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関西電力病院における医薬品採用・削除の通知について
平成 23 年 9 月 21 日 福島区薬剤師会 御中 関西電力病院 薬剤部長 濱口良彦 関西電力病院における医薬品採用・削除の通知について 平成 23 年 9 月 20 日(火曜日)の薬事小委員会において下記の院内試用医薬品 3 品目が承認さ れました。9 月 28 日(水)から関西電力病院において院外処方のオーダができるようにマスタ ー登録しますので,各調剤薬局に置きまして院外処方にて取扱いの実施にご協力お願いいたし ます。 【院内試用薬品】 フェブリク錠 20mg(痛風・高尿酸血症改善剤;フェブキソスタット) 本剤は,40 年ぶりに新薬として承認された日本発の尿酸降下薬である。フェブキソスタットは、 アロプリノールと同様、キサンチンオキシダーゼ(XOD)を阻害することで尿酸生成を阻害する 「尿酸生成抑制薬」である。ただしフェブキソスタットは、キサンチン(XOD の基質)と類似し た分子構造を有するアロプリノールとは異なり、XOD 以外の核酸代謝酵素を阻害しないのが特徴 であり、このことから「選択的 XOD 阻害薬」とも呼ばれている。臨床試験では、1 日 1 回の投与 で血中尿酸値を治療目標値まで低下させ、長期に維持することが確認されている。また、アロプ リノールは,代謝物(オキシプリノール)が活性体で,腎機能低下時には減量などが必要となる が,フェブキソスタットは代謝物が活性を示さず,尿排泄とあわせて胆汁排泄も兼ね備えており, 軽度~中等症の腎機能低下例に対して、用量調節をせずに通常用量を投与でき、有効性や忍容性 に差がないことが確認されている。今回,アロプリノールに比べて尿酸低下作用の有効率が高く 血清尿酸値6mg/dL 以下まで容易に下げ,排出経路が腎及び糞中で有り,糖尿病性腎症例に使用 しやすく,併用時に相互作用のある薬物が少ないので使用しやすいので 糖尿病内科と整形外科 より申請依頼があった。 備考)海外では 2011 年 1 月現在、米国、カナダ、欧州 7 カ国で使用されている。主な副作用は、 関節痛(1.2%)などの自他覚症状や肝機能検査値異常(3.5%)などであり、重大な副作用とし ては、肝機能障害、全身性皮疹などの過敏症が報告されている。また、メルカプトプリン水和物 (ロイケリン)とアザチオプリン(イムラン、アザニン)は併用禁忌となっている。XOD を阻害 することで、これら薬剤による骨髄抑制などの副作用が増強する可能性があるためである。効能 又は効果に関連する使用上の注意に,本剤の適用にあたっては、最新の治療指針等を参考に、薬 物治療が必要とされる患者を対象とすることおよび女性患者における安全性及び有効性は確立し ていない。 [使用経験が少ない。] 削除医薬品;なし(同効薬;ザイロリック 100mg) メーカー;帝人ファーマ リパクレオン顆粒 ゼ) 薬価;10mg=31.1 円,20mg=56.4,40mg=106.60 円 300mg 分包(膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充;パンクレリパー 本剤は,膵外分泌機能不全により起こる消化吸収障害に対して膵消化酵素補充薬のパンクレリパ ーゼが発売され,他に同じ効能・効果の薬剤はなく,日本発の高力価パンクレアチン製剤である。 外科,消化器内科で加療する機会の多い慢性膵炎や膵切除後の膵外分泌機能不全の患者に投与し たいと考えており,外科より申請依頼があった(消化器内科も申請あり)。新薬より 3 ヶ月ルール を逸脱するが他に替わる薬剤がないために申請を受け入れた。 備考)効能・効果は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」であり、用法・用量は「1 回 600mg を 1 日 3 回、食直後に経口投与」となっている。膵外分泌機能不全(PEI)とは、膵臓 の外分泌機能の低下により、膵臓から十二指腸に本来分泌される膵酵素が欠乏し、脂肪、蛋白質、 炭水化物の消化吸収障害が起こった病態のことである。PEI に伴い、脂肪便、下痢、脂肪性ビタ ミン欠乏症等の症状が生じ、最終的には栄養障害や体重減少が起こる。PEI は、非代償期の慢性 膵炎、膵切除、膵嚢胞線維症などが原疾患となる。治療では、不足する膵酵素を補うためにパン クレアチンなどの消化酵素剤の大量投与が行われてきたが、今回承認されたパンクレリパーゼは、 ブタの膵臓からパンクレアチンを高度に抽出・精製した高力価製剤であり、大量投与を必要とし ない。具体的には、パンクレアチンと比較して、単位重量あたりリパーゼで約 8 倍、プロテアー ゼで約 7 倍、アミラーゼで約 6 倍の高い力価を有している。またリパクレオンは、胃内での失活 を防ぐために腸溶性コーティングがなされ、粒径も十二指腸で効果を発揮しやすいように設計さ れていることから、服用により効率的に消化・吸収を促し、栄養状態を改善することが期待でき る。 実際、日本で実施された、非代償期の慢性膵炎または膵切除による膵外分泌機能不全患者にお けるプラゼボ対照二重盲検比較試験では、脂肪摂取量と便中脂肪排泄量から算出される「脂肪吸 収率」の投与前後の差が、プラセボに比べて有意に改善したと報告されている。さらに他の臨床 試験では、膵嚢胞線維症の患者でも脂肪吸収率の改善も認められている。既に欧米では、PEI の 治療に高力価パンクレアチン製剤による酵素補充療法を行うことが一般化しており、海外では既 にドイツ、英国、米国など世界 80 カ国で発売されている。パンクレリパーゼは、非代償期の慢性 膵炎など、PEI を呈した患者の治療ならびに QOL 向上に大いに貢献できる薬剤として期待され ている。本薬は、臨床試験などでも良好な忍容性が確認されているものの、便秘、下痢、発熱、 腹部膨満、高血糖などの副作用が報告されているので注意が必要である。 削除医薬品;なし メーカー;エーザイ 薬価;300mg/分包=59.00 円, トラゼンタ錠 5mg(2 型糖尿病治療剤 備考;150mg/Cap=31.60 円 胆汁排泄型 DPP-4 阻害薬;リナグリプチン) 9 月 15 日発売の新薬であり,初めての胆汁排泄選択的 DPP-4 阻害薬で,代謝を受けずに排泄 されるため,腎機能の程度,あるいは肝機能の程度による用量調節の必要がなく,幅広い 2 型糖 尿病患者に使用するために 糖尿病内科より申請依頼があった(事後報告)。 3 ヶ月ルールを逸脱するが,清野病院長が関わる事項より発売即購入となった。 削除医薬品;なし(同効薬;ジャヌビア,グラクティブ,エクア,ネシーナ) メーカー;日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー 薬価;5mg=209.40 円 【院内期限切れ薬品による院外専用医薬品への変更】 セレニカ R 錠 200mg(入院患者にて 1 年間使用経験なし)⇒院外専用薬品(5 名使用中) 院内はセレニカ R 顆粒 40%の院内採用有り。院内では顆粒を使用とする。 【削除医薬品】 ナウゼリン坐薬 30mg⇒削除薬品(60mg を半分で使用する) 9月 薬事委員会 資料 【新規試用医薬品】 薬品名 (一般名) 規格 メーカー 薬価 (円) 分類 科名 フェブリク錠 (フェブキソスタット) 20mg 帝人ファーマ 56.40 痛風・高尿酸血症改善剤 糖尿病内科 整形外科 リパクレオン顆粒 (パンクレリパーゼ) 300mg分 包 エーザイ 59.00 膵外分泌機能不全における 膵消化酵素の補充 外科 トラゼンタ錠 (リナグリプチン) 5mg 日本ベーリン ガーインゲル ハイム 209.40 2型糖尿病治療剤 胆汁排 糖尿病内科 泄型DPP-4阻害薬 以上