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総裁ごあいさつ - JBIC 国際協力銀行

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総裁ごあいさつ - JBIC 国際協力銀行
総裁ごあいさつ
年次報告書2003の発行にあたり、国際協力銀行に対する皆様の日頃のご理解と
ご支援に、あらためて心から御礼申し上げます。
1.2002年度を振り返って
(1)世界と日本の経済
2002年の世界経済は、前年(2.3%)を上回る3%の成長を遂げました。しかしな
がら、米国における景気回復は、個人消費の鈍化から緩やかなものにとどまり、また
ユーロ圏は、高い失業率を抱え、国内最終需要が低迷しました。一方、アジア地域は
中国の高成長もあり、比較的堅調な成長(6.5%)を達成しましたが、2003年は重症
急性呼吸器症候群(SARS)が上半期の経済に与えた影響も懸念されます。
わが国経済に目を転じれば、2002年度の実質GDP成長率は1.5%となり、2001
年度のマイナス1.2%から改善を見ました。これは、公的需要や企業設備投資は前年
度比マイナスでしたが、民間最終消費支出や外需の伸びがこれらを補ったことによる
ものですが、依然、デフレは継続しており、名目値で見れば2002年度のGDP成長率
は前年度に引き続きマイナスとなりました。
2003年の世界経済につきましては、2002年を若干上回る成長が予想されてはい
ますが、米国の双子の赤字、欧州の失業率、わが国のデフレ等、先進国経済はさまざ
まな課題を抱えており、経済のグローバル化が進展しているなかで、比較的堅調な成
長を維持しているアジア経済に大きな影響を与える可能性がある点にも留意が必要
です。
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(2)当行業務に関連する国内外の議論
このような経済状況のもと、2002年度には、国内外で当行業務に関連するいくつ
かの議論が行われました。6月にカナダのカナナスキスで開催されたサミットでは、
世界経済の成長や、貧困削減・持続可能な開発の課題等が主要なテーマとなりました。
また、8月下旬から9月にかけて南アフリカのヨハネスブルグで開催された「持続可
能な開発に関する世界首脳会議」
(WSSD)では、持続可能な開発を進めるための各国
の指針となる「実施計画」が採択され、ODA増額の必要性についても議論されました。
わが国政府も、同会議に先立ち「小泉構想」を発表し、開発途上国の自助努力を支援す
るため、国際社会とのパートナーシップのもと、教育分野等の支援において積極的な
役割を果たすことを表明しました。
一方国内では、10月末に発表された政府の総合デフレ対策において、当行を含む
政策金融機関の機能の積極的活用が謳われました。また、12月に経済財政諮問会議
が取りまとめた「政策金融改革について」では、平成16年度末までの不良債権集中処
理期間に、政策金融を活用することおよび「特殊法人等整理合理化計画」を着実に実
行することが求められています。
(3)2002年度の当行業務
当行としては、こうした国内外の議論を踏まえ、民業補完の原則に十分留意しなが
ら業務を行うことが重要だと考えております。
2002年度の当行の業務について概観いたしますと、出融資・保証実績は、承諾額
が前年度比4%減の1兆9,470億円、年度末の残高は同比2%減の22兆3,702億円
となりました。
国際金融等業務では、政府の総合デフレ対策に沿って、中堅・中小企業をはじめとす
る海外進出企業の資金繰り支援のために、わが国民間金融機関を通じた外貨建て融資
を実施しました。また、プラント輸出等における完工保証(パフォーマンス・ボンド)に
ついてわが国民間金融機関の信用力補完のための保証を新たに実施したほか、
「特殊
法人等整理合理化計画」を踏まえ、航空機輸入金融等で保証機能の活用を進めました。
一方、海外経済協力業務では、2002年4月から2005年3月までの3年間を対象
とした新たな「海外経済協力業務実施方針」を、2002年4月に公表しました。そして、
2002年度にはアジアの電力・ガス、運輸、社会的サービス部門を中心に支援を行い、
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5年ぶりに新規円借款を供与したインドを含む南西アジアの割合が増加しました。
また、環境案件が円借款承諾案件の約4割を占めるなど、海外経済協力業務実施方針
に定められた重点分野を中心に、各国の多様なニーズを踏まえた効果的な支援に努め
ました。
さらに、2002年4月には、環境・社会への影響に一層配慮して業務を実施するた
めに、国際金融等業務・経済協力業務共通の新環境ガイドライン「環境社会配慮確認
のための国際協力銀行ガイドライン」を制定・公表し、2003年10月の施行に向けて
の準備を進めております。
2.2003年度に向けて
2003年度の業務にあたっては、特に、顧客重視の姿勢を徹底いたします。わが国
企業などの顧客の皆様や開発途上国政府等のパートナーに対し、公的機関としてのリ
スク軽減機能、各国や国際機関等との密接なネットワーク、開発や国際金融に関する
知見やノウハウといった当行の強みに基づき、民間部門のみでは対応が困難な付加価
値の高い商品・サービスを提供し、わが国および開発途上国の健全な発展に貢献して
まいります。そして、こうした当行の取組みについては、2002年4月に導入した「業
務運営評価制度」などを通じて、自律的な業務の改善と業務の透明性向上のために、
不断の努力を払ってまいります。
わが国経済は依然として困難な状況にあります。また、開発途上国の貧困や所得格
差は引き続き重要な問題です。こうした状況のもと、わが国および開発途上国の健全
な発展という国際協力銀行の使命・任務は、国際社会と共存するわが国にとって今日
ますます重要であり、役職員一丸となって、一層効果的・効率的に当行の使命・役割
を果たしていく決意でおります。今後とも皆様のますますのご理解とご支援を賜りま
すよう、お願い申し上げます。
国際協力銀行総裁
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