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プログラム - 一般社団法人神奈川県臨床工学技士会

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プログラム - 一般社団法人神奈川県臨床工学技士会
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
プログラム
○開会の辞
9:25 ~
○一般演題Ⅰ・学生部門
9:30 ~ 11:10
座長
OS-01
北里大学医療衛生学部
廣瀬 稔
昭和大学横浜市北部病院
菊地 武
コアクシャル型ダブルルーメンカテーテルの最適形状に関する研究
桐蔭横浜大学
OS-02
滝川 千恵美
持続的血液浄化療法施行時の炭酸カルシウム析出に関する
施設アンケート調査報告
北里大学
OS-03
血液回路内の血流音モニタリングによる回路内凝固検出の試み
桐蔭横浜大学
OS-04
相澤 康平
塩田 卓也
血液凝固前後の色調と吸光度変化のモニタリングによる
非侵襲凝固検出方法の検討
OS-05
OS-06
桐蔭横浜大学
太田 祥平
神奈川工科大学
中村 優友
ストレスによる胃電図の変化
膵ランゲルハンス島をバイオセンサーとする新たな人工膵臓システムの
構築をめざして
東海大学
OS-07
崔 素栄
嚥下音の時間-周波数分析による非侵襲嚥下機能スクリーニング検査方法の
検討
桐蔭横浜大学
OS-08
音響周波数解析による液化ガスの残量測定に関する研究
北里大学
OS-09
向中野 力
血液透析用留置針の側孔の数及び配置と実血流量の関係
桐蔭横浜大学
OS-12
山本 隼矢
PCPS 使用中に発生する脱血不良を流量制御により改善する装置の試作
東海大学
OS-11
藤井 直輝
血液回路内凝固の発生に及ぼす静脈側ドリップチャンバの全長の影響
桐蔭横浜大学
OS-10
可児 雅弥
田口 友樹
血液回路内凝固の発生を検出するための斜め入射型超音波センサの開発
桐蔭横浜大学
-1-
秋山 航汰
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
11:10 ~ 12:00
○一般演題Ⅱ・若手部門
座長
OY-01
OY-02
OY-03
総合新川橋病院
長谷川 修
社会医療法人三栄会中央林間病院
藤井 純一
DDD ペースメーカ挿入患者の意識消失をきたした1症例
昭和大学横浜市北部病院
柳橋 歩里
日本医科大学武蔵小杉病院
大川 陽平
FX-CorDiax の性能評価
緊急動脈瘤クリッピング手術における運動誘発電位(MEP)モニタリングの
測定方法の検討
東海大学医学部付属病院
OY-04
当院におけるセントラルモニタアラーム発生要因の現状
東海大学医学部付属病院
OY-05
江藤 健輔
透析装置の変更により漏血警報を回避した血液浄化の 1 例
横浜市立みなと赤十字病院
OY-06
松本 航
森下 和樹
人工肺における検討--従来品との比較--
○昼休憩
12:00 ~ 12:40
○教育講演
12:40 ~ 13:40
北里大学病院 ME 部
有馬 司
昭和大学病院
大石 竜
「災害医療現場での実際」
司会
日本の災害・救急医療の変革
講師
本多 ゆみえ
(東海大学医学部付属病院救命救急医学)
ネパール民主共和国地震災害に対する
国際緊急援助隊医療チーム派遣活動報告
講師
江津 繁
(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター)
国際緊急援助隊医療チームにおける臨床工学技士の役割
-ネパール大地震派遣報告講師
森實 雅司
(済生会 横浜市東部病院)
-2-
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
13:50 ~ 14:50
○特別講演
司会
横浜労災病院
田代 嗣晴
バナナの皮の滑りが拡げた生命科学の世界
講師
馬渕 清資
○一般演題Ⅲ・一般部門
座長
(北里大学医療衛生学部医療工学科)
15:00 ~ 15:40
横浜市大学附属市民総合医療センター
東海大学医学部付属大礒病院
OE-01
島峰 徹也
小島 萌
前希釈オンライン HDF(O-HDF)開始前後の臨床症状の推移
社会医療法人財団石心会さいわい鹿島田クリニック
OE-02
ファイルメーカー(FM)を利用した血液浄化療法の評価と管理
社会医療法人財団石心会川崎クリニック
OE-03
中沢 圭吾
中央管理機器データの分析によるマネージメントの可能性
昭和大学藤が丘病院
○閉会の辞
武内 秀友
OCT/OFDI 撮像時の造影剤使用量の検討
東海大学医学部付属病院
OE-05
中村 賢洋
当院における人工呼吸器の定期点検に関する取り組み
医療法人五星会菊名記念病院
OE-04
伊澤 潤
15:40 ~
○意見交換会(優秀演題表彰) 16:00 ~
9F レストラン 味彩
※参加者の皆様による投票で各部門の優秀演題を決定したいと思います。
-3-
野川 悟史
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
ハンズオンセミナーのご案内
第1回
神奈川県臨床工学会
呼吸治療ハンズオンセミナー
換気メカニクス~人工呼吸器の波形を理解する~
人工呼吸器を使用している施設では、使用している人工呼吸器の巡回ラウンドを行ってい
る臨床工学技士は多いと思います。
皆様方のおかげで人工呼吸器を装着している患者さんの安全を担保出来ていると思います。
しかしながら、巡回時に換気設定の評価をどのようにしていますか?
患者さんにとって適切な換気設定となっていますか?
よくわからない・・・自信がない・・・ということはありませんか?
肺の状態を評価するにはコンプライアンスとレジスタンスの評価が必須です。
現在多く使われている人工呼吸器にはグラフィックモニターが標準装備されている機器が
増えています。
この波形から発信される情報からおおよその状態を知り得ることが出来ます。
今回のセミナーではコンプライアンスとレジスタンスの基礎的概念はもちろん、グラフィ
ック波形への影響等を臨床で使われている実機を基に解説していきたいと思います。
実際、臨床において呼吸器設定のアドバイスを求められることもあるかと思います。
きちんとした理論を基に最善の情報提供をしていくためのスキルを身につけませんか?
なんとなくを確かな知識に変えるセミナーにしていきたいと思います。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
定員:第 1 回神奈川県臨床工学技士会参加者 30 名限定
費用:第 1 回神奈川県臨床工学技士会会費に含まれます
申し込み方法:神奈川県臨床工学技士会ホームページ内の専用申込ページより必要事項を
登録ください
会場:かながわ労働プラザ
当日参加可能です。専用受付にお申し出ください
第 2 会場
呼吸療法認定士更新のための点数は付与できませんのでご注意ください
主催:神奈川県臨床工学技士会
ホームページ http://www.kanarinko.com/index.html
共催:神奈川呼吸療法研究会
ホームページ http://www.kanagawa-rst.com
-4-
抄 録
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
【特別講演】
バナナの皮の滑りが拡げた生命科学の世界
馬渕 清資
北里大学医療衛生学部医療工学科
バナナの皮の摩擦を測ってみようと考えたきっかけは,以前から,著書や講義の中で関節の滑りの
良さを説明する際に,摩擦の低い現象として,バナナの皮を踏んだときの滑りの良さを例え話に使っ
ていたことからです.調べてみると,ヒトが踏みつける条件でのみ,摩擦が低いことがわかり,それ
をセンサの上で再現することで,滑りの良さを表す,低い摩擦係数 0.066 を得ることができました.
ただ,論文としてまとめるには,それだけではデータが足りませんでしたので,表裏を変える,乾燥
させる,他の果物の皮と比較するといったデータで厚みを加えました.それらの結果から,摩擦を下
げる仕組みが,小さな植物細胞内の粘液がしみ出すという小胞ゲル潤滑によることを明らかにして,
論文を完成させました.バナナの皮で滑るのは,世界共通のギャグのネタですから,論文が公表され
た 2012 年の時点で,イグノーベル賞の趣旨である,ヒトを笑わせ,そして考えさせる事物という条
件を完全に満たしているという点で,受賞を確信していました.ですから,昨年,受賞の知らせをい
ただいたとき,驚きはありませんでした.しかし,公的な研究機関に身を置く者として,バナナの皮
で滑って遊んでいるという風評をいただくわけにはいかないので,受賞式を含めて,いかにして,自
分の立ち位置を皆さんに知ってもらうかを真剣に考えました.
受賞後,案の定,多くの方々から,「バナナの皮の滑りの研究成果は,何の役に立ちますか」とい
う質問をいただきました.実用性のない研究に対しては,私自身,日頃は批判的な意見を述べており
ますので,これが,非常に厳しい質問です.それで,用意した回答は,バナナの皮の滑りをよくする
仕組みの主体である粘液の効果は,生体関節と共通である.そのことは,人工関節に流体潤滑を構築
する必要性を裏付けたという点で,役に立つ.ということを,先の質問への回答としてきました.
一方,「科学は,研究テーマが面白ければ,価値がある.その意味で,バナナの皮の滑りという日
常のありふれたことがらの中から,摩擦係数を測定するという新しい発見をしたことは,科学する姿
勢として評価できる」という意見もいただきました.これは,望外な高評価でした.確かに,科学の
中には,天文学のように,実用性は乏しくとも誰もが,その価値を認めているものがあります.それ
では,科学技術から技術すなわち実用性を切り離して,純粋な科学として考えたとき,その評価はど
うすればよいのでしょうか.実は,衣食住が満たされた先に,音楽,芸術が花開くように,科学のも
たらす世界の広がりに,その評価基準があると思うのです.その道しるべになるのは,普遍性に対す
る面白さです.私は,バナナの皮の滑りと,生体関節の潤滑というかけ離れた二つの現象に,共通の
仕組みが隠されているということを知ったとき,これは面白いと感じました.
実は,取材対応で,こうした説明を補足しているさなか,私自身に,なぜ,バナナの皮と関節とい
う一見,無関係なものの中に共通の仕組みがあるのか,と言う疑問が芽生えました.それに自問自答
した結果,両者は,生命という枠にあること.そして,粘液の成分である高分子物質は,生命体の遺
伝子にしか生み出せない物質であることに気づきました.粘性のある液体は,潤滑油などの工業用材
料も含めて,すべて有機物です.一方,有機物を無機物から生成することができないという,科学技
術の限界についても思い至りました.まさしく,有機物質の合成は,生命にのみ可能な技なのです.
かくして,バナナの皮の滑りを調べたことで,生命の神秘に思いを馳せることが出来たのです.
-7-
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
【教育講演】
DMAT 領域における「災害医療現場での実際」
日本の災害・救急医療の変革
本多 ゆみえ
東海大学医学部付属病院救命救急医学
【はじめに】昨今、国内外で多くの災害が発生している。それぞれの場面で消防・警察・
自衛隊等の行政の救助のプロフェッショナルが活躍する傍ら、医療系スタッフが早期から
現場に介入し活動を行うようになった。以前は災害により、多数傷病者が現場に発生して
も、救護所についた順に病院に搬送され、医療関係者は病院についた患者を診察するとい
うものであった。この形は昭和から平成に入るまで引き継がれていた。しかし、軽症患者
が先に病院に搬送され、重症患者が後回しになる現状に疑問を抱いている救急医療関係者
により、災害・救急医療のシステムの改革を話し合い始めた。
【災害・救急医療の変革】災害・救急医療の変革の大きな引き金になったのは、まだ記
憶に新しい、1995 年 1 月 17 日発災の阪神淡路大震災である。この時は、道路が寸断され、
燃え盛る神戸の街の上空を多くの報道ヘリが飛び交い、リアルタイムで災害の状況を日本
全国に配信した。しかし、その中には人命救助のためのヘリコプターがほぼゼロに等しか
ったのは周知の事実である。このことから災害時には陸送は不可能であり、航空機による
救助・搬送が最優先となることが実証された。また、現場医療機関は、自力で来ることが
できる、多くの軽症者でごったがえしたため、医療介入を施せば命が助かった最重傷の傷
病者たちに、医療資材とマンパワーが不足してしまい不幸な結果が多数発生した。
1995 年の阪神淡路大震災を教訓にし、1999 年に厚生省ドクターヘリ施行的事業、2000
年病院前救護体制のあり方検討会報告書・救急救命士養成カリキュラム大網化、2003 年緊
急消防援助隊の創設、2004 年救急救命士による気管挿管・AED を用いた市民による除細
動・災害医療援助隊(DMAT)の創設、2005 年高速道路におけるヘリ離着陸承認、2006
年救急救命士によるアドレナリン投与、2007 年ドクターヘリ法案、2009 年消防法改正等の
変革進み、2010 年にこれらのことが全国に普及し、2011 年 3 月 11 日に未曾有の東日本大
震災を経験することとなった。
【現場での医療介入の実際】当日は災害・救急領域における医療につき基本を確認し、
実際現場ではどのような活動を行っているのか国内の事例を提示する。
-8-
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
ネパール民主共和国地震災害に対する国際緊急援助隊医療チーム派遣活動報告
江津 繁
独立行政法人国立病院機構
災害医療センター
災害専任副看護師長
2015 年 4 月 25 日にネパールで発生した地震災害で、国際緊急援助隊医療チームの一員と
して、活動してきました。被害が甚大であり、2次隊の追加派遣も行われ、私は2次隊と
して活動してきました。
今回の活動の特徴は3点あり、1点目は、国際緊急援助隊医療チームの活動としては初
の手術機能、透析機能、入院機能を持った機能拡充型医療チームとしての活動だった点。2
点目は、活動中に緊急避難を余儀なくされる巨大な余震を経験した点。3 点目は、病院支援
活動を行った点でした。
今回の主な活動場所はバラビセという町の語学中学校の校庭に野外病院を展開し、地域
住民の為に医療活動を行いました。活動場所での診療は、1次隊、2次隊合わせ、987 名の
方の診療をさせていただきました。今回の機能拡充を活かした手術件数は 11 件、入院患者
数は 11 名でした。外来診療の患者は、建物崩落で受傷した外傷患者、避難生活から来る疲
労・不眠を訴える患者など様々な健康被害を受けた方が来られました。手術症例は非観血
的整復術、洗浄・デブリードメント等でした。入院患者は、術後管理目的の患者、また、
転院搬送までの治療継続の為の入院患者でした。
5 月 12 日、活動中に最大規模の余震がありました。余震発生時は、自分達の安全確保を
第一とし、活動サイト内の患者さんの安全確保を行いました。活動サイトの安全が確保さ
れず、緊急避難を余儀なくされましたが、緊急避難の準備を行いつつ、移動の手配ができ
るまでは、サイトに訪れる方へ診療を行いました。診療スペース、医療資機材も限りがあ
ったため、余震後の活動はトリアージを実施し、できる限りの最大限の診療を行いました。
バラビセからの緊急避難後は、デュリケル病院の病院支援に活動内容を変更しました。
この病院は、バラビセでの活動中の転院搬送先病院であり、被災地のスタッフの身体的疲
労、精神的疲労を少しでも緩和したいという思いで、支援させて頂きました。
-9-
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
国際緊急援助隊医療チームにおける臨床工学技士の役割
-ネパール大地震派遣報告-
森實 雅司 1)2)、三木 隆弘 2)、小島 達也 2)、矢田 哲康 2)
1)済生会横浜市東部病院臨床工学部
2)国際緊急援助隊医療チーム
【はじめに】国際緊急援助隊(以下 JDR)は、海外で発生した大規模災害に対して日本政
府が派遣する災害救援チームである。JDR 医療チームは 1988 年以降、計 57 回の派遣実績
があり(2015 年 9 月)、その活動は国内外で高い評価を得ている。近年、従来の初期診療
を外来で提供する Field clinic 機能に加えて、
「透析・手術・入院」が可能な Field hospital
機能を付加した機能拡充チームが設立された。今回、初派遣され機能拡充チーム1次隊に
臨床工学技士(以下、CE)として参加したため報告する。
【活動概要】2015 年 4 月 25 日、ネパール中西部で M7.8 の大地震が発生し、全または半壊
家屋 80 万棟以上、死者数 8,800 名以上、負傷者 22,000 名以上の被害が出た。4 月 28 日~
5 月 20 日の活動期間に、1 次隊(46 名うち CE2 名)、2 次隊(34 名うち CE1 名)が派遣
された。山間部のバラビセ(カトマンズの東約 60 キロ)に設置した Field hospital 内で 10
件の手術と延べ 987 名の外来診療を行い、14 日以降は現地大学病院への医療支援を行った。
1 次隊は 5 月 9 日に引継ぎを行い、11 日に帰国した。
【CE として】1 次隊では、バラビセ入りまでに日本から持ち込んだ手術・透析資機材の点
検、診療シミュレーションなどを行った。バラビセ入り後は手術室の設営と維持を中心に、
麻酔器の組立て、手術室内の医療機器の電気配線と容量の管理、酸素ボンベの管理、手術
室内の機器トラブル対応、麻酔担当医の診療補助など多岐にわたる活動を行った。透析装
置も携行し展開したが、使用するケースはなかった。2 次隊では、現地医療機関内で医療機
器の点検整備、他国から供与されていた機器の使用方法説明、透析室での透析の実施など
も行われた。
【まとめ】JDR 機能拡充チームにおける CE の役割は手術・透析など国内で求められるも
のと同様である。本教育講演ではバラビセにおける活動と災害医療現場での実際について
報告する。
【登録方法】JICA ウェブサイトに JDR の登録方法が紹介されています。ご興味ある方は
下記 URL をご参照下さい。(http://www.jica.go.jp/jdr/faq/join.html)
- 10 -
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-01
コアクシャル型ダブルルーメンカテーテルの最適形状に関する研究
滝川 千恵美、荒井 大輔、菅野 聖乃、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
我々は、コアクシャル型 DLC(CO-DLC)のサイドホールの数と脱血を行う末端孔の開孔率が、再循環
率とへばりつき発生に及ぼす影響について調べてきた。これまでに、CO-DLC のサイドホールの数を 3
個、末端孔の開孔率を 25%に設定したところ、再循環率が小さく、へばりつきも発生しなかった。今回
の報告では、脱血-返血孔間距離 LAV が再循環率とへばりつき発生に及ぼす影響について調べた。
【実験方法】
市販 CO-DLC の LAV は 10mm であるが、それを 20mm、30mm になるように加工した。塩化ビニール
(PVC)製の擬似血管を用いたシングルパス方式の模擬透析システムを作製した。PVC 製の擬似血管内
に LAV を変更した CO-DLC を留置し、静脈流量 400ml/min、脱血流量を 200ml/min に設定し、順接続
にて模擬透析を行った。開始から 1 分後に VB2 水溶液原液、ダイアライザ上流、ダイアライザ下流の 3
ヶ所より溶液のサンプルを採取し、再循環率を算出した。へばりつきの発生については、CO-DLC の接
続方法は順接続で、静脈流量は 400ml/min に固定し、脱血流量を 100~500ml/min まで変化させた。そ
して、CO-DLC 先端付近を高速度カメラで観察して、最初にへばりつきの発生が確認できた脱血流量を
最小脱血流量とし、LAV ごとの最小脱血流量を比較した。
【結果及び考察】
LAV が長くなるにつれ、再循環率は小さくなる傾向が見られた。一方、へばりつき発生については、LAV
が長くなるにつれ、へばりつきの発生に要する最小脱血流量が小さくなった。すなわち、LAV を適切な長
さに設定することで、再循環率が小さくかつ、へばりつき発生を防止できる CO-DLC が実現できる可能
性があることがわかった。
- 12 -
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-02
持続的血液浄化療法施行時の炭酸カルシウム析出に関する
施設アンケート調査報告
○相澤 康平 1)、藤原 康作 2)、塚尾 浩 2)、廣瀬 稔 1)2)
1)北里大学大学院
医療系研究科 医療安全工学
2)北里大学 医療衛生学部 臨床工学専攻 医療安全工学
【背景・目的】
持続的血液浄化療法(CBP)施行時に透析液・補液回路内に炭酸カルシウムの微粒子(以下、微粒子)が析出
する報告がある。微粒子は透析液・補液ポンプ後の回路内に析出することが多く、特に補液ポンプ後に
析出した微粒子は、補液ラインから血液を介し患者体内に流入する危険性がある。そこで各施設におけ
る微粒子析出例とその対応、微粒子に関する治療中の点検項目の有無を調査し、微粒子の析出に対する
現状把握を目的とした。
【方法】
特定機能病院 79 施設を対象に CBP 施行に関するアンケートを実施した。内容は、平均施行時間、最長
施行時間、微粒子析出の有無と析出時の対応、微粒子に関する治療中回路点検項目の有無とした。
【結果】
53 施設からの回答を得た(回収率 67%)。平均施行時間は持続的血液透析(CHD)、持続的血液濾過(CHF)、
持続的血液濾過透析(CHDF)のいずれも 24 時間が多く、最長施行時間は CHD 120 時間、CHF 96 時間、
CHDF 240 時間であった。微粒子の析出が確認されたのは 14 施設(26%)であった。析出した微粒子への
対応は、回路交換が 9 施設、経過観察が 3 施設であった。微粒子析出に関する点検項目がある施設は 3
施設(6%)であった。
【考察】
微粒子が確認された施設が 26%であったのに対し、治療中の点検項目としている施設は 6%にとどまっ
た。治療中の回路点検に、微粒子析出に関する項目の追加が望ましい。また、補液回路内に微粒子が析
出した場合の対応を考える必要がある。
【結語】
微粒子の析出例は 53 施設中 14 施設(26%)であり、治療中の回路点検に微粒子析出に関する項目がある
施設は 3 施設(6%)であった。
- 13 -
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-03
血液回路内の血流音モニタリングによる回路内凝固検出の試み
○塩田 卓也、島崎 直也、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
血液透析において、血液回路内やダイアライザ内で発生する血液凝固を完全に防止することはできず、
少なからず血液回路内やダイアライザ内で血液凝固が発生し、患者 QOL が低下するといった報告がある。
現在の透析用患者監視装置には血液凝固の発生を簡便かつ専属的に検出する機能が備わっていない。そ
こで本研究では、血液凝固に伴う血液回路内の血流音の変化に注目し、生体雑音分析装置を用いて、簡
便かつ専属的に血液凝固を検出する方法について検討した。
【実験方法】
まず、静脈側エアトラップチャンバ下流を鉗子で閉塞することで閉塞状態を模擬し、その際の血液回路
内の血流音を測定するために回路表面に加速度センサを装着した。そして、ポンプセグメント部を基準
として、加速度センサを順次移動させながら回路各部における血流音を測定した。得られた血流音デー
タに対してウェーブレット変換を行い、各部における正規化相互相関係数 R を算出することで、閉塞前
後における血流音変化の定量化を試みた。次に、回路内に牛血液を循環させた時のピロー、動・静脈側
エアトラップチャンバ、ポンプセグメント部、ポンプセグメント部から 20cm の各部位に加速度センサを
装着し、牛血を凝固させた時の凝固の進展に伴い変化する血流音の変化を測定した。そして、回路閉塞
に対する血流音測定実験の結果と比較することで、血液凝固の進展に伴い変化する血流音を測定するの
に最適な血流音測定部位について検討した。
【結果及び考察 】
血液凝固の進展に伴う各血流音測定部位の血流音変化を測定し、回路閉塞に対する実験結果と比較した
結果、静脈側エアトラップチャンバのみ、回路閉塞では R 値の変化が見られない一方で、血液凝固では
R 値が変化した。すなわち、静脈側エアトラップチャンバは回路内凝固の発生を専属的に検出できる可
能性があることがわかった。
- 14 -
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-04
血液凝固前後の色調と吸光度変化のモニタリングによる非侵襲凝固検出方法の
検討
○太田 祥平、中嶋 陸、坂元 英雄、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
体外循環の際に発生する回路内凝固を非侵襲的に検出する手法の 1 つとして、我々は凝固前後の血液の
色調変化をモニタリングする方法と、血液吸光度の変化をモニタリングする方法の 2 通りの方法につい
て検討している。
【実験方法】
血液が凝固する際、血液の色が鮮赤色から暗赤色に変化するが、その色調変化を定量的に検出するため
に、回路表面にカラーセンサモジュールを装着した。回路内に牛血を循環させた状態でカラーセンサの
キャリブレーションを行い、その後、循環する牛血に墨汁を 0.1ml ずつ順次加えることで、徐々に牛血
の色を鮮赤色から暗赤色に変化させていった時の色調変化をカラーセンサで測定した。
血液吸光度の変化をモニタリングするための光センサの発光側には砲弾型 LED を使用し、受光側には
320nm から 1100nm までの波長をカバーする Si PIN フォトダイオードを使用した。発光側と受光側の
間に真っ直ぐに血液透析回路を挟み込み、そして専用の外部光遮光用の黒色治具で光センサを覆った。
その後、血液回路内を牛血で満たし、循環開始から 60 秒後に塩化カルシウムを添加して牛血を凝固させ
た。循環開始と同時に光センサの出力電圧測定も開始し、10 分間の間、出力電圧を連続測定した。同時
に回路内圧も測定し、回路内圧が 300mmHg を越えた時点で凝固完了と判断し、循環を停止した。
【結果および考察】
墨汁の添加による牛血の色調変化の測定では、RGB のうちで R の出力が色調変化に対応して変化した。
また、各波長ごとの凝固前後の光センサの出力電圧、すなわち吸光度変化を比較すると、概ね同様な変
化を示したが、詳細にみると各波長ごとに吸光度変化の様子が異なったことから、凝固前後の吸光度変
化には波長依存性が存在する可能性が示唆された。
- 15 -
第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-05
ストレスによる胃電図の変化
○中村 優友、松尾 崇
神奈川工科大学
【実験概要】
精神的なストレスと消化器のはたらきには関連性があると言われている。胃の活動は、腹部に電極を貼
ることによって胃電図として測定することができる。本研究は、心理的な要因によって生じる胃の動き
変化を、胃電図を測定することにより調べた。
胃の電気活動は胃体上部に位置するペースメーカから約3回/分(0.05Hz)の頻度で発生すると言われ
ている。興奮は幽門側へと伝播する。
被験者は消化器手術を受けたことのない 22~23 歳の健康な男子大学生 8 名を対象とした。電極は、左
右鎖骨の中心線上と肋骨の縁が重なった点の 2cm 上に装着した。アース用の電極は左骨盤上部に装着し
た。
被験者には座位状態のままで 10 分間安静をとらせた後、10 分ストレス負荷を与えた。ストレス負荷後
に 10 分間の安静をとった。ストレス負荷は、10 分間の手術映像視聴または筆算負荷とした。
電極の信号は生体アンプで増幅され、フィルターを通して、アナログ信号として出力される。増幅され
た信号はデジタル信号に変換してパソコンに記録される。信号のサンプリング周波数は 200Hz に設定
した。デジタルフィルターのバンド幅は 0.03Hz から 0.1Hz に設定した。
【実験結果と考察】
安静時の胃電図は先行論文と同じ周期であった。映像ストレスによる胃電図の変化は、ストレス負荷後
直ちに、はっきり起こることが確認された。ストレス負荷中と安静時を比べると、胃電図の振幅が増大
または減少という、被験者によって相異なる 2 つの場合が存在することが分かった。現在この要因を調
べるため、心拍数とその変動の測定、ストレスの種類を変えた場合の測定を行っている。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-06
膵ランゲルハンス島をバイオセンサーとする新たな人工膵臓システムの
構築をめざして
-マルチチャンネル電極による膵ラ島の電位変動はインスリン分泌量を反映する
だろうか?-
○崔 素栄
東海大学大学院工学研究科医用生体工学専攻
【はじめに】
重症 1 型糖尿病の治療に血糖値を連続測定してインスリンを投与する人工膵臓は、電極の寿命が短く、
また、血糖値のみをパラメータとするため、インスリンの過剰投与を引き起こすことも稀ではない。生
体の膵ランゲルハンス島(膵島)は、血糖値の変動にともないβ細胞からインスリンを、α細胞よりグ
ルカゴンを分泌して、血糖値を生理的にコントロールしている。われわれは、膵島のインスリン分泌時
におけるβ細胞膜の電位変動をマルチチャンネル電極で測定し、電位変動の大きさとインスリン分泌量
との相関から、人工膵臓における至適なインスリン投与量制御が可能か検討する。
【方法】
ラット膵管よりコラゲナーゼ溶液を注入、外分泌組織を消化、比重遠心法により膵島を単離、5% 仔牛血
清含有 DMEM 培地にて培養した。膵島は、細胞電位測定用マイクロチャンバー内に静置、グルコース濃度
を低および高濃度に調整した培養液を交互に入れ替え、電位変動を経時的に測定、分泌されたインスリ
ン量を測定する。
【結果および考察】
目下、単離された膵島細胞が正しくマイクロ電極上に接着され、安定した電位を測定できる至適条件を
求めている。膵島β細胞の電気生理学的研究では、インスリン分泌に際して、Ca2+イオンチャネルが開
放され、細胞内外の電位変化を生ずることが単細胞におけるパッチクランプ法により明らかにされてい
るが、厳密な条件下で、熟練した手技が必須であった。近年、新たに開発されたマルチチャンネルのマ
イクロ電極は、通常の環境で、多数細胞の電位変化を培養液中で経時的に測定できる。本研究は、膵島
β細胞の血糖値の変動によるインスリン分泌量とマルチチャンネル電極の経時的電位変動の大きさの相
関を調べ、膵島細胞がバイオセンサーとして人工膵臓におけるインスリン投与量を制御しうるかを考察
する。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-07
嚥下音の時間-周波数分析による非侵襲嚥下機能スクリーニング検査方法の検討
○可児 雅弥、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
嚥下機能に対するスクリーニング検査として頚部聴診法が行われているが、異常音の判定に熟練してい
なければ残留や誤嚥を見落とす恐れがある。これまでに我々は、嚥下音を構成する 3 つの音の中の第Ⅱ
音の時間的位置に着目し、嚥下運動全体の時間に対する第Ⅱ音の位置によって、嚥下機能を定量的に評
価することを試みてきた。今回の報告では、一度の測定で得られる複数個の嚥下音信号の中から、その
被験者の嚥下機能を代表する嚥下音信号を客観的に選択するための代表嚥下音信号検出機能について検
討した。
【実験方法】
基礎検討として、周波数 50Hz の信号に 100Hz から 800Hz まで 50Hz 毎に周波数を増加した信号を雑音
として重畳した擬似嚥下音信号を作製した。その中から順次、基準信号を選び、その基準信号とその他
の擬似嚥下音信号との間の相関係数を求め、その総和を求めた。そして、総和が最も大きい信号を、そ
の複数個の擬似嚥下音信号を代表する信号と定義した。次に、生体雑音分析装置を使い、10 秒間の測定
時間内に被験者に 2 回の嚥下を行ってもらうことで、2 個の嚥下音信号を測定した。得られた嚥下音信号
に対して、その嚥下音信号を近似する 3 次スプライン曲線を求め、代表嚥下音信号検出機能を適用し、
その被験者の嚥下機能を代表する信号を選択することが可能かどうか調べた。
【結果及び考察】
嚥下音は 3 つの音で構成されているので、10 秒間における 2 回の嚥下で、6 つの音が検出できる。これ
らの嚥下音に対して、代表嚥下音信号検出機能を適用したところ、1 回目の嚥下音の第Ⅰ音と第Ⅱ音、第
Ⅱ音と第Ⅲ音、1 回目の嚥下音の第Ⅲ音と 2 回目の嚥下音の第Ⅰ音、2 回目の嚥下音の第Ⅰ音と第 2 音と、
各音のピーク間の周期を正しく検出できることが確認できた。また、検出した 4 つの周期から、この被
験者の嚥下機能を代表する周期を自動的に選択することもできた。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-08
音響周波数解析による液化ガスの残量測定に関する研究
○藤井 直輝、小菅 梨紗子、藤原 康作、塚尾 浩、廣瀬 稔
北里大学医療衛生学部臨床工学専攻医療安全工学
【背景】
ボンベに充填されている液化ガスの残量は、重さを測ることによって推定できるが、医療機器に搭載されて
いる場合、一時的に医療機器から取り外す作業が必要になる。そこで、手軽に残量を推定する方法として、
打検法に着目した。
【目的】
液化ガスボンベの胴を外部から叩いた時に生じる音を周波数解析することにより、ボンベ内の液体残量を推
定することができるかを検討する。
【方法】
マンガン鋼製の高圧ガスボンベ内(容量 3.5[L]、質量 5.2[kg]、高さ 56[cm]、外径 10[cm])の水量を変
化させハンマーで叩いたときの音をボイスレコーダー(DS-700)で収集し、音声編集ソフト(wavepad)
を用いてフーリエ解析を行った。
【結果】
1)ハンマーで叩いた時の音をフーリエ解析すると 2 つのピーク周波数があることが分かった。2)ピーク周
波数は水量減少に対して増加することが分かった。3)叩く強さ、叩く位置を変化させてもピーク周波数は
変化しないことが分かった。
【考察】
1)ピーク周波数(peak1、peak2)が発生した要因について:ボンベの高さ方向と円周方向に振動すること
によって複数の振動モード成分が生まれるためだと考えられる。
2)水量によるピーク周波数の変化について:ボンベ内の水量が減少することにより、ボンベ外郭への水に
よる付加質量が減少し、共振周波数が増加したためだと考えられる。
3)叩く強さ、場所によるピーク周波数の変化について:ボンベの固有振動数は質量とばね定数によって決
定される。叩く強さや場所は固有振動数に影響を与えないため、ピーク周波数は変化しないと考えられ
る。
【結語】
液化ガスボンベの胴を外部から叩いた時に生じる音を周波数解析することにより、ボンベ内の液体残量を推
定できることが分かった。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-09
血液回路内凝固の発生に及ぼす静脈側ドリップチャンバの全長の影響
○山本 隼矢、島崎 直也、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
一般に、静脈側ドリップチャンバの容積が大きいほど、血液の流速は遅くなり凝固が発生しやすくなる
と言われているが、チャンバ全長と凝固発生の関係性について報告された例はあまりみられない。そこ
で本研究では、血液流入口と血液濾過フィルタの形状は同じで、チャンバ全長を極端に長くしたものと
極端に短くしたものを作製し、血液凝固に要する時間を比較することで、血液凝固の発生に及ぼすチャ
ンバ全長の影響を定量的に評価することを試みた。
【実験方法】
市販の静脈側ドリップチャンバを 2 つに切断し、長さを短くする時には短くする分をチャンバから切り
落とし、再度、接着することで短くした。一方、全長を長くする時には、2 つに切断したチャンバの間に、
必要な長さの円筒を挿入し、円筒を含めて接着することで長くした。今回は、チャンバ内に水を満たし
た状態で、液面の最上部からチャンバ流出口までの距離が 7cm と 21cm となるような 2 種類のチャンバ
を作製した。次に、作製したチャンバを含む血液回路内に牛血液を循環させ、循環中の牛血液に塩化カ
ルシウムを添加し、血液凝固を発生させた。チャンバ内の圧力を同時に測定し、塩化カルシウムを添加
してから、チャンバ内の圧力が 100mmHg に達するまでの時間を血液凝固に要した時間として定義し、
それぞれのチャンバで血液凝固に要した時間を測定し、比較した。
【結果及び考察】
作製した 2 種類のチャンバを含んだ血液回路に対して、血液凝固に要する時間を測定し、比較した結果、
全長が長いチャンバの方が血液凝固に要する時間が数十秒ほど短かった。チャンバの血液流入口や血液
濾過フィルタの形状、または血液流量の違いによって得られる結果が異なる可能性はあるが、今回の実
験結果からチャンバ全長の違いが血液凝固の発生に影響を及ぼすことを定量的に明らかにすることがで
きた。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-10
PCPS 使用中に発生する脱血不良を流量制御により改善する装置の試作
○向中野 力、大島 浩、影山 芳之
東海大学工学研究科医用生体工学専攻
【目的】
PCPS を必要とする患者の容体は安定せず、その監視には多大なマンパワーを必要とする。そこで、業務
の負担を軽減することを目的とし、作業の自動化を行うための装置を試作したので報告する。PCPS 業務
の負担軽減をする装置の製作にあたり、①装置のセンサ等が血液に直接触れない事、②遠心ポンプ等、
装置の機能が損なわれない事、③自動化によって負担を軽減できる事をコンセプトとし、今回は、脱血
不良を改善するために、回路内の圧力を計測して、脱血不良が改善されるまで一時的に遠心ポンプの回
転数を低下させる方法を想定した。
【装置の構成】
遠心ポンプの回転数を計測するため、赤外線フォトリフレクタを用いた。次に回路内の圧力を計測する
ため、遠心ポンプの血液流入ポート付近に圧力センサを接続した。遠心ポンプの制御は、コンソールの
つまみに接続した DC モータを回転させて行うことにした。赤外線フォトリフレクタ、圧力センサ、DC
モータをマイコンボードに接続して、①遠心ポンプの回転数を計測、②回路内の圧力を計測、③設定し
た圧力を下回ると DC モータにより回転数を減少させる、というプロセスをループするプログラムを作
成した。
【検証実験】
水で充填した PCPS 回路と遠心ポンプを 1.5L の水で充填した人工心肺シミュレータに接続し、回転数
3000rpm で稼働させた。製作した装置を取り付け、起動すると自動的に回転数の計測、圧力の監視を実
行した。脱血側の回路に鉗子で負荷をかけると回路内の圧力が設定した基準値(-250mmHg)を下回り、
DC モータが稼働して、回転数が 700~900prm、圧力は-40mmHg 前後まで減少させることができた。
【結論及び課題】
製作した装置により自動制御が可能な事を確認した。今後、脱血不良が改善された際に遠心ポンプの回
転数を元に戻す制御の追加、装置の応答性や安全性などを検証して、改良していく必要があると思われ
る。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-11
血液透析用留置針の側孔の数及び配置と実血流量の関係
○田口 友樹、星 直輝、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
シャント寿命を延ばし、効率の良い透析を続けるためには、留置針の細径化が望ましいとされている。
しかし、細くなる程、設定血流量と実血流量の差が大きくなることが指摘されている。そのため、各社
から様々な工夫を凝らした留置針が市販されているが、理想的な形状は提案されていない。そこで我々
は、血液透析用留置針の形状の最適化を目的とし、今回は側孔の数と配置が設定血流量と実血流量の差
に与える影響について実験的に検討した。
【実験方法】
太さ 17G、有効長 30mm の側孔の無い留置針に、留置針先端部から 3.3mm の位置と、その位置から 1.3mm
離れ、90°回転させた位置に各 1 個の側孔を設けた留置針を作製した。また、留置針先端部から 3.3mm
の位置と、その位置から 180°回転させた位置に各 1 個の側孔を設けた留置針を作製した。また、既に 4
個の側孔が設けられ、市販されている太さ 17G、有効長 30mm の留置針も準備した。内径 12mm の PVC
製チューブを擬似血管とし、その擬似血管内に流量 700ml/min で水を循環させ、作製した留置針を擬似
血管内に留置した。留置した留置針に血液回路を接続し、血液透析装置のローラーポンプを用いて脱血
量を 50~500ml/min の範囲で 50ml/min 毎に設定し、各設定血流量に対する実血流量の差を求めた。
【結果及び考察】
今回準備した 3 種類の留置針に対する実血流量の測定結果を見ると、留置針先端部から 3.3mm の位置と、
その位置から 1.3mm 離れ、90°回転させた位置に各 1 個の側孔を設けた留置針の方が、市販されている
4 個の側孔を有する留置針より多くの実血流量を確保できることがわかった。この結果から、側孔の数や
位置を変更することで、細くても十分に設定血流量に見合った実血流量を確保できる留置針を実現でき
る可能性があることがわかった。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OS-12
血液回路内凝固の発生を検出するための斜め入射型超音波センサの開発
○秋山 航汰、山内 忍、本橋 由香、佐藤 敏夫、阿岸 鉄三
桐蔭横浜大学
【目的】
我々は、体外循環時に血液回路内で発生する血液凝固を非侵襲的に検出することを目的に、血液回路の
外側に装着した超音波センサから血液内に超音波を斜め入射させ、血液内を伝搬してきた超音波の伝搬
時間や振幅変化を測定することで、血液凝固の進展に伴う超音波特性の変化を調べてきた。これまでに
我々は、アクリル製の小型ブロックを使って、周波数 3MHz の超音波を入射角 30°で血液回路内に入射
し、反対面で反射してきた超音波(N=2)を受信し、凝固前後の超音波特性の変化を調べてきた。血液
内を伝搬する超音波の伝搬距離が長い程、凝固に伴う超音波特性の変化がより顕著に現れると想定され
るため、今回の報告では、反対面で 2 回反射してきた超音波(N=4)を受信することで、凝固前後の超
音波特性変化の検出感度の向上を試みた。
【実験方法】
N=2 の超音波を受信するための装着治具をそのまま使用し、N=4 の超音波の受信を試みたが、N=4 の受
信波を観察することができなかった。そこで、反射面からの反射を大きくするために、厚さ 2mm のスチ
レンボードを反射面に装着し、再度、N=4 の受信を試みた。次に、血液回路内の牛血の循環を開始し、
60 秒経過後、塩化カルシウムを添加することで牛血を凝固させた。牛血の循環開始と同時に、デジタル
オシロスコープで受信波を連続測定し、凝固前後に伴う受信波の変化を観察した。また、同時に静脈側
回路内圧を測定し、回路内圧が 300mmHg を越えた時点で回路内凝固が完了したと判断し、循環を停止
した。
【結果及び考察】
反射面にスチレンボードを装着することで、N=2 の受信波と同時に N=4 も受信できるようになった。牛
血の凝固前後で比較すると、N=2 には顕著な変化が見られなかったが、N=4 は受信波全体の振幅が約 1/2
程度まで減衰した。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-01
DDD ペースメーカ挿入患者の意識消失をきたした1症例
○柳橋 歩里、寺島 敏晃、鳥居 一喜、西堀 英城
昭和大学横浜市北部病院
【はじめに】
ペースメーカ挿入術およびチェック業務は臨床工学技士にとって、主な業務の一つである。今回 DDD
ペースメーカ挿入患者が Pacing failure をお起こし意識消失した症例を経験したので報告する。
【症例】
82 歳男性。AV block により、2010 年ペースメーカ(Medtronic 社製 Adapta L ADDRL1)挿入術を施
行された。設定は、DDD・レート 60/130・RA リード出力 1.5V/0.4ms 感度 0.5mV、RV リード出力
2.0V/0.4ms 感度 2.8mV であった。
【経過】
21:15 意識消失したとの事で救急要請があり、22:30 当院救急搬送後、ER にて意識消失の精査としてペ
ースメーカチェックを施行した。来院時は A Pace-V Pace 状態であった。閾値は心房が 0.5V0.4ms、心
室が 0.75V0.4ms であり、リード抵抗値は RA リード 683Ω、RV リード 702Ωであったが、この結果は
前回フォローアップデータと相違ない結果であった。しかし、患者が体位を変換すると、モニタ上で V
Pacing Failure を確認できたため、緊急体外式ペースペーカ挿入術を施行し、体位変換による Pacing
Failure を回避する事ができた。
【考察】
今回、ペースメーカ挿入患者の意識消失事例を経験した。仰臥位の RV リード抵抗は適正値であったが
テンポラリー挿入後に側臥位 RV リード抵抗を測定すると Bipolar 5985Ω・unipolar>9999Ωとなった
ため、RV リード断線が考えられた。また、当日の患者行動調査において、テニスを施行した情報も得
られ、リード断線の原因の可能性が示唆された。
【まとめ】
今回の経験した症例は、モニタリングの重要性および患者行動の十分な聞き取りによって、早急な対応
ができた事で、今後の緊急対応に生かしていきたい。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-02
FX-CorDiax の性能評価
○大川 陽平 1)、吉田 健 1)、大塚 美穂 1)、高栁 佳津紗 1)、高木 基 1)、伊東 健介
尾﨑 傑
1)、門松
豊
1)、大塚
智之
1)日本医科大学武蔵小杉病院
ME 部
2)日本医科大学武蔵小杉病院
腎臓内科
3)日本医科大学付属病院
腎臓内科
2)、酒井
行直
3)
、鶴岡 秀一
1)
、
3)
【目的】
フレゼニウス社製 FX-CorDiax 180J について旭化成メディカル社製 APS18SA と溶質除去性能、アルブ
ミン漏出量、生体適合性について比較検討を行った。
【方法】
維持透析患者 6 名を対象に FX-CorDiax 180J、APS18SA を使用し、溶質除去性能としてクリアランス、
除去率、アルブミン漏出量は透析液排液を部分貯留法にて採取した。生体適合性として WBC、PLT の測
定を行い、残血スコアにて目視による残血評価を行った。
【結果】
小分子物質のクリアランス、除去率は有意差を認めなかった。低分子蛋白の除去率は有意差を認めなか
った。アルブミン漏出量は FX-CorDiax の方が低く抑えられていた。生体適合性は残血スコアによる残
血評価は APS の方が残血が少なく WBC、PLT の変化も残血評価と同様な傾向を示した。
【結語】
FX-CorDiax はアルブミン漏出量を抑えたダイアライザと考えられるが、抗凝固薬量などを考慮する必要
があると考えられた。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-03
緊急動脈瘤クリッピング手術における運動誘発電位(MEP)モニタリングの
測定方法の検討
○松本 航、木村 友康、山口 翔太、原田 潤平、西原 英輝、小森 恵子
東海大学医学部付属病院
【始めに】
緊急のくも膜下出血に対する動脈瘤クリッピング手術は手術開始までの時間が短く、筋弛緩から完全に
回復した状態で MEP モニタリングを始めることが難しい。筋弛緩回復剤を投与する場合もあるが、副作
用の出現も懸念されるため、できるだけ投与せず、かつ手術の流れを止めないように MEP モニタリング
を施行することが望まれる。
【目的】
当院では、従来より開頭直後の波形をコントロール波形とし、評価を行っていたが、術中に波形変化を
認めなかったにもかかわらず、術後麻痺が出現したケースがあった。そこで、クリッピング前後での減
衰率の比較を行ったので報告する。
【方法】
全 8 症例を対象とし、機器は NeuropackS1(日本光電社製)及び電気刺激装置マルチパルス D185(ミ
ユキ技研㈱製)を使用。刺激条件は C3-C4 でトレインパルス 5 回、パルス幅 2.0ms、閾値上刺激(140
~250V)とした。導出は両上下肢の母指球筋及び母趾外転筋にて行った。MEP 波形は、クリッピング
前後を比較し、その減衰率をみた。アラームポイントはコントロール波形または、前後の差より 50%以
上の減衰とした。
【結果】
7 症例は違いが見られなかったが、1 症例で開頭直後に測定したコントロール波形との比較で 3.2%の減
衰、クリッピング前後の波形での比較で 72%の減衰となった。
【終わりに】
本検討では変化が見られたのは 1 症例だけだったが、アラームに気付けたことにより、患者は術後に麻
痺を生じなかった。そのため緊急手術の場合、前後の波形を比較していく方法で術中モニタリングを行
うことの有用性が示唆された。今後、症例数を増やしさらなる検討が必要であると考えられる。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-04
当院におけるセントラルモニタアラーム発生要因の現状
○江藤 健輔、坂口 千奈、馬場 照太、深町 和彦、西原 英輝、小森 恵子
東海大学医学部付属病院
【目的】
当院では医療安全を目的として、毎月 1 回セントラルモニタの講習会を行っているが、現在も病棟では
セントラルモニタに関するインシデントが発生している。そこでインシデントを防ぐ為にアラーム情報
を収集し原因分析を行った。また当院では一部病棟(以下 A 群)の要望により、SpO2 下限アラームを 3
段階中、中位の警告アラームから最上位の緊急アラームへ変更を行っている。変更後どのような結果と
なったか他の 6 病棟(以下 B 群)と比較を行ったため報告する。
【方法】
A 群 B 群に分け、データ抽出可能なセントラルモニタ(日本光電社製 WEP5200)を使用して 13 日間分
のアラーム内容を SpO2 上限や HR 上限を表す「バイタルアラーム」、電極確認やプローブ外れなどを表
す「テクニカルアラーム」を集計し、
「項目別アラーム件数」、
「アラーム対応時間」の分析行い結果から
両群を比較検討した。
【結果】
両群のアラームを集計すると、バイタルアラームは上下限(A 群:54%、B 群:51%)が最も多い。また、
テクニカルアラームは電極確認(A 群:37%、B 群:47%)が最も多い。VF、心停止などの緊急アラームの
対応時間を両群で比較すると、B 群では全てのアラームに 2 分以内で対応していたが、A 群では 3 分経過
しても対応できていないケースが 2.4%あった。
【考察および対策】
SpO2 上下限発生の原因は SpO2 下限設定が高く、電極確認は電極外れによる計測不良が考えられる。ま
た、今後は講習会に SpO2 設定、電極外れによるリスクを周知するスライドを追加することでアラームの
無駄鳴り低下を目指す。また A 群で発生した緊急アラームの対応遅れは発生件数の多さによる慣れが原
因として考えられた。今後はアラームを元に戻し、段階アラーム導入を検討する。
【結語】
本検討より、即時対応しなければならない緊急アラームに対して対応時間が遅れている現状を把握でき
た。今後はさらにデータを集計し、至適アラーム設定の確立を目指していきたい。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-05
透析装置の変更により漏血警報を回避した血液浄化の 1 例
○森下 和樹、近藤 峰生、吉田 あやめ、津屋 喬史、小川 美悠、宮島 敏、岡田 直樹、
小林 隆寛、鏑木 聡、大谷 英彦、皆川 宗輝
横浜市立みなと赤十字病院
臨床工学部
臨床工学課
【背景】
当院の集中治療領域では、日機装社製の個人用透析装置 DBG-03(以下、DBG03)と東レメディカル社
製の個人用透析装置 TR-7000S(以下、TR7000S)を使用して持続低効率血液透析(以下、SLED)を行
っている。DBG03 の漏血検出器は、赤色光と緑色光の 2 種類の LED を用いて赤血球の他に遊離ヘモグ
ロビンやミオグロビンを検出する。また、TR7000S の漏血検出器は、赤外光を使用し赤血球のみを検出
する。
【症例】
重症敗血症により多臓器不全となった患者に対し、高カリウム血症の是正目的で DBG03 を使用し緊急
SLED を施行したところ、運転開始直後に漏血警報が発生した。肉眼的に、ダイアラザを通過した透析
液が赤色に染まっていなかった為、DBG03 の漏血ベース電圧の初期値異常を疑い再設定した。また、栄
研化学社製の多項目試験紙キットウロペーパⅢ(以下、ウロペーパ)を使用し、ダイアライザの透析液
出口部分の廃液の潜血確認を行った。潜血評価項目のヘモグロビンが 3+であり、再度運転を開始したが
漏血警報が解除されなかった。その為、新しい血液回路とダイアライザを使用し、透析装置を DBG03
から TR7000S に変更して SLED を施行した。
【結果】
DBG03 から TR7000S へ装置変更したところ、漏血警報は発生せず SLED を施行できた。
考察:多臓器不全は重要臓器が機能不全に陥る病態であり、AST、LDH、CK 値の上昇から溶血やミオ
グロビンが血中に流入していたことが考えられ、それによりウロペーパで遊離ヘモグロビンまたはミオ
グロビンが検出されたと考えられる。また、分子量 17200 のミオグロビンと分子量 64500 の遊離ヘモグ
ロビンは血中から中空糸を通過したと考えられる。
【結語】
今回の症例では、漏血検出原理の異なる透析装置に変更したことが有用であった。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OY-06
人工肺における検討--従来品との比較-○有馬 司、東條 圭一、古平 聡、大島 弘之、長村 茂太、海老根 智代
北里大学病院 ME 部
【目的】
当院では小児体外循環症例において TERUMO 社製 CX-FX05RW を使用している。人工肺の構造を、従
来型よりガス交換部を小型化し、ガス交換能を向上させ、PaCO2 のコントロールがしやすく、接液面積
を大幅に低減した JMS 社製 OXIA ICneo を使用する機会があり、CX-FX05RW との比較検討を行った。
【対象】
2014 年から当院で行った小児体外循環症例のうち、6kg 以下の大動脈遮断を行った心室中隔欠損症症例、
輸血使用症例を対象とした。なお、OXIA ICneo (以下、OXIA)および、CX-FX05RW(以下、FX)はそれ
ぞれ 10 症例であった。
【方法】
体外循環時間、大動脈遮断時間、麻酔時間、手術時間、術前 Hb、充填量、人工心肺中輸血量、術中総輸
血量、体外循環中水分出納バランス、人工肺におけるガス交換能について比較検討を行った。両群の比
較には、Student’s t test を用いて行い P<0.05 を有意差ありとした。
【結果】
両群の患者背景には有意差は見られなかった。体外循環時間、大動脈遮断時間、麻酔時間、手術時間、
術前 Hb、充填量、人工心肺中輸血量、術中総輸血量、体外循環中水分出納バランス、大動脈遮断中の平
均 FiO2、平均吹送ガス流量、平均血液流量、平均 Hb、平均 PaCO2 において有意差は見られなかったが、
OXIA は FX と比較し、PaO2 が有意に低く、平均 VQ 比は有意に高かった。
【結論】
OXIA は PaO2 ならびに PaCO2 を目標範囲内でコントロールすることができた。ただし、FX と比較する
と目標 PaCO2 をコントロールするために必要な VQ 比は高いが、特に血流量の少ない症例においては、
コンセプト通り PaCO2 のコントロールはしやすいと考えられた。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OE-01
前希釈オンライン HDF(O-HDF)開始前後の臨床症状の推移
○伊澤 潤 1)、小宮 絵美 1)、木村 真実 1)、森尾 仁貴 1)、武田 勝 1)、木暮 照子 1)、
朝倉 裕士 1)、玉木 遼 2)、中村 賢洋 2)、鶴澤 一行 2)、宍戸 寛治 2)
1)社会医療法人財団石心会さいわい鹿島田クリニック
2)川崎クリニック
【目的】
新規に開始した O-HDF 患者の開始前後の臨床症状や処置回数などの推移を比較、検討した。
【対象・方法】
90 名(男性 57 名、女性 33 名、平均年齢 69.5±10.4 歳、平均透析歴 7.2±5.9 年)を対象に、JMS 社製
GC-110N ならびに、日機装社製 DCS-100NX を用いて QS 5~12L/h の O-HDF を施行した。ヘモダイア
フィルタは旭化成メディカル社製 ABH-P および F を使用した。評価項目は、血清 Alb 透析前値、Hb 値、
Kt/V、血清β2-MG 透析前値 、ESA 製剤投与量、処置回数及び臨床症状とした。処置回数は開始前 6
ヶ月間、開始後 6 ヶ月間の下肢拳上、透析液温度調節、除水調節、補液とした。臨床症状は各症状とも
症状がある症例を対象に、倦怠感、掻痒感、不眠、下肢つり、疼痛を 5 段階で、ムズムズ脚症候群は国
際ムズムズ脚症候群重症度スケール(IRLS)を使用して 1 ヵ月ごとに聴取し評価した。
【結果】
血清 Alb 透析前値、Hb 値は開始前後で有意な差は認められなかった。Kt/V は 1.46 から 1.56 と有意に
上昇、β2-MG は 25.8 から 24.0mg/L と有意に低下した。ESA 製剤投与量はエポエチンκで有意な差は
なく、ダルベポエチンαでは有意に増加した。臨床症状は倦怠感、掻痒感で有意な改善を認めた。また、
有意差を認めないものの下肢つりとムズムズ脚症候群においても低下傾向だった。処置回数については、
総数 1173 から 869 回と有意な低下を認めた。内訳は下肢拳上では 403 から 277 回、温度調節は 287 か
ら 203 回、除水調節は 373 から 325 回、補液は 110 から 64 回と全ての項目において有意な低下を認め
た。
【結語】
O-HDF は倦怠感などの各種臨床症状の改善ならびに、処置回数の減少に有用であると考えられる。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OE-02
ファイルメーカー(FM)を利用した血液浄化療法の評価と管理
○中村 賢洋、今井 勝、依田 絵里奈、齋藤 千尋、芝田 絵理子、荒井 莉早、三輪 直哉、
澤田 尚之、鈴木 貴大、玉木 遼、佐藤 健、鶴澤 一行、熊田 千晶 1)、伊藤 賀恵 1)、
若狭 幹雄 1)、宍戸 寛治 1)
社会医療法人財団石心会
川崎クリニック
同内科 1)
【目的】
前希釈オンライン血液濾過透析(前 OHDF)及び間歇補充型血液濾過透析(IHDF)施行患者合計 155 名の評
価を行うにあたり、電子カルテで検査データ管理を行っていないことから、FM Pro ver12(FM)を使用した
データベース作成により、データ整理・評価を簡易化できるか検討した。
【方法】
TOP、患者情報、検査結果、臨床症状調査結果、の 4 テーブルと各テーブル画面+プレゼン画面(検査結
果テーブル使用)の 5 画面で構成管理し、データ入力は、Excel からの一括入力を採用。FM 画面でのプ
レゼン方式検討会を行えるようレイアウト・スプリクトを作成した。
プレゼン順番においては、透析室フロア・時間帯毎に任意の順番を自動割り振りとした。
【結果】
現状のデータ量であれば整理しやすく、簡易化でき、検討治療項目が拡大した。
また、常に更新している為、タイムリーな情報をグラフで確認することが可能となった。
課題として、操作マニュアルの整備と操作性の向上や、治療項目を増やしたことによる治療種類毎の評
価方法などが挙げられた。
【まとめ】
データ整理の簡易化、資料作成時間が短縮した。
治療項目の違いによる入力の手間が増えてしまったが、治療コードを設け、スクリプトを作成した事で
簡易化。入力やデータ取り込み方法については、今後も改善の余地が残されている。今後、検討項目の
拡大や中央監視システムを導入する機会があれば、FM とのリンクを行い、運用拡大が可能ではないかと
考える。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OE-03
当院における人工呼吸器の定期点検に関する取り組み
○武内 秀友、大石 浩貴、大巻 さやか
医療法人 五星会 菊名記念病院
【背景】
現在当院では、Evita2Dura(Drager 社)
:5 台、ニューポートベンチレータモデル e360(東機貿社:以
下 e360 とする):5 台、HAMILTON-C1(日本光電社):3 台の 3 機種計 13 台を使用している。
それぞれ定期点検を毎年実施しているが、各メーカーがメンテナンス講習会を実施しており、講習会に
参加するとメーカーより講習修了証が発行され、院内にて定期点検交換時の部品交換や、定期点検の実
施が可能となっている。
【目的】
Evita2Dura については、経費削減を目的にすでに院内スタッフでの定期点検を行なっており、今回 e360
についても同様に定期点検を院内スタッフにて行う事になった。よって、e360 の定期点検を院内スタッ
フで行う事で実際にどれほど経費削減が可能か検証してみた。
【方法】
点検実施は Evita2Dura と同様の条件、実施者は全員東機貿主催のメーカー指定講習会を受講し修了し
たスタッフ 3 名のみで行う。
また、点検実施は、通常の日勤帯に行い、点検実施は他の業務に支障が出ないように行うこととする(時
間外では行わない)。
【結果】
必要経費削減額は、メーカー委託時の定期点検費用が 1 台当たりにかかる費用×所有台数 5 台で計算し、
そこから東機貿主催のメーカー指定講習会参加費用×担当者 3 名(今回の条件として、通常業務時間に
行うことにより必要経費は東機貿主催のメーカー指定講習会参加費用のみで計算する)分の差額分とい
える。
【考察】
今回、定期点検の実施を時間外で行わず、業務間内で行うことで時間外手当等の人件費を抑えることが
できることにより大幅な経費削減を行うことが可能となったといえる。
メーカー委託による定期点検の方がユーザーの負担は低いが、定期点検を実施するためには器機の引き
上げ、代替機を用意し、さらには終了時に再設置するなどの点検期間が長くなってしまうという問題点
もある。しかし、院内にて行う事で稼働休止時間を短縮することもでき、その点に置いても有意である
といえる。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OE-04
OCT / OFDI 撮像時の造影剤使用量の検討
○中沢 圭吾、小島 優、村上 由紀子、来田 知也、生野 拓哉、高橋 明里、齊木 力
東海大学医学部付属病院
【背景及び目的】
OCT/OFDI は高い画像分解能を有した、プラークの組織性状診断に優れたイメージングデバイスである。
良好な撮像には血管内血液除去が必要で、造影剤による血液除去が推奨されており、IVUS と比較して造
影剤使用量が増加するとの報告がある。現在、良好な画質が得られる予測因子がなく、至適造影剤量が
確立されていないため、確実に血液除去するために過剰な造影剤量が使用されている。そこで、造影の
Back Flow に着目して画質の事前予測が可能か検討した。
【対象及び方法】
対象は造影剤を使用して施行した 113 症例(288 プルバック)で、そのうち自動注入器使用が 220 プル
バック、用手によるものが 68 プルバックであった。自動注入器の設定は LCA が 3.0~3.5ml/sec:10~12ml、
RCA を 2.0~3.0ml/sec:8~10ml と症例ごとに設定した。画質評価は Excellent(血液が完全に除去され
ている)
、Adequate(血液の抽出あるが内腔径計測が可能)、Poor(血液の抽出あり評価・計測が不可能)
の 3 段階とした。Back Flow による分類は対象血管以外の弁尖が確認できる場合を Grade5、Back Flow
がない場合を Grade1 いうように、弁尖の造影される範囲の違いにより 5 段階で定義した。
【結果】
Back Flow が Grade5(n=91)のとき、画質評価は Excellent が n=90(98.9%)、Adequate が n=1(1.1%)、
Poor が n=0(0%)であった。同様に
Back Flow Grade4(n=103)のとき Excellent が n=95
(92.2%)、Adequate が n=7(6.8%)、Poor が n=1(1.0%)
Back Flow Grade3(n=50)では Excellent が n=36
(72.0%)、Adequate が n=13(26.0%)、Poor が n=1(2.0%)
Back Flow Grade2(n=32)では Excellent が n=8
(25.0%)、Adequate が n=17(53.1%)、Poor が n=7(21.9%)
Back Flow Grade1(n=7)では Excellent が n=0(0%)、Adequate が n=2(28.6%)、Poor が n=5(71.4%)
であった。
【考察】
血液を完全に除去して Plaque 評価したい場合は、Back Flow Grade5 のとき 98.9%、Grade4 のとき 92.2%
で Excellent の画質が得られたことから、Grade4 以上の造影剤が必要である。また、Back Flow Grade3
(Adequate 以上が 98.0%)もしくは Grade2(Adequate 以上が 78.1%)では内腔径が容易に計測可能
であった。
【結語】
本検討により、OCT/OFDI の画質評価における Back Flow Grade を指標とすることにより画質の事前予
測が可能である可能性が示唆された。
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第 1 回神奈川県臨床工学会プログラム・抄録集
OE-05
中央管理機器データの分析によるマネージメントの可能性
○野川 悟史 1)、大段 剛 1)、菊地 武 2)、西堀 英城 2)
1)昭和大学藤が丘病院臨床工学室
2)昭和大学横浜市北部病院臨床工学室
【背景・目的】
当院では、1300 機種を超える医療機器を臨床工学室にて中央管理している。中央管理している機器に不
具合が発生した場合には、臨床工学室にて対応しデータ化している。今回、集積したデータを分析する
ことの有用性およびマネージメントの可能性を検証する。
【方法】
2013 年 1 月より 2015 年 5 月までの輸液ポンプとシリンジポンプ(以下、ポンプ類)の不具合内容の全
データを分析し、不具合内容を操作や運用に関する不具合事例とその他に分類した。操作や運用に関す
る不具合事例を解析し、2013 年は 7 月に 2014 年は 6 月に、事例の解析を基にした操作運用に関する講
習会を開催した。講習会開催前後 6 か月間の不具合件数の内訳・変化について、データ分析の有用性を
検証した。
【結果】
臨床工学室にて不具合対応した全ての医療機器は、2013 年:757 件、2014 年:853 件、2015 年(1~5
月まで)357 件であり、ポンプ類の不具合件数は 2013 年:404 件、2014 年:433 件、2015 年:243 件
であり、その内、操作や運用に関する不具合事例は 2013 年:156 件、2014 年:129 件、2015 年:58
件であった。また、2013 年講習会前 6 か月間の操作や運用に関する不具合事例は 89 件であり、講習会
後は 77 件であった。さらに 2014 年講習会前 6 か月間の操作や運用に関する不具合事例は 72 件であり、
講習会後は 57 件であった。
【考察】
臨床工学室にて対応している医療機器の不具合の半数はポンプ類であり、分析の結果 3 割が操作や運用
に関する不具合であった。また、ニーズ(内容・時期)の高い講習会を開催することにより、不具合件
数は格段に減少した。
【まとめ】
臨床工学技士が中央管理機器データを分析、解析することの有用性、さらに講習会開催時期の検討など
臨床工学技士によるマネージメントの可能性を示唆した。
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