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使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う 関与物質総量(都市鉱石

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使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う 関与物質総量(都市鉱石
日本金属学会誌 第 74 巻 第 12 号(2010)811
819
使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う
関与物質総量(都市鉱石 TMR)の推算と評価
山 末 英 嗣1
南 埜 良 太1
醍 醐 市 朗2
奥 村 英 之1
石 原 慶 一1
1京都大学大学院エネルギー科学研究科
2東京大学大学院工学系研究科
J. Japan Inst. Metals, Vol. 74, No. 12 (2010), pp. 811
819
 2010 The Japan Institute of Metals
Evaluation of Total Materials Requirement for the Recycling of Materials (Urban Ore TMR)
from End
of
Life Electric Home Appliances
Eiji Yamasue1, Ryota Minamino1, Ichiro Daigo2, Hideyuki Okumura1 and Keiichi N. Ishihara1
1Graduate
School of Energy Science, Kyoto University, Kyoto 6068501
2Graduate
School of Engineering, The University of Tokyo, Tokyo 1138656
Total materials requirement (TMR) for the recycling of materials (Urban Ore TMR) from endoflife electric home appliances (cathode ray tube TV, liquid crystal display TV, refrigerator, washing machine, air conditioner and microwave oven) have
been estimated and evaluated. The estimation were carried out using scenario analyses, in which the number of recycled elements
and/or materials was changed considering additional energy for advanced recycling. As the results of the estimation, the urban
ore TMR of gold, silver, copper and stainless steel were lower than TMR when they are smelted from natural ore (natural ore
TMR) for all the scenarios. The urban ore TMR for iron (steel), aluminum and diecasting aluminum were mainly affected by
the dilution ratio using pure element for the recycling. The recyclability of the elements and materials are discussed from the view
point of TMR.
(Received August 4, 2010; Accepted August 25, 2010)
Keywords: total materials requirement, urban ore total materials requirement (urban ore TMR), electric home appliances, recyclability
い.技術的な限界や費用効果などがその理由として考えられ
1.
緒
言
るが,ある素材を天然(自然)鉱山から製錬して得るべきか,
それとも都市鉱山からリサイクルして得るべきかという問
日本の 2006 年における国内総物質投入量と排出量はそれ
ぞれ約 18 億トンと約 11 億トンと報告されており,これは
題について,資源という観点から評価できる指標がないこと
もその阻害要因と考えられる.
蓄積純増は約 7.5 億トンにも及ぶことを示唆している1).こ
このような見知から,著者らはまず自然・都市鉱石に含ま
の蓄積,すなわちストックは将来も増加し続けると考えら
れる元素の濃度を簡易的な指標として用い4,5) ,その後,自
れ,我々はこれを新しい潜在的な資源と考えていくべきであ
然・都市鉱石から製錬・リサイクルする際の関与物質総量
ろう. 1988 年に南條が提案した「都市鉱山」という概念は
(Total Materials Requirement: TMR)を比較評価するという
まさに先見の明といえよう2).ここで,電子機器は比較的高
手法を提案した6) .この手法では前者を「自然鉱石 TMR:
い濃度で金属(特にレアメタル)を含んでいることが多いた
Natural Ore TMR: NOTMR」,後者を「都市鉱石 TMR:
め,それらは社会(都市鉱山)における金属鉱石,すなわち
Urban Ore TMR: UOTMR」と定義している.この指標は
「都市鉱石」と見なすことができるだろう.
使用済み家電製品は,レアメタルを含むということだけで
なく量が多いという観点からも都市鉱石として有望な候補で
ある素材を各鉱石から得るまでの直接・間接物質投入だけで
なく,隠れたフローも考慮しているのが特徴で,それゆえ物
質集約度(Material Intensity: MI)7)と似たものである.
ある.著者らの既報によると3),テレビ,冷蔵庫,洗濯機,
日本では, 2008 年 3 月 25 日に閣議決定された第二次循
エアコンは 2006 年において 2700 万台( 110 万トン)が生産
環型社会形成推進基本計画において,循環型社会形成のため
されている.
の指標の一つとして導入され,その指標としての重要度が注
都市鉱石を有効利用することは持続可能な社会を実現する
目されつつあるが,隠れたフローを含めた TMR のデータは
上での基本方針になると考えられるが,現実にはそれは難し
少ないのが現状である8).自然鉱石 TMR に関しては,原田
らにより 60 以上の元素について精力的に推算が進められて
Mater. Trans. 50(2009) 21652172 に掲載
いる9,10).さらに中島はいくつかの金属材料,軽油,プラス
812
日 本 金 属 学 会 誌(2010)
第
74
巻
チック,木材などを得るための TMR を推算している11) .
タによると16) ,分解・解体は手解体が主要で必要なエネル
しかしながら,調べる限り著者らのいくつかの報告(ノート
ギーは無視できるほど小さく,またその後の破砕・選別工程
PC や 携 帯 電 話 か ら の 素 材 リ サ イ ク ル ) 以 外 に 都 市 鉱 石
に必要なエネルギーも小さい.その結果,使用済み家電製品
TMR,すなわちリサイクルに関する TMR のデータは皆無
から鉄スクラップ,アルミニウムスクラップ,銅スクラッ
といってもよい6,12,13).
プ,ミックスメタル,シュレッダダストが得られる.そこ
以上より,本研究では使用済み家電製品に含まれる元素・
で,本シナリオでは,使用済み家電から鉄,アルミニウム,
素材の都市鉱石 TMR を推算,評価することを目的とする.
銅(基板由来以外), CRT テレビからのガラスカレットのみ
本研究により,直接・間接の物質投入だけでなく,隠れたフ
がリサイクルされるとしてそれぞれの都市鉱石 TMR を推算
ローまで考慮して自然鉱石と都市鉱石を比較することが可能
した.
になると考えられる.
ここで,なお,リサイクルの際,スクラップ鉄は純鉄投入
による希釈により成分調整が行われると仮定した.アルミニ
研 究
2.
2.1
手 法
ウムスクラップのリサイクルについては以下のような 2 つ
 自然鉱石由来の純アルミニウムを用いて
のサブシナリオ◯
対象とする製品
 自然鉱石由来の純銅と
希釈し,展伸材としてリサイクル,◯
本 研 究 で は ブ ラ ウ ン 管 テ レ ビ ( CRT ) , 液 晶 テ レ ビ
シリコンを投入し,ダイカストとしてリサイクル,を想定し
(LCD),冷蔵庫(RF),洗濯機(WM),エアコン(AC),電子
た.
レンジ(MO)を評価対象として選択した.電子レンジは現在


日本の家電リサイクル法の対象となっていないが,本研究で
このシナリオは家電リサイクル法(2000.4.1~)に準じた高
は対象となっている他の製品と同じようにリサイクルされて
度なリサイクル処理16) に対応している.このシナリオにお
いると仮定した. Table 1 は各家電製品の組成データであ
いても分解・解体は手解体を主体とするが,投入エネルギー
る.これらの値はヒアリング調査に基づいており,詳細は著
は無視できなくなる.これはより高度な電動工具などを長時
者らの既報を参照されたい14).
間使用するためである.また,破砕・選別についても,低度
2.2
シナリオ 2(高度リサイクルシナリオ)
リサイクルシナリオに比べてさらに大きなエネルギーが必要
設定したシナリオ
になる.その結果,鉄,アルミニウム,銅スクラップだけで
家電製品は各家電製品は全国 380 カ所に存在する指定取
なく,基板くずも別個に得られる.最終的に本シナリオで
引場所に運ばれ,その後,全国 38 カ所のリサイクル工場で
は,鉄,銅(基板由来以外),アルミニウムに加え,基板中の
分解・解体,破砕・選別,製錬の工程を経てリサイクルされ
金,銀,銅もリサイクルできるとした.鉄とアルミニウムに
ると仮定して,以下のシナリオ分析を行った15).
関してはシナリオ 1 と同様のリサイクルプロセスを想定し


た.
シナリオ 1(低度リサイクルシナリオ)
家電リサイクル法施行以前の従来型リサイクル工場では,


シナリオ 3(高度素材別リサイクルシナリオ)
多くの場合,使用済み家電,事務機器,自動車,機械などの
このシナリオでは,シナリオ 2 により高度な破砕・選別
混合処理が行われている16) .本シナリオではこのようなリ
プロセスを加えることで,鉄スクラップ中のステンレスはス
社 産業環境管理協会( JEMAI )のデー
サイクルを想定した.
テンレスとしてリサイクルし,アルミニウムスクラップ中の
アルミニウムダイカストはアルミニウムダイカストとしてリ
Table 1 The amount of used materials in each home electric
appliance in gram unit. (CRT TVCathode Ray Tube
Televition, LCD TVLiquid Crystal Display Televition, RF
Refrigerator, WMWashing Machine, ACAir Conditioner,
MOMicrowave Oven).
した.ステンレスが除去された鉄スクラップ,アルミダイカ
ストが除去されたアルミスクラップは希釈によりそれぞれ棒
鋼,アルミニウム展伸材としてリサイクルされるとした.
LCD TV
(g)
RF
(g)
WM
(g)
0.076
0.023
0.018
0.025
Ag
2.1
1.23
0.39
0.73
0.6
0.38
このシナリオでは,シナリオ 3 に加え,さらにプラスチ
Cu
1011
143
2919
1484
7613
506
ックが回収されるとした.シナリオ 3 において発生する残
Fe (ordinary steel)
(stainless steel)
(other steels)
4206
63
404
1342
128
1316
8038 3106 9223
978 4544
107
30091 16140 12125
1249
529
9153
を一度破砕・選別プロセスにかけることで,プラスチック
Al (pure Al)
(diecast)
(other Al alloys)
30
15
0
455
0
0
In
Plastics
1050
2310
0
93
293
0
MO
(g)
クラップはそれぞれもう一度破砕・選別工程にかけられると
CRT TV
(g)
Au
AC
( g)
サイクルされるとした.このさい,鉄スクラップとアルミス
3630
1544
0
167
797
268
0.09
5456
4534
Other
26595
1583
Total
37782
9502


シナリオ 4 (高度素材・プラスチックリサイクルシナ
リオ)
0.032 0.026
が回収されるとした.
2.3
データ
上述のシナリオ分析に用いたデータおよび仮定を以下に説
明する.
37870 17161
2554
5257
8454
1271
4439
3025
85811 48079 47136 16965
2.3.1
システムバウンダリー
Fig. 1 にシステムバウンダリーを示す.図から分かるよう
に,都市鉱石 TMR の推算は使用済み製品が発生した段階か
第
12
号
使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う関与物質総量(都市鉱石 TMR)の推算と評価
Fig. 1
813
System Boundary of the UOTMR estimation.
ら開始し,素材としてリサイクルされるまでが含まれる.す
はメーカーにより A グループと B グループに分かれるが,
なわち,使用中の物質投入については考慮しない.リサイク
それぞれに対応するリサイクル工場に別個に輸送されるとし
ルされない部分は「都市鉱石ずり」と定義し,自然鉱石
た.輸送は全てトラックにより陸上輸送されると仮定した.
のフレームワーク9,10) と条件を同じにするため,無害
本研究において,輸送道路距離はドライブ計画支援システ
化処理といった都市鉱石ずりの処理はシステムバウンダリー
ム SMAP (エスマップ) ver. 317) により推算した. SMAP は
外とした6).
限られた都市間の道路距離しか推定することができないた
TMR
2.3.2
め,一部の推算では,直線距離から道路距離を推定した.具
輸送プロセス
上述の通り,使用済みとなった家電製品は消費者(家庭)か
体的には,47 県庁所在地間の直線距離 xdd18) と SMAP から
ら全国 380 カ所に存在する指定取引所のうち最も近い取引
推算した道路距離 xrd には xrd=1.37×xdd の関係(相関係数
所に輸送され,その後,全国 38 カ所のリサイクル工場まで
0.987)があることが分かったため,本研究では直線距離に係
輸送されたのちリサイクルされるとした15) .各都道府県の
数 1.37 を乗じることで道路距離を推定した.
使用済み家電製品台数は世帯数に比例するとした.家電製品
ここで使用済み家電製品の全輸送道路距離,x は
(全輸送道路距離x )=(消費者から指定取引所までの輸送道路距離x1 )
+(指定取引所からリサイクル工場までの輸送道路距離x2 )
(1)
で表されると仮定し, x1 と x2 は以下のような手順で推算し
場合, x1 の推算法と同様に,各都道府県面積をリサイクル
た.
工場の数で割り,そこから得られたリサイクル工場当りのカ
x1 については,まず,各都道府県の面積 A18) を各都道府
バー面積を円の面積と仮定したときの半径から道路距離を算
県における指定取引所数 n15) で除した値を a (= A / n )とす
出し代表値とさせた.その結果, A グループに属するメー
る.この a は各都道府県において指定取引所がカバーする平
カーの家電製品は平均で約 47 km, B グループは約 69 km 輸
均面積と考えることができる.各指定取引所は円状に都道府
送されていることが分かった.
県内をカバーすると仮定すると,a=pr 2 から計算される r/2
以上より,全体の平均輸送距離 x は 71 km となった.こ
は,消費者から指定取引所までの平均直線距離(最大カバー
の結果は,携帯電話やノート PC の場合の平均輸送距離 140
距離(= r )の半分)と考えることができる.そこで本研究で
km13) の約半分である.これは,携帯電話やノート PC のリ
は x1=1.37×r/2 として消費者から指定取引所までの道路距
サイクル工場に比べ,家電製品のリサイクル工場は数が多い
離を代表値とした.その結果, A グループについては 13.4
ことが理由である.なお輸送に必要な TMR の推算では軽油
km, B グループについては 13.5 km とほぼ同じ距離となっ
の 消 費 量 の み を 考 慮 し , そ の TMR 原 単 位 が 0.47 g / kg ・
た.
km11) から推算した.
次に x2 については,上述の指定取引所から A グループの
2.3.3
リサイクルプロセスと希釈率
30 施設, B グループの 16 施設, A ・ B 共同の 2 施設のリサ
Table 2 に各プロセスのエネルギー投入量を示す.シナリ
イクル工場のうち,もっとも近いリサイクル工場に輸送され
オ 1 と 2 の破砕・選別プロセスに必要なエネルギー・物質
るとして距離を計算した.指定取引所とリサイクル工場が同
投入量は, JEMAI LCA に記載されているデータ16) から得
一県内に無い場合,その道路距離は県庁所在地間道路距離で
た.シナリオ 3 における,鉄スクラップからのステンレス
代表させた.指定取引所とリサイクル工場が同一県内にある
回収,アルミニウムスクラップからのダイカスト回収に必要
814
第
日 本 金 属 学 会 誌(2010)
Table 2
74
巻
Data for input energy.16,19)
Scenario 1 Scenario 2 Scenario 3 Scenario 4
Dismantlement
(kW/kg)
0
Shredding and separation
Electricity (kWh/kg)
0.064
0.00025
Heavy oil (L)
Diesel oil (L)
0.00202
0.0003
Coal oil (L)
0.0113
0.0113
0.0113
0.0984
0.0984
0.0984
Fine shredding and
separation for steel or
aluminum scrap
―
―
0.0860
―
Fine shredding and
separation for plastics
―
―
―
0.46
Fig. 2 Relationship between NOTMR estimated by Halada
et al.9,10) and Material Intensity (MIT).30)
Interview investigation, and only for shredding process.
なエネルギーについては,ヒアリング調査結果から 0.860
中 に 0.3 mass  の 鉄 が 混 入 す る と い う 報 告 を 参 考 に し
( kWh / kg )の原単位を仮定した(定格 12,000 kW, 10,000 ~
た28) .ダイカストとしてリサイクルする場合,その組成を
12000 馬力,1 日 20 h 稼動×20 日×12 ヶ月で,1 基年間 67
Al 2 mass  Cu 10 mass  Si ( ADC12 )と仮定した.ダイカ
万 t と想定).また,シナリオ 4 については, 1 kg のプラス
ストは鉄の許容量が約 1 mass と高いため,希釈は必要な
チックの分離回収に伴う CO2 排出量が広瀬らにより 0.21
いと考えられる.一方,展伸材としてリサイクルする場合,
kg CO2 と報告されているため19) ,電力の CO2 排出源単位
Al 中への鉄の最大固溶量 0.05 mass29)であることを考慮し,
0.453 kg CO2 / kWh
を用いて20) ,投入電力量として換算し
6 倍に希釈すると仮定した.
た.その結果,プラスチック 1 kg の破砕・選別に必要なエ
ネルギーを 0.46 kWh と仮定した.
推算した都市鉱石 TMR を自然鉱石 TMR と比較する際,
金,銀,銅,鉄,アルミニウムについては原田らが推算した
金,銀,銅,鉄,アルミニウムのリサイクルは現行確立さ
データ9,10)を用いた.またプラスチックについては,中島11)
れ て いる リ サ イク ル プロ セ ス2124) が用 い ら れる と 仮定 し
が推算した複数のプラスチックの自然鉱石 TMR の平均値を
た.すなわち,破砕・選別後に得られた鉄スクラップは電炉
用いた.一方,ステンレスやアルミニウムダイカストについ
に投入して棒鋼に,銅とアルミニウム系スクラップは再溶解
ては推算値が存在しなかった.そこで,本研究では TMR と
される.また,基板中の金,銀,銅は一度基板ごと焼却され
ほぼ同じ概念である MI のデータ30) からの推定を試みた.
た後,銅の電解精錬プロセスにまわされ,副産物として金と
Fig. 2 は原田らが推算した自然鉱石 TMR と MI を両対数で
銀が得られるとした.エネルギーや物質投入量の原単位は,
プロットしたものである.図から分かるように,両指標は良
それぞれ森井21) , NIMS2224) の報告値を用いた.なお,推
い一致を示している.ここで,ステンレスとアルミダイカス
算において,溶解,輸送,破砕プロセスなど複数の素材に共
ト の MI は す で に 推 算 さ れ て お り30) , 平 均 値 で そ れ ぞ れ
通して投入されるエネルギー・物質のアロケーションについ
16.2 ( kg / kg )と 8.1 ( kg / kg )となっている.そこから Fig. 2
ては,原田ら10) や中島ら11) の方法と同様に価格でアロケー
の関係を用いてステンレスとアルミダイカストの TMR を推
算したところ,それぞれ 17.9 ( kg / kg ), 8.8 ( kg / kg )となっ
ションを行った.
各シナリオで用いる希釈プロセスについては,以下のよう
た.ここでアルミダイカストはアルミダイカストスクラップ
な仮定を用いて希釈に必要な純物質量を推算した.まず鉄ス
から作られることが一般的である.その意味で,上述のよう
ク ラ ッ プ に 含 ま れ る ス テ ン レ ス に つ い て 組 成 を Fe 18
に推算したアルミダイカストの TMR は自然鉱石 TMR と呼
massCr8 massNi (SUS304)と仮定し,そこに含まれる
ぶべきではなく,むしろ都市鉱石 TMR と見なす方が妥当で
クロムを希釈するプロセスを検討した(シナリオ 1, 2).希釈
あることに注意しなければならない.
率として,棒鋼に含まれるクロムの実測値が 1987 年から
2008 年で 0.15 ~ 0.2 mass の間に分布していたという報
告25) を考慮し, 90 倍に希釈する必要があると仮定した.そ
して,ステンレスに含まれるクロムはまずクロムが含まれて
いない鉄スクラップで希釈され,それでも足りない分を自然
推
3.
3.1
算
結
果
シナリオ 1(低度リサイクルシナリオ)
Fig. 3 にシナリオ 1 でアルミニウムスクラップをアルミニ
鉱石由来の粗鋼で補なわれるとした.シナリオ 3, 4 のよう
ウム展伸材としてリサイクルする場合の都市鉱石 TMR の推
にステンレス鋼を除去したあとのスクラップ鉄は 1.5 倍に希
算結果を示す.図から分かるように,銅の都市鉱石 TMR は
釈するという仮定をもうけた.これは破砕プロセスにより鉄
全ての家電製品で自然鉱石 TMR より小さい,すなわち環境
スクラップ中には不可避的に約 0.6 程度の銅が混入する
への攪乱量が小さいことが分かる.一方,鉄やアルミニウム
が26) , 棒 鋼 に お け る 銅 の 許 容 量 が
0.4  で あ る た め で あ
る27).当然,鉄に混入している銅はリサイクルできない.
アルミニウムスクラップの希釈については,破砕プロセス
については,都市鉱石 TMR は自然鉱石とほぼ同程度の値と
なった.これは希釈に必要な純物質量が大きいことに起因す
る.例えば,冷蔵庫に関する鉄とアルミニウムの都市鉱石
第
12
号
使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う関与物質総量(都市鉱石 TMR)の推算と評価
Fig. 3 The estimated UOTMR for scenario 1 compared with
NOTMR assuming that aluminum scrap is recycled as
wrought aluminum.
Fig. 4 The estimated UOTMR for scenario 1 compared with
NOTMR assuming that aluminum scrap is recycled as die
casting aluminum.
815
Fig. 5 The breakdown of the estimated UOTMR of washing
machine for scenario 1.
Fig. 6 The estimated UOTMR for scenario 2 compared with
NOTMR assuming that aluminum scrap is recycled as
wrought aluminum.
TMR はそれぞれ 11 kg/kg と 56 kg/kg と推算されたが,そ
のうちそれぞれ 68, 88が希釈由来の TMR である.
Fig. 4 はシナリオ 1 でアルミニウムスクラップをダイカス
トとしてリサイクルする場合の都市鉱石 TMR である.ここ
で,銅と鉄(棒鋼)は自然鉱石 TMR と比較しているが,ダイ
カストは MI から推定したものと比較していることに注意し
なければならない. Fig. 4 を Fig. 3 と比較して分かるよう
に,家電から回収できるアルミニウムスクラップは,アルミ
ニウム展伸材としてリサイクルするよりダイカストとしてリ
サイクルする方が都市鉱石 TMR が小さい.また,本研究で
Fig. 7 The estimated UOTMR for scenario 2 compared with
NOTMR assuming that aluminum scrap is recycled as die
casting aluminum.
推定したダイカストの都市鉱石 TMR は全ての家電製品にお
いて MI から推定した値より大きくなっている.これは本研
究の推算ではダイカストの作成に自然鉱石から作成した銅と
ことが分かる.銅の都市鉱石ずりが大きいのは,本研究では
シリコンを投入すると仮定している一方,MI では現実の方
いくつかの素材で共通な TMR は価格アロケーションを行っ
法により近いスクラップに含まれるシリコンや銅を用いると
ており,銅の価格が高いことが原因である.
いう前提で推算されたと思われ,大きな値となるのは妥当な
結果だと言える.液晶テレビにおけるダイカストの都市鉱石
3.2
シナリオ 2(高度リサイクルシナリオ)
TMR が他の家電に比べて大きいのは,本稿で収集した液晶
Fig. 6, Fig. 7 にシナリオ 2 でアルミニウムスクラップを
テレビの組成データでダイカストが使われておらず,銅やシ
それぞれ展伸材,ダイカストとしてリサイクルする場合の結
リコンの投入量が大きくなるためである.
果を示す.また,Fig. 8 にその内訳を示す.
Fig. 5 は上述の結果の内訳である.全ての素材を通して,
金,銀,銅の都市鉱石 TMR は自然鉱石より小さい.この
輸送の占める割合は小さい.一方,銅については都市鉱石ず
結果は,Table 2 に示すように高度な破砕・選別プロセスの
り,鉄(棒鋼)とアルミニウム展伸材については物質投入,ダ
ために従来と比べて 2 倍ほどのエネルギーを投入したとし
イカストについては物質投入と都市鉱石ずりの割合が大きい
ても,自然鉱石から得るより小さい環境攪乱で金,銀,銅を
816
日 本 金 属 学 会 誌(2010)
Fig. 8 The breakdown of the estimated UOTMR of washing
machine for scenario 2.
第
74
Fig. 9 The estimated UOTMR for scenario 3 compared with
NOTMR.
リサイクルできることを意味している.
鉄(棒鋼)や展伸材またはダイカストのリサイクルについて
は,シナリオ 1 と同じく自然鉱石から製錬する場合とほぼ
同じかやや大きい TMR の値となっている.このようにシナ
リオ 1 と似た結果が得られた理由として,高度破砕・選別
プロセスによって増加した TMR とリサイクルできる素材が
増えたことにより(アロケーションできる素材が増えたこと
により)各素材が負う TMR が減少したことのバランスが釣
り合っていることが原因である.しかし,Fig. 8 からも分か
るように,シナリオ 1 と比べて都市鉱石ずりの占める割合
は減少していることに注意しなければならない.これは複数
の素材で共通して背負っている都市鉱石ずりの大部分が価格
の高い金や銀に割り当てられるためである.
3.3
Fig. 10 The estimated UOTMR for scenario 4 compared
with NOTMR.
シナリオ 3 (高度素材別リサイクルシナリオ),シナリ
オ 4(高度素材・プラスチックリサイクルシナリオ)
Fig. 9 にシナリオ 3 の結果,Fig. 10 にシナリオ 4 の結果,
Fig. 11 にシナリオ 3 と 4 の内訳を示す.
シナリオ 3 については,鉄(棒鋼)の都市鉱石 TMR が自
然鉱石 TMR より小さくなっているが,アルミニウム展伸材
については自然鉱石 TMR とほぼ同じ値となっている.これ
は鉄の希釈率が 1.5 倍であるのに対し,アルミニウムの希釈
率が 6 倍であることが原因である.ステンレスについては
自然鉱石 TMR の半分程度の値となっており,また,ダイカ
ストについては MI から推算した値より小さな値となった.
Fig. 11 The breakdown of the estimated UOTMR of washing machine for scenario 3 and 4.
この結果の意味するところは,より高度な選別にエネルギー
を投入して積極的に素材ごとで回収・リサイクルを行う方が,
TMR という観点からは環境に与える影響は小さいというも
のである.この問題については次節でより詳細に検討する.
シナリオ 4 については,プラスチックの選別に必要なエ
ネルギーはシナリオ 1~3 までの場合と比べて高いにも関わ
らず,その都市鉱石 TMR は自然鉱石 TMR より小さな値と
なった.シナリオ 3 と 4 の結果を比較すると,プラスチッ
クをリサイクルすることによりその他のリサイクルされた素
材の都市鉱石 TMR はさらに減少する.これは家電製品にお
いてプラスチックの占める割合が高く,リサイクルすること
により都市鉱石ずりが減少することが要因である.
Fig. 12 The average values of the estimated UOTMR compared with NOTMR.
巻
12
第
号
使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う関与物質総量(都市鉱石 TMR)の推算と評価
817
状のリサイクルプロセスにおいても不純物の許容量が大きい
考
4.
4.1
察
TMR の観点から見たリサイクル性評価
材料としてリサイクルされる傾向があり,鉄スクラップは普
通鋼でなく棒鋼として,アルミニウムスクラップは展伸材で
はなくダイカストとしてリサイクルされている.さらに,異
本節では,家電製品からの元素・素材リサイクルについて
なる種類のスクラップを混合することは不純物量の超過を防
TMR の観点から考察を行う. Fig. 12 に各シナリオの都市
ぐために有効である.このような観点から,醍醐ら31) をは
鉱石 TMR を全ての製品について平均して比較したものを示
じめとする研究者32,33)が最適なスクラップ混合モデルについ
す.シナリオナンバーが大きくなるほど,すなわち洗練され
て分析している.これらはカスケードリサイクルではある
たリサイクルを行うほど元素・素材の都市鉱石 TMR が小さ
が,それでも TMR という観点からは効果的である.
くなる傾向にある.このことは,洗練されたリサイクルには
4.1.2
ステンレス鋼およびアルミニウムダイカストを各ス
比較的高いエネルギーや物質投入が必要であるが,TMR と
クラップから選別する際の許容エネルギー投入量
いう観点からはそれでも自然鉱石から製錬するよりも小さな
高度な破砕プロセスと共に素材ごとの高度な選別プロセス
環境攪乱で済むことを示唆している.
を行うことは希釈プロセスを避ける上で効果的である.シナ
また,都市鉱石 TMR の減少は特にプラスチックの回収
リオ 3 や 4 はこのようなプロセスを反映したものである
(シナリオ 3→ 4)で顕著に見られ,これは携帯電話やノート
が,破砕に投入されるエネルギーは考慮されているものの,
PC の場合6,12,13) と大きく異なる.これは家電製品中のプラ
選別に投入されるエネルギーについてはデータが存在しなか
スチックの占める割合が,携帯電話やノート PC に比べて大
ったために考慮していない.このことはシナリオ 3 や 4 で
きいためである.
推算されたステンレス鋼やダイカストの都市鉱石 TMR が過
4.1.1
希釈プロセスの影響
小評価されていることを意味している.
鉄やアルミニウムの場合,これらの都市鉱石 TMR はシナ
選別プロセスとしてエネルギーを投入することは鉄(棒鋼)
リオナンバーが増加してもそれほど減少しない.これは大量
とステンレス鋼,およびアルミニウム展伸材とダイカストの
の純物質が希釈のために投入されているためである.仮に,
都市鉱石 TMR の増加につながる.そこで,自然鉱石 TMR
Al について希釈を全く考慮しない場合,シナリオ 3 ではア
を超えないように許容される最大の選別プロセス用投入エネ
ルミニウムの都市鉱石 TMR は 7 ( g / g ),シナリオ 4 では
ルギーを調査した.Table 3 はその結果をまとめたものであ
3.3(g/g)となる.(鉄の場合,シナリオ 3 では 3.3(g/g),シ
る.
ナリオ 4 では 3.0(g/g)である.)
表から分かるように,選別のための許容エネルギーは,鉄
実際の操業プロセスでは,アルミニウムスクラップは展伸
スクラップからステンレス鋼を選別する場合, 0.14 ~ 0.82
材でなくほとんどがダイカストとしてリサイクルされている
kWh/kg(平均で 0.44 kWh/kg),そしてアルミニウムスクラ
が,これは TMR の観点からも有効なリサイクルプロセスと
ップからダイカストを選別する場合で 0.05 ~ 1.59 kWh / kg
考えられる.ヒアリング調査により,ダイカストは種々のア
(平均で 0.87 kWh / kg )となった.これらの値は Table 2 の
ルミニウムスクラップを組み合わせることで作成されてお
値と比較して,十分受け入れられるものと考えられる.
り,追加的な物質投入は少ない.そのため,このようにして
作成されるアルミニウムダイカストの都市鉱石 TMR は,上
4.2
自然鉱石換算元素濃度
述の希釈を考慮しない場合の都市鉱石 TMR に近い値になる
著者は,既報6)において,自然鉱石 TMR と粗鉱品位の関
と思われる. Fig. 13 は都市鉱石 TMR と希釈のために投入
係 を 用 い て , 都 市 鉱 石 TMR か ら 自 然 鉱 石 換 算 元 素 濃 度
される純物質量の関係を示したものである.図から都市鉱石
(Elemental Concentration of Natural Ore Equivalent:
TMR は純物質の投入と共に急激に増加することが分かる.
このような問題を避けるため,希釈プロセスに頼らないリ
サイクルプロセスの開発・促進が重要と思われる.実際,現
Fig. 13 The relationship between the UOTMR and the
amount of additional input of pure element for the dilution.
Table 3
Allowable energy input for the separation process.
EoLEHA
Allowable energy input for the separation process of
stainless steel from scrap iron.
CRT
TV
LCD
TV
Refrigerator
Washing machine
Air conditioner
Microwave oven
0.46(kWh/kg)
0.14(kWh/kg)
0.32(kWh/kg)
0.82(kWh/kg)
0.42(kWh/kg)
0.50(kWh/kg)
Average
0.44(kWh/kg)
EoLEHA
Allowable energy input for the separation process of
die
casting aluminum from scrap aluminum.
TV
CRT
Refrigerator
Washing machine
Air conditioner
Microwave oven
1.59(kWh/kg)
0.44(kWh/kg)
0.05(kWh/kg)
1.52(kWh/kg)
0.74(kWh/kg)
Average
0.87(kWh/kg)
818
第
日 本 金 属 学 会 誌(2010)
74
巻
究で推算した都市鉱石 TMR は潜在的な値と考えるべきであ
る.
中島らは製品に含まれる元素の形態や濃度を考慮して,熱
力学的に歩留まりを推定する手法を提案している34) .本研
究にその手法を適応し,歩留まりを考慮した都市鉱石 TMR
を推算することでより現状を反映した都市鉱石 TMR を推算
できると考えられる.
さらに,2.3.1 節で述べたように,本研究では無害化処理
といった都市鉱石ずりの処理についてはシステムバウンダ
Fig. 14 Elemental concentration of natural ore equivalent for
each scenario.
リー外としている.そのため「リサイクルを全くしないこと
が最も低い TMR となる」といった間違った解釈をされる可
能性がある.今後,最適なリサイクル方法を評価するために
はシステムバウンダリーを拡張し,都市鉱石ずりの処理も含
ECNOE )を推算する方法を提案した.自然鉱石 TMR と自
めて評価する必要があり,近く報告する予定である.
然鉱石における元素濃度(粗鉱品位)の関係は
log (x )=-0.982 log (TMRNO )+2
(2)
5.
結
論
のように表すことができる.ここで,x と TMRNO はそれぞ
れ粗鉱品位(),自然鉱石 TMR(kg/kg)を意味する.そし
て,自然鉱石換算元素濃度を以下のように定義する.
log (xECNOE )=-0.982 log (TMRUO )+2
本研究では使用済み家電製品(CRT テレビ,液晶テレビ,
冷蔵庫,洗濯機,エアコン,電子レンジ)から素材をリサイ
(3)
ここで xECNOE と TMRUO はそれぞれ自然鉱石換算元素濃度
クルする際の関与物質総量(都市鉱石 TMR)を推算した.推
算に関して,自然鉱石 TMR と MI の関係を一部用いた.
(),都市鉱石 TMR(kg/kg)である.自然鉱石換算元素濃
推算の結果,金,銀,銅,プラスチックの都市鉱石 TMR
度は,本質的には都市鉱石 TMR と同一の指標であるが,元
は全てのシナリオ,全ての家電製品について自然鉱石 TMR
々の都市鉱石に含まれる元素の濃度を基にリサイクルに関わ
より小さくなった.TMR の観点では,アルミニウムスクラ
る物質・エネルギー投入の負の影響として減じたものと考え
ップは展伸材ではなくダイカストしてリサイクルする方が良
ることができ,濃度という指標で都市鉱石の質を表現できる.
く,これは現在のリサイクル状況と同じであることが分かっ
Fig. 14 は本研究で推算した自然鉱石換算元素濃度であ
た.鉄スクラップからステンレス鋼,またはアルミニウムス
る.ただし,図中の値は粗鉱品位が 1 になるように規格化
クラップからダイカストを選別するには追加的なエネルギー
している.つまり,図において 1 より高い値を示すとその
投入が必要であるが,ステンレス鋼やダイカストの都市鉱石
都市鉱石は粗鉱(自然鉱石)より高い品位を有すると考えるこ
TMR は自然鉱石 TMR より潜在的に小さくなる可能性が高
とができる.なお,図中にはほぼ同一のシナリオの下,携帯
いことを示した.
電話とノート PC について推算された自然鉱石換算元素濃
度12) をそれぞれ対応するシナリオ上に「○」,「□」で示し
自然鉱石換算元素濃度の観点からみた鉱石の品位は Au~
Cu>Ag>Fe~Al の順となっていることが分かった.
ている.
図から分かるように,自然鉱石換算元素濃度の観点からみ
文
献
た鉱石の品位は Au~Cu>Ag>Fe~Al の順となっているこ
とが分かる.また,携帯電話やノート PC について評価した
素材のほとんどは家電製品よりも高い品位を有していた.し
かし,シナリオ 4 における銅やノート PC 中の金は家電製品
中のそれよりも低い品位であった.この理由として,一般的
に家電製品には配線用を中心として大量の銅が使用されてい
ること,また金についてはノート PC は液晶パネルなどリサ
イクルされない部品を有するため都市鉱石ずりの寄与が大き
くなったことが考えられる.
4.3
本稿における課題
本研究で推算した都市鉱石 TMR は,リサイクル時の歩留
まりを考慮していない.たとえば,ヒアリング調査によると,
CRT テレビのブラウン管はカレットとしてリサイクルされ
る際, 40 はリサイクルされないとされるが,本研究では
100リサイクルされるとしている.これは,プラスチック
や他の金属・素材についても同様である.その意味で,本研
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第
12
号
使用済み家電製品からの素材リサイクルに伴う関与物質総量(都市鉱石 TMR)の推算と評価
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