周辺海域の物質循環を定量的に理解することが
不可欠であるが,そのための知見は十分ではない.
そこで本研究では,炭素・窒素安定同位体比をツールと
して,和白干潟におけるマクロベントスの会性・餌料環境
を調べるとともにアオサの消長などの季節的な生態系の
変化が周辺環境に及ぼす影響を明らかにすることを目的
とした.
2 材料と方法
博多湾最奥部の和白千潟において, 2009年 4月から 2010
年 3月にかけて月 1回の頻度で 1年間にわたり生物・化学
調査を実施した.マクロベントスとしてウミニナ類,アサ
リ,これらの餌料源候補として周辺の懸濁態有機物
(POM),底生微細藻類 (BMA),大型海藻 (MA),堆積
物等 (SOM) を採集し,それぞれの O13C,O15N,C.N 含
有量等を測定した。また, 2009年 8月および 10月に博多
湾奥部の人工島周辺海域において堆積物を採集し,同様の
分析を行った.
3
.結果および考察
1)マクロベントスの餌料環境
アサリの安定同位体比はいずれも夏から秋に高く,冬か
1
3Cで約一 1
ら春に低くなる明瞭な季節変動を示し, o
5
"
'
5
1
9%0,
O1
N で約 1
0
"
'
1
4
%
。の範囲で大きく変動した.また,
餌料源候補との比較からアサリは千潟沖合で生産された
POMや BMAを主な餌料にしていると考えられた.一方,
ウミニナ類については O13C,O15N ともにアサリよりも変
動が小さく,明瞭な季節変動は見られなかった.また,年
間平均値の比較では O13C,O15N ともにウミニナ類の方が
約 3%
。高くなっていた.アサリと同様にウミニナ類の同位
体比を餌料源候補と比較したところ,いずれの基礎生産者
からも遠い一方でアオサ付着物の値にもっとも近くなっ
ており,アオサや堆積物上に存在する微生物等を主要な餌
料としている可能性が示唆された(図 -1).
2
)和白干潟上における有機物の存在形態
和白干潟上の単位面積当たりの有機炭素量 (gC/m2) を
生物・形態ごとに整理したところ,有機炭素の存在形態と
しては堆積物中 (SOM)に含まれるものがもっとも多く,
+
0
30
・
2
0
2
5
1
5
1
0
時
5
d13C(
%
0
)
図ー 1 和白干潟上 (
8
3
)の有機炭素・窒素安定同位体マップ
60
・
S加 9
.
.
...•・,~ (書々良川河口
50
1
1
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.
・
.
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三
330
1
0
S~~
日
亙j
O
2
7
2
5
~ ~
2
3
3C(
d1
%
0
)
S加 .
5
•
(和自前面)
2
1
図 -2 博多湾奥部における堆積物の d13Cと有機炭素含量の関係
-69-
河口干潟の物質収支
一高松市新川・春日川河口干潟域における窒素・リンの流入出量一
香川大学瀬戸内圏研究センタ一
一見和彦
【はじめに】
近年、干潟の重要性が指摘されている中で、干潟が沿岸域で果たす機能的な役割につい
て研究された例は未だ非常に少ないのが現状である。河川│から海域へ流入する物質に対し
干潟が緩衝作用や除去作用を持つことが定性的には知られているが、定量的に評価された
研究はほとんどない。本研究では、河口干潟域において河川からの負荷および潮汐の変化
に伴う窒素およびリンの収支を評価する目的で観測を行った。
【観測・評価方法】
、 8月
、 1
1月に二潮汐聞の 24時間連続
新川・春日川河口干潟域において、 2008年 5月
観測を行った。干潟域と海域の境界部に一定点を設け、 1 時間 30分から 2時間 30分ごと
0ー 70cm深)を採取した。上げ潮時には海域から干潟域への流入量として、下
に表層水 (
げ潮時には干潟域から海域への流出量として、干潟域一海域間での懸濁態有機窒素 (PON)、
溶存態無機窒素 (DIN)、懸濁態リン (PP) および溶存態無機リン (P04) の収支を見積も
った。また新川と春日川については、最下流部の堰堤上で河川流量を求め、河川水中の窒
素・リンの濃度を乗じることにより河川│からの負荷量を算出した。
【結果および考察】
、 8月
、 1
1月にそれぞれ 133kg、8旬、 39
両河川からの 1 日当たりの窒素負荷量は 5月
kgであった。また、上げ潮時における海域から干潟域への流入量と、下げ潮時における干
、 8月
、 1
1
潟域から海域への流出量から、二潮汐間の窒素収支を見積もったところ、 5 月
月にそれぞれ河川からの負荷量を上回る 199旬、 1
51kg、 150kg が海域へ流出すると算
、 8月
、 1
1月にそれぞれ 28旬、 12旬
、
出された。同様に、両河川からのリン負荷量は 5月
6kgであり、二潮汐聞のリン収支として、 5月
、 8月
、 1
1月にそれぞれ 44旬、 40kg、25
kg が海域へ流出したと見積もられた。当研究室では 2006年にもリンについて同様の 12
時間連続観測を行っている。その結果として、 1
1月には 2008年と同様に海域へリンが大
きく流出していたが、 5月と 8月は、河川│からの負荷量に対して海域への流出量は少なく、
リンが干潟内に捕捉されている結果が得られた。 2008年に 2006年と同様の補足作用が認
められなかった要因として、 2008年の 5月と 8月は平年と比べて河川流量が非常に小さ
く窒素・リンの負荷量が少なかったため、干潟域での分解・放出量が干潟内への捕捉量を
上回ったためと考えられる。
-70-
東部瀬戸内海の表層堆積物における生物起源珪素の分布と収支
山口一岩(香川大農)・三好慶典(愛媛大院理工)・加三千宣(愛媛大上級セ)・
槻木玲美(愛媛大 CMES)・武岡英隆(愛媛大 CMES)・多田邦尚(香川大農)
東部瀬戸内海域を対象に,表層堆積物 (
0
1cm)における生物起源珪素 (BSi)の分布
と収支を,全窒素 (TN),全リン (
T
P
)の様子と比較しながら調べた。 OeMaster(
1981
)
の
方法に基づき定量した B
S
i含有量は, 2
.
0
2
2
4
.
8mgSig
lの範囲にあり,全測点の平均
値(+ S
.
O
.
)は 11
.5 土 7
.
7
0mgSig
l(
n=2
5
)で、あった。 B
S
i含有量の水平分布は,
TN,TP と同様,堆積物含水率との間に高い相関を示しており,海底沈降後の粒子の
再分配影響が表れていると考えられた。播磨灘と大阪湾海域の生物活動を通じた水
柱から堆積物への B
S
i,TN,TPの移行量(総計 1
0X 1
04 t
S
iy
r
七1.4X 1
04 tNy
r
,l
0
.
2
6X 1
04 tPy
r
-1)は,同海域での植物プランクトンによる S
i,N,P年間生産量の各々
2
0,5
.
1,6
.
8%に当たると試算された。東部瀬戸内海で一次生成した粒状態窒素・リン
の大部分は系外へと流出する一方,珪素については堆積物が lつの主要シンクにな
っていると見ることができる。
Ei
唱
i
門
伊予灘の栄養塩動態(物質循環)について
0小森田智大*・郭新宇料・藤井直紀紳・吉江直樹**・武岡英隆紳
(*熊本県立大学環境共生学部、料愛媛大学沿岸環境科学研究センター)
キーワード:伊予灘,栄養塩、潮汐フロント
1
.はじめに
けて、観測を実施した(図1)。本研究では、この
沿岸生態系の構造を把握する上で,親生物
観測結果に、佐田岬半島の先端において 1日に l
元素(特に無機態栄養塩類となるN,P,Sりの構成
田の頻度で行っている栄養塩の連続観測結果
比およびそのマスバランスに着目することで、有
を加えて、混合域(豊予海峡)と成層域(伊予
益な情報を得ることが可能である。沿岸域におけ
灘中央部)聞に形成される潮汐フロントが伊予
る植物プランクトンによる基礎生産は、供給される
灘の栄養塩動態に対して与える影響を報告す
栄養塩類の組成比と供給量に影響され、基礎生
る
。
産を制限する栄養塩は、その供給量、流出量お
よび消費量により決定される。そのため、沿岸生
2
.
調査方法
態系においては、親生物元素の物質循環過程を
海水試料は、全測点において、自律型採水
支配する要因がその生態系を特徴付ける重要な
システム多筒採水器付CTDにより水温、塩分、
光量子、濁度、 C
h
l
o
r
o
p
h
y
l
1a、溶存酸素の観測
を行い、表層から鉛直方向に10m間隔で採水を
実施した。得られた海水試料についは、採水
後、即座にディスクフィルターを用いて加圧
櫨過をし、櫨液をポリエチレン製の容器に採
取し、 300Cで凍結保存した。海水中に含まれ
る栄養塩類 [NH
-N,
N0
+N0
P0
P
,
4
2N,
3
4
・
S
i
(
O
H
)
4
・S
i
]の濃度は栄養塩自動分析装置を用
いて測定した。
3
.
結果と考察
調査を開始した 2
0
0
9年 4月から 9月にかけ
33.2
S
t
n14-6)において成層構造
て伊予灘中央部 (
が形成されていた。この時期においては、 S
t
n
l
6
3
3
.
0
-18の中層で高濃度の C
h
l
.
aが検出された。 1
0
月 -11 月になると、海面冷却に伴う鉛直混合
32.8
.8
131
が発達したため潮汐フロントは消失した。混
1
3
2
.
0
1
3
2
.
2
132.4
1
3
2
.
6
1
3
2
.
8
Lo時 i
t
叫 e
(
E
)
合域における栄養塩濃度は底部冷水塊に次い
で高く、伊予灘への栄養塩供給源として重要
図 1 観測海域と観測点の概要
であることが示唆された。
門
白
つi
画部瀬戸内海にホける植物τ
弓ンヴトシ群集構造G)時空間変化
01吉 江 直 樹 ・
1
藤 井 直 紀 ・ 1郭 新 字 ・ 2小 森 田 智 大
(1愛媛大 CMES
,2熊本県立大)
キーワード:伊予灘・豊後水道・植物プランクトン・海洋生態系モデ、ル
【はじめに】
張した e
NEMUROv
e
r.
4(
4
N
4
P
4
Z
4
D
)を開発し、
近年、様々な環境変化に伴い激変中の海洋生態系
伊予灘・豊予海峡・豊後水道を 5 つの領域に分けた
に関して、現場観測と直接比較可能なほどのローカ
5Boxモデ、ルによるシミュレーションを行った。
ルスケールで、ローカルな現象にまで踏み込んだ生
態系影響評価が急務とされている。
[結果・考察】
我々は、西部瀬戸内海(伊予灘・豊後水道)を対象と
観測から、次の時空間変化が明らかとなった。春から
して、それらを取り扱うことので、きる海洋生態系モデ、ル
夏にかけて、小型のヒoコ・ナノ植物が全域において優
の開発を行うと共に、モデルに必要な生物地球化学
占していた。夏から秋にかけては、伊予灘・豊予海峡
的データを高頻度・広域観測により取得してきた。
では底部冷水の崩壊とリンクした顕著なケイ藻ブルー
本講演では、 2009年の現場観測により明らかとなった
ムが生じていたが、豊後水道では 3種の植物が同程
伊予灘・豊後水道における植物プランクトン群集構造
度の割合で共存していた。冬季には、伊予灘ではケ
の季節的・空間的変化と、海洋生態系モデ、ルによる
イ藻が優占的で、あったが、豊予海峡・豊後水道では 3
それらのシミュレーションについて報告する。
種が共存していた。また、 Ch
.
la濃度を用いて各植物
プランクトン群の優占率を推定する以下の関係式を
【方法 1
求めることができた。
2009年 4月から 1
1月にかけて、伊予灘・豊予海峡・
6
*
l
n
(
[
C
h
.
l
a
]
)
+
4
5R
=
0
.
6
7
ケイ藻優占率(%) =2
豊後水道を網羅する観測点において、物理的な水塊
ナノ植物優占率(%)=ー 1
1
*
l
n
(
[
C
h
.
l
a
]
)
+
2
8昨 0
.
5
4
構造、栄養塩、懸濁粒子、植物・動物プランクトン群
ピコ植物優占率(
%
)
=
1
5
*
l
n
(
[
C
h
.
l
a
]
)
+
2
7R
=
0
.
5
6
集組成などを調べた。植物プランクトンは、ピコ植物・
本研究では、海洋生態系モデルを用いて、観測され
ナノ植物・マイクロ植物(ケイ藻)の 3群について、サイ
た栄養塩・植物プランクトン動態を極めて現実に近い
ズ分画 Ch
.
la濃度 (0.2-2μm,2-10μm,>10μm)から各
)。今後は、高解像
形で再現することに成功した(図 1
現存量を求めた。海洋生態系モデ、ルは、 P
I
C
E
S(
北
度 3次元物理モデルと結合させ、より現実的なシミュ
太平洋海洋科学機構)の標準モデル NEMUROを拡
レーションとメカニズム解析を行ってゆきたい。
1
2
)
(
主
主
0
.
6
5
s
4
0
.
4
3
蝿
制
蝉 4
2
0
.
2
轍
主~
o
B
0
.
0
0
.
6
~0.6
3
.
0
E
2E0
.
4
0.
4
2
.
0
目
瞬
陀
│
酎0
.
2
0
.
2
1
.
0
理
審 G,O 1月
4月
7月
10月
0
.
0
1月
4月
7月
10月
0
.
0
1月
4月
7月
図1.伊予灘における栄養塩・植物プランクトンの季節変化(線:モデル,点:観測)
10月
円ぺU
門
i
2
2AO-S2
地形のダイナミクスとパターン及び境界領域
研究代表者・柳田達雄(北海道大学電子科学研究所)
1 研究集会の開催目的
多くの地形変化のダイナミクスは流体運動とそれに伴う物質移動からなっている.物質移動は,流体運
動を規定している境界条件を変化させ,その変化が涜れにフィードパックする極めて非線形性の強い現象
である.地形変化の代表的な例は,河川涜路変化・河岸変化・砂丘移動・鍾乳石形成・熱収縮割れ目の形成
などと多岐にわたり,各分野で異なる対象・異なる方法論で取り扱われてきた.
本研究集会では,乙れらの現象を流れとそれに伴う物質移動による境界の自発的運動として捉え,異分
野での理論,数値計算,実験・観測など異なる方法論の研究者が最新の知識を共有することにより,新たな
知見や方法論を見出すことを目的としたい.
このような流体の流れ場による固体移動,また,それに起因した流れ場へのフィード、パックのダイナミ
クス及びパターン形成の研究集会は,応用力学研究所の共同研究集会として開催することが最適と考えら
れる.
2 プログラム
11月 30日(火)
1
4
:
0
0
1
4
:
4
5 鈴木太郎(金大自然科学),遠藤徳孝(金大理工)
ハイドログラフ・パターンとマイクロ・デルタシステムの応答に関する実験観察
1
4
:
4
5
1
5
:
3
0 泉典洋(北大工)
水路の分岐現象
1
5
:
4
5
1
7
:
1
5 市原美恵(東大地震研),ピダル・パレリー(リヨン高等師範)
泡のぷくぷく音の発生メカニズムとそのパターン
1
7
:
1
5
1
8
:
0
0 中西秀(九大理)
ダイラタント涜体の流体力学モデルと振動不安定性
12月 1日(水)
9
:
3
0
1
0
:
1
5 新屋啓文,粟津暁紀,西森拓(広大理)
砂丘骨格模型による砂丘動力学
1
0
:
1
5
1
1
:
4
5 山口哲生,土井正男(東大工)
高分子ゲルのすべり摩擦:地震現象との対応
1
2
:
0
0
1
2
:
4
5 小山岳人(海洋研究開発機構)
新しい相分離現象によって想像する大陸と海洋の形成過程
3 講演内容の概要
ハイドログラフ・パターンとマイク口・デルタシス
テムの応答に関する実験観察
鈴木太郎,遠藤徳孝
になる.本講演では,様々なハイドログラフバター
ンにおけるマイクロデルタシステムの応答を紹介す
る.
デルタシステムにおいて,トップセットより上涜から
供給される涜量が変動すると,トップセット上の土砂
輸送が非平衡になり,デルタの前進プロセスは多様
44
i
門
泉典洋
砂丘骨格模型による砂丘動力学
新屋啓文,粟津暁紀,西森拓
一本の水路が複数の水路に分岐する過程を説明する
砂丘は風向や砂の量に応じて,三日月や棒状,星,
水路の分岐現象
簡単なモデルを提案する.モデルでは水路頭部を開
ドーム状など様々な形状を示すことが知られている.
口部でモデル化し,そこに擾乱を与えて線形安定解
析を行った.解析では非平衡の効果を多重尺度法を
我々は,一方向の風の下で形成される横列砂丘とパ
ルハンの形成過程や運動を理論的に捉えるため, 2次
用いて考慮した.
元断面の結合系から構成される砂丘骨格模型を提唱
)砂丘形態について:i
l
)砂の量と
した.その結果, i
断面聞の砂の流量の増加が横列砂丘の安定性を強め
泡のぷくぷく音の発生メカニズムとそのパターン
る. i
2
)砂の量の減少と断面内の砂の流量の増加が
市原美恵,ビダル・パレリー
i
)パルハ
横列砂丘からパルハンへの変形を強める. i
ンの性質について: i
i
l
)上流から空間的に一様な砂
琉体の中で連続的に泡が発生すると,ぷくぷくとい
を供給した場合,定常パルハンが実現するために許
う音が聞こえる.なじみ深い現象であるが,内在す
される供給量の範囲が狭く,また,形成されるパル
る物理過程は実に多様である.ジェル流体の場合に
ハ ン の サ イ ズ は ほ ぼ 一 意 的 に な る ト2
)パルハン中
は,気泡が次々と液面で破裂し,音を発生する.一
心軸付近への局所的な砂の供給の場合,広い範囲の
見,同じ現象の繰り返しに見えるが,破裂音の波形
供給量で定常パルハンが実現され,供給量に応じた
はあるパターンを持って準周期的に変動する.さら
サイズの異なるパルハンが形成される.ことを明ら
に,破裂前に弱い前駆的音波が計測され,その先行
かにした.
時間と破裂音の波形が明瞭な相関関係を保って変動
していることが分かった.物性試験や,データ解析
の結果,その原因が,繰り返し破裂する気泡が流体
高分子ゲルのすべり摩擦:地震現象との対応
山口哲生,土井正男
内部に残していく履歴の蓄積にあり,その蓄積過程
に,流体自体の持つ記憶効果と,液面近くに溜まっ
やわらかくて粘着性のある高分子ゲルを硬い基板上
ていく残留気泡の影響であると結論付けた.ある現
ですべらせると,時空間的に不均一なスティックース
リップ運動が生じる.本発表では,すべりの規模と頻
象の時間間隔,様式,前兆信号,そしてそれらを支
配する記憶効果や前のイベントから次のイベントへ
のフィード、パック現象者E解明することは,地球科学の
度に関するべき状則(グーテンベルグーリヒター則)
や,ゆっくりとしたすべり(ゆっくり地震)など,高
最重要課題の 1つである.系は大きく異なるが,こ
分子ゲルのすべり摩擦と地震現象との対応について
のような室内実験から得られる知見は地球科学現象
議論する.
の理解にも役立てられるはずである.講演では,他
に,水のぷくぷく音に見られる面白いパターンと,
カレーとトマトソースを煮るときに聞こえるぷくぷ 新しい相分離現象によって想像する大陸と海洋の形
く音の発生メカニズムを紹介する.
成過程
小山岳人
地球の大陸と海洋はどのようにして生まれたのか.
夕、イラタント流体の流体力学モデルと振動不安定性
乙れを説明するために現在,プレートテクトニクス
中西秀
そはじめとした,それぞれ異なる特徴や利点を持っ
濃厚なコロイド系や粉体・流体の混合系は非常に急
た,いくつかの理論があります.これらの聞には,し
激なずり粘化をしめす.その振る舞いがダイラタン
かし意外な共通点があるように思われます.それは,
シーの原理に従う粉粒体系と似ていることからダイ
大陸は地球内部の現象によりいわば“受動的に"変化
ラタント涜体と呼ばれてきたが,ずり粘化の微視的
する,ということ.では逆に,大陸が“能動的に"変
なメカニズムはいまだ明らかにはなっていない.本
化する,としたらどのような解釈が可能でしょうか.
講演では,ダイラタント流体の現象論的モデルを構 大陸形状に類似したパターンが現れる新しい相分離
成し,その振る舞いを調べる.特に,シア涜や斜面 現象との類推により,その様な大陸と海洋の形成過
流においてずり粘化振動を起こすことを示す.
程が想像できます.それは,地球表層において,最初
は大陸構成物質と海水とが混合していたものが,分
門
i
Fhu
離することにより,大陸部分は“自ら"収縮,分裂し
て広大な海盆を形成するに至り,同時に海水を“し
ぼ り 出 し た というものです.このよう考える利点
の一つは,大陸構成物質と海水という成分的特徴仁
他の惑星には見られない地球の二つの特徴の発現を
同時に説明できることです.加えて,このような機
構と結びついた,大陸の表面構造一摺曲構造ーの形
成についてもお話致します.
高所(大陸)と低所(海洋)という測地的特徴という,
4 開催日程,場所
開催日程
開催場所
2010年 1
1月 3
0日(火) -1
2月 1日(水)
九州大学応用力学研究所西棟 6階多目的研究交流室 CW601号室)
講演数
7件
参加者数日人
-7
6
2
2AO-S3
研究集会「海洋レーダを用いた海況監視システムの開発と応用」報告
研究代表者
琉球大学工学部藤井智史
沿岸域での海況を高時空間分解能で計測でき、その把握や予測に極めて有効な観測手段である
海洋レーダを沿岸海況監視システムとして活用する方法や応用技術について議論するため、標記
研究集会を平成 2
2年 1
2月 1
6日午後 (
1
4
:
0
0
"
'
17
:5
5
)、 1
2月 1
7日午前 (
9
:
3
0
"
'1
1
:
3
0
) の日程で、
応用力学研究所東アジア海洋大気環境研究センター
W601 号室にて開催した。この研究集会は、
海洋レーダの開発や応用を推し進めるにあたり、観測技術の開発、解析手法の改良、観測結果の
応用などについて研究成果をもちより議論することにより、今後の海況監視システムの改善や新
しい解析手法の開発に役立てることを目的としている。研究集会には 9 件の講演があり、 33名
の参加があった。以下に各講演の概要等をまとめた。
スリーエスオーシャンネットワークの勝呂らは、 CODAR杜の SeaSonde レーダのハードウェ
アとソフトウェアの最新版を紹介した。新型のアンテナはラジアル用素子がなくなり送受信共用
の 1 本のマスト状になっており、軽量で設置が簡単になり、機動的な観測の展開に威力を発揮す
ることが期待される。ソフトウェアについてもさまざまなオプションが付加できるように改良さ
れたシステムが紹介された。情報通信研究機構 (
NICT)沖縄亜熱帯計測技術センターの杉谷らは、
石垣に設置されていた遠距離海洋レーダの停止とその再利用について報告があった。現在、 NICT
では分散型海洋レーダの開発を計画しており、その内容と旧石垣局レーダを使った検証方法など
が紹介された。また、与那国局については台湾島内で展開されている海洋レーダとの連携を構想
し、初期段階として台湾の海洋レーダからのバイスタティック受信の予備実験の結果を示した。
電力中央研究所の吉井らは、昨年の研究集会に引き続き、海洋レーダの受信信号を用いた表層塩
分分布計測の可能性について論じた。直接受信電力から塩分に関係する電気伝導度を求めるので
はなく、受信信号の変化から電気伝導度を求める定式化を行った。有明海での観測では、筑後川
出水時の受信データにあてはめ、出水に伴う湾内の成層形成過程を定性的にとらえられることが
示され、塩分計測という新しい応用に向けて期待が持てる議論となった。
琉球大学理学部の久木は、一昨年の研究集会で提案した海洋レーダの受信スベクトルを用いた
波浪スペクトル推定法に関して、実地観測およびモデ、ル計算との比較と推定精度の検討を行った。
2000年と 2
0
0
1年の沖縄近海での海洋レーダ観測のデータから求めた波浪スペクトルは、ある程
度波高が大きくなると実地の観測値との差は小さくなり、波浪推算モデ、ルで、計算された波高の平
面分布とよく対応することが示された。九州大学応用力学研究所の古川は、海洋レーダで計測さ
れる表層流と風や波との関係に着目しストークスドリフトの影響に関して論じた。対馬海峡での
3年半の海洋レーダの流速データと同時期の水位、風、波浪のデータを解析し、表層流の波浪依
存牲に関する統計的有意牲を検証した。まだ、途中段階ということであるが、有義波高との依存
牲が見られるなどの結果が紹介され、今後の研究の進展が期待される。琉球大学工学部の知念ら
は
、 2
010年 2月に発生したチリ地震による遠地津波の観測可能性に関して講演した。伊勢湾に設
置された海洋レーダの定常観測での流速算出は 1 時間ごとであるが、この間隔では津波検知は困
-77-
難であることを、入手できる水位観測のいくつかの時間間隔で、の津波到来時の水位変動の例から
示し、連続受信されているスベクトルデータ自体から流速を算出する必要性を明らかにした。
東シナ海南部の黒潮上流域を観測している NICT の遠距離海洋レーダの流速データを活用した
研究が 3編発表された。まず、名古屋大学地球水循環研究センターの森本らは、改良された計算
アルゴリズムから得られた再計算流速データセットを用いて、台風通過に伴う黒潮流軸の変化を
調査した。その結果、台風通過後に黒潮が台湾北東の大陸棚上に乗り上げるとしづ流動場の変化
を明らかにした。これは陸棚上に現れる低温域の発生や大気海洋モデ、ルによる再現計算とも一致
するもので、あった。九州大学大学院総合理工学府の山内らは、流速データに含まれる水吹流成分
a
s
o
n
l の海
の季節依存'性に関する研究を行った。これは海洋レーダの 3年半の流速を基にし、 J
面高度計データからの地衡流成分と調和解析による潮流成分を取り除いたものを水吹流として扱
い
、 QuikSCAT の風データとの比較を行ったものである。その結果、黒潮上流域において流速と
風速の比と流向の風向から時計回り回転角が夏季に大きくなり冬季に小さくなるというも季節変
動が見られた。これは対馬海峡で見られた結果と一致し興味深い。九州大学大学院総合理工学府
の辻らは、衛星高度計データから沿岸域に特化して計算された流速との比較を調べた。比較は山
内らと同様の 3年間半の期間について行われ、水深が 200m以浅の領域で海洋レーダの流速とは
著しく相関が低いことが示された。これは、数日程度の短周期の非地衡流成分が影響しているこ
とを示唆しているということである。
各講演に対しては活発な議論がなされた。また、総合討論では、琉球大学工学部の藤井から国
I
T
U
R
)での海洋レーダに対する国際的な周波数割当にかかる審議状況が
際通信連合無線通信部門 (
0基、世界的にも 300基あまりの海洋レーダが運用されている現状から、
報告された。園内に約 5
このような社会的動きを引き起こしており、それに伴って研究分野のさらなる発展が期待されて
いるのは言を待たない。また、各大学や研究機関が運用している海洋レーダは設置から時聞が経
ち、今後の計画等の情報交換がなされた。その中で各機関問での研究連携の推進がより重要にな
ることが示唆された。そのような状況で、海洋レーダに関する国内では唯一の研究集会である本
研究集会が寄与する部分は大きく、今後とも活発な議論の場の提供が望まれるものである。最後
になったが、開催に尽力いただいた九州大学応用力学研究所東アジア海洋大気環境研究センター
の古川裕准教授、増田章教授はじめ各位に感謝する次第である。
7
8
九州大学応用力学研究所共同研究集会
海洋レーダを用いた海況監視システムの開発と応用
(代表者:藤井智史、九大応力研世話人:古川
日程:2010年 1
2月 1
6 (木)午後
裕)
'
"
'
' 1
7日 (金)午前
場所:九州大学応用力学研究所・東アジア海洋大気環境研究センタ- W60 1号室
【プログラム】
1
2月 1
6 (木)
14:00-14:05 あいさつ・趣旨説明
藤井智史(琉球大学工学部)
14:05-14:35 CODAR
社 SeaSondeのハードウェアとソフトウェア最新機能紹介
D.BarrickL.Pederson(CODAR Ocean S
e
n
s
o
r
s
)勝目一彦 (ストエス・オーシャンネットワーク
14:35-15:05 NICT
遠距離海洋レーダ与那国局・石垣局の再利用と技術開発
杉谷茂夫、花士
弘・川村誠治 (
N
I
C
T沖縄センター)
15:05-15:35海洋レーダを用いて表層塩分を計測する試み
吉井
匠、坪野考樹、松山昌史、坂井伸一(電中研)、多田彰秀(長崎大工)
藤井智史(流大工)
15:35-15:55 休憩、
15:55-16:25海洋レーゲによる波浪デイの検証:現場観測及びモデルとの相互比較(その 2)
久木幸治(流大理)
16:25-16:55 ストークスドリフトについて
古川裕(九大応力研)
16:55-17:05 2010年チリ津波観測の試み
知念竜希、藤井智史(琉大工)
1
2月 1
7日(金)
09:30-10:00 台風通過に伴う台湾北東海域での黒潮流軸の変化
遠距離海洋レーゲデータ
解析と数値モテ寺 f
哨平析
森本昭彦、高橋大介(名大水循環センター)、杉谷茂夫 (
N
I
C
T沖縄センター)、
相木秀員Ij (
J
AMSTEC) 、吉岡真由美、坪木和久(名大水循環センター)
10:00-10:30 黒潮上流域における吹送流と風速の関係の依存性
山内達矢(九大総理工)、市川
香(九大応力研)、辻伶(九大総理工)
森本昭彦(名大水循環セント)、杉谷茂夫 (
N
I
C
T沖縄セント)
1
0
:3
0
1
1
:00遠距離海洋レーダを用いた沿岸域海面高度計データの精度評価
辻伶(九大総理工)、市川
香(九大応力研)、安倍大介(中央水研)、
N
I
C
T沖
山内達也(九大総理工)、森本昭彦(名大水循環セント)、杉谷茂夫 (
縄センター)
1
1
:0
0
1
1
:30総合討論
7
9
2
2AO-S4
「日本海及び日本周辺海域の海況モニタリングと
波浪計測に関する研究集会」報告
水産大学校海洋生産管理学科滝川哲太郎
2010年 1
2月 17日から 1
8日にかけて九州大学応用力学研究所において日本海及び日本周辺海域
の海況モニタリングと波浪計測に関する研究集会」が開催された.大学および試験研究機関を中心に 34
名が参加し,合計 1
4題の講演があった(プログラム参照).例年通り,一題あたり質疑応答を含め 30分
の時間を割し、たため,非常に活発な議論が行われ,時には講演時間を超過することもあった.
講演内容は,津軽海峡通過流量,津軽暖流水の太平洋への張り出し,佐渡海峡通過流量,能登半島周
辺の流動場,山陰沖の潮流や海洋環境,東シナ海表層流の年周期変動,日向灘の表層流,有明海の流動
構造,
2010年夏季の日本近海の海面水温,鉛直粘性係数の見積もり,海洋同化モデ、ル,波浪発達則に
ついてと非常に幅広いもので、あった.本研究集会に特に関連するモニタリングでは,宗谷海峡の
HFレ
2003年
'
"
'
'
),津軽海峡のフェリーADCP
(
1999年'"'-'),対馬海峡のフェリーADCP(
1997年
'
"
'
'
)
と HF
ーダ (
レーダ (
2002年'"'-')による観測があり,それぞれ 10年前後のデータを蓄積している.さらに近年,人工
衛星データが充実しており,長期間の時空間データが使用可能となっている.こうした背景のもと,本
研究集会を通じて,これらのモータリングデータから,様々な時空間変動が見出されてきていることを
改めて実感した.この他にも,各機関で、行っている貴重な観測データも数多く存在する.このようなデ
ータを有効利用し,観測された海洋現象について,一つ一つ明らかになっていくことを期待したい.
本研究集会では,観測データに基づいたモニタリングや他の様々な手法によって行われた日本周辺海
域の海況に関する研究発表があった.今後とも,日本周辺海域の海況・波浪の研究に携わっている研究
者が集まり,活発な議論を行う場となることを期待する.最後に,本研究集会の開催を承諾して頂いた
九州大学応用力学研究所,集会を開催するにあたりお世話して頂いた東アジア海洋大気環境研究センタ
ー・海洋力学分野の増悶章教授をはじめとする諸氏に感謝する.
-8
0
プログラム
日時:平成 22年 1
2月 1
7日(金)
1
8日(土)
場所:九州大学応用力学研究所力学
東アジア海洋大気環境研究センター棟 6階多目的交流室(W601号室)
所内世話人:増田章
研究代表者:滝川哲太郎(水産大学校)
-1
2
1
1
7
(
金)ー1
2
:
4
5・1
2
:
5
0趣旨説明
滝川哲太郎(水大校)
1
2
:
5
0・
1
3
:
2
0津軽海峡における流量変動について (2004-2007の見積もり)
A)・大西光代・磯田豊・
伊藤集通・川村英之 (JAE
中山智治・島茂樹(海洋財団)
1
3
:
2
0・
1
3
:
5
0定期海洋観測からみた 2009年の津軽暖流水の張り出し状況
西田芳則(道総研中央水試)
1
3
:
5
0・
1
4
:
2
0佐渡海峡の通過流量と周辺海域の海面力学高度の関係
柿木康児・渡遁達郎・井桁庸介・高山勝巳・加藤修(水研セ日水研)
1
4
:
2
01
4
:
4
0休憩
圃
1
4
:
4
0・
1
5
:
1
0漁船の操業を利用した ADCP観測の試み
福留研一・千手智晴(九大応力研)・大慶則之(石川水総セ)・
中田聡史(地球研)・広瀬直毅(九大応力研)
1
5
:
1
0・
1
5
:
4
0 日本海山陰海岸沖における日周期潮汐流の鉛直構造
井桁庸介・渡遁達郎・加藤修(水研セ日水研)・山田東也(水研セ西水研)
1
5
:
4
0・
1
6
:
1
0航 走 ADCPを用いた八里ヶ瀬における潮流推定
後藤敏光・滝川哲太郎・漬野明・中村武史(水大校)
1
6
:
1
0
1
6
:
4
0東シナ海の海表面地衡流場の年周期変動
高橋大介・森本昭彦(名大水循環セ)
1
6
:
4
01
7
:
1
0 日本近海における 2010年夏季の海面水温について
圃
石崎士郎(気象庁海洋気象情報室)
旬lム
nHU
一 -1
2
/
1
8
(
土)一一ー
09:000
9
:
3
0 山陰沖の対馬暖流下層で観測された溶存酸素・クロロフィノレ極大
圃
滝川哲太郎(水大校)・森本昭彦(名大水循環セ)・秦一浩(水大校)
09:30・1
0
:
0
0 日向灘における表層流動場の変動特性
渡慶次力(宮崎水試j・柳哲雄(九大応力研)
1
0
:
0
0・1
0
:
3
0有明海の残差流の流動構造と潮汐応力の分布
万田敦昌(長大生産研)・山口敦子(長大水産)・中田英昭(長大水産)
1
0
:
3
0・1
0
:
5
0休憩
1
0
:
5
0・1
1
:
2
0海底エクマン境界層における粘性係数分布
青山桔介(九大院総理工)・吉川裕(九大応力研)・
井手善彦(九大院総理工)
1
1
:
2
0
1
1
:
5
0G
r
e
e
n
'
sf
u
n
c
t
i
o
napproachf
o
rc
a
l
i
b
r
a
t
i
n
gt
i
d
e
s
i
nac
i
r
c
u
l
a
t
i
o
nmodelf
o
rt
h
eEastAsianmarginals
e
a
s
NaokiHirose(RIAM
,
KyushuU
n
i
v
.
)and
Jae-HongMoon,
Ak
i
h
i
k
oMorimoto(HyARC,NagoyaU
n
i
v
.
)
2
:
2
0波浪発達吹送距離則の解析的表現(仮題)
1
1
:
5
01
固
増田章(九大応力研)
1
2
:
2
01
2
:
5
0総合討論
・
00
白
つ
参加者
氏名
所属
HyARC
1
高橋大介
名大
2
万田敦昌
長崎大学
3
藤井智史
琉球大学
4
坪野考樹
電力中央研究所
5
吉井匠
電力中央研究所
6
川村誠治
NICT沖縄
7
西田芳則
道総研中央水試
8
服部友則
海上保安庁
9
渡慶次力
宮崎水産試験場
10
奥野章
日本海区水産研究所
1
1
嶋本品文
環境総合テクノス
12
花土弘
NICT沖縄
13
伊藤集通
JAEA
14
杉谷茂夫
NICT沖 縄
15
吉川裕
応力研
16
松野健
応力研
17
石崎士郎
気象庁海洋気象情報室
18
福留研一
応力研
1
9
鹿島基彦
神戸学院大学
20
竹内謙介
21
馬谷紳一郎
応力研
22
増田章
応力研
23
伊藤英樹
若狭湾エネルギー研究センター
24
滝川哲太郎
水産大学校
25
久木幸治
琉球大学
26
柿木康児
日本海区水産研究所
27
全賛亨
総理工
28
文在洪
総理工
29
後藤敏光
水産大学校 (M2)
30
寄高博行
海上保安庁
31
千手智晴
応力研
32
渡辺達郎
日本海区水産研究所
33
加藤哲史
応力研
34
堤英輔
総理工
.
u
円ぺ
nHU
2
2AO-S5
乱流現象及び非平衡系の多様性と普遍性
研究代表者・吉田恭(筑波大学数理物質科学研究科)
1 研究集会の開催目的
大気・海洋の流れ,プラズマ,工学的応用分野おける流れ,そして我々の身の回りの多くの流れは乱流である.こ
れら多様な乱流現象の物理的理解および応用的予測・制御のため,各分野で理論的解析・実験・観測・計算科学などの
様々な手法で精力的に研究されている.これら様々な分野で異なる手法そ展開する研究者が,互いの情報を交換して
議論を通して知識・問題意識を共有する場を設けることは,重要であると思われる.また,乱流が非平衡力学系の一
典型であることを考えると,より幅広く様々な非平衡系の研究者と乱流研究者が交流を持ち,その多様な視点をそれ
ぞれの分野に導入し,またそれぞれの問題の背後にある普遍性を探る ζ とは,今後の乱流および非平衡系の研究の展
開に有意義であると恩われる.日本における国際会議やワークショップを見る限り,とのような機会は少ないのが現
状だと思われる.本研究集会では,異分野での理論,数値計算,実験・観測など異なる方法論の研究者が最新の知識
を共有することにより,新たな知見を見いだすことを目的としたい.とのような研究集会は,応用力学研究所の共同
研究集会として開催するととが最適と考えられる.
2 プログラム
1 1月 11日(木)
1
3
:
3
0
1
4
:
0
0 巽友正(京大)
流体乱流の非平衡統計力学
1
4
:
0
0
1
4
:
3
0 岡村誠(九大応力研).田中ダン
N
i
k
o
l
a
β
v
s
k
i
i百
L
流の時間相関関数とパワースベクトル
1
4
:
5
0
1
5
:
5
0 古津力(阪大情)
細胞分化の動的モデル一幹細胞システムの理解へ向けて1
6
:
1
0
1
6
:
4
0 小林幹,山田道夫(京大数理研)
大自由度カオス力学系における間欠性の共変リアプノフ解析
1
6
:
40-17
・
1
0 佐々木英一,竹広真一,山田道夫(京大数理研)
回転球面上の帯状涜の分岐
1 1月 12日(金)
9
:
30-1
0
:
0
0 森喰,岡村誠(九大応力研)
乱流・カオスの二重構造とその相似性
1
0
:
00-1
0
:
3
0 石原卓,後藤崇,金田行雄(名大工)
乱流混合層 DNSを用いた乱流/非乱流界面近傍の渦構造と条件付き統計の解析
1
0
:
50-1
1
:
5
0 堀内潔(東工大)
多重モード S
p
i
r
a
lv
o
r
t
e
xと非平衡エネルギースベクトルの抽出
1
3
:
30-1
4
:
0
0 本池巧(湘北短大).有光敏彦(筑波大数理)
力学系における η∞周期軌道のマルティフラクタル構造と間欠性
1
4
:
00-1
4
:
3
0 小松崎慎人(筑波大数理).本池巧(湘北短大).有光敏彦(筑波大数理)
十分発達したカオス領域における不安定周期軌道の階層構造と不安定性の解析
1
4
:
5
0
1
5
:
2
0 有光直子(横浜国大環情).有光敏彦(筑波大数理).毛利英明(気象研)
MPDFTによる風洞乱流 PDFの解析
1
5
:
2
0
1
5
:
5
0 渡漫威,後藤俊幸(名工大工. JSTCREST)
乱流中の夕、ンベルモデルの運動とその乱流への影響
1
6
:
10-1
6
:
4
0 横井喜充(東大生研)
乱流クロス・ヘリシティ効果についての最近の進展
1
6
:
40-1
7
:
1
0 大信田丈志(鳥取大工).大槻道夫(青山学院大理工).
後藤晋(岡山大自然).中原明生(日大理工).松本剛(京大理)
乱流における揺動散逸関係
1 1月 13日(土)
9
:
3
0
1
0
:
0
0 辻義之(名大工)
無次元化したエネルギー散逸率の境界条件への依存性について
1
0
:
0
0
1
0
:
3
0 岡本直也,芳松克則(名大工). K.S
c
h
n
e
i
d
e
r(プロヴアンス大). M.Farge (パリ ENS)•
金田行雄(名大工)
3次元非圧縮性一様等方乱流における,ウェーブレyト解析に基づく情報縮約
-8
4
1
0
:
50-1
1
:
5
0 犬塚修一郎(名大理)
磁気回転不安定性が駆動する乱流と星周ガス円盤の物理
1
3
:
0
0
1
3
:
3
0 富永広貴(佐賀大医),森肇(九大応力研),石崎龍二(福岡県立大),
森信之(九州看護福祉大),黒木昌一(福岡女子大)
Du
缶 ng振動子系の時間相関関数の構造
1
3
:
30-1
4
:
0
0 石崎龍二(福岡県立大人社),秦浩起(鹿大理),庄司多津男(名大工)
ACトラップにおける少数帯電微粒子の不規則運動の統計的性質
1
4
:
2
0
1
4
:
5
0 宮崎修次(京大情),小林幹(京大数理研),大内克哉(神戸芸術工科大),
堀田武彦(大阪府立大工)
大自由度カオス力学系の拡大率スペクトルによる解析
1
4
:
5
0
1
5
:
2
0 秦浩起(鹿大理),庄司多津男(名大工),石川多ー(名大工)
DC電場中の微粒子による非線形振動子多体系
3 講演内容の概要
構老計算機実験によって検証した.その結果,分化能を持
つ幹細胞タイプの細胞は複雑に振動する発現ダイナミク
スを持つこと,そしてそのダイナミクスを生み出し得る
本講演は,著者の「交差独立性完結仮説」を用いた乱流理
制御ネットワークの構造などを明らかにした.実際の幹細
論の一環である.今回は,その纂礎に戻って理論の「非平
胞の系において,予想された振動的な発現ダイナミクス
衡統計力学」としての一般性と,その厳密性について述べ
が同定されつつあることを含め,計算機実験ベースの細
てみたい.乱流の研究は,その発端である Reynolds(
1
8
8
3
)
胞分化研究の可能性について議論する.
による円管乱流の実験的研究以来,一貫して平均流速を含
む「平均速度積」を対象とした.ここで問題となるのが,
流体方程式の非線形性による「平均速度積」方程式系の 大自由度カオス力学系における間欠性の共変リアプノフ
非完結性で,この「完結問題」は,理論物理学上の屈指の 解析
難問とされた.この難問に対して有力な方法となったのが 小林幹,山国道夫
「多点速度分布」による記述であるが,これも速度分布方 乱流間欠性のモデルである GOYシェルモデルを用いて,
程式の「完結問題」を免れなかった.この問題は, Tatsumi 間欠性のリアプノフ解析を行った.特に本発表では,間欠
(
2
0
0
1
)の「交差独立性完結仮説」によって解決されたが, 性を示す解をラミナー部分とパースト部分に分け,それぞ
今回,この理論が近似を含まない厳密性をもつことが昔、 れに対して実効次元を測定した.結果,解がラミナー状態
められ,乱流散逸が非平衡統計力学の「揺動散逸定理」に にある際の実効次元はパ」スト状態にある際のそれより
従うことが示された.との理論は,すでに一様等方性乱 小さいととが分かった.
流の l点および 2点速度分布に適用され,それらが基本
的に慣性正規分布に従うことが示されているが (
Tatsumi
回転球面上の帯状流の分岐
(
2
0
0
4
)
),今後,聖域とされる慣性小領域における 2点分布
佐々木英一,竹広真一,山田道夫
の全貌を明らかにし,さらに非一様乱流への展開に進みた 回転球面上の流れは,惑星大気の流れと関連し,境界のな
い.
い 2次元コンパクト領域における流れの一例として興味
流体乱流の非平衡統計力学
巽友正
Nikolaevskii乱流の時間相関関数とパワースペクトル
岡村誠,田中ダン
N
i
k
o
l
a
e
v
s
k
i
i方程式のスケーリング指数を二つの方法そ使
って直接数値計算によって評価した.一つは物理量におけ
る時間相関関数で,もう一つはそのフーリエモードにお
ける時間相関関数を使う方法である.これから,システム
サイズが小さいときにはスケーリング指数が 2,システム
サイズが大きくなるとスケーリング指数が 3/2になると
とを示した.
細胞分化の動的モデルー幹細胞システムの理解ヘ向
けてー
吉津力
多細胞生物を構成する多様なタイプの細胞が,どのような
機構によって発生し維持されているかを理解することは,
現代の生物学の重要なテーマの一つである.また,近年の
幹細胞研究の進展により,幹細胞が持つ分化能について理
解することへの関心が集まっている.そうした問題に対し
て本研究では,多細胞生物を内部ダイナミクスを持つ細胞
が動的に相互作用している系として捉え,いかにしてその
相互作用の中から多様な細胞状態が出現し得るか,その機
深い.我々は非回転/回転球面上で球面調和関数で表され
0,
る 2本および 3本の東西ジェットを伴う帯状涜 Y
2
Y30 か
らの分岐構造を数値的に調べ ,2 次元トーラス上の場合
(Kolmogorov流)との比較を行った.帯状流 Y20 の場合,任
意の回転角速度,レイノルズ数で大域的に漸近安定であ
ることを証明した.非回転系の場合,帯状流 E
ずは最終的
に Hopf不安定となり,計算したパラメータ範囲では安定
定常解は存在しなかった.この結果は KimandOkamoto
(
2
0
1
0
)の平面 Kolmogorov問題における結果と対照的であ
る.回転系においては,回転効果は解を安定化させ分岐構
遣を大きく変化させる.特に計算したパラメータ範囲で
は,一定以上の回転角速度では流れは高レイノルズ数ま
で安定に存在する.この臨界角速度 0"は
, B
a
i
n
e
s(
1
9
7
6
)
の求めた非粘性帯状流の磁界回転角速度。。とは異なって
いる.乙の非粘性極限と非粘性の見かけの不一致は,レイ
ノルズ数の増加と共に,非粘性で安定だが粘性で不安定
となる回転角速度においては,不安定擾乱の増幅率が 0に
収束するととで解消される.
乱涜・カオスの二重構造とその相似性
森肇,岡村誠
乱涜・カオスの統計力学的構造と輪送現象とを明らかにす
(
x,
t
)の,波数 kのフーリエ成分 U
k
(
t
)の時
るため,流速 u
間相関 U
k
(
t
)およびその記憶関数九 (
t
)の二重構造を,理
Fhu
nHU
論的および数値実験的に研究した.それらの緩和時間す)
とが近似的に等しいとき ,U
と
t
)とは相似
k
(
t
)と 九 (
であることを最近発見し ,U
k
(
t
)を決める閉じた発展方程
o
式を導出した. Rubinのブラウン運動モデルや Kuramot
t
)
S
i
v
a
s
h
i
n
s
k
yの式について,その発展方程式を解いて,日 (
および凡(
t
)の二重構造を解明した.
T
Y
)
乱流混合層 DNSを用いた乱流/非乱流界面近傍の渦構
造と条件付き統計の解析
石原卓,後藤崇,金田行雄
時間発展型乱流混合層 DNSデータを用いて,乱流混合層
における乱流/非乱流界面近傍の渦構造と条件付き統計の
解析を行い,乱流/非乱涜界面の特性とその時間変化及び
レイノルズ数依存性を調べた.その結果,界面を定義する
渦度の闘値を混合層の時間発展によらずほぽ一定に固定
した場合は,渦度のスパン成分の乱流領域における平均値
は運動量厚さと主流方向速度差による規格化で特徴づけ
られた.また,乱流/非乱流界面近傍における渦度スパン
成分のシャープなピークの幅と高さは時開発展するにつれ
コルモゴロフ長とコルゴモロフ速度によって特徴づけられ
0
η
)
る傾向があった.ただし,シャープなピークの幅(約 1
は0
.
5入とも近く,明確な区別が困難で、あった.一方,界面
を定義する渦度の闇値を混合層の幅 bと速度差 t
l
.U を基
に決めた場合は,渦度スパン成分のシャープなピークの幅
と高さは bと Uoでスケ」ルし,レイノルズ数によらない
という結果が得られた.また,乱流混合層の腹の上流部分
では渦が連なって渦層を形成し,界面が滑らか一方,腹の
下流部分では個々の渦が点在し,界面が複雑になっている
ととを発見した.
多重モード Spiralvortexと非平衡エネルギースペクト
ルの抽出
堀内潔
乱流を構成する要素渦のーっと考えられる S
p
i
r
a
lv
o
r
t
e
x
o
r
e
9
8
2
) に関する考察そ行った.との渦は, c
(Lundgren1
領域の渦管の周囲に螺旋状に巻き付く渦屑を伴うが,渦
層と渦管上の渦度の配向に関し多重のモードを有する事
者
E示して各モードの形成過程そ明らかにし,渦管が生成す
る差動回転による渦層の伸長により,渦層上で乱涜エネル
ギーの強い散逸が起きる事を示した.更に, S
p
i
r
a
lv
o
r
t
e
x
では,時間発展につれてモード聞の Topology遷移が生じ
る事を示した.高レイノルズ数においては,異なるモード
の渦間の相互作用によりクラスター構造が生成される事
者
E示した.次に,各モードは,平衡な Kolmogorov-5/3乗
則の他に, -7/3と -9/3の纂を持つ非平衡スベクトルを
生成するが,これらのスペクトルが実際に検出される事
を示し, -9/3スベクトルでは対数補正が付随する事者E明
らかにした.
力学系における π∞周期軌道のマルティフラクタル構造
と間欠性
本池巧,有光敏彦
離散力学系の η∞周期軌道は,その軌道点を適切に分類す
ることでルスケール・カントール集合と同等な階層構造を
持つ.乙の構造を反映して,時刻 t=nk(k=1
2
γ ・・)に於
,
ける軌道拡大率は tに対してベキ的に増大し,その増大の
指数は Lyra
-T
s
a
l
l
i
sのスケーリング関係式で与えられる.
軌道拡大率の持つ入れ子構造と各時刻での軌道点に於け
y
r
a
-T
s
a
l
l
i
sよりも強い
る写像の微係数の詳細解析より, L
ベキ指数で増大する間欠的な構造が新たに見い出された.
この新たな間欠性構造について,そのベキ的な振る舞い
とスケ}リング関係式について報告する.
十分発達したカオス領域における不安定周期軌道の階層
構造と不安定性の解析
小松崎慎人,本池巧,有光敏彦
1次元力学系 O
o
g
i
s
t
i
c写像)の十分発達したカオス領域
においては,あらゆるポ周期軌道が不安定化し共存して
いる.これらの不安定周期軌道が持つ階層構造を明らか
にし,その特性について報告する.
MPDFTによる風洞乱流 PDFの解析
有光直子,有光敏彦,毛利英明
I
no
r
d
e
rt
oshowhowM
u
l
t
i
f
r
a
c
t
a
lP
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yDensityFun
c
t
i
o
n Theory (MPDFT) works i
h
ep
r
e
c
i
s
ea
n
a
l
y
s
e
so
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f
PDFs,
tcanpro
n
f
o
r
m
a
t
i
o
nt
andhowi
'
v
id
euswithnewi
o
七t
i
l
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.
閉
乱流中のダンベルモデルの運動とその乱流への影響
渡遁威,後藤俊幸
乱流中に非常に大多数の高分子モデル(ダンベルモデル〉
を分散させた数値シミュレーションを試みた.本研究では
v
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S
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s方程式の直接数
乱流場の支配方程式である Na
値計算に夕、ンベルモデルのブラウン動力学計算を結合さ
せたハイブリッド計算手法を採用した.計算手法の妥当性
を検証するために,一様等方減衰乱流における構成方程式
(FENE-Pモデル)の直接数値計算で得られている結
果との比較を行った.結果,エネルギー散逸率の低減やダ
ンベルの伸長抑制,渦の消失といった高分子溶液流れの特
徴が,本研究の数値計算手法でも再現できるととがわかっ
た.またスベクトルの高波数領域での振る舞いを精度よ
く求めるためには,ダンベルの数を十分多く用いる計算
者行うことが重要であることがわかった
乱流クロス・ヘリシティ効果についての最近の進展
横井喜充
乱れ場にクロス・ヘリシティ(速度=磁場相関)が存在す
ると,乱流輸送が変化する可能性がある.例えば,乱れに
よる磁場生成機構である乱流ダイナモでは,乱流場にクロ
ス・ヘリシティが存在すると大規模な渦度に沿った乱流起
電力生じる.実際の自然現象でクロス・ヘリシティ効果が
働くかどうかは,乱流中にどの程度のクロス・ヘリシティ
が存在するかに依存する.非一様性乱流でクロス・ヘリシ
-8
6
ティが生成されるメカニズムを考察し,理工学現象で興味
ある状況下で実際にどの程度のクロス・ヘリシティが存在
するか評価を試みる.
乱流における揺動散逸関係
大信田丈志,大槻道夫,後藤晋,中原明生,松本剛
円盤の進化においてのみならず,原始惑星系円盤内での惑
星形成過程にも大きな影響そ与えることを紹介した.現
実的な条件において,非線形飽和状態での平均的な磁場
の強度そ予言することが課題として残されている.
Duffing振動子系の時間相関関数の構造
富永広貴,森肇,石崎龍二,森信之,黒木昌一
直接相互作用近似 (D 1A) をはじめとする乱流の統計理 力学系のカオス軌道は決定論的な時間発展をするため短
論では,応答関数の導入が本質的である.ところで. D 1 い t
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eでは予測可能であるが,カオスの軌道不安定
Aにより導かれた速度のフーリエ係数の応答関数 G(T)と 性のため長い t
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eでは s
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cで randomになる.
2時刻相関関数 Q(T)に対する閉じた方程式系は,それら このようなカオスの二重性のため時間相関関数において
) を解とする.したがっ 異なった減表型を持った初期レジームと終期レジームと呼
の聞の比例関係(If'揺動応答関係 J
て,実際の乱流でもこの関係が満足されるものとして,た ばれる 2つの領域として現れることが予測される.散逸系
とえば DIAの性質が議論されてきた.一方で,非平衡系 カオスを示す最も簡単な力学系である D
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g振動子にお
における『一般化された揺動応答関係』によればとの比例
いて,典型的なカオス運動を示すパラメータで,これら二
関係は,変数が非結合な正規分布に従う場合にのみ成立 つの領域が存在するととを明らかにし,それぞれの減衰
することが示される.つまり,乱涜の小スケールにおける 形に対応する関数形を数値的に見いだした.初期レジー
(
T
)c
xQ(T)の比例 ムの減衰形は 1
間欠性(分布関数の非ガウス性)は .G
/
(
1
+
γht)の h
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c型減衰であり,終期
関係の破れを強く示唆する.講演では乱流のモデルのひ
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de
x
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l型減衰であった.
レジームのそれは S
とつとして「疎結合シェルモデル」を扱いこの比例関係の
破れを議論した.その結果,このモデ、ルでは,分布関数の
非ガウス性は粘性起因であること,したがって慣性領域で A C トラップにおける少数帯電微粒子の不規則運動の統
(T)c
xQ(T)の比例関係が成立するが,粘性領域では 計的性質
はG
破れが生じること,を示した.
石崎龍二,秦浩起,庄司多津男
f
帯電微粒子を交流電場によって閉じ込める実験において,
コントロールパラメータを変えることにより,帯電微粒子
無次元化したエネルギー散逸率の境界条件への依存性に
の運動には,固定点や周期運動やカオス運動が観測され
る.私たちは,こうした実験結果を理解するために,理論
ついて
辻義之
および数値実験を進めている. 1粒子の運動については,
エネルギー散逸率を積分スケールと変動速度の標準偏差 散逸項を加えた Mathieu方程式を拡張した数理モデルに
ε は,レイノルズ数 (
R
λ
)が 200- より,固定点が不安定化すると安定周期運動を,更に,安
で無次元化した値 C
300程度になると一定値に漸近すると考えられている. 定周期運動からカオスが生じることが示すことができた.
しかし,過去の実験データを調べると,実験では G に大 特に,カオスが発生するパラメータ領域では,カオスによ
きなばらつきが認められる.このようなばらつきが現れ り確率的に回転方向が変わる,回転方向の拡散運動が発
る原因は主に長さスケールを実験では正確に求められな 生することを発見した.交流浴場によって閉じ込められた
いことが主な原因であることを報告した.また,圧力計測 Eいにクーロン相互作用する少数個の帯電粒子の場合. 2
!
日粒子の運動は,カオスは発生せず,回転のない相
からエネルギー散逸率を見積もる方法とその妥当性につ 個の帯 1
対距離が振動する周期運動が発生することを示した.
3個
いて説明した.
の帯電粒子の運動では,散逸が弱いパラメータでカオス
が発生することが数値計算によりわかった.
3次元非圧縮性一様等方乱流における,ウェーブレッ卜解
析に基づく情報縮約
大自由度カオス力学系の拡大率スペクトルによる解析
:
町ge,金田
岡本直也,芳松克則, K.Schneider,M.F
宮崎修次,小林幹,大内克哉,堀田武彦
行雄
決定論的カオスの興味深いととろは不規則時系列という
3次元一様等方性乱流のウェーブレット解析に基づく情報 動力的特徴とカオス的アトラクタの自己相似的なフラク
縮約手法 (CVS) の開発を行った.その CVSでは,直接数 タル構造という幾何学的特徴が対となって現れる点であ
値計算 (DNS)の自由度のわずか 10%程度の自由度を保 る.これを端的に捉える理論は森田らにより局所軌道拡
持するだけにもかかわらず. DNSの統計量をよく再現す 大率のレート関数(拡大率スペクトル)と特異性スペクト
ることがわかった.また. CVSと同じ自由度を保持した ルの関係式という形で与えられた.但し,これはヤコビア
フーリエカットオフフィルターを用いたシミュレーション ンが一定である双曲的なカオス力学系であるという制約
(
F
L
)を実施し. CVSと比較した.その結果. CVSは FL がある.ヤコビアンが一定ではない,ローレンツ系,結合
に比べ高次の統計量の再現性に優れていることが確認で 写像格子. GOYシェルモデルの拡大率スベクトルを求め
きた.
た.その際,最大リヤプノフ指数に対応する拡大率スベク
トルのみならず,すべての指数に対応する拡大率を正確に
数値解析により求めるため,共変リヤプノフベクトルを利
磁気回転不安定性が駆動する乱流と星周ガス円盤の物理 用した.ローレンツ系では,非双曲性が拡大率スペクトル
犬塚修一郎
の線形部分として捉えられた.また,双曲・非双曲境界付
天体の周辺に存在しているガス円盤中の磁気流体力学的 近のアトラクタやローレンツプロットの変化を説明した.
乱流に起因する角運動量輸送は星周円盤から中心星への 結合写像格子では,時空間欠性と発達した時空カオスの二
質量降着現象を支配していると考えられる.この乱流を つの場合について,相空間の次元の数のすべての方向に対
駆動している磁気回転不安定性やその非線形飽和状態に する局所軌道拡大率の平均と分散を求め,二つの場合のい
ついて解説した.また,この乱流が駆動して円盤表面から ずれも,分散を平均の二乗で割った相対分散が一定である
ガスの流れが生じることを示し,乱流状態の理解が星周 ことを見出した.両者を区別できるであろう拡大率スベ
ヴd
nHU
クトルは中心極限定理が成立する範囲より大きく離れた
領域を数値解析で求めるには至らなかった. G0 Yシェル
モデルでは,すべての方向の局所軌道拡大率を求め,正の
リヤプノフ指数,負のリヤプノフ指数に対応する拡大率
スベクトルはそれぞれ同じ関数形になることを示した.
大自由度カオス力学系の拡大率スペクトルによる解析
秦浩起,座司多津男,石川多ー
上下に正負の電極を配置した容器中に微粒子(金属)を封
入すると,粒子は帯電し両極関を往復運動する(非線形振
動子と見なせる).そのような微粒子が複数 多数あると
クーロン相互作用と衝突相互作用によって,様々な構造集
団的振る舞を示すことを理論と実験の両面から見出した.
講演では,主に次の 2点について,その形成機構等を議論
1
)上下に振動する粒子群が水平方向に“結晶"構
する. (
2
)上下に運動する複数個の粒子が互いに衝突
造を作る. (
しつつ鉛直方向に“紐状"構造を作る.
4 開催日程,場所
開催日程
開催場所
講演数
参加者数
2
0
1
0年 1
1月 1
1日(木)-1
1月 1
3日(土)
九州大学応用力学研究所西棟 6階多目的研究交流窒 (W601号室)
2
1件
27人
-8
8
2
2AO-S6
平成 22年度応用力学研究所共同研究集会
日本における里海概念の共有と深化 H
I一瀬戸内海沿岸部の海里山の歴史と文化
E一里海の自然と文化
研究成果報告書
愛知大学大学院文学研究科
印南敏秀
2011年 2月
-89-
日本における里海概念の共有と深化 E
I一瀬戸内海沿岸部の海里山の歴史と文化
Eー里海の自然と文化
愛知大学大学院文学研究科
印南敏秀
1、 目的
2009年 1
0月 9日(金)に、「日本における里海概念の共有と深化」と題する
シンポジウムが九州大学応用力学研究所で開催された。この研究集会には全国
から「里海」に深く関わる人々が集まり、里海概念の共有と深化について 10
人をこえる報告があり、議論がおこなわれた。報告は自然・人文と学際的で、
大学の研究者から環境の活動家、ラーター、漁業者と報告者が多様で幅広い意
見がだされた。研究代表者の印南も報告者の 1人として参加して大きな刺激を
うけた。ただしあまりにも多彩で多様な内容だけに、 1回だけの集会では里海
概念の共有と深化にはやや不満を感じた。さらなる議論が必要だとしづ意見は、
報告者のほか全国からあつまった研究者からもだされた。
今回は前回のシンポジュウムをうけ、地域を限定して中瀬戸内海を中心とし、
里海の歴史を沿岸部や島唄における林野・里の開発との関連で歴史について 2
日間にわたって考えた。瀬戸内海は歴史が古く、早くから人々が海と深く関わ
ってきた日本を代表する里海である。瀬戸内海では近世以降に沿岸域の里山や
里海の利用に大きな変化がおこった。ことに沿岸部や島唄部では林野の開発が
すすみ、段々畑などに開発され、樹種が松にかわっていった。その結果、松は
瀬戸内海を代表する樹木として選ばれ、生活のあらゆる面で多様に利用される
ようになった。そして段々畑にサツマイモが導入されると、里海の藻は肥料と
して利用されるようになった。今回の研究集会では里海を、沿岸域と島 1
興の林
野・里の開発と関連させ、近世から近代という時間的な流のなかで統合的に考
えた。
2、研究集会の概要
I一瀬戸内海沿岸部の海里山の歴史と文化
日時 :
1
1月 1
3日 (土) 1
1
:
3
0
-1
7:0
0
場所:大崎上島文化センター
発表者…:印南敏秀(愛知大学文学研究科)
三浦正幸(広島大学大学院文学研究科)
佐竹昭(広島大学大学院文学研究科)
横本正樹(農業法人「神峰園 J代表)
増本真(大崎上島町観光協会長)
朝間康二(元国立歴史民俗博物館)
(パンフレット資料 2を転載しました)
-90-
II里海の自然と文化
日時 :
1
1月 1
4日 (日) 9
:
0
0
"
"
'
1
2
:
0
0
場所:広島商船高等専門学校
発表者:新井章吾(海中景観研究所)
谷本照己(産業技術総合研究所)
岡田和樹(ハチの干潟調査隊代表)
笹健児(広島商船高等専門学校)
3、研究成果
1日目は公開としたため地元民の参加もあり、約 70名ほどの盛会となった。
会場との交換会もあり、研究者と市民が協働しての里海づくりのためのアイデ
ィアがいろだされるなど、活発な議論がなされた。
よ
句E
ny
資料
1、「日本における里海概念の共有と深化 I
I
J 研究集会プログラム
瀬戸内海沿岸部の海里山の歴史と文化 J (一般公開)
1r
11月 13日 (土) 13時 30分
.
.
, 17時
場所:大崎上島文化センター
01.山里海の歴史的展開
1
3:4
5
1
4
:
2
0
佐竹昭(広島大学大学院文学研究科)
0
2
.建築と建材の歴史的展開
14:25・1
5
:
0
0
三浦正幸(広島大学大学院文学研究科)
0
3
.生活資源としての藻と松
1
5:05・1
5
:
4
0
印南敏秀(愛知大学大学院文学研究科)
0
)
休憩(15:45-16:0
0
4
.島の農業と肥料
16:00・1
6
:
1
0
横本正樹(農業法人「神峰園J
)
0
5
.島の建材と松の利用
1
6
:
1
0・1
6
:
2
0
増本真(大崎上島町観光協会)
会場との質疑応答
1
6
:
2・1
6
:
5
0
1
6
:
5
0・1
7
:
0
0
0
6
.里海と藻と松の活用
朝岡康二(元国立歴史民俗博物館)
日時
里海の自然と文化 J (非公開・研究集会)
I
Ir
11月 14日 (日) 9時
.
.
, 12時
場所:広島商船高等専門学校視聴覚教室
0
7
.ホンダワラ・アマモ等の現状
9
:
0
5・9
:
3
0
新井章吾(海中景観研究所)
0
8
.アマモ場の造成と保護
9
:
3
0
9
:
5
5
谷本照己(産業技術総合研究所地質情報研究部)
9
:
5
5・1
0
:
2
0
0
9
.ハチの干潟の過去・現在・未来
岡田和樹(ハチの干潟調査隊)
1
0
:
2
0・1
0
:
5
5
1
0
.藻場の利用
笹健児(広島商船高等専門学校)
1
1
:
0
5・1
1
:
5
0
会場との質疑応答
2
:
0
0
1
1
:
5
0・1
11.総括
柳哲男(九州大学応用力学研究所)
日時
-92-
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議22年1
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17:00
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講演者:広島大学大学院総会草寺会幹研究科教綬/佐竹
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講演者:広島火祭大学院文学研究終数綬/ミミ滞主導量 E
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講演者:愛知大型炉災家僕文学研究終教授/EIl爾敏務次
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「東シナ海の循環と混合に関する研究」
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研究代表者石坂丞二(名大地球水循環研究センター)
1. 目的と開催経緯
東シナ海の生物生産には、東シナ海の流動や混合による栄養塩の流入や供給が欠かせない。応用力学
研究所では、東シナ海の陸棚域および黒潮域とその周辺海域の循環に関する研究を数年以上にわたって
継続的に実施しており、国内外研究機関との共同研究も多方面から進めている。その研究内容は、名古
屋大学で進めている生物環境との関連も深く、様々な研究プロジェクトを通して、多くの分野を包含し
た研究者コミュニティも形成されてきている。研究成果の共通理解を更に深めるため、継続的に開催で
きる研究集会の場を持つことが今後の共同研究の進展に大きく寄与すると思われる。ここでは、流動や
混合などの物理環境と、生物生産との関係を明らかにすることに焦点を当てた研究集会を開催すること
で、分野の異なる研究者間の情報の共有と共通理解を醸成することを目指す。
また対象とする海域は周辺国の関心も高く、土述のように国際的な共同研究の機会も少なくない。今
回は、韓国および中国から関係する研究者を招き、国際研究集会とした。なお、国際研究集会とするに
あたっては、九州大学東アジア環境研究機構からの支援を得た。
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. 研究集会の概要
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場所:九州大学応用力学研究所 5F W
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研究集会では東シナ海における鉛直過程に焦点を当て、以下の 3つのセッションを設けた。
(1) 長江希釈水域における成層と鉛直混合
(2) 大気との相互作用
(3) 懸濁粒子の役割と海底境界層
近年、微細構造プロファイラーを用いた乱流ヰネルギー散逸率 εの計測は東シナ海でも繰り返し実施
されており、韓国・中国の研究機関の観測例と情報交換し、鉛直混合過程について共通理解を得ること
は重要である。最初のセッションの前半では、韓国の KORDI、中国海洋大、そして九大応力研による微
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、
細構造および関連する観測結果が順に紹介された。 KORDIの ]
2006年の夏季の観測から、海面下 20m付近の水温躍層を境とする顕著な内部モードの流れとその付近で
観測された短い時間スケーノレの内部波、およびそれに伴っていると思われる
した。
E極大は水温躍層の付近で観測され、その値は
E の極大値の観測例を紹介
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づいて、鉛直粘性係数や、鉛直拡散と移流とのバランスを仮定した鉛直流の見積を紹介した。
E の値が
直接示されなかったので、比較は難しく、鉛直拡散と移流とのバランスも沿岸域ではやや無理があるよ
うに感じたが、今後情報の交換を進めるきっかけにはなった。応力研の遠藤は微細構造プロファイラー
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で顕著なシアーが観測されており、加速度計からも定性的には類似した分布が得られ、
に対応している傾向が示された。躍層の上下で見られた
E 極大は
E
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果と同程度であった。
同じセッションの後半では長江希釈水に関わる生物過程と化学トレーサーの話題提供があった。名古
屋大の石坂は 2008年および、 2009年夏季の観測結果から、水温・塩分躍層付近に形成される亜表層クロ
ロフィル極大の下の栄養塩の N/P比が極大を示すことに注目した。また富山大の張は混合層下の亜表層
で溶存酸素が極小を示すこと、希土類の組成が単に長江水と外洋水の混合では説明できないことなどか
ら、亜表層の N/P極大を示す層に長江旧河道付近から湧出した地下水の影響がある可能性を示唆した。
亜表層クロロフィル極大について、さらに九大の松野は微細構造の観測に基づいた鉛直拡散係数の値を
用いて、鉛直拡散によってクロロフィル極大を維持するのに十分な栄養塩が下層から供給されている可
能性を示唆した。また、極大層で生産された植物プランクトンが衛星で観測される表層に輸送されてい
る可能性についても述べた。また、愛媛大の Y
.Wangは中国沿岸域での塩分分布の繰り返し観測に基づ
いて、潮汐および風による鉛直混合の割合を見積もった結果を紹介したが、明確な理解はまだ今後の問
題として残されている。
2つ目のセッションでは大気との相互作用をテーマとして、前半では、台風の通過による海洋の応答、
また黒潮など海洋が大気に及ぼす影響の話題提供があった。 K
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台風の影響について、海洋表層に輸送された運動量の分布から、台風に対する相対的な位置によって運
動量が運ばれる深さが異なることを示すとともに、 L
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Sによるモデ、ル計算の結果を比較した。短い時間
で大きな運動量がインプットされる台風の通過は、海洋表層過程の理解に重要な情報を与えるが、観測
が困難な部分も多く、明確な理解には今後の研究の進展を待たなければならない面も多い。石坂は衛星
による水色分布とフェリーによるモニタリングデータから、台風通過に伴った生物的応答について紹介
した。台風通過に伴った下層水の影響によって表層のクロロフィルが増加した例を示し、そのクロロフ
ィルの増加した水が台風通過域から離れた対馬海峡まで運ばれた可能性を示唆した。一方、愛媛大学の
磯辺は黒潮程度の水平スケーノレを持った海洋が、下層大気に及ぼす影響を調べるための最近の観測結果
について紹介し、今まで考えられていたより濃密な大気と海洋の相互作用を示唆した。
このセッションの後半では、表層エクマン層に関わる力学について 2つの話題提供があり、 K
ORDIの
K
.T
.Jungは理論的な解析を行って、エクマン層が発達するまでの時開発展について議論した。また九大
総理工の井手は、表層に形成される成層がエクマン層に及ぼす影響について、 L
E
Sを用いたモデ、/レ結果
などから、特に表面熱輸送の日変化を考慮することで HFレーダーによって観測された表層流の変化を
説明できることを示した。
最後のセッションでは懸濁物の挙動と役割、更に海底境界層に関するトピックが議論された。愛媛大
学の郭は、同じ愛媛大の小野による懸濁粒子の挙動に関する数値モデ、ル実験結果を紹介し、陸棚域にお
ける懸濁物の水平分布とその季節変動の傾向は衛星データと類似していることを示したが、値自体はモ
デ、ルで、過大評価になった。また、その分布と堆積物および海底摩擦の分布との関連について議論し、再
- 98-
懸濁が大きな役割を果たしていることを示した。これは、 Yuan(2008)の述べている冬季に中国沿岸から
南東方向に向かう流れが作られ、それによって懸濁物が陸棚の外縁部に運ばれるという解釈とは異なる。
石坂は懸濁物濃度の高い海域における衛星クロロフィルの過大評価を改善するアルゴリズムを紹介し、
それを用いて、表層クロロフィルと懸濁物の量との簡に、懸濁物濃度が減少するとクロロフィルが増加
し、一定の比率になることを示した。また、新しいクロロフィノレの推定値を用いると、長江河口域では
クロロフィルが経年的に増加している傾向にあることが示された。また、張は希土類元素の組成比に対
する懸濁粒子の吸着等の役割を考慮することで、塩分との関係を用いて陸棚上に分布する陸起源水の起
源を推察できる可能性について議論した。まだ多くのデータや要素の検討が不十分であり、今後のモデ
ル研究などとの共同研究の必要性が指摘された。
最後に九大応力研の吉川は、海底設置 ADCPによる海底エクマン層の流速分布から海底境界層での鉛
直粘性係数など乱流パラメータの見積を行い、海底境界層内での混合やエクマン輸送の見積を行った。
このような素過程の研究は、粒子の再懸濁や水平輸送をより正しく評価することに繋がり、今後様々な
側面からの共同研究が期待される。
この研究集会では、大まかなトピックを 3つに絞り、その中で参加者が形式にこだわらずに話題提供
を行うと共に、各セッションで質疑応答、議論の時間を十分にとり、自由な意見交換を行うことで、相
互理解を深めることができた。通常の国際研究集会では、質疑の時聞が限られることが多く、また幅広
い参加者からの質疑の場合には、議論も拡散することが少なくないが、今回の集会では、参加者が比較
的限られたテーマを持って集まったこともあり、実質的な議論ができたと思われる。
参加者
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坂丞二(名古屋大)、張勤(富山大)、磯辺篤彦、郭新字、王玉成(愛媛大)、遠藤貴洋、松野健、吉
川裕、千手智晴、市川香、文在洪(九大応力研)、井手喜彦、全賛亨、 DessyBerlianty,MustaidYusuf(
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大総理工)、江崎哲郎(九大東アジア環境研究機構)
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(研究集会)
非線形波動研究の新たな展開-現象とモデル化研究代表者
立教大学理学部寛三部
研究集会の目的
非線形波動」というキーワードの下に,関連する諸分野の研究者が一堂に会
本研究集会の目的は, I
して議論することで,新たな可能性を探ることである。非線形波動は,涜体力学やプラズマ,非線形光
学などの多彩な系で観測され,工学的な応用の可能性も追求されている。また,それぞれの分野におけ
る実験的研究に基づく理論的アプローチから新たな概念が生み出され,さらにそこから新たな展開が広
がってきた。近年では,1交通読」とか「疫病の伝播」などのような,広い意味での地球環境をとらえる
際に重要となる社会現象にまでも,非線形波動の研究で培われた手法が使われるようになってきている。
非線形波動現象から生まれて,大きく発展した分野の一例として「ソリトン」がある。流体における
孤立波の伝搬を記述する理論から生まれた「ソリトン」という概念は,プラズマ中の非線形波動,固体
中の電荷密度波など,物理学者E
貫く一つの視点として広がってきただけでなく, I
逆散乱法」をはじめと
する理論的解法も,多くの応用数学者の関心を得てきた。日本においては,広田良吾氏による「広田の
方法」に基づく離散化の手法が盛んに研究されており,離散ソリトン方程式から新たな数値計算アルゴ
リズムも生まれてきている。また,ソリトン現象を示すセル・オートマトン系から生まれた「超離散化」
と呼ばれる手法は,偏微分方程式モデルとセル・オートマトンモデルとを直接つなぐ方法論を与えた。
さらに,そこから交通流を解析する新たなモデ、ルが提案され,逆にそのモデルがソリトン理論を拡張す
る一つの動機となっている。
「ソリトン」という話題に関して,このように現在でも活発に研究が進められているが,一方で数学
理論,数値計算および実験の括離が見受けられるのも事実である。非線形波動研究初期の頃はこれらが,
より有機的に関連していた時期があり,そのことがお互いの進展に相補的に貢献していた。そこで現在
の状況を鑑みて,共通の「非線形波動」というキーワードの下に,理論から実験まですべての研究者が
一度に会して議論し,お互いの問題意識を確認して話し合う場が必要である。
開催予定地の応用力学研究所は,非線形波動研究の創成期以来,一貫して関連分野の研究における圏
内外の拠点の一つである。過去にも継続して関連した研究集会が行われてきており,活発な議論が繰り
広げられ,そこから生まれた新しい研究分野も多い。本年度もまた多数の研究者の参加によって,さま
ざまな分野のテーマの有機的なつながりを目指すために,本研究集会の企画に至ったものである.
成果の概要
本研究集会は,平成 22年 1
0月 28日から 30日までの 3日聞にわたって開催され,特別講演 4件と一
8件)の合計 41件の講演が行われた特別講演は, I
非線
般講演 37件(口頭発表 23件,ポスター発表 1
形波動現象J,および「離散モデル」という 2つのテーマに絞って,各テーマ 2名ずつ計 4名の講演者
を選定して依頼を行った。「非線形波動現象」というテーマに関しては,
・渦度の話
その変化の仕組みと渦度力一
・楕円回転流の弱非線形安定性のためのオイラー・ラグ、ランジ、ュ混合法
「離散モデル」というテーマに関しては,
・自然現象の離散・超離散系によるモデル化
・曲線と曲面の差分幾何
というタイトルでの講演が行われた。これらの内容は,非線形波動現象およびそれを記述する数学モデ
ルに関して,今後の研究の指針となるべき興味深い内容で、あった。
一般講演については,関連研究分野の先進的な内容に関する報告が主に行われた。提供された話題は
数学や物理の純理論的なものから,実験やシミュレーションの話題を始め,工学的な応用を含んだ多彩
なものとなり,聴衆の幅広い興味を集めた。内容を大別すると,
・非線形波動・非線形力学系の実験と理論
・離散系の理論と理工学上の諸問題への応用
.可積分系の数理と応用
-1
0
1
で、あった。 2日目の午後にはポスターセッションを行い,大学院生などの若手研究者をはじめとして多
くの研究者が参加して,幅広い内容のプレゼ、ンテーションが行われた。一般講演においては,総じて実
験から理論までのレベルの高い講演がなされ,それを元に活発な討論が繰り広げられた。
本年度は,文部科学省グローパル COEプログラム「マス・フォア・インダストリ教育研究拠点」と
の共催となった。同プログラムおよびその周辺には,本研究集会の研究協力者をはじめ,関連分野の研
究者が在籍しており,それらの方々の参加によって研究集会がより活発なものとなった。昨年度までも
同様の試みがなされており,良好な関係性が継続的に築き上げられつつある。
本研究集会は,数学や物理の理論的な話題から工学的な応用問題にいたるまで多彩なテーマを扱いつ
つ,講演が公募されて自由に発表できることが大きな特色である。しかも,その内容は単に羅列的に提
供されているのではなく,多くの研究者が講演ごとに各自の視点から積極的に討論を行って議論を深め,
また関連する話題についての情報交換も活発に行われた。非線形波動に関連する研究分野における多く
のテーマの有機的なつながりは研究集会の当初の目的であるが,それは充分に果たし得たのではないか
と思われる。本研究集会では大学院生や学部生をはじめとした若手研究者の発表の場としても有意義で
あった。彼らによる新鮮な視点からの発表や討論が行われたことは,特筆しておかねばならない。非線
形波動の研究のような,さまざまなテーマが密接に関係し合う研究分野では,本研究集会のような場の
存在が大変重要である。このような場を提供して頂いた応用力学研究所の存在意義色あらためて実感
させて頂いた。参加者を代表して心から感謝を申し上げたい。
講演プログラムと概要
10月 28日(木)
1
2
:
40
-1
3
:
1
0 微分方程式の系統立った離散化の方法
村田実質生(青山学院大学)
微分系の離散類似を構成する系統立った手法を提出する.その手法は 1階の微分方程
式に適用でき,形式的な線形化の後に,指数関数に対してパデ、近似に似た有理関数への
近似を行うものである.更に,偏微分方程式についてもこの手法を用いた離散化を試み
る.また,超離散化の可能性についても言及する.
1
3
:
1
0
1
3
:
4
0 例外型古典直交多項式に付随する国有傭問題
辻本諭(京都大学)
Sturm-L
i
o
u
v
i
l
l
e方程式の多項式解乞例外型古典直交多項式の関係について,ダルブ一
変換を用いることで解説を与える.さらに J
a
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o
b
i多項式と A
s
k
e
y
Wilson多項式を例
にとり. b
i
s
p
e
c
t
r
a
l
i
t
yなど古典性との関係について議論する.
1
3
:
4
0
1
4
:
1
0 負の数を値に含む箱玉系の周期境界化と保存量の構成
神吉雅崇(東京大学)
箱玉系において形式的に玉の数として負の整数値を与えるとき、 n
e
g
a
t
i
v
es
o
l
i
t
o
nと呼
ばれるソリトン現象がみられる。本講演ではある変換により、この系に通常の箱玉系と
似た手続きで周期境界条件を課すことができることを示す。また、箱容量が大きい場合
にも有効である保存量の組の構成方法を紹介する。
1
4
:
2
0
1
5
:
2
0
自然現象の離散・超離散系によるモデル化
Ra
l
p
hW
i
l
l
o
x (東京大学)
可積分系という分野が生み出した概念やテクニックに基づき、一般の数理モデルにも適
用できる離散化・超離散化手法による数理的アプローチを紹介する。この新しいアプ
ローチを個体群生態学におけるロジ、スティック式や SIRのような有名な感染症数理モ
デルを用いて説明し、新しい現象を示す捕食者・被食者モデルに適用する。
1
5
:
3
0
1
6
:
0
0 超離散特異点閉じ込めテストと方程式の可積分性について
三村尚之(青山学院大).犠島伸(青山学院大).村田実貴生(青山学院大).薩摩順吉(青
山学院大). A
.Ra
mani(
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I
I
P
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i
sXI-CNRS)
我々は、超離散方程式の可積分性判定法として超離散特異点閉じ込めテストを提案し
た。本講演ではこのテストを様々な方程式に適用し、その結果を方程式の解の構造から
説明する。
-102-
1
6
:
0
0
1
6
:
3
0 Hirota'smethodandthethree-solitonconditionf
o
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i
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f
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c
eequations
JarmoH
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1
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p
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n
tsomer
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s
u
1
6
:
4
0
1
7
:
1
0 ThegrouplawonthetropicalHessepencil
野謹厚(千葉大学)
楕円曲線の標準形のひとつである Hesseの 3次曲線をトロピカル化すると種数 1のト
ロピカル曲線を得る.本講演では,レベル 3テータ関数の超離散化を用いて,このトロ
ピカル曲線の加法公式を与えその群構造について議論する.
1
7
:
1
0
1
7
:
4
0 U C階層とモノドロミ一保存変形,超幾何函数
津田照久(九州大学)
シュレジンジャー系とは,リーマン球面上に N+3個の確定特異点を持つ L連立 1階
線形常微分方程式の等モノドロミ一族を記述する非線形方程式系です。ここでは,線形
方程式が I
I
N
+
3個の特異点のうち N+1点の近傍で L
1次元分の正郎解を持つ』特別
な状況を考えます。対応するシュレジンジャー系は, UC階層 (=KP階層の拡張)と
L,
N)=(2,
1
)の場
いう無限可積分系の相似簡約として自然に現れるものであり,例えば (
合としてパンルヴ、エ第 6方程式, L=2,
N:一般の場合にガルニエ系を含むような興味深
いクラスを与えます。講演では, UC階層についての簡単な復習から始めて,モノドロ
ミー保存変形方程式の導出とその多項式ハミルトン系としての統一的表示や(捻れドラ
ム理論に基づく)超幾何函数解の構成などを紹介します。
1
0月 29日(金)
9
:
3
0
1
0
:
0
0 離散署函数と PainleveVI方程式との関係
安藤央(九州大学)
まずは正則函数の離散化に関する離散関数の正則性や埋め込みの条件などを説明し、離
散幕開数の定義と妥当性の説明をします。そしてその離散幕開数と P
a
i
n
l
e
v
e
V
I方程式
の関係に関する計算の概略を紹介します。
1
0
:
0
0
1
0
:
3
0 離散事函数の明示公式
増田哲(青山学院大学)
Bobenko,P
i
n
k
a
l
lらによって定義された離散幕函数に対し, P
a
i
n
l
e
v
eVI方程式の超幾
何タウ函数による明示公式を与える.また,定義域を「離散 Riemann面」に自然に拡
張できることについて言及する.
1
0
:
4
0
1
1:
40 曲線と曲面の差分幾何
松浦望(福岡大学)
差分幾何は,離散可積分系と微分幾何をつなぐものとして, 1
5年ほど前から徐々に発
展してきた学問領域である'.との講演では,いくつかの例を詳しく取り上げながら差分
幾何の発展の過程を概観したあと,目下進展中の話題について述べ,今後の研究課題に
ついて検討する.
1
1
:
4
0
1
2
:
1
0 semi-discretemodifiedKdV方程式の解と平面離散曲線の連続的運動
井ノ口順一(山形大学),梶原健司(九州大学),松浦望(福岡大学),太田泰広(神戸大学)
2004年に Hoffmann-Ku
t
zによって提出された, s
e
m
i
d
i
s
c
r
e
t
em
o
d
i
f
i
e
dKdV方程式で
記述される平面離散曲線の運動についで考察する.方程式の T函数を調べて MaxwellBloch方程式の T函数と類似の構造を持つことを示し r函数による曲線の明示公式を
与える.特別講演で述べられる予定の離散曲線の運動からの極限,および,よく知られ
た連続曲線の運動への連続極限も議論する.
-1
0
3
1
3
:
3
0
1
4
:
0
0 超可積分なー2次の間次式ポテンシャル系
吉田春夫(国立天文台)
弓j
e
w
s
k
ie
ta
.
l(
2
0
0
8
)に
同次式ポテンシャル系が超可積分となるための必要条件が Maci
よって得られた。この必要条件は同次式ポテンシャルの次数 kが +2及び -2のとき特
別な形をとる。本講演ではこの必要条件を特殊な方法で満足する、 -2次の同次式ポテ
ンシャルの系列について議論する。この系列は 3粒子 C
a
l
o
g
e
r
o
・M
oser系を一般化した
もので、実際に超可積分であることが示される。
1
4
:
00
-1
4
:
3
0 Lax対とは何か?一新しい可積分系を生成する方法一
土田隆之
非線形シュレーディンガ一方程式系を例にとり、 Lax対の意味について述べる。これに
より、 Lax表示を持つような可積分系は、 Miura変換で、つながったパートナーを持つこ
とがわかる。 Lax対から定義される逆 Miura変換を適用することで、既知の可積分系
から新しい可積分系を生成することができる。
1
4
:
3
0
1
5
:
0
0 SolitonequationsgeneratedbytheBaecklundtransformationofthed
i
s
creteK Pequation
広田良吾(早稲田大学名誉教授)
特別な形の双線形 Baecklund変換式は変数変換によってソリトン方程式に書き換えら
れることは良く知られている。ここでは一般的な d
i
s
c
r
e
七eKP方程式の B
aβcklund変
換式そ考え、この式を連立非線形差分方程式に変換する一般的方法を解説する。
1
5
:
1
0
1
6
:
1
0 渦度の話ーその変化の仕組みと渦度力一
増田章(九州大学)
渦度方程式によれば「渦度は渦線の傾きと禍線の伸縮で変わる」と解釈するのが普通で
あろう.ここでは「渦度力による捻りが禍度を変える」という考えを提案し,この考え
を基礎づける.そのほか,傾圧性の意味など渦度にまつわるやや紛らわしい(かもしれ
ない)話題をとりあげ分かり易くお話しできればと考えている.
10月 3
0日(土)
9
:
3
0
1
0
:
0
0
スロースタート効果を取り入れた超離散最適速度模型と基本国
小熊和仁(東京大学).宇治野秀晃(群馬工業高専).♂矢嶋徹(宇都宮大学)
高橋・松木平による最適速度模型の超離散化の結果を利用して,最適速度模型にスロー
スタート効果を組み込むことができることを示す.スロースタート効果を取り入れた超
離散最適速度模型に対して数値的に求めた基本図を,この模型の定常解と周期解を用い
て説明できることを示す.
1
0
:
0
0
1
0
:
3
0 ASEPにおけるカレント分布:双対性からのアプローチ
今村卓史(東京大学)
非対称排他過程 (ASEP)において、カレント分布の厳密解が最近活発に研究されている。
その際に重要となるのがカレントモーメントの積分表示である。本講演では、 ASEPに
おける双対性を用いて、与えられた初期配置におけるカレントモーメントを議論する。
いくつかの具体的な初期配置においてその積分表示を導出する。
1
0
:
3
0
1
1
:
0
0 デジタル粒子モデルの漸近挙動について
高橋大輔(早稲田大学).松木平純太(龍谷大学).原弘明(早稲田大学)
有限近傍の 2進セルオートマトンのうち粒子数保存の多粒子系に解釈できるものをリス
トアップし,解の漸近挙動や相転移現象などについてマックスプラス表現によって解析
を行った.
-104-
1
1
:
1
0
1
2
:
1
0 楕円回転流の弱非線形安定性のためのオイラー・ラク、ランジ、ユ混合法
福本康秀(九州大学)
定常剛体回転流は軸対称性と並進対称性のおかげで中立安定であるが、対称性を破る
摂動を加えると不安定化する。楕円形にひずんだ流線をもっ回転流の線形不安定性は
縮退する 2個の Kelvin波のパラメータ共鳴として普遍的にとらえることができる。こ
れらは、ハミルトニアン Hopf(あるいはピッチフォーク)分岐を起こして新たな状態に
移行するが、非線形段階を記述する数学的道具が欠知している;通常のオイラー的記述
の枠組みでは波の非線形相互作用によって誘起される平均読ですら直接求められない。
最近、われわれは、ラグランジュ的記述によって平均慌を系統的に進める糸口を見つけ
た。従来のオイラー的扱いの不備を指摘し、弱非線形振幅方程式の係数をすべて決定す
る方法を紹介する。
1
3
:
3
0
1
4
:
0
0 IntegraltransformationofHeun'sequationandsomeapplications
竹村剛ー
ホインの微分方程式は、四点に確定特異点そもつ二階常微分方程式の標準形である。こ
れは、パラメーターが整数性をみたすときに高階定常 KdV方程式と関連し、別の側面
からパンルベ方程式とも関係している。本講演では、ホインの微分方程式における積分
変換について論じ、特別な解の積分表示や性質を導出する。
1
4
:
0
0
1
4
:
3
0
143045:00
符号付き超離散パンルヴ、ヱ 1
1型方程式とその特殊解の系列について
犠島伸(青山学院大),今野智之,三村尚之(青山学院大),村田実貴生(青山学院大),薩
摩順吉(青山学院大)
I型方程式の超離散類似を与え
符号変数付き超離散化の手法そ用いて差分パシルヴ、エ I
I型方程式の特殊関数解の系列に対応する,超離散系の厳密解の
る.さらにパンルヴ、エ I
系列を構成する.
4
3
+
1対称性を持つ結合型パンルヴ、エ VI系の
n+1凡超幾何関数解
鈴木貴雄(神戸大学),宮本将臣(神戸大学)
現在までにパンルヴ、エ VI方程式の高階化がいくつか提出されている。その中で、
型アフィン・ワイル群対称性を持つものについては、一般超幾何関数 n+1P
'
叫で記述さ
れる特殊解を持つことが最近の研究で、明らかになった。この結果の詳細を報告すること
が本講演の目的である。
A
2
+
1
ポスターセッション概要
(
1
)
生産ラインにおけるロット数変化による生産効率の改善
峯村匠(東京大学),西成活裕(東京大学)
生産ラインにおける最適ロット計算の手法はう経営工学的なアプローチで提案されてい
るが,実際の生産現場で必ずしも最適なロットを計算することができていない.本研究
ASEPを用いてのシミュレーションと理論解析を行うこと
ではう生産工場をモデル化 L,
でう工学的な立場から生産効率を上げることのできるロット数を考えてみる.
(
2
)
ある行列式の超離散化について
長井秀友(早稲田大学),高橋大輔(早稲田大学)
超離散化可能な,ある形式の行列式そ紹介する.特に本発表ではこれを超離散パーマネ
ント形式で与えることで,離散・超離散系での対応をみる.
(
3
)
交差点部における信号機の最適オベレーションおよびドライバーの最適行動
野村宗広(東京大学),西成活裕(東京大学)
交差点合流部における混雑の解消策を信号機のオペレーションとドライパー行動の改善
という 2つのアプローチから、セルオートマトンを用いたコンピュータシミュレーシヨ
ンおよび理論解析によって明らかにした。
(
4
)
離散口トカ・ボルテラ系に関連する拡張型フィボナッチ列について
赤岩香苗(京都府立大学),岩崎雅史(京都府立大学)
本講演では,離散ロトカ・ボルテラ (dLV) 系に拡張型フィボナッチ列を保存する数理
構造が含まれることを説明する.また, dLV変数の lつは,ロ→∞のとき,差分間隔 6
;;;r係数に含む代数方程式の実数解に一致することを報告する.
よ
h
戸 d
唱E
ハU
(
5
)
L Rflowから導かれる離散ハングリ一系のベックルント変換
福田亜希子♂(東京理科大学).演洋輔(東京理科大学).山本有作(神戸大学).岩崎雅史
(京都府立大学).石渡恵美子(東京理科大学).中村佳正(京都大学)
離散ハング、リー戸田方程式および和型と積型の離散ハングリーロトカ・ボルテラ系は離
散可積分系として知られている.これらを LR変換と関連付けることによっで. 3種類
の聞に存在する B"acklund変換を導出する.
(
6
)
粉粒体モデルによる密集状態シミュレーション
増田匠(東京大学).西成活裕(東京大学)
粉粒体とは固体粒子の集合であり,その集団としての性質は非常に複雑である.また,
動的な挙動は群集の密集状態の運動と関連している.本研究では,実験と数値計算を用
いて,群集運動と比較できるような粉粒体の運動を考察する.
(
7
)
雑踏における歩行者の動きのモデル化について
田中裕貴(東京大学).大壕一路(東京大学).西成活裕(東京大学)
雑踏を歩く際には、思うように進めずストレスが溜まるものである。本研究では、従来
のセルオートマトンによるアプローチに加え、雑踏のクラスター性に注目した歩行者の
モデル化を行い、両者を比較した。
(
8
)
Cauchy双直交多項式のスペクトル保存変形
三木啓司(京都大学)
Cauchy双直交多項式は. D
e
g
a
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p
e
r
i
sP
r
o
c
e
s
i方程式の逆散乱問題に付随する P
a
d
'
e近
似問題を解く際にあらわれる多項式列である.本発表では. Cauchy双直交多項式に対
してスベクトル保存変形を導出し,そこから非線形な方程式系が導出できることを示
幽
す.
(
9
)
群集運動におけるパーソナルスペースの獲得過程
江崎貴裕(東京大学).西成活格(東京大学)
群集が狭い領域に整列した状態から一定のスペースに広がるとき、個々人がそれぞれの
ノ'¥-ソナルスペースを獲得するまでには周りの他人との相互作用が大きな問題となる。
個人間の排斥ポテンシャルを駆動力とする新たな離散モデルを紹介する。
(
10
) Fr
obenius-Stickelberger
・
,T
hiele連分数とグラフ上の径路の数え上げ
上岡修平(京都大学)
Fr
o
b
e
n
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S
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l
b
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r
g
e
r
-T
h
i
e
l
e(FST)連分数(北a
.T
h
i
e
l
e連分数)について、その組合
せ論的な構造を明らかにする。 FST連分数は FSTc
h
a
i
nなどの離散可積分系や、RlI
有理関数などの直交関数と関連する多項式係数の連分数であるが、ここでは多点 Pade
近似との関連に着目する。特に FST連分数による多点 Pade近似の逆問題が、とある
グラフ上の径路の数え上げにより組合せ論的に解くことができることをみる。
(
1
1
) 固有値分解のための超平面制約法に対する理論解析
吉武奈緒美(京都府立大学).岩崎雅史(京都府立大学).近藤弘一(同志社大学)
行列の固有値分解アルゴリズムとして、超平面制約法が提案されている。特異値分解用
の超平面制約法に対しては解析が進んでいるが、固有値分解用に対しては、多くの部分
が理論的に未解明である。本発表では、固有値分解用の超平面制約法に対して理論解析
を行う。
(
12
) 各箱の容量が一般の運搬車付き箱玉系と有限格子上の超離散系
前回一貴(京都大学).辻本諭(京都大学)
箱容量 1の箱玉系と超離散戸田分子方程式との対応関係が知られている.これを拡張
し,各箱の容量一般,各時刻の運搬車容量一般の場合まで一般化した場合に対応する有
限格子上の超離散方程式を提出する.また,この超離散方程式の逆超離散化によって得
られる離散方程式について議論する.
-1
0
6
(
1
3
) 人の反応の伝播速度と膨張波
友枝明保(明治大学).柳津大地(東京大学).今村卓史(東京大学).西成活裕(東京大学)
一列に並んでいる人々が前方の動きに反応して歩き始めるダイナミクスは、波動にお
ける膨張波の伝播として捉えることができ、乙の伝播速度は渋滞現象に深く関わって
いる。本講演では、この伝播速度に注目し、実測実験と数理モデルによって検証したの
で、報告する。
(
1
4
) 水面孤立波の二次元的伝播に関する実験
辻英一(九州大学).渡辺慎介(放送大学).丸林賢次(九州大学).田中雅彦(九州大学)
浅水孤立波の二次元伝播とその相互作用についての実験を現在行っており,その途中経
過について発表する。二つの造波機により生成される孤立波を相互作用させ,理論が予
測する共鳴相互作用との定性的比較を行う。
(
1
5
) 人の交互退出の創発について
柳津大地(東京大学).西遼佑(東京大学).西成活裕(東京太学)
群集が一人の人しか通過できない狭い出口から退出するとき、二列に並んでいると交互
に出口を通過することによって素早く脱出できる。本研究では、モデルからこの交互退
出のメカニズムを調べると共に、その創発方法についても考察する。
(
1
6
) 浮遊液滴内 Marangoni対流の解析
江口隆大(東京大学).西成活裕(東京大学)
無容器凝固プロセスや非接触物性測定のための基礎研究として、無重力空聞において
表面張力の不均一性から生じる Marangoni対涜について、流体力学の理論を用いて安
定性解析を行った。また、実験との比較を行い、液滴の自由振動の影響について考察し
た
。
(
17
) 超離散戸田方程式の解のグラフによる構成
高垣知哲(京都大学)
離散戸田方程式の半無限格子上の解はグラフにより構成することができる.その解に超
離散化のような操作者E
施すことによって,超離散戸田方程式の解もまたグラフにより構
成できることを示す.
(
1
8
) Max
・p
lus再帰方程式の逆超離散化
難波寛(立教大学).寛三郎(立教大学)
クヌースの 5周期再帰方程式は,超離散化されても周期性を保ち,かつ軌道が多角形上
にある.ここでは,多角形を先に与え,その上を動く再帰 max-plus方程式を作り,逆
超離散化しでも周期性は保たれるのかを調べていく.
開催の期間
参加者
平成 2
1年 1
0月 28日
平 成 22年 1
0月 30日
70名
- 107
22AO-S8参加者名簿
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生太部
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川吾也貴司貴俊介朗也介淳一
一伽伸良史明実健裕貴俊達竜啓輔憲一
平羊裕
附島田宮田原中上村中藤木木ー 村
4議 広 新 原 村 梶 田 池 木 囲 内 水 松 漬 志 森
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氏名
所属
1寛 三 郎
立教大学理工学部
2辻 英 一
九州大学応用力学研究所
3神 吉 雅 崇
東京大学数理科学研究科
4柳 津 大 地
東京大学先端科学技術研究センター
5江 崎 貴 裕
東京大学先端科学技術研究センター
6峯 村 匠
東京大学先端科学技術研究センター
7増 田 匠
東京大学先端科学技術研究センター
8江 口 隆 大
東京大学先端科学技術研究センター
9野 村 宗 広
東京大学先端科学技術研究センター
10今 村 卓 史
東京大学先端科学技術研究センター
1
1時 弘 哲 治
東京大学数理科学研究科
12三 沢 彰 宏
立教大学理工学部
13岩 尾 慎 介
東京大学数理科学研究科
1
4三 村 尚 之
青山学院大学理工学部
15高 垣 知 哲
京都大学情報学研究科
16辻 本 諭
京都大学情報学研究科
1
7友 枝 明 保
明治大学
1
8松 野 好 雅
山口大学
1
9角 畠 浩
富山大学
2
0宮 川 文 香
立教大学理工学部
2
1宇 治 野 秀 晃
群馬高専
22由 良 文 考
はこだて未来大学
23前 回 一 貴
京都大学情報学研究科
24泉 誠
島根大学教育学部
25間 回 潤
日本大学生産工学部
26大 川 豪
立教大学理工学部
27ウィロックスラルフ東京大学数理科学研究科
28津 田 照 久
九州大学数理学研究科
29中 国 信 孝
九州大学数理学研究科
30長 井 秀 友
早稲田大学応用数理
31 三 木 啓 司
京都大学情報学研究科
32上 関 修 平
京都大学情報学研究科
33野 見 山 直 之
九州大学数理学研究科
34野 遁 厚
千葉大学
35安 藤 央
九州大学数理学研究科
36赤 岩 香 苗
京都府立大学人間環境学部
37鴫 谷 瞳
京都府立大学生物環境学部
38吉 武 奈 緒 美
京都府立大学生物環境学部
39福 田 亜 希 子
東京理科大学理学部
40羽 田 亨
九州大学総合理工学研究科
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.
青山学院大学理工学部
早稲田大学名誉教授
京都大学情報学研究科
早稲田大学応用数理
青山学院大学理工学部
九州大学数理学研究科
東京大学先端研
早稲田大学応用数理、
早稲田大学応用数理
早稲田大学応用数理
早稲田大学誌用数理
早稲田大学応用数理
龍谷大学理工学部
東京理科大学数理情報
東京大学先端研
九州大学総合理工学研究科
-108-
職名・学年 備 考
教授
研究代表者
助教
所内世話人
修士 2年
博士研究員
学部 4年
修士 1年
修士 1年
修士 2年
修士 2年
助教
教授
修士 1年
博士研究員
博士 2年
修士 1年
准教授
博士研究員
教授
講師
修士 1年
准教授
准教授
修士 2年
准教授
助教
修士 1年
准教授
助教
博士 1年
助教
博士 1年
助教
修士 1年
准教授
博士 1年
学部 4年
学 部 3年
学 部 3年
博士 2年
教授
教授
助教
修士 2年
修士 1年
助教
教授
修士 2年
博 士 1年
修士 2年
修士 2年
修士 2年
修士 1年
教授
修士 1年
博士研究員
博 士 2年
介夫一之信吉秀雄
哲敬春剛敦望寛隆章利順康貴
国家田村井浦波田田田摩本木
増松吉竹永松難土増黒薩福鈴
oonunU4EnLnda斗 民dRU 守FnHungnU
EUEUmobonobonoauponononO 守F
青山学院大学理工学部
東京大学数理科学研究科
助教
博士 1年
国立天文台
教授
准教授
准教授
助教
中央大学理工学部
日本大学生産工学部
福岡大学理学部
立教大学理工学部
岡山光量子研究所
九州大学応用力学研究所
九州大学数理学研究科
青山学院大学理工学部
九州大学数理学研究科
神戸大理学部
-1
0
9
博士研究員
教授
修 士 1年
教授
教授
博士研究員
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