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地域でつなごう、支援の輪
地域でつなごう、支援の輪 ~地域での支援体制整備の進め方~ 学校(園) 保護者 市町村教育委員会 労働機関 保健福祉関係 医療機関 福島県教育庁特別支援教育課 もくじ 活用にあたって 1 〈相談・支援に関する情報の提供〉 研修会、特別支援教育啓発セミナーの開催 2 ~伊達市における研修会や特別支援教育啓発セミナーの開催~ 〈関係機関の連携による相談・支援の実施〉 関係機関が連携したケース検討会 6 ~田村地方特別支援教育推進連絡会「サポネット田村」の取組み~ 〈関係機関の連携による相談・支援の実施〉 保護者・本人に寄り添った相談支援について 10 ~西郷村立小学校弱視特別支援学級新設に向けた取組み~ 〈関係部局・機関・関係者のネットワーク構築〉 特別支援教育連携協議会の活動について 14 ~会津美里町特別支援教育推進チームの取組み~ 〈関係機関連携による協議会の取組み〉 二つの連携協議会が共同して取り組む支援体制 18 ~南会津地域支援連携協議会「‘共に育ち、共に学び、共に生きる’ 南会津を考える会」と「南会津地方地域自立支援協議会」について~ 〈相談支援ファイルの作成・活用〉 相談支援ファイル「かけはし」の作成について 22 ~南相馬市・飯舘村自立支援協議会の取組み~ 〈専門家の巡回による教職員への指導・助言や保護者への相談支援〉 専門委員による指導・支援の充実 26 ~いわき市立幼稚園統合保育実施園の取組み~ 〈関係機関の連携による「個別の支援計画」の策定〉 5歳児発達相談による子育て支援 ~三春町での取組み~ 30 活用にあたって 子どもたちは、障がいのあるなしにかかわらず、地域の多くの人々に見守られ、地域 の人々との多様な経験をとおして学び、心身共に成長していきます。特に、障がいのあ る子どもたちは、地域での理解や協力が必要であり、ライフステージに応じた支援が求 められています。 福島県教育委員会では、本県における特別支援教育の基本理念を「地域で共に学び、 共に生きる教育」として、障がいのある子どもたちが地域で一貫した支援を受けること ができるような体制の整備、地域の幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校にお いて学ぶことができる環境づくりに取り組んでいます。 各地域においては、教育と保健福祉部局が連携協同して、「障害のある子どものための 地域における相談支援体制整備ガイドライン(試案)」(平成20年3月、文部科学省・ 厚生労働省)を参考にして、支援体制の整備・充実に向けた取組みを推進しています。 支援体制整備・充実に向けた取組み 1 関係部局・機関・関係者のネットワークの構築 2 相談・支援のための全体計画(マスタープラン)の策定 3 地域における相談支援体制 4 関係機関の連携による相談・支援の実施 5 専門家の巡回による教職員への指導・助言や保護者への相談支援 6 関係機関の連携による「個別の支援計画」の策定 7 相談支援ファイルの作成・活用 8 関係機関の合同による研修会等の開催 9 相談・支援に関する情報の提供 具体的には、特別支援連携協議会や地域自立支援協議会子ども部会等のネットワーク を設置したり、相談支援ファイルを作成して就学や学校での支援に活用したりなどの取 組みが進められています。また、地域の方々へセミナーを開催して、特別支援教育に対 する理解啓発を図っています。 そこで、各市町村で子どもたちを支援する取組みの参考にしていただき、支援の輪を 広げてもらいたいと思いますので、今まで各地域で進めてきた支援体制整備の取組みに ついて御紹介します。 <相談・支援に関する情報の提供> 研修会、特別支援教育啓発セミナーの開催 ~伊達市における研修会や特別支援教育啓発セミナーの開催~ 1 伊達市における研修会や地域啓発セミナーの開催について 伊達市は福島県の北部に位置し、福島市の北東に隣接しています。平成18年1月に 伊達町、梁川町、保原町、霊山町、月舘町の5町が新設合併して発足しました。 伊達市教育委員会では「地域で共に学び、共に生きる教育」の理念の具現化や特別支 援教育の支援体制整備充実のために、保健福祉等の関係機関との連携に意欲的に取組み、 支援を進めています。 さらに障がいの特性や指導・支援方法などについて教職員の専門性を高めるために、 研修会の充実を図ったり、保護者や地域へ特別支援教育についての啓発を図るためにセ ミナーを実施したりして理解を深めていきたいという考えのもと、取り組みを進めてい ます。また、震災の影響に配慮し、ストレスマネジメントの研修も取り入れてきました。 2 平成23年度における主な研修やセミナーの実施 (1) 教職員の専門性向上のための研修会 ・ 特別支援教育介助員研修会 ・ 特別支援教育コーディネーター研修会 ・ 特別支援教育管理職研修会 (2) 地域への理解啓発のための研修会 ・ 特別支援教育啓発セミナーの開催 (3) 各幼稚園や保育園、小・中学校における校(園)内研修会の実施 3 研修会実施にあたっての各機関の連携状況 養護教育センター ・研修内容への助言 ・研修会の講師 講話・指導助言等 特別支援学校 ・センター的機能によ る支援 ○ ○ ○ 伊達市教育委員会 ・研修計画の立案 関係機関との連絡調整 ・県北教育事務所との相談 研修内容、講師等 ・研修会の運営、実施 ・反省と次年度に向けて 幼稚園、保育所 小学校、中学校 関係機関等 県北教育事務所 伊達市の支援体制の考え方や方向性の把握 研修会の実施におけるニーズの把握、連携、協力及び講師との連絡調整 各研修会への参加(講話・指導助言等) ○ ○ ○ 特別支援教育課 県北地域の支援体制整備に向けた支援 研修内容や講師についての指導助言 研修会やセミナーへの出席 4 各研修会の実施状況 (1)特別支援介助員研修会 伊達市では特別支援教育支援員を特別支援教育介助員と呼んでいます。介助員は 支援の必要な子どもに日常生活の介助や学習支援、活動の支援などを行っています。 障がいの特性を踏まえた適切な支援を必要とされていることから、研修の重要性が 叫ばれています。 <研修内容> 講師:養護教育センター指導主事 1 講義「障がいの理解と対応について」 ・障がいの理解 ・特別支援介助員の役割 2 疑似体験「障がいのある児童生徒とのかかわり方」 3 ロールプレイング「担任との関係づくり」 4 協議「特別支援介助員としての取組み」 参加者は各小・中学校 の特別支援介助員 <障がいのある子どもの状況を疑似体験しました> 〈視野が狭い状態でノートに書く体験〉 〈見えにくい状態でお菓子を食べる体験〉 疑似体験をすることで、子どもの 子どもが努力していることが理解できま 大変さや難しさが実感できました。 した。まず、子どもを変えようとするので はなく、自分が変わろうと思いました。 (2)特別支援教育コーディネーター研修会 特別支援教育を進めるためには、特別支援学校や医療、保健福祉機関等との連携 協力が必要です。特別支援教育コーディネーターは保護者や関係機関に対する学校 の窓口として、また校内の連絡調整の役割を担う者として、位置づけられています。 <研修内容> 講師:養護教育センター指導主事 1 協議「各園、各校の特別支援教育の取組みについて」 2 演習「個別の教育支援計画の作成について(ケース検討の進め方)」 3 講義・演習「支援を要する幼児児童生徒のストレスマネジメントについて」 ・子ども の思いや願いに寄り添った支援の大切さを 学ぶことができました。 ・「個別の教育支援計画」の作成の仕方については 今までは困り感ばかり話し合ってきましたが、今後 はこのような方法で話し合ってみたいと思いました。 ・ストレスマネジメントはかなりリラックスできて 驚きました。子どもの集中力が途切れた時や体育の 〈リラクゼーション体験の様子〉 時間に行ってみたいと思いました。 <個別の教育支援計画作成のためのケース検討の進め方を研修しました> 1 事実の整理をして、子どもの姿を考えました。 2 事実の場面での子どもの考えや思いを推測しました。 3 事実をもとにして、背景や要因を考えました。 場面 子 ど も の姿 ( 行動 の 事実) そ の 時 の子 ど もの 思 いや 考え 背 景 や 要因 と 考え ら れる こと 子 ど も の 全 体 像 (中 心的 な 課 題と そ の背 景 ) 支援策 ※ 子 ども の姿や 思 い 、課 題 と背 景 から 具体的 な 支 援策 を 考え て いく 。 (3)特別支援教育管理職研修会 各学校や幼稚園においては、校長(園長)のリーダーシップのもと、全校的な支 援体制を確立し、組織として十分に機能していくようにすることが望まれています。 そのために、管理職の研修会も重要と言われています。 <研修内容> 講師:養護教育センター指導主事 1 講義「管理職に求められる特別支援教育におけるリーダーシップ」 2 協議「各学校における特別支援教育の取組み」 管理職を中心とした組織的な取組み について研修を行いました。 協議会では、全職員でニーズに応じ た支援に取り組むための校内研修のあ り方や保護者への支援について意見を 交換しました。 〈管理職研修会の様子〉 (4)特別支援教育担当者研修会 ① 小学校の自閉症・情緒障がい特別支援学級の授業研究会の実施 ② 中学校の知的障がい特別支援学級の授業研究会の実施 <研修内容> 講師:養護教育センター指導主事 1 授業の実際(研究授業) 2 事後研究会 3 助言・指導 など 子どもの特性を把握した指導や支援のあり方にポイントを絞り、授業に ついて振り返りました。子ども同士のかかわりを大切にしたソーシャルス キルトレーニングのあり方、教科の専門性の生かし方などを伊達市内の特 別支援学級の担任が参集し、研修しました。 教育課程の編成についてもグループで協議をしました。 特別支援学級の先生方より、担任の授業力や専門性向上のために特別支 援学級の授業研究会を今後も実施したいという声が聞かれました。 (5)特別支援教育地域啓発セミナー2011in伊達「教育講演会」の開催 本セミナーの開催にあたっては、関係機関の方々が連携協力して準備を進めま した。温かな雰囲気のチラシができあがり、保護者や地域の方々、保育、教育、 保健福祉担当者等へ広くチラシを配布し、参加を呼びかけました。 講演テーマ「もっと子どもを見つめてみませんか」 ~みんなが地域でともに学び、共に生きるために~ 講 師:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育情報センター 総括研究員 梅田 真理 先生 <講演の主な内容> ・ 障がいのある子どもには一貫した方針で切れ目のない支援が必要であること。 ・ 保護者・教師それぞれの立場の違いを理解し、歩み寄ることが大切であること。 ・ 発達の特徴と発達障がいの境界ははっきりしていない。さらに障がいの特性は 異なっており、子ども自身に何らかの「発達の特徴」があるために、気になる行 動やふるまいをすること。 ・ 理解の第一歩は知ってもらうことから始まること。など 特性は重なっている 知的障害 自閉症 ADHD 広汎性発達障害 アスペルガー症候群 LD <図1 講演会資料より> <講演中の梅田先生> <参加者の感想から> ○ 障がいのあるなしにかかわらず、子どもにしっかりと生きる力をつけることが 大切であることを考える機会になりました。 ○ 子どもが自分は大切な存在と感じられることが重要だと思いました。 ○ 発達障がいの子どもに必要な支援は、障がいのない子どもにもわかりやすく安 定できる状況をつくるということがわかりました。 ○ 今後もこのようなセミナーを開催してほしいです。教職員と保護者が共に研修 でき、地域の教育力が向上すると思いました。 5 終わりに 今年度実施した研修会や地域啓発セミナーの 感想から、地域での研修会の実施を望 んでいる方々が多いことが把握できました。次年度の研修内容の要望も聞かれていま す。今年度は、講師として養護教育センターから数多く来ていただき、より専門性の 高い研修を行うことができました。特別支援学校のセンター的機能を活用している学 校もあります。県北教育事務所では、今後も伊達市教育委員会と相談しながら研修会 や地域啓発を進めていくと共に、県北の各地域とも連絡を密に取りながら、各市町村 における特別支援教育の充実を図るための望ましい研修や啓発のあり方について、検 討及び支援をしていきたいと考えています。 〈関係機関の連携による相談・支援の実施〉 関係機関が連携したケース検討会 ~田村地方特別支援教育推進連絡会「サポネット田村」の取組み~ 1 田村地方特別支援教育推進連絡会「サポネット田村」について ※サポネット:「サポート・ネットワーク」の略 平成18年に田村市・三春町・小野町で共同設置した組織です。 ○サポネット田村委員:幼稚園・保育所、小・中・高等学校関係者、教育委員会担 当、医師、児童福祉司、保健技師など 30名程度 ○特別な支援を必要とする子どもの学びと生活を地域で支えていくための様々な取 組みを行っています。 ① 支援体制の整備及び支援方法の検討 ・ サポネットファイルの作成と活用 ・ ケース検討会 ② 就学指導(訪問調査、審議) ③ 学校、保護者等への支援 ・ 学校等への訪問支援(サポネット田村委員や県中教育事務所指導主事等) ④ 教員研修の充実 ・ 委員研修 ・ 支援員研修 ・ 特別支援教育コーディネーター研修 ・ 教職員研修 ・ 管理職研修 ・ 啓発セミナー ⑤ 地域・保護者への啓発 ・ 特別支援教育啓発セミナー 2 サポネットファイル 子どもと保護者の願いを受け止め、関係 機関が共通認識の下に一貫した支援とその 充実を図るため、個別の教育支援計画を含 めた「サポネットファイル」が作成されま した。すでに田村地区の各学校等や関係す る機関には配付され、活用が進んできまし た(図1、2)。 「サポネットファイル」を活用すること で、関係機関が連携を密にしながら、就学 前から就労まで必要な支援が途切れなくつ ながっています。 〈図1 サポネットファイル〉 〈図2 リーフレット「サポネット田村」について〉 サポネットファイルの作成と活用 ◇ 子どもの支援にかかわる人たちが、それぞれの願いや取組み(成果・課題)を共 有し、共通認識に立った支援を行うためのものです。 ◇ 3 具体的には、 ① 子どもの実態をできるだけ正確に把握します。 ② 保護者の願いを聞きます。 ③ 教育や医療、保健、福祉等の関係機関の支援状況を把握します。 ④ 保護者や学校、関係機関が連携しどのような支援を行うかを決めます。 ⑤ 支援の成果や課題を随時確かめながらよりよい支援を考えていきます。 ケース検討会の実施 サポネット田村では、ケース検討会を年に 3回行っています。ケース検討会は委員全体 の特別支援教育に関する研修後に行われます。 平成23年度は、幼稚園、小・中学校に在 籍する4名の子どもを抽出してケース検討会 を行いました。ケースごとに支援班が組織さ れ、各委員の専門的な視点から課題を整理し、 支援策を検討しました。 〈支援班によるケース会議の様子〉 (1)趣旨等 ① 「個別の教育支援計画」の作成・活用をとおして、より効果的な支援を行うた めの具体策や課題等を明らかにし実践を重ね、田村地区全体の特別支援教育の充 実に資する。 ② 具体的な支援の必要場面における課題等を把握・検討・整理することによって 「サポネット田村」が効果的に機能するための方策を見出す。 (2)方法及び内容 支援班について(7~10名程度) ○ ケース発表者(担任等) ○ 所属する校種及び機関が異なる委員 ○ 専門的なサポートチーム(医師、児童福祉司、保健技師、特別支援学校教員など) ○ アドバイザー(特別支援教育課指導主事、県中教育事務所指導主事、養護教育セ ンター指導主事) ケース検討会 保育所・幼稚園、小・中学校等 1 ○ 課題等の整理 ・ 担任等から子どもの様子や課題と なることの説明 ・ 2 子どもの実態と課題の整理 ○ 指導支援の経過や変容の整理 PDCAサイクル 指導支援の質的向上 具体的な支援の在り方や方向性など の協議 3 実践 サポネットファイルや各種記録等 をもとにした各委員の意見交換 ・ 提案された支援策を取り入れた 支援策の検討と提案 (検討) ○ 指導支援についての成果と課題 ○ 支援策についての評価と修正 4 ケース検討会訪問調査の実施 今年度からケース検討会の前に、支援班の委員が対象となる子どもの保育や授業を参 観する「ケース検討会訪問調査」(以下、訪問調査)が導入されました。 ケース検討会訪問調査 委員が直接参観する。 参観後 には学校 長等と の意見 交換の場 を設定 する。 子どもや担任が困ったり悩んだりしていることを より詳細に捉え、ケース検討会に生かす。 校内支援体制整備の視点や保護者や地域との連携 について検討する良い機会になる。 訪問調査後のケース会議(成果) ○ 参観の様子から現在の指導支援の目標やかかわり方、環境設定等の妥当性が細か く検討された。 ○ 保護者や地域との連携を含め、より有効であると考えられる支援策がいくつか提 案された。 ○ 授業において継続して支援する内容やその優先順位、修正を加える内容、あるい は学校全体でチームになって取り組むべき内容等を整理する機会になった。 5 サポネット田村委員の派遣 各保育所・幼稚園、小・中学校等において支援を必要とする子どもへの支援の在り方 について、各校のニーズに応じて講師(サポネット田村の委員)を派遣し、各校の特別 支援教育の充実をめざします。 事前に電話で事務局に連絡 事務局において講師の調整 講師 サポネット田村委員 県中教育事務所指導主事 学校等を訪問しての具体的な支援の在り方の検討 〈 授業参観による実態把握〉 成果 ○ ○ 組織的な体制を支援 具体的な支援による指導力の向上 田村市 教育委員 会指導主事等 〈 事後協議会による検討〉 ○ ○ 校内の組織力の向上 保護者、関係機関との連携 6 サポネット田村と県中教育事務所が連携した支援 訪問調査とケース検討会に先立ち、サポネット田村の要請を受けて、県中教育事務所 の指導主事が小学校訪問支援を行いました。そこで対象となった児童は、後のサポネッ ト田村のケースとなり、ケース検討会と訪問調査が行われました。県中教育事務所の指 導主事はいずれにも参加し、担任や学校への情報提供や助言を継続して行いました。 担任も学校も子どもをしっかり支援しようと、熱心に取り組んでいました。しかし、 悩みや課題があることも事実です。その悩みや課題の解決に向け、サポネット田村では 次のような取組みを展開しています。 悩みや課題解決に向けた取組み ① 学校とサポネット田村が子どもの情報を共有をする。 ② サポネット田村と県中教育事務所が連携して支援をする。 ③ 訪問調査やケース検討会をとおして学校・担任の支援の質を高めていく。 ④ 実践結果を検証し、さらに必要とされる支援を行う。 この一連の取組みは、まさに子どもの教育的ニーズに応じた指導支援の充実と、担任 の指導力の向上に直結するものと考えます。同時に、管理職や同僚を含めたチーム支援 体制づくり、子どもや保護者を地域の関係機関が支援するネットワークづくりに結びつ くものとなっています。 7 終わりに 子どものより良い姿を支えていくサポネット田村の取組みは、田村地区全体の特別支 援 教 育 の 充 実に 寄 与 す る も の で あ り 、そ の 体 制 づ く り も 着実 に 進ん で いま す (図 3)。 このことは、田村地区の子ども一人一人の「地域で共に学び、共に生きる教育」がさ らに推進されることにつながり、これからの成果が大いに期待されます。 今後もサポネット田村の取組みのさらなる充実に向けて、連携して支援していきたい と考えます。 〈図3 サポネット田村の学校等支援体制〉 <関係機関の連携による相談・支援の実施> 保護者・本人に寄り添った相談支援について ~西郷村立小学校弱視特別支援学級新設に向けた取り組み~ 1 はじめに 平成20年度、対象児の在籍保育園長から西郷村教育委員会に、平成23年度就学予定 児に未熟児網膜障がいの子どもがおり、その状況及び保護者の就学希望について連絡があ りました。保護者は県立盲学校の教育相談を行い、就学前教室で指導を受けるようになり ました。 平成21年度は、同村の保健師より西郷村教育委員会に村内小学校への就学受け入れに つい て 、「 対 象 児 が 村 内 の 小 学 校へ 就 学 を 希 望 して お り、 両 親は 福 島市 の 盲学 校 まで 送 迎 が で な き い こ と 」「 通 学 可 能 な 地 域 へ の 転 居 も 勤 務 の 関 係 で 無 理 で あ る こ と 」「 寄 宿 舎 へ の入所は親の愛情が必要な時期でもあり、情緒面で不安定になること」といった内容の相 談がありました。 そのため、まず保護者に就学を希望する小学校(共通学区:A小学校、B小学校)を見 学してもらい、その様子について学校から教育委員会に報告し、逆に教育委員会担当者、 各小学校長が保育園へ出向いて対象児の様子を見学し、実態を把握することにしました。 2 西 郷 村 教 育 委 員 会 と 県南 教 育 事 務 所 の 連 携 (視 覚 障 が い 児 支 援の た め の 連 絡 協議 会 ) 上記の経緯から、平成22年度より西郷村教育委員会と県南教育事務所が連携し、視覚 障がい児支援のための各種情報交換(研修会、教材・教具、教科用図書等について)を行い、 視覚障がい児支援のための連絡協議会を設立しました。 ○第1回目 平成22年5月24日(火) ・本委員会:適正就学及びニ ーズに応じた適切な支援のた めの打合せ ○第2回目 平成22年5月28日(金) ・保護者:就学先は村内の小 学校での就学を希望している。 ・本委員会:保護者の希望確 認と対応についての協議 ①保護者の就学先の確認。 ②子どもに関して現在の状況 の 確認 。 ③通常の小学校と特別支援学 校との相違点の説明。 ・西郷村教育委員会教育長、学校教育課職員 ・県南教育事務所特別支援教育担当指導主事 ・A小学校長・B小学校長 ・対象幼児の両親 ○第3回目 ○第4回目 平成22年7月22日(木) 平成22年11月1日(月) ・保護者:村内の小学校に就 ・保護者:A小学校に弱視学 学させ、できれば弱視学級に 級が設立された際は、祖父母 入級させたい。 が近くなので送迎は可能であ ・本委員会:保護者の希望の ること。教科書、備品関係を 最終確認と支援体制構築のた 心配している。 めの協議 ・本委員会:今後の学級設置 ①弱視学級と通常学級(共に についての見通しと支援体制 学ぶ環境づくりプランの活用) 構築のための協議。 についての説明。 ①A小学校で弱視学級新設を ②就学指導審議会の判断をも 申請したことを説明。 とに再度検討することを説明。 ②点字教科書も依頼済みと説 明。 2 弱視特別支援学級設置に向けての取り組みについて 4回にわたる保護者との話し合いの結果、子どもの将来 性及び家庭教育における保護者の重要性を考慮し、現段階 で福島市の県立盲学校へ入学するより、本児の居住地域に おいて「地域で共に学び共に生きる教育」を実施すること が本児にとっては効果的であるという結論に達しました。 以下は弱視学級の新設編制に際して、西郷村教育委員会 が提出した文書の流れです。 (1)平成22年9月17日(金) 平成23年度学級編制に係る書類の提出 (平成22年10月1日現在) 西郷村立A小学校弱視学級1名で新設と 記入し県南教育事務所に説明した。 ○第5回目 平成23年2月8日(火) ・保護者:送迎の問題があり、 児童館に預けることも視野に いれている。 ・本委員会:具体的な支援体 制構築に向けた協議 ①弱視学級設置をA小学校で 申請し、県の動向しだいと説 明。 ②備品関係も議会次第だが3 月補正で対応すると説明。 ③児童館は管轄外なので福祉 課に確認するようお願いした。 (2)平成23年1月6日(木) 弱視学級設置要望書を提出 し、県南教育事務所に説明し た。 (3)平成23年1月12日(水) 平成23年度学級編制協議書及び 学校別学級数調べの書類を提出した。 (平成23年1月31日現在) (4)平成23年5月1日(日) 福島県教育委員会より学級 編制の同意についての文書 が届く。 3 点字教科書に関する取り組みについて (1)平成22年10月22日(金) 特定非営利法人にじの会へ弱視者用の点字教科書 を作成依頼しました。 (2)平成23年4月 児 童 の も と に国 語 と算 数 の点 字 教科 書 とに じ の会 で 作成した点字教科書が配布されました。 <点字教科書と教科書> 4 弱視学級備品購入の取組について ○3月補正予算で購入した備品 ・点字タイプライターパーキンスブレイラー ・点字印刷可能テプラ ・点字用紙厚手110キロ ・点字テープカートリッジ12 mm、 点字テープカートリッジ24 mm ・タックペーパー透明(大)、 タックペーパー透明(小)、布粘着テープ <点字タイプライターパーキンスブレイラー> 5 視察関係の取り組みについて (1)平成22年4月28日(水) 本児が通園しているまきば保育園へ行き、園での様子等を視察した。本児の様子から 視覚的なハンディ以外は、当該学齢児並の基礎的な学力があることが推測されました。 (2)平成22年12月3日(金) 西郷村教育委員会の担当者と県南教育事務所指導主事が県立盲学校に視察に出向き、 今後必要となる備品の確認及び使用方法などについて助言をいただきました。 (3)平成23年3月17日(木) 弱視学級設立に向けて、視覚障がいの児童が学んでいる相馬市立C小学校へ備品、施 設の状況を視察予定でしたが、東日本大震災のために中止となってしまいました。 点字指導 6 県立盲学校との連携について (1)盲学校と保育園の 視覚障がい児支援のための連絡協議会 弱視特別支援学級設置後の支援 連 携 ( H22.6/24 相 談 西郷村立A小学校 担当者の保育園訪問) 保育園 (2)盲学校と県南教育 教育委員会 弱視特別支援学級 事務所との連携 ・担任に対する支援 教育事務所 (11/22 盲学校担当の ・本児に対する支援 ・教材・教具の工夫 県南教育事務所来所) 移行 (3)支援体制整備のた 本人 小学校 め の 情 報 収 集 ( 12/3 保護者 教委担当者、事務所 教育委員会 指導主事が盲学校訪 問) (4)本児及び家族への 教育事務所 情報交換 県立盲学校 県立盲学校 支援について連絡協 議会による話し合い 以前より、本児の養 <図1 就学前の支援と就学後の支援体制の移行について> 育について保護者からの相談があり、県立盲学校が関わっていました。点字に関する 学習については、平成22年7月15日より平成23年3月4日までほぼ毎週2回、 保護者と一緒に県立盲学校を訪問し、指導を受けていました。 学習内容については、点字の「五十音読み」や両手読みを中心にパーキンスブレイ ラーを使って「五十音」「家族の名前」「数字」の「書き」を学習しました。 東日本大震災以降、入学までは指導を受けることができませんでした。(図1) 7 弱視特別支援学級への支援について 早期からの保護者及び本人に寄り添った各関係機関の支援によって平成23年度4 月、西郷村立A小学校に弱視特別支援学級が設置され、本児は無事に入学することがで きました。 しかし、担任も弱視特別支援学級の担当は初めてであり、点字での指導に不安を抱え ていました。そのため、県南教育事務所指導主事がA小学校からの派遣依頼を受け、授 業に関するアドバイスだけでなく、点字の基礎について担任や特別支援教育コーディネ ーターへも継続した支援を行い、以下の日程で訪問しました。 (平成23年5月11日、31日、6月6日、6月10日、7月5日、7月12日) 8 おわりに 平成23年11月28日、A小学校第1学年全員が食 堂に集まり合同の学級活動が行われました。その中に、 もちろん本児も参加していた。内容は、盲学校で本児の 指導を行っていた教諭による講話で「見えない・見えに くいってどういうこと?」という御自身が全盲でありな がら日常生活をみんなと変わらずに送っていることや、 そのために少しお手伝いしてほしいことなど約30分の 講話でした。 最 後 に 、「 じ ゃ あ 今 ま で の 話 を 聴 い て 、 弱 視 特 別 支 援 学級の本児に何か聞いてみたい人は?」という質問に多 く の 児 童 の 手 が 挙 が り ま し た 。「 ご 飯 は ど う や っ て 食 べ てい ま す か 。」「 洋 服 は ど うや っ て着 る んで す か。」「 階 段 は ど う や っ て 登 る の 。」 な ど そ れ ぞ れ の 質 問 に 対 し 、 本 児が「みんなと同じで・・・」と前置きした上で、しっ かり大きな声で答えていた姿が印象的でした。 <盲学校教諭による講話の様子> 今回の講話によって1年生全員が本児のことを「見えないからいろいろなことができな い」存在から「見えないだけで本当はいろいろみんなと同じようにできる」存在へと変わ ったように感じられました。本児の保護者もこの授業を参観されており、保護者にとって も本当にうれしいことのように見えました。 本県においては、8月に平成23年度の人事異動が行 われ、A小学校弱視特別支援学級においても担任が替わ り、県立盲学校から担任を迎えることができ、本人及び 保護者も安心して2学期を迎えることができました。 また、上記のように盲学校の継続的な支援を受けるこ とで、周りの児童が障がいを受容するきっかけとなり、 また職員もアイマスクを使用しての視覚障がいの疑似体 験研修によって、学校 全体で本児を支援して いこうという雰囲気が 高まっています。 今回の事例は、西郷 村教育委員会をはじめ とした 各関係 機関が 早 <視覚障がい疑似体験研修の様子> 期から本児のために、ど んなニーズがあるのかを保護者と一緒に考え、地域に何 が一番必要であるのかを把握し、今までなかったリソー スを関わってきた全員で作り上げてきました。 弱視特別支援学級の新設がゴールではなく、本児に支 援が必要な時に、引き続き各関係機関が連携し対応でき ることが重要であり今後もこの関係性を保つことがまさ <学級前の点字に関する掲示版> に個別の教育支援計画の実現であると考えます。 <関係部局・機関・関係者のネットワーク構築> 特別支援教育連携協議会の活動について ~会津美里町特別支援教育推進チームの取組み~ 会津美里町特別支援連携協議会は、福島県教育委員会と福島県保健福祉部の支援を 受け、地域の特別な教育的支援を必要とする子どもたちの支援体制を構築するために、 平成22年11月に組織されました。 平成23年秋には、町の機構改革により、教育委員会学校教育課と町健康福祉課の 一部が統合し、 「こども教育課」を発足させ、幼保一元化を積極的に進めるとともに、 特別な教育的支援を必要とする子どもたちや、保護者のニーズに応じた支援や教育を 充実させていくための様々な活動を展開しています。 会津美里町特別支援教育総合推進事業 機構図 会津美里町特別支援連携協議会 教育委員会こども教育課・健康福祉課・医師・学識経験者・ 町小中学校代表・保健師・幼稚園保育所代表・児童相談所・ 保健福祉事務所・教育事務所・特別支援学校・その他関係諸機関 (事業内容) ・理解啓発セミナーの開催 ・教職員研修(幼稚園・小中学校) ・職員研修 (支援員・相談員・児童クラブ指導員 ・子どもにかかわるすべての人) ・相談支援ファイルの活用・管理 ・関係各機関との連携・支援体制整備 ○ 特別支援教育推進チーム 小中学校特別支援学級担任 (就学指導審議会専門調査員) こども教育課担当職員 会津教育事務所特別支援担当 特別支援教育コーデイネーター会議 幼稚園・保育所・小中学校の特別支援教育コーディネーター こども教育課担当職員 高田地域連絡会 (旧会津高田町) 認定子ども園・保育所・ 小中学校 ※ 本郷地域連絡会 (旧会津本郷町) 新鶴地域連絡会 (旧新鶴村) 幼稚園・保育所・小中学校 幼稚園・保育所・小中学校 地域連絡会の事業 ・校内、地域内研修会 ・個別支援ファイルの活用(乳幼児期から一貫した支援を行う) ・地域内関係機関の連携及び支援体制整備 1 組織 (1)特別支援教育連携協議会 教育・医療・保健・福祉等の関係者からなる特別支援教育連携協議会により、 発達障がいを含む障がいのある幼児児童生徒に対する支援体制の整備を促進す る。 (2)特別支援教育推進チーム会議 町内小中学校特別支援学級担任(就学指導専門調査員)、会津教育事務所特別 支援教育担当、他により特別支援教育推進について、研修の内容や進め方等につ いて協議する。 必要に応じて保健・福祉関係者と連携し、事業内容を検討する。 (3)特別支援教育コーディネーター会議 各小中学校や幼稚園の特別支援教育コーディネーターにより、各学校、各園の ニーズを把握するとともに学校間の連絡調整を図り、特別支援教育を 推 進 す る 。 各学校において、個別支援ファイルの管理及び活用促進に努める。 (4)地域連絡会 各学校の特別支援教育コーディネーター等を中心に、地域ごとの町立及び私立 の保・幼・小・中の連携を図り、支援体制を強化する。 ア 地域ごとの連携体制整備(ネットワーク作り) イ 地域ごとの研修会実施 2 事業内容 町教育委員会は、関係部局・関係機関の連携協力の下、地域の支援体制整備等、地域 における特別支援教育の総合的な推進と充実を図るため、次の取り組みを行う。 (1)セミナーの開催 ア 教職員を対象とした資質向上のための研修会を実施する。 イ 地域住民、保護者等を対象とした理解・啓発セミナーを開催する。 (2)校(園・所)内研修会の実施 ア 各学校の実態・要望にあわせて、各学校で実施する。 イ 講師選定等は、こども教育課と会津教育事務所が連携していく。 ウ 特に校内支援体制の強化を図る。 (3)子どもにかかわる仕事をしている方々の研修会 ア 教職員、幼稚園教諭、保育士対象の研修会を実施する。 イ 特別支援員、教育相談員等の研修の機会を作る。 ウ 放課後子ども教室、児童クラブ指導員等の研修会を実施 する。 (4)個別支援ファイル「はばたき」の活用 ア 個別支援ファイルの配付と活 用 方 法 の 啓 発 を す る 。 イ 町内関係者の共通理解を図る。 ウ ファイルの様式及び活用の仕方を検証する。 エ 対象児ごとのよりよい支援を検討する。 <サポートファイル「はばたき」> 3 特別支援教育推進チームの活動 特別支援教育連携協議会の設立準備に際して、会津美里町の特別な教育的支援を必要 としている児童生徒の現状と課題、校内支援体制の構築、関係各機関との連携の在り方、 各種研修体制の在り方等、様々な課題があり、教育委員会担当者もどのようにして支援 体制を作っていくか思案していました。 そこで、各小中学校で特別支援教育の状況を把握し、実際に、様々な困難を抱える子 どもたちや保護者、学級担任の相談・支援を担っていた町内の特別支援学級担任がスク ラムを組み、自校の課題解決と町全体の特別支援教育の在り方を積極的に話し合うため の組織として、平成22年6月に教育委員会内に「特別支援教育推進チーム」が結成さ れました。 メンバーは、町の就学指導審議会の専門調査員も兼ねている特別支援学級の担任(特 別支援教育コーディネーター)、教育委員会の担当者に加え、教育庁会津教育事務所の 特別支援担当もオブザーバーとして参加しました。また、会津保健福祉事務所の障がい 者支援チームの担当者や療育等相談支援事業の相談支援アドバイザーからも必要に応じ て助言を受けながら、活動を展開しました。 実務的な内容を検討する機関としての位置づけでしたが、教育長や教育次長も参加す るなど、将来設計も含めた広い視野での活発な議論が行われました。 (1)推進チームのミッション ア 各学校、各園の特別支援教育の現状と課題の把握 イ 教職員の研修ニーズの把握のための調査 ウ 本人・保護者の思いや願いの情報収集 エ 個別相談サポートファイル作成へ向けた先進事例等の調査・研究 オ 特別支援教育コーディネーター会議への提案事項の検討 など (2)推進チームの果たした役割と成果 各学校で特別支援学級の日々の授業 充実や自校の相談・支援を一人で担っ ていた担任の立場から、同じ状況の者 同士が連携し、教育委員会担当者と一 緒になって、町全体の特別支援教育の 理解啓発、充実・振興のための提言を 数多く出していくことができました。 調査に基づく、各学校や各園の研修 ニーズを受けて、それに応える形で工 夫を凝らした校内研修を行うことがで きました。関係各機関(特別支援学校 や養護教育センター等)から講師派遣 を依頼したり、会津域内で先進的な取り組みをしている小学校特別支援学級教諭を招 いたりして、充実した研修を実施することができました。また、保護者や地域のニー ズを捉え、今求められる特別支援教育の視点を大切にした「教育のユニバーサルデザ イン」の考えを広めていくための理解啓発セミナーの企画・運営面でも推進チームの 果たした役割は大きいです。 サポートファイルの検討では、県内はもとより全国各地の資料を集め、定期的な会 議 以外でも検討に検討を重ね、会津美里版としてのサポートファイル「はばたき」 を作成することができました。 これら一連の活動では、「自分たちの力で町の特別支援教育を何とかしなければな らない」という特別支援教育に携わる教師としての思いや願い、使命感、矜持を強く 感じました。一人の力だけでは果たせなかった諸施策を「推進チーム」として共に教 育行政と話し合い、実行に移すことができたことは、今後会津域内外のモデルケース になると考えられます。 4 おわりに 推進チームでは、実務的内容について協議し、具体的な内容や方法を連携協議会やコ ーディネーター会議に提案し、各学校における研修や理解啓発セミナーの運営、サポー トファイル活用に向けた働きかけ等を実行に移すことができました。 しかし、これらの各種施策や事業運営の話し合いをしていくことは、結果的には大き な成果を出すことができたと言えますが、本務である授業や教材研究、校務分掌の業務、 児童生徒や保護者の相談・支援、課外活動などに多忙を極める中で進めなければならず、 時間的制約や各自のスケジュール調整等が課題として残りました。 今後は、どのようにして改善を図っていくかが求められます。そして、そのことが、 発足したばかりの特別支援連携協議会を活発に機能させ、特別な教育的支援を必要とす る子どもたちや保護者のニーズ、地域の期待に応えていくことになると考えられます。 会津美里町特別支援教育連携協議会設置要綱 ( 設置) 第1条 発達障がいを含む全ての障がいのある幼児、児童及び生徒が、自立や社会参加に向けて一人一人の持てる力を 高め、乳幼児期から成人期までの生涯にわたって 生き生きと生活できるようになることをめざし、教育、医療、 保健及び福祉等の関係機関が連携し、一人一人のニーズに応じた適切な教育的支援の充実を図るため、会津美町 特別支援教育連携協議会(以下「協議会」という。)を置く。 (所掌事項) 第2条 協議会は、次に掲げる事項について所掌する。 1) 幼稚園、保育所、小学校及び中学校における特別支援教育の推進に関すること。 2) 特別支援教育の推進において関係する機関との連携及び調整に関すること。 3) その他特別支援教育の充実について必要な事項に関すること。 (組織) 第3条 協議会は、次に掲げる者のうちから会津美里町教育委員会(以下「教育委員会いう。)が委嘱又は任命する 20名以内の委員をもって構成する。 1) 医療関係者 2) 学識経験者 3) 学校教職員 4) 特別支援教育関係者 5) 関係行政機関の職員 6) 福祉関係者 7) その他 2 協議会に委員長及び副委員長各1名を置き、委員の互選によりこれを定める。 3 委員長は、協議会を代表し、会務を総理する。 4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。 (任期) 第4条 委員の任期は2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期とする。 (会議) 第5条 協議会は、委員長が招集し、その議長となる。 2 協議会は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。 3 協議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは議長の決するところによる。 4 協議会は、必要に応じて委員以外の者を参考人として出席を求め、意見を求めることができる。 (庶務) 第6条 協議会の庶務は、こども教育課において処理する。 (その他) 第7条 附 この要綱の施行に関し、必要な事項は、教育委員会が別に定める。 則 (施行期日) 1 この要綱は、平成 22 年 11 月 12 日から施行する。 〈関係機関連携による協議会の取組み〉 二つの連携協議会が共同して取り組む支援体制 ~南会津地域支援連携協議会 「‘共に育ち、共に学び、共に生きる’南会津を考える会」と 「南会津地方地域自立支援協議会」について~ 1 「‘共に育ち、共に学び、共に生きる’南会津を考える会」とは 「南会津を考える会」は、特別な支援を必要とする人々への総合的な支援を推進 するために、南会津の過疎・中山間連携事業「ふるさと南会津、共に生きる地域づ くり推進事業」として、地方振興局、保健福祉事務所、教育事務所の連携により平 成17年度に発足しました。 また、平成18年4月には、本会の事業を推進する要として、南会津教育事務所 内に「南会津特別支援教育センター」が開設されました。 2 「南会津地方地域自立支援協議会」とは 「南会津地方地域自立支援協議会」は、障害者自立支援法に基づき、障がい者の 地域生活支援の核となる支援体制を進めるために、南会津4町村が共同し平成20 年度に設立されました。 両会は、会員や支援体制整備を進める事業内容が重複することもあり、先行して 設立した「南会津を考える会」の支援体制整備や事業内容のノウハウを「南会津地 方地域自立支援協議会」へ提供するとともに、共通する事業の共同開催を通じて、 体制整備を行っています。 特別な支援を必要とする人たち への南会津支援ネットワーク 南会津特別支援教育センター 各学校の校内委員会・特別 町村教育委員会 就 労 支援教育コーディネーター 高等学校 <保 健> 南会津保健福祉事務所 町村の保健師 など <医 療> <労 働> 小学校・中学校 各町村保健福祉担当者 ハローワーク(職業安定所) ジュブコーチ 幼稚園 保育所 町商工会議所 など 県総合療育センター 各学校担当医 <教育・行政> 各病院(精神科等)など 南会津教育事務所(学校教育課) 南会津地方振興局 <福 祉> 県教育庁特別支援教育課 会津児童相談所南会津相談室、民生委員 会津障害者就業・生活支援センター、 南会津地域コーディネーター など 県養護教育センター(相談・出かける支援など) 南会津を考える会 (地域教育相談推進事業など) 県教育センター、特別支援学校など 、 南会津地方地域自立支援協議会 3 連携協議会について 「南会津を考える会」(年間を通じて以下の事業を行っています) 運営事業 ・各関係機関の代表者による「定例会」(年1回) ・実務担当者による「幹事会」(年2回) なお、幹事会については、自立支援協議会との共同開催 生涯にわたる相談支援事業 ・定期的あるいは要請に応じて、相談やケース会議等の実施 ・相談支援の技術向上の研修会や保育所等でのセミナーの開催 ・教育・保健・福祉等関係者合同の研修会の開催 障がい者等就労支援事業 ・障がい児者のインターンシップ受け入れ先や就労先開拓の企業訪問の実施 ・ジョブコーチによる講習会や先進地見学会の実施 ・中学生や成人の方のインターンシップの実施 共に生きる地域づくり推進事業 ・一般の方への障がい児者理解啓発のための研修会や映画上映会の実施 ・障がい児者が地域への参加を促すための行事等への参加推進 ・広報活動 地域で安心して 「南会津地方地域自立支援協議会」 暮らせるまちづくりについて 話し合いをしてみませんか 全体会議 部会参加者 歓迎! ・各関係機関の代表者による全体会(年3回程度) なお、年2回は、南会津を考える会との共同開催 運営会議 ・町村担当者、保健福祉担当者等による協議会の運営会の開催 ・事務局が招集し、毎月開催 共に生きるまちづくり部会 ・障がい児者にかかわる関係者の参加を部会長が招集し、毎月開催 ・障がい者のよりよい暮らしの実現に向けた話し合いと実践 ・研修会や講演会、映画上映会など障がい児者の理解・啓発推進事業の開催 相談支援研修部会 ・町村担当者や各関係機関の職員などの参加を部会長が招集し、偶数月開催 ・障がい児者ニーズの把握や情報収集、共有化の話し合いと相談支援 ・関係者の資質の向上のための研修会等の開催 サービス提供部会 ・障がい者関連事業所職員や町村職員などの参加を部会長が招集し、開催 ・地域に必要なサービス等についての検討、行政等への支援要請 4 事業の主な取り組み (1)生涯にわたる相談支援事業 ① 相談支援技術向上研修会 ・自立支援協議会の「相談支援研修部会」が主体となり、町村関係者をはじめ とする相談支援担当職員の相談支援技術の向上を目的とした研修会の開催。 〈内容〉 ・精神障がい者の支援の一環として、病気と薬の理解を深めるため、精神科の 医師を招聘し、「薬物療法における病気と薬の理解」の講演会を実施など。 ② 相談支援事業 ○ 個別相談の実施(随時)と「個別の支援計画」の策定 ・各関係機関が定期的あるいは要請に応じ、相談支援の実施。 ○ 関係者による相談の記録等を累積し、「個別の支援計画」の策定 ・南会津版サポートファイル「さすけねぇ」の活用と普及 「南会津を考える会」では、 特別な支援を必要とする一人一人が、地域社会の中で生き生きと自立した生活を送るた めに必要とする支援を明らかにし、具体的な支援の指針や方策を、保護者を含めた支援者 (機関)が共有するためのツールとして「個別の支援計画」の策定を推進します。また、 計画書や記録等を集約し保管するサポートファイルを作成し( 「南会津版 さすけねぇフ ァイル」 )活用と普及を図っています。 ~策定手順の例~ フェースシート ○ 本人及び保護者の同意のもとに、必要な情報を記載し、 計画書策定の基本資料とします。 ニーズ整理シート ○ シートに、本人並びに保護者の思いや願い(ニーズ)と ともに、各関係機関で可能な支援を洗い出し、ニーズと支 援方法を整理します。 共に生きる南会津<個別支援マップ ○ 各関係機関の役割を明確にし、相談先等をわかりやすく します。 個別の支援計画 ○ 短期的、長期的な視点から目標を設定し、具体的な支援の方法を記載します。 ○ 個別に相談をしたり、支援を受けたりした内容を簡潔に記載していきます。そのとき、 目標の設定や支援の方法の見直しが必要な場合には、随時修正を図り、有効な計画書と なるようにしていきます。 ☆ 南会津版サポートファイル「さすけねぇ」は、本人・保護者が活用 する支援のツールです。ファイルは、本人・保護者が主体的に活用す ることが基本ですので、その管理は、本人・保護者が行うことが前提 となります。 ○ ミニセミナー&個別支援会 ・域内の幼稚園、保育所等での保護者への講演会、相談会の開催 ・障がいのあるなしにかかわらず保護者の子育て悩みや不安への支援 〈内容〉 ・福島県養護教育センターの指導主事や竹田綜合病院臨床心理士を講師に招聘 し、「乳幼児支援、今を大切に!」を演題に、講演会の開催 ○ 教育・保健・福祉等合同研修会 ・連携協議会が共同で、学校等の教育関係者、保健師や福祉担当者等の保健 〈内容〉 ・特別支援学校の教員を招聘し、養護学校についての講演会の実施 ・地域の支援体制について、関係者による話し合いや課題検討会の実施 (2)障がい者等就労支援事業 ① 就労意欲向上事業 障がい者等による企業等見学 ・自立支援協議会の「サービス提供者部会」が主体となり、企業や各地域活動支 援センター(小規模作業所等)、企業や施設などの見学の実施。 〈内容〉 ・障がい者福祉サービス事業所コパンの見学 ・あさかあすなろ荘のグループホームの見学 ○ 事業所におけるインターンシップ ・南会津特別支援教育センター担当者が関係者と連絡調整の上、特別支援学級 に在籍している生徒や作業所に入所している成人の方に対してインターンシッ プの実施 〈内容〉 ・域内の企業や福祉作業所での実習の実施 ○ (3)共に生きる地域づくり推進事業 ① 地域理解増進事業 講演会や映画上映会 ・自立支援協議会の「まちづくり部会」が主体となり障がい児・者と地域住所 の交流機会を確保するとともに、理解を促進することを目的とした講演会や映 画上映会の開催 〈内容〉 ・「共に生きる南会津2011」「総合研修会」として、大学教授を招聘し、 「連携協議会の在り方」や「障がい児・者の理解」についての講演。 ・「音の城♪音の海~SOUNDtoMUSIC~」映画上映。 ○ 3 終わりに 域内の関係機関が連携した「南会津を考える会」と「南会津地方地域自立支援協議会」 が中心になり、支援体制を確立し、就学前の幼児さらには卒業後に至るまでの一貫した 支 援 体 制 を 整 備 す る こ とに よ り 、「 個 別 の 支 援計 画 」の 作 成や 相 談支 援 ファ イ ル( さ す けねぇ)の活用、各種講演会や研修会による支援技術の向上や啓発活動などを通して、 きめ細かな総合的な支援活動を展開しています。 <相談支援ファイルの作成・活用> 相談支援ファイル「かけはし」の作成について ~南相馬市・飯舘村自立支援協議会 の取組み~ 1 はじめに 南相馬市では平成22年度より、福島県障がい児を育てる地域の支援体制整備事業の 助成を受けて、相談支援ファイル「かけはし」を作成することとなりました。 この「かけはし」は、成長についての大切な記録を集め、生涯にわたり一貫した支援 を受けられること、本人の特性を入園、入学、進級をする際や病院受診の時などにファ イルを関わる方に見せることで、理解していただき、保護者の負担を軽減するものです。 2 作成の経過 平成21年度に南相馬市・飯舘村特別支援広域連携協議会が特別支援教育総合推進グ ランドモデル地域として指定され、相談支援ファイルを作成・活用することとなりまし た。同時期に発達支援室発足に向けて南相馬市の発達支援体制について検討しており、 相談支援ファイルの作成及び活用は発達支援室の事業推進との兼ね合いが深いことか ら教育委員会学校教育課と共同で取組むこととなりました。 平成22年2月~5月までは、親の会・保育士・保健師・教育関係者等による懇談会 を開催し、平成22年7月からは南相馬市・飯舘村地域自立支援協議会発達障がい者支 援部会にて内容を検討してきました。 ところが、原稿が完成し、印刷しようとした矢先に東日本大震災が発生し、成果品に 至りませんでした。しかし、今回の震災でこの相談支援ファイルの必要性を痛感し、災 害時の対応を盛り込み、再度完成に向けて取り組んでき ました。 <相談支援ファイル「かけはし」の運用に向けての取組み> [支援体制の整備・充実] 特別支援連携協議会と地域自立支援協議会発達支援部会が連携したネットワークの 構築 ○ 第1回南相馬市・飯舘村地域自立支援協議会発達障が い者支援部会 平成23年11月10日(木) 南相馬市役所 (1) 震災後の状況報告 (2) 相談支援ファイル「かけはし」について (3) その他 ① 平成22年度発達支援室の業務実績について ② 被災した障がい児に対する相談・援助事業について ③ Smile Factory for 南相馬について ○ ○ 第2回南相馬市・飯舘村地域自立支援協議会発達障がい者支援部会 平成23年12月16日(金) 南相馬市役所 (1) 相談支援ファイル「かけはし」について (2) 災害時における自閉症をはじめとする発達障がいのある方の行動把握と効果的な 情報提供のあり方等に関する調査について (3) 自閉症とコミュニケーション障がい児・者のための療育援助セミナーについて [個別の教育支援計画等の作成・活用] ○ 相談支援ファイル「かけはし」の作成 支援ファイルの検討が終了し、印刷発注、活用する段階で震災になる。 現在、再検討し24年度から活用する段階になっている。 ○ 今回の震災で相談支援ファイルの重要性を痛感し、災害時の対応を盛り込み、再度 完成に向けて取り組んでいる。再検討をし、24年度活用に向けて準備中である。 * 「震災・原発事故等により、避難を繰り返したり、転学・転園を余儀なくされてい る方や家族を思うと、もっと早く作成しておけば良かったと実感している。」 (自立支援協議会より) 3 検討内容 委員からは下記のようなご意見が出されました。 ・ 成長を記録することで、成長を確認し、喜びを感じることができるもの。 ・ できないことに目を向けるよりも、 「できるようになったこと」 「こうすればできる」 といったように前向きな気持ちになれるもの。 ・ 本人の特性を入園、入学をする際や病院受診の時などファイルを見せることで、保 護者の負担を軽減できるもの。 ○具体的な検討事項 配付対象について 配付場所 大きさ ネーミング 個人情報 活用方法 4 全児童に配布した場合、ファイルを持っていることが特別なこと ではなくなるが、必要性が感じられないと活用されない恐れがあ る。 ⇒支援を要する幼児児童生徒に配付する。 保健センター・児童デイサービス・特別支援学級など 広報やホームページに掲載し、希望者へ配付する。 A5 版であれば、持ち運びには便利であるが、関係機関の書類は 殆ど A4 版になっており、綴じ込むのが大変になってくる恐れ があ る。 ⇒A4 版に決定 可愛いネーミングは子どもが幼少時は、馴染みやすいが、思春期 や成人した時に抵抗があるのではないか。 ⇒どの年代でも通用するネーミング「かけはし」とする。 置き忘れなどにより、個人情報が漏れる恐れがある。 ⇒注意喚起をしていく。 作成よりもいかに活用してもらえるかが重要である。保護者向け のワークショップや関係機関への説明会が必要となってくる。 相談支援ファイルの三つのポイント 3T(ためる・つたえる・つなぐ)で構成した。 ためる これまでの成長の記録や毎日の生活の様子、気をつけていること、関わっている人に わかってほしいことなどを記載します。 母子健康手帳、病院、学校からいただいた資料や連絡帳なども一緒に 綴じておけます。 つたえる 安心した生活が送れるようにご本人に関わる人に伝えるために使い ます。 保育園・幼稚園、学校関係者、療育機関、医療機関、保健師等の福祉関係者などが一 緒に作成することで本人をとりまく関係機関が連携をしながら同じ方向性で支援をす ることができます。 病院受診や児童デイサービス、短期入所、一時保育やファミリーサポート事業の利用、 講演会などの託児や一時的にお子さんを預ける時にも利用できます。 つなげる 幼稚園・保育園に入園する時、学校に入学する時、進級する時、就職した時、地域で 生活する時、そして市外に引越した時等途切れない支援を受けるために役立 ちます。 職 場 成人期 高校 中学校 保育園 青年期 小学校 中学生 幼稚園 医 小学生 療 機 関 乳幼児期 病院へ 学校へ 家庭から 療育機関へ <相談支援ファイルの三つのポイント> 相談機関へ 5 6 構成 (1) プロフィール 本人や家族に関すること・現在の関係機関・これまでの経過・手帳等の情報 (2) つたえたいページ 本人への支援方法・生活面のサポート (3) 医療・相談の記録 かかりつけ医について・今までかかった主な病気について・ 受診の記録・相談の記録 福祉サービスの記録 (4) 保育・教育・卒業後の記録 保育の記録・教育の記録・卒業後の記録 (5) 相談機関 (6) 災害に備える。 課題 話し合いを重ねていく上で下記のような様々な課題が出されました。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 乳幼児期は、必要性について理解が得られにくいのではないか。 日々の生活に追われ、記入する時間がない のではないか。 年齢と共に特に思春期にさしかかった時に、本人を介してのやりとりが難しくな るのではないか。 本人に告知していない場合、本人と目標を共有するのが難しくなるのでは ないか。 本当に一生持っていてもらえるだろうか。 関係機関の理解が得られるのか、きちんと見てくれるだろうか など 本人や家族に相談支援ファイルを渡したとしても、とりまく関係機関の支援は不可欠 です。今後は医療機関・保健師・幼稚園・保育園・教育関係・就労・児童デイサービス 等との連携を図りながら、特別支援広域連携協議会、地域自立支援協議会において活用 方法の周知や検討を重ねていく必要があります。 7 おわりに 3月11日に発生した東日本大震災と東京電力の原発事故により、避難を繰り返した り、転校や転園をするなどご苦労をされた方やご家族を思うと、もっと早く作成してお けば良かったという思いを強くしました。 「かけはし」には様々な課題が残されるものの、どういう状況になっても「いつでも」 「どこでも」一貫した支援が受けられるための「かけはし」であり続けるよう、 作った ら終わりではなく、今後も見直しや必要な情報の更新等の検討を重ねていきたいと思い ます。 <専門家の巡回による教職員への指導・助言や保護者への相談支援> 専門委員による指導・支援の充実 ~いわき市立幼稚園統合保育実施園の取組み~ 1 いわき市立幼稚園統合保育実施園について いわき市立幼稚園における統合保育の取組みは、障がいの有無にかかわらず幼児が一 緒に生活し、共に育ち合うことをめざし、平成14年度における障がい児統合保育モデ ル事業の実施(2園)を期に、その成果を生かして市内各地区単位へ拡大し現在は6園で 実施されています。その対象としては、国の調査(※1)等を考慮し、多動傾向の見られ る 園 児 へ の 対 応 等 「 気 にな る 幼 児 」を 含 む、 一 人 一 人 の 発 達 の 状 況や 特 性 及 び 障 が い の 程度に応じた教育に取組んでいるところです。 2 統合保育実施園の取組みと専門員の組織(図1) 統 合 保 育 実 施 園 の 運 営に 当 た っ て は 、 市 幼 稚 園統 合 保 育 専 門 委 員 (以 下 、 専 門 委 員 と い う )の組 織 化 や 加 配 職 員 の 配置 (※ 2 )等を 行 い な が ら 、 以 下 のこ と を 年 間 の スケ ジ ュ ールに合わせ実施し、支援の必要な幼児への指導、支援に当たっています。 (1)「個別の指導計画」等の作成 (2)市立幼稚園統合保育実施園訪問研修 (定期的巡回 年2回) (3)「保育状況報告書」「指導助言書」 (年3回) (4)市立幼稚園統合保育研修会 (年2回) (5)市立幼稚園統合保育専門委員会(年1回) <図1 3 市立幼稚園統合保育と特別支援教育の充実(図2) 今年度は、市立幼稚園における統合保育の更 なる充実といわき市内の早期からの特別支援教 育の充実に向け、いわき市教育委員会といわき 教育事務所の連携のもと、現在の組織や取組み を生かした今後の方向性を整理、確認をし、次 の視点での取組みを行うことにしました。 ○継続的、総合的な支援に向けた取組み ・ 支 援 内 容 の 充 実 を 目 指 し た 「個 別 の 指 導 計 画」の作成と評価 ・関係機関との連携につなげる「個別の教育 支援計画」の作成 4 専門委員組織> <図2 統合保育実施園の取組み> 統合保育研修会の取組み 研修会では支援の充実と継続する支援に向け、特別支援学級、通級指導教室、特別支 援学校の専門委員からは就学先での取組みの様子を、教育事務所の専門委員からは「特 別支援教育と統合保育のつながり」についての理解を図りました。また、総合的な支援 に 向 け 、 県 養 護 教 育 セ ンタ ー 指 導 主 事 に よ る 「個 別 の 教 育 支 援 計 画 の 活用 と 実 践 」と い うテーマで、その大切さと取組み方について実践的な研修を行いました。 子ども、保護者、周りの大人たちとの信 頼関係が大切であることを改めて感じま した。園がスーパーチームになれるよう がんばりたいです。 教職員のつながり、療育機関とのつなが りを大事にすることでスムーズな保育の 流れになることを実感しました。 支 援 の仕 方 や方 法 に迷 い があ っ たこと を解決できるきっかけとなりました。 保育の中で考えていることが整理され、 より考えやすくなったので、実際に自分 の園でやってみようと思いました。 実際に書き出してみると、事実と背景 が整理できることを実感できました。 経験を積んでくると自分の主観が入っ てしまい、本当の子どもの思いが見え なくなってしまったと反省しました。 実践で事実から背景を探っていったこ とで、様々な子どもの思いに気づくこ とができました。個別の支援策の手立 てを考えることができました。 <第1回統合保育研修会内容と感想> 5 実施園訪問での取組み 専門委員による実施園訪問では、現在作成している「個別の指導計画」を活用しながら、 全職員及び専門委員、市教育委員会指導担当が一緒にケースに対する協議(評価)を行い、 更なる指導の充実を図るようにしました。 ま た 、「 個 別 の 教 育 支 援 計 画 」形 式 ( ※ 3 ) を も と に 、 関 係 機 関 と の 連 携 の 視 点 に そ った支援状況を整理し、支援への活用を図るようにしました。 (1)「個別の指導計画」の作成と活用(図3・4) ①実態把握 子どもに関わっている教師全員と専門委員が実施園訪問時に観察した子どもの具 体的な「良いところ(得意なところ)」「気になるところ(苦手なところ)」について、 付箋を使い文章化し、課題をグルービングしながら、全員で共通理解を図りました。 ②課題の明確化と手立ての検討 具体的課題の中から指導・支援す べき課題の焦点化を図りました。そ して、子どもの長所を生かし、手立 てにつなげました。 ③手立ての成果と検証(評価) これまでに効果が上がった手立て や効果がなかった手立てについて検 証し、更に実態把握を含めて、課題 や手立てを検討しました。 <図3 個別の指導計画の活用> 偏っ た指導にならずに、様々な方法 が話し合え勉強になりました。 何を支援したらよいかポイントを絞る ことができ、より具体的な支援ができ ました。 <図4 個別の指導計画の作成と感想> 園全体で共通理解ができ、本児の目 標・支援の仕方が明確になりまし た。 複 数の目で多角的 に見ることができ て良かったです。 支援の仕方や方法に迷いがあったこ とが解決できるきっかけになりまし た。 (2)「個別の教育支援計画」の作成と活用 (図5) 作成に当たっては、まず形式(※3) に合わせて、わかるところから記入し てみました。記入してみて、気づくこ とは、保護者との信頼関係や共通理解 がないと作成できないことです。保護 者は一番の支援者であり、指導・支援 の充実に向けてたくさんヒントを与え てくれる人であるということ、本計画 は保護者と一緒つくる方が望ましいと いう考えで、日常的に取り組むことが 大切です。この作成を通して、教師と <図5「個別の教育支援計画」の作成より> 一緒に再確認したポイントがありました。 <「個別の教育支援計画」の作成時に再確認したポイント> ①保護者のねがい(養育についての悩みや相談者 等) ②本児の長所や興味関心(幼稚園と家庭における生活様子の違い 等) ③関係機関との連携(これまでのかかわったことがある機関や病院及びその経過 等) 本計画の取組み後、園では全職員が協力し合って支援の必要な保護者に対して養育 の悩み等についての支援を行うようにしたり、子どもが通っている福祉機関に出向き 支援内容や支援方法を確認したり、保護者と一緒に検査結果の説明を受けながらより 客観的な子どもの様子を教師自身がとらえるようにしたりと、子どもの生活全体や地 域の各機関が持っている機能を生かした支援に配慮した取組みが行われました。 6 県巡回相談、要請訪問の活用(図6) 幼稚園における子どもや保護者の支援に向けては、専門委員による定期的な巡回以外 に も 随 時 相 談 し た い 課 題が 出 て き ま す 。 「個 別 の 指 導 計 画 」「 個 別 の 教育 支 援計 画 」の 作 成や内容に不安や課題が出てきて相談したいといった場合も随時出てきます。このよう な場合は、県の巡回相談(又は 特別支援学校のセンター的機能) を利用したり、いわき市教育委 員会及びいわき教育事務所に連 絡し、要請訪問を利用した計画 の作成、指導・支援の充実に取 り組むようにしました。 今回は、就学時期を迎える子 どもの小学校への引継ぎに向け て 、「 個 別 の 指 導 計 画 」「 個 別 の 教育支援計画」の活用や配慮事 項、引継ぎ方法について、相談 支援を活用しました。 <図6 諸計画による指導・支援の充実に向けた取組み> 7 終わりに いわき市立幼稚園では、市立幼稚園統合保育専門委員を配置し、年間スケジュールの もとに統合保育の充実、支援の必要な子どもの指導・支援の充実を図っています。今年 度 に つ いて は 、 そ の 組 織 や 機 能を よ り生 か した 取 組み が 展開 で きる よ うに 、「 個別 の 指 導 計 画 」「 個 別 の 教 育 支 援 計 画」 を 活 用 し た 指導 ・ 支援 の 充実 に 取り 組 んで き まし た 。 訪問 を し て み る と、「 教 師 は 子 ども た ち 一 人 一 人 の 成 長に 熱 い 思 い を 持っ て いる こ と 」、「 幼 稚 園 や 担 当 の 教 師 は 指 導 ・ 支 援 に つ い て 不 安 や 課 題 を 持 っ て い る こ と 」、「 幼 稚園を修了していく子どもたちの今後に心配があること」等が窺えました。今年度の取 組みは保育士の思いのもと、現在の課題を解決するために、専門委員の巡回訪問時に「個 別 の 指 導 計 画 」「 個 別 の 教 育 支援 計 画 」 の 作 成と 評 価を 行 って き まし た 。そ の 取組 み の 中で、①子どもを多面的にとらえることができ、実態の見直しができた。②全職員間の 共通理解ができた。③指導の目標が明確になった。④支援内容が具体化した。等の成果 が 現 れ 、 こ の こ と は 「 園内 支 援 体 制 の 整 備」「一 人 一人 の 教育 的 ニー ズ に応 じ た指 導 の 充実」 「関係機関との連携を通した支援の充実」等本県の特別支援教育の基本である「地 域で共に学び、共に生きる教育」の環境作りにつながっています。 ※1 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の全国実態調査」の結果 「特別 な教 育的 支援 を必要 する 児童 生徒は 、約 6%の 割合で通常 の学級に 在籍してい る可能性が ある」 ※2 3歳児は2名に対して1名、4.5歳児は3名に対し1名配置している。 ※3 平成20年度「特別支援教育コーディネーターハンドブック」 福島県養護教育センター 〈関係機関の連携による「個別の支援計画」の策定〉 5歳児発達相談による子育て支援 ~三春町での取組み~ 1 2 三春町の「子育て支援」の構想 三春町では、将来地域の担い手である子どもたちの健やかな成長を支援するのは、社 会全体の責務と考え、「地域の子どもは地域で育てる」という共通認識の下に子育て支 援を進めてきました。一方、保育現場では集団生活に適応することが苦手な子どもが目 立ち始め、子育て支援の一環として5歳児発達相談事業が平成20年度からスタートし ました。 『子育て支援』、『幼児教育の充実』については、第6次三春町長期計画に示される基 本計画のひとつ『夢を持ち豊かな心が育つまちづくり』のなかで、育児相談の場の充実 やニーズに対応した幼稚園・保育所の運営などを明示しています。 このなかで養護教育センターは、平成21・22年度幼稚園・保育所を中心にかかわ ってきました。 三春町子育て支援プロジェクト(図1・2) 子育て教室 保護者との面談 5歳児発達相談 子育て相談会 子育て支援ファイル 保護者との面談 保護者が 子どもを理解し 必要な支援を知る 幼稚園・保育所での ケース検討 就学時健康診断 幼稚園・保育所での支 援 小学校入学前の支援 幼稚園・保育所での支 援の振り返り 小学校への移行支援 〈図1 〈図2 特別支援教育担当者会 特別支援教育担当者会 入学後の支援 5歳児発達相談からの支援の進め方〉 小学校への移行支援〉 (1)5歳児発達相談の目的 家庭や保育所・幼稚園で困り感のある子どもに気づき、すべての子どもが安心して、 スムーズに就学できるよう支援します。 5歳児発達相談をもとに、就学前教育・家庭教育の充実を図る。 ○ 保護者のニーズに合わせた保育サービスの実施 ○ 乳幼児や障がい児保育等に対応した保育所・幼稚園の運営 (2)5歳児発達相談事業の実施 ① 実施までの経緯 文部科学省モデル事業を実施していた鳥取県倉吉市と島根県松江市への先進地視察 ↓ 保健師・教育委員会・幼稚園保育所職員によるワーキンググループによる検討 (健診後の対応、小学校入学への移行等について検討など) ↓ 教育委員会(幼稚園・保育所を所管する)と保健福祉課が連携して実施 ② 実施の仕方(図3) ○ ○ 対象:年中児 所属の幼稚園・保育所のなかで ふだん通りの集団行動場面の行動 観察を中心に行います。 ○ 町の保健師、幼稚園教諭・保育士 に加えA病院の臨床心理士がかかわ っています。 ○ 観察に加え事前に保護者及び担任 に問診を行い、観察の様子を含め今 後の対応を検討します。 問診票(保護者) 5歳児発達相談の実施(臨床心理士の観察) 町に結果報告 面談(保護者と施設長・担任) 〈図3 ③ 問診票(保育士) 5歳児発達相談の実施の仕方〉 成果 発達相談での指摘は障がいの有無の確認ではなく、就学へ向け子どもの理解や具 体的なかかわり方を検討するきっかけとなることを大切にしています。保育所では 保護者面談をする機会がとれないこともありますが、この発達相談を機に保護者と 保育士が子どもの話をじっくりとできるようになりました。 (3)子育て教室の実施 発達相談の前に保護者を対象にした「子育て教室」を行っています。 ○ ○ 5歳児発達相談の実施を説明する。 講演を行い、幼児期後期である5歳児の発達特徴とともに、具体的なかかわ りや子育てなど子どもに応じた支援のあり方等を伝える。 3歳児健診以降の子どもの発達や親子のかかわり方について関心は高く、「この話 を聞けただけでも、今日来た甲斐があった。」などの声が聞かれ5歳児発達相談の意 義が確認できました。 (4)発達相談後のフォローアップ 5歳児発達相談の結果にもとづくフォローでは、保護者と所属園が子どもの姿を共 有することを丁寧に進めました。 進め方 ○ 「子育て教室」で子ども一人一人の発達や子どもに応じた支援があるという ことの理解を図る。 ○ 発達相談後の面談では、家庭と所属園での様々な場面での子どもの姿や保護 者の子育てに関する悩みを共有する。 ○ 発達相談で指摘があった子どもについては「子育て相談会」を紹介する。 ※ 「子育て相談会」では、発達相談に関わった臨床心理士、養護教育センタ ー指導主事、保健師と保護者が、直接子どもについて相談をすることができ る。 〈成果〉 ○ 5歳児発達相談後子育てや子ども理解、就学へ向けた相談につながっています。 ○ 子どもの育ちや特徴、かかわり方、子育て等について、この発達相談をきっかけ に保護者と幼稚園教諭・保育士が話し合うことができるようになっています。 (5)子育て支援ファイル「ほっと」(図4) 5歳児発達相談のときに保護者全員に子育てフ ァイルを配付しています。 ○ 特別な子どもだけが持つものではなく、す べての子どものすこやかな成長を願って、全 員に配付したことで保護者に積極的に受け入 れられている。 ○ 母子手帳に加え、その後の成長過程を保護 者が記録し、ファイルしていくことで、障が いのあるなしにかかわらず一貫した子育て支 援のツールとすることが期待される。 ○ 特別な支援を必要とする子どもについては 「個別の支援計画」等をファイルしていくこ とで具体的な支援策等の資料を蓄積していく ことができる。 〈図4 子育て支援ファイル「ほっと」〉 (6)「相談シート」による保護者との相談 発達相談後の対応で難しさを感じる部 分は、保護者に結果を伝えることです。 発達相談を機会に、保護者が子どもの 成長、いろいろな表情や行動の様子をつ かめたことをチャンスと捉え、保健師と 養護教育センターの話し合いにより「相 談シート」(図5)を作成しました。子 ども理解に向けて、保護者と幼稚園・保 育所が一緒に考えていく相談のツールで す。 「相談シート」について ○ 家庭や幼稚園・保育所で違って見え る子どもの姿を把握し、共有する。 ・ できること、得意なこと ・ 気になること、苦手なこと ○ 個に応じた対応を具体的に考える。 ○ 保護者の願いを確認する。 〈図5 「相談シート」〉 3 幼児教育の充実に向けて (1)三春町における幼児教育の体制 三春町では幼稚園・保育所を一元化し教育委員会が所管しています。研修は、幼稚 園・保育所合同で実施し、特別支援教育に関する研修派遣や障がいのある幼児への支 援員の配置等についても積極的に行っています。子育て支援センターを第二保育所内 に設置し、専任の保育士が常駐しています。 5歳児発達相談実施に関連して、対象となる年中児を担任する保育士の研修や連絡 会を行うとともに、幼稚園だけでなく各保育所においても特別支援教育コーディネー ターを指名しています。 (2)支援の充実に向けた取組み 5歳児発達相談の結果、障がいの有無にかかわらず支援を必要とする幼児が町内の 全ての幼稚園・保育所に在籍していることが明らかとなりました。 子どもへの具体的な支援内容・方法に加え、保護者との連携が課題でした。全ての 幼稚園・保育所で一人一人に応じた支援ができるように、養護教育センターの指導主 事が各園に出向いて子ども理解と対応を一緒に考えました。 ① ケース検討会の実施 具体的な場面を捉えて、その時の状況を整理し子どもの気持ちや考えを推測する ことを繰り返し行ってきました。次第に子どもはどうしたかったのか、何に困って いるのか等の協議が深まっていきました。幼稚園教諭・保育士同士で様々な見方や 意見を出し合うことで、新たな視点から子どもを捉え直したり支援策を出し合った りすることができました。 「一人で考えると主観的になり、偏った視点でとらえてしまいます。ケース会で の何気ない質問や感想が根本的な部分を見直すきっかけとなったこともあります。」 との感想がありました。 ② 「個別の支援計画」(図6)の作成 ケース会で話し合ったことが「個別の支援計画」の内容になります。作成した支 援計画をもとに子どもとのかかわりを見直して修正・加筆していくことが重要です。 「個別の支援計画」をもとに、保護者との相談や懇談、日常の送迎の際に、保育 場面での子どもの様子、具体的な支援の内容、子どもの変容を伝えるとともに、保 護者の話を聞くことが、「個別の支援計画」の内容を共有することにつながります。 ③ 支援場面の実際 幼稚園・保育所では、個に応じた支援を集団保育の中に組み入れ、子どもたちが 自分でわかって取り組めるように、 必要に応じて言葉をかけたり、活動 個 別 の 支 援 計 画 の順番を配慮したりなど、個に応じ た支援を工夫しています。さらに個 別の支援を必要とする場面では、支 子どもの姿 援員等による個別のかかわりを行っ ています。 幼児名 作成者名 作成日 見直し 年 年 年 月 月 月 日 日 日 子どもの姿 願う姿 願う姿 必要と考える援助 4 小学校への移行支援 (1)三春町特別支援教育担当者会 必要とする支援 町内の幼稚園・保育所・小学校・中 学校の特別支援教育担当者及び特別支 援教育コーディネーター、保健師で組 織されます。毎年3回の計画で、特別 支援教育に関する研修と幼児児童生徒 に関する情報交換を主な目的としてい 子どもの特徴 ます。 ○ 保健師、幼稚園教諭・保育士、学 校教員等のネットワークの構築 ○ 障がいの有無にかかわらず支援を 〈図6 個別の支援計画〉 必要とする子どもの情報交換 ○ 研修会の実施 ○ 特別支援教育の充実に向けて特別支援教育担当者会ワーキンググループの実施 ・ 三春町教育委員会が中心となり、幼稚園、保育所、小・中学校代表と保健師、 県中教育事務所指導主事等がメンバー。 ・ 三春町の特別支援教育の現状や課題について話し合い、担当者会の進め方、今 後の推進の仕方を検討。 (2)幼稚園・保育所と小学校の連携 小学校への就学については、幼稚園・保育所で作成した「個別の支援計画」をもと に行われます。小学校では、全職員に情報提供を行い共通理解した上で就学健康診断 を実施しています。実施にあたっては、視覚支援や母子同伴などの個に応じた配慮を 行い、全ての子どもを観察し必要な相談をできる体制を整えています。 入学前に、小学校の担当者が幼稚園や保育所を訪問して幼児の様子を参観していま す。また、希望者には保護者や児童の学校見学を実施しています。引き継ぎの情報に 応じて学習環境の整備も行っています。 好きなこと・得意なこと 嫌いなこと・苦手なこと その他 子どもの特徴