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子 宮 頸 癌 骨 盤 内 淋 巴 節 転 移 と 予 後 と の 関 係 並 び に

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子 宮 頸 癌 骨 盤 内 淋 巴 節 転 移 と 予 後 と の 関 係 並 び に
618. 146-006. 6-033. 2
子 宮 頸 癌 骨 盤 内 淋 巴 節 転 移 と 予 後 と の
関 係 並 び に 再 発 々 生 部 位
岡 山大 学 医 学部 産 婦 人 科教 室(主 任:八 木 日出雄 教 授)
河
田
謙
二
立
花
省
吾
山
口
一
男
〔昭和32年8月26日
受 稿〕
移(+)群
第1章 緒
言
に 於 て は5年
例(26.1%)で
後 健 存 者 は65例
あ る.換
言 す れ ば,剔
岡山 大 学 医学 部 産婦 人 科教 室 に お い ては,
節 に 転 移 が 存 在 し て も,そ
子宮 頸 癌 の早 期の もの に対 して 手術 療 法 と し
健 存 し て い る の で あ る.之
て 岡林 式 広汎 性 子 宮全 別 出術 を行 い,術 後 レ
る と, 5年 後 健 存 者 は1期
線 の後放 射療 法 を行 つ てい る.
%),
剔 出淋 巴 節に 癌 転移 の存 す るか 否か に よ り
患 者 の予 後が 如何 程 異 る もの で あ ろ うか.又,
出淋 巴
の 約1/4は5年
後
等を進行期別に見
癌3例
II期 癌56例
中14例(25.0%),
例 中2例(33.3%)で
あ る.一
第1表 中17
中1例(33.3
III期癌6
次 死亡 を 除 外
淋 巴 節 転 移 と5年
後 治療 成 績
す れ ば5年
後 健 存 者 は1期
癌3例
(33.3%),
II期 癌49例
癌 が 再発 した もの につ いて 淋 巴 節転 移 の有 無
に よ り分 類 し再 発部 位 を 検 索 した ので こ こに
報 告 す る.
第2章 実 験 材 料並 び に 実 験方 法
岡山大 学 医 学部 産婦 人 科教 室 で 昭 和17年5
月 よ り昭 和26年12月 迄 の 間 に於 て,岡 林 式 広
汎 子 宮全 別 出術 を施 行 した子 宮 頸 癌 患者 の 中,
334例 に つ い てそ の剔 出淋 巴 節 を 組織 学 的 に
検 索 した.検 査 方 法 は淋 巴節 を10%ホ ル マ リ
ン溶 液 に固 定 し,淋 巴節 の1箇 所,時 に数 箇
所 よ り組 織 切 片 を採 取 し,ア ル コ ール 脱 水,
パ ラ フ ィ ン包 埋,ヘ マ トキ シ リン ・エ オ ジ ン
複 合 染 色 を施 して 組織 標 本 を作 成 し検 索を 行
つた.
期 癌5例
第3章 I.淋
(-)群
巴節 転 移 と5年 後 治療 成 績
岡 林 式 手術 を 施行 した 頸 癌334例
中2例(40.0%),計58例
(29.3%)で
実 験 成 績
あ る.之
に 於 て は,
194例(72.1%)で
の剔 出 淋
見 る と,5年
を たず ね た 所 第1表 の結 果 を得 た.即 ち,淋
III期癌8例
巴 節転 移(+)群
亡 を 除 外 す れ ば,
とに 分
類 し,更 に進 行 期別 に観 察 す る と,淋 巴 節 転
II期 癌225例
中5例(62.5%)で
中33例(91.6%),
中17例
に 対 し て,淋
後 健 存 者 はI期
(91.6%),
III
巴節転移
5年 後 健 存 者 は269例
あ る.之
巴節 に就 て転 移 の有 無 を 検 索 し,患 者 の転 帰
と淋 巴 節転 移(-)群
中1例
中14例(28.5%),
中
等を進行期別に
癌36例
中33例
中156例(69
.3%),
あ る .一
5年 後 健 存 者 はI期
II期 癌206例
次 死
癌36例
中156例
2346
河 田 謙 二 ・立 花 省 吾 ・山 口 一 男
(75.7%),
294例
III期癌7例
中5例(71.4%),計
中194例(77.9%)で
あ る.
以 上 の 成 績 よ り,淋
即 ち,淋
移(-)群
巴 節 転 移(+)群
年 後 健 存 者 は 転 移(-)群
か に 少 い.此
中42例(15.6%)で
の5
の そ れ に 比 し明 ら
の 差 は 統 計 学 的 に 有 意 で あ る.
巴 節 転 移(+)群
の 予 後 は 転 移(-)
群 の そ れ に 比 し て 不 良 で あ る と 言 え る.
次 に 癌 に よ る 死 亡(原
は,淋
巴 節 転 移(+)群
(55.3%),淋
因 不 明 死 亡 を 含 む)
に 於 て は65例
巴 節 転 移(-)群
中36例
に 於 て は269例
淋 巴 節 転 移(+)群
に 比 し 癌 に よ る 死 亡 が 有 意 に 多 い.
一 次 死 亡 に つ い て見 る と
,淋
群 に 於 て は65例
移(-)群
は転
に 於 て は269例
で あ る.即 ち,淋
巴 節 転 移(+)
中9例(13.0%),淋
巴節転
中20例(7.4%)
巴 節 転 移(+)群
群 に 比 し て 一 次 死 亡 が 多 い が,此
は 転 移(-)
の差 は 統 計
学 的 に 有 意 で な い.
II.再
発 発 生部 位
癌 に よ る死 亡 患 者 の 再 発 発 生 部 位 を 淋 巴 節
第2表 淋 巴 節 転 移(+)群
再 発 部 位
第3表 淋 巴 節 転 移(-)群
再 発 部 位
子 宮 頸 癌 骨 盤 内 淋 巴節 転移 と予 後 との関 係 並 び に再 発 々 生部 位
転移(+)群
と転 移(-)群
とに分 け て検 討 を
と み な し,子
2347
宮 旁 結 合 織 部 再 発 とは 労 結 合 織
の 存 し た 部 位 に 硬 結 あ り とい う所 見 を 再 発 と
行 う と第2表 及 び 第3表 の如 くで あ る.
再 発 発 生部 位 は 再 発発 見 時 の再発 部 位 を 臨
床 診断 に よつ て し らべ た もので,骨 盤 内に 再
発 を認 め る もの と,骨 盤 内に は 再 発 を認 め な
み な し た.又,腟
壁 再 発 とは 腟 壁 硬 結 あ り,
或 は 腫 瘍 形 成 とい う所 見 を 再 発 とみ な し た.
淋 巴 節 転 移(+)群
で は 骨 盤 内 再 発 は23例
くて骨 盤 外 に 再発 を 認 め る もの との2つ に 大
(63.8%),骨
き く分 類 した.断 端 再発 又 は局 所 再 発 を 細 別
部 位 不 明11例(30.6%)で
して 腟断 端 再発 と子 宮労 結 合 織部 再 発 とに 分
断 端 又 は 局 所 再 発 は15例(41.7%)で
類 し,腟 断端 再 発 とは腟 断 端 硬 結 あ り,又,
噴 火 口,潰 瘍 或は 腫 瘍形 成 とい う所 見 を 再 発
第4表
盤 外 再 発 は2例(5.6%),再
淋 巴 節 転 移(-)群
(51.2%),骨
発
骨 盤 内 再 発 が 多 い.
あ る.
で は 骨 盤 内 再 発 は21例
盤 外 再 発 は1例(2.4%),再
発
2348
河 田 謙 二 ・立 花 省 吾 ・山 口 一 男
部 位 不 明19例(46.4%)で
骨 盤 内 再 発が 多 い.
断 端 又 は局 所 再 発 は18例(43.9%)で
あ る.
以 上 の 如 く,両 群 とも骨 盤 内 再 発,そ の中
い て はWille1),
Meigs6),
びLin
Bonney2),
Taussig3),荻
W. Stockel7), Sherman
&
Meigs9),等
家 の 成 績 を 概 括 す る と第5表
位 は 両 群 の 間 に特 別 の 差 は 認め られ な い.
即 ち,諸
移(-)群
せ て再発 発 生 部 位 を検 討 す る と第4表 の 如 く
治 癒 し て い る.
再 発9例(6.2%),再
%)で
発 部 位不 明64例(44.1
骨 盤 内 再 発が や は り多 い.断 端 又 は局
所 再 発 は47例(32.4%)で
あ る.
の 予 後 は転
の そ れ に 比 し て 不 良 で あ る.然
転 移(+)群
盤外
等 諸
の 如 くで あ る,
家 の 報 告 も 転 移(+)群
癌 手 術 患者 の 中,癌 を再 発 した 例 を両 群 と合
で あ る.骨 盤 内再 発72例(49.7%),骨
& Ruch8),及
の 報 告 が あ る.之
で も特 に 断端 又 は 局 所 再 発が 多 い が,再 発 部
淋 巴 節 転移 の有 無 を 検査 しな か つ た子 宮 頸
野4) 5),
Willeは
で も 患 者 の10.9∼37.2%は
し,
永久
淋 巴 節 を 剔 出 す る こ とに よ り 治 癒
効 果 を よ くす る 事 が 出 来 る と 述 べ,
Taussig
は 所 属 淋 巴 節 を 剔 出 す る 事 に よ り相 当 の 患 者
が 再 発 か ら ま ぬ が れ る と述 べ て い る.又,萩
野 は剔 出標 本 に 於 け る淋 巴 節 転移 の有 無 は 永
第4章 1)淋
考 按並 びに 総 括
巴節 転移 と5年 後 治療 成 績
子 宮 頸 癌 の 淋 巴節 転 移 と予 後 との 関係 に つ
第5表 久 治 癒 率 に 著 差 を 生 じ,転
移 の あ る場 合 は 予
後 は 非 常 に 悪 くな つ て い る と 述 べ て い る.
余 等 の 成 績 に 於 い て も,剔
出淋 巴節 に転 移
淋 巴 節 転移 有 無 に よる永 久 治 癒 率 の報 告
を 認 め る ものは 患者 の29.3%が 永 久治 癒 し て
ら,淋
い るの に対 し,転 移 を認 め な い もの は77.8%
に 行 う こ とが 頸 癌 治 療 成 績 向 上 の た め に 必 要
も治癒 してい る.即 ち,明 らか に淋 巴 節 転移
で あ る と考 え ら れ る.
(+)群
の予 後 は 転移(-)群
のそれに比して
2)再
巴 節 剔 出 を徹 底 的 に 完 全 に 且 つ 系統 的
発 の 部 位 加 藤10) 11)(1938, 1949)は
不 良 で あ る.剔 出淋 巴節 に 転 移が 存在 して も
子 宮 癌 の 再 発 部 位 と し て,
そ の約1/4は5年
宮 周 囲 淋 巴 腺 再 発3.原
後 健 存 して い るの で あ るか
1,断 端 再 発2.子
発 性 淋 巴 腺 転 移4.
子 宮頸 癌 骨 盤 内 淋 巴 節 転移 と予 後 との関 係 並 び に 再発 々生 部 位
移 植 再 発5.各
5類
種 転 移(内 臓,骨,皮
を分 類 して い る.而
膚 等)の
うして,再 発発 生
2349
れ る事 は,そ れ が 臨 床 的 に発 見 し難 く,又 子
宮 帝 結 合 織 部再 発 と骨 盤 壁 再 発 との 鑑別 が 困
部 位 明 瞭 な者209例 に 就 き調査 した結 果,断
難 で あ るか ら,子 宮 労 結 合 織 部 再 発 の 中 に は
端 再 発が132例(63.2%)で
骨 盤壁 再発 の含 まれ て い る可 能性 が 考 え られ
絶 対 多数 を 占め,
次 い で子 宮 周 囲淋 巴腺58例(27.8%),原
る事 で あ る.
発
性 淋 巴腺 転移9例(4.3%)の
順 で,孤 立 性
の他 の転 移 は 少 な い と述 べ て い る.萩 野5)
(1953)は 手術 後 の再発 部 位 を70例
第5章 に つ き検
結
論
岡 林 式 広 汎性 子 宮 全 剔 出術 を 施 行 した 子 宮
しI期 癌 で は小 骨盤 内 と外 とに於 け る再 発 の
頸 癌334例
比 は5例 対5例 で あ り,皿 期癌 で は25例 対14
淋 巴節 転移 の有 無 と5年 後 治療 成 績 との 関係
例, III期癌 で は14例 対4例 で,進 行 期 の進 む
及 び癌 再 発 発 生部 位 を検 討 した.
と共 に小 骨盤 内 に 再発 す る率 が 多 くなつ て い
1)淋
の剔 除 淋 巴節 を 組 織学 的 に 検 索 し,
巴節 転 移(+)群
に於 て は5年 後健
る,そ して骨 盤 側壁 の再 発が 最 も多 い と述 べ
存 者 は65例
中17例(26.1%)で
あ る.即 剔
て い る.森12)(1953)に
除 淋 巴節 転移 例 の約1/4は5年
後健存 してい
よれ ば,再 発 部 位 で
る.
確 認 し得 た もの で は局 所 再発 は 腟 断端9例,
骨 盤 結合 織7例,膀
胱壁2例,転
発 は 尿道 口下部 腟 前壁2例,淋
盤 結合 織 内 淋 巴節8例,鼠
移 性局 所 再
巴節 転移 は骨
径節4例,
2)淋
Virchou
氏 節1例 を 認 め,之 等 は手術 時転 移 及 び癌 浸
3)淋
4)再
に 於 い て は5年 後
中194例(71.1%)で
巴節 転 移(+)群
移(-)群
潤 の高 度 に証 明 され た例 に多 い として い る.
以上 の報 告 を見 るに,再 発部 位 の分類 は人 に
巴 節 転移(-)群
健 存者 は269例
の予 後 は淋 巴 節 転
のそ れ よ り不 良 で あ る.
発 発 生 部 位 に つ い ては 骨 盤 内再 発,
そ の 中で も特 に 断 端 又 は局 所 再 発 が 多 い.淋
よ り異 るが共 通 した点 は 小骨 盤 内 再発 の多 い
巴節 転移(+)群
点で あ る.
別 の差 異 を 認 め 得 な い.
余等 の成 績 に於 い て も骨盤 内再 発 が 多 く,
そ の 中で も特 に断端 又 は 局所 再 発 が 多 く認 め
あ る.
と転 移(-)群
との間 に 特
擬筆す るに当 り恩師八木教授並 びに橋本助教授の
御懇切なる御指導 と御 校閲を深謝す.
られ た.骨 盤 壁 再発 の少 い理 由 として考 え ら
参
1) Wille:
2) Bonney:
Zbl Gynak,
Am. J.
51,
考
1984 , 1927.
& Gynec. 30 , 815,
Obat.
文
1952.
8) Serman & Ruch:
1935.
3) Tausaig:
4)
荻 野,林,山
5)
荻 野:産
6) Meigs:
献
Am. J. Obst . & Gynec.
65, 678, 1953.
Am. J. Roentgenol , 45, 813, 1941.
本:臨
婦 の 世 界,
Am.
J.
婦 産
5,
, 2,
262
Obet.
,
131,
& Gynec . 62,
Lehrbuch
d Gynakologie
Am. J. Obst. & Gynec . 69,
1, 1955.
1953.
854,
1951.
7) W. Stoeckel:
9) Liu & Meigs:
1948.
, 485,
10)
加 藤:日
産 会 誌,
33
11)
加 藤:日
産 会 誌,
1,
12)
森:日
産 婦 誌,
5,
,
501,
139,
891,
1938.
1949
1953
.
.
2350
河 田 謙 二 ・立 花 省 吾 ・山 口 一 男
Relationship
Carcinoma
between
Lymph
Nodes
of the
Uterine
Cervix,
to the
Sites
Pertaining
Metastases
with
to its
and
Especial
Prognosis
in
Reference
Recurrence
By
Kenji
Kawada,
Shogo
Tachibana,
M. D.
M. D.
and
Kazuo
Yamaguchi,
M. D.
(Dept. of Obstetrics and Gynecology, Okayama University
(Director: Prof. Hideo Yagi)
Medical School.)
We have examined histopathologically the removed lymph-nodes of 334 cases of carcinoma
of the uterine cervix which were submitted to Okabayashi's abdominal extendive radical
operation. We checked the lymph-node metastasis in every case and made a review on the
interrelationship between the pelvic lymph-nodes metastasis and 5 year survival rate, and
also the sites where recurrence of carcinoma happened.
Results were summarized as follows
1) In the group with positive lymph-nodes metastases 5 year suvival rate was 26.1 per
cent (17 out of 65 cases).
2) In the group where no pelvic lymph-nodes metastases were found, 5-year survival rate
was 71 per cent (194 out of 269 cases).
3) The prognosis is far batter in the group in which no metastasis was present.
4) Recurrence was frequently found within the pelvic cavity, especially quite often at
the vaginal stump or the parametrial region. With regard to recurrence, no specific
difference was found between the group with metastasis and without it.
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